戦姫絶唱シンフォギア 〜魔進〜   作:しろ飯

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どうも。お気に入り数が80を超えて浮かれている白飯であります。
お気に入り数が増えたということで、文字数を増やして見ようと思い、前回ほどではありませんが文字数を多くしてみました。頑張ってかいたのであまりグダグダしていないはずですが、生暖かいめで読んでいただければと思います。


望まない再会

 

空を飛び、ノイズを捜索していたチェイサーは路地裏に流れる用水路でノイズに襲われている人間二人を見つけていた。落ちてしまったのか、水路の中で流れに耐えていた。そのすぐ後ろにはすでにノイズが迫ってきている。

チェイサーは背中の翼を一度大きく羽ばたかせ、助走を足して下へ急降下。落下の速度も重なって速度が更に増す。急降下している最中、背中の翼を解除、収納して新たなバイラルコアをブレイクガンナーへとセット。

 

 

「Tune・chaser───」

 

 

背中から動力パイプと武装が延びたところで、チェイサーは水路の水面と衝突した。轟音と同時に大きな水しぶきが上がる。強襲に近い形で人間とノイズの間に割って入ったチェイサーはすぐさま標的を見据える。

 

 

「フンッ!」

 

 

ブレイクガンナーを振り下ろして少女に近かったノイズを粉砕。そしてガンモードに切り替えて牽制目的で光弾をばら撒く。ここまでの流れをわずか数秒で済ませる。

そうやって倒したノイズの灰が水に流されて行った時、丁度チェイサーの腕に武装が連結された。

 

 

[──spider]

 

 

上に上がった水しぶきが雨のように彼へと降り注ぐ。その手に付いているのは、蜘蛛の形を模したクロー型の近接装備。

武装チェイサースパイダー。武装、ファングスパイディ。

水路内にいたノイズは灰にした。だがまだ向こう側の路地に壁に奴らはいる。

 

 

「何をしている」

 

 

「……へぇ?」

 

 

後ろに顔を少し向ける。弱りかけているが、意識はあるし返事も返せている。

ノイズはいつ予測不可能な行動をするか分からない。そのため、チェイサーは目の前のノイズに集中する必要があった。

 

 

「子供を置いて逝く気か?」

 

 

ここまで二人で逃げてきたと予想したチェイサーは少女に挑発するように声をかける。

自分とノイズがやりあっている間に2人に逃げてもらうのが最善と判断。ノイズと二人の人間、両方を面倒したいが昨日の二の舞いなってしまうのは避けたかった。

結果として、少女は無理矢理に復帰。子供を連れてこの場を去って行った。

 

 

「そうだ。それでいい」

 

 

この場に残るのはチェイサーとノイズだけ。これで遠慮なく彼はノイズを駆除することができる。

腕に装備したファングスパイディを構え、標的を捉えた。先手をチェイサーが取り、ノイズ目掛け駆ける。

 

 

「ハァ!」

 

 

ノイズの反応よりも早く動き、その腹に得物を突き刺す。そのまま強引に振り回し周りにいた数体を巻き込む。

大量の灰がチェイサーの身体にかぶる。

ノイズも黙っている筈がなく、体の形を変えたり、手についた武器のようなもので反撃する。

 

 

「無駄だァ!」

 

 

得物を持って襲うならその得物ごと粉砕。弾丸となって飛びかかってくるのなら真っ向から穿つ。どんな方法で攻撃しようとも刺して、切り裂いて、砕く。

 

 

「知能の無い能無し風情が、ロイミュードに敵うものか」

 

 

串刺しにしたノイズを蹴り飛ばし水路へ落とす。まるで氷のように削れて、崩れて、流れて消えていった。

数匹が上へ跳び、二人が逃げた方へ向かう。だがその数秒後、後方より飛来した光弾に撃ち抜かれて灰になりがら落下する。

 

 

「後ろを向けるとは良い度胸だ」

 

 

罵りしかない形だけの賞賛。

後ろから飛びかかって来るノイズ。軽くファングスパイディを構えて振り向くついでに切り裂く。半身がチェイサーの上を過ぎて音を立てながら落下する。

 

 

「……何だ?」

 

 

振り向いてある現象に気づく。攻撃を与えていないノイズの体が色を徐々に失いながら崩れていたのだ。

過去に調べたことを振り返り、それが自然消滅だと判断する。

 

 

「なるほど。これがそれな訳か……」

 

 

下半身を失ったノイズが這いずってチェイサーへ手を伸ばす。

それは踏みつけると簡単に崩れた。感覚を確かめるようにグリグリと足元を動かす。灰と砂が混じってジャリジャリとした音が足元から伝わった。

 

 

「ここはもう終わったか」

 

 

足元のノイズと同様に周りに残っていたノイズも灰になったり、なりかけていたりした。念を入れて灰になりかけのノイズに光弾を打ち込んで穴を開ける。

後ろへ振り返る。その先にあったのは少女達が逃げた路地裏の道。

 

 

「……後を追うべきか」

 

 

ノイズはあの二人を追っていた。今いたノイズは自然消滅したが他のが同じとは限らない。水路を飛び越えて路地の方へ、チェイサーは二人の後を追う。

彼が去った後の路地裏。そこにはノイズだった灰が至る場所にある。しかし、あれだけ暴れた後だというのにどこにも傷痕が残っていなかった。

 

 

 

 

 

ノイズ発生の警報を聞いた時、葵い髪の少女、風鳴翼は学園の授業を終えて久しぶりの帰宅途中だった。その途中経路で招集の連絡が入って、今はある施設内にいた。

 

 

「───、───……」

 

 

施設内の廊下を走り抜けて、決められた場所にあるエレベーターへ駆け込む。扉を閉めてパスを機会にかざす。承認の音が鳴って周りから手すりが出てきて、これを掴む。

エレベーターが起動。グン、と落ちる感覚が襲い、下に物凄い速度で降下していく。急降下したのち扉が開いて、設けられた通路を駆ける。向かって正面にある大きな扉。自動で開いて、中へ入る。

 

 

「状況を教えてください」

 

 

「現在、情報を絞込み位置の特定を最優先としています」

 

 

その扉の先にあったのは、コンピュータ機器とわずかな光源しかない薄暗く広い空間。前には大きなスクリーンがあって街を上から見下ろした映像が流れていた。

 

 

「………」

 

 

スクリーンを見る。

今回ノイズが発生したのは都市部の中。今どうなっているのかは分からないがこれくらいは分かった。被害は甚大だ。急いで現場に駆けつけなくてはいけない。

そして、そのこととは別に気がかりなことが一つ。

 

 

「……人型の姿は?」

 

 

「衛星からの映像で確認しておりましす。現在人型は都市の中心でノイズと交戦しています」

 

 

やはり人型はいた。

拳を握った。頭の中に映るのは昨日の受けた屈辱の映像。昨日のことで、記憶が新しいというのもあるが思い出すだけで腸が煮えくり返る。

 

 

「今度は逃がさない……!」

 

 

ここで、一人決心をつける。ノイズと戦うことは当然だが、彼女にはそれよりもやるべき事があった。屈辱、怒り、悔しみの晴らし、汚名返上をする機会でしかない。この場で彼女1人だけが別の観点で状況を見る。

理由がどうであれ、ノイズが発生すれば奴が現れることが今回のことで明らかになった。わざわざ探さなくてもノイズのいる場所でいれば勝手に向から来てくれるという訳だ。

 

 

「あれ、この反応は──」

 

 

だからなのだろう。一人だけ別の観点から見ていたがために彼女だけが、状況の変化に気づけていなかった。それが自身にとって最も大事なことなのに。

白衣を着た女性が慌ただしくキーボードを叩く。周りにも伝わって一人を除いて皆がモニターを凝視した。

警告音と同時に出る赤字のアルファベット文字。それは──

 

 

「これって!?」

 

 

「ガングニールだと!?」

 

 

怒鳴り声のように上げられた言葉を聞いてやっと翼はことの問題に気づいた。

目を丸くしてスクリーンにある文字を凝視する。

ガングニール。それは共に戦った親友の槍で、もうこの世に無い物。その筈だった。

 

 

(……どうして?)

 

 

動揺を隠せなかった。

スクリーンに映像が映し出される。そこに映っているのは確かにガングニールだ。共に戦った親友の力を忘れる筈がない。

ガングニールをまとっている奏者はどうやってその力を……

 

 

(……だって、それは奏の)

 

 

底から湧き上がってくる感情を抑えながら目の前のスクリーンに映る謎の奏者の姿をまじまじと見続けていた。

 

 

 

 

路地を抜けた先でチェイサーが見た物は、工業地帯へ続く道路だった。トラックなどの大型車が通ることを前提に造られた道は他のものと比べて広く作られている。

柵を乗りこえてその道路へ足を踏み入れる。日が沈んで街灯の光りだけが頼りのその場所では遠くまでの様子が把握出来なかった。

 

 

「マズいな……」

 

 

これではどの方向に子供が向かって行ったのか分からない。工業地帯の方は街の場合と違って危険物が多い。そちらの方には避難していないことを祈る。

だが、状況は悪い方向へと転がっていた。

突然、夜の空へ一本の光の柱が立つ。そしてすぐに消えた。その不自然な現象を見逃すことはなく、チェイサーも確認する。その光の柱があった方向は工業地帯のすぐ隣にあったビルの屋上。そして光の柱を確認したとき、屋上で光に照らされたノイズを発見した。マズい状況にあることを確信する。

 

 

「あそこか!」

 

 

ノイズがまとまって動くことはよくある事だが、それは集団で人間を囲い一網打尽にするためだ。単体で行動することはまず無い。そして、目立ての人間がいないところにノイズが集まることもない。つまり、ノイズがいると言うことはそこに人間がいることになる。

 

 

「耐えていろ今行く!」

 

 

即座にブレイクガンナーへバットバイラルコアをセットする。

 

 

[Tune・chaser──bat]

 

 

チェイサーの翼から金属の翼が生えて、すぐさま広げてその場から飛び立つ。幸い距離はそう遠くは無い。空へ舞い上がってから数十秒でビルの屋上の状況が分かるくらいのところまで着た。光の柱の立っていたそこにはもう何もない。

ビルの隣にある工業地帯で爆音が鳴った。

 

 

「そこか!」

 

 

工業地帯の一角で煙りが上がっている。そこには路地裏で見つけた子供がいた。少女が子供を抱き抱えていて、ノイズに挟まれ退路を絶たれていた。片側にノイズの群れが、反対側に昨日と同じ大型のノイズがいる。

その場所目掛けてチェイサーは急降下。広げた羽を縮めて空気抵抗を出来るだけ小さくする。

ノイズの群れの前に衝突さながらの勢いで着地。同時に地面のアスファルトが砕け、粉塵が舞う。

 

 

「な、なに? なにっ!?」

 

 

突然の事態に少女が驚いて声を上げる。そんな彼女には目もくれず、チェイサーは上空から下りてくる時に見た景色から情報を分析。周囲に爆発物またはそれに近い危険物がないことを確認した。

今の現状、長期戦は危険と判断して短期決戦を狙う。

ブレイクガンナーからバットバイラルコアを外して背中の翼を収納。そして新たなバイラルコアをセットした。

 

 

[Tune・chaser──spider]

 

 

背中から武装と動力パイプが現れてブレイクガンナーと接続されて、武装チェイサー スパイダーとなる。

得物を胸元で構えて、武装と一体となっているブレイクガンナーの銃口を押した。

 

 

[execution・Full break──spider]

 

 

武装、ファングスパイディのクローの先端にエネルギーが帯電。今にも弾けそうなほどの紫電がまとわりつく。

だが、ノイズを目の前にしてチェイサーはその場から動こうとしなかった。ただそこに立ち尽くしながら、紫電をまとうファングスパイディを上へ掲げ、トリガーを引いた。

瞬間、バチン! と帯電していたエネルギーが音を立てて炸裂、空中に放たれたエネルギーが稲妻の如く迸る。放たれたエネルギーは電撃の早さでノイズを巻き込み、飲まれたノイズは次々に灰になりながら四方に飛散していき、あっという間に方をつけた。

 

 

「す、すごい……」

 

 

間近で見ていた少女が感嘆の声を漏らす。突然現れて、あれだけいたノイズを一瞬で倒してしまった目の前の存在。一度に沢山起こったことに追いつけていなかった少女だったが、ここで間の前の人型がさっき路地裏で助けてくれた人だと気づいた。

 

 

「あっ──」

 

 

声を出しかけて、止まる。自分の上から大きな影が指していることに気づいて後ろを振り向く。そこにいたのは大型のノイズ。目の前で見せられた衝撃で忘れてしまっていた。

大型ノイズは頭部と思わしき部分をしたに下げて、少女を見下ろしているような姿勢をとっていた。

大型ノイズがその手を振りかぶる。

 

 

「!?」

 

 

黙って見ていればひとたまりもないことくらい少女にも分かった。急いで離れようとするが、行動するまでが遅くて今からではもう間に合わない。それでも諦めず広がってくる影から逃げるためダッシュする。

 

 

「………」

 

 

チェイサーはその様子を見逃していない。しかし、彼はまたその場から動こうとせずその光景を黙って見過している。

否、それは少し違っていた。

チェイサーは少女とノイズの光景を視野に入れていたが、その視線はもっと上の方へ向いていた。

 

 

『───』

 

 

透き通った声、短い唄。続いて一瞬だけ輝く眩い光。

空から一振りの巨大な剣が降ってきて、ノイズを貫き地面に大きな音を立てて突き刺さる。

チェイサーはその剣の上を見据えた。そこにいたのは独特な衣装で身を包んだ葵い髪の少女。忘れる筈がない。間違いなく昨日出会った少女だ。

 

 

「……遅い登場だったな」

 

 

予想はしていたが、昨日のこともあって出会いたくはなかった。

 

 

「やはり、現れていましたね……人型」

 

 

チェイサーにとってはそうだったが、彼女にとってはそれの逆。彼女の目には闘士が宿っていた。

少女の足についている装甲が展開。そこから長方形の金属の塊が射出される。彼女はそれを手に取ると変形、形を変えて一振りの太刀に姿を変えた。

上から見おろして、太刀の切先をチェイサーへ向ける。

 

 

「もう、逃がしません」

 

 

感情を殺した冷たい宣告が言い放たれた。

 

 

 

 

 




次は来月に投降する予定です。
頑張って書くのでぜひ読んでください! ではまた次回で!
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