魔法科高校の一科生(補欠)   作:komekome

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7話です

服部さんが登場です。(タイトルまんまだ・・・)


服部

 放課後、生徒会室に向かう彼の足取りはさらに重かった。

 

 生徒会での立場における不満。例えそれが妹のためだとはいえ、気が重くなるのは仕方のないことだった。

 

 そんな彼の思いを知ってか、深雪は何も言わず、蓮は相変わらずの調子で楽し気にしてるだけである。

 

「失礼します」

 

 渡された生徒会用のIDカードを使い入室。そこには見慣れない生徒が生徒会長たちと共にいた。

 

 達哉より少し細身の少年。

 

 神経質そうな顔をしているが、それ以外はこれといって特徴はない、と達哉は思った。

 

 ただ、彼の体に巡る想子光の輝きが彼の只者ではない魔法師としての能力を示しているようにも思えた。(最も、常人にくらべてであり、達哉にとっては普通人のそれとなんら変わらない些細な量であったが)

 

 彼は達哉と、おそらく蓮に向けてだろう、激しい敵意を向けるが、それが不意に解ける。

 

 それは達哉の力を認めたからではない。単に後ろの深雪の姿が目に入ったからだ。

 

「いらっしゃい、三人とも」

 

 裏腹に柔らかい真由美の声。

 

 その声に促され、深雪も部屋に入る。そして、達哉の隣に並んで立ち、二人そろって整列するような状況となる。

 

「さあ、自己紹介してね、はんぞーくん」

 

「だから、その言い方は・・・」

 

 なるほど、この人はこういう人のだなと、一人納得している達哉であるが、はんぞーと呼ばれた少年は咳ばらいを一つし、改めて佇まいを直す。

 

「生徒会副会長の服部刑部です。ようこそ生徒会へ、司波深雪さん」

 

 先ほどの雰囲気とは打って変わって人好きのする爽やかな笑顔で彼女に挨拶する副会長。

 

「司波深雪と申します。これから兄、友人ともどもよろしくお願いします」

 

 気品溢れる彼女の所作にどぎまぎと気圧される服部だが、その姿に思わず噴き出した真由美と居合わせた摩利。

 

 それに気づいた彼は再び咳を払い、

 

「こちらこそ、よろしく」

 

 再び爽やかに微笑んで見せる服部。

 

 その豹変ぶりに思わず達哉も吹き出しそうになるが、

 

「さて、一応顔合わせも済んだことだし、早速仕事にとりかかって貰おうかな?」

 

 まゆみはあずさをいつもの呼び名で呼び、はーいと小学校低学年のような返事でとてとてと来るあずさ。

 

 そして、書記を仰せつかった深雪は彼女に案内され持ち場となるスペースへと向かう。

 

「さて、と。それじゃ、二人なんだけどーーー」

 

 真由美が達哉と蓮に顔を向けたところ、

 

「待ってください」

 

 割って入ったのは服部だった。

 

「どうした、服部刑部少丞範藏くん」

 

「フルネームで呼ばないでください!!」

 

 からかわれるように名前を呼ばれた彼が思わず風紀委員長に反論すると、今度は特に佇まいを直さず厳しい視線を達哉と蓮に向ける。

 

「自分はこの二人の生徒会入りに反対します」

 

 厳しい、というより憎悪すら含んだ視線で二人を睨み付ける服部。

 

「なんで?」

 

 と、きょとんとした目で服部を見つめる真由美。

 

 彼女から見つめられ思わず動揺するが、なんとか気を取り直して、

 

「この二人はウィードです。そのような者が生徒会に入れる訳がない」

 

 その発言を耳にした摩利が、眉をぴくりと動かす。

 

「私の前で禁止用語を口にするとは、いい度胸だな服部副会長?」

 

 彼女の険のある言葉にもひるまず、彼はさらに続ける。

 

「なんとでも言ってください。

 

 そもそも二科生が生徒会入りできる校則になっていない」

 

「いえ、二人は一科生です。生徒会入りにはなんら問題はありませんが」

 

「そういうことを言ってるんじゃありません!!」

 

 会計の市原の反論に耳を貸さず、彼は続ける。

 

「仮に一科だったとしても、補欠でしょう!?

 

 そんな者が入ったら生徒会はどう思われます!?

 

 補欠でも簡単に入れる組織だとして確実に侮られますよ!!?」

 

 彼は強い語気でまくし立てる。

 

「しかしね、もうこれは決定済みのことなんだ。

 

 それに、その決定権は会長である七草にある。

 

 君が口出ししても、それは彼女の意思を軽んじることにならないか?」

 

 優し気な口調で諭す摩利だが、服部はなおも食い下がり、

 

「だからこそ、会長に再考をお願いしているんです!!

 

 このことは必ず禍根になります!!」

 

 持論を頑として譲らない。

 

 どうしたものか、と考えあぐねていたとき、

 

「あの、よろしいでしょうか?」

 

 口を開いたものがいる。深雪である。

 

「もし先輩の反対が、二人の入部に成績が原因なら、すこしお時間をいただければその誤解を解けるとーーー」

 

「---司波さん」

 

 下級生の言葉に、彼は努めて優しく、余裕のある態度で接しようとする。

 

 その移り身の速さが、彼の言葉に重さを与えないのだが。

 

「魔法師というものは何時、いかなる時にでも冷静でなければならないのです。

 

 肉親の情に駆られて目を曇らせてはいけない」

 

 と、風紀委員長が彼にしたように深雪を諭すが、

 

「ーーーですが」

 

 と、続けようとした彼女の言葉を遮ったのは、ほかでもない達哉だった。

 

「服部先輩、俺と模擬戦をしましょう」

 

 服部の眼前に立ち、彼の眼をしっかりと見据えて言った。

 

 彼は一瞬、そのことを理解できなかったが、次の瞬間には頭を沸騰させた。

 

「のぼせ上がるなよ!補欠の分際で!!!」

 

 その言葉を聞いた、上級生三人は思わず頭を抱え、あずさはひとりおたおたしていた。

 

 達哉はそれにも関わらず、冷笑すら浮かべ、

 

「あるがままの戦闘スキルは実戦で戦ってみないと分からないでしょう?

 

 俺は生徒会の事などどうでもいいんですが、妹の目が曇っていないことを証明するには仕方ないでしょうね」

 

 挑発するような薄ら笑いを目の当たりにし、さらに頭に血を昇らせるが、

 

「おいおい、魔法師は常に冷静じゃなきゃいけないんだろ?」

 

 くすっと笑う美貌の、もう一人の劣等生に煽られ、却って自制をするが、どうにも気持ちは抑えられない。

 

「いいだろう、身の程をわきまえることがどれ程大事なことか、その身にたっぷりと教えてやる・・・」

 

 歯ぎしりをしながら、かろうじてその場を自制する服部。

 

 そうして、服部と達哉。二人の模擬戦が執り行われることとなった。

 

 

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