「来た来た! 新しい先生が来たよ!」
「やめておいた方が良いと思うけど」
「良いじゃん、一回くらいやってみたかったもんこういうの」
「教室の扉の黒板消し……はあ、もう知らないよ」
「…………(スタスタスタ…ピタッ)」
「あれ、止まった? 気付かれたかな」
「…………(ピーッ、ジュッ!!)」
「「「「「!?」」」」」
――この惑星の、子供達と呼ばれる存在には、
「…………(スタスタスタ)」
「こ、黒板消しが、炭に…!」
「オハヨウゴザイマス!!(ドンッ! グシャアッ!)」
「「「「「!?!?」」」」」
「なっ、教卓が……!」
「遅くなった、みんなおはよう(スタスタ)」
「「「「「………」」」」」
「返事が聞こえないな。もう一回言ってくれないか?」
「「「「「お…おはようございます」」」」」
「よろしい。 ……おやジョーンズ先生? 私が遅刻したせいとは言え、少々力み過ぎじゃないか?」
「……スミマセン(ピーッ、ガッシャン)」
「「「「「!?!?!?」」」」」
「教卓が……今度は一瞬で元通りに!」
「そうだ。授業を始める前に、皆に紹介しないといけないな」
「…………」
「今日からここで臨時教師をして下さるトミー・リー・ジョーンズ先生だ。喋るのは得意ではないが、以前も教師をしていたそうだ。皆、仲良くして欲しい」
「……ヨロシクオネガイシマス」
――やはり全身でぶつかって行かなくてはならない。
「―それで、1184年に一之谷の戦いが起こった訳だが……」
「…………(カリカリカリ、カッカッ)」
(ジョーンズ先生が黒板で慧音先生が解説か…ちょっと眠いなあ)
「で、一之谷の戦いにおいて有名な『逆落とし』、どこで行われたと言われているか、分かる者は居るか?」
「はい、一之谷裏手の鉄拐山説と、東に8kmの鵯越説です」
「素晴らしい。だがこの二つに限らず、そもそも逆落とし自体が行われていないとする説もある。残念ながら、今となっては真実は分からないんだ……」
(……zzz……zzz)
(おい、起きろよ。このままじゃ先生から頭突きが)
「(カッカッカッ)…………!!(ヒュンッ……バスッ!)」
「「「「「!?!?!?!?」」」」」
「なっ、今、何が起きたんだ!?」
「うーん……あれ? 何か頭の上が涼しい」
(うわあ、逆モヒカンって言うのかなこれ)
「見事だ、ジョーンズ先生。 私もこのくらい上手くチョークを投擲出来ればな」
(((((何それ怖い)))))
「そこで、平敦盛が組み伏せられ……おっと、そろそろ時間だな。 各自、予習と復習は欠かすんじゃないぞ」
「「「「「はーい!」」」」」
「分からない事があったら、いつでも聞きに来るように。では解散!」
――だが…。
※ ※ ※夕方、職員室※ ※ ※
「おや、今日も君か。どうした?」
「あ、あの……先生……」
「また何か分からない所があったのか? 遠慮せずに言ってみるんだ」
「あ、あの、僕……」
「?」
「せ、先生の事が……」
『声ガ小サイ!!!』
「「!?」」
――この惑星の教育でも、ここ幻想郷に限っては、
※ ※ ※数日後、同職員室※ ※ ※
「想像以上に凄いじゃないか、ジョーンズ先生(カリカリ)」
「…………イエ(カリカリ)」
「元々皆悪い子達じゃないんだが……居眠りをする事も無くなったし、今まで以上に熱心に取り組んでくれるようになった。率直に言って悔しい位だよ(カリカリ)」
「…………(カリカリ)」
※ ※ ※以下回想※ ※ ※
「でも、君は……良い教師になる!」
※ ※ ※以上回想※ ※ ※
――このくらいで、丁度良いらしい。
「(カリカリ……パサッ)うん? 何だこれは?」
「…………」
「メモ用紙……見た事無い記号ばかり書いてあるな。ジョーンズ先生、何か知らないか?」
「……私デス」
「ああ、何か書き留めるのは構わないが、所構わず置かないで欲しい。あの子たちも時々来るし良い手本にならないからな」
「気ヲ付ケマス」
――そして、この惑星の妖怪は、
※ ※ ※同日、慧音の部屋、夜※ ※ ※
「やっぱり来てくれたか」
「……(サッ)」
「久しぶりだなジョーンズ。君ならあの暗号くらい簡単だったかな」
「……ホワイトレディ」
「直ぐに明かせなかったのは許して欲しい。訳あって『彼女』の中に居候してる身なんだ。それも、妖怪『ハクタク』に成り済ましてまで」
「…………」
「おっと、誤解しないでくれ。『ハクタクとしての能力』の幾つかは『彼女』に貸し出しているけど、今みたいによっぽど必要でもない限りは『表』に出てこないようにしているんだ。」
「…………」
「満月が綺麗だろう? だがその度に、こうやって角と尻尾を生やしていないといけないのは難儀だけどね」
「…………大変ダナ」
「この惑星のあちこちを飛び回っている君程じゃないさ。『私』は表に出ない限り悟られる心配は無いし、『彼女』の見聞きする事は何もかも面白いからね。ふふっ……君も中々良い教師になれてると思うぞ」
「…………」
「さて、そろそろ『彼女』に主導権を返さないといけないな。今の会話は『少しボーっとしていた』くらいの認識しか出来ないよう細工しておくけど、『彼女』は今気が立ってるからね。幾ら君でも角ごと頭突きは堪えると思うよ」
「歴史書の編纂は満月の夜しか出来ない。『私』なら出来なくはないけど、『実際のワーハクタク』と同じように能力を縛ってないといけないんだ」
「……ワカッタ(ピシャン)」
「…………」
「…………(プシュ)」
――たまに、宇宙人だ。
構成:CM教師篇、黒ドレスの女篇
宇宙人ホワイトレディ(地球名無し):慧音本人への憑依
ついに出ました、筆者の書く話での初登場、他の潜入宇宙人です。
イメージとしては、初代ウルトラマンとハヤタ隊員の関係が一番近いと思います。但しハヤタ側は能力をある程度行使出来る代わり、ウルトラマン側を認識出来ないのですが。
Q宇宙人としての彼女の役割は?
A簡単に言えば、アリの行列を上から観察するのが彼女、アリに混じって労働するのがジョーンズさんのイメージですね。『ハクタクとしての能力』は勿論、彼女の能力の一部に過ぎないです。
宇宙人なのでどっちもやる事が凄いですが。
実は今回の話、最終話()直前辺りを書いている時に並行で書いていたのですが、一度納得が行かなくて破棄し、今回書き直して投稿させて頂きました。
心残りの一つが形に出来て正直ほっとしております。