※ ※ ※村中央集会所※ ※ ※
「ムオッホン、では皆の衆。 静葉様の歓迎と、今年の無病息災を祝って、乾杯!」
「「「「「乾杯!!」」」」」
「カンパーイ!」
――この惑星の住人は、多くの矛盾を抱えながらも生きている。
「穣子様達はともかく、やっぱりジョーンズさんも飛べたんですねえ(グビグビ)」
「まあ、目から光線だの高速田植えだのを見てると、不思議にも思わなくなるもんだな(グビグビ)」
「そういやあジョーンズさんは結局何者なんですかい? 博麗の巫女でもあるめえし(グビグビ)」
「…………」
「今更そんな事は良いじゃないか。 汗水流して一緒に働いてきたんだ、もうこの村の仲間だろ?」
「まあそうですねえ、少なくともおっそろしい妖怪じゃない事は確かでさあ(グビグビ)」
「なあお前…初っ端からちょっと飲みすぎじゃないか?」
「へえ、今年の芋で作った酒が旨くて、ついつい(グビッ)」
「…………」
――同族の似た者同士が、血で血を洗う争いをしているかと思えば、
「さあさあ村長さんに姉さん、私が注いであげるからね(スッ)」
「おお穣子様、かたじけない(コポコポ)」
「ありがとう、穣子(コポコポ)」
「ちゃんと会話に入って行かないと駄目よ。 特に今日は姉さんが主役なんだから」
「ごめんなさいね、こういうのは初めてですもの」
「しかし静葉様、妹様から話は聞いておりましたが、実際にお会いするのも初めてですなあ」
「ええ、いつも妹が世話になってます」
「そう謙遜しないで下され、世話になってるのは儂らの方ですからの」
「あらあら村長さん? 両手に華かと思ったら、もう鼻の下を伸ばしてない?」
「い、いえそんな事は」
「冗談よ。 ほんの子供だった頃、祭りの度に私から離れなかったのに、今更浮気も無いでしょうしね」
「へえ、そんな事があったのですね」
「……後生じゃ、勘弁して下され」
――何もかも異なる者同士が寄り添って生きている。
「へい穣子様、ついでにあっしの分もお願いしやす」
「あら、仮にも神様にお酌してって頼むつもりかしら?」
「あ……」
「冗談よ。 神だけど格はあまり高くないし、一緒に働いた仲間だもの(スッ)」
「いや、こっちこそ調子に乗ってすんません(コポコポ)少し酔いが回ってたようでさ」
「美味しいのは分かるけどあんまり飲み過ぎないでよ?」
「…………」
「ジョーンズさんは……お酒はあんまり好きじゃなかったわね」
――ただ…。
「…………(スッ)」
「あらジョーンズさん、どこに行くの?」
「外ニ出テキマス」
「吹雪は止んだけどまだ寒いから気を付けてね」
※ ※ ※集会所の外※ ※ ※
「ふむ。 儂がここまで来た途端、察知して出てくるとはの」
「…………」
「お主なら既に気付いておるとは思うが、あの姉を化けさせたのは儂じゃよ」
「…………」
「まさか、姉妹揃って頭を下げてくるとは思わなんだ。面白いからタダで引き受けたが、あんな一言でばれたのは傑作であったぞ……くっくっくっ」
「じゃが、あの様子では儂が手を貸すまでも無かったのかも知れないがの」
「…………」
「いや、そんな露骨にがっかりした顔をされても困るのじゃが」
「確かにあの頬は自信があったが、お主の好みまでは把握しておらんわい」
「…………」
「儂か? 正直な所あの集まりに混ざって飲みたい所じゃが、神々と人間の間に入るのも無粋じゃろうて」
「…………」
「さりとてここでお主と飲もうと思っても、酒は好まないじゃろ?」
「じゃから、ほれ(スッ)」
「…………!」
「以前は一本手に入れるのにも苦心したが、今では人里に出回っておる」
「はて…儂は知らないのじゃが一体誰の差し金かの、ククッ」
「…………」
「それにしても、あの時のような綺麗な星空じゃの。 夕方に吹雪いていたのが嘘のようじゃ」
「…………」
――宇宙には、こんな惑星が、
「お主はあの向こう側からやって来て(プシュ)」
「…………」
「わざわざこんな狭い場所に、少なくとも半年は留まっておるようじゃが(ゴクリ)」
「……お主にとってここは、どう見えておるのじゃろうな?」
「…………(プシュ)」
――一つくらい、あっても良い。
前回の補足
宇宙人ブラック:CM黒スーツの男篇より
あまり綺麗に締まってないかも知れないですが、最終回です。
殆ど自己満足で始まって、息も絶え絶えで書き終えたような感じがします…。
何かを書く事の難しさと自身の未熟さを痛感している次第です。
ここまで読んで下さった皆様、本当にありがとうございます。
もしも少しでも楽しんで頂けたのであれば幸いです。