――この惑星の神々と呼ばれる者達は、人間の信仰を糧としている。
「………(ジュッ)」
「いやあジョーンズさんに穣子様まで居ると捗るなあ」
「喋ってないであんたも手を動かしてくれ、まだまだ雑草は幾らでもあるんだからな」
「いやあ、目から光線出して雑草を枯らすなんて、そうそう出来る事じゃないと思いますぜ」
「本当か? 確かに目が光ってるが……」
「本当ですだ、ほれこれが問題の草でさあ」
「何だこれ……ご丁寧に根っこまで干からびてやがる」
「さっきまで青々として伸びてたのが、ジョーンズさんが見た途端急に」
「目から光線の一つも出せなくて悪かったわね、弾幕なら出せなくもないけど」
「うおっ穣子様! そ、そんなつもりで言った訳じゃ……」
「はいはい。 手を動かして……と言いたいけどそろそろ休憩にしましょうか」
「分かりました、俺はジョーンズさんを呼んできます」
「じゃ、あっしは飲み物と菓子を準備してきますだ」
――八百万も存在する神々の全てが、信仰を得られる訳ではない。
「今年も俺の田畑は無事に収穫を迎えられそうです、ありがとうございます」
「私だけの力じゃないわ、田畑の世話をする人が居るのが前提だもの」
「へい、飲み物をお持ちしやした」
「ありがとう、こういう時は麦茶に限るわね(ゴクゴク)」
「しかし、こう何度も雑草が生えてくると中々手が掛かるな」
「言いたい事は分かるわ。 でも化学肥料や農薬はなるべく使わないで貰えると有り難いわね」
「ええ、分かっています」
「へえ、『外』にはそんなよく分からない代物が有るんですかい。 でもそりゃあ何故です?」
「知っての通り私は豊穣の神。 でも実際、私自身は『大地や作物が元々持っていた生命エネルギー』を引き出す手伝いをしているに過ぎないの」
「だから化学肥料で土地の性質を変えて、農薬で虫まで全滅させてしまうと……もう私の力は及ばないわ」
「それで、手を掛けてでも自然農法が良いと仰る訳でしたか」
「…うん? ちょっと待ってくだせえ、それじゃあ『外』は」
「察しが良いわね。 元々は私も姉さんも『外』に居たのだけど、あっちじゃ肥料や農薬、機械まで出来てね」
「天気、土地、作物の品種。 全部人間がやってしまうようになって……既にもう、居場所はここしか無いのよ」
「……大丈夫です穣子様、俺もこの村のみんなも、あなた様に付いて行きますから」
「そうそう旦那の言う通りですぜ!」
「ありがとう。 その言葉だけで十分よ」
「…………」
――ただ…。
「しかし、九月にもなると風も冷えてくるようになってきたな」
「ええ、暑くなくなってきたのは有り難いわね」
「さ、そろそろ再開と行きますかい?」
「ワカリマシタ」
――この惑星の神々には、
「お! 旦那、穣子様、ジョーンズさん! あの山を見てくだせえ!」
「どうした?」
「あの辺りで紅葉が見え始めましたぜ」
「あら、例年にしては早い方ね。 姉さんも随分と張り切ってるのかしら」
「ここから山全部が紅くなっていく訳だ、楽しみだな」
「ええ、私も負けてられないわね。 さ、続き続き!」
「………(プシュ)」
「まだ飲んでなかったんですかいジョーンズさん」
「スグニ行キマス」
――愛されるという、生き方もある。
構成:CM大相撲篇
注:秋姉妹が外出身という公式設定がある訳ではないのですが、信仰を失った神々や居場所を失った妖怪が流れ着くのが幻想郷、という話から解釈したものです。