バカとテストと右脳娘   作:シュレ猫

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今回は今までの話では半オリキャラが登場します。キャラに関して意見があればおっしゃってください。彼女を描写する上で大きな助けとなります。今回の話と次の話では夏樹の人間性が今までの話以上に分かるはずです。

それでは本編です。


第十話:喧嘩両成敗!

『うぉぉーーっ!』

 

 Dクラス代表の平賀くんが討ち死にしたという報せを聞いたFクラスの勝鬨(かちどき)とDクラスの悲鳴が混ざり、耳をつんざくような大声が校舎内を駆け巡りました。

 

「凄ぇよ! 本当にDクラスに勝てるなんて!」

「これで畳や卓袱台ともおさらばだな!」

「ああ。あれはDクラスの連中の物になるからな」

「坂本雄二サマサマだな!」

「やっぱりアイツは凄い奴だったんだな!」

「坂本万歳!」

「姫路さん愛しています!」

 

 代表のもっちーを褒め称える声がいたるところから聞こえてきます。

 

 さっきまでもっちーがいたところを見ると、もっちーはがっくりとうなだれるDクラス生徒たちの奥でFクラスのみんなに取り囲まれていた。

 

「あー、まぁ。なんだ。そう手放しで褒められると、なんつーか」

 

 頬をポリポリと掻きながら明後日の方向を見るもっちー。普段褒められなれていないから恥ずかしいのかな?

 

「坂本! 握手してくれ!」

「俺も!」

 

 もはや英雄扱いですね。まあ、あの酷い教室から自分達を解放した立役者だからあながち間違いでもないのかな?

 

 ん? あっきーがもっちーのところに駆け寄っています。あっきーも握手するんですかね?

 

「雄二!」

「ん? 明久か?」

 

 もっちーが振り返りました。あっきーはそこに颯爽と近づき、

 

「僕も雄二と握手を!」

 

 そう言ってもっちーに向けて手を突き出します。って! あのバカは包丁なんか握りこんで何やっているんですか! 私ともっちーの距離は結構離れていて、しかもその間にはDクラス生徒とFクラス生徒の塊がありましたが、私は人ごみを掻き分け二人に近づきます。

 

「ぬぉぉっ!」

 

 私が近づくより早くもっちーがあっきーの手首を押さえつけます。ほっ、よかった。安心した私はスピードを緩めます。

 

「雄二……! どうして握手なのに手首を押さえるのかな……!」

「押さえるに……決まってるだろうが……! フンッ!」

「ぐあっ!」

 

 もっちーがあっきーの手を捻りあげたことであっきーは持っていた包丁を取り落とします。これでいよいよ危険はなくなりましたね。まあ、もっちーの命の危険は去りましたし、もう止まっても問題ないでしょうかね? 歩きながらそう考えている間にも二人の会話は続きます。

 

「雄二、皆で何かをやり遂げるって、素晴らしいね」

「……」

「僕、仲間との達成感がこんなにもいいものだなんて、今まで知らな関節が折れるように痛いぃっ!」

 

 もっちーが捻りあげる手の力を強めたようです。……ちょっとかわいそうですけど、あのくらいの報復はもっちーの当然の権利ですね。

 

「今、何をしようとした」

「も、もちろん、喜びを分かち合うための握手を手首がもげるほどに痛いぃっ!」

「おーい。誰かペンチを持ってきてくれー」

 

 丁度人垣を抜けていた私は全速力で二人に近づき、それぞれの手首を掴み、引き剥がします。

 

「す、ストップ! 僕が悪かっ――夏樹?」

「どうした夏樹?」

 

 私はその問いかけに答えずに笑顔でもっちーに質問します。

 

「ねえ、もっちー。ペンチを使って一体何をしようとしていたの?」

「簡単なことだ。そいつを使ってこのバカの生爪を剥があだだだだ! 夏樹! 力を緩めろ、掴まれたところがめちゃくちゃいてぇ!」

 

 もっちーの答えを途中まで聞いた私は笑顔のまま、もっちーの手首を掴む力を強めます。

 

「な、夏樹! ありが手首が潰されるように痛いぃっ!」

「あっきー。友達に刃物を向ける悪い手はこれ?」

 

 私の行動を勘違いして感謝しようとしていたあっきーの手首も、もっちーの手首と同じ位の力で握ります。

 

「もっちーも。手首を捻りあげて少しは仕返ししたんだから、後は1、2発殴るくらいで済ませとこうよ。生爪をはがすなんてしたら拷問になっちゃうじゃない。ダメだよ? 友達に拷問なんて」

「たたたぁ。か、勘違いするな、夏樹。俺はこいつを友達だと思ったことは一度もないだだだぁ! 手首を外に向けるな! 手首だけじゃなくて肘にまで激痛がぁ!」

 

 もっちーの手首を握っていた手を前に伸ばすことで、もっちーの肘から先が体の外を向くようにします。

 

「それならどっちにしてもダメだよね? 友達に対して友達じゃないなんて言うのもダメだし、本当に友達じゃないなら赤の他人に日常的に暴力とかもっとダメ。私はあれは友達同士のじゃれあいだと思ってるから今まで二人に注意しなかったんだよ?」

 

 まあ、もっちーの方はこれでいいとして次はあっきーですね。もっちーの手を元の位置に戻して、あっきーの方に顔を向けます。

 

「あっきー。ダメじゃない。友達に刃物なんか向けちゃ」

「で、でも、夏樹! 雄二がさっきの放送の指示を!」

 

 放送? ……………………あぁ、そういえば。となると、あっきーにももっちーに仕返しをするだけの理由はあったんですね。

 

「まあ、確かにこの件にはもっちーにも責任があるね」

「そ、そうでしょ? だから――」

 

 でも、流石に包丁はやりすぎです。

 

「あだだだぁ! 肘がぁっ! 夏樹、ストップ、ストップ。肘が悲鳴を上げてるぅ!」

「だとしても、それについても1発ぶん殴るとか素手でやりなさい! 別にあの放送で死ぬわけじゃないんだから」

 

 そういって、あっきーの手首を掴む手はもっちーとは逆に手前に引き寄せ、あっきーの腕ももっちー同様に体の外を向くようにします。

 

「ほら、二人ともお互いに悪かったって分かったでしょ? だったら、ごめんなさいって謝って、お互いに今回のことは水に流そうよ」

「そんな! 高校生にもなってそんなの恥ずかしいよ」

「そうだ! 今時、お互いにごめんなさいなんてできるか! 小学生の理論じゃねぇんだぞ」

「小学生の理論だろうが、仲直りにごめんなさいが必要なのは変わらないでしょ。むしろ、変にプライド持ってこじれる大人の意地の方がおかしいの。……なんなら、仲直りの握手もさせるよ?」

「雄二! 包丁で刺そうとしてごめん!」「明久! 生爪を剥ごうとして悪かった!」

 

 流石に握手までさせられるのは耐え切れなかったのか、二人同時に謝罪をします。その言葉を聴いた私はようやく二人の手首を開放します。

 

「うぅぅっ。雄二のせいで酷い目にあった」

 

 未だにグチグチ言っているあっきーを一睨みしますが、もっちーの放送が発端なのは事実ですし、愚痴りたくはなりますよね。

 

「いってぇ。おい、夏樹。お前に掴まれたところに跡ができているんだが、どんな握り方したんだ」

「えっと、ただ全力で握っただけだよ?」

「……ちなみにお前の握力は?」

「んー。私は握力はどっちも40前後だったかな」

「夏樹。どう考えてもそれは一般女子高生の握力じゃねぇぞ」

「うーん。小学生のころはしょっちゅう家の手伝いで雑巾がけやってたからその影響かな? それはそうと、ダメじゃないもっちー! あんな放送指示したら!」

「ふっ、あの放送は俺達の勝利に不可欠だったんだから仕方ないだろう。Fクラスの生徒として勝利のためならあのくらい我慢して当然だ」

 

 ん? なんか私の求めた答えと違うような?

 

「まあ、いいや。ってことはもっちーも勝利のためなら多少の被害は我慢するんだね?」

「当然だ!」

 

 まあ、実際はそんなつもりはさらさら無いんでしょうけどね。一応言質はとりました。

 

「とは言ってもな、明久。戦争に無関係なことで同じようなことをしたら殺すぞ」

 

 何か考え込んでいたあっきーが分かりやすいくらいがっかりします。

 

 私達がそんなやり取りをしていると平賀くんが近寄ってきました。戦後交渉のことかなぁ? 別に私が戦後交渉で役に立つことはないし、ここにいなくて良いよね。

 

「もっちー。私は用事があるからもう抜けるね」

「ああ。明日教室を間違えるなよ。英語の回復試験の後に話したとおりだからな」

(よし! どうやって夏樹をここから外すかが問題だったが、こいつは好都合だ)

「分かってるって」

 

 私からあっきー、あっきーから周りの人に情報が漏れるのを防ぐために詳しい作戦は聞いていないけど、少なくともAクラスを落とすまで設備交換はしないとは聞いていました。なので、戦後交渉でどんな交換条件を出すのかは分からないけど、大筋は分かっていますから、もっちーと平賀くんの交渉内容については一切気になりません。なので、私は目的の人物を探しにいきます。まだ下校していないと良いんですけど。……私が抜けるって言ってもっちーがちょっと嬉しそうになったのは何でだろう?

 

 

 

――新校舎4階――

 

 3年生のクラスを尋ねるのは初めてだから少し緊張しますね。それにしても先輩はどのクラスでしょうか。先輩の去年のクラスは知っているのですが、2年から3年への進級時も振り分け試験があるので意味がないんですよね。まあ、そう変化しているとは思えないので中堅クラスのCかDを尋ねてみますか。

 

「すみません。私は2年の神谷という者なのですが」

「あら? 2年生が3年のクラスに何の用なのかしら?」

「ええと、新野先輩はこのクラスにいらっしゃいますか?」

「ええ、すみれならこのクラスよ。すみれー! 後輩の子が会いにきているわよー」

「あっ! ありがとうございます」

 

私はまずCクラスを尋ねてみました。そこで、入り口近くにいた女の人に先輩がいるかたずねたんですが、その人は態々先輩を呼んでくださいました。てっきり、ウチの中堅クラスみたいに下の人たちを見下すんじゃないかと思っていたので、拍子抜けです。……失礼なこと考えて申し訳なかったな。

 

「えー、だれですかぁー。あぁ、夏樹ちゃんじゃないですか。久しぶりですねぇ」

 目的の人物である新野すみれ先輩が入り口近くにやってきました。

 

「新野先輩、お久しぶりです」

「んー? 夏樹ちゃんそんな呼び方でしたっけぇ? ああ、友達がいるからって気を使う必要はないですよ。いつも通りすみすみ先輩って呼んでもらわないと調子が出ません」

「え、えっと、大丈夫でしょうか?」

 

 私は新野先輩を呼んでくれた先輩の方を見て尋ねます。

 

「くすっ、随分礼儀正しい子ね。二人は知り合いなんでしょ? なら、私に構わずいつも通り話していいわよ。そ、それにしても、す、すみすみ先輩って、あ、あんた後輩にそんな風に呼ばれてたの?」

「い、いえ! よ、呼んでいたのは私だけで」

「これは夏樹ちゃん特有の渾名ですからねぇ。でも、夏樹ちゃんが名前を使った渾名をつけるのはとても仲の良い相手だけなんですよ」

「あら、羨ましいわね。それで、すみれに何の用事で来たの?」

「あっ! すみすみ先輩。放送室を使いたいんですけど、機材の使い方を教えていただけませんか?」

「そのくらいならいいですよぉー。今から使いますかぁ?」

「い、いえ。使うのはもう少し生徒が下校してからなんですけど。流石に先輩に残ってもらうのは悪いので、使い方を教えてもらったらなんとかします」

 

 もう少し生徒が減らないと噂が広まりすぎて流石にかわいそうですからね。

 

「じゃあ、私が操作してあげるので、もう少し待ってましょうか」

「そんな! 先輩だって忙しいのに申し訳ないです」

「夏樹ちゃん、機械苦手じゃないですか。下手にいじって壊されても困りますし、私も久しぶりに夏樹ちゃんと話したいですしねぇ」

「じゃあ、ウチのクラスで話していったら?」

 

 もう一人の先輩が微笑みながらクラスの中を指差し、提案してくる。

 

「だ、大丈夫です! 他の皆さんに申し訳ないですから」

「大丈夫よ。残っている人たちも部活に行ったり、塾に行ったりしてもうすぐ教室に誰もいなくなるから」

「で、でも、」

「それに、私もあなたと話してみたいと思ったし」

「と、言うわけで。ようこそぉー、3年C組へ」

「で、では、し、失礼します!」

 

そうして、私はすみすみ先輩に手を引かれて教室に入りました。そのあとはすみすみ先輩ともう一人の先輩と1時間半くらいお話していたんですが、もう一人の先輩のからかい混じりの質問に失礼がないようにと気をつけて返答していたので、自分が何を話したか覚えていません。……いろいろ、恥ずかしいこともしゃべった気がします。

 




はい、今回出てきた半オリキャラは新野すみれでした。彼女はDVDのおまけにて登場したのですが、司会者として登場した以上その話し方は司会者として作ったキャラな訳で、素の彼女は最後の「ところで~、私の出番、これっきりってことはぁ~」と高橋先生に無視をされた後の鳴き声しかない学年すら分からないキャラなので、学年は3年で夏樹の中学時代からの先輩と設定し、キャラは前述の描写から類推しました。なので、キャラについて意見のある方はぜひお願いします。ちなみに、すみれさんの前に出てきた女の先輩は名前すら設定していない使い切りのキャラだったりします。もしかしたら、学園祭で少し出るかもしれないけど、たぶん出ないでしょうね。

次回、夏樹がネタを仕込み、次次回に出てくるネタは何気に作者の自信のあるネタだったりします。まあ、これで滑ったら寒い人間になってしまいますが、大丈夫。大丈夫なはず。……大丈夫だと思う。

それでは、次回もよろしくお願いします。
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