バカとテストと右脳娘   作:シュレ猫

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どうも、今回のお話は明久たちがケミカルクッキングと戦っていたときに夏樹が何と戦っていたかというものです。今回のお話は映像に起こすと確実にR15になると思います。なので、中学生以下の皆さんは頭の中で映像化してはいけませんよー(笑)。

それでは、夏樹の受難が始まります。


第十三.五話:夏樹の受難――危険な危険な保健室

 

――時間は夏樹が屋上に戻ってきた二十数分ほどさかのぼる。

 

コンッコンコンコン

 

 私は上着で胸元を押さえながら、保健室の扉をノックします。

 

「おう、入んなぁ~」

「し、失礼します」

 

 漢気溢れる女性の声に促され、私は部屋の中に入ります。中に入ると今年から入った擁護教師の日高先生と保健委員の女子生徒が一人いました。日高先生はかなりスタイルがいい美人だから仮病で入り浸りそうな生徒ができそうだけど、新学期早々仮病を使って保健室に来ている生徒はいないようです。……男子生徒がいなくて本当に良かったな。

 

「んぁ? じょーちゃん、どうしたい? そんなずぶ濡れで」

「えっと、友達が間違えてジュースを零してしまって」

「あらら、お前も災難だったなぁ~。で、アタシは何をしたらいいんだ?」

「その、保健室なら予備の体操着があるだろうから貸して頂きたいなと」

「おう! そんなことならお安い御用だ。体操着はアタシが出してやっから、じょーちゃんはそこのカーテン閉めて、さっさとその服脱いどきな。いつまでも濡れた服着てっと風邪ひいちまうぞ」

「ありがとうございます」

 

 そう言われた私は手前のベットスペースに移動し、カーテンを閉めた後濡れて肌に吸い付くシャツを脱ぎ始めました。カーテンの向こうでもカーテンを閉める音がする。先生が念のために窓のカーテンも閉めてくれているみたい。今年からの先生だからどんな先生か分からなかったけど、凄く気さくで優しくていい先生だな。

 

「っと、そうだ。じょーちゃんの名前教えてくんねぇか? 一応貸し出し簿に名前を書かんといかんのよ」

「あ、はい。神様の谷に夏の大樹と書いて神谷夏樹です」

 

 その名前を聞いた日高教諭は貸し出し簿に当てようとしていたペンをピタリと止め、夏樹のほうに近づいていった。

 

「じょーちゃん、脱ぎ終わったらカーテンの隙間から脱いだブレザーとシャツを渡しな。クリーニングに出しといてやるよ」

「す、すみません。助かります。お代は後でお支払いしますので」

 

 私は脱いだ服を日高先生に渡すと、カーテン越しでは見えないことを知りつつも頭を下げる。

 

「おうっ! 子供がそんなこと気にすんなって。そのくらいアタシが出しといてやるよ。ちょっと、これクリーニングに仕上がり早めで出しといてくんねぇか。釣りはバイト代ってことでいいし、伝票を扉にマグネットで止めててくれたら教室に帰ってていいかんな」

 

 そう言って日高先生は保健委員の子に紙袋に入れた私の服を渡してお使いを頼みました。そして、ガチャリと響く施錠の音。

 

「い、いいえ。そんな申し訳ないです! お代はきちんとお支払いします」

「ハッハッハッ! 噂通り真面目だねぇ~。ほい、服着る前にタオルでしっかり体拭いときな」

 

 ベットスペースのカーテンを開けて日高先生がタオルを差し出してくる。私は受け取ったタオルで体を拭きながら、今の話について日高先生に質問する。

 

「あ、あのー。噂ってどういうことでしょうか?」

「ここんとこ、職員室はアンタの噂で持ちきりだぜ? Cクラスくらいは楽に狙えたのに勉強するためにわざと最低クラスに行った前代未聞の生徒ってな。それに、船越先生が昨日のことについても朝から嬉しそうに話してたぜ。いやぁ~、話聞いたときから一度会ってみてぇって思ってたんよ」

「実際に会ってみてどうでしたか? 全然個性が無くてつまらなかったでしょ?」

 

 私が言うと日高先生はきょとんとした表情をする。

 

「個性がねぇって、お前さん。本気で言ってんのか?」

「え、ええ。だから、キャラが濃すぎる友達の中でも個性が出るように他の人とは違う渾名を考えてがんばってますし、今だって目の前にいる先生の個性に喰われてますから」

「ちなみにどんな渾名をつけてんだ?」

「……坂本雄二だからもっちーとか、姫路瑞希だからひめひめとか、西村先生ににしむーとか、仲のいい友達には苗字ベースで、先輩の新野すみれさんにはすみすみ先輩とか特別な友達は名前ベースでつけてます。あとは例外でムッツリスケベな友達にむっつーとか」

「クッ、ハッハッハッ! じょーちゃん、マジで面白いな。始めはただの行き過ぎた真面目ちゃんかと思ったが、ずいぶんと茶目っ気もあるじゃねぇか。あの西村先生を友達扱いする生徒なんてじょーちゃんくらいじゃねぇか?」

「い、いえ! べ、別に西村先生を軽んじているわけじゃなくて、去年1年間担任だったのにいつまでもよそよそしいのが嫌だっただけで」

「クックックッ、そんなに焦んなって。別に責めたわけじゃねぇからよ。お前さん、面白いだけじゃなくて、他にも見所がありそうだな。よしっ、決めた! じょーちゃんとアタシは今日から友達な」

「え、ええ! 急にどうしたんですか日高先生!?」

「つれねぇなー? 夏樹っち。折角友達になったんだから気軽に『さく』って呼んでくれや。あ、ちなみにさくってのはアタシの名前がサクヤだからだかんな」

「うえぇ!? いきなり特別な友達ですか?」

「なんだよぉ~。アタシと特別な友達になるのは嫌なんか?」

「そ、そんなことはないですよ。いろんな人と友達になれるのは嬉しいですから。ただ、いきなりだから驚いただけで」

「おう。じゃあさっきも言ったように今日からアタシらは友達な! よろしく頼むぜ」

「はい! こちらこそよろしくお願いします」

「で、クリーニング代の代わりって訳じゃねぇんだが、友達のよしみでちょっとお願い聞いてくんねぇか?」

「私がお力になれることなら手伝いますよ。どの道クリーニング代は払うつもりですが」

「おぉ! やっぱり夏樹っちは優しいねぇ。お願いってのは体操着じゃなくてコイツを着てくんねぇかってことなんだけど」

 

 そう言って、クローゼットから婦警服を取り出す日高先生。

 

ダッ! バッ!(夏樹がシーツを体に巻きつけ、体操着を引っ掴んでドアに向かった音)

ガチャッ、ガチャガチャ(夏樹が開こうとしたドアが南京錠に阻まれる音)

パシッ、ズルズル(日高教諭が夏樹の腕を掴んでベットに引き戻す音)

 

「な、なんで私がコスプレしないといけないんですか!」

「だってよぉ、いつもコスプレしてくれてた造は違う高校に通ってるから最近寂しくって」

「寂しいなら話し相手でもゲームでも何でもいいですよね!」

「仲良くなった女の子のコスプレが見たくなんのは常識だろ?」

「そんな常識は今まで聞いたことがないです!」

「それに、夏樹っちってウチの高校じゃ珍しいタイプの美人だろ? 大抵、可愛いか綺麗が多くて。次点で色気ムンムンとかで夏樹っちみたいにかっこいいって美人は少ねぇじゃん。だから、夏樹っちみてぇな美女のコスプレはかなり興味あんだよ。それに造はこういうカッコいいコスプレは似合わねぇから着させたことねぇし」

 

 それを聞いた私は少し不機嫌になる。

 

「ん? アタシなんか気に障ること言ったんか?」

「かっこいいって褒め言葉は好きじゃないんです。やっぱり女の子なんだからかっこいいよりは可愛いって言われたいです」

「夏樹っちは可愛い格好に興味あんのかい?」

「そ、そりゃあ。私だって女の子だから、似合うなら可愛い服も着てみたいですよ……」

「おお! やっぱし、予想通り夏樹っちはキリッとした外見に反して、随分と可愛い性格してんのな。なおさら、コスプレさせたくなっちまったぜ。安心しな、バッチリ可愛くしてやんよ♪」

「やっ、いいです。それに、明らかにその服装で可愛らしさは上がりませよね!?」

「分かってねぇなぁ~。クール系の美少女が顔を赤らめて恥ずかしがってるのが最高に可愛いんじゃねぇか」

「そんなの一生分からなくていいです。いい加減に止めてください、日高先生!」

 

 すると、日高先生は私をベットに座らせようとする手を止め、顔を俯かせる。

 

「やっぱ、夏樹っちはアタシと友達なんて嫌なんかぁ。アタシが渾名で呼んでも夏樹っちは呼んでくんねぇし」

 

 それを見た私は罪悪感でいっぱいになり、とっさに謝罪するために口を開いた。そして、後にこんなに簡単に謝罪したことを死ぬほど後悔するのであった。

 

「そ、そんなことないです。さくが友達になってくれてとても嬉しいです。その、私にできることなら何でもするので機嫌を……はっ!」

 

 そう、ついいつも通りの謝罪を行ってしまったのだ。

 

「そっかぁ~。おしっ! 夏樹っちがコイツを着てくれたら許してやんよ。それと、次にまた日高先生っていったらコスプレ追加だかんな」

 

 そう言って、日高先生は私をベットに倒し、スカートに手をかける。

 

「ちょ、何スカート下げてるんですか!」

「んぁ? だって、スカート下ろさなきゃ着替えさせられねぇだろ。って、なんだぁ、夏樹っちスパッツなんて穿いてんのか。ダメだぜ、折角スタイル良くて色っぽいんだからこんな色気のねぇもん穿いてちゃ。つーわけでこんなもんは没収なぁ」

「だ、ダメです! それは脱がさせません! 百歩譲ってコスプレは許したとしても、別に下着まで見せるわけじゃないんだからスパッツでいいじゃないですか!」

 

 私は必死にスパッツを押さえ、日高先生が下ろせないように抵抗する。少なくとも腕力で押し負けるつもりはない。

 

「んー、随分強情だな。まあ、そんな風に照れてるのも可愛いんだが、そんな生意気な夏樹っちにはこうだ♪」

 

 そう言うと日高先生は片手で私のブラのホックをはずし、肩紐をずらしてくる。それに抵抗するために私は片手でホックを直し、もう片手で肩紐をずらされるのに抵抗するしかない。その間に日高先生は片手だけで器用にスパッツを脱がしてくる。

 

「ちょっ、ひだ、……さく! なんでこんなに手馴れてるんですか!?」

「んぁ? いやー、ウチの造もメイド服とかフリフリにコスプレさせようとしたら抵抗するからな。この程度の抵抗にはもう慣れたんよ」

「み、身内の女の子にもこんな風に強引にしてるんですか!」

「いやぁ? 造は男の娘だぜ」

「男の子になんて、もっとダメです!!」

 

 あぁ、顔も見たことのない造くん。もし会えたならあなたとはあっきー並みの友達になれそうです。結局、造くんに想いをはせて現実逃避をしている間に日高先生はスカートを穿かせ、ブラに手をかけていました。まずい、放心している場合じゃなかった。

 

「なんでブラまで脱がすんですか。盗撮カメラとかあるかもしれないんだから、これは絶対に脱がさせません!」

「安心しな。随分と巧妙に隠されてたが、んなモンは着任してすぐに全部外しといたかんな。まったく、どこのスパイか知らんが、アタシの城を覗こうなんてふてえ野郎だぜ」

 

 ……いえ、スパイじゃなくて私の友人です。

 

「それでも、脱がす必要性はないですよね!? 私はそこまでコスプレにこだわるつもりはないですよ!?」

「いや、アタシや造がすんならこだわるが、流石に初心者の夏樹っちにまで押しつけねぇって。そうじゃなくてだな、濡れたブラのまんまじゃ着替えた意味がねぇだろ?」

 

 うっ、確かにそうです。日高先生の言葉に納得した私は保健室に予備で置いてある新品のブラを受け取って、日高先生に背を向けてそれをつけました。次に日高先生の方に振り返ったときが勝負の始まりです。乙女の尊厳にかけて、絶対に負けません(コスプレしません)!

 

 

 結果、日高先生は最凶でした。あの後の私の抵抗も空しく、あっという間に婦警服に着替えさせられました。何とかポージングの要求は却下できたし、写真撮影だけは防ぎましたが、完全に私の負けです。今後、絶対にこの人に対してはうかつな事は口にしないことを固く誓いました。

 

 着替えが終わった後に携帯を確認すると元凶(あっきー)からお茶を買ってきて欲しいというメールがあり、それを見た瞬間、私は携帯をぶち折りたくなりました。まあ、怒っても仕方なかったので、ひとまず怒りは納めましたがね。

 

結局、この格好で購買にいくのは恥ずかしいので、悪いとは思いましたが船越先生に頼んで買ってきてもらいました。その際、買い物リストに菓子パンを追加しておきましたよ。多分、ひめひめのお弁当を食べなかった人が私のお弁当を狙うでしょうからね。……本当は惣菜パンも欲しいんですが、流石に売り切れでしょうし。

 

船越先生から食料を受け取った私は周りに気を配り、覗きに備えながら、屋上を目指しました。この学校に入学して以来最大の羞恥です!

 




今回はいかにして夏樹がコスプレをするに至ったかを書かせていただきました。旧サイトで書く以前のプロットでは夏樹がコスプレするなんて構想はなかったんですがね。

1.夏樹なら姫路の弁当には注意する→2.それがないとバカテスのギャグが減ってしまう→3.そもそも明久たちが余所にやるだろう→4.オリキャラだから弁当から逃がしたって思われたくないな→5.夏樹にも何かトラブルを起こそう→6.コスプレだ!

という流れで夏樹にはコスプレして頂きました。5と6の間にどんな思考をしたのだろうか。当時の自分がおかしいとしか言えないですね。

今回登場したキャラ、日高先生は以前のサイトで他の作者さんの小説に出てきたサブキャラさんです。ちなみに造くんは主人公。コスプレ(させるの)好きの保健の先生なので、前サイトの連載時にキャラ被りの謝罪とともにクロス出演を打診したらO.K.を頂きました。以前のお互い執筆している状況なら兎も角、今は1,2巻分の内容でしか彼女を出す予定はないので、大目に見ていただけると幸いです。
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