バカとテストと右脳娘   作:シュレ猫

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どうも、以前のストックがかなりあるので連続投稿中のシュレ猫です。

今回のエピソードは以前のサイトで投稿した際には幾人もの読者様が明久に殺意を抱きましたが、こちらでは一体どうなるのでしょうね。

それでは、本編始まります。


第十四話:かみや はるか

 私はお弁当を食べる前にむっつーのデジカメを没収し、私のコスプレ画像のデータを消した。むっつーは激しく抵抗したし、血の涙を流さんばかりに悔しがったが私の知ったこっちゃない。多分隠しカメラから写真をおこせるだろうけど、目の前にコスプレ写真が入ったカメラがあるのに放っておくのはいい気分じゃないですしね。

 

 風呂敷をといているときにあっきーが物欲しそうな目で見てきた。……このお弁当が欲しいんでしょうか?

 

「……あっきー、このお弁当が欲しいの?」

「う、うん。姫路さんのお弁当は雄二がほとんど食べちゃったし」

 

 あっきーがそう言うと、もっちーが射殺さんばかりにあっきーを睨み付ける。みんなの目が無ければ今すぐに殺戮が起こりそうだ。なるほど、あっきーはもっちーに全部押し付けて何とかしたんだ。だったら、ほとんどの人がお昼抜きってことか。予想通りだね。菓子パンを買っておいてよかったです。でも、あっきーはなぁ。そもそも、このコスプレは元を辿ればあっきーが原因ですからね。そんな人に気を使うのもバカらしいです。

 

「私は菓子パンでいいから、私のお弁当はひめひめのお弁当で満腹にならなかった人たちでつまんでいいよ。ただし、あっきーはダメね」

「そ、そんなぁー。夏樹のお弁当は美味しいから僕だって食べたいよ」

 

 もっちーに処理させたということはあっきーは何も食べていないということですから、そんな状態でみんなが目の前で美味しそうにご飯を食べるというのは辛いですよね。でも、ここは心を鬼にして。

 

「……一品だけなら可」

 

 ……まあ、あっきーも悪気があったわけではないので、一口も食べさせないのは可哀想ですね。

 

「やはり、夏樹は友達には厳しくなりきれんようじゃのう」

「ああ、まったくだ。こんなバカを気遣う必要はねえのにな」

 

 今も辛そうにお茶を飲んでいる秀吉くんと大分回復しているもっちーがツッコんできますが、私だって怒るべきときは本気で怒りますよ。それはともかく、無理かも知れませんが、一応二人にも勧めておきます。倒れるようなお弁当だけじゃあ流石にねぇ?

 

「もっちーときのっちも余裕があるなら食べてもいいよ」

「気持ちは嬉しいんだが、流石にこれ以上は食えん」

「うーむ、わしは軽めのおかずを少し頂こうかのう」

 

 全員に声をかけたところで、お弁当を開きます。

 

『おおっ!』

 

 ひめひめのお弁当を開けたときのような歓声が上がります。

 

 私のお弁当箱にはミニハンバーグやミートボール、シュウマイ、煮物など、和洋中さまざまなおかずと炊き込みご飯のおにぎりが入っていました。

 

「そ、それではいただきますね」

「ウチももらうわよ。坂本が欲張ったせいで全然食べてないもの」

「うっ!(お、美味しいです。この味に負けないためにももっと工夫をしないと)」

「うぅ。(何よ。こんなお弁当作られたら作りにくくなりじゃない。今度はウチが作ってこようと思ったのに)」

 

 ひめひめとしまっちがそれぞれ箸をのばし、二人とも一口食べた瞬間固まります。一体どうしたんだろう? 少し落ち込んでいるようにも見えるけど。ひめっちが恐ろしい思考をしていそうで不安にはなりましたが、何か触れるべきではないと感じた私はあっきーに問いかけます。

 

「あっきーはどれを食べるの?」

「うーん、カロリーの高いハンバーグとかも捨てがたいけど、やっぱり煮物かな。夏樹の一番の得意料理だし」

 

 そう言ってあっきーが煮物を口に運びます。私の一番の得意料理と聞いて女子2人だけでなく、男子3人も煮物に手をつけます。おなかいっぱいのもっちーも興味を引かれたみたい。

 

「「…………」」

「…………美味」

「おっ、確かにこりゃ美味いな」

「うむ、かなりの腕前じゃ」

 

 女性陣は先ほどと同じように難しい顔をしてますけど、男性陣はめいめいに褒めてくれました。そんななか、あっきーは難しい顔をして考え込んでいます。もしかして、お弁当のことに気付いたんでしょうか。

 

「ねえ、夏樹。このお弁当、もしかしてはるかさんが作ったの?」

「なんでそう思ったの?」

「いや、始め見たときもいつものお弁当が和食ベースなのに洋食とかが多くて違和感があったんだよ。だって、夏樹は洋食とか中華系は練習中で自信が無いって言ってたじゃない。だから、料理上手なはるかさんが作ったんじゃないかって少し疑ったんだ。で、煮物を食べたら夏樹の味と全然違うから確信したんだよ」

 

 私が作ったんじゃないと聞いてひめひめとしまっちが少し明るくなります。そんなに私が作った料理が嫌なのかな? それにしても、あっきーがしっかりと私の味を覚えているとは驚きです。普段めったに食事しないだけあって、たまに食べる食事はしっかり味わってるんですね。

 

「へー、煮物の味で確信したんだ。よく分かったね」

「そりゃ分かるよ。だって、夏樹は和食に限って言えばはるかさんよりずっと上手だもの」

 

 あっ、2人がまた落ち込みだした。……一体何なのよ。

 

「でも、夏樹がはるかさんに頼むなんて珍しいね?」

「実は早めの時間に目覚ましをセットしたんだけど、あいつが私の部屋の目覚まし勝手に止めてて、起きたときには料理はおろか詰める時間さえなかったんだよ。ったく、勝手に妹の部屋に入るなっての」

「ははは、はるかさんらしいね」

「そのせいで、中を見る時間すらなくて、あいつが渡したお弁当をそのまま持ってきたの。おにぎりだけは昨日私が準備した炊き込みご飯みたいだけど、それ以外ははるかが勝手に作って勝手につめたものだよ」

「きっと、昨日の戦争で疲れてる夏樹を気遣ったんだよ」

「いーや、あいつはさっさと和食以外も作れるようにならないと女子として失格だってバカにしたいんだよ」

「そんなことないと思うけど」

 

 あっきーがはるかのことを擁護しますが、あっきーはあいつの本性を知らないからそんな風に言えるんだよ。私がそんな風に不満顔をしていると、私の和食はもっと美味しいと聞いたみんなが競っておにぎりに手を伸ばします。

 

「ちょっと腹が苦しいが、一つもらうぞ。(むぐむぐ)マジだ! 煮物とは比べ物にならねぇくらいうめぇ!」

「ほう、どれどれ。むっ! これは本当に絶品じゃ!」

「…………驚愕の美味さ!」

「「…………(ずーん)」」

「夏樹は和食に関しては天才的だもんね」

「……あっきー、やめて。私、天才って言葉大嫌いなんだ。前に言ったことあったよね?」

「ご、ごめん、夏樹。うっかりしてた。本当にゴメン!」

 

 男子3人が私のご飯を褒めてくれたのはとっても嬉しかったけど、あっきーの天才という評価に少しイライラしてきて、菓子パンを食べるペースを速めます。だって、いくら努力しても才能があるからできるんだなんて失礼じゃないですか。私の一番嫌いな言葉です。

 

最初は私の「天才が嫌い」という発現に怪訝な顔をしていたみんながそのことも忘れて驚きの表情で見てきますが、一体なんなんですかね?

 

「一体どうしたのさ?」

「いや、夏樹。もう8個目だろ? よく入るな」

「このくらいなんでもないよ」

「弁当の話は本当だったんじゃな。それでその体型とは驚きじゃのう」

「うっ、もしかしてみんな大食いの女の子とか嫌い?」

「いや? いいんじゃないか?」

「うむ、健康的で微笑ましいぞい」

 

 もしかしたら、自分が女として魅力が無いのかと思ったが、みんながあまり気にしていないようでよかった。でも、やっぱりもう少し食べる量を減らした方が可愛いのかな? 私がそんなことを考えているとひめひめが勢いよくまくしたててきます。

 

「夏樹ちゃん、ずるいです! そんなに食べてるのになんでスマートなんですか。」

「え? むしろ、お昼にこのくらいしっかりと食べないとどんどん体重が落ちていくんだけど……」

「あんまりです! 夏樹ちゃんばかりずるすぎます!」

「ウチもそのくらい食べれば胸にいくのかしら」

 

 この2人さっきからおかしいよ。不安になった私はあっきーに視線で助けを求めます。

 

「あはは、姫路さんも島田さんも落ち着いてよ。夏樹って小さい頃おばあちゃんに育てられたせいで量の多い食事に慣れてるんだよ。そのうえ、楽器の演奏が趣味だから、毎日欠かさず運動してて一日の消費カロリーが多いしね」

「ん? 夏樹がばあさんに育てられたってのは初めて聞いたぞ」

「言ってなかったっけ? 私のお父さんは音楽家で、お母さんは画家でさ。2人とも海外を中心に活動しててほとんど日本にいないんだよ。それで、私は小さいころから田舎のおじいちゃんのところで育てられたんだ」

「なんと! 夏樹はここの育ちではなかったのか」

「うん、中学校に入る少し前におばあちゃんが死んじゃったから、その時にもうこっちで一人暮らししてたはるかと一緒に住むことにしたんだよ」

「なるほどな、通りでそこまで品行方正になるわけだ」

「まあ、特におじいちゃんが礼儀に厳しい人だったから」

「その割にははるかさんは自由に生きてるよね」

 

 と、私の家族構成について話題が飛び、男衆はいろいろなリアクションをとってくれているんですが、女子二人の表情が優れません。一体どうしたんでしょうか?

 

 そう思っていると、ひめひめが恐る恐ると言った感じで口を開きます。

 

「あ、あのー。さっきから気になっていたんですが、吉井君は夏樹ちゃんの家族と面識あるんですか」

「そうね。さっきからはるかって人についても随分詳しそうだし」

「一応、中学からの親友だし、はるかさんとは何度も会ったことはあるよ」

「っていうか、一緒にお風呂入ったこともあるんだから結構仲いいんじゃない?」

「そんな! 吉井君がそこまで進んでいたなんて! 」

「吉井! そんなの不潔よ!」

「うぇぇ! 2人ともどうしたのさ」

「意外じゃのう。てっきり、夏樹が一番近いと思っておったんじゃが」

「船越先生に振られて荒れてる須川に教えておくか。面白いモンが見れそうだ」

「…………明久、風呂での様子を詳しく」

 

 どうしてあっきーがはるかとお風呂に入っただけでこんな風になったんだろう。あっきーのほうを見てもわけが分からないといった顔をしている。……あっ、もしかして。

 

「ねぇ、みんな。はるかってどんな人を想像してる?」

「む? お主の姉上ではないのかのう?」

 

 きのっちがみんなを代表して答えてくれたけど、それを聞いたあっきーが話を遮るようなジェスチャーをしながら慌てて弁解します。

 

「ち、ちがうよ! はるかさんは夏樹のお兄さんだよ」

『はあぁ!?』

 

 やっぱり、みんなはるかの性別を勘違いしてたんだ。通りで話がかみ合わないわけだよ。実際、一緒のお風呂っていうのも一緒に旅行に行った時の男湯のことだし、近くはあっても薔薇を連想するような近すぎる関係じゃない。

 

 私が安心しているとしまっちが言いづらそうにひめひめに問いかけました。

 

「ね、ねえ。普通はるかって女の名前よね?」

「だ、だと思いますけど」

「い、いや。紛らわしいのは確かだが、遙遠(ようえん)の遙とかなら十分男の名前だ」

「兄貴は春が華やかって書いて春華だよ」

「…………それは明らかに女の名前」

「なるほど、こいつのネーミングセンスの無さは親譲りか」

「ちょっと!? いくら私でも本名はしっかりと性別にあった文字を選ぶからね? あんな人たちと一緒にしないで!」

 

 あっきー以外の全員が納得したみたいな顔をしている。実際、あっきーは以前にそう確信したから改めて納得するまでもないだけだし、この場にいる全員が私にネーミングセンスが無いと思っている。この評価はなんとしてでも否定しないと。

 

 その後、必死に説明したけど、誰一人として私の言い分を信じてくれなかった。全然そんなことないのに。酷いよ、みんな。

 




はい、以前のサイトでは名前によるミスリードで春華さんを姉だと思った読者様はネタばらしまでの間明久に異端審問会級の殺意を抱いたそうな。このサイトではプロローグを加筆したりして伏線を張ったので勘違いしてくださった方も多いのではと思います。

夏樹の食事量についてですが、それで慣れるかどうかは別として、おばあちゃんが孫にやたら食べさせようとするのは筆者が体験済みです。おばあちゃんと外食に行った日には満腹になるメニューを頼んではいけませんよ。手を付けてないから残り食べたらどうだと勧めてきます。

では、また夜にBクラス戦のミーティングを予約投稿したいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いします。
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