バカとテストと右脳娘   作:シュレ猫

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どうも、前回夏樹が婦警になったときにその過程を書いたように、ナースになる過程もしっかりと書いています。ただ、かなり短いのですが、そのあたりはどうかご容赦ください。

それでは始まります。


第十五.五話:保健室の攻防、第2ラウンド

コンコンコン

 

「さくー、入るよー」

 

 私は保健室の扉をノックしたのですが、いつまで待っても返事が聞こえてこないので、マナー違反だとは思いましたが勝手にドアを開けて保健室に入りました。さくならこの位

じゃあ怒らないだろうし、むしろいつまでも扉の前で待っていた方が怒る気がします。

 

 保健室の中を見回してもさくの姿はありませんでした。救急箱を借りに来たんですが、何かの用事で出かけてるのしょうか? まあ、鍵をかけていないということはそれほど遅くはなりませんよね。少しここで待っていましょう。

 

 そして、手持ち無沙汰な私が外の景色を見ようとすると、窓ガラスが私の姿を映していることに気がつきました。自分で言うのはどうかと思いますが、さくの見立ては正しく、確かにこの格好は似合っている気がします。私はふと昼休みの出来事を思い出しました。

 

(「非常に似合っておるし、魅力的だとは思うんじゃが、――」)

 

 その言葉を思い出して少し顔が熱くなります。無理やり着せられたから思いっきり抵抗したけど、ねえさんの影響で婦警さんって結構憧れていたんですよね。ちょっと気分のよくなった私は少しだけ遊んでみたくなりました。

 

 右手を握りこんだ後、人差し指と親指だけを伸ばし、いわゆる昔のチョキの形を作ります。そして、左手で右手首を掴み、その手を正面に持ってくると、

 

「バンッ!」 ガラッ

 

 銃撃音を口で出して窓に写った自分に拳銃を撃つ真似をします。すると、それと同時に保健室の扉が開き、窓ガラスの私の背後に日高先生の姿が。恥ずかしさのあまり、私の顔がこれ以上ないくらい真っ赤に染まります。そして、私は油の切れた機械のようなギギギという擬音がなりそうなぎこちなさで後ろを振り向きます。

 

「さ、さく……」

「…………」

 

 どうしたんでしょうか? さくは驚いた表情のまま微動だにしないのですが。

 

「えっと、さく、だいじょうぶ?」

「……かい」

「はい?」

「夏樹っち、今のもう一回! 今度はしっかりと写真に撮るから!」

「い、嫌に決まってるでしょう! 今の見られただけでも恥ずかしいのに、その上写真なんて冗談じゃないです!」

 

 まったく、この人は一体何を考えているんでしょうか? コスプレでさえ嫌々だったんだからポージングなんてするはずがないってわかると思うんですが。

 

 私が断るとさくは目に見えて落ち込んだ風を装いますけど、口は明らかに笑みを浮かべています。何を企んでいるんでしょうか。

 

「仕方がない。すみれっち達にどうすれば夏樹っちがポーズをとってくれるか相談するしかねーな」

 

 ……はい? なぜそこですみすみ先輩の名前が?

 

「……さく、なんでそんなに親しげにすみすみ先輩の名前を挙げるんですか?」

「んー? すみれっちとはついさっきから友達だかんな。夏樹っちの話聞いて予想はしてたけど、やっぱ面白い奴だったわ」

「はやっ! なんでそんなに急いでコンタクトとってるんですか!?」

「はっはっは、ちょっとやりたい企画があってその相談にな」

 

 っく、まずいです。このまま放っておいたらすみすみ先輩にバレて、あの人にまでからかわれることに。……背に腹は変えられませんね。

 

「分かりました。……でも、写真を他の人に見せたら怒りますからね」

 

 その後、私は何種類かのポーズを要求されて、数十枚の写真を写メ込みで撮られました。落ち込む私とは対照的なさくの嬉しそうな顔が非常に恨めしかったです。

 

「っと、夏樹っちは制服取りに来たんだよな。ちょっとだけ、待っててくれや」

「あっ、それもあるけど実は救急箱を貸してほしくて」

「んあ? 救急箱? 夏樹っち、怪我でもしたんか?」

「たぶん親友がボロボロで宣戦布告から帰ってくるだろうからその手当て用に」

「あいよ、じゃあこれな」

 

 棚から救急箱を取り出して来たさく。私が受け取ろうとするとさくは急に救急箱を持つ手を上に上げ、私の手は空を切る。

 

「……さく?」

「なあ、夏樹っち。やっぱ救急箱といえばナース服だと思わねぇか?」

「いいえ、全く」

 

 その言葉とともに私の手が再び救急箱を追う。しかし、その動きを読んでいたようでまたしても救急箱は私の手から逃れる。

 

 迂闊! この人に借りを作ればどうなるのかは分かっていたはずなのに。

 

「あたしはさぁ、夏樹っちみたいな美少女が救急箱持つならナース服着てこそだと思うわけよ」

「想像の中でご自由に着せてください」

「つれねぇなぁ、いいじゃんかよー。本当は救急箱の貸し出しは課外活動限定で、職員室で許可取んなきゃなんねぇのを快く貸し出すんだからそんくらい見せてくれても」

「じゃあ、怪我人ここに連れてくるんで大丈夫です。それでは、後ほど」

「ちぇー。だったら、メールで友達とコスプレ談話で盛り上がるからいいよーだ」

「楽しんでくださいね」

 

 そう言って保健室を出ようとすると、携帯から着信音が流れる。一体誰が送ってきたのかと確認すると(半ば無理やり登録させられた)日高サクヤの文字。まずい、とてつもなく嫌な予感がする。恐る恐るメールを確認すると、添付ファイルがいくつか。そこには頬をリンゴのように真っ赤に染めて婦警姿をしている私。更には、さくとの攻防で体力を使い切っていたので、息が乱れて額は汗ばんでいるし、短いスカートを手で押さえるようにしているためにとても扇情的だった。むっつーに見せたら119番に頼らなくてはならなくなるくらいに。

 

「ありゃ、すみれっちに送るはずが間違って夏樹っちに送っちまったよ」

「さくー、ナース服のコスプレしてあげるから、代わりにお願いを一つ聞いてもらっていい?」

「水臭いこと言うなよ。あたしと夏樹っちの仲じゃねぇか。頼みくらいいくらでも聞いてやんよ」

「じゃあ、私のコスプレ写真を撮るのは許可しますが、他の人には絶対に見せないでくださいね」

 

 てっきり文句が来るかと思ったが、さくは一体何を言っているのか分からないといった表情で見つめてきた。

 

「そんなの言われるまでもねぇよ。こんなかわいい夏樹っちの写真なんだからあたしが独占するに決まってるだろ。そもそも肖像権があんだから夏樹っちに無断で人に見せたりはしねぇって」

「よかった、本当に良かった。さくがその辺はまじめな人で。あぁー、でもむっつーが何枚かは写真撮ってて後で売るんだろうな」

 

 その時、さくの目が鋭く光った……ような気がした。

 

 そして、私はナース服に着替えさせられ、その後は撮影会の始まりとなりました。ただでさえ恥ずかしい格好なのに聴診器や注射器と言った小道具を使った恥ずかしすぎるポーズまでしてきて本当に教師なのか疑いましたが、彼女のことを疑ったとしても私は悪くないはず。

 

 

 余談ですが、その次の日にあっきー、もっちー、きのっち以外の男子生徒がひどく落ち込んでいたのは一体なんだったのでしょう? 「畜生、あんなにがんばったのに写真が無いなんて」とか、「…………俺の商品の隠し場所を正確に把握するとは何者?」といった言葉が聞こえたのですが、何のことか分かりませんね。もう一度言います。私には何のことかさっぱり分かりません! まぁ、それはそれとして、今度さくに差し入れとしてお菓子を作って行きましょうかね。

 

 

 

 

――おまけ――

 

 今回は本文が少ないのでおまけで夏樹の振り分け試験の結果を紹介したいと思います。それではどうぞ!

 

組み分け試験

現代国語:96点

古文:24点

化学:85

物理:109

生物:43

地学:32

英語W:名前無記入書いていれば(267点)

英語:名前無記入(書いていれば434点)

日本史:137

世界史:81

現代社会・地理:70

数学:230

保体:92

 

 ちなみに1巻時点で一番バカだと言われていた明久を学年最下位としてBクラス代表の根本君との点数(サンプルは3巻ですが)差の間に等間隔でクラス代表の点数が来ると仮定すると、

 

 

Fトップ:1080 Eトップ:1310 Dトップ:1540 Cトップ:1770

 

となります。ですので、無記名時点の夏樹の総合点は999点なのでFクラスの結構上の方となります。逆に英語の点数をどちらも取っていれば1700点なのでCクラスの代表に近い点数になっていました。まあ、姫路さんの影響で繰り上がっているので実際はトップの点数はもう少し上でしょうけどね。




今回も夏樹をコスプレさせるために日高先生に頑張っていただきました。基本的に登場人物にペースを乱されることが少ない夏樹のペースを乱せる数少ない人物です。ですが、夏樹はコスプレにうんざりしていますが、日高先生のことはきちんと友達として好きですよ。

ちなみに日高先生はかなりやり手です。赴任した日には盗聴器バスター等の装備で保健室内の監視装置は徹底的に排除しましたし、今回もムッツリーニのしかけたカメラをことごとく発見してくださいました。

次はBクラス戦が始まりますので、明日の更新でもよろしくお願いします。
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