バカとテストと右脳娘   作:シュレ猫

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どうも、前回のジャブに続いて、今回も同じ程度の衝撃ですね。次はいよいよ山場。今回は少し短くて物足りないかも知れませんが、次のお話はとても濃い内容にしているのでご容赦ください。そして、今回ちょっと綺麗になり過ぎた人がいるかも……。

それと、以前のサイトで投稿した時に指摘されましたが、話数は間違いではないです。二十六話がすでにありますが、この話をその前に出してしまうと二十六話の衝撃が小さくなると判断したからで、実際にはこの話は二十五話とほぼ同じ時間帯なので"裏"二十五話としています。

それでは本編をお楽しみください。


裏二十五話:夏樹の最低な勝利

コンコンコン

 

「あいよ。入んな」

「失礼します」

 

 学園長先生から入室の許可をもらった私は挨拶と共に学園長室に入りました。学園長をやり込めるのはかなり大変だし、心苦しいけど、絶対に失敗できない。

 

「おや、神谷じゃないかい。どうしたんだい?」

「えーっと、学園長にお話がありまして」

「なんか怪しいねぇ。あんたがアタシに対してそんな話し方をするなんて。実験のことかい?」

「いえ、学園長はDクラスとBクラスの間の壁破壊事件についてご存知ですか?」

「ああ、観察処分者の吉井とかいう奴だろ。ったく、あのバカ。新学期早々問題を起こしやがって」

 

 勝負はもう始まっている。絶対に手札を切り間違えないようにしないと。

 

「本当にすみませんでした!」

 

 私はぶつぶつと文句を言っている学園長に対して、深々と頭を下げた。すると、学園長はキョトンとした表情をする。

 

「何言ってんだい。あんたは関係ないだろう。問題を起こしたのは吉井って奴じゃないかい。まったく、あいつは観察処分者にしても全然反省していないようだね」

「いえ、あいつのせいじゃないんです」

 

 私のその言葉に学園長は思いっきり眉をひそめた。確かにそうだろう。先生からしっかりと報告があがっている事象を思いっきり否定したんだから。

 

「あぁ、そう言えばあんたと吉井は友達だとか職員室でも噂になっていたね。まあ、そんなんじゃ庇いたくなるのも無理ないかもしれないね」

「庇うとかそんなんじゃありません。いくら私でも友達のために無実の罪を被るほどバカじゃありません」

「遠藤先生がしっかりと現場を見てるんだ。そんなことも忘れるなんてあんたらしくないねぇ」

 

 ここからが正念場だ。学園長は科学者だけあって頭の回転は私なんかとは比べ物にならないだろう。でも、そんなの関係ない!

 

「そのことは分かっています。それでも、すみません。直接的な犯人は吉井でも、間接的な犯人というより原因は私なんです」

「……どういうことだい」

「実は吉井君と島田さんが同じクラスでありながら召喚獣対決をしているのを偶然見てしまい、咄嗟に止めようと思ったんです。だから、私も召喚獣を召喚して吉井君の召喚獣に対して腕輪の能力を使ってしまい……」

「それで暴走したっていうのかい? はっ、話にならないねぇ。その場合に有効なあんたの腕輪の能力は命令の混乱。そんな状態で召喚獣がまともに動くはずないだろう。いくら焦っているからって浅慮さね」

「あいつは観察処分者ですから」

「だからなんだい? 確かに観察処分者の召喚獣は別系統で動いているとは言え、研究当初ならともかく、しっかりと研究を進めている今のあんたの召喚獣だったら観察処分者用のジャミングプログラムもしっかりと作動するはずだよ」

「いえ、観察処分者ですからフィードバックを通して命令系統の混乱を把握したのかも。もしかしたら、比較的普段との差異が少なかったのかもしれませんし」

「……ひとまずはそんなことも起こりえると考えてやるさね」

 

 やった! 言質を取りました。学園長はまだ否定材料があるからこそのひとまずの納得でしょうが、一旦納得したからにはこの論点では絶対に勝負させてあげません。

 

「だが、召喚システムの記録はどう説明するんだい?」

「はて、何のことでしょう? 召喚システムのログを見たわけではないですが、多分私の召喚履歴と能力使用履歴が残っていると思うんですが。いやー、それにしても立会人が遠藤先生でよかったです。それ以外だと腕輪が使えませんでしたし」

「確かにあんたの言った二つの事象についてのログは残っているさね。だが、あんたの召喚は吉井たちの召喚から大分時間が空いているようだね? あんたが召喚したのは壁を壊す寸前。腕輪の発動に至っては壁を壊した後じゃないかい」

「学園長先生。その時間の判断はどこから持ってきたんですか?」

「遠藤先生の証言に決まってるじゃないか」

「学園長。人間の主観的な証言を鵜呑みにするなんて科学者らしくありませんよ。遠藤先生はずっと時計を見て計測していたわけじゃありませんし、数分の狂いがあるかもしれないじゃないですか」

「……吉井の召喚獣のダメージ履歴も残っているんだがねぇ」

「あらら、観察処分者に能力を使うのは初めてでしたからねぇ。そっちの方までジャミング効果が効いちゃったのかもしれませんね」

「それは本気で言ってるのかい」

「だって、壁が壊れた後に私が能力を使う理由なんてありませんし」

 

 学園長は鋭い目で私を睨み付けてくる。あまりの緊張で口の中の水分がどんどんと無くなり、私はひりつく喉を潤そうとなけなしの唾液を無理やり飲み込む。

 

「あるじゃないか。友達を庇うための証拠を作ろうとしたんじゃないのかい?」

「学園長もしつこいですね。そんな理由で自分の身を危なくするようなことをしたりしませんよ」

「まあ、いいさね。とにかく! この事件があんたのせいだって言ってるのはあんただけなのに対して、吉井が原因だというのは遠藤先生が証言しているし、あんたの言葉は召喚システムのログが否定している。あんたはさっき遠藤先生が時間を計測どうのと言ったがね、あんたの召喚についてはそれこそ秒以下の計測を行うくらい厳重に管理しているんだよ。こんな状況であんたの証言を信じるわけにはいかないね」

「そうですか」

 

 やっぱり召喚や腕輪発動については予想しためど、召喚獣のダメージ処理の履歴まで残っているのは厳しいですね。っていうか、そう言うのも残っているんですね。悔しいなぁ。それが無ければもう少し粘れたのに。これが春華ならここからでも逆転できたのかな。でも、私は春華じゃないし、これ以外にはたった一枚の最低なジョーカーしか残されていない。このジョーカーは出来れば最後まで切りたくなかったカードだけど、正攻法で負けたなら仕方ない。今から最終手段を出します。……本当にゴメンね、学園長。私のことを軽蔑してくれてもいいから。

 

「生徒が勇気を振り絞って自らの罪を告白したのに学園長先生は信じてくださらないのですね」

「学園の(おさ)としてバレバレの偽証で無実の生徒を裁くわけにはいかんさね」

「でしたら仕方ありません。こんな信頼関係では学園長の他には少数の人間しかいない実験室に長時間いることなんてできません」

「あ、あんた何を言っているんだい」

 

 私の言葉に学園長が眼に見えて狼狽しだしました。私の言葉の意味が分かったみたいです。

 

「分かり辛かったなら率直に言います。私はこれから先、学園長の研究に付き合うことはできません!」

「……アタシを脅す気かい?」

「いえ、私だって人間ですから信頼関係がないと長時間拘束されることに承諾することはできません」

「可愛い顔して随分とやるじゃないか」

「……おっしゃっている意味が分かりかねます」

「はぁ、あんたはこういうことがは大嫌いだと思っていたんだがねぇ」

 

 ため息混じりの学園長の言葉が胸に突き刺さる。咄嗟に涙が出そうになったのを何とか堪える。しかし、表情が歪むのまでは抑えることが出来なかった。

 

「まったく、しょうがない子だねぇ」

 

 学園長はため息と共に立ち上がると、私の傍に近づいてきた。一体どういうつもりなんだろう。

 

「鏡を見てごらん。酷い顔だよ。本当に子供が無茶なことするんじゃないよ」

 

 そう言って私の頭を優しく撫でてくれた。だが、それのせいで余計に申し訳ない気持ちが高まり、更に表情が歪む。

 

「あんたには負けたよ。その覚悟に免じて今回の吉井への処罰は無しだ。だが、次はないと思いなよ」

「……学園長」

「その代わりあんたは西村先生にみっちりと叱って貰うから覚悟しな。二度とこんな無茶はさせないさね」

「……学園長先生。ありがと」

 

 私は学園長の気持ちが嬉しくて、学園長の胸にすがって恥も外聞も無く涙を流してしまった。

 




ちょっと内容が薄かったかもですが、いかがでしょうか? 学園長が誰だ、お前! ってレベルで綺麗になっている気がします。これじゃあ、この学園長は贋物だって言われてしまうかもですね。ただ、言い訳しますと、最初のノックにはこだわったので気付いた人もいるかもですが、標準マナーならノックは4回なところをそう言うのに拘りそうな夏樹が3回なんですよね。これは、親しい人を訪ねた時のノックで、夏樹と学園長は夏樹が実験に付き合ううちに孫子のように親密な関係になっているんです。それゆえの学園長の優しさですね。……ちなみに世界的には日本で多い2回ノックはトイレですよ。自分は高校卒業の年の就職・進学関係の授業で説明されました。

今回が短いので今執筆しているであろう(予約投稿なので)話がそれなりに書けていれば明日の夕方に次話を投稿したいと思います。ダメでも、少なくとも明後日には投稿します。

それでは、これから始まる山場達が皆さんのお気に召すよう祈って。
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