それでは、本編始まります。…………本当にキャラがおかしかったら言って下さいね? 全力で直しますんで。
「待った! 僕と夏樹がタッグでやるよ!」
もう組む相手もいないし、一騎打ちをしなければならないと思っていた私に聞きたかった、でも聞けるとは思わなかった人物から声がかかりました。
「あ、あっきー?」
呟きながら後ろを振り返ると、そこには今喧嘩をしている最中の吉井明久の姿がありました。確かに組んでくれればという思いは頭をかすめた。しかし、彼が組んでくれるとはつゆほども思わなかった。
「な、なんで」
「ねえ、木下さん。木下さんはタッグでも戦ってくれるんだよね?」
私の小さな問いかけを無視して、あっきーは木下さんに話しかけます。
「ええ、良いわよ。教科指定1つ扱いで認めてあげる」
「じゃあ、お願いしようかな」
「おい、明久。何勝手なこと言ってやがる!」
一応提案はしていても教科指定を一つ無駄にするのは許せないのか。坂本君があっきーにつかみかかります。
「ごめん、雄二。でも、どうしても今回だけは夏樹と戦いたいんだ」
「設備入れ替えはどうする気だ!」
「……絶対に勝つ。もし負けたらクラス全員で僕を殴ってくれて構わない」
「……その言葉、忘れるなよ」
坂本君を納得させるためにまたも自分を安売りするようなことを言う吉井君。やっぱり私の言葉は届かなかったのだろうか。
Aクラスが木下さんが誰と組むべきか話し合いをしている間に、吉井君が私の近くに歩み寄ってきます。その顔はどこはバツが悪そうでした。そんな彼を私は睨みつけます。
「何考えてんの、吉井君」
「あぅ、やっぱり吉井君のままか」
今回も吉井君呼びにした私に対して、彼はとほほと肩を落として嘆きます。さっき、うっかりあっきー呼びしたでしょうが、そういうこと聞き逃すから朴念仁って言うんだよ。でも、今はそんなことはどうでもいい。
「で、勝算も無しにあんなこと言ってどういうつもりって言ってんの」
「しょ、勝算ならあるよ」
「あんたの頭の中でどんな不思議計算式が出来上がって、どの程度の勝率があるのかは知らないけどさ。万が一ってことがあるでしょ」
「し、失礼な。不思議計算式なんて夏樹にだけは言われたくないよ! 大丈夫、10回に2,3回は勝てるはずだから!」
「確率30%じゃない。そんなんでクラスからのリンチを覚悟したの?」
「だ、だって、夏樹と一緒に戦うにはそれしかなかったし。……僕が来なかったら夏樹は一人きりだったし」
その言葉に私は砕け散るのではないかというくらい強く歯噛みする。そして、これ以上強く睨むことができるのかというくらいの視線で睨みつける。
「私は言ったよね? 自分を心配してくれてる人だっていっぱいいるんだから、簡単に自分を安売りするなって。結局、あんたは自分に自信が無いままなのね。今回も私が可愛そうだから自分を犠牲にってか。で、万が一負けたらFクラスのみんなには殴られて、木下さんの命令は自分が代わりに聞いてって考えてるんでしょ。ふざけんな! そんな人に組んで欲しくなんかないよ。木下さん、ごめんね。やっぱり私が一人で――」
「違うっ!!」
吉井君に自分の不満を遠慮なくぶつけ、木下さんにタッグ戦を行わないことを告げようとした時、吉井君が大声で遮った。
「僕は夏樹のことをかわいそうだなんて思ってない。……僕はバカだから今までの悪い所なんて簡単に直せないし、これからも頭に血が上って夏樹に怒られたようなことをしちゃうかもしれない。考えなしに言葉をだして、うっかりまずいことを言っちゃうかもしれない」
「……」
不満はあった。できれば直して欲しいことを直せないと言われたのだから当然だろう。しかし、ここは口をはさんではいけないところだと思った。
「でも、これからは自分を簡単に犠牲にしたりしない。困ったときにはなるべく夏樹に相談するようにする。……良く考えたら夏樹に心配かけたりする方が辛いし、僕自身だって怪我が少なくて済む方が嬉しいしね」
始めは真剣に、しかし途中で恥ずかしくなったのか頬を人差しで頬をかきながらそっぽを向いて誤魔化すように締めた。
「勝率3割の戦いで、負けたらリンチを受ける約束をした男の口から出たその言葉を信じろっての? 私は十分一人で戦えるし、同情される筋合いはないんだけど」
「同情じゃない! 僕は今までずっと夏樹におんぶに抱っこだったから、無意識のうちに夏樹を頼らないようにしようと思っていた」
「……これでも、あんたには相当助けられてきたつもりなんだけど」
これは事実だ。自分で言うのもなんだが、元々が人懐こい気質の私は八方美人などと誤解を受けやすい面がある。その上、面倒見が良すぎるせいで世話を焼くポジション――すなわち、一歩引いていたり、少し上に立っていたり――にいることが多く、それなりに男女間の性差を意識した年齢で対等に接する人間は少ない。中学以降の人間関係で明久のように対等に接してくれる人間は稀なのだ。そして、間に明久が緩衝材として入ることで本来は友人関係になりえない坂本雄二――今は絶縁寸前だが――や土屋康太といった面々と友達になれた。確かに明久は明確な何かをもって私を助けてはいないだろう。しかし、友人としてただ隣にいる。それだけのことが私の大きな救いとなっていたのだ。
「それについてはいまいちピンと来ないけど、夏樹がそう言ってくれるなら嬉しいな。でもさ、夏樹が言ったように友達だったらどっちがどっちを助け過ぎるとかないでしょ? だから、これからは夏樹とはお互い助け合う関係でいたい。夏樹が辛い思いをしているときはそれを解決したいし、厄介事を背負いこんだら一緒に背負いたい」
「それで、自分を犠牲にすることがあっても?」
「夏樹の眼にはもしかしたら自分の安売りに見えるかも知れない。でも、夏樹のために賭けるんだったら安すぎることはあっても、高すぎるなんてことは絶対にない。だって、夏樹は僕の一番大事な人だから! だから、改めて友達からお願いします!!」
そう言って、両手を前に出して頭を下げてきた。
……とりあえず、私はどうすれば良いのだろうか。後ろ、すなわちFクラスでは坂本君以外の人間が尋常ではない殺気をまとって何か違う生物にメタモルフォーゼしそうだ。そして、正面のAクラスでは何人かの女子が顔を赤らめてキャーキャー言っている。正直、私の顔も熟れきったリンゴのように真っ赤に染まっているだろう。そんなつもりで言っているのではないのが分かっているのに、そんな気を起こす気なんか無いのに、そんな自分でさえ間違って惚れそうになる。本当に罪な男だと思う。2,3度浅めに深呼吸して何とか顔の火照りを抑えた私は、
「ていっ!」
えいや、とばかりに目の前にある頭に思いっきり手刀を落とす。
「あいたぁぁぁ!!」
その手刀を受けて、文字通り頭を押さえて飛び上がるバカ。
「な、何すんのさ! 今は真剣な場面だよね!?」
「嬉しいけど。……確かに嬉しいけどさ。そういう言葉はいつか恋人にしたい人ができるまでとっておきなさい、ギャラリーは確実に違う意味にとってるよ」
『テメェ、吉井。衆人環視の前で神谷さんに告白とはいい度胸してんな』
『異端者には死の鉄槌を!』
「…………殺したいほど、妬ましい」
「アキ、一体どういうこと!」
「明久くん、お話を聞かせてくれますよね!」
「え、えぇ!? な、なんでみんなそんなに殺気立ってるの!?」
「はぁ、今のはさ。交際とか最終的には結婚を申し込むために今は友達から始めようって提案しているように聞こえてもおかしくないってこと」
「うぇ、ち、違うからね。今のはいきなり親友に戻るのは無理でも友達からやり直したいってだけで」
自分の言ったことがどんな誤解を生むのか理解したあっきーは完全に混乱している。それを見ていると趣味が悪いとは思うが、笑いがこみあげてきて、おなかを押さえて大声で笑ってしまった。周りのみんなが戸惑っているのは分かるが、今は気にしない。
「――はははっ。あ、あっきーはさ。もう少し言葉を考えた方がいいよ。私でなきゃ間違って惚れちゃう子がいるかもしれないから」
目じりの涙を拭いながら、将来ジゴロと言われかねない親友に忠告をしておく。
「な、何それ! 僕に惚れるのは間違いってこと!? じゃあ、正解はなんなのさ!?」
「さぁね、それは自分で気づいていかなきゃね、あっきー♪」
「だから、なんなのって――あっきーって!」
「あぁーあ、せっかく私から謝ろうと思って機会をうかがってたのに、台無しになっちゃった」
「ほ、本当に!?」
「ホント。それで、今日まで何度も話そうとしたのに無視するんだもん」
「あ、それははる――ゴホゴホ、ある人に試召戦争が終わってからが良いって言われたから」
あぁ、なるほど。あのバカのせいか。どうやって締めてくれようか。
「でもさ、夏樹が謝るって一体何を?」
私が春華に行う10の拷問法を考えていると、あっきーが本当に不思議そうに聞いてくる。私は少し考えて(たぶん)困ったような表情で返す。
「それがあっきーの長所だって知ってるくせに、今までこのことを指摘してこなかったくせにって後悔してたんだよ? それに、あっきーの言うとおり結果的には怒られるだけですんだんだし、結局のところ、私は独り善がりで事態を引っかき回したのかなって気もするし」
「そんなことないよ! 夏樹が怒ったのだって僕のことを本当に心配してくれたからでしょ?」
「……それでもさ。もう少し言い方とかもっといい方法があったんじゃないかって。……さっきだってAクラスに来る前は自分から謝るつもりだったのに、またあっきーに怒ったりしちゃってさ。本当にダメだね私。友達が傷つくって考えたら相手のことも考えずに熱くなっちゃってさ。自分でも嫌な奴だって思う。でもさ、中々直んないんだよね」
「僕はそんなことは――」
「ううん、これは私の欠点。だからさ。勝負しよ?」
「しょ、勝負?」
「そ、勝負。私はこういう独り善がりなところを直して、あっきーは周りの人に心配をかけ過ぎるのを直す。どっちが早く直るか競争。でさ、私からもお願い。直る前にまたあっきーに不愉快な思いをさせちゃうかも知れないけど、絶対あっきーより先に直した私を見せるから、それを見届けるまで。そして、それから先の未来でもずっと私の一番の親友でいてください」
「えっと、僕でよければ喜んで」
そう言って私は右か左か少し迷った後、全ての指を伸ばした左手を差し出す。あっきーは少し恥ずかしそうにしながらも自分の左手でその手を握ってくれた。
「あぁー、ゴホン」
私たちがお互いの手を見て微笑んでいると、高橋先生が大きな咳払いをした。
「えぇー、二人の青春劇は大変素晴らしいと思いますが、いい加減に試合を初めて欲しいのですが」
「あっ、す、すみません!」
頭に上っていた血が少し下がり、急に恥ずかしくなった私は握ったを素早く離し、周りのみんなに何度も何度も頭を下げます。途中で、「な、涙目で謝る神谷さん」とか気持ち悪い声が聞こえましたけど、全力で黙殺しました。
「それでは、始めても良いですね」
「お、お願いします」
「では、Aクラスからは木下さんと佐藤さんが出るそうです」
「分かりました」
高橋先生が言うと、木下さんとともにメガネをかけたボブカットの女の子が出てきた。二人は今も小声で話し合っている。作戦や選択教科を考えているのだろうか。
「では、Fクラスは1つ分の教科指定権を使ってタッグを挑むとのことですが、教科選択はどうします?」
「相手にくれてやってくれ」
高橋先生の確認に、坂本君がそっけなく返します。彼女たちは何となく理系が得意そうな雰囲気ですが、実際のところどうなんでしょうか。
「ねぇ、あっきー。教科選択でほぼ勝敗が決まるのに勝算なんてあるの」
「まぁ、見ててって。……あとで、ちゃんと謝るから今回はごめん」
訳の分からないことを言うと、あっきーは一歩前に踏み出しました。
「ねぇ、木下さん」
「何よ?」
あっきーの呼びかけに木下さんは少し不機嫌そうに返しました。
「実はさ。夏樹が一番得意な教科って数学なんだ」
……このバカは何を言っているんだろうか? 私の説明をするうえで一番得意というならば安定している英語だろうに。数学もそこそこ良い時もあるけど、なんにしても得意な教科を相手に言っても避けられるだけだ。それとも、こうやってブラフで教科をつぶして英語に持っていくつもりなのだろうか?
「ふーん? 確か神谷さんの得意教科は英語だって坂本君が言ってたけど」
朝に坂本君から私の情報を聞いていた木下さんは興味無さげだ。というか、あっきーも同じ場所にいたんだからそれくらい分かっているはず。
「あ、信じてないね。これでも夏樹は数学の女帝っていう異名を持っているんだよ」
待てや、コラ! そんなかっこ悪い異名で呼ばれたくないって何度も言ってるでしょうが!
「あぁ、一年の最初のテストで代表のほぼ倍の点数を取ったって奴でしょ? でも、その後は全然そんな話聞かないし、どうせ横から点数を見た誰かが1と7を読み間違えたとかそんなオチでしょ?」
「それなら、数学を選んでみれば?」
「お生憎様。僅かでも点数が高い可能性があるなら避けるわよ。まあ、私たちも理系が得意だからそれ以外を選ばなきゃってのは残念だけど」
「なるほど、Fクラスから逃げるんだね」
「……なんですって」
「僕の召喚獣の防御力は木下さんたちからしたら紙切れだ。だから、僕なんかすぐに片付けて夏樹と2対1になるだろうね。で、夏樹は相手が自分の点数の半分より1点でも高ければほぼ勝ちは無い。それなのに逃げるってことは夏樹の半分もとれてる自信が無いんでしょ?」
「そんなわけ無いでしょ! でも、クラスのことを考えたら不安要素は」
「あーぁ、Aクラスの木下優子はFクラス相手に尻尾巻いて逃げるのか」
ここぞとばかりに外野の坂本君も木下さんを挑発し始めた。今こうしている間にも木下さんの血管が破れんばかりに怒りが溜まっているのが分かります。でも、私情を抑えてクラスのために安全策を取ろうとしている木下さん。本当にリーダーとしての素質が高いのだろう。
「……優子」
「う、うわっ! だ、代表!」
木下さんが何度も深呼吸を繰り返しているとぬっという擬音が似合いそうな動きで、霧島さんが木下さんの背後に立ち、声をかけます。
「……優子の好きにすると良い」
「で、でも、もしそれでクラスが負けたりしたら」
「……大丈夫、私は偉そうなこと言えないけど、みんなだって分かってくれる。みんな優子の努力を知ってる。そして、優子が負けるはずが無いって信じてる。だから、思う存分戦って」
霧島さんがそう言うと、Aクラスのみんなが「そうだ、木下さんなら勝てる!」とか「FクラスにAクラスの強さ見せてやれ!」とか銘々に声援を送りだしました。それを聞いた木下さんは目をつむり、一つ頷くと、
「決めました! 高橋先生、教科は数学でお願いします」
「分かりました。それでは4人とも準備をお願いします」
高橋先生の言葉を受けて位置につく木下さんと佐藤さん。明らかにやる気が高まったのが見てとれます。
「あっきー?」
「……こんなこともあろうかと、春華さんに相手にこっちの得意教科を選ばせる挑発法を電話で教えてもらいました。後で、土下座をして全力で謝る所存です」
以心伝心。名前を呼び掛けただけで私の聞きたいことと不満を察知し、目をそらしながらボソボソと答えます。
「春華にはこのことについてもお仕置きするとして。……その言葉、信じるからね」
「もちろん!」
軽く
私たちも位置につくと、私は怒りやら羞恥やらでいまだに冷静になりきれていない頭を覚ますために悪戯っぽい笑顔を作ってあっきーに向かいます。
「坂本君にあんだけ大見え切ったんだから、しっかりサポートしてよね、ダーリン♪」
さっきの告白騒動があるので、これのダメージは大きいでしょう。あっきーの慌てた反応を見てからかおうとしたら、
「任せといてよ、ハニー」
とんでもない返しがきた。私は眉をひそめ、淡々と告げる。
「止めて、気持ち悪い」
「理不尽だ! 夏樹のからかいに合わせただけなのに!」
「まあ、いいや。予定とは違うけど肩の力が抜けた。……思えばまともに組んで戦うのって初めてだったね。絶対勝つよ、相棒」
「了解!」
そう言ってあっきーは満面の笑みで、私はちょっと澄まし顔で握った拳の甲を顔の横で叩き合わせました。
「……では、召喚してください」
注意しても無駄だと思ったのか。高橋先生が注意代わりに召喚を促します。
『
そう言って現れる召喚獣たち。木下さんは西洋風の甲冑に円錐のような形をした槍、佐藤さんはインディアン風の外装に鎖鎌、あっきーはお決まりの改造学ランに木刀という装備です。
Aクラス 木下優子 数学 372点
Aクラス 佐藤美穂 数学 355点
VS
Fクラス 吉井明久 数学 62点
そして、私の召喚獣は燕尾服姿にヴァイオリンを持っていました。…………まずった!?
今回は明久が最高にかっこよく映るように話を書いたつもりです。そのための夏樹との喧嘩。そのための夏樹が雄二と喧嘩した上での暴走です。原作の明久のイメージを壊さずに、それでいて皆さんもかっこよかったと思って下さってくれれば幸いなのですが。
ここで宣言しますと、この小説は完璧で高スペックなオリ主が完璧に立ち回って、そのかっこよさで読者を魅せる物語ではありません。自分はバカテスは明久と次点で雄二がメインのお話で、バカな彼らだからこそ中心に立て、小利口で高スペックなキャラは決して主役にはなれない物語だと思っています(まあ、強化合宿だけは夏樹が二人よりも活躍する予定ですが)。ですから、夏樹は主人公ではあってもどちらかと言えば語り部主人公に近い形になると思います。夏樹という脇役によって物語に原作とは違った波紋を立て、最高にカッコいい明久と雄二の活躍を描く。これがこの「バカとテストと右脳娘」のスタンスです。ですからこれ以後、1巻が終わるまでは今回のように夏樹はあくまできっかけ(タッグだけは主役を張りますが)、夏樹に影響された原作キャラ達の見せ場となります。もしかしたら、このスタンスに不満を持つ方がいるかもしれませんが、これから先も夏樹の活躍より明久&雄二の活躍に力を入れていくつもりです。
そう言えば、いつぞやの前書きかあとがきでAクラスを負けさせたくなくなったと言うことを書いたと思います。実はその時に書いていた話がこの話なのですよ。優子さんが安全策を取らずに相手の望む教科を選ぶことを後押しするAクラス。実際原作でも弟のせいでCクラスに攻め込まれたので、狭量なクラスなら彼女をまとめ役のままにするわけがないと思うので、あながちAクラスの人間性としてはおかしくないと思うんですよね。そのせいで、久保君が姫路と戦う時に獲得点数では負けたけど、僅差で勝ったということを書きたいという欲求が生まれてしまった訳です。いや、自分で書いたクラスの人間性ですけど、このクラスを前にしてあのセリフを決め手としてAクラスを負かせと言うのかという葛藤が……。
今回の明久と夏樹の仲直りについて、1巻分では最大の明久の山場を皆さんが楽しんでくれていればこれ以上に幸せなことはありません。そして、オリジナルの山場はこの第一次試召戦争では残り二つとなります。この二つの山場も楽しんで頂けるように頑張って書いていこうと思います。
それでは、次回の更新もよろしくお願いします。