バカとテストと右脳娘   作:シュレ猫

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どうも、以前のサイトの書きためを切り崩しているシュレ猫です。他の作品を見るにこのサイトでは主人公最強系や特定キャラ断罪の方が受けるみたいですけど、この小説はそう言ったことは少ないです。そうした物を楽しみにしている方にはつまらない作品かもしれませんが、そうした作品に辟易、もしくは食傷気味の方には楽しんでいただける作品だと思っています。

では、いよいよ本文、今回は夏樹の初戦闘をお送りします。


第八話:悪魔が来たりて……

『塚本、このままじゃ埒があかない!』

『もう少し待っていろ! 今数学の船越先生も呼んでいる』

 

よし、無事戦場に到着しました。しかも、相手は数学の先生を呼んでいるらしいし、Fクラスもとい私に運が向いてきたね。

 

 ピンポンパンポーン《連絡致します》

 

 ん? 何、これ? えっと、この声は須川君だよね。一体何をする気なんだろう。

 

《船越先生、船越先生》

 

 えっと、先生の呼び出しかなぁ? 戦争中に何でそんなことするの。……それに、折角数学は結構いい点数が取れたんだけど、その数学担当の船越先生をどこに呼び出すの?

 

《吉井明久君が体育館裏で待っています》

 

 はいぃ? なんでここであっきーの名前が出てくるのさ。

 

《生徒と教師の垣根を越えた、男と女の大事な話があるそうです》

 

 な、なんてことをしてるんですか! あの婚期を逃してついに生徒達にまで迫るようになった船越先生ですよ! なんて酷いことをするんですか。

 

 しかも、しかも、今回の数学は自信を持って見せられるくらいにはいい点数が取れたのになんでそれをさげちゃうんですか。……須川君が単独で思いついたとは思えないから、誰か助言者がいるよね。あっきーを弄るのが好きで、尚且つ頭が回る人物。あはっ♪ 該当者は一人しかいませんね。1個目なら何人かいますけど、2個目も同時に満たすのはFクラスにはもっちーしかいません。

 

 となると、指示したタイミングだけど。それは私が採点を待っているときしかないよね。もっちーは私が数学がそれなりにできたことを知っているのになんで船越先生を遠ざけたの? 私の数学を隠したいとか、私の採点が終わるタイミングを読み違えたなら仕方ないけど、あっきー弄りが目的ならあなたも救いようのないバカの仲間入りだよ。

まあ、みんなが私のモットーがどんなものか忘れたのならもう一回教えてあげないとね♪ 私は普段はあくまで忠告で言ってるだけだから本当に実行するのは珍しいんだよ?

 

「須川ぁぁあああああっっ!」

 

 まあ、「悪意には悪意を」というモットーの再教育は後に回すとして、今は戦争に集中しなくちゃいけないので、叫んでいたあっきーに近づきます。

 

「あっきー、あっきー」

「なにっ! って、夏樹!? 随分遅かったけど、何かあったの?」

「ううん。私の方は何の問題もなかったよ。むしろ問題はこっちだと思うんだけど、……なんか戦争に関係無いいざこざあった?」

「……滅相もございません」

 

 思いっきり私から目をそらすあっきー。暴れていたのがしまっちな時点で相手はあっきーだと思っていたけど、やっぱりね。まあ、今はそれを責めても仕方ないし、早速戦闘を開始しますか。

 

 とはいってもこの科目じゃあ私達のコンビの最大の実力は発揮できないし、初見の相手なら私一人で十分だから、ここで中途半端にコンビの実力を見せるのはよくないよね。

 

「あっきー、私はあっちの化学フィールドを受け持つから、総合科目は任せたよ。上手く指示を出して少しでも戦死を減らして」

「あっ、夏樹! だったら僕も化学フィールドの方が――」

「大丈夫、私達コンビの活躍は決着寸前にドーンと見せて驚かせてあげよう」

 

 総合科目フィールドはあっきーに任せて、私は化学フィールドに飛び込みます。化学は自信がないけど、相手は5人くらいしかいないし、みんなの消費具合を見たらどうにかなりそうな点数でした。

 

「布施先生! 現在このフィールドにいる全てのFクラス生徒の代わりに神谷夏樹が全Dクラス生徒の勝負を受けます」

 

 試召戦争では対戦を申し込まれた後に召喚を行わないと敵前逃亡扱いで補習室行きになってしまいます。しかし、一度召喚を行えば召喚フィールド内に他の自軍生徒がいて、その生徒が勝負を肩代わりした場合に限りフィールドを出ることが可能となります。

 

「Fクラスのみんな! このフィールドはちょっとの間私が受け持つから、みんなは少し外で待ってて。全員の点数を半分近くまでは減らしてみせるから、私が指示したらまたフィールドに戻って止めをお願い!」

 

『うぉぉー! 神谷さん、めっちゃカッコいいです!』

『男前です。これからは姐さんって呼ばせてもらいやす』

『姉御! 後はよろしく頼みます!』

 

 ちょっ!? 誰よ、姐さんとか姉御とか言ってるのは! 私はそんなキャラじゃないし、止めはあなた達でさしてって言ってるでしょ!

 

 ……不満だけど、愚痴ってもしょうがないよね。

 

試獣召喚(サモン)!」

 

Fクラス 神谷夏樹 化学 85点

 

 私の足元に幾何学的な模様が現れ、召喚獣がその姿を現します。黒いズボンを穿き、白いベストの上に背中側の裾が長く先が二つに分かれた上着を着て、手には上品そうな白い手袋を付けています。私が普段背中まである髪をうなじのところでまとめているのに対し、召喚獣は同じ長さの髪をポニーテールにしているという違いこそありますが、その姿はデフォルメした私といった感じです。ちなみに私の点数もきちんと頭上に表示されていますよ。

 

 ……ですが、なぜこの装備なのですか。百歩譲って鎧でないのはいいでしょう。実際あっきーの召喚獣は改造制服ですし。でも、いくらなんでも男性用(・・・)正式礼装(燕尾服)はないでしょう? 私はれっきとした女の子なんですよ! もっと可愛い装備がよかったですよ!

 

『おい、なんだあいつの召喚獣の装備』

『あんな装備見たことあるか!?』

 

 フィールドにいた他の人たちも騒いでいます。ただ、彼らが注目しているのは召喚獣の服装ではなくその手に握られた物体。

 

『竹笛じゃねぇか。あんなモンでどうする気だ!?』

 

 うん! 戦場にも服装にも見事にミスマッチだね♪ フィールドにいた生徒達は私の召喚獣の武器を見て考え込んだり、呆気にとられたりしていて召喚獣を操作することを完全に忘れています。……Dクラスの人たちはそれで良いけど、Fクラスのみんなまで同じ有様って言うのはどうなんでしょう。ここは活を入れるためにも大声を出します。

 

「ほら、Fクラスのみんな! 折角Dクラスの召喚獣の動きが止まっているんだからさっさとフィールドから出て行きなさい!!」

 

『す、すみませんでした、神谷さん!』

『今すぐ出て行きます、姉御!』

『あっ、お前らいつまでぼーっとしているんだ。Fクラスの奴らが逃げちまったじゃないか』

 

 ……本当に姉御っていうのはどうにかならないんでしょうか。

 

 私はFクラスのみんながフィールドから出たのを確認すると、Dクラスの人たちに対してできるだけ余裕を持った笑みを浮かべ、召喚獣に指示を送ります。

 

 その指示を受けた私の召喚獣が竹笛を構え、吹き口を唇に触れさせる。そして、悪魔の演奏が始まります。勿論私の召喚獣に物理干渉能力はないのであくまで召喚獣が吹く真似をしているようにしか映りませんが、その演奏は確実に空気以外の何かを震わせています。傍目には何も起こらず2秒ほどが経ったでしょうか。急に演奏を始めたことは勿論、何も起こらないことに困惑してDクラスの人たちは手を出しあぐねています。

 

 でもね、フィールドをしっかり見ましょうよ。変化は確実に訪れているんですよ?

 

Fクラス 神谷夏樹 化学 85点→81点

 

 まあ、私の点数ですから気付きにくいのでしょうがね。ほら、ぼーっとしている間に悪魔の演奏が効果を現しますよ? さあ、更に4秒が経ちました。

 

Fクラス 神谷夏樹 化学 81点→73点

  VS

Dクラス 鈴木一郎 化学 92点→88点

Dクラス 笹島圭吾 化学 99点→95点

Dクラス 中村修二 化学 82点→78点

Dクラス 倉田公江 化学 84点→80点

Dクラス 遠山信吾 化学 103点→99点

 

『はあ? なんで攻撃も受けてねえのに俺の点数が減ってるんだよ!』

『ちょっと、あんたの召喚獣だけじゃないわ。私の召喚獣もよ!』

『おい、俺らみんな同じように点数が減ってるぞ!』

 

 おお、よくこの短時間でみんな同じ速度で点数が減ってるのに気付きましたね。でも、そうして騒いでいる間にも悪魔の演奏は続いていますよ。はい、もう9秒追加ですっ♪

 

 さらに演奏が9秒続いたことにより私の点数は18点減り55点になってしまいましたが、Dクラスの人たちも全員が9点減少しています。

 

これこそが私の召喚獣の特性。私の召喚獣が演奏している間、私の召喚獣は1秒毎に点数を消費することで、フィールドにいる他の召喚獣に元々持っている防御力を無視してその半分の点数分のダメージを与えます。

 

『おい、アイツの召喚獣が演奏してから点数が減りだしただろ、だったらアイツを戦死させれば』

『おっしゃー、覚悟しろやFクラス!』

 

 16,7秒の相談の末、相手の一人が私の召喚獣に飛び掛ってきます。ですが、1人しか攻撃してこないなんてダメダメですね。どうせ、40点を切っている召喚獣だからと油断したんでしょうが、それは大きな間違いです。

 

私の召喚獣は40点を切っているとは思えない速度で、何も考えずに突進してきた相手をひらりとかわして演奏を続けます。

 

 これが特殊な攻撃法を持つが故の性質で、私の召喚獣は一度演奏を始めるとその演奏が止まるか、ダメージを受けるまで演奏開始時のパラメーターから変化しません。よって、85点の召喚獣の速度を持ってすれば、6,70点しかない召喚獣のがむしゃらな攻撃をよけるのはわけありません。

 

『よしっ! 姐さんの援護だ。試獣召喚(サモン)

 

 Fクラスの1人がフィールドに飛び込んできて、私がかわしたDクラスの生徒に止めを刺します。……なんてことを!

 

「バ、バカ! 私が指示を出すまで待っててくださいよ!」

 

 相手の生徒は大振りをして体勢を崩していたためにすぐに倒すことができましたが、私が怒鳴っているうちに更に3秒が経ちます。

 

Fクラス 神谷夏樹 化学 39点→33点

Fクラス 福村幸平 化学 69点→68点

  VS

Dクラス 鈴木一郎 化学 62点→59点

Dクラス 中村修二 化学 52点→49点

Dクラス 倉田公江 化学 54点→51点

Dクラス 遠山信吾 化学 73点→70点

 

『えっ!? なんでっすか!? 普通こういう攻撃は敵だけにダメージを与えて、味方は平気って感じでしょ?』

「バカ! だったらあなた達を下げた意味がないでしょ! この攻撃がそんなに都合のいい攻撃なはずがないじゃない! 放射状に広がる音でどうやって狙いを定めるのよ!」

 

 ですが、口論をしているうちに更に11秒。そろそろ頃合ですね。後3秒ほどで演奏を止めるよう召喚獣に命令を送り、フィールド外に待機していたクラスメイトに指示を送ります。

 

「さあ、みんな。もう相手の点数はFクラス未満の人がほとんどだよ! 一気にやっつけちゃえ♪」

 

 口論にかかった11秒とその後も演奏させ続けた3秒、更に始めに効果が現れるまでのタイムラグ分の2秒をあわせた16秒分の点数、つまり16点がDクラスの点数から引かれます。ここまで減らせばウチのクラスが負けようがありません。だって、一番点数の高い人でも54点ですよ? 私の指示でフィールドになだれ込んだFクラスの人たちは残っていた4人のDクラス生に止めをさし、補習室送りにしてしまいました。あっきーももっちー率いる援軍と合流できたし、これで見事任務完了です♪

 

 ……召喚獣の操作に集中していて良く見ていないのですが、あっきーに任せた総合科目フィールドでは霧島さんのスカートがどうとか、島田さんがどうとか、消火器の噴出音とが聞こえ、挙句にスプリンクラーまで発動していたのですが一体なんだったんでしょうか?

 

 




今回のお話でお分かりのように夏樹の召喚獣の反則的な能力とはフィールド内の全体攻撃でした。

 この設定が気に入らない方がおられるかもしれませんが、よくある最強系のように適当に作った設定ではありませんよ? 実際、某スパコンを束にしても叶わない脳内の有機コンピューターで世界を書き換えるラノベの作者のようにやりたい描写ありきですが、その描写を作品に出すからにはなぜそんな能力になったのかやデメリットについてしっかりと考えてから作品を作っています。今回の自分の点数は他の召喚獣の倍減るというのもデメリットですし、彼女の召喚獣のデメリットはこれだけでは終わりません。今回この設定に不満を持った方も、次の更新でもう一つのデメリットが出てきますのでその時に許されるか否かをご判断ください。

 あっ、どうでもいいことかもしれませんが、DクラスやFクラスのセリフを作中に書いた経過時間内に喋ることは可能です。ストップウォッチ片手に10回は計測して時間を決定しました。

それでは次回もお楽しみに。
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