IS~獅子の瞳を持つ男~   作:木原@ウィング

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2話

一夏side

 

一夏「……これは、想像以上にキツイ」

 

俺、織斑一夏はこの春に高校生になった。

本当だったら俺は藍越学園を受験してそのまま3年間はそこに通うはずだった。

でも、蓋を開けて見れば試験会場で迷子になり彷徨っているうちに1つの部屋に辿り着いた。

 

その部屋の真ん中にはごつい機械が置いてあった。それを見てすぐに分かった。

その機械こそがIS《インフィニット・ストラトス》だという事が。

ISが試験会場においてある事に疑問は有ったけど、俺はISに近づいて触っていた。

今思えば、この時にすぐに戻って係りの人を探すなりすればこうはならなかったと思う。

 

ISは本来、宇宙空間での活動を想定し、開発されたマルチフォーム・スーツだが欠点が1つ有る。それは女性にしか使えない事、だ。

だから俺は「男だし、触っても大丈夫か」みたいな気楽な感じで触っていた。

触った瞬間に頭にISの知識が流れ込んできた。

で、気が付いたらISを身に纏っていた。

 

……本当に、どうしてこうなった?

 

そう考えていると教室のドアが開いた。

 

山田「全員揃ってますね。それじゃあさっそくSHRを始めますよ~」

 

教室に入ってきたのは、緑の髪に眼鏡を掛けた女性だった。

彼女こそがこの1年1組の副担任の山田 真耶先生だ。

思った以上に背が低くて、俺達と同年代と言われても違和感がない。

……本当に彼女は教師なんだろうか?

 

山田「それでは皆さん。これから一年間よろしくお願いしますね」

 

山田先生が挨拶をするが、まぁ見事に誰も反応しない。

出来れば俺だけでもと思ったが、この空気の中で一人だけ声を上げるのは相当に勇気がいる行為だ。

それに、周りの視線のせいでそれどころではない。

 

山田「そ…それじゃあ、さっそく自己紹介をお願いしますね。出席番号から順に」

 

あ、山田先生が段々涙目になってきた。

申し訳ないけど今の俺にはどうすることも出来ないんだ。

 

一夏(ほ、箒~助けてくれぇ!!)

 

俺は窓際に居た6年ぶりに会う幼馴染に助けを求める視線を送る。

しかし、無情にも箒はぷいっと窓の外を見てします。

あぁ、無常だ。久しぶりに会った幼馴染は俺を助けてくれないようだ。

 

「ん、~ん」

 

そ、それにしたって自己紹介って何を言えばいいんだ?

あれ? 俺中学とかの自己紹介って何を言っていたっけ?

 

「……く~ん? むらく~ん?」

 

あぁぁぁぁ、ヤベェ! そっちも忘れちゃってる!!

あぁ、いくら緊張しているからってこれじゃあ不味いだろぉ!?

 

山田「織斑君!? 聞こえていますか?」

 

一夏「は、はいぃ!?」

 

ヤバい、さっきから呼ばれていたみたいだ。

考え事をしていたから全然気が付かなかったよ

 

山田「あ…あのね?今は自己紹介をしてて【あ】から始まって今丁度【お】の織斑君の番なんだよね?その…だから…自己紹介してくれるかな?駄目かな?」

 

一夏「わ…わかりました。先生、ちゃんと自己紹介しますから。とにかく落ち着いてください」

 

山田「ほ…本当に?本当ですね?約束ですよ?絶対ですよ!」

 

山田先生が心配そうに俺に詰め寄る。

お陰で俺はいい晒し者になっている。

あぁ、やめて。そんな目で見ないで……

 

気を取り直して席を立ってみんなの方を見てみる。

うっ、先程以上に教室中の視線が俺に集中している。

これは辛いわ。……どう話していいか迷うな。

 

「初めまして。えー……えっと、織斑一夏です。よろしくお願いします」

 

だけになってしまっても全くの不可抗力というもの―――いやちょっと待て。なんでまだ女子達は何かを期待したような視線を俺に向け続けるんだ。

俺は何も持っていないぞ。

っつーか、まだ視線の嵐は止まらないのか? 唯一このクラスで面識のある幼馴染みの篠ノ之箒には先程見捨てられたし、孤立無援の四面楚歌。どうすればいいんだよ!

 

パアァンッ!!

 

一夏「いっ―――!?」

 

痛い、という言葉が口をつく前に、体の方が反射的に俺を叩いた人物を看破した。おそるおそる振り向いてみると―――

 

一夏「げぇ、関羽!?」

 

千冬「誰が三國志の英雄だ馬鹿者」

 

パアァンッ!!

 

一夏「ってぇ―――!?」

 

出席簿による一撃が俺の頭部に直撃した。ていうか多分さっきのも出席簿だよね。うん、めっちゃ痛い。

 

山田「織斑先生、会議はもう終わったんですか?」

 

千冬「あぁ、クラスの事を押し付けて済まなかったな」

 

山田「いいえ、これも副担任である私の仕事ですから!!」

 

俺を叩いた張本人の俺の姉―――織斑千冬は山田先生と二言三言交わした後教壇に上る。

 

千冬「諸君、私が織斑千冬だ。君たち新人を一年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ。私の言うことはよく聴き、よく理解しろ。出来ない者には出来るまで指導してやる。私の仕事は弱冠十五才を十六才までに鍛え抜くことだ。逆らってもいいが、私の言うことは聞け。いいな」

 

―――どこの独裁者ですか、貴女は。

 

なんて思ったら、凄まじい威圧と殺意を込めた視線が千冬姉から飛んできた。

うん、うちの姉は独裁者じゃなくてエスパーだったのか。これは驚きだ。

と言うか、実の弟に容赦なく殺意向けるっていつの時代の人だよ

 

千冬「何か言いたいことがあるようだな織斑」

 

一夏「い、いえ。何も無いです織斑先生……」

 

「キャーーーー!千冬様、本物よ!」

 

「ずっとファンでした!」

 

「私、お姉様に憧れてこの学園に来たんです!」

 

「……毎年、よくもこれだけの馬鹿者を集められるな。感心させられる。それとも何だ?私のクラスにだけ馬鹿者を集中させてるのか?」

 

 

そんな罵倒にも女子達は止まらない。というか更に歓声が上がってしまう。

 

 

「きゃあああああっ!お姉様!もっと叱って!罵って!」

 

「でも時には優しくして!」

 

「そしてつけあがらないように躾をして!」

 

千冬「えぇい! 静かにせんか!!」

 

その一言でピタッと歓声が止む。

す、すげぇ統率力

 

千冬「お前も一度座れ……まだ紹介する奴がいるからな」

 

千冬姉に言われて俺も自分の席に座りなおす。

ようやく教室が静かになった頃、千冬姉が再び口を開いた。

 

千冬「さて、諸君らも気がついている事だろうが、その後ろの空席達に座る人物達が誰なのか説明しよう」

 

そう言って後ろに開いた四つの空席を指さす。

あぁ、そう言えば後ろの方の席とかに空席が有ったな。

入学式も終わっているのにまだ来ていない奴がいるのか?

 

千冬「まぁ、見てもらった方が早いだろう。入ってきてくれ」

 

「失礼します」

 

千冬姉が言った直後、教室の扉が開きそこから入って来た人物達。

その四人の内、三人は……

 

ゼロ「諸星 零だ。趣味は修行で好きなものは可愛いも……努力する奴だ! よろしく!!」

 

レオ「おゝとりゲンだ。世間でいう所の三人目のIS男性操縦者だ。授業はIS関係の物のみを受ける。それ以外は体育の先生だ、よろしく頼む」

 

アストラ「おゝとりアストラです。気軽にアストラと呼んでください。同じく四人目のISの男性操縦者です。兄と同じくIS関係の授業のみ受けます。それ以外は用務員としての配属です。よろしくお願いします」

 

マグマ「左辺瑠 マグマです。趣味は花を育てたりすることです。よろしく」

 

俺と同じ「男性」だった

 

一夏side out

 

ゼロside

ふぅ、師匠に言われた通りの自己紹介が出来たな。

これでこれからの生活は安心だな

 

「き……」

 

「「「「き?」」」」

 

「「「「「「「「「「「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」

 

ゼロ「うぉ!?」

 

なんだこの声量は!?

侵略宇宙人の作った音響兵器か!?

 

「男子よ!! しかも超イケメンの!!」

 

「ゲンさん、物凄く渋くてカッコイイ!!」

 

「アストラさんだって捨てがたいわよ!!!」

 

ゼロ「に、人間って凄いな」

 

アストラ「あ、ははは。そうだね」

 

レオ「……元気が有って良いじゃないか」

 

マグマ「いや、そういう次元を超えてるでしょ?」

 

山田「み、みなさ~ん! 少し落ち着いてください!!」

 

千冬「静かにしろ!!」

 

千冬さんが言うとそれだけでまた全員がピタリと静かになる。

す、凄いな。この統率力は

 

ゼロ「タロウ教官と同じくらいか」

 

レオ「あぁ、この統率力は宇宙警備隊のルーキー達と同じくらいだな」

 

マグマ「何なの? ここの子達は」

 

アストラ「た、多分ただの女の子達じゃないかな?」

 

マグマ「どこが?」

 

マグマさんの質問に顔を背けるアストラ。

まぁ、俺も何も言えないからな……

 

千冬「この四人は生徒だが緊急時は私達教員と同じ権利が与えられる。それを覚えておくように」

 

千冬さんの話した内容を理解できていないのか、教室はシンとなっていたがすぐにまたさっきみたいな歓声が響いた。

今度は耳を塞いでいたからさっきよりは辛くない。

 

マグマ「本当に五月蠅いわね。疲れるわ」

 

アストラ「そ、そうだね」

 

レオ「はぁ、これでは「あれ」を知られたらもっと五月蠅くなりそうだ」

 

ゼロ「俺達が緊急時には教師、かぁ」

 

さっきの千冬さんの言葉を聞いて俺は少しだけ感動していた。

だって、こんな俺が後輩のウルトラマンだけじゃなくて人間たちの師匠みたいなものになれるなんて……

 

千冬「では、四人とも席についてくれ」

 

レオ「分かった」

 

アストラ「分かりました」

 

マグマ「はい」

 

ゼロ「おう!」

 

さて、学園生活なんて光の国での幼少期以来だな!!

あの時は周りから疎まれていたから今度は思いっきり楽しんでやる!!

 

ゼロside out

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