黒き声(仮)   作:舎田

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大型台風はいらないので大型連休をください


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昨晩、頼まれてもいないニンジンを購入し大急ぎで帰ってきた俺たちは二人でヤケ酒をした。

 

 

 

他のギルドの仲間からは 「明日早く起きればいいのでは?」 なんて言われたりもしたが結局その助言に従うことなく飲み続けたのである。

 

 

 

その途中に 「そうだ。 枕元に置いておこう」 なんて意味の分からない行動をとり、日が昇り始めた頃に眠りについた。

 

 

 

そして大して睡眠もとらず、二日酔いに悩まされながらも起床し今に至る。

 

 

 

「頭いてぇ……。 頭の中で大運動会やってやがる……。」

 

 

基本的にギルドメンバーはギルド内にある各自に与えられた部屋で生活している。

 

男性は2階にあてられているため、皆の集まる1階のホールには階段をおりなければならない。

 

1段おりる度に頭痛に襲われる。 

 

痛い……

 

 

 

ホールには簡易的なキッチンが備えてあり、カウンターやテーブルもあるため軽食から宴会まで行える。

 

 

普段キッチンにはトトさんがいるので彼女の手料理食べたさに外食せず帰ってくる者は多い。

 

 

 

独身どもめ

 

 

 

 

 

 

俺もか

 

 

 

 

 

 

 

カウンターにはすでに起きていたグレイスがトトさんと朝食をとっていた。

 

二日酔いではなさそうである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トットットっと小刻みなリズムとともに寝ぼけ眼のラビがやってきた。

 

 

 

天使降臨である。

 

 

 

ラビの口から 「おはよう」 という言葉が発せられるだけで疲れも吹き飛ぶだろう。

 

 

さぁ、聞かせておくれ

 

 

 

 

 

 

 

「……にんじんふんだ。」

 

 

 

 

 

昨晩は枕元に置いたのだが酒が入っていたせいでラビの寝相の悪さを考慮できていなかったようだ。

 

 

 

「だれかの……いたずら?」

 

 

 

 

「「……」」

 

 

 

俺とグレイスは無言で目を合わせた後下を向く。

 

 

 

何とも言えない罪悪感からどう切り抜けるかを考えるが頭痛に邪魔されいい案は浮かばない。

 

 

昨日のヤケ酒をした自分を殴りたい。

 

 

 

「実はな……」 と切り出したところでタイミングよく依頼の用紙を持ったグレンが現れ俺たちに声をかける。

 

 

ナイスタイミング! と思ったのは俺だけではないはずだ。

 

もう少し早く来てほしかったが

 

 

 

「あまり重要度は高くないのだけど魔獣の討伐依頼を受けてくれる人はいないかな? カイルからの依頼だから力になってあげたいのだけど……どうだろう?。 私はこれから外せない用があってね。 かわりをお願いしたいんだ。」

 

 

カイルとはグレンの友人であり今は夫婦で農業を営んでいる。

 

新鮮な野菜や肉などを安く提供してくれるため大切な存在だ。

 

 

 

「あんた行きなさいよ。」

 

 

グレイスに即答されるが俺だって今日は休みたい。

 

二日酔いになってないお前が行けよ、と強く思う。

 

 

 

「……あまり危険でないなら新入りとかランクの低いヤツでいいんじゃないですかね? 新入りの顔合わせと訓練を兼ねて一石二鳥だと思うんですけど。」

 

 

 

「それもそうだね。 じゃあよろしく頼んだよ。 ロウ君。」

 

と言い残しグレンはその場を後にする。

 

 

 

 

は?

 

 

 

何がどうして 「それもそうだね」 なのか。

 

 

訳が分からないという顔をしているとグレイスにため息をつかれ呆れられる。

 

 

「あのねぇ……、ウチは少数精鋭だから基本的にみんなランクは高めだし、少し前まであんたを鍛えてて誰かを入団させる余裕なんてなかったの。 わかるでしょ? 」

 

 

 

「お、おう……」

 

 

 

なんということだ。

 

このギルド内で最も日が浅く、最もランクが低いのが俺だったなんて……。

 

 

 

 

 

 

二冠達成である。

 

 

 

 

 

「でもランクだけで言えばラビも 「馬鹿野郎! 俺が行くに決まってんだろ!」

 

 

「……」

 

 

悩むことなどなかったのだ。

 

これは俺に与えられた使命である。

 

 

 

 

 

 

「ラビも……いく。」

 

 

 

「あのおじさん、にんじん......くれるから」 と、聞こえた気もしたが空耳だろう。

 

 

 

ラビは仲間想いのいい子だなぁ……。

 

 

 

 

 

その後ラビだけがグレイスに心配されていたが2人でデイラを馬車で出発する。

 

 

 

「ラビちゃん気を付けていってきてね。 あとロウ君もね?」

 

 

と、トトさんにギルドを出る前に声をかけてもらいやる気が倍増した。

 

 

 

 

「あと」なんて言葉がついていたがきっと他意はないだろう。

 

 

 

 

 

今回の依頼は何も恐れることはない。

 

 

 

天使がついているのだから。

 

 

 

 

 

 

コクリコクリと舟をこぐラビをよそに俺は変な汗をかきながら馬車は進んでいく。

 




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