魔法の世界と指輪の魔法使い(仮)   作:魔戒

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長い年月を生きる吸血鬼は希望を与える指輪の魔法使いと出会う。
その輝きは彼女の凍りついた心を動かす事が出来るか…


指輪の魔法使い、戦いの舞台へ

「クッ!!」

 

今、私は窮地陥っている。

ここ麻帆良学園は関東魔法協会の本部だ。

学園を隠れ蓑にして、関東の魔法使い達を統率する場所がここだ。

だが、組織という事は当然敵も多い。

私や学園長をよく思わない魔法使い達や魔法使い達を憎む関西呪術協会の過激派といった者達だ。

夜になればこいつらが鬼や悪魔といった者共を引き連れて攻めてくる。

それをここの魔法使い達が退けるのだ。

私も夜の警備に当たっていたのだが、思いの外敵が多く、魔法を使う為の媒体である魔法薬を切らしてしまったのだ。

何時もならこんなヘマなどしないのに…!!

今、私はナギの馬鹿が掛けた「登校地獄」という呪いのせいで全盛期の力を出すことは愚か、媒体が無ければ録に魔法さえ使えない始末だ。

「闇の福音」と恐れられた私が何て様だ!!

私の従者である絡操茶々丸も腕に破損が見られ満足に戦えてない。

撤退しようにも何時の間にか囲まれている。

 

ここまでか…

 

そう思った時だった。

 

「な、何や!?こいつ!?」

 

私の目の前の鬼に金属光沢のある小さな鳥が襲いかかっていた。

何だ?あの鳥は?

魔力を帯びているのをみるに誰かの使い魔か?

考えてる内に鬼や天狗とも違う人の気配を感じた。

援軍か!?と思い、振り返った。

だが、そこに居たのは私の全く知らない人間。

ここの魔法使い達から私は距離を置かれているが、それでも顔ぐらいは覚えている。

だが、少なくとも私は奴に見覚えがない。

すると、鬼を攻撃していた鳥がその男の元へと向かった。

どうやらあの鳥の主は奴らしい。

 

「ご苦労さん、ガルーダ。ついでにユニコーンとクラーケンも呼んで来てくれ」

 

ガルーダと呼ばれた鳥は、数回頷いた後、飛び立った。

あれの他にもいると言うのか?

疑問は尽きないが、今はそれどころではない。

この男が敵か味方かもわからない状況で、下手な動きは出来ない。

もし、敵だったら最悪だ。

 

「何や兄ちゃん」

 

「お前ら、こんな小さい子によってたかって…プライドとかないのか?」

 

な!?こいつ…私を子供扱いか!?

確かに、見た目は子供だが、それを口に出されるのはかなり不愉快だ。

 

「いや、わしらもこんなちいこいのとは戦いたく無いんじゃが…召喚主の命令には逆らえんのや」

 

こいつ等もか!?

 

「…それで、あんた等を倒した場合どうなるんだ?」

 

「何や兄ちゃん、わしらを倒すつもりか?安心せえ、もと居た場所に帰るだけや。でも、あんたみたいなヒョロイのには負ける気せえへんけどな」

 

ガハハと鬼が豪快に笑う。

奴が倒すと言ったのを冗談か何かとでも思ったのだろう。

だが、私は奴の実力を計りかねている。

魔力は確かに多い。

だが、強者の雰囲気というものが感じられない。

考えられるのは奴が弱者か意図的に隠しているか、自然体を維持できるかのいずれかだろう。

 

「それは、良かった。強制されてる奴を倒したら目覚めがわるいからね」

 

<ドライバーオン…プリーズ>

 

奴が右手を手の形をした奇妙なバックルに翳すと、何処からか声が響き、銀色のベルトが姿を現した。

そして、ベルトの両端にあるレバーを操作して…

 

<シャバドゥビタッチヘンシーン!!…シャバドゥビタッチヘンシーン!!…>

 

思わず気が抜けた。

何だ、あれは?

巫山戯てるようにしか聞こえない。

 

「変身…」

 

そうこうしてる内に奴は左手の指についている赤いルビーのような大きな宝石の指輪に触れたかと思うと、あのバックルに翳した。

 

<フレイム!!…プリーズ…ヒー!!ヒー!!ヒーヒーヒー!!>

 

現れでた魔法陣が奴の体を通り抜けた時、そこには宝石のような顔をした戦士が立っていた。

溢れ出る魔力は炎の様に熱く、その姿は輝きを放っていた。

 

「何や、今のは?巫山戯とるんか?」

 

あの奇声は鬼の方も気になった様だ。

確かに気にするなという方が無理だ。

 

「そうは、言っても。俺にはどうしようも出来ないんだよね。仕様だから、これ」

 

どうやら、奴にとってもあれは不本意らしい。

確かにあんなもの戦う度にあれでは、鬱陶しい事この上ない。

 

「さてと、さあ、ショータイムだ」

 

左手の指輪を見せつける様に手を翻すと、奴は鬼達に突っ込んだ!!

鬼も応戦する為に持っている棍棒を横薙ぎに払うが、奴は体に捻りを加えて飛び上がる事でそれを回避した。

その後も鬼は必死に攻撃を当てようとするが、まるで自由に宙を舞う様な華麗な動きについていけず、翻弄されている。

奴の方もただ避けるだけではなく、時折回し蹴りなどを織り交ぜて確実にダメージを与えている。

それにしても、何だあの動きは?

時折、見覚えのある武術を見せたかと思えば、どの武術にもない舞う様な華麗な動き…少なくとも私の知る体術では無いという事だ。

奴の装甲服(?)についているコートがその動きを際立たせていて、少し腹立たしい。

 

「あかん、親分!!この兄ちゃん、相当強いで!!」

 

「狼狽えるな!!囲むんや!!」

 

鬼達も奴の予想外の強さに焦り出し、奴を囲み出した。

 

<コネクト!…プリーズ>

 

それに焦りもせず、右手の指輪を変え、ベルトに手をあてがい、魔法陣からやたらでかい銀色の銃を取り出した。

指輪を変えて、ベルトで発動する…それが奴の魔法系統の様だ。

詠唱を用いないが、一々指輪を変えなければならないのは便利なのか不便なのか良く分からんな。

だが、600年生きる私でもあんな魔法は見たことが無い。

魔法の発動に必要な始動キーすら唱えて無いし、詠唱もしてない。

…かわりに腰のベルトがやたら騒がしいが。

銃の腕はかなりのものだな

現に奴の銃から吐き出される弾は寸分違わず、鬼達に命中している。

あれだけ動きながら銃弾を当てる事はかなりの技量が必要だ。

…既に一部の鬼は消えてるようだな。

 

「さて、囲まれるのも鬱陶しいし、こいつでいくか」

 

今度は姿を変える時に使った左手の指輪を交換し、ベルトに当てがった。

 

<シャバドゥビタッチヘンシーン!!…ハリケーン!!…プリーズ…フー!フー!フーフーフーフー!>

 

魔法陣が現れ飛び上がる事で通り抜けたかと思うと、体の体色が緑に変化し、顔の形も逆三角形に変わっていた。

今度は何を見せるのかと知らずの内に心が躍っていた。

 

「色が変わったところで!!」

 

色が変わった事を気にも止めない鬼達は奴を囲んでいるまま一斉に棍棒を振り上げ襲いかかった。

違う、色が変わっただけではない。

先程まで発してした熱が消えている。

そして、さっきから奴を中心に風が渦巻いている。

成る程、赤が火で緑が風か…

奴は属性を姿を変えるだけで自由自在に変えられるようだ。

普通の魔法使いならそんなのはあり得ない。

 

「ハッ!!」

 

その攻撃も文字通り飛び上がる事で回避される。

いや、先程も飛び上がって回避していたが今回はそれの比ではない。

それどころか滞空している。

 

「危ない、危ない」

 

どう見ても余裕にしか見えん。

どうやら軽口を叩くのが好きらしい

すると今度は銃を剣に変え、空中を自由自在に飛びながら、鬼を切りつけている。

しかし、遠近両用とはなんて反則臭い武器だ。

 

「エヴァ!!」

 

ふと、背後から私を呼ぶ声がした。

 

「タカミチか」

 

タカミチ・T・高畑、この麻帆良学園の教員の一人で私とは腐れ縁だ。

何処か安堵の表情が見える。一応は心配してくれてたか。

 

「大丈夫かい?」

 

「ああ、私は平気だ。茶々丸が動けんがな」

 

「無事なら、いいよ。それにしても、あれは誰だい?」

 

「分からん。だが、私を助けたぐらいだ。少なくとも敵ではないかもしれん」

 

敵ではないかもしれないと言ったが警戒しておくに越した事はない。

警戒する事に損は無いのだから。

 

<ビッグ!!…プリーズ>

 

私がタカミチと話してる間に戦況は動いていたらしい。

奴が新たな魔法を発動するのを聞いて戦場に目を向けると…

 

「な…な!!」

 

巨大な手があった。

その手が強烈なビンタで鬼共を吹っ飛ばしている。

タカミチもかなり驚いているようで、間抜けな顔で口をポカンと開けている。

紙切れの様に飛んで行く鬼共は「んな!!アホなぁ!?」と声を上げながら消えていくのが見える。

奴の手が普通のサイズに戻った頃には粗方の鬼は消えていた。

最後に親玉の鬼が残ったようだ。

 

「ハハ…兄ちゃん強いのう。まさか一蹴されるとは思っとらんかったわ」

 

「こう見えて、場数はそれなりに踏んでるんだ。そうそう負ける気はないよ」

 

「ハハハ!!兄ちゃん、気に入ったわ!!今度会った時は酒でも飲もうや!!」

 

「…俺が成人してたらね」

 

鬼が魔法使いを気にいるとは珍しい。

まあ、奴は殆ど肉弾戦で戦っていたから、正々堂々を好む鬼が気に入るのも当然か。

 

「だが、ここまで来た以上、ただではやられへん。せめて一撃食らわせてから帰らせてもらうわ」

 

「悪いけど、簡単には食らわないよ」

 

そう言って取り出したのは今までよりも幾分か多い魔力が込められた指輪。

恐らく大技を出すつもりだな。

 

「さあ、フィナーレだ!!」

 

<ルパッチマジックタッチゴー!!…チョーイイネ!!キックストライク!!サイコー!!>

 

今までよりもやたらテンションの高いベルトなど御構い無しに奴の足元に魔法陣が現れ、右足に凄まじい熱量の炎が宿った。

 

「うおおおおおおお!!」

 

「ハァ!!」

 

棍棒を手に突っ込んでくる鬼に向かって側転と体を捻る事によって威力が上がった蹴りを叩き込んだ。

 

「ぐうっ!!ハハハ…完敗や」

 

負けを認める鬼の体は既に消えかけている。

 

「最後にあんたの名前、教えてくれるか?」

 

「紅輪龍磨、この姿は仮面ライダーウィザード」

 

「ハハ…紅輪龍磨、仮面ライダーウィザードか…覚えたで!!次は負けへんからな」

 

そう言い残し、鬼は消えていった。

それにしてもウィザードか…魔法使いを名前として名乗るとは中々面白いじゃないか。

 

「ふぃー…」

 

奴が一息ついてるのを尻目にタカミチと目を合わせる。

奴には色々聞かなければならない。

「あれ?何か増えてる?」などと言ってるが、構う必要は無い。

15年もこんな場所に縛り付けられているんだ。

丁度いい暇つぶしや刺激になればいい。

私はそう考えていた。

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