超次元ゲイムネプテューヌ~嵐の仮面ライダー~《season SECOND》   作:白銀の嵐Mk.2

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大変、大・変!お待たせ致しました!
私事による起きた事故のショック等々で執筆に手が出せませんでしたが、ようやく手を付ける勇気と余裕が持てたので投稿致します!

メテオ「待たせたな、俺達の物語の続き……腹ぁ括って刮目しろよ?」

では前回のあらすじ!

激闘が続く"神殺し"の一人、"仮面ライダーフリーズ"率いるダークトゥダークネスとの戦いを繰り広げるメテオ達と、異世界の仲間"天条宗谷"と"イストワール"、"ヒロム"。
復活したダークネス四天王の一人、"シャット・ザ・ハード"が変身する"仮面ライダーデューク・魔王"と激闘を繰り広げるヒロムこと"バニシングハート"と絵美こと"仮面ライダーデッドヒートマッハ"の二人。
一斉に群がる戦闘員や怪人達と戦うネプギアことパープルシスターとアイエフこと"仮面ライダー竜華"とソルの三人に、"改造されし悪魔達(カスタム・デビルズ)"の一人、隊長死男(キャプテン・フランケン)と戦う復活したカズマこと仮面ライダーナイツ。
そんな中、ダークネスの策略によって現れた大国強襲殺戮殲滅兵器"マシンデストロイヤー"に乗せられた一人の少女"シンシア"を前に戸惑う宗谷こと"クロス・ヴィクトリー"とイストワールにプルルートことアイリスハート。
過去にマシンデストロイヤーと因縁があるメテオこと仮面ライダーストーム パーフェクト・デストロイヤーはそれを見て我を見失うが、ネプテューヌことパープルハートのお陰でなんとかなるも、そこに現れたシャットと同様に復活したダークネス四天王の一人であり、メテオのクローンである"ファートゥス・クライム"が変身する"ハイブリッド・デスサイズ"によって妨害を受ける。何とか隙を突いてマシンデストロイヤーに向かおうとするも、デスサイズの予想を上回る行動によってストームとパープルハートは戦闘不能までの追い込まれてしまうのであった……。

ーこの激闘の行方は何処へ行くのか?

ーマシンデストロイヤーに乗せられたシンシアの運命は?

ー果たして彼らは神殺しの一人、フリーズを倒すことが出来るのか?



今、ここに"可能性"による"目覚め"が起きようとしていた……。


挿入歌『RX-0』(機動戦士ガンダムUC 挿入BGM)


続・超コラボNOVEL大戦 仮面ライダーフリーズ
続・TIME10 探し求めていた"答え"と"可能性の一角獣"


続・TIME10 探し求めていた"答え"と"可能性の一角獣"

 

 

 

体が痛ぇ……。

 

 

 

満足に指一本も動きやしねぇ……。

 

 

デストロイを使った反動もあってか、体が言うこと聞かねぇ……。

 

 

 

 

…ネプテューヌ…………。

 

 

 

…………シンシア……。

 

 

 

駄目だよなぁ、俺って……満足に仲間どころかお前らを守ることも助けることも出来ねぇでさ……。

 

 

 

……?何か……聞こえる……?

 

 

ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー

 

 

《Skill Chain!Sword art Online!Zerudano Densetu!》

 

「おおぉぉぉおおお!!」

 

ストームとパープルハートが戦闘不能に陥り、駆け付けたクロス・ヴィクトリーは、二人の安否を確認し終え、二人を戦闘不能に追い込んだダークネス四天王の一人、"狂乱の大罪人ファートゥス・クライム"ことデスサイズと戦いを繰り広げていた。

クロス・ヴィクトリーの能力の一つ、複数ある"ヒーローメモリー"と呼ばれる力を二つ組み合わせる事で幅広い戦略を生み出す"スキルチェイン"でスキル"ソードアート・オンライン"、スキル"ゼルダの伝説"の二つを使って自身の専用武器である赤剣と似た剣を左手に握り締め、二刀流となってデスサイズに斬りかかるが…。

 

《…axceltion》

 

「残念ハズレでしたぁ~♪」

 

「がぁッ!?」

 

デスサイズも、ただ斬られるのを大人しく待っている筈もなく、嘗てストームと死闘を繰り広げ、破れた"ハイブリッド・クリーチャー"の時から持っていた能力、腰に巻き付いたベルトから発せられる不気味な音声と共にコンマ1秒先の未来へと飛ぶ瞬間移動"アクセレーション"を使ってクロス・ヴィクトリーの背後に回り、自身の武器である死神を連想させる大鎌"リッパー"で彼の背中を斬り裂く。

 

「…仮面ライダーカブトのクロックアップを使ったと思いきや、仮面ライダーウィザードの魔法のビッグ、仮面ライダー龍騎のドラグクローファイヤーにベールのシレットスピアーを使ったと思えば今度は瞬間移動とか…何でもあり過ぎるだろ……!」

 

そこに同じく、ハイブリッド・クリーチャー時代から持っている相手の見た・受けた技・魔法をコピーする"ラーニング"を持ち合わせてクロス・ヴィクトリーを翻弄しているようで、背中を斬られて地面の上を転がり、立ち上がった彼はその事に一人愚痴る。

 

「あぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!一種のマジックショーみたいで楽しいだろぉ?"チェリーボーイ"?」

 

「誰が"童貞"だこの野郎!メテオと同じ声でなおさらムカつくんだよ!」

 

「おいおい、俺はお前さんが"さくらんぼ(チェリー)"が好きそうな少年に見えたからそう言ったのに……ヘンテコな見た目に反してやらしいガキなんだなお前さんって?あぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!」

 

「んだとこの野郎…ッ!!」

 

加えて、オリジナルであるメテオとは真逆の存在として生まれたデスサイズことファートゥスは、オリジナルであるメテオなら決して言わないであろう下品、かつ相手を馬鹿にした言葉を吐き出して彼を小馬鹿にし、彼もそれを真にに受けて怒りで頭に血が登りそうになっている。

どうやらクロス・ヴィクトリーこと宗谷はデスサイズことファートゥスとは相性が悪いようであった。

 

 

 

ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー

 

 

 

宗谷……ファートゥス……!

 

 

 

何をやってんだよ俺は…!宗谷が…俺の"ダチ公"が必死にあいつを倒そうと…シンシアを救おうと戦っているのに…!こんな所で……俺は…!

 

 

 

 

『"変身"だよ、メテオ…』

 

 

 

紘汰兄さん…!

 

 

 

『人の繋がり……"絆のリンク"は何よりも勝る大きな力となる……』

 

 

 

ヴィクトリオン……!

 

 

 

『あなたの運命も……きっとあなた自身で変える事が出来る……』

 

 

 

シンシア……!

 

 

 

『メテオの事、信じてるからね!』

 

 

 

ネプテューヌ…………!

 

 

 

何が"変身"だ…何が"絆"だ…!俺は…俺は何一つ変わってねぇ……誰も本当に信じきれていねぇ……!

 

 

 

『守りたいものがあるなら守り抜け、何に変えても』

 

 

 

俺は……俺は!

 

 

 

 

 

 

 

ーーー何一つ、"信念"を持てちゃいねぇ!!

 

 

 

 

 

 

 

頼む、宗谷…ヒロム…イストワール…紘汰兄さん…ヴィクトリオン…シンシア…ネプテューヌ…教えてくれ……俺は…どうすればいい…!

 

教えてくれ……教えてくれ……!

 

 

 

 

『俺の"夢"、お前が受け継いでくれないか?』

 

 

 

 

……………………"巧兄さん"………!!

 

 

 

 

ーーー……仕方ねぇなお前は…本当に見ちゃいらんねぇよ……

 

 

 

 

……ッ!?…………巧…兄さん……?

 

 

 

 

ーーー探してやるよメテオ、お前の"答え"って奴を…。

 

 

 

 

俺の……"答え"……?

 

 

 

 

ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー

 

 

 

プラネテューヌとラステイションの国境の境目にある廃工場。

そこから少し離れた森林で起きている戦いは苛烈を期していた。

 

「………ぅ…!」

 

「無事か、絵美?」

 

「うん……あたしは平気だよ、ヒーくん…」

 

森林の中にある他の木と比べたらやや大きめな大木の影で異世界の魔神バニシングハートが仮面ライダーデッドヒートマッハの介抱をしていた。

どうやらこの森林内で起きている激闘の最中でマッハが負傷してしまったようで、その証拠にマッハは痛そうに左肩を抑えていた。

 

「あのシャットと言う男……なかなかの実力のようだな」

「うん、相手はダークネス四天王…流石に無事に倒せるとは思ってなかったし、覚悟はしていたけど……予想以上だよ」

 

「奴がこの森林の中での戦いを得意としているのもあってか、いくらこの姿でもこの体たらくだ」

 

介抱するバニシングハートの言う通り、彼もまた無傷とは言わず、体の至る所に傷や火傷等の攻撃を受けた後が着いていた。彼ら二人が相手にしている敵は相当な手練れと言う事が嫌でもそれが伝わっている。

 

そんな二人が大木の影に息を潜めていると、近くの方から草に落ち葉、枝を踏む足音が聞こえて来た。

 

「……どうした?この俺に恐れ戦いて逃げ出したか?だが、この森の中にて俺を相手に逃げ隠れしても無駄だぞ?」

 

低く、けども威圧するような静かな声で言う西洋の騎士を思わせ、されども額に"ドクロ"のレリーフを飾った仮面の"処刑人"は背中に着けたボロボロだが不気味で、禍々しい切れ布のマントを風に靡かせる。

スカイブルーのアンダースーツを身に纏い、細部に禍々しい紫の炎を思わせるパーツを着けた赤い果実を模した上半身の鎧に刺々しい黒い装甲を着けた下半身をし、"死者"を思わせるその"魔王"の名前は……。

 

 

 

ダークネス四天王の一人、"冷酷な処刑人(ブラッド・エクスキューショナー)シャット・ザ・ハード"こと"仮面ライダーデューク・魔王"……。

 

 

 

「さっさと出てこい……なんなら、炙り出してもいいんだぞ?」

 

そう言ったシャット…デュークは右手でフィンガースナップを決め、周囲からともかく植物を出現させて操り、周りの木を薙ぎ倒し始める。

 

「ヒーくん……」

 

「……心配するな絵美…俺が行ってくる」

 

このまま隠れていてもいずれバレる…その事に不安を感じたマッハはバニシングハートを見つめるが、彼は彼女を安心させるような優しさが籠った声で見つめ、大木の影から出て行く。

 

「……ここにいるぞ」

 

「ほう……貴様一人か?あのマッハは何処に行った?」

 

「さぁな?途中ではぐれたものだから知らん…」

 

「白々しい嘘を……なら貴様を存分に痛ぶり、葬ってあいつもその後を追わせてやろう!」

 

自ら姿を現したバニシングハートにデュークは感心するような声を漏らすが、マッハがいないことを聞くとバニシングハートは白々しい態度で白を切り、それを気に食わないと思ったデュークは右手に巨大なオレンジと黒い色合いをした大型銃"火縄大橙DJ銃"を、左手に黒と黄色の色合いをした刀"無双セイバー"を握り締め、右手に持ったDJ銃をバニシングハートに向けた。

 

「……さぁ改めて、守護者なれど…暴れるぜ」

 

右手に自身の愛刀"爆炎丸"を握り締めたバニシングハートは自身を言い聞かせるように、奮起させるように言い、デュークに向かって突撃するのであった…。

 

 

 

ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー

 

 

 

「ここ……は…?」

 

突如目が覚めたストーム…否、メテオは目の前の光景に戸惑いを隠せなかった。

何せ辺り一面が広大な草原で、それも遥か彼方の地平線まで草が生い茂っている場所に自分は立っているのだから……それも何故か変身も解けて。

 

「俺は……確かあの廃工場でファートゥスにやられて…それに……なんで変身も…」

 

この現状に頭が追い付かず、困惑した顔で辺りを見渡すが、やはり生い茂った草が一面まで広がっている光景しか目に入らない。

「一体……どうして………」

 

「メテオ……」

 

突然自身を呼ぶ声が不意に聞こえ、思わず後ろ腰に常に携行してあるビームダガーピストルを何時でも取り出せるように手に掛けつつ、警戒して振り向くメテオだが、彼を呼んだ声はまるで呆れているように溜息を吐き、呆れた声で話し掛ける。

 

「おい…呼ばれただけでそんなに警戒してんじゃねぇよ、それに……"俺の声"を忘れたのか?」

 

「…あ………」

振り向いた先にいた一人の"男性"……その見覚えのある姿にメテオは声を失い、そして体を震わせた。

 

「た…巧……兄さ……ん…?」

 

「……ああ」

 

声を震わせながらもやっとの思いで出せたメテオに男性……"乾巧"はぶっきらぼうな態度で返した。

 

「巧…兄さん……?巧…兄さん!!」

 

メテオは彼の元へ駆け寄る。

長年敬愛し、いつまでも追い掛けていたいと思っていた背中を持ち、だが突然として亡くなってしまった愛する兄の元へ。

 

「……何泣いてんだよ、お前」

 

「…ッ!当たり前だろ!これが…これが泣かずにいられるかよ…!あの時あんたが死んだことを今でもずっと、ずっと!信じることが出来なかったってのに、あんたは!」

 

「…………そうかよ」

 

気づけばメテオの目には涙が浮かびがっていて、巧が不思議そうな顔で言うと彼は激しい怒りを露にした。

 

まるで欲しいものを与えられなかった子供のように…。

 

彼が死んでもう二度と会えることが出来なかった事をぶつけるように…。

 

 

 

まるで……助けを求めるように、メテオは巧にその思いをありったけぶつけた。

 

 

 

 

「………………そうか、悪かったな」

 

「悪かったなって…!……もういいや」

 

それでも巧はぶっきらぼうな態度を崩す事なく、その一言で済ませ、散々怒り狂っていたメテオもそれを見て意気消沈したかのようにその怒りを沈めた。

 

……こういう人だよ、本当…。

 

内心呆れつつも、懐かしき兄との会話にメテオは心なしか、ずっと自身の中に取り付いていた何かが晴れるかのように、穏やかな顔になった。

 

「……なぁ、巧兄さん…どうして俺はここにいるんだ?」

 

「どうしてって……お前…」

 

何気無く聞いたメテオの問いに今度は巧が呆れ初めた。溜め息を吐かれ、呆れた顔をする彼にメテオは首を傾げる。

 

「……お前、スゲェ今悩んでいるだろ?」

 

「…………!」

 

 

痛いところを突かれた。

 

自分が言い放った一言に顔を強張らせるメテオに巧はやっぱりと、再び呆れるように溜め息を吐いた。

 

「相変わらずだよな、お前……」

 

「…………ごめん」

 

根本的な所は何も変わっていない目の前の"弟"に巧は三度目の溜め息を吐いた。

 

相変わらず世話が焼ける"弟"だ。

 

口には出さずとも、まるでそう言ってるかのような顔をする彼にメテオはまるで父親に叱られる子供の如く落ち込むように謝る。

「お前さぁ……"くだらない"事でいちいち考え込み過ぎなんだよ」

 

「……"くだらない"…?」

 

呆れ返った態度で言う巧の言葉にメテオは眉を潜めた。

 

 

 

"くだらない"

 

 

 

今までメテオが抱え込み、背負っていたもの全てを"否定"するかのように……。

 

「………俺が悩んでいる事全てが?」

 

「ああ」

 

「1億人殺しの事も?」

 

「ああ」

 

「神殺しの宿命の事も?」

 

「ああ」

 

「俺自身の運命の事も?」

 

「ああ」

 

「俺や兄さん達が守っているものが全部"悪意"に満ちていたって事も?」

 

「ああ」

「…………母さんや"玲奈"を殺した事も?」

 

「…………ああ」

 

「…なんだよそれ……!」

 

抱え、背負っていた"運命"や"罪"が全て……思い悩んでいる事全てが"くだらない"と言う事を"肯定"するように頷く巧に対し、メテオは再び怒りを込み上げ、拳を震わせる。

 

「……なんだよそれ!!全部が全部"くだらない"だったら!今までそれらを全部抱えて、背負っていた俺がただの馬鹿じゃねぇかよ!!」

 

激怒……全てを否定され、今まで積み上げてきたものが全部崩れて行く事にメテオは受け入れられず、目の前にいる全てを否定した最愛の"兄"にその怒りを再びぶつける。

 

「……ああ、ただの馬鹿だよ、お前」

 

「……ッッ!!」

 

その"兄"から返ってきた答えはやはり"肯定"……。

 

全てを否定されたメテオは奥歯を噛み締め、巧を睨み付ける。

 

「………じゃあ…」

 

「…………」

 

「……じゃあ今までの事は全部無意味だったのかよ!!俺は何のために戦ってきたんだよ!!一体何の意味があって……!!」

 

 

 

「…………"自己満足"だ」

 

 

 

 

「………え?」

「……ただの"自己満足"、偽善とか独善とか言ったもんを全部引っくるめた、"自己満足"そのものだ」

 

 

 

 

これまでメテオがしてきたものは全部、ただの"自己満足"……。

 

 

これまで自身がしてきた事全てを最愛の"兄"にそう言われ、目の前が真っ暗になり、メテオは膝から崩れ落ちて行った。

 

「ただの……"自己満足"…!?じゃあ今まで俺がしてきた事は全部…"間違い"だったのかよ…!?」

 

「…………」

 

両手を草が生い茂る地面に着け、自問自答のように呟くメテオに巧は何も言わずにただ見下ろすように見つめるだけである。

 

「……"正しく"なかったんだ…俺がしてきた事は……全部…!」

 

 

 

 

 

「…………"正しい"のなら、それでいいのか?」

 

 

 

 

 

「………………え?」

 

「……正しければ、それでいいのかよ?"自己満足"が、そんなに"間違い"なのかよ?」

 

不意に返ってきた答え。

メテオは思わず頭を上げ、自身を見下ろす巧の顔を見つめる。その顔は怒っている訳でも、ましてや笑ってる訳でもない……相変わらずぶっきらぼうな顔のままである。

 

「…でも俺がしてきた事は全部、ただの自己満足だって……」

 

「自己満足で人を守っちゃいけねぇのかよ?……自己満足じゃ、人を救っちゃいけねぇのかよ?」

 

「…………」

 

「自己満足と言われたら……お前はそこで挫けるのかよ?」

 

「……っ」

自己満足?だからなんだ?と言わんばかりに次々とマシンガンの如く言葉を言う巧にメテオは何も言い返せない。

そんな彼を見て巧は……今最も彼が自身の中で一番に危惧している事を言い放つ。

 

 

 

 

「お前は……離れるつもりか?戦いそのものから、何に変えても一番に"守りたい奴ら"から?」

 

 

 

 

「っ!!」

 

思わずメテオは目を見開いた。

まるで心を読まれてるかのように、これまでで一番に確信を突かれた故に。それを見た巧は自身の考えが間違えではなかった事に、悲しい表情を浮かべた。

そんな彼から視線を外し、メテオは遥か地平線まで伸びて行く広大な草原を見て心を落ち着かせ、ゆっくりと言葉を紡ぎ出した。

 

「……わからなくなったんだよ俺…自分の仕出かした事全てを振り返って……『何をしてんだ?何がしたいんだ俺?』って、なって…"これまでの自分"が許せなくなってさ…」

 

「確かにな、ここに来るまでお前は決して許されない、褒められない事をずっとしてきたな…」

 

「…………」

 

「…わかるぜ、自分の事が許せないって気持ち…けど、もうそうやって自分を責め続けるのはもうやめろ、そんな事しても自分、ましてや"あいつら"だって悲しいだけだ」

 

「……わかってるよ、でも…」

 

「……割り切れないってか?…でも何となくだがわかるぜその気持ち」

 

「……え?」

 

「俺も、仮面ライダーとして、ファイズとして戦ってきて、色んな事を経験した…その中で、後悔しても、し切れねぇ事もあった」

 

後悔……そう言葉を出す巧の顔にはいつものぶっきらぼうな表情は無く、力強さと寂しさが混じった、そんな複雑な表情を浮かべていた。

そんな表情をする彼の顔を、メテオは上手くその言葉を引き出せなかった。

 

「…俺はファイズとして、誰かの……人間、オルフェノク、種族とかそんなの関係なしに必死で誰かの"夢"を守ろうと戦った、空っぽな自分を"夢"で埋め尽くす為に、我武者羅に近いほどな?……その中で守り、救えたもんもあれば守れず、救えなかったもんも数え切れない程あった……そして気付けば、たくさんの犠牲を払って俺は"夢"を掴んだ」

 

「……"世界中の洗濯物が真っ白であるように、みんなが幸せでありますように"…」

 

「その"夢"を掴むまでにたくさんの失敗や苦悩もあった…けど、"人"として、これ程胸に誇れたもんはないって断言出来るさ」

 

「…………」

 

 

 

 

ー"人として、ファイズとして"

 

 

 

 

嘗て、生前の頃に彼が不意にメテオに言った言葉。

メテオは彼の話を聞き、不意にその言葉が頭の中に過った。

 

「だからって訳じゃねぇけどメテオ、お前は"あいつら"から離れるべきじゃない」

 

「ッ!」

 

不意に掛けられた言葉に、思考の渦にのめり込んでいたメテオの頭は思考を急停止する。

 

「いつぞや言ったかもしんねぇが、昔っからお前は危ういんだよ、自分って奴がはっきりと保てず、激しく揺れてる」

 

「…………」

 

「俺は仮面ライダーとして、そう言った人間をたくさん見てきたつもりだ、自分の目的の為に動く奴、復讐の為に動く奴、たった一つの滅びで自分達以外の存在を消そうとする奴…そんな奴等の大半はどうなったと思う?……"選択"を誤って取り返しの着かねぇ所まで行っちまった」

 

「…………」

 

「……かく言う俺も、何度もその"選択"を誤って来た…俺のせいで人生を狂わされた奴だっていたさ」

 

「…………っ」

 

救われたものもいれば救えなかった、あるいは狂わされた。

彼の言葉にますますメテオは自分のしてきた"これまで"の事がわからなくなり、顔を俯かせる。

 

「……だからこそ、俺は今まで生きてこれたって、思ってる」

 

「……え?」

「過去の過ちってのはどうやっても覆せない、だからこそ、"今"を精一杯生きて、少しずつ雪いで行くしかねぇんだよ、どんな奴でも、出来ることは精々それぐらいしかない」

 

「"今"を……精一杯生きて…」

 

「お前は"これまでの自分"を許せなかった…なら、だからこそお前は逃げずに、受け入れろ……そして、改めて誓え、"自分が為すべきと思った事"を」

 

「改めて誓う……"自分が成すべきと思った事"を…」

 

ゆっくりとだが、その言葉を噛み締めるように言うメテオにそうだと巧は頷く。

 

「それに、よく考えてみろ?お前は一度決めた"信念"を…自己満足とかそんな言葉で挫ける程、脆いもんだったか?……"昔のお前"はその程度じゃ折れなかったぜ?」

 

「ッ!」

 

 

 

『うっせぇ!!俺がやるって決めたんだ!いちいち口出すんじゃねぇ!!』

 

 

 

巧の言葉によって蘇る"嘗ての自分"……彼に言われ、メテオは自身の胸に手を当てて目を閉じた。

 

(……言われてみればそうだったな…"あの頃の俺"はどんな事があっても周りの事なんざお構い無しに、"自分がそうだと思った事"を貫き通していた……)

 

何故忘れていたんだろうか?いつからこんな弱気になっていたんだろうか?

ふと昔の事を懐かしむように目を閉じて思い出すメテオの顔には笑みが溢れていた。

 

(……なんだ、簡単だったじゃねぇか…)

 

何を深く考えていたんだろうか?何故こんなにも身近にあった"大切な事"を忘れてしまっていたんだろうか…。

 

 

『何も見えなくて……わからないからこそ……今歩いている道から……目の前で見えてるものから目を逸らしちゃいけないんだ……』

 

 

『だからこそ俺はその場で立ち止まるより、目の前にある道を進む方を選ぶ……今は今をしっかり見据えてな』

 

 

『俺の力をどう使うかは……俺が選ぶ!!』

 

 

 

("あの時"ミッチに思いっきし啖呵を切ったじゃねぇか…)

 

 

 

ふと懐かしむように思い出す……メテオの友人に自身が言い放った言葉。

あれこそがメテオ自身が求めていたもの……あれこそが……。

 

 

 

 

 

 

メテオが望んだ……"答え"……。

 

 

 

 

 

 

「……いい目付きになったじゃねぇか?…"あの頃"に戻ってきたんじゃねぇか?」

 

「……ああ、むしろ何で忘れちまったのか、不思議なくらいだ…」

 

"答え"を見つけたメテオの顔付きを見て巧は不敵に笑みを溢す、それに釣られるようにメテオも同じく、不敵な笑みを溢した。

 

「うだうだと考えるのはやめだ、俺は俺が信じた道を走る……正しかろうと間違いだろうとなんだろうとな?」

 

「……それが自己満足だとしてもか?」

 

「関係ねぇ、人を守るのに、救うのに自己満足だとか、偽善とか独善とか気にしてたら何も出来ねぇだろ?」

 

「……確かにな」

 

「ああ、だからこそ俺はそんな"ごもっともらしい"事言う奴にこう言ってやるんだ……」

 

 

 

 

 

ーーー"それがどうした?"ってな?

 

 

 

 

 

問答を繰り返す巧にメテオは迷う事なく答え、そして最後にそう言うと巧は満足そうに笑う。

 

 

ーーー人間は悪意の塊だ

 

 

それがどうした?

 

 

ーーー人外は人間に害をもたらす存在

 

 

それがどうした?

 

 

ーーーお前のやってる事はただの偽善だ

 

 

それがどうした?

 

 

ーーーお前達のやってる事は全て間違いだ

 

 

それがどうした?

 

 

 

 

 

ーーーお前は何も守ることも救うことも出来ない

 

 

 

 

 

 

それがどうした?

 

 

 

 

 

 

一見するとこの言葉はまるで開き直りだとか、身勝手と思われがちだろう……だが、そんな事を言っても今のメテオはこう返すだろう……。

 

 

 

"それがどうした?"と……。

 

 

 

「……なぁ、メテオ…」

 

「ん?何、巧兄さん?」

 

長い時間とも言える年月を掛けてようやく見つけた"答え"を見いだしたメテオに巧はふと、死んでからずっと言えなかった事を言おうと徐に口を開いた。

 

 

 

 

「お前は……俺が"兄"で良かったか?」

 

 

 

ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー

 

 

 

『……お前、どうしたんだよ?その傷……だいぶ酷ぇぞ』

 

『……あんたには関係ないだろ』

 

初めて彼ら"兄弟"が出会ったのは地球にある、とあるクリーニング屋。

そこで店員として働いていた当時の巧はいつものように勤務しようと店に向かい、その店の目の前で倒れているメテオを見つけたのがきっかけだった。

傷だらけの姿で地面にうつ伏せに倒れているメテオを介抱し、目が覚めた彼が巧を見て警戒するように睨み付け、そんな彼を見た巧がそう言い放ったのが今の彼らの関係の始まりであった。

傷だらけで動けないメテオをこのまま放っとく訳にもいかず、仕方なしに店へと運んでその店の店長に事情を話し、治療を施すも、メテオは変わらずに警戒するように睨み、全く他人を寄せ付けないようにしていた。

そんな彼が行き場所がないと知ってやむ無しと巧の家に住まわせ、何度か一悶着所か衝突し、メテオが彼らに心を開くまで一月掛かった。

そんなやっとの事で心を開いたメテオから倒れていた理由を巧は聞き出し、言葉を失った。

何せメテオはダークトゥダークネスと言う謎の組織に住んでいる所を滅ぼされ、そこに一緒に住んでいた子供達や祖父母が殺され、自身はその組織によって"改造人間"にされ、危うく脳改造をされる所を隙を見て、一年間もの逃亡生活をしていたと言ったからである。

当時13歳だったメテオはその事を思い出すように話し、涙を流していた。

家同然として過ごしていた孤児院が滅ぼされ、家族同然に暮らしていた祖父母や子供達が殺されるのを黙って見ているしか無く、自身が人間で無くなった事全てに……己の無力さを悔しがるように、滅ぼした組織を憎むように涙ながらに巧達に話した。

そんな彼を見て巧は嘗ての自分と重ねた。

 

嘗ての自分も一度は死に、オルフェノクとして蘇って人間では無くなり、心の奥底に眠る"本能"が、いつか誰かに牙を向くことを恐れ、人と距離を取っていたあの頃と、今のメテオの境遇がそれと似ている事に…。

 

だからだろうか。

 

だからこそ巧は、自身と同じ存在……"仮面ライダー"となって今なお戦う仲間達にメテオを紹介したのは…。

 

気付けば彼を強くしようとか、彼を"弟"にしようとか、あれよあれよと事が進み、いつの間にかメテオは自分を初めとした仮面ライダー達の"弟"として日夜彼の特訓に励んでいた。

巧は最初こそ戸惑いはあったものの、何やかんやで悪くないと思い、彼の特訓に混じっていた。

そしてメテオも、そんな巧に惹かれ、気付けばいつも彼の背中を追っていた……そんな彼らが"似た者同士"と周りに言われるのにそう時間は掛からなかった。

それに対して巧は嫌そうにしてたが、満更でもなかった。

メテオもまた、嫌ではないと思っていた。

 

……やはりこの二人は"似た者同士"だった。

 

このままこの時間が一生続けばいいと、巧とメテオはそう思っていたが、運命はそれを許さなかった。

 

巧の"死期"が近付いて来たのである。

オルフェノクである巧にファイズの力は"毒"であり、彼の体を着実に蝕んでいた。

ファイズの力を酷使し続けた巧は、手から溢れ落ちる"砂"を見て自身の"死"を悟った。

だからだろうか?

 

 

 

"あの時"、メテオに自身が見いだした答え()を託したのは……。

 

 

ある日、何気無くメテオを散歩に連れて歩き、共に寝そべったあの川原にて、語り合った"夢"…。

 

今あるもの全てに嫌気を刺していて夢も、信念も、覚悟も、希望も無く、宛のない人生をただ生きる人形だと自虐するメテオに巧は託す事にした。

 

自身の"夢"を……。

 

 

 

『俺の"夢"、お前が受け継いでくれないか?』

 

 

 

 

自身に残された"時間"も少なく、巧は徹底的なまでに卑屈し、自己否定をする目の前の"弟"……メテオにそう言って彼に"夢"を託した。

そしてメテオもまた、こんな"空っぽ"な自分に託してくれる"兄"の思いを受け、受け継ぐ決意を決めた。

 

その会話を最後に、巧は満足そうにこの世を去った。

 

ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー

 

 

「もう一度聞くぞメテオ……お前は、俺が"兄"で良かったか?」

 

そして今、この世を去った兄にそう問われ、メテオは考え込む。

 

彼が……乾巧がメテオ・ソルヒートの"兄"で良かったか?

 

その問いにメテオは一度瞳を閉じて考える。

 

 

ーーー彼に助けられたこの命……。

 

 

ーーーいつまでも追いかけたかった背中……。

 

 

ーーーそんな彼から託された"夢"……。

 

 

 

乾巧と出会い、"兄"である平成ライダー達と出会い、その最中で幾つもあった出会いと別れ、そして新たにゲイムギョウ界に来て出会ったネプテューヌ、ネプギア、ノワール、ユニ、ブラン、ロム、ラム、ベール、アイエフ、コンパ、カズマ、ソル、絵美とプルルートにピーシェ…そして異世界で出会った天条宗谷、イストワール、ヒロム、稜牙、新田巧…そしてヴィクトリオンに最愛の人シンシア……。

 

全ては(乾巧)に命を助けられてから出会えた……。

 

もし巧と出会えなかったら今の自分(メテオ・ソルヒート)はどうなっていただろうか?

 

こうして今と同じような出会いに巡り会えただろうか?

 

恐らくそれは"否"……こうして今の自分でいるのは目の前にいる"乾巧()"のお陰だから……。

 

「……そんなの、当たり前だろ?」

 

だからこそ、心から彼に感謝をメテオはしていた。

彼がいたからこそ自分がいて、ネプテューヌ達と出会い、異世界の仲間達と絆を繋げられた……。

だからこそ、彼に感謝をしたい。

 

 

 

 

「巧兄さんと出会ったからこそ……今の俺がいる、夢も、信念も、覚悟も、希望も、何も背負えなかった空っぽな俺に夢を託してくれたあんたがいてくれたからこそ、今の俺は誰かの為に戦える……"本能と言う信念"に従って前へ進める…………あんたが、俺の"兄貴"で本当に良かった……ありがとう、巧兄さん」

 

 

 

 

 

精一杯……不器用ながらも精一杯の感謝を込めた弟からの言葉…。

その言葉を言うメテオの表情は、これまでずっと、ずっと心に縛り付けるようなものから解き放たれ、とても晴れやかとなったように柔らかく、穏やかな優しい顔だった。

 

その事に巧は目を見開いた。何せいつも機嫌が悪そうな……所謂不機嫌面をしていて、笑うとしても苦笑だったり、微笑み…それも口元を緩ませる程度の……だったあのメテオが心からの…最も人間らしく感じる"笑顔"を見せたのだから…。

 

「………お前、そんな顔が出来たんだな」

 

「あんたが死んでから色々とあったんだよ巧兄さん……それも"笑顔"なんてのを捨てるくらいに…」

 

「……大変だったんだな」

 

「兄さん程じゃねぇさ」

 

そう言ってメテオはパーカーの懐に手を伸ばし、ある物を取り出す。

取り出した"箱"から一本、棒のような物を取り出して口に加え、同じくパーカーの懐に入れていたそれで火を出し、口に加えたそれに火を着ける。

 

「………また吸うのか?"煙草"」

 

「……ああ、"あの時"以来…自分を戒める意味としてやめていたけど…もう戒めるのはやめだ…これはその戒めとの……決別だ」

 

ふぅ……と口に加えた"煙草"から吸いとった煙を吹き出し、空を仰ぐメテオ。

そう、これは今までの自分との"決別"…。

"玲奈"を殺し、一億人を殺してしまった"あの時"に決めた自分への"戒め"…。

その戒めるとの決別の為にメテオは一度やめた煙草をまた吸い出したのである。

 

「……それを持ってたって事は……"あれ"、も大事に持ってんだろお前?」

 

ふと思い出したように巧は聞き出し、メテオもそれに頷いてまたパーカーの懐に手を入れる。

 

「当然だろ?あんたに託された夢と……"コイツ"を手放す訳ねぇだろ?」

 

そう言って取り出した物は灰色と黒の色合いをした…ゲイムギョウ界、ましてや地球としても珍しい"折り畳み式携帯"。

懐かしむように見つめる巧は、メテオがそれを持っていてくれた事に思わず頬を緩ませる。

 

「………まだ持っててくれたんだな、それ」

 

「当たり前さ、"コイツ"が俺と巧兄さんの………"絆の証"だ」

 

 

 

"ファイズフォン"……あの日、巧が死ぬ間際にメテオに託した自身の変身アイテム。

 

 

 

死んでもなお、彼が自分の中に居続ける為にメテオはそれを大事に懐に入れていたのである。

 

「……メテオ」

「……なんだよ、巧兄さん?」

 

「今回だけ、お前の"本当の力"を引き出してやる」

 

「………え?」

 

そいつ(ファイズフォン)をいつもスイッチに入れてる所に差し込め、そうすればお前は一時的に解き放つ……"可能性の獣"を」

 

「ッ!?それって……!?」

 

"可能性の獣"……ここに来る前、その前にカズマが言っていた仮面ライダーストームの…"神殺しではなく、救世主(ディセンダー)としての力"…。

その言葉を聞き、メテオは驚きの表情を見せ、戸惑い始める。

 

「巧兄さん……どうしてその事を…?」

 

知ってるんだ?…そう聞こうとするも、突如メテオの体が白い光に包まれて行き、足から徐々に粒子となって消え初めて行く。

 

「……そろそろ時間か…」

 

「時間って……」

 

「いつまでもここにいるなって事だ…大丈夫だメテオ、お前はもう"答え"を見つけただろ?」

 

「…………」

 

巧の言葉通り、そろそろメテオはこの空間から出て行くのか、徐々に視界が薄れて行く……最愛の兄との別れにメテオは惜しむように悲しい表情を浮かべる。

 

「巧兄さん……」

 

「ん?」

 

「……本当にありがとう」

 

「……ああ、俺も…お前が俺の弟で……」

 

 

 

 

 

ーーー本当に……良かった

 

 

 

 

 

その言葉を最後に、メテオの体は全て粒子と化してこの空間から消えていった。

 

 

 

 

 

 

「……頑張れよ、"God May Cry(神も泣き出す)"の称号を受け継ぐ俺の……自慢の弟…」

 

メテオが消えて行き、一人この広大に広がる草原の空間に取り残された巧は、ボソッと呟くように独り言を言う。

 

「……いいの?大切な弟さんとの会話があれで最後で?」

 

「………いいんだよ、そう何度もここに来られても迷惑だし」

 

そこに少女らしき幼い声が巧に問いかけて来る。

巧は、何処か寂しそうな顔を浮かべるも、満足そうにその声に言う。

 

「……そうなんだ…けど良かったの?あの"称号(God May Cry)"は"たっくん"が持っていた、この世全てにおいて唯一一人しか持っていないものだよ?」

 

「いいだろ別に……後、たっくん言うな」

 

「え~?いいじゃんいいじゃん!ここにはあたしとたっくんしかいないんだし!その仲でしょ!」

 

「俺は嫌なんだよ、それに……死んだ俺が何時までもあの称号を持ってても仕方ねぇだろ?だったらあいつに託した方がいいと思っただけだ」

 

「む~!あれはあたしが直々にたっくんにあげた称号なのに~!」

 

「ならその称号を俺があげても良いだろうが」

 

仲ましく会話をする巧とその少女の声……端から見ると巧一人がブツブツと言っているようにしか見えないが、巧は後ろへと振り向き、いつの間にそこにいたのか…その声の正体と思われる"一人の少女"へと顔を向ける。

 

「全く、なんでこんな奴が……」

 

 

 

 

 

「創造、破壊、概念、輪廻、(ことわり)……万物に神や人類全てを生み出した"原初神オリジンハート"なんだかな……」

 

 

 

 

「あー!今あたしの事バカにしたでしょたっくん!?」

 

「そりゃそうだろ、全ての神々や人々を生み出した奴がこんな奴だなんて……士や紘汰だって初めて知ったときひっくり返ったし、あの冷静沈着な総司や天然な映司に翔一に剣崎だって開いた口が塞がらなかったんだからな!」

 

「翔太郎や晴人だって『マジか…』なんて驚いてたし、弦ちゃんだって『神様少女キターーー!?』って、訳わかんない事叫んでたよね?」

 

「それくらいにお前の存在に驚いたんだよ!"セガミ"!!」

 

その少女……"瀬賀 初美"こと"セガミ"は疑うような眼差しで見る巧にじゃれ合うように抱き着き、巧はうっとおしげな態度で押し退けようとする。

 

「……ねぇ、たっくん?」

 

「たっくん言うなセガミ……なんだよ?」

 

「あの子は使いこなしてくれるかな?……私の"願い"を…」

 

ふと、セガミは巧とじゃれ合うのを止め、先ほどこの空間から消えていったメテオの事を思い浮かべる。

自身の"願い"……"可能性の獣"を身に宿すメテオは果たして使いこなしてくれるか、その事に不安を感じるように巧の顔を覗くように見つめる。

 

「……大丈夫さ、セガミ」

 

そんなセガミを安心させるように巧は彼女の頭に優しく手を乗せた。

 

「あいつは俺の自慢の弟さ……きっとやってくれる」

 

そう信じてるから…口には出さないが、そう信じてる巧はメテオの事を思い馳せるのであった。

 

 

ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー

 

 

 

 

 

『う" あ" あ" あ" あ" ぁ" ぁ" ぁ" ぁ" ッッッ!!』

 

時は現実に戻り、メテオのゲイムギョウ界、プラネテューヌとラステイションの境目にある廃工場。

工場入り口前にて鎮座し、立ち塞がるように出で立つマシンデストロイヤー。

そのマシンに無理矢理乗せられ、今もなお大量の薬物を投了されるシンシアは苦し気に叫びを上げ、マシンデストロイヤーもそれに合わせるように駆動音を鳴らしながら空を仰ぐ。

そのマシンデストロイヤーの足下では何とかしてシンシアを助けようとするイストワールとアイリスハートの姿があった。

 

「シンシアさん…」

 

「ダークネス…!本当に根性が品曲がった連中ばかりね……!!」

 

何とか方法を見つけようとする二人だが、いかせんマシンデストロイヤーの装甲は堅い……いくらイストワールが魔法をぶつけようと、アイリスハートが蛇腹剣で斬り付けようと傷一つ付けることが出来ない。

 

このままではシンシアが……!

 

その気持ちが高まり、二人は焦るも、マシンデストロイヤーの装甲と圧倒的過ぎる程の火力を前に為す術がなかった。

 

「おぅらどうしたぁ!!勇者様ってのも所詮名ばかりかぁ!?」

 

「ぐっ……っ」

 

そして同じく苦戦するものがここに一人。

天条宗谷が変身するクロス・ヴィクトリーはダークネス四天王の一人、ファートゥス・クライムが変身するハイブリッド・デスサイズの狂気に満ちた攻撃と能力の前に防戦一方。

現にデスサイズの持つ能力の一つ、腕や足と言った体全体がゴムのように伸縮自在に動く"軟体体質"によって伸びた腕に持った大鎌リッパーが振り回され、自身の愛剣で防ぐので手一杯である。

戦況が不利なのは誰から見ても明らか、ヒロムが変身するバニシングハートと絵美が変身する仮面ライダーマッハは、ファートゥスと同じダークネス四天王の一人、シャット・ザ・ハードが変身する仮面ライダーデューク・魔王と戦い、マッハが負傷してバニシングハートが奮闘中。

カズマが変身する仮面ライダーナイツも四天王とほぼ同等の実力を持っていると言っても過言でない力を持つ改造されし悪魔達(カスタム・デビルズ)の一人、隊長死男(キャプテン・フランケン)との一騎討ちで押され気味、戦闘員や怪人達の群れと戦うアイエフが変身する仮面ライダー竜華とネプギアことパープルシスター、ソルの3人も数の暴力によって苦戦。

メテオとネプテューヌことパープルハートに至ってはデスサイズによって戦闘不能の致命傷を負わされると言う最悪な事態。

 

「まだ……まだだ…!」

 

「……あぁん?」

 

だがそれでも諦める訳にはいかない。

地面に片膝を着き、赤剣を杖代わりにするクロス・ヴィクトリーはダメージと疲労によって思うように動かない体に鞭を打って立ち上がる。

デスサイズはそれを気に食わなそうに、忌々しく睨む。

 

「こんな所で諦めるのは柄じゃない…!」

 

「………ふーん」

 

力を込めて立ち上がるクロス・ヴィクトリーの言葉にデスサイズはうっとおしげに見つめる。

 

「確かお前さん……"救う"為に戦うんだったか?」

 

「ああ、そうだ…!」

 

ふと何かを思い出したかのように立ち上がるクロス・ヴィクトリーに訪ねるデスサイズ……その顔はまるで面白いことを思い付いた無邪気な子供のように…。

 

「俺が戦うのは……何があっても見捨てない、何があっても救う…守る為に、守り抜く為に…!」

 

「………違うなぁ…お前さんは…」

 

 

 

 

 

「心の中では殺戮や心をへし折る事を楽しんでんだよ」

 

 

 

 

 

「なんだと…!」

 

「現にこの戦いの前に戦った……"ブレイズ"だったかぁ?あいつの戦う理由を…心を"へし折った"だろ?」

 

ニタァ……と不気味なまでに笑うデスサイズの言葉にクロス・ヴィクトリーは言葉を詰まらせる。

 

俺がブレイズの……"達馬"の心をへし折った?

 

「だってそうだろ?あいつは娘を生き返らせたいって気持ちで必死だったんだ…それこそ他人を蹴落としてでもなぁ?」

 

「でもそれじゃあ娘さんが…!」

 

「ああ、悲しむだろうよ?けどなぁ……それでも娘を生き返らせたい、生き返らせなきゃならないほど、あいつは"追い込まれてた"んだぜぇ~?」

 

「………え?」

 

「あいつには"時間"がなかった……残された"時間"がなぁ……詳しい事情も知らずに必死こいてやって来た事を否定されるなんて酷ぇ話だよなぁ……?」

 

あぎゃぎゃぎゃぎゃ!と笑うデスサイズにクロス・ヴィクトリーの頭の中は混乱していた。

 

追い込まれてた?達馬が?時間がなかった?あいつが?

 

「……どういう事だ」

 

「そのまんまさ!あいつには残された命が短かった!それこそ、他人を蹴落としてでも娘を生き返らせたいと願う程になぁ………お前さんはその命短い奴の願いをぶっ壊しちまったんだよ!」

 

「だったら尚更娘さんを生き返らせたら……」

 

「そう!どの道にしろ、悲しんでんだろうなぁ娘さんは?だがあいつはそれでも娘に一目会いたかったんだろうよ!"創造の審判"による願いでなぁ!!」

 

「………!」

 

「お前はその願いをぶっ壊した!自分の"偽善"で!"自己満足"でなぁ!!あぎゃぎゃぎゃぎゃぁッ!!」

 

 

自分が達馬の切なる"願い"を壊した。

 

 

自分の"偽善"で…。

 

 

自分の"自己満足"で…。

 

 

 

その事にクロス・ヴィクトリーは、宗谷は目の前が暗くなって行き、膝から崩れ落ちて顔を俯かせた。

 

「あぎゃぎゃぎゃぎゃ!!所詮誰かを救うなんてぇのはよぉ……そいつを苦しませる事でしかねぇんだよ!お前はブレイズを!達馬の旦那を生き地獄へと導いちまったんだよ!テメェの"守る"意思が!"救う"意思が!あいつをより苦しませる一方になったんだよぉ!!」

 

「…………」

 

何も言えない、何も言い返せない。

 

顔を俯かせたままピクリとも動かないクロス・ヴィクトリーにデスサイズは高笑いを上げた。

 

「……興醒めだ…そろそろ御宅もダークネス(うちら)にとっちゃ目障りな存在になってきたからよぉ……ここいらでその首を貰い受けるぜぇ!!」

 

心が折れ、戦う意思を失ったクロス・ヴィクトリーにデスサイズはトドメを刺そうと降ろしていたリッパーを振り上げる。

 

狙いはクロス・ヴィクトリーの、宗谷の首……当たれば宗谷の首は狩られ、ダークネスへの手土産となるであろう。

内心そうほくそ笑むデスサイズは天高く掲げたリッパーの刃を宗谷の首に向け、振り下ろそうとした。

 

 

 

 

 

 

「それがどうした?」

 

 

 

 

 

 

「……………………あん?」

 

「…………」

 

ハッキリと、先程までデスサイズが宗谷の心を折る為に言った言葉を否定する"声"…。

 

その声にデスサイズはピタリと、後もう少しで宗谷の首を狩らんと振り下ろしたリッパーを止め、宗谷は…クロス・ヴィクトリーは俯かせていたその顔を声がした方に向ける。

 

「………メテ…オ……?」

 

「情けねぇぞ宗谷、"あの時"……達馬の、ブレイズの力に弱気でいた俺やヒロムに啖呵切った奴がそんな様で」

 

「テメ…!俺に腹を貫かれて……!?」

 

「そんな事はどうでもいいだろファートゥス?肝心なのはそんな事じゃねぇよ…」

 

その"声"……メテオはいつの間に口に加えた煙草を吸い、貫かれた腹部の痛みをものともしないかのように立ち振る舞って悠々と歩く。

 

プハァ…と口から紫煙を撒き散らしながらも、闘志を秘めたその瞳を瞬きで閉ざす事なく、クロス・ヴィクトリーとデスサイズの二人との距離を目と鼻の先まで歩いて立ち止まる。

 

「肝心なのはそれが偽善や自己満足だとかじゃなく…自分が"信じた事"、"やりたい事"かどうかだろ?」

 

「あぁ……?」

 

「…………?」

 

「宗谷……お前が達馬を止めた事が偽善や自己満足とかどうとかじゃなくて、自分が"そうしたい"って思った事なのか…肝心な事はそれだけだろ?」

 

「…………俺は…達馬の願いを……」

 

「達馬がどうとかは関係ねぇ、あれがお前が本当にそうしたかった事なのかが聞きてぇんだよこっちは」

 

吹かした煙草を再び口に加え、じっとクロス・ヴィクトリーを見つめるメテオ。その瞳はいつにもなく優しく、だが心臓を鷲掴みする程に鋭い。

 

言い逃れとかはするな、逃がさねぇぞ。

 

口には出さずとも、まるで目でそう訴えてるような彼の白き瞳にクロス・ヴィクトリーは目を離す事が出来ない……いや、それが許されなかった。

 

「……俺の…本当にそうしたかった事……」

 

 

 

 

『……ヒロム、メテオ……俺、決めたよ……』

 

 

 

『…………俺は、あいつを…………ブレイズを"救いたい"…………』

 

 

 

 

 

不意に脳裏に浮かぶあの戦いの"記憶"……。

 

"救いたい"……とある理由で戦いを挑み、否…挑まざるを得ない程まで必死だった強敵を前にして戦友の二人に向けて言った自身の言葉…。

 

どうしてそう思ったのか、何故そうしようと思ったのか……クロス・ヴィクトリーは、宗谷は必死に自身の頭の中で自問自答を繰り返す。

 

 

本当の"ハッピーエンド"を迎える為にはどちらかが倒れるなんて選択肢は間違ってる。

 

 

 

(…………あ…)

 

何を考えてたのだろうか?何故ここで立ち止まってしまったのか?何故こんな事で心が折れてしまったのだろうか?

 

あの時既に自身で出していた"答え"を思いだし、宗谷は俯かせていた顔を上げた。

 

「…………"答え"、出たんだな宗谷…」

 

「……ああ」

 

それを見たメテオもニヤリと笑い、それに釣られてクロス・ヴィクトリーも仮面の下でニヤリと笑って立ち上がった。

 

「……"救いたい"…それこそが俺の"答え"……例えそれが間違いだとしても、俺自身がそうしたいと思ったからだ…」

 

「…………」

 

立ち上がり、自身の足に力を入れて真っ直ぐにいるデスサイズにハッキリと言うクロス・ヴィクトリー。

それを隣で聞くメテオは何も言わずに目を瞑り、口に加えた煙草を手に取り、フー…とゆっくりと煙を吹き出す。

 

「だがそれはテメェの偽善!自己満足だろうが!その自己満足のせいでブレイズは今も何処かで生き地獄を……」

 

「……"それがどうした?"」

 

その言葉を否定しようと叫ぼうとしたデスサイズを黙らせるようにメテオはゆっくりと目を開けて告げる。

 

「…………何?」

 

「……それがどうした?って、言ったんだが?……確かに、こいつの言ってる事は単なるこいつ自身の"自己満足"だ……決して正しいとは言えねぇ…」

 

「なら……!」

 

 

 

 

「だが"間違いでもねぇ"」

 

 

 

 

「…………ッ!?」

 

「そもそも"正しい"とか"間違い"だとか……"誰が決めた"?…世の中算数の『1+1=2』のように絶対に正しい事なんてねぇ…法律とかだって、所詮は政治家とかの人間が決めた"曖昧なルール"でしかねぇんだよ」

 

「…………メテオ?」

 

「人間……いや、神だって、『絶対にこれが正しい』なんてものは決められねぇ…所詮は皆"曖昧な物事"しか決められない……何せどれもこれも全部、"自己満足"でしかねぇんだからな?」

 

法律……"曖昧"な者達が決めた"自己満足"なルール。

 

戦争……自分こそが"正しい"と言う自己主張のぶつかり合いにおける"自己満足"の為の争い。

 

差別……自分とは"違う"とありもしない"決め付け"による一方的な"自己満足"の中で行われる風評被害。

自己満足自己満足自己満足自己満足自己満足……そう、この世全て…あるもの物事全てが…。

 

「所詮はテメェの"自己満足"で出来た…"曖昧"なもんなんだよ、だから……」

 

 

 

 

ーーーこの世に絶対に"正しい"や"間違い"、ましてや絶対的な"正義"や"悪"なんて存在しない

 

 

 

 

 

そう言いのけたメテオは煙草の火を消してパーカーのポケットの中に入れ、パーカーの懐から煙草の箱を取りだし、そこから一本の煙草を取り出して口に加え、火を着ける。

 

「…………あぎゃ…あぎゃぎゃ…」

 

「…………なんだよ、それ…」

 

「あぎゃぎゃぎゃぎゃ!!正しいも間違いも…ましてや正義も悪もねぇ!?ならお前さんらが今まで戦ってきたのはなんだったんだよ!自分で自分のしてきた事の自己否定だろ兄弟ぃ!!」

 

ずっと黙っていたデスサイズが腹を抱えて笑いだし、先程までメテオが言った言葉を指摘し出す。

クロス・ヴィクトリーも、何故戦友の…ましてや自身が憧れている仮面ライダーに変身するこの男がここまで言うのかが理解出来ずに混乱し出す。

そんな二人を前にメテオは顔色一つ変える事なく、煙草を吸い、ゆっくりと煙を吹き出してその強き瞳をデスサイズに向けた。

 

「……決まってんだろ…それは……」

 

 

 

 

 

 

「己が"信念"の為だ」

 

 

 

 

 

「………信…念……?」

 

「ああ……宗谷、ファートゥス…そして、ここにいる奴ら…いや、何処かで見ているゼ・オや神々その他諸々も…よく耳をかっぽじって聞いておけ…」

 

戸惑うクロス・ヴィクトリーにメテオは頷き、煙草を足下に落としてその煙草を自身の足で踏み潰して消し、大きく息を吸い込んだ。

 

「俺が今まで戦ってきたのは正義だとか、世界を救う為だとか、そんな大層なもんなんかの為じゃねぇ!!俺は……"誰かの夢や幸せを守る"って言う"信念"の為だ!!」

 

自身の戦う理由、信念を……この廃工場一帯にいる者達だけならず、遥か地平線の先、さらには天よりも遥か先に向けてメテオは叫び上げる。

 

「そこには偽善だの、自己満足だの……そんなもんは関係ねぇ!!それがどうした!!俺は俺が"そうしたいと思った"から!その"本能"に従って動いているだけだ!!それが正しい事だろうと間違ってる事だろうとどうだっていい!!それで地獄に落ちようがなんだろうが!さらに底まで堕ちようが関係ねぇ!!むしろ……上等だ!!」

 

ありったけの声で、喉が張り裂けようともお構い無しと言わんばかりの勢いでただ叫ぶ、この世界、いや、全ての世界にいる者に向けて……告げる。

 

「世界の概念だぁ!?世界の(ことわり)だぁ!?世界のルールだぁ!?知ったことか!俺は俺が守りたいと思った"夢"や"幸せ"を守る!!例えそれが別の誰かの夢や幸せをぶっ壊す事になっても、俺は立ち止まらねぇ!迷わねぇ!後悔はしねぇ!!自分が"信じる道"を貫く!!」

 

「……!これ以上テメェの御託なんぞ聞いてられっかよ兄弟!!」

 

これ以上は堪らないと思ったデスサイズは、叫ぶメテオを止めようとリッパーを構えて走り出す。

 

「これまでも…そして、これからも俺は!誰かの夢や幸せを守る!今は今を見据えて、後悔しない為に!見えない"未来"なんかに!すがり付いてくる"過去"なんかに怯えたりしねぇ!!変わらねぇ…変えちゃいけねぇ俺の…俺の"思い"……見過ごせない"今"の為にこれからも俺は戦い続ける!!そこに何があってもな!!」

 

「もう黙れや!兄弟ぃぃぃぃいいいいい!!」

 

「ッ!?メテオ!?」

 

眼前までにデスサイズはメテオに迫り、 その手に持つ死神の大鎌(リッパー)を振り上げ、その叫ぶ喉元を切り裂かんと振り下ろす。

クロス・ヴィクトリーはそれに気付き、未だに叫び続けるメテオの名前を叫ぶが、もう間に合わない…。

だが……。

 

「……それが!!」

 

「なっ……!?」

 

メテオはその振り下ろしたデスサイズの両肘を持ち上げるようにして抑えて阻止し…。

 

「俺の決して変えねぇ……曲げねぇ……決して"揺るがぬ信念"…!!」

 

「あっ……な…!?」

 

まさか止められるとは思わず、動揺するデスサイズをメテオは睨み付け…。

 

「テメェらのような"最もらしい"事を言う奴にはこう言ってやるさ……」

 

歯を食い縛り、大きく勢いを付けて頭を振りかぶるメテオはそのまま…。

 

 

 

 

ーーーゴスッ…!

 

 

 

「ごぐ…がぁ……!?」

 

「……"それがどうした?"ってな…!」

 

デスサイズの顔面に頭突きを入れた。

 

頭突きを食らったデスサイズは大きく後退し、顔を抑える。

 

「そう言う事だファートゥス…俺は……」

 

頭突きをした体勢をゆっくりと戻し、パーカーの懐に手を入れるメテオは顔を抑えて呻くデスサイズを見つつ、ゆっくりと懐からあるものを取り出す。

 

「相手が神だろうと、神をも殺す化け物だろうと、何者だろうと、俺は怯まねぇ…恐れもしたりしねぇ……!」

 

「……それは…!」

 

メテオが取り出した"それ"にクロス・ヴィクトリーは反応する。

「数を百だろうと、千だろうと、万だろうと、億だろうと引き連れても構わねぇ…上等だ、まとめて相手してやる」

 

"それ"をメテオはゆっくりと、"5・5・5"と入力して行く。

命の恩人で、大切で、憧れて、いつまでも追い掛けたい背中を持っていた"兄"から託された"それ"を、"それ"に託された思いを噛み締めるように…。

 

「……お前、何で"それ"を持ってんだよ…!?」

 

「…………」

 

驚愕……とも取れる表情を仮面の下で浮かべるクロス・ヴィクトリーの問いに答える事なくメテオは"それ"に"ENTER"のボタンを押してゆっくりと閉じ、頭上に掲げる。

 

嘗て、兄がいつも取っていた"構え"を真似て…。

 

その"構え"をするメテオの姿にクロス・ヴィクトリーは、宗谷は……"あの戦士"に変身する青年の姿が重なって見えた。

 

《standing by…》

 

「……変身!」

 

《complete》

 

そして、メテオは"それ"を……"ファイズフォン"を何時もはスイッチを差し込む為のソケットに差し込んだ。

 

 

 

 

《awaykening》

 

 

 

 

すると、差し込んだファイズフォンから"淡い緑の光"が溢れだし、ファイズフォンを中心にメテオの体を包み込み始める。

"光"に包まれたメテオの体が変化し始める。

 

始めに、メテオの姿が何時も彼が変身する仮面ライダーストームとなり、尚も"光"は彼のベルトを中心に輝き続ける。

すると、ストームの上半身のダイヤモンドのような輝きを放つ鎧と、下半身の脛に連なる銀色のプレートが弾け飛ぶ。

 

弾け飛んだ鎧などの代わりに、何処からともなく"白い装甲"がストームの全身を覆い、機械的なフォルムを持つシルエットへと変わって行く。

 

さらに、バッタを模した仮面にも、覆うように"白い装甲"が纏わり着き、複眼も口元のクラッシャーも見えなくなって別の顔の形へとなって行く。

 

顔から足まで全身全てが"白い装甲"に覆われ、ストームの姿としての原型が消えた"何か"がそこに仁王立ちして佇む。

 

だが、メテオの…ストームの変化はこれで終わりではなかった…。

 

 

ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー

 

 

プラネテューヌ教会。

その屋上のテラスにて今もなお、神殺しの一人、仮面ライダーフリーズと激戦を繰り広げているメテオ達の帰りを祈るように待つイストワールの姿があった。

 

「……ネプテューヌさん、ネプギアさん、アイエフさん、カズマさん、絵美さん、ソルさん、宗谷さん、別世界の私、ヒロムさん…そして、メテオさん…」

 

共に戦えない不甲斐なさを感じながらも今は祈るしかないと両手を組んで祈るイストワール。

 

「い、イストワール様~!大変です!大変です~!」

 

そこに、慌ただしい様子のコンパがやって来た。

かなり切羽詰まっているかのようなただならぬ様子に祈っていたイストワールは何事かと振り向く。

 

「どうしたのですかコンパさん!?」

 

「き、き、教会の…教会の地下奥深くに仕舞っていた"ゲバハーン"が…"ゲバハーン"が……!!」

 

 

 

 

「何処かへ消えてしまったんです!!」

 

 

 

 

「……え?」

 

"女神殺し"と呼ばれる魔剣"ゲバハーン"……とある理由で手に入れてたメテオがネプテューヌとイストワールに相談し、教会の地下奥深くまで封印していたはずだったのだが、そのゲバハーンが……"消えた"。

 

ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー

 

 

プラネテューヌの教会からゲバハーンが消えた事など露知らずの廃工場の草原。

未だに佇んだままの異質な姿となったメテオにデスサイズは警戒を緩まず見つめ、クロス・ヴィクトリーは黙って見つめていた。

 

「…………来た!」

 

「……え?」

 

すると、ずっと黙っていたメテオが何かを感じ取り、明後日の方向を見つめる。クロス・ヴィクトリーもそれに釣られて顔をそちらへ向けると…。

 

 

 

プラネテューヌの教会から消えたはずのゲバハーンがメテオに向かって飛んできていた。

 

 

 

 

「…………なっ!?」

 

それを見たクロス・ヴィクトリーは驚愕を隠せなかった。

とある理由でクロス・ヴィクトリー…宗谷自身もゲバハーンとは因縁があり、別世界とはいえ、そのゲバハーンがこちらにやって来る事にこれまでにないくらいに驚いた。

 

だが、クロス・ヴィクトリーの驚きはそれだけで終わらなかった。

 

何せ飛んでくるゲバハーンがメテオの方へと向かっていて、メテオ自身も避けようとはせず、むしろ待ち構えるように顔も体もゲバハーンへと向けていたからだ。

さらに言えばゲバハーンの剣先がメテオの"額"へと向けられているのだから…。

 

「ッ!メ、メテ……!」

 

避けろ……そう叫ぼうとしたクロス・ヴィクトリーだが、もう間に合わなく、ゲバハーンの刃はそのまま…。

 

 

 

異質な姿となったメテオの"額"に突き刺さったのだから…。

 

 

 

「ッ!?メテオ……!?」

 

「あぎゃぎゃぎゃぎゃ!!なんだぁ?自爆したってぇのかよ!」

 

その光景を見たクロス・ヴィクトリーは言葉を失い、ずっと身構えて警戒していたデスサイズは拍子抜けだと言わんばかりに高笑いをし出す。

 

だが……その笑いは、驚愕へと変わった。

 

 

 

 

 

 

ー挿入歌《RX-0》ー

 

 

 

 

 

 

《CODE:UNICORN》

 

 

 

 

 

 

メテオの額に突き刺さったゲバハーンが変化し始め、一本の"角"へと変わった。

 

「…………なぁ!?」

 

「……え?え!?」

 

額に突き刺さったゲバハーンが角へと変貌した事により、今のメテオの姿はまるで……。

 

 

 

 

神話に出てくる一本角の"獣"……"一角獣(ユニコーン)"のようにクロス・ヴィクトリーとデスサイズは見えた。

 

 

 

これが……神殺しでではなく、本来の力"救世主(ディセンダー)"としてのストームの力…。

 

 

 

 

全ての"進化"と"可能性"を司り、全ての者に光をもたらす"可能性の獣"としての姿となったその"嵐"の名は……。

 

 

 

 

 

 

 

 

"仮面ライダーストーム・ユニコーンフォーム"

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こっちは既に"覚悟"は出来ている……"覚悟"ある奴だけ掛かって来い……」

 

"獣"となった嵐は顔を覆う白い装甲の隙間から覗かせる"緑の瞳"をデスサイズに向ける。

 

「テメェらとは潜ってきた"修羅場"の数が……その中で見出だした……

 

 

 

 

 

 

……"覚悟"が違ぇんだよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

神も、神話も、全てを"覆す"可能性の力が、今ここに目覚めた瞬間であった。

 

 

続・TIME10 ~Fin~




……本っっっ当にすいませんでしたぁぁぁぁあああああああ!!(ジャンピング土下座!

前書きにもあった通り、私事でトラブルが起き、別アカウントで投稿することになった事にショックを受けてしばらく塞ぎ込んでいましたが!
ようやく帰って来ました!!

相変わらず更新はゆったり気紛れですが、今後も見てもらえると嬉しいです!!

次回は"可能性の獣"に目覚めたストームの力と、彼に続くように起きる激闘!

次回も刮目せよ!!

感想お待ちしています!!
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