「――さぁ、戦おうか一護」
「黒崎くん」
玉座から立ち上がったユーハバッハの声を聞きながら、柱に叩き付けられた一護の許へ駆け寄ろうとした織姫を粉塵の中から姿を現した橙髪の死神が手で制する
「大丈夫だ井上」
眼前の敵から目を離すことなく、織姫を安心させるように声をかけた一護は、眼のような文様が浮かぶ黒い力を全身に纏ったユーハバッハに対峙する
「見せてみろ、お前の身に宿った力の全てを! 奇跡の全てを」
口端を吊り上げ、不敵に笑うユーハバッハが見るのは、死神、虚、滅却師そのすべてを一身に宿した奇跡の児だった
余裕さえ感じられるユーハバッハの嘲笑とも挑発とも取れる言葉を受け止めた一護は、織姫を庇うように前へと歩み出し、左手に持っていた斬月を天高く放り投げる
「望むところだ」
刀身の短い斬月が回転しながら天井へと向かっていく中、一護は左手を頭の上にかざしてそのまま一気に引き下ろす
瞬間、一護の顔には骸骨を思わせる白面が纏われていた
「
二本の角を完全
縦横無尽に奔った黒槍の一陣が今まさに一護の身体を貫こうとした瞬間、その姿が瞬時に掻き消える
「ぬっ!?」
それを見たユーハバッハが視線を向けた先には、両手に斬月を携えた一護が肉薄していた
「月牙――」
斬月の切っ先に霊圧を纏わせ、それを解き放とうとする一護をさらに軌道を変えた黒い槍が真下から刺し貫く
だが、それは残像。一護の身体を貫いた黒槍は空を切り、それに意識を奪われていたユーハバッハの背後にその姿が現れる
「――天衝!!」
同時に、刀身に溜めていた渾身の霊圧を叩き付けるが、それは初撃のそれと同じくユーハバッハの纏う黒い力によって完全に阻まれてしまう
「その動き……〝飛廉脚〟だな」
虚化しての月牙天衝をも受け止められた一護がわずかに顔を歪めるのを愉快そうに見ながら、ユーハバッハは嬉々とした様子で言う
「死神の力に、
「!」
指示した指に光が集い、巨大な弓を構築するのを見た一護が移動すると同時、先程まで身体があったその空間を
「嬉しいぞ一護」
その言葉に同期するように、ユーハバッハの上空に巨大な光弓が顕現し、そこに無数の矢が番えられる
引き絞られた光の弦が弾け、無数の矢を雨のように一護へと注ぎながらユーハバッハは喜色に彩られた声で言う
「千年前、
果てなく天から注ぐ光矢とその身体に纏う黒から生み出無数の鞭槍が迫れば、回避と防御が間に合うはずもない
俊足を捕らえ、二刀の防御をかいくぐって一護の身体を捕らえた白と黒の奔流が炸裂し、天を穿つ破壊の波動を巻き起こす
「……ッ」
その暴虐の嵐に身を晒す織姫は、拒絶の盾で身を守りながら声を発することもできない圧に耐える
(……無傷だと!?)
だが、爆塵が晴れた中から現れた一護の姿を見たユーハバッハは、その姿を見て剣呑に目を細める
自身の攻撃を受けて無傷でいられるはずがない。傲りとは無縁の自信と確信を持つユーハバッハは、即座にその理由を理解する
「あれは……」
先の怒涛の攻撃を凌いだ一護の身体には、無数の霊子のラインが奔っていた
(
自分達が持つ防御の要――それと同じものを捕らえながら、同時にユーハバッハは、一護の顔についている骸骨の面を見て、確信する
「
まさに、一護だからこそ可能なその防御を見たユーハバッハの目の前で、先の攻撃を凌いだ二本の斬月から極大の霊圧が迸る
斬月から吹き上がる霊圧は、まるで三日月を思わせる形を顕現し、さらにそこに二本の角から伸びる力が収束されていく
「月牙天衝に
それを見てその力を看破したかのように声を上げるユーハバッハだが、収束される霊圧の規模を見て、即座に己の間違いを悟る
(――いや、違う)
二本の斬月を構え、三日月を思わせる形状に極大の霊圧を収束する一護が注ぐ力を見てユーハバッハは沈黙の中でその威を感じ取る
(あれは、
「オオオオオオッ!」
咆哮と共に振り抜かれた二本の斬月が霊圧で形作られた三日月を引き、収束されていたその力を放出する
(
一護の斬閃に合わせて解き放たれたその力は、閃光の斬矢となって迸りその場に佇んでいたユーハバッハを呑み込んで炸裂する
「凄い……これが、今の黒崎くんの力」
死神として真の力を手にし、虚としての力、更に
「クク、ハハハハハハハッ」
瞬間、一護の力によって生じていた爆塵が吹き飛ばされ、その中から漆黒の力を纏ったユーハバッハが姿を見せる
その身体には、先の一撃による傷が確かについているが、ユーハバッハの身体にまとわりつく黒い力が溶け込み、ゆっくりと傷を癒していた
「傷が……」
「くそ……ッ、仕留めきれなかったか」
斬月を構え、仮面の下の黒い目に焦燥を宿す一護にユーハバッハは、確信を得た言葉を向ける
「我が
力の九年を終え、完全に覚醒したユーハバッハの能力は未来を見通し、その力を無効化することができる
「最初、私が未来を見ることを知っていることを告げて、我が目を逸らすとは……随分と
だが、この戦いが始まってから、ユーハバッハの眼は一護の未来を正しく見通してはくれなかった
「――あぁ」
その理由を正しく理解したユーハバッハが口端を吊り上げて嬉々とした声で言うと、もはや隠す意味はないと悟ったのか一護は沈黙を破って口を開く
「俺の
ユーハバッハを見据え、
「『