√Letter ルートレター オリジナルエンドルート投稿作品(落選)   作:高津カズ

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9章『両面の便箋』・2

○松江市内

   

     マックス、市内へやって来る。

マックス「さて、古本屋は……」

     マックス、歩きながら古本屋を探す。

     古本屋を見つけ店の前に来る。

マックス「あったあった。さっそく入ろう」

 

 

○古本屋・店内

 

マックス「さてと、雑誌のコーナーは……」

     マックスは店内を歩く。

     雑誌のコーナーの前に来る。

マックス「ここが雑誌のコーナーだな」

マックス(結構色々ある。ここから探すのは大変だ)

     マックス、本を一冊一冊確かめていく。

マックス「あ、これは」

     マックスが一冊の本を手に取る。

     雑誌のタイトルは『縁』。

マックス「これって俺が文通相手を募集した雑誌じゃないか」

     マックスは本を読む。

マックス「しかも15年前のだ。俺が募集した号ではないけど、偶然だな。

     しかし懐かしいな」

マックス(昔は大抵の雑誌に、

     文通相手募集のコーナーがあったりしたもんだけど)

     マックスはページをめくっていく。

     募集が県別に分かれている。その島根の欄を見る。

 

 

『文通してくれる方募集しています。小学4年生です。

 邑智郡石見町○○ T・S』

 

『文通相手募集! スポーツ好きな人文通しましょう!

 八束郡玉湯町○○ H・I』

 

『○○のファンの方、文通しませんか? 語りましょう!

 松江市北田町○○ K・K 』

 

 

マックス「今じゃ考えられないよな。普通に個人情報載せてるし」

     マックス、雑誌を元に戻す。

マックス「寂しい話だが、今の時代にほとんど必要の無いものだ。

     おっと、それより『ティーンズ・クィーン』を探さないと」

     奥から店主が出てくる。

  店主「いらっしゃい。熱心に探して、何かお探しかね?」

マックス「あ、はい。

     15年前の『ティーンズ・クィーン』って雑誌なんですけど」

  店主「は? 天瑞院?」

マックス(うーん、この人に聞いても分かりそうにないな。

     見た限りではここには無さそうだし)

マックス「すいません、大丈夫です。

     ありがとうございました」

     マックス、古本屋を出る。

 

 

○松江駅

 

     マックスがやってくる。

マックス「何件か回ったけど、見つからなかったな。

     いくらこの辺で出回ったといっても、

     さすがに雑誌だと難しいのかな」

    『ぐぅ~』

     マックスの腹が鳴る。

マックス「……区切りも良いし、そろそろメシにでもしようかな」

 

 

○神在庵・店内

 

     マックスが店内へ入ってくる。

マックス「結局、ここに来てしまうな」

     マックス、席に着く。

     三平がやってくる。

  三平「らっしゃい! 今日はなんにしやしょう!」

     マックスはスタンプラリーの台紙を見る。

マックス「えっと、『すもうあしこし』の残りは『あ』か」

     マックス、メニューを見る。

マックス「『あ』だとあまさぎの照り焼き定食だな。

     それをもらおうかな」

  三平「へい! あまさぎの照り焼き定食いっちょう!」

     三平、威勢のいい声で言うと厨房へ行く。

マックス(今日で最後だと思うと、少し寂しいな)

     しばらくして、三平が料理を持ってくる。

  三平「あまさぎの照り焼き定食、おまち!」

マックス「とりあえず最後の一品、頂くとするか」

     マックス、料理を食べる。

マックス(ワカサギなんて天ぷらか南蛮漬けくらいしか食べた事なかったけど

     こういうのも良いな。美味い)

     マックス、料理を完食する。

  源吉「どうだったかね」

     源吉が厨房から出てくる。

マックス「とても美味しかったです、ごちそうさまでした」

  源吉「それは良かった。スタンプラリーの台紙はあるかい?」

     マックス、台紙を出す。

     源吉が台紙の『あ』にスタンプを押す。

マックス「これで宍道湖七珍制覇か。

     そういえば完成したら何かあるって言ってましたけど。

     景品か何か貰えるんですか?」

  源吉「いつもなら景品を渡すんだがな。

     だが、あんたにはそんなものより他に欲しいものがあるだろう。

     それをやろう」

マックス「欲しいもの?」

マックス(欲しいもの……そんなのあったか?

     まあ欲しいというか、ずっと気になってた事はあるけど)

マックス「なんでいつも料金を半額にしてくれてるんですか?」

  源吉「なんだ不服か? だったら今までの分全部払ってもらおうか」

マックス「ちょっと勘弁してよ。いや、そういうことじゃなくて」

  源吉「ははは、わかっとるよ。で、それが一番欲しいものか?」

マックス「いや、前にも言いましたけど人を探しに松江に来てるので、

     一番欲しいものといえばその人の手がかりなんですが……」

  源吉「そうだろうな。

     まあ、さっきの質問もあながち的外れというわけではないがな」

マックス「どういう意味です?」

  源吉「……あれは15年くらい前だったなあ」

マックス(15年前!?)

  源吉「珍しい客が来てな。女子高生が一人、可愛い娘だった。

     この店に女子高生が一人で来るなんて珍しいことだから妙に気になってな」

マックス「……」

     マックスは黙って話を聞いている。

  源吉「その娘はこの店に来るたびに、今あんたが座ってる席で、

     いつも楽しそうに読んでいたよ、手紙を」

マックス(手紙!?)

  源吉「でも年明けくらいから来る回数も減って、

     悲しい顔するようになった。

     時期が時期だし色々あるんだろうとそっとしておいたが、

     そういうことじゃなかったかも知れんな」

マックス「その後……その娘は?」

  源吉「京都の大学に行くとは言っていたが、その後のことはわからんなあ」

マックス「……」

  源吉「で、さっきの話の続きだがな」

マックス「さっきの話?」

  源吉「ああ。その娘が店に来たある日のことだ」

 

 

○神在庵・店内(15年前)

 

     亜弥がメニューを見ている。

  源吉「どうした?さっきから。……ああ『宍道湖七珍』か。

     全品制覇で景品がでるんだ。たまにはそば以外もどうだ?」

     亜弥、首を横に振る。

  亜弥「食べさせてあげたい人がいるんです」

  源吉「食べさせてあげたい人?」

  亜弥「友達です。遠い場所にいるかけがえのない友達。

     いつかその人が松江に来たら一緒に食べたいなと思って。

     ……でも叶わない願い、かな」

  源吉「そうかい……」

     源吉、何かを考える。

  源吉「じゃあお嬢ちゃん、こういうのはどうだ?

     先にお嬢ちゃんが全品制覇する。料金は半額でいい」

  亜弥「え?」

  源吉「残り半分の料金はその『大事な友達』からもらうことにするからよ」

 

○神在庵・店内(現在)

マックス「……その娘の名前は聞いたんですか?」

  源吉「いや、聞いてないな。

     だが……最後に店に来た時だったかな」

 

 

○神在庵・店内(15年前)

 

     亜弥と源吉が話している。

  源吉「いつもありがとなお嬢ちゃん」

  亜弥「いえ。あの……約束、必ずお願いします」

  源吉「約束?ああ、任せとけ」

     亜弥、席を立つ。そして源吉に向かって深く頭を下げながら言う。

  亜弥「もし『文野亜弥』という女性を探しに、

     東京から男の人が訪ねて来たら、その人が私の『友達』です。

     その時はよろしくお願いします」

 

 

○神在庵・店内(現在)

 

マックス「亜弥さん!?」

  源吉「まさか15年もかかるとは思わなかったけどな」

マックス「彼女は今どこにいるんですか?」

  源吉「さっきも言ったが、大学進学後の事はまったく知らんわ。

     それに、知っていたらとっくに教えているよ」

マックス「そうか……」

  源吉「15年……か。たしかに長かったが、約束を果たせてよかったなあ」

マックス「そういう事情があったんですね」

  源吉「あの娘、元気にしているといいが……」

マックス「……」

 

 

○同・店内

 

マックス(彼女もこの店に来ていたんだな。『宍道湖七珍』、美味かったよ)

マックス「さてそろそろ雑誌探しを再開しないとな。お勘定お願い」

  三平「へい!」

     マックスはレジへと向かう。

     レジの横にチラシが置いてある。

マックス「あれ、これなに? 前は無かったよな……」

     マックス、チラシを手に取る。

     いかにも手作りといった感じの周辺の地図。

     周辺の個人店などの名前が載っている。

  三平「ああ、それでやすか?

     それはこの辺りの個人店の詳細地図でやす」

マックス「個人店?」

  三平「ガイドブックに載らないような店を紹介してるんで」

マックス「なるほどな」

     マックスは地図を見ている。

     地図に『古書 小雲堂』という名前がある。

マックス(お、古本屋だ。ここはまだ行ってないな。

     ジャンルが違う気もするが、とりあえず行くだけ行ってみるか)

マックス「これ一枚もらうよ」

     マックスはチラシをポケットに入れる。

マックス「じゃあ、ごちそうさま」

     マックス、店を後にする。

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