君の名は after story 作:柊 はいと
_______ とつぜんに、私は出逢う。 そして私は、ずっと抱いていた願いを知る。
何か気に障ることしたかな…
私はそんなことを考えながらふと隣を歩く男性に視線を向ける。
着られている感がどこかするスーツ姿、優しそうな瞳、男らしさを感じる大きな背中、私より少し幼い顔立ち。
本当に突然だった。あった瞬間に私の足は動いていた。理屈とかじゃなくこの人の隣は私の居場所何だって…
改めて思い返せば凄まじく変な話だ。
一目惚れ…とはまた違った感覚。
そう、まるで前世から知っていたかのような…
「三葉の髪留めってさ、綺麗だよな…あ、いや、ナンパの常套句的な意味じゃないからな!?」
そんな事を考えていたら沈黙に耐えきれなかったのか瀧君から話題を振ってくれた。
そこにさっきまでのような考え事をしてるような表情は見て取れない。
慌てるように自分のいった言葉に訂正付け加える様子を見れば私は頬を綻ばせ答えた。
「組紐…って言うんやよ。実家が神社やっててな?代々受け継がれてきた技術やからーって私もお婆ちゃんから作り方教わって作ったりしてたんよ」
「くみひも…か。やってた…ってことは今は神社やってないのか?」
「うん。色々あったからなぁ」
八年前の彗星落下。
その落下地点となったのが私の故郷、糸守町だった。
当時のことは曖昧にしか覚えていないが、当時町長をしていた父が突然町をあげての避難訓練を行い住民のほとんどが糸守高校へと避難。その数分後に私達の町は彗星に飲まれたのだ
「もしかしてお婆ちゃんが亡くなった…とか?」
彼が少し遠慮した様子で問いかけてくる。
「違う違う、八年前の彗星落下で神社が壊れたんよ。私の実家…宮水神社は糸守町にあったから。だから私と妹とお婆ちゃん3人で東京に来たんよ。お婆ちゃんはピンピンしとるよ、年なのに張り切って毎朝妹のお節介やいとるに」
無事に生き延びた私たちはしばらくの間は糸守町の仮設住宅で暮らしていたものの、私の高校卒業をきっかけに父の計らいで東京へと移り住むことになった。
父も一緒にくるようにと何度も説得を試みたが「糸守町の復興をせんと行かん」の一点張り。
因みにお婆ちゃんと妹の四葉は一緒に暮らしているが、私は自立のために一人暮らしを始めた。偶に私の様子を二人が見に来たり、私が見に行ったり。そんなこんなでこっちの生活にもようやくなれてきた。
「糸守…!?ってことは勅使河原達もか…すげえ体験してるんだな」
「そうだね、でも何でかわからんけどあんま覚えとらんのよなぁ。八年も前やから仕方ないのかも知れんけど」
「五年前…俺も友達と糸守にいったことがあるよ。何にもなかったけど。」
「何でそんなとこ行ったんよ~」
「それが俺も覚えてないんだよな、無性に糸守の彗星落下に興味があったらしい痕跡は残ってんだけど」
「痕跡…?」
「ん?あぁ、俺さ絵を描くのが趣味で昔描いてたスケッチブックとか残してあるんだよ。それに一冊全部糸守の絵が描いてあって」
「絵が描ける…私より瀧君って女子力高いんやない?」
「な…それほめてる?」
「からかってるに決まっとるに」
「おい!」
いつしか無言の空間はなくなり互いに軽口を叩ける程度には会話が続くようになってきた。
何でかはわからない、けどこうして話せるようになるまでそんなに時間はかからなかった。
過去の話や友達の話、家族の話。瀧君と私は気がつけば目的のカフェに到着するまでずっと話し込んでいた
ーーーーーーーーーーーーーーー
「三葉ー 瀧君ー こっちこっち」
私達がカフェに入れば店の奥の四人テーブルからサヤちんの声が聞こえた
そそくさと二人で奥へ向かえばそこには一足先についたテッシーとサヤちんが仲良さそうに並んで座っていた。
「待ちくたびれたで、瀧」
「勅使河原だってさっきついたばっかだろ?」
「バレたかぁ~」
待っていたテッシーが瀧君に声をかける。
ちょっとしたやり取りをするといきぴったりな様子で二人同時にニヤリと笑った。
こういうところは二人とも男だなあ…って
「テッシーと瀧君ってさっきが初対面よね…?」
思わず声に出して聞いてみた。
だ、だって仕方ないでしょ!?何か瀧君私と話してる時より生き生きしてるし…って、テッシーに嫉妬してる訳じゃないけど!
「おう、初対面だよ」
「そりゃそうやろ、三葉が紹介してくれたんやないか」
立ち話というわけにも行かず席に瀧君と並んで座る
コーヒーを二つ頼み一段落すればまた会話は弾みだした。
「それにしては仲良くなるの早すぎやない?」
「確かになあ、俺そんなに人見知りする方やないけど…なんやろ、たぶんあれや!俺達の前世の記憶が無意識に働いて…」
「アンタもそろそろSFから手を引いてもいい年とちゃうん?」
「アホ!俺がそっから手引いたときは死んだときやさ」
「まあまあ、夫婦仲良いのはわかったから落ち着きない」
まったく、テッシーはもうちょっと趣味的な思考押さえていいと思うけど…
そこを含めてサヤちんはテッシーのことが好きなんだろうって思うと何だか胸が熱くなる
「ほんと仲良いな、幼なじみってきいたけどさ 付き合いだしたきっかけとかってあるの?」
その様子眺めていた瀧君が夫婦にといかける
「きっかけ…なあ。彗星降ってきた時に何か色々あったなあ」
「そ、そ。避難の手伝いみたいなのして急接近したんよ」
「そういえばあの頃って三葉もすきなひといたんやない?急に東京行ったり髪切ったりして…」
「そ、そうやったっけ?覚えとらんなあ」
「三葉の好きな人かあ…」
「た、瀧君までこの話に乗らんどいて!?ほんとに覚えとらんよ」
もう!!高校生の時の恋バナを今更されるってかなり恥ずかしいんだから
確か相手は…やっぱ思い出せない。
昔っていっても高校時代何だけど…思い出せない事おおすぎじゃない?
「あの頃って言えば三葉少し変やったよな。狐憑きにあってたやさ」
「そうそう、何日かに一度別人になったみたいな動きしとるんよ」
「へえ、三葉って不思議ちゃんだったのか」
「もう昔の話はせんといてー!!」
そんなの覚えてないよ~!みんな記憶力高いなあ
「三葉がギブしたところで今の話でもしよか」
「賛成ー。瀧君っていまなにしとるん?」
私が困ってるのを3人で楽しそうに見れば満足したのかテッシーは話題を変えた。
それに便乗しサヤちんも瀧君に質問をする。
「俺?俺は就活中…ってああ!!面接の時間そろそろだ!」
どうやら瀧君は就活中、面接日当日だったらしい。
「悪りぃ、今から面接あるから此処までだ。」
申しわけなさそうに瀧君は言葉を紡ぐ。
視線が合う。
大丈夫だよ、と微笑みかければ瀧君も笑い返してくれた
「楽しかったで、また話そうや瀧」
「私達の結婚式呼んであげるに、就活頑張ってきない」
「また沢山話そうね、瀧君」
「ああ、またな!!」
テーブルにコーヒー代を置き私達に頭を下げると瀧君は駆け足でカフェを出て行った。
「それにしても変な奴やったなあ…ずいぶん前に一緒にいたんやないかって思うくらい親しみやすかったわ」
瀧君の姿が見えなくなればテッシーが独り言のように呟いた。
それにあわせてサヤちんも口を開く
「式呼ぶっていったけど連絡先交換してないわあ…三葉あとで教えてや」
連絡先、ね 仕方ないから教えてあげようかあ…って、あれ
「あ…私も交換しとらん」
ああああああ!!そうだ、連絡先の交換のことすっかり忘れてた…
「アンタ…アホやろ…」
サヤちんのあきれ声。
「なんかそんな事しなくてもまた明日会える気がしたんよ…何でやろなあ。」
連絡先なんていらない
またすぐにあえる
私達は強い何かで繋がってるから
そんな根拠のない感情が無意識に居座っていたらしい
それでも彼は「またな」と言ってくれた
また会いに来ると
なら私は瀧君を信じるしかないよね
「ふふっ…」
自分の彼に対する想いに思わず笑みが零れた
突然瀧君を引き止めたり…昔のことを全く思い出せなかったり
何だか今日はへんかもしれない
初めて会った人とこんなに接近したのは生まれて初めてだし、瀧君と話すだけで幸せを覚える私の心も正常じゃないはず
だって初対面だよ?
でも、それでも
テッシーのいうとおり前世からの知り合いのような
私達が会うことが運命でるかのような
そう思えるほどの感情を私は瀧君に抱いている
瀧君…君は一体何者なの?
君は…誰なの?
ということでここまで読んでくれた方々、本当にありがとうございます!!
第3話ということでとりあえず一区切り。
まだまだお話は終わらないのでぜひ次話以降もおつきあいください。
個人的には四葉ちゃん出したいです。
jkになり瀧君に幼女呼ばわりされなくなった四葉ちゃんとみんなの絡みなど思い浮かべるだけで楽しみです…!
最後に…
投稿遅くなりすみませんでした!!私の受験がこの間あってばたばたしてました…(無事合格しましたb)
今度こそ毎週投稿くらいのペース目指します。これからも大人になった瀧君と三葉ちゃんを見守ってあげてください!
それでは次話でお会いしましょう、最後まで読んで下さりありがとうございました!