明日の天気は晴後きっと槍(仮題)   作:マックス

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 最近やべぇよ、めっちゃやばい。三日に一回はタンスの角に小指ぶつけるんだがどうすればいいのか。


二言目「明日は雨成り」

 

 

 

「昔のようにめだかちゃんと呼ぶがよい!」

 

「…」

 

 今、俺の目の前にいるのは幼馴染みの黒神 めだか。役職は生徒会長だ。

 

 …それにしても、こいつは変わらない。昔も、今も人間の為に生きてる。

 

 

「ところで、話しは変わるが。善吉」

 

「……なんだよ、急に真剣な顔になって」

 

 先程とは変わり、顔を引き締めた表情をしていてそれだけで真面目な話しをする事が分かる。

 

 

「先程、教室に居た貴様の友人…名は、古座同級生だったな」

 

「そうだけど、あいつがどうかしたのかよ?」

 

 俺が説いても、答えは出さないまま更に険しい表情をする。

 何か真剣に考え事をしてるのは顔を見れば分かるのだが、せめて質問をしたら目線くらいこちらに寄せて欲しいものだ。

 しばらくすると、俺の顔をみて急に訳の分からない事を聞いてきた。

 

「善吉よ、その古座同級生は貴様の信頼に値するのか?」

 

「何訳分からないこと言ってるんだよ」

 

「質問に質問で返すな、思ったことを答えてくれ」

 

 

「……ッチ」

 

 訳が分からずに、しばらく無言で見つめ合うが先に折れたのは俺だった。…というか、100%俺が先に折れてただろうな。

 

「あいつは俺の友達だ。まあ知り合ったのは入学式の時によそ見してたら身体が当たって、見来がそれで転んだんだ。んで、その後クラスが一緒で席も近かったから意気投合して仲良くなった感じだ」

 

 話しながら後ろを向いて目を閉じる。瞼の裏に浮かぶのは、いつものように俺を弄る見来の憎たらしい顔。…やべぇ、むかついてきた。

 

 

「それでお前の……訳は分からねぇけど、信頼に値するかって言われたら値すると思う。人の名前は聞いた直後じゃないと間違えるし、人の事は馬鹿にするし…でも、会話しておもしれぇし普段の態度を見てても悪い奴だとは思わない…って、おい! お前は人の話をきい…て……る…!?」

 

 俺が話し続けても、一切反応をしないので気になって思わず後ろを向くと、そこには下着以外の服を脱いだ馬鹿…もとい露出狂が居た。

 

「ふむ、貴様の印象はそうなのか」

 

「おい!! 何冷静に考え事してるんだよ! 服、服を着ろ!!」

 

「…? 何故だ、私と貴様の仲だろう?」

 

「いやいやいや、それ以前の問題だ!!」

 

「まぁ、そんなことはどうでもいいのだ」

 

 

 …疲れた、マジでなんなんだよ。

 とりあえず見ているだけでも恥ずかしいので、後ろを向いて視界に入らないようする。

 

「んで、あいつがどうしたんだ?」

 

「…少し、『奴』と雰囲気が重なってな。善吉、貴様も知ってる人物の筈だ」

 

 『奴』? 俺の知り合いで、見来と雰囲気が重なる人物? 飄々とした奴ならともかく、それでいてあいつと同じ雰囲気の人物か…。

 

 

「駄目だ、わからねぇよ」

 

「…球磨川と、古座同級生の雰囲気が重なったのだ」

 

「ハァ!!?」

 

 思わず大声を出してしまった。ありえねぇ、見来と球磨川の雰囲気が重なった!?

 

 

「おいおい、馬鹿言うなよ。あいつはちょっと飄々としてるけど、どう考えても普通の俺の友達だ」

 

「私も古座同級生と奴が完全な同類だとは言わん。だが…ほんの一瞬、少しだけ奴と重なったことは憶えて置いてくれ」

 

「……信じられねぇけど、注意はしとくさ」

 

 まだ自分の耳に入ってきた言葉は信じられないが、もしもそれが真実なのならこれから分かるだろう。それに、注意しとくだけ損はないだろう。

 

 

 

 

「(…確かに古座同級生と球磨川から感じられる雰囲気は違った。けれど、私は感じたのだ。あの目の奥に球磨川と同じ…否、それ以上に暗い何かをだ)」

 

 未だに我らの会長様は考え事をしているようで、同じ場所から立ったまま動かない。というか頼むから服を着てくれ、こんな状態で誰か入ってきたらどうすんだよ!

 注意しようとすると、案の定というか、お約束というか、誰かがドアをノックした。

 

 

「おーい、銭吉はいるかー?」

「善吉だっての!!」

 

 あ、やべ。

 

「む? この声は見来同級生か? 善吉ならここにいるぞ」

「ばか!! なんでそんなに冷静なんだよ!!」

「善吉よ、何を焦る要素があるのだ?」

 

 あーもー、こいつはいい加減恥というモノを知れ!!

 

「んじゃ、しつれーしまーす」

「あッ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 放課後になり、特に学校には用事がない俺は銭吉と一緒に帰ろうと思い生徒会執行部の教室の前にいる。

 まずノックをする。返事はない。…誰もいないのか?

 

「おーい、銭吉はいるかー?」

「善吉だっての!!」

 

 なんだ、いるじゃねぇかよ。つか、返事くらいしろよ。

 

「む? この声は見来同級生か? 善吉ならここにいるぞ」

 

 どうやら会長さんもいるようだ。まあ、当たり前だな。

 

「おーい、今入って大丈夫か?」

 

 一応、確認してみるがまた返事が返ってこない。というか何やら扉の向こうが騒がしい、何か二人だ言い合ってるようだ。

 まあ、別に入っても大丈夫だろう。駄目だったら謝ればいいし。

 適当に自分の中で完結して、さっさと扉を開ける。

 

「んじゃ、しつれーしまーす」

「あッ」

 

 

 

 扉を開けると同時に、銭吉の悲鳴にも聞こえる声が聞こえた。だが、それはどうでもいい。問題は銭吉が会長さんに近づいてるのだ。そんな光景が目に入った。しかも、会長さんは下着姿だ。

 ………えっと、これはあれかなー? まあ、子供には見せられないよ!!っつぅシーンでも始まるのかな?いやでも会長さんは下着姿だけど堂々としてるし、でもこれはどっからどうみてもあれだな。

 

 

 

「…失礼しましたァ!!」

「ま、待ってくれ! これは誤解だあああああああああああああ!!」

 

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇

 

 

「ハハハハッ! そっかー、噂の会長さんは露出癖があったのか~」

 

 

 全力で追ってきた銭吉に、先程の場面について詳しく説明されたのでさっきのが誤解だったのが分かった。

 

「む、古座同級生よ。私だって人間だ、一癖二癖あってもいいではないか。それに無くて七癖とも言うしな!」

 

「いやねぇ、会長さんのはそういう問題じゃないと思うんだが…まあ、良いか」

 

「つか、最初に誤解だって言ったのによ…」

 

「待て、あんな場面見せられたら誰だって誤解するだろうが。ってかよ、残念だな~。もしもあとまま銭吉が止めないで次会ったら[浮気者ォ!!]って言っても良かったし、噂広めても愉しそうだったのになぁ…」

 

「……マジで誤解解いて良かった。つか善吉だし、浮気者ってなんだよ…」

 

 何故か銭吉が項垂れてるがどうしたんだろうなぁ。

 

「んで、ここに来た理由なんだけど…まあ、今日一緒に帰れるか? ちょーっと無理そうだけども」

 

 目線を会長さんに向けると、目線を向けられた理由が分からないのか首を少し傾げながら銭吉の変わりに答えてくれた。

 

「ふむ、善吉は私と一緒に目安箱に届いた件についてあるからな。今日は無理だろう」

 

「っちょ、お前何勝手に決めてるんだよ!!」

 

「…む? 駄目なのか?」

 

 

「……ッチ、仕方ねぇなぁ!! 今回だけだからな!」

 

「よろしい、ならば早速…」

 

 出たよ、銭吉の損する性格。まあ、そういうのが銭吉の良いところなんだけどな。

 会長さんがイスから立とうとすると、何かひらめいた様な表情をして俺に声を掛けてきた。

 

「そうだ、無理なら良いのだが、古座同級生もできれば今回の目安箱に届いた件について手伝ってくれぬか?」

 

「ハァ!?」

 

 俺が会長さんの言葉に返事をする前に、銭吉が会長さんを俺に声が届かないところまで連れて行って小さな声で何やら話している。

 

「(おい、俺はともかくあいつは完全に部外者だろうが!! そんなにお前、身勝手でいいのか!?)」

 

「(安心しろ、善吉よ。あくまで手伝いだ。それに…私の感が正しいか分からぬし、少し不安だからな。できれば近くに置いてどういう人物が詳しく知りたいのだ)」

 

「(…ハァ、お前の勝手にしろ)」

 

 なんか少しだけっぽいけど、銭吉が果てしなく疲れているような…。

 会長さんはイスに座って、改めて会話を切り出した。

 

「ふむ、それでどうだ? 手伝ってもらえると嬉しいのだが…」

 

「…あ~、もしも暇だったら手伝ったんですけどねぇ」

 

「その口調からすると、何か用事があるのか?」

 

 少し言葉に詰まると、銭吉が当たり前の疑問を当ててきた。

 

「まぁ、家に着いたら用事があって今日は無理なんだよ。あ、でも明日なら大丈夫だぜ?」

 

「…では、明日の放課後剣道場に来てくれ」

 

「へいよ~、分かりましたっと。んじゃ、俺は帰りますけねぇ」

 

「ああ、じゃあな」

 

 俺も大概損な性格してっかもな。まあ、面白そうだから良いとますかねぇ。

 

 

 

「あ、そうそう銭吉」

 

「善吉だ!」

 

 こいつは一々反応が面白いなぁ。

 

「明日の天気は……多分、雨だぜ。傘でももってこいよ」

 

「そうなのか? 分かった」

 

「む? 古座同級生は明日の天気が分かるのか?」

 

 会長さんが俺の言葉に疑問に思って聞いてくる。分かれる前に銭吉には毎回明日の天気を言ってるが、ここに入ってから外れた事は一度もない。

 

「おうよ! 俺の天気予報は今のところほぼ的中だぜ?」

 

「へいへい、教えてくれてサンキューな」

 

 

 そのまま俺は、部屋を出て家に帰った。

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇

 

 

「ただいま~」

 

 誰もいないのは分かっているけれど、つい癖で言ってしまう。

 とりあえず玄関に鞄を置いてリビングに移動する。なんというか…自分の家だがテレビと冷蔵庫と机と棚以外なくて寂しいなぁ。

 

「さっさと買い物いかねぇとなぁ」

 

 そう、今日はスーパーで特売がある! 貧乏学生の俺には確実にかかせねぇイベントだ!

 

「…ん? こりゃなんだ?」

 

 着替えていると、机の上にある紙に目線が入った。

 なんだこれ?

 

 

【見来君へ

 

  今日の夜ご飯は麻婆豆腐がいいな

 

         君の最愛の女の子より】

 

 

「……」

 

 

 とりあえず二つに切り裂いて、苛立ちをぶつける様に本気で紙を丸め、ゴミ箱へシューット!!

 

「…だから、自分の家で食えとあれほど言ってるのによぉ!!」

 

 しかも誰が最愛だ、俺は彼女いない歴=年齢だっての! …俺より年齢が上だからってからかいやがって。

 

 何故か知らないが、かなりの頻度で俺の家にくる女に苛つきをぶつけながら着替えて家を出る。

 

 

「…とりあえず豆腐買いに行くか」

 

 やっぱなんだかんだで俺は甘いかもしれん。

 

 

 





最近二十時間以上寝ても足りません。あと、私は一応受験生なので投稿は遅くなるでしょう。元々遅いですし、待ってくれてる人いるか分かりませんけど。



会長さん
 見来「名前憶えてねぇし、会長さんでいいじゃねぇか!」
露出癖
 そこまで堂々としてると一周して尊敬します。そこに痺れる憧れるゥ!!
天気予報
 もしかしたら当たるかもしれない。下駄でも使ってみんなもやってみよう。
君の最愛の女の子
 その内出てくる…筈。
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