永遠に続く闘いのロード   作:ゾネサー

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ライフポイントは4000ですが先攻のドローはなしとなっております。ご注意ください。


限界を超えた先へ続く闘いのロード

 砂漠。

 どこまでも続くと錯覚してしまいそうな砂、容赦なく降り注ぐ暑い日照り、それに伴う喉の渇き。

 

 ——下らん。俺はそのような戯言を言うためにここに来たのではない。たとえ凡人にとって苦痛であろうともそんなことはどうでもいい。

 ただ……感じるのだ。必ず奴はこの先にいる。己の決闘者(デュエリスト)としての直感が告げているのだ。

 見果てぬ先に続く闘いのロード、その道はまだ途切れていない……と。

 

 海馬瀬人は本能のまま歩き続ける。自慢の海馬コーポレーション製のコートが汚れようとも。ここに来た目的を果たすまで彼は歩き続ける。

 

 ……いや、正確には歩き続けた。常人ならば心が折れていただろう。

 だが、彼の心にある闘志、渇望、興奮。それが彼を動かし続けていた。

 

 そもそも彼はどうやってここに来たのか。藍神が所有していた量子キューブの解析、そこから海馬が執念で作り上げた次元領域エミュレータ。

 海馬コーポレーションをモクバへと託して次元上昇し、海馬は奴のいる高次の世界へとやってきた……と彼は思っている。

 

 しかし、それは事実とは異なっていた。仮に海馬の思う通りに事が進んでいれば彼の脳波上昇値は人間の限界を超えてしまっていた。

 だが、海馬の強い思いに呼応し……量子キューブが試練を与えたのだ。

 

 ところで集合意識という言葉をご存知だろうか? 人というのは誰かに見られることで初めて自分の存在を認識することができる。

 

 彼は今、量子キューブの力により誰からも見られることのない状況へと置かれている。この場合他人から認識されることはなく、自我を保つということは不可能に近い。

 ただ1つ、この状況で自我を保つ方法がある。単純な話だ。誰かに認識されることだ。

 今、海馬の肉体は次元の狭間へと置かれている。そして海馬の求めている人物は既に高次の世界にいる。さらに言うならば高次の世界では肉体という牢獄に魂がとらわれることがない。

 

 既に彼の魂は肉体を離れ、そして……ある人物と認識し合っていた。

 

「お前なら……ここに来ると思っていたぜ」

 

「当然だ。勝ち逃げなど許すものか」

 

 それ以上の言葉はいらないと言わんばかりに互いに向かい合う。

 

「貴様との決着、この勝負でつけさせてもらうぞ。……アテム!」

 

「このデュエルにお前の決闘者としてのプライドを全てかけて、この俺に挑んできな!」

 

「 「 デュエル! 」 」

 

 腕にはディスクという名の魂を宿した盾を、手にはカードという名のプライドを込めた剣を持ち、運命のデュエルが始まった。

 

「行くぜ、俺の先攻! 俺はモンスターを裏側守備表示で召喚するぜ!」

 

 アテムの場に正体不明のモンスターが1体現れる。

 

「さらに場に2枚のカードを伏せる! これでターンエンドだ。来な、海馬!」

 

アテム LP4000

 

フィールド 裏側守備表示1

 

セット2

 

手札2

 

「貴様と対峙するだけで俺に染み込んでいる闘いのホルモンが湧き上がってくるのを感じるぞ……! 俺のタァァン! ドロー!」

 

 勢いよくディスクから引き抜かれたカード、海馬はそれをそのままディスクに叩きつけた。

 

「姿を現せ、殺戮の魔獣人よ。血塗られし斧で敵を斬り裂け! ブラッド・ヴォルス!」

 

 鍛え上げられた屈強な体、身にまとう鉄の防具。そしていくつもの血が混じり合い黒ずんでしまっている斧を振りかざし、敵を抹殺するためにフィールドへと降り立つ。

 

ブラッド・ヴォルス 攻撃力1900

 

「ブラッド・ヴォルス……か。懐かしいぜ。バトルシティでのことを思い出させるモンスターだ」

 

「ふん。あの時は奇妙なことに生涯の敵と定めた貴様と肩を並べた挙句、結束の力とやらをこの俺に説いてくれたな」

 

「だがお前は最後には真の勝機を見極め、結束の力により俺たちに勝利をもたらした」

 

「結束や絆か。それも結構なことだ。だが、貴様と共に戦ったからこそ分かることがある。やはりこの俺を満足させることが出来るのは貴様だけだという事実だ!」

 

 そう言い放つと海馬は1枚のカードをディスクに差し込む。

 それは今までの彼らの戦いでも幾度となく分岐点となった魔法カードだった。

 

「ゆくぞ、アテム! 俺は手札よりマジックカード、融合を発動する!」

 

1(ワン)ターン目から融合で攻めてくるか……!」

 

「俺は手札のミノタウルスとケンタウロスをセメタリーへ送る。獰猛なる力振るいし牛人間よ、迅速なる速さ持ちし馬人間と交わりてさらなる高みへと昇華せよ!融合召喚!疾れ、ミノケンタウロス!」

 

 顔が牛となっておりそれ以外が人間の体で出来た牛人間と上半身が人間で下半身が馬のように4本足となった牛人間が渦によって交わっていく。

 生まれ出でたのは人間の部分は胴体のみで顔は牛、下半身は馬となった獣人。もはや体は動物の本能によって突き動かされている。

 

ミノケンタウロス 攻撃力2000

 

「確かそれはデュエリストキングダムで城之内君相手に出したカードだったな」

 

「ふん、デュエリストキングダムでのことなど……もはや覚えておらぬわ! バトルだ。ミノケンタウロスよ、遊戯の伏せモンスターを粉砕せよ! バトル・アックス・スワイプ!」

 

 馬の脚を使った素早い動き、牛のパワーを利用して鋭く振られる斧。

 この2つが合わさり、強力な一撃がアテムのモンスターへと決まる。

 

 ……だが、その強力な一撃を受けたのは不屈の闘志を持つ者。その者は斧を剣で受け止め、弾き飛ばした。

 

「ミノケンタウロスの攻撃を防いだだと……!」

 

「ふっ、お前がいきなり強力なモンスターで攻めてくるのは分かっていた。だから俺はこのモンスターを伏せていたのさ」

 

 その者は緑色の防具に紫色のマントをまとい、長剣を両手で握っている、耳が異様に長い金髪の剣士だった。

 

翻弄するエルフの剣士 守備力1200

 

「翻弄するエルフの剣士の特殊効果! それは攻撃力1900以上のモンスターには戦闘で破壊されないというものだ。俺はこの効果を適用しミノケンタウロスの攻撃を防いでいたのさ」

 

「おのれ……! 忌々しいエルフめ!」

 

「これでもデュエリストキングダムでのことを思い出せないか? ペガサスの城の前で行ったあのデュエルを!」

 

 モクバを人質にとられた海馬はデュエリストキングダムでアテム……いや、遊戯とデュエルを行った。エルフの剣士の攻撃が決まれば遊戯の勝ちといったところで海馬が起こした行動。それはこのデュエルに負けたら海に飛び降りるというものだった。

 

「ふん……あの時の俺はモクバのこと以外は考えられず貴様に勝つために命をチップにした。今思えば下らんことをした……貴様への勝利で俺に充実感が(もたら)されるのは実力で伏せた時のみ! それ以外の勝利など価値はないわ! 俺は場にカードを1枚伏せる! 今度は貴様の番だ……アテム!」

 

海馬 LP4000

 

フィールド 『ブラッド・ヴォルス』(攻撃表示) 『ミノケンタウロス』(攻撃表示)

 

セット1

 

手札1

 

「ああ。俺もお前に全力で立ち向かい、勝利を掴みとる! 俺のターン、ドロー!」

 

 アテムはドローしたカードを一瞥すると瞬時に戦略を立て、行動へと移した。

 

「俺は手札からエルフの聖剣士を場に出す! さらにエルフの聖剣士の特殊効果を発動。この特殊効果により俺は1ターンに1度だけエルフの剣士モンスターを手札から特殊召喚する事ができる! 召集に応え現れろ、エルフの剣士!」

 

 既に場に出ている騎士と同じような格好をした2刀流の騎士がもう1人の騎士と共にフィールドに見参した。

 

エルフの聖剣士 攻撃力2100

 

エルフの剣士 守備力1200

 

「俺は場にカードを1枚伏せ……バトルだ! エルフの聖剣士よ、ミノケンタウロスを斬り裂け!」

 

 スピードとパワーを兼ね備えた電光石火の獣人の攻撃を2つの剣を巧みに使い、防ぎきる。

 生まれた一瞬の隙を見逃さず、一閃を放ち紫電を走らせた。

 

「そうこなくてはな……!」

 

海馬 LP4000→3900

 

「エルフの聖剣士のさらなる特殊効果を発動! このカードが相手へ戦闘ダメージを与えた時、俺の場のエルフの剣士の数だけ俺はカードをドローする。エルフの聖剣士にはエルフの剣士カードとして扱う効果があるぜ。よって俺は3枚のカードを引かせてもらう!」

 

 0枚だった手札があっという間に増えていく。

 そして手札に加わったカードの1枚がフィールドカードゾーンへと置かれた。

 

「一つの魂は光を誘い、一つの魂は闇を導く。やがて光と闇の魂は混沌(カオス)(フィールド)を創り出す! フィールド魔法、混沌の場(カオス・フィールド)発動!」

 

 闇と光が交わっていき、カオスの力がフィールドを満たしていく。

 

「ほう……」

 

「混沌の場の発動に成功したことでデッキより暗黒騎士ガイアモンスター、疾走の暗黒騎士ガイアを手札へと加える! これでターンを終了するぜ」

 

アテム LP4000

 

フィールド 『翻弄するエルフの剣士』(守備表示) 『エルフの剣士』(守備表示) 『エルフの聖剣士』(攻撃表示)

 

セット3

 

手札3

 

「ならばこちらの番だ。俺のターン!」

 

 海馬は自分の場とアテムの場を見比べて最善手を探る。

 

(ここは少しでも奴の場のモンスターを減らすためにブラッド・ヴォルスでエルフの剣士へ攻撃するのが定石。だが、奴にそんな手が通用するとは思えん)

 

「俺は手札よりマジックカード、馬の骨の対価を発動する。場の通常モンスター、ブラッド・ヴォルスをフィールドから墓地へ送ることで2枚のカードをドローする!」

 

「混沌の場の効果により、手札またはフィールドよりモンスターが墓地へ送られる度に1体につき混沌の場に1つ、最大6つまで魔力カウンターが乗るぜ!」

 

 ブラッド・ヴォルスの魂が導かれ、混沌の場へと吸収されていった。

 

混沌の場 魔力カウンター 0→1

 

「さらに手札よりマジックカード、ドラゴン・目覚めの旋律を発動する! 手札のドラゴンを呼ぶ笛をコストにデッキより攻撃力が3000以上守備力が2500以下のドラゴン族モンスターを2体手札へと加える!」

 

「その条件は……まさかブルーアイズか!」

 

「当然だ。だが……貴様に新たなブルーアイズを見せてやろう。俺が手札へと加えるのは青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)と青眼の亞白龍(オルタナティブ・ホワイト・ドラゴン)!」

 

 海馬の手に加えられた2体の白きドラゴン、その2枚のカードをアテムへと見せつける。

 

「さらに亞白龍の効果を発動! 手札の青眼の白龍を相手へと公開することで手札より特殊召喚することが出来る。誇り高き龍よ、咆哮をあげるがいい!」

 

「特殊能力を持ったブルーアイズ……!?」

 

 海馬の背後より咆哮と共に飛翔したのは青き眼をした気高き白きドラゴン。

 カオス・フィールドの光が反射し、所々に刻まれた模様が浮かび上がっていく。

 

青眼の亞白龍 攻撃力3000

 

「さらに亞白龍は攻撃を放棄する代わりに相手モンスターを1体破壊することが出来る。邪魔な翻弄するエルフの剣士を消し去ってくれるわ!」

 

「甘いぜ海馬! フィールドをよく見てみな!」

 

「何……?」

 

 エルフの剣士が動物のツノで作られた笛を鳴らすと亞白龍はエルフの剣士と共に地の底へと沈んでいった。

 

「俺は亞白龍の特殊召喚に対してトラップカードを発動していたのさ。カウンタートラップ、昇天の角笛をな! このカードの効力により俺の場のモンスターを1体生贄に捧げることで特殊召喚を無効にし破壊することが出来る。俺はこの効果でエルフの剣士を生贄に亞白龍を封印させてもらった」

 

「やってくれる……!」

 

 エルフの剣士の魂が混沌の場へと吸い込まれていった。

 

混沌の場 魔力カウンター 1→2

 

「どうした海馬? 俺に新たなブルーアイズを見せるんじゃなかったのか!?」

 

「ふ……流石だと言いたいが甘いぞアテム。トラップ発動、融合準備(フュージョン・リザーブ)! 融合デッキのモンスター1体を相手へと公開し、その素材となるモンスターをデッキより1体手札へと加え、墓地にある融合を1枚回収することが出来る!」

 

「何だと!?」

 

「俺は青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン)を公開し、その素材となる青眼の白龍と墓地の融合を手札へと加える。そんなに新たなブルーアイズを見たければ見せてやろう! 俺は融合を発動し手札の青眼の白龍3体で融合を行う!」

 

「ブルーアイズ3体融合……!」

 

 渦によって混じり合う3体の白き龍、その体が1つへと収束されていく。

 

混沌の場 魔力カウンター 2→5

 

「俺が最も信頼せし3体の(しもべ)よ、わが宿敵を打ち倒すべくその姿をさらなる高みへと昇華させよ! 融合召喚! さあ……そのふつくしき姿を見せるがいい! (ネオ)青眼の究極竜!」

 

 青眼の究極竜とは違い両腕がなくなった純粋なるドラゴンが顕現する。

 クリスタルのように白い3つの首がアテムを見据えて離さない。

 

真青眼の究極竜 攻撃力4500

 

「これが……お前の新たな力か!」

 

「そうだ。この力、存分に味わうがいい。バトルだ! 真青眼の究極竜でエルフの聖剣士へと攻撃! ハイパー・アルティメット・バースト!」

 

 3つの首の口から集約された白いエネルギー弾が剣士へ向かって放たれた。

 

「だがそう簡単にいくかな! トラップ発動、シフトチェンジ! 攻撃対象をエルフの聖剣士から翻弄するエルフの剣士へと変更する!」

 

 味方を守るべく翻弄するエルフの剣士が剣でエネルギー弾を代わりに受け止めた。

 その衝撃で大きく後退しながらもエネルギー弾の軌道をそらすことに成功する。

 

「そして翻弄するエルフの剣士は攻撃力1900以上のモンスターとの戦闘では破壊されない!」

 

「なるほどな。もしこのターン俺がブラッド・ヴォルスで攻撃を仕掛けていればエルフの聖剣士へと攻撃を誘導し、迎撃を行う算段だったか」

 

「その通りだぜ。これでお前の攻撃はしのいだ!」

 

「だが俺は貴様の読みのさらに先を行く。真青眼の究極竜の特殊効果を解放! 融合デッキの青眼の究極龍をセメタリーへ送ることで連続攻撃を可能にする!」

 

「しまった……!」

 

 再び放たれるエネルギー弾。

 先ほどの衝撃のリカバリーが出来ていない翻弄するエルフの剣士はその攻撃を防ぎに行くことが出来ず、エルフの聖剣士も抵抗するが圧倒的な力の前に為す術なく破壊され、魂が混沌の場へ吸収されていく。

 

「やるな、海馬!」

 

アテム LP4000→1600

 

混沌の場 魔力カウンター 5→6

 

「貴様の力はこの程度か? もっと俺に牙を剥け! 俺はこれでターンを終了する!」

 

海馬 LP3900

 

フィールド 『真青眼の究極竜』(攻撃表示)

 

セット0

 

手札0

 

「強い……! 今までより研鑽を積んで俺に万全の状態で挑んできている。なら、俺も最大限の力をお前にぶつけるしかない。俺のターン、ドローカード!」

 

 海馬の真青眼の究極竜の攻撃力は4500。どれだけ強力なモンスターを出そうと超えるのは難しい。

 そんな中、アテムが取った手は……。

 

「フィールド魔法、混沌の場の効果を解放! 1ターンに1度、魔力カウンターを3つ取り除くことでデッキより儀式魔法を加えることが出来る。俺はデッキから高等儀式術を加えるぜ!」

 

 モンスターの魂が天に昇っていき、アテムに1枚のカードをもたらす。

 

混沌の場 魔力カウンター 6→3

 

「行くぜ海馬、このターンで真青眼の究極竜を倒してみせる!」

 

「ほう? 面白い。見せてみろ」

 

「ああ。まず俺は手札よりマジックカード、生け贄人形(ドール)を発動! このカードの効力によって翻弄するエルフの剣士を生贄に手札から7つ星モンスター、疾走の暗黒騎士ガイアを特殊召喚するぜ!」

 

 翻弄するエルフの剣士の魂がと吸収されていくと、鋭い槍を持った暗黒騎士ガイアが混沌の場を疾走(はし)りだした。

 

疾走の暗黒騎士ガイア 攻撃力2300

 

混沌の場 魔力カウンター 3→4

 

「さらに疾走の暗黒騎士ガイアを生贄にバフォメットを召喚する!」

 

「最上級モンスターを生贄に上級モンスターを呼びだすだと?」

 

 ヤギの頭をしている羽の生えた獣人が暗黒騎士ガイアの魂と引き換えに現れた。

 

バフォメット 攻撃力1400

 

混沌の場 魔力カウンター 4→5

 

「バフォメットが召喚に成功したことで幻獣王ガゼルを、疾走の暗黒騎士ガイアが生贄に使用されたことでカオス・ソルジャーをデッキから手札へ加える!」

 

 バフォメットの呼び声と混沌の場に吸収された暗黒騎士ガイアの魂がデッキに眠る仲間をアテムの手に加えさせた。

 

「そして俺もこのカードを使わせてもらうぜ。伏せてあるマジックカード、融合を発動!」

 

「ふ……真青眼の究極竜にあえて融合で挑んでくるか」

 

「フィールドのバフォメットと手札の幻獣王ガゼルで融合!ヤギの遺伝子を受け継ぐ悪魔よ、かぎ爪持ちし猛獣と1つとなりその力を解放せよ! 融合召喚! 吠えろ、有翼幻獣キマイラ!」

 

 2つの首持った幻獣がフィールドに降り立つ。1つの首は緑のツノを生やし、もう1つの首は白のツノを生やしている。

 また、大きな翼を背に生やしシッポの先は蛇の口となっている。

 

有翼幻獣キマイラ 攻撃力2100

 

混沌の場 魔力カウンター 5→6

 

「そして手札より儀式魔法、高等儀式術を発動! 手札の8つ星儀式モンスター、カオス・ソルジャーのレベルとデッキから墓地に送る通常モンスターのレベルの合計が同じになるようにすることで儀式召喚を可能とする!」

 

「融合と儀式を1(ワン)ターンで行うか……」

 

 フィールドに現れた2つのツボにモンスターが封印されていき、カオス・ソルジャー召喚のための糧となる。

 

「デッキの一つ星モンスター、ワイトと七つ星モンスター、ブラック・マジシャンを糧とし、超戦士の力を得よ!カオス・ソルジャー!」

 

 2つの魂が天へと昇っていくとカオス・フィールドの力が天から降り注がれ、重装備に身を包んだ戦士が降臨した。

 

カオス・ソルジャー 攻撃力3000

 

「有翼幻獣キマイラ、カオス・ソルジャー。なるほど、どちらも強力なモンスターだ。だが……俺の真青眼の究極竜には遠く及ばぬ!」

 

「それはどうかな? たとえ一人一人の力が及ばなくとも結束すれば強敵を打ち倒すことが出来る! 手札からマジックカード、ユニオン・アタックをカオス・ソルジャーを対象に発動するぜ。バトルだ! カオス・ソルジャーで真青眼の究極竜へ攻撃! カオス・ブレード!」

 

「なに……!? 血迷ったか!」

 

「ユニオン・アタックの効果によってこのバトルフェイズのみカオス・ソルジャーは俺のフィールドの攻撃表示モンスターの攻撃力の合計でバトルすることが出来る! ただし、このターンカオス・ソルジャー以外は攻撃出来ず相手に与える戦闘ダメージも0となる!」

 

「結束の力……!」

 

 光と闇の力を吸収した剣がキマイラの力を吸収していき、さらなる力を得た。

 

カオス・ソルジャー 攻撃力3000→5100

 

 巨大化した剣を手にカオスの戦士が3つ首のドラゴンへと立ち向かっていく。

 次々と放たれるドラゴンのエネルギー弾を交わしていき、ついに首を切り落とすことに成功した。

 

「俺の真青眼の究極竜を倒しただと!?」

 

「これで俺はターンエンドだ!」

 

カオス・ソルジャー 攻撃力5100→3000

 

アテム LP1600

 

フィールド 『有翼幻獣キマイラ』(攻撃表示) 『カオス・ソルジャー』(攻撃表示)

 

セット0

 

手札0

 

「ぐ……! 俺のターン、ドロー! まだ俺は諦めぬぞ。たとえこの命果てることになろうとも、俺は貴様に勝つ! 手札よりマジックカード、命削りの宝札を発動する!」

 

「手札増強カード……!」

 

「このカードの効果により俺は手札が3枚になるようにドローを行う!そのリスクとしてこのターン俺は特殊召喚を行えず、貴様へのダメージは0になり、エンドフェイズに全ての手札をセメタリーへと捨て去る! ドローー!」

 

 新たにデッキから引き抜かれた3枚のカード。それは全てディスクにセットされた。

 

「場に3枚のリバースカードを伏せる! これでターンを終了する」

 

海馬 LP3900

 

フィールド 無し

 

セット3

 

手札0

 

「俺のターン、ドロー。混沌の場の魔力カウンターを3つ取り除くことでデッキから儀式魔法を手札へ加える! 俺が加えるのはカオス—黒魔術の儀式!」

 

 3つの魂がアテムに新たな力を授けていく。

 

混沌の場 魔力カウンター 6→3

 

「たとえ海馬の伏せたカードがトラップだとしても、ここは臆せず攻めるぜ。バトル! カオス・ソルジャーで海馬にダイレクトアタック!カオス・ブレード!」

 

 カオスの戦士が剣を引き抜き、海馬へ向かって剣を振り抜いた。

 

「やらせはせんぞ! トラップ発動、カウンター・ゲート! 俺へのダイレクトアタックを無効にし、俺はカードを1枚引く! もしここで引いたカードがモンスターならばそのモンスターを攻撃表示で通常召喚することが出来る!」

 

 カオスの戦士の攻撃はゲートに阻まれ、海馬へと通ることはなかった。

 

「ドロー! 俺が引いたのは闇・道化師のペーテン。このモンスターを攻撃表示で場に出させてもらうぞ」

 

 ゲートからは仮面をつけたピエロが出てきて、不思議な踊りを踊りだした。

 

闇・道化師のペーテン 攻撃力500

 

「だが、まだ俺の攻撃は残っている! キマイラでペーテンへと攻撃! 幻獣衝撃粉砕(キマイラ・インパクト・ダッシュ)!」

 

 キマイラがペーテンへと駆けていき、そのまま突進の衝撃でペーテンを粉砕した。

 

海馬 LP3900→2300

 

混沌の場 魔力カウンター 3→4

 

「チッ……だが、ペーテンは破壊されようと墓地へ置かれたこのカードを除外することでデッキにいる同名モンスターという名の分身を場に残す!」

 

 破壊したはずのペーテンはケラケラとこちらを笑いながら何事もなかったかのように戻ってきた。

 

闇・道化師のペーテン 守備力1200

 

「俺は場に1枚のカードを伏せてターンを終了する!」

 

アテム LP1600

 

フィールド 『カオス・ソルジャー』(攻撃表示) 『有翼幻獣キマイラ』(攻撃表示)

 

セット1

 

手札1

 

「俺のターン、ドロー。……!」

 

 海馬がドローしたカード。

 そのカードによって海馬の脳内で勝利へのビジョンが映し出された。

 

「ゆくぞアテム! 俺は手札より速攻魔法、エネミーコントローラーを発動する!」

 

 海馬の発動した魔法によって、海馬の頭上にコントローラーが現れる。

 

「ここでエネミーコントローラーを引き当てたというのか……!」

 

「エネミーコントローラーは俺が入力するコマンドによって能力が変化する特殊なマジックカード! 俺が入力するコマンドは()()AB!」

 

 海馬の宣言通りにコントローラーのボタンが押されていく。

 

「このコマンドは自軍のモンスターを生贄とすることで貴様のモンスター1体を1ターンの間、俺の僕とすることの出来る効果だ。俺の場へ来い、カオス・ソルジャー!」

 

「く……!」

 

 ペーテンが生贄に捧げられるとコントローラーの力によってカオス・ソルジャーが海馬のフィールドへと行ってしまった。

 

混沌の場 魔力カウンター 4→5

 

「カオス・ソルジャーの攻撃によってキマイラを破壊する算段か!」

 

「……ふっ、貴様といえどもまだ気づくことはないか。この俺の勝利へのラストカードを!」

 

「何だと!?」

 

「俺はリバースカードをオープンする。マジックカード、龍の鏡(ドラゴンズ・ミラー)発動! 俺のフィールド、墓地のモンスターを除外することでドラゴン族の融合モンスターを融合召喚することが出来る!」

 

「墓地の3体のブルーアイズを使って青眼の究極竜を? ……いや、違う。既に青眼の究極竜は真青眼の究極竜の効果によって墓地へと送られている。青眼の究極竜が墓地に? ……あっ!」

 

「気づいたか! 俺はフィールドのカオス・ソルジャーと墓地の青眼の究極竜を融合する! カオスの戦士よ、究極のドラゴンと交わりて最強の力を得るがいい! 融合召喚! 出でよ、伝説のドラゴン……究極竜騎士(マスター・オブ・ドラゴンナイト)!」

 

 カオスの戦士が究極のドラゴンの上へと乗り、竜騎士として姿を昇華させた。

 

究極竜騎士 攻撃力5000

 

「そのモンスターは……!」

 

「貴様は言ったな、結束の力が勝利をもたらすと。いいだろう、認めてやる。俺と貴様のモンスターの結束によって貴様を超えてくれるわ!」

 

 アテムの前に立ち塞がるのはかつて海馬と共闘した時に、彼らを助けてきた伝説のドラゴン。

 しかし、それを海馬は操りアテムを倒そうとしている。

 

「終わりだ……アテム! 究極竜騎士で有翼幻獣キマイラへ攻撃! ギャラクシー・クラッシャー!」

 

 カオスの騎士は剣に集約されしカオスのエネルギーを解き放ち、3つ首の竜から放たれたエネルギー弾と共にキマイラを吹き飛ばした。

 

「やったか!」

 

「……そいつはどうかな?」

 

アテム LP1600→150

 

混沌の場 魔力カウンター 5→6

 

「何!? 攻撃が通りながらもライフが残っているだと?」

 

「俺は今の攻撃にトラップを発動していたのさ。トラップカード、ダメージ・ダイエットをな。このカードの効果によって俺が受けるダメージは半減していた!」

 

「ぐ……悪あがきを」

 

「さらに破壊されたキマイラの特殊効果を発動! このモンスターが破壊された時、墓地よりガゼルかバフォメットを特殊召喚出来る。来い、バフォメット!」

 

 ヤギのツノを生やした悪魔がフィールドへと帰還した。

 

バフォメット 守備力1800

 

「俺はこれでターンを終了する!」

 

海馬 LP2300

 

フィールド 『究極竜騎士』(攻撃表示)

 

セット1

 

手札0

 

「俺のターン! 俺は混沌の場の効果によってカオスの儀式を手札へ加える! カードを1枚伏せてターンエンドだ!」

 

 3つの魂が混沌の場から放たれ、アテムの力となった。

 

混沌の場 魔力カウンター 6→3

 

「ふっ、手が尽きたか」

 

アテム LP150

 

フィールド 『バフォメット』(守備表示)

 

セット1

 

手札2

 

「俺のターン! ……チッ、追撃のカードは来ないか。まあいい、やれ究極竜騎士よ! バフォメットを粉砕せよ、ギャラクシー・クラッシャー!」

 

 バフォメットが防御を固めるも強力なエネルギー弾を前になすすべなく玉砕されてしまう。

 

混沌の場 魔力カウンター 3→4

 

「ターンエンドだ。次のターンで終わらせてくれる」

 

海馬 LP2300

 

フィールド 『究極竜騎士』(攻撃表示)

 

セット1

 

手札1

 

「まだ、俺は戦える! このドローで俺は逆転への一手を打ってみせる! ……ドロー!」

 

 アテムの引き抜いたカード。それは手札という可能性を得るための最上の一手だった。

 

「この勝負、まだ分からないぜ。まず俺は混沌の場の効果によってデッキより超戦士の儀式を手札へ加える!」

 

 幾度となく解放される魂がアテムの力へと変わっていく。

 

混沌の場 魔力カウンター4→1

 

「さらにトラップ発動、補充要員! 俺の墓地に5体以上のモンスターが存在する時、墓地にいる攻撃力1500以下の通常モンスターを3体手札へ加えることが出来る。俺は墓地のワイト、エルフの剣士、幻獣王ガゼルを手札へ加える!」

 

 解放された魂は肉体へと宿っていき、その生を取り戻していった。

 

「そんな雑魚モンスターをいくら加えようとこの俺を倒すことは出来ぬぞ」

 

「それはどうかな? 決闘者にとって手札とは可能性。手札の数だけ可能性がある。これがその一手だ! 手札からマジックカード、手札抹殺を発動!」

 

「手札抹殺……! そういうことか」

 

「このカードの効力によって互いに手札を全て捨て、捨てた数だけカードを引く。俺が捨てたカードは6枚! よって6枚のカードをドローする!」

 

「俺は手札のマジックカードをセメタリーへと送り、1枚のカードを引かせてもらう」

 

混沌の場 魔力カウンター1→4

 

「……! 俺は場に3枚のカードを伏せる。これでターンを終了するぜ!」

 

「あれだけのドローでモンスターを引けなかったか。不運な奴め」

 

アテム LP150

 

フィールド 無し

 

セット3

 

手札3

 

「俺のターン、ドロー! 貴様の手札抹殺は俺にさらなる一手を生み出した! 俺は伏せてある儀式魔法、カオス・フォームを発動する!」

 

「ここで儀式召喚だと……!?」

 

「この儀式魔法は墓地の青眼の白龍を除外することで手札のカオス儀式モンスターをコスト無しで呼び出すことが出来る! 俺は墓地で青眼の白龍として扱うことの出来る亞白龍を除外する!どうやら貴様には、完全敗北という鞭を振り下ろさねばならぬようだな! 儀式召喚! いでよ、ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン!」

 

 ブルーアイズが闇に飲み込まれていくと、地面を突き抜け闇の力すら従えたブルーアイズが姿を現した。

 

ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン 攻撃力4000

 

「同時に究極竜騎士の特殊能力を発動! 俺のフィールドにいるこいつ以外のドラゴンの数×500だけ攻撃力を上昇させる!」

 

 カオスの剣へとドラゴンのエネルギーが吸収されていき、その力を高めていく。

 

究極竜騎士 攻撃力5000→5500

 

「さあ……この戦いに幕を引くぞ! 究極竜騎士でアテムへダイレクトアタック! ギャラクシー・クラッシャァァー!」

 

 三度放たれたエネルギー弾がアテムへ向かって放たれるがその間に現れたマジシャンに驚き、途切れてしまう。

 

ブラック・マジシャン 攻撃力2500

 

「ここで……ブラック・マジシャンを呼び出しただと!?」

 

「トラップカード、奇跡の復活! 混沌の場の魔力カウンターを2つ取り除くことで墓地からブラック・マジシャンを特殊召喚させてもらったぜ」

 

 墓地より復活した黒いローブに身を包んだ魔術師は竜騎士に杖を向けていた。

 

混沌の場 魔力カウンター 4→2

 

「だが、もはやブラック・マジシャンでこの攻撃を受け止めることは出来ぬ!」

 

「ブラック・マジシャンだけならな。だがカードとカードが紡ぎ合うコンボなら不可能ではない! トラップカード、マジカル・シルクハットでマジシャンとのコンボ攻撃!」

 

「何っ!」

 

 ブラック・マジシャンが3つのシルクハットの中の1つに隠れていき、目にも止まらぬスピードでそれがシャッフルされた。

 

「デッキから選択した2枚の魔法・罠カードを守備力0のモンスターとして場にセットし、ブラック・マジシャンをセット状態でシャッフルする! さあ、お前にブラック・マジシャンがどこにいるか分かるか?」

 

「舐めるな。この俺が撃ち漏らすと思うか! 究極竜騎士で真ん中のシルクハットへ攻撃する!」

 

 先ほど途切れたエネルギー弾がシルクハットを吹き飛ばした。そして、その中に……ブラック・マジシャンは隠れていた。

 

混沌の場 魔力カウンター 2→3

 

「ここで3分の1を当てたか。さすがだな」

 

「違うな。この俺の勝利の渇望がそれを必然へと変えたのだ!」

 

「だがシルクハットは守備の状態。これ以上攻撃してもダメージが通ることはない!」

 

「ふぅん。この俺が何のためにこのドラゴンを呼び出したと思っている? 貴様が壁モンスターを呼び出すことを読んでいたからだ! カオス・MAX・ドラゴンで左のシルクハットへ攻撃する! 混沌のマキシマム・バースト!」

 

「何!?」

 

 ブルーアイズが自身の体を光と闇に染めていき、カオスのエネルギーを最大限に貯め、放った。

 

「カオス・MAX・ドラゴンの特殊効果! 守備モンスターへと攻撃した時、その超過分のダメージがあれば2倍の戦闘ダメージを相手へと与える! 貴様の壁モンスターの守備力は0、8000の戦闘ダメージを食らうがいい!」

 

 その膨大なエネルギーはシルクハットを軽く吹き飛ばし、着弾点から爆発を引き起こした。

 その爆発がアテムを包み込む。

 

「……」

 

 海馬瀬人は冷静にその様子を見つめる。爆風が晴れた先に映るのは己の勝利か、それとも勝負の続きか。

 爆風が晴れ、彼の目に入ったのは……けむくじゃらの小さな悪魔だった。

 

「俺はこのダメージを受ける寸前、手札のクリボーの効果を発動させてもらった。相手からの攻撃で俺が受ける戦闘ダメージはクリボーを捨てることで0となる!」

 

「……ふふ。はははは!」

 

 けむくじゃらの小さな悪魔が示すのは勝負の続き。つまり知略と精神を張り巡らすギリギリの闘いはまだ続くということ。

 海馬はまるで子供が無邪気に笑うようにその事実を噛み締めていた。

 

「この勝負は俺にあらゆる意味で限界を生み出させる! 俺の限界を超えたデュエルは貴様すらも凌駕するはずだ。俺が限界を超えるまでこの勝負に決着はつかない……!」

 

「防がれた上でなおも楽しむか。変わらないな、お前はいつだって自分に妥協しなかった。だが、お前が限界を超えようと俺に敵わないことを教えてやるぜ!」

 

「ほざいたな! なら、見せてみろ!」

 

「俺は墓地へ置かれたシルクハット、魔術の呪文書の効果を発動! このカードがフィールドから墓地へ置かれた時、俺はライフを1000回復する!」

 

アテム LP150→1150

 

「その程度か!」

 

「まだだ! バトルフェイズの終了に伴いシルクハットは消滅し、墓地へ送られる。そして墓地に置かれたマジシャンズ・プロテクションの効果を発動! このカードがフィールドから墓地へ送られた時、墓地に眠る魔術師を復活させることが出来る!」

 

「ほう? 俺がブラック・マジシャンを破壊することすら想定内とはな!」

 

「蘇れ! 墓地に眠りし誇り高き魔術師の魂よ! ブラック・マジシャン!」

 

 黒きローブに身を包んだ魔術師がマジシャンズ・プロテクションにより発生した魔方陣から再び姿を見せる。

 

ブラック・マジシャン 攻撃力2500

 

「ターンを終了する。さあ、次のターン。それが俺たちの運命のターンとなる!」

 

海馬 LP2300

 

フィールド 『究極竜騎士』(攻撃表示) 『ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン』(攻撃表示)

 

セット0

 

手札1

 

「行くぜ、俺のターン。ドロー! ……ここでこのカードを引くとはな」

 

 アテムがドローしたカードを見て呆れたような、それでいて優しい微笑みを浮かべる。

 

「行くぜ、これがラストターンだ! トラップ発動、融合準備!」

 

「そのカードは……!」

 

「俺は融合デッキのこのカードを公開し、デッキよりバスター・ブレイダーを墓地からは融合を加える! そして俺は融合を発動! フィールドのブラック・マジシャン、手札のバスター・ブレイダーを融合!誇り高き魔術師よ、竜破壊の達人と交わりて至高の力を手に入れよ! 融合召喚! 現れよ、超魔導剣士—ブラック・パラディン!」

 

 ブラック・マジシャンとバスター・ブレイダーが渦によって交じりわっていく。

 そこから生まれ出たのは緑のローブへと身を包み、竜破壊の剣を引き継いだ荘厳なる魔導剣士だった。

 

超魔導剣士—ブラック・パラディン 攻撃力2900

 

混沌の場 魔力カウンター 3→5

 

「ブラック・パラディン……!」

 

「ブラック・パラディンの特殊効果! それは攻撃力を互いのフィールド・墓地のドラゴン族の数×500ポイントアップする効果!」

 

「俺のフィールドには2体。墓地には3体のブルーアイズと真青眼の究極竜……!」

 

「よって攻撃力は3000ポイントアップする!」

 

 魔導剣士が剣を掲げるとドラゴンの力が集まって行き、自身の体より大きくなるほど巨大な剣となっていった。

 

超魔導剣士ーブラック・パラディン 攻撃力2900→5900

 

「ここでそのモンスターを呼び出すとはな。さすがはアテム、我が宿命のライバル。だが、その攻撃力でこのターンをラストターンにすることが出来るか?」

 

「ああ。このマジックカードで決着をつける。手札から拡散する波動を発動! 1000のライフを払い、レベル7以上の魔法使いを選択し発動! 選択したモンスターはこのターン相手モンスターに1回ずつ攻撃しなくてはならない! 当然対象はブラック・パラディン!」

 

 剣に宿している魔術の力が拡散していき、連続で攻撃できるようになっていった。

 

アテム LP1150→150

 

「貴様と戦った最後のデュエルで使用したカードもそれだったな」

 

「ああ。……だが、バトルに入る前にもう1つやることがある」

 

「……何だと?」

 

 そう言ってアテムがディスクに差し込んだカード。

 それは以前の大切な者からメッセージを受け取る前のアテムならばこの場面で発動することはなかったであろうカードだった。

 

「手札からマジックカード、エクスチェンジを発動する! このカードは互いに相手の手札から1枚のカードを選択し、それを自分の手札とするカード!」

 

「……ば、馬鹿な……!?」

 

 ひどく動揺する海馬を疑問に思いながらもアテムは近づいていく。お互いに手札は1枚、選択するまでもなく手札を交換する形となる。

 そして海馬から受け取ったカードは……アテムの想像していないカードだった。

 

「……ディープアイズ・ホワイト・ドラゴンか。俺は俺一人なら海馬に負けていたということかもな」

 

 ディープ・アイズ・ホワイト・ドラゴンは自分フィールドのブルーアイズが戦闘で破壊された時、手札から特殊召喚する事が出来る。

 もしこの効果で海馬が特殊召喚した場合、海馬の墓地のドラゴン族モンスターの種類×600のダメージを相手に、つまりアテムに与えていた。

 アテムは究極竜騎士の効果を考え、万全を期すためにブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴンを倒した後、究極竜騎士を倒して海馬に勝とうとしていた。

 これが指し示すのはエクスチェンジの発動の有無は勝敗に直結していたという事実。

 

「海馬、限界を超え俺に勝利しようとしたお前のデュエル。俺の心に響いたぜ。だが、成長しているのはお前だけじゃない。俺も相棒から学んだ。優しさという名の強さをな」

 

「……」

 

「バトルだ。ブラック・パラディンでカオス・MAX・ドラゴンと究極竜騎士に攻撃! 超魔導……烈波斬!」

 

 魔導剣士の一振りは拡散されていき、2体のドラゴンを討伐するのに成功した。

 これにより……デュエルの幕は閉じた。

 

海馬 LP2300→0

 

「……負けた、か」

 

 海馬はアテムに渡されたカードを見つめる。そのカードは……死者蘇生。

 

「死者は蘇ってはならない……俺は相棒から教えられた。死者という概念は覆してはならぬものだと」

 

「……それがどうした」

 

「海馬。お前は俺に会うためにかなりの無理をしてきたな。それこそ死しても会う覚悟で」

 

「当然だ。俺は貴様に勝つまでどんなことをしても挑戦し続ける。そうでないと俺は渇きを潤すことはできない」

 

「だが、俺はお前に死んでほしくはない。俺のために死ぬ、そんなことをしてほしくはないんだ」

 

「……もう、遅い。ここまできた以上後退は出来ぬ」

 

「……いや。海馬、お前はまだ死んでいない。生きているんだ。今のお前は肉体から魂が抜けた状態。だが、魂が肉体を離れすぎると……もう戻れなくなる」

 

「戻る必要はない。俺は貴様とのデュエルでしか満たされぬのだ!」

 

「そんなことはない。今、お前はどんな顔をしていると思う?」

 

「貴様に負けた悔しさで歪んでいるのだろう」

 

「違うな。分からないか? 笑ってるんだよ」

 

「……何を言っている」

 

 そう言う海馬の顔は確かに笑っていた。

 今までアテムが見たことのないくらいの満面の笑みで。

 

「俺には分かる、全力を出し尽くすことが出来た。その解放感が体を満たしているんだ。俺とお前はこのデュエルに文字どおり全力を出し尽くした。負けという事実が感覚を一時的に麻痺させているだけでお前はもう……満足しているんだ」

 

「……そうだとしても。いずれまた、渇きを満たさなくてはならぬ時が来る。その相手は貴様しかおらぬ」

 

「それはどうかな? お前の世界には真のデュエリストがいる。お前には見えるけど見えていないだけさ。相棒、それに城之内くん。俺が知らないだけでもっといるかもしれない」

 

「……遊戯はともかく、凡骨などで俺が満たされるとは思えんな」

 

「ふっ、認めたな」

 

「何?」

 

「お前は相棒なら今の段階でも満たされるかもしれないと思っている。それに城之内くんだってお前を満たすことは出来る。俺はそう思う。……それが出来るのは現世だけなんだ」

 

「……。俺の完全な負けか」

 

 海馬は脱力していた体を起こし、手にしていた死者蘇生をアテムへ投げ返す。

 とっさにアテムは受け取り、ディープアイズを海馬に投げ返した。

 迷いなく受け止めた海馬はアテムにこう告げる。

 

「アテムよ。貴様とのデュエル、楽しかったぞ。ここは勝者の言葉に免じて1度現世に帰ってやる。……だが、もし俺が現世にいるデュエリストでは満たされぬと感じるようなことがあれば即刻帰ってくるから覚悟するがいい」

 

「それだと一生ここに帰ってくることはなさそうだな」

 

「……ふん」

 

 アテムは手を振りかざし、自身に残っている力で海馬の魂を肉体へと戻らせ、肉体ごと現世へと返そうと力を込める。

 

「海馬。俺もお前とのデュエル、楽しかった。お前のようなライバルがいて良かった。心からそう思う」

 

 そう告げたアテムの顔は楽しそうな顔なのだが、どこか寂しげでもあった。

 その意味に気づいた海馬がとっさに問いかけた。

 

「……! 俺はもしかしたら現世で渇きを満たすデュエリストに会うかもしれない。だが、貴様は……」

 

「いいんだ海馬。俺は今のお前とのデュエルで渇きを満たしたさ」

 

「俺がここに残ればお前に渇きを満たす相手が出来る。それを振ってまで貴様は俺を帰そうとというのか……!?」

 

「それでいいのさ。死というものはそういった欲で生んではならない。何故なら……死者は蘇ってはいけないからだ」

 

「……!」

 

 それが海馬の聞いたアテムの最後の言葉だった。

 

 

 




4DXの映画がもうそろそろとなったことで触発されて書いてみました。
彼らの魅力をどれだけ引き出せたか分かりませんが、楽しんで頂けたら幸いです。
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