龍と夜叉   作:雪音

8 / 9
更新が遅れてすみませーん(汗)先に恋空を完結させようと、そちらの更新を優先させておりました…!!評価・コメント等々…本当にありがとうございます!!自分でも驚くような高評価を得ており、本当に吃驚しております!!(笑)

補足ですが、この小説は銀魂ベースのるろ剣クロスでありますが、るろ剣原作で起きた事件なども話の中にねじ込んでいきます。そのベースとなるるろ剣の内容は、現在連載されているキネマ版の方ではなく、先日文庫の方で完結した原作の方です!!キネマ版の話も中々魅力的ですけどね♪ベースは原作の方でいきますb

あと、にじファン時代から結構質問でいただいている、るろ剣サイドのキャラの登場についてですが、まず左之助以外の剣心の仲間達(薫や恵、弥彦など…)は、現時点で登場の予定はありません。そして敵サイドにつきましては、この前の話でUPした斎藤一は勿論登場します!!あと、紅桜篇に組み込むような形で刃衛を登場させる方向でほぼ確定です。その他、志々雄や蒼紫などは今後の展開次第ということになります。まぁ、斎藤登場の時点で何とか志々緒を登場させたいと考えてはいましたけどね(笑)ただ、十本刀は登場するか分りません(苦笑)縁と巴は…初っ端あんな書き方をしているので、何が何でも登場させます、はい!!あくまで銀魂のストーリーにるろ剣のストーリーを組み込む(下手するとねじ込むw) 形で話を作っていきたいので、それが不可能な場合は申し訳ございませんがご期待にそえない場合がございます。予めご了承ください。


【第六幕】出会い

銀時達、そして剣心達はひたすら走った。少しでも高杉のアジトに近づくように。そのアジトに正々堂々、正面から突破する為に。

 

しかしそんな彼等の行く手を、鬼兵隊の志士達が阻む。

 

「おい、この銀髪…晋助様の知り合いじゃねぇのか?」

「あっちは桂だ…」

 

銀時達のことを知る鬼兵隊の志士達は、困惑気味だったが…

 

「はいはいはーい!!悩んでる暇があったら道を開けやがれ、コノヤローッッッ!!!」

「フハハハ!!迷いは剣を鈍らせるぞ!!」

「何かどっちがテロリストかわかんないんだけど!?え、僕達神楽ちゃんを助けに来たんだよね!?え、何か僕達の方が悪っぽく見えるんだけど!?」

 

そんな迷っている者達をふっ飛ばしながら、銀時達はただひたすら前へと進む。銀時は木刀を振り回しながら、桂は爆弾をふっ飛ばしながら、新八はそんな彼等にいちいちツッコミを入れながら…。

 

彼等らしく、大騒ぎしながら大事な家族を助ける為に敵陣を駆け抜ける。

 

一方、対照的なのは剣心と左之助だった。

 

「剣心、どーするよ…」

「できれば無用な戦いは避けたいところでござるが…そうもいかぬようだ」

 

殺気立った志士達を前に、左之助はこれは面白いと己の拳をぶつける。剣心も、彼等の一挙一動を見逃さないよう、鋭い視線を志士達に向けていた。

 

「オメェら、何の用があってここに来たァ?まさかたァ思うが、晋助様を殺しに来たとか言うんじゃねーだろうなァ」

 

ゲラゲラと笑いながら言う志士達に、剣心は表情1つ変えず口を開く。

 

「拙者、無駄な殺生は好まぬ故、殺し合いではなく話し合いに来た次第」

「おいおい、剣心…そりゃないぜ…!!」

 

折角久々に楽しい喧嘩が出来そうだったのにと項垂れる左之助に苦笑を漏らしつつも、剣心は単刀直入に本題を切り出す。

 

「拙者、神楽殿を助けるために参上つかまつった。神楽殿を大人しく解放するならば、拙者達はここで引くでござるが…」

「神楽ァ…?あー…あの夜兎のことかァ。何だァ?晋助様は夜兎の飼い主が来るから気を付けろつってたが……テメェらと夜兎の餓鬼とどんな繋がりがあんだよ?」

 

ジロリと睨まれた剣心は、そんな視線も綺麗に受け流す。

 

「今日出会い、背中を預け合って戦い、他愛ない話で盛り上がった友でござる。その友を助ける為に来た…と言ったら?」

 

剣心の言葉に、志士はまたゲラゲラと笑った。

 

「テメェら、何がおかしい!!」

「そりゃ可笑しいさ!!友達のためだとォ?ぎゃはははは!!傑作だぜ!!俺らは、泣く子も黙る鬼兵隊だぜェ?よほどの世間知らずか、よほどの命知らずだな!!」

 

なぁ?と他の者に同意を求めたが、しかし周りにいた志士達の表情は初めて剣心達と相対したときとは違い、顔面蒼白になっている。

 

「お、おい……、まさか、とは思うがよォ……」

「オメェもそう、思うか…?」

「赤い髪、左の頬に十字傷つったら…」

 

そして鋭い視線から感じる取ることができるのは、その者の強さ。ただ視線を合わせただけで、まるで金縛りにでもあったかのように動けなくなった。

 

その目を、彼等は知っている。

 

自分達の(あるじ)である高杉がよく見せる、強い信念を持った目だ。ただ、高杉と違うところがあるとすれば、それが憎悪で曇っているか否か。剣心の瞳はただ己の信念を貫くといわんばかりに、真っ直ぐ…そして強く彼等を射抜いていた。

 

「おいおい、何ビビってんだよ。こんなちっせぇ剣客1人に…」

 

どうやら、最初に凄んだこの男にはそれが分かっていないらしく、次第に士気が落ちていく仲間を呆れたように見ていた。そんな男に、周りにいた者たちは慌てて言葉を遮る。

 

「バ、バカ野郎!!オメェ知らねぇのかよ!?今、かぶき町で噂の………!!」

「………ッ、おいそりゃオメェ……!!コイツがか…!?」

 

一体、何を話したのかは分らない。だが、最初に凄んできた男の顔色もその瞬間サッと青ざめた。最初の威勢の良さはどこへやら…。剣心にぐいぐいと迫っていたその足は、今度は逆に一歩また一歩と後ずさりしていた。

 

「どうやら、拙者の噂はそれなりに広がっているようでござるな」

「んで…どーするよ?オメェら三下で剣心と俺の相手をするか、それともその“晋助様”とやらに頼んで神楽っつー譲ちゃんを解放するか…」

 

バキッと左之助が手を鳴らす。平和的解決を望んでいた剣心も、逆刃刀の柄に手を掛けた。

 

「もう一度聞く。神楽殿を解放するか、否か…」

 

一歩剣心達が前に出れば、一歩志士達が下がる。無言の威圧だが、この威圧からは確かな強さが伝わってきた。剣心からも、そして左之助からも。

 

「俺ァ剣心みてぇに大層な信念をもってるわけじゃねーから…手加減なんて真似は出来ねぇかもしれねぇぜ?おら、どーするよ…?」

「くっ、この男…どこかで見た顔だとは思っていたが、あの噂に名高い喧嘩屋・斬左か…!!」

「ほー、俺のことも知っててくれたのかい。ま、“元”喧嘩屋で…そんでもって今は、ストーカーからお妙を護るボディガードってな…。オラオラ…さっさと答えを出しやがれ…」

 

いよいよ志士達に逃げ場はなくなった。背中に感じるのは、ひんやりとしたコンテナの冷たさ。そして目の前には、2人の男。

 

「く、くそぉぉぉ!!相手はたかが2人だ!!俺達が束になってかかればあるいは…!!」

「俺達鬼兵隊を舐めるなァァァァ!!!!」

 

数では圧倒的に自分達が増さっていると己を奮い立たせ、5人の志士達は一斉に剣心と左之助に斬りかかった。

 

その光景を見ながら剣心が思い出したのは、かつての奇兵隊の者達。まだ元服を迎えて間もない自分を仲間だと慕い、笑い、共に背中を預け合って戦った仲間達。

 

奇兵隊と鬼兵隊。

 

同じ呼び名でも、目の前にいる彼等と剣心の知る志士達は、あまりにも違って見えた。

 

「交渉決裂でござるな。残念でござる…あの人(・・・)の血縁の元に就く志士達だから、出来れば剣は交えたくなかったが…どうやら、そうもいかぬようだ…」

 

奇兵隊が未来を切り拓くために剣を振るっていた志士達ならば、鬼兵隊は恨みという(しがらみ)に捕らわれてただ剣を振り回すだけの殺人集団。

 

同じ“きへいたい”でも…

 

それは高杉 晋作が望んでいた(こころざし)とは違いすぎる。

 

志士と呼ぶにはあまりに粗暴で横暴。

 

高杉 晋助が見つめる攘夷の先にあるのは果たして、高杉 晋作が思い願っていた未来なのか?

 

奇兵隊(むかし)鬼兵隊(いま)ではあまりにも違いすぎる。

 

(高杉さん、すみません…。拙者はどうやら、貴方の血縁が率いている者達と戦わなければならない運命(さだめ)にあるようです…)

 

「うらぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「考え事とは随分余裕だなァァァァ!!」

「死ねェェェェ!!!」

 

彼ならば、この状況を見て何と言うだろうか。

 

 

――はっはーッッ!!おもしれぇ!!緋村ァ、とことんぶつかって悪餓鬼どもを黙らせてやれ!!オメェはオメェらしく、護りたいもんのために刀を振るえや!!もう二度と大事なもんを手放すんじゃねーぞ!!

 

 

不敵に笑いながらそう言う、彼の姿が脳裏を過ぎった。その刹那、剣心はギンッと相手を鋭く睨みつけ、ありったけの剣気を叩きつける。そして、神速の刀を抜いた。

 

「がっ!?」

「ぐえっ!!」

「な…ん、だと…!?」

 

先に剣心目掛けて斬りかかって来た3人は、一瞬の内に沈められる。剣心はたった一振りで、3人の志士を叩き伏したのだ。3人は何が起きたのか分からないまま、意識を手放していた。

 

「ば、化け物だ…!!」

「ひ、怯むな!!狙いを斬左に変えろ!!今じゃ喧嘩屋稼業から身を引いてやがる!!喧嘩屋から身を引いた斬左など恐れるに足りんわッッ!!」

 

剣心に真っ向から挑んで敵わぬのであればと、残りの2人は標的を剣心から左之助へと変えた。白刃が左之助に迫る。しかし…

 

「おいおい、喧嘩屋稼業からは身を引いちゃいるが、喧嘩を止めたとは一言も言ってねーぞ。これでも俺ァ、お妙んとこに毎日来るストーカー(近藤)を相手にしてんだからな!!」

 

そんな彼等の白刃をヒラリと交わすと、1人の志士の鳩尾に拳を一発、そしてもう1人の志士の後頭部に蹴りを一発入れて、これまたいともアッサリと志士達を沈めた。

 

「流石でござるな、左之」

「オメェがそれを言うか?まぁ、ちぃとばかし手加減はしてあるからそのうち目は覚ますだろうよ」

 

やれやれと頭を掻いている左之助に剣心は笑みを零す。何だかんだと口では言っても、隣にいるこの男はいざという時に頼りになる。

 

「がはっ…!!」

「お、もう目を覚ましやがったか…」

「だが、まだ暫くは動けぬだろう。先を急ごう…」

 

目を覚ました志士の1人を一瞥して、剣心と左之助はその場を後にする。一方、朦朧とした意識の中で目を覚ました1人の志士は、先ほど仲間で交わした会話を思い出し、そして冷や汗を流した。

 

「あれ、が……。噂の、抜刀、斎…ッ…!!」

 

『バ、バカ野郎!!オメェ知らねぇのかよ!?今、かぶき町で噂の馬鹿強ぇ剣客の噂を!!話によると、長州藩士だったっていう伝説の“人斬り抜刀斎”とか……!!』

 

剣筋は全く見えなかった。気付いた時には、自分の意識は飛んでいた。いつ剣を抜いたのかも、いつ斬られたのかも分らない。

 

と…そこまで考え、あることに気付く。

 

身体は痛みに支配されてまだ動かせないが、斬られた痛みではない。例えるならばこれは…“峰打ち”をされた時の痛みだ。

 

「……、野郎…!!峰打ち、で……この、威力、かよ…ッ…!?」

 

もしこれが刃で斬られていたならば、今頃上半身と下半身は真っ二つに分かれていたに違いない。

 

(惨めな姿だが…命があるだけでも…)

 

そして再び、男の意識は暗転した。

 

 

 

その後も剣心達を見つけては志士達が斬りかかって来たが、剣心の逆刃刀、そして左之助の拳がことごとく志士達を叩きのめす。走り続けてようやく鬼兵隊の本陣と思われる船に近づいた時…

 

 

――ドォォォン!!!!!

 

 

何か…爆発音が聞こえてきた。

 

「あ?なんだァ?高杉って野郎、大砲でもぶっ放したのか?」

「いや、あの音は大砲ではござらんよ。恐らくは手投げの爆弾でござろう…」

 

しかし一体誰がそんなものを投げたのだろうか?鬼兵隊のメンバーだろうか?

 

それとも…

 

「万事屋殿…?」

 

神楽を助けに来た、彼女の仲間達だろうか…?

 

そんな疑問の混ざった剣心の呟きは、立て続けに聞こえてきた爆発音で掻き消された。

 

 

 

剣心達が鬼兵隊の船に向けて前進している頃、銀時達もまた鬼兵隊の船に向けてひた走っていた。しかし、隠密行動など出来ない男が1人…。

 

「フハハハハ!!どうだ、この爆弾の威力は!!エリザベスと俺で開発した特別製だぞォォォ!!!」

「ぎゃぁぁぁぁ!!!桂の持ってる爆弾の威力!!なんだありゃぁぁぁぁ!!??」

「ひ、引けぇぇぇ!!アイツらマジで俺達を潰しに来やがったぞォォォ!!!!」

 

そう、高笑いをしながら自慢の手投げ爆弾を投げまくっている桂だ。銀時も隠密行動などには向かないが、その銀時が大人しく見えるほど桂の暴れっぷりは凄まじかった。

 

「銀さん、(アレ)…止めなくていいんですか?何か、逆に僕達が真選組に捕まっちゃいそうな勢いなんですけど…!!」

「知るか―――ッッ!!だから俺ァ嫌だったんだよ、ヅラと一緒に潜入するのは!!」

 

あああっ!!と言いながら頭を抱えている銀時と、煩い爆発音で耳をやられないように必死に耳を塞ぐ新八。しかし、そんな2人のことなどまるで気付いていないかのように桂は構わずに爆弾を投げ続ける。

 

「って、テメェは何個爆弾持ってんだよ、このテロリスト!!」

「備えあれば憂いなしだろう?おかげでここまで、無駄な体力を使わずに敵を制することができたのだ。感謝するのだな!!」

 

フフン、とどこか誇らしげな顔が憎たらしい。その顔面に遠慮なく洞爺湖で一太刀浴びせてやれば、奇声を上げながら吹っ飛んでいく。

 

「ヅラァァァ!!クソォォ、よくもヅラを殺りやがったな鬼兵隊ィィィ!!(棒読み)」

「えぇぇぇぇ!!??今、桂を殺ったのアンタだよね!?俺達何もしてないよねェェェェ!!??」

「桂さんの仇ィィィィ!!(棒読み)」

「駄目だコイツら、自分達の罪を俺達に擦り付けることしか考えちゃいねェェェェ!!!」

「しかもこの棒読み加減が更にムカつくわッッ!!!」

 

別の意味で殺気立ってきた鬼兵隊の志士達に、いい加減鬱陶しいと銀時が顔を顰めた時だった。

 

「死ねッ!!白夜叉!!」

 

銀時の目の前に、鬼兵隊の志士の1人が飛び込んできた。

 

迫る白刃、新八の叫ぶ声

 

しかし、銀時の世界からはすべての音が消えた。

 

 

白夜叉

 

 

嗚呼…、俺はまだ…

 

その名前で呼ばれるのか――…?

 

 

刹那、銀時の木刀が薙ぐ。飛び込んできた志士がそれをまともに喰らって吹っ飛んでいった。

 

「銀さん、無事ですか!?」

 

新八は新八で、自分目掛けて突っ込んできた志士を相手にしているらしく、その声には力が篭っていた。大丈夫かと問われ、銀時はクスリと小さく笑う。

 

「そりゃオメェ…大丈夫に決まってんだろうが、コノヤローッッ!!」

 

白夜叉と呼ばれようと、鬼と呼ばれようと…

 

護ると決めたものは必ず護る。

 

もう二度と…

 

「どきやがれェェェェ!!ヅラの弔い合戦だァァァァ!!」

「だから殺ったの俺らじゃねェェェェ!!!」

 

大切なものをなくさない為に。

 

紅い瞳はギラリと輝き、新八に襲い掛かろうとしていた志士を捕らえる。その凄まじい殺気に当てられ、志士は刀を落とした。

 

「あらら~、お手手ががら空きですよ~。じゃー、おやすみなさ――いッッ!!」

 

ドカッと鈍い音がして、背後から新八を襲おうとしていた志士が地面に伏した。やがて、新八も鍔迫り合いをしていた志士の隙をついて竹刀で胴を決めれば、攻撃を受けた志士はみっともないうめき声を上げてその場に撃沈する。

 

「銀さん、ありがとうございます」

「何のこれしき。しっかし、ぱっつぁんも男の子だねぇ。随分強くなったじゃねーの」

「え…そ、そうですか…?」

 

何でこのタイミングでそんなことを言うのかと首を傾げる新八だったが、そんな新八の頭をポンと撫でていつものしまりのない顔でヘラリと笑う。

 

「さて、この調子でガンガン行こうぜッ!!」

「そうですね!!早く神楽ちゃんを助けないと!!」

「お、お前ら…俺を置いて行くな…!!」

 

よし行こうと決意を固めていたら、相変わらず空気の読めない男が銀時の木刀によってぶん殴られた顔面を摩りながら立ち上がった。もう立ち上がらずにそこに寝てくれてたらどんなに良かったかと、銀時と新八が思ったのはここだけの話である。時間が惜しいと、走り始めた銀時と新八に続くようにして桂もその後を追う。

 

「それより…奴等、妙な話をしていたぞ?」

「え、何?お前ただ死んでただけじゃねーの?」

「死んでおらんわ!!いや…奴等が新八君と銀時の隙を狙おうとしていた時の会話が聞こえてきたのだ…」

「会話ですか?」

 

その会話を聞くために暫く死んだフリをしていたという桂に、疑いの目を向けた銀時だったが、それに構うことなく桂は続ける。

 

「無線で話しているみたいだったのだが、別方面から侵入者有り…と」

「侵入者ですか?それってつまり、鬼兵隊に侵入しようとしている誰か…」

「まぁ、トシが言ってたもう一つの切り札ってところか…」

 

うーんと考えている銀時と、パッと明るい表情になった新八。

 

「左之さんが来てくれたんだ…!!」

「ふむ、斬左という単語が聞こえてきたからまず間違いないだろう。だが…」

 

そこで桂は言葉を区切る。不自然に言葉が切れたため、前を見て走っていた銀時と新八の視線が桂に集中する。

 

「ただ、なんだよ?」

「斬左と共にいるという者が…」

「どうしたんですか?桂さんのお知り合いとかですか?」

「……、いや何でもない…気にしないでくれ。多分俺の聞き間違いだろう…」

「……?」

 

しかし、桂が明確な言葉を口にする事はなかった。銀時は深々と溜息を吐いていたが、どうやらこれ以上桂に聞くような事は考えていないらしい。新八は何か聞きたそうな顔をしていたが、どうせこの先でその人物に会うならその時でもいいだろうと、再び前を向いて走り始めた。

 

しかし桂だけが複雑な表情のまま、走り続ける。

 

鬼兵隊の志士達が話していた内容が何度も脳裏を過ぎっていく。

 

『おい、別方向からも侵入者らしいぞ!?』

『真選組か!?』

『いや、悪一文字の羽織を着たトリ頭の男と、赤い髪で左頬に十字傷のある男だそうだ…』

『オメェ、そりゃ…喧嘩屋の斬左じゃねーか!!しかも、その赤髪…まさか…!?』

『あぁ、あの伝説とまで言われた、江戸で最強の元長州藩士…人斬り抜刀斎だぜ…!!』

 

(人斬り抜刀斎…またの名を、緋村 抜刀斎…)

 

桂はその名を知っている。桂家は代々長州藩のために刀を振るう家系だった。その長州藩士達が桂家を訪れた時、長州藩をまとめていた桂家の者――桂 小五郎が、まだ幼かった自分に話してくれたのだ。

 

長州藩にはとても強く腕の立つ若い剣客がいると。

その者がいるかぎり、絶対に我らが信じている未来を拓くことが出来ると。

 

公には出来ない…暗殺を担う者だったため、その剣客の事は詳しく教えてはくれなかったが、それでもその志士名だけは鮮明に記憶に残っていた。

 

その志士名は攘夷戦争で更に有名になり、しかしその攘夷戦争の最中に忽然と消えたのだ。

 

桂 小五郎が処刑される直前に届けられた(ふみ)にはこう記されていた。

 

 

“我らが望む未来のために、とある若者の未来を閉ざしてしまったことが心残りだ。だからもし、その若者に出会うことがあったら…桂家の者として、私の代わりに謝罪をして欲しい。彼の名は緋村 抜刀斎。我らの同志にして、希望の光りだった勇敢な若い志士だ。緋村の未来を閉ざしてしまったこと、この桂 小五郎の死を以って償わせてもらう。この死は幕府に屈しての死ではない。私の命で未来を担う若者達の命が護られると信じて…。これが、桂 小五郎最期の攘夷だ。”

 

 

国の未来を思う切なる願い、そして1人の若者の未来を閉ざしてしまったことに対する謝罪の思いが綴られていたのだ。

 

桂はそんな彼の思いを引き継ぐかのように桂一派として攘夷活動に身を置くようになり、天性のカリスマ性を発揮して、たくさんの同志達と共に倒幕を目指すようになった。しかしそんな中でも、あの(ふみ)の内容だけは決して忘れられなかった。

 

先代の願いを自分がかなえなければならないと、そう思っていた。

 

だが、江戸で最強と恐れられた緋村 抜刀斎の情報は何もなく、攘夷志士達の間では銀時の白夜叉同様、都市伝説のような扱いになっていた。

 

攘夷戦争の途中で忽然と姿を消したと風の噂で聞いた時には、あるいは戦死したのかとも思ったが……。

 

(これも何かの因果か…?)

 

桂と高杉。

 

昔も今も、決して切れない縁で結ばれているこの2つの家系が揃うこの場所に、桂が探していた緋村 抜刀斎と思われる人物がいるという。

 

「うぉーい、ヅラァ!!さっきから恐っろしい程静かだけど、生きてるかァー?」

「たわけが。勝手に殺すな!!」

「もー、静かなんだから放っておけばいいじゃないですか。また騒ぎ出しても正直迷惑ですし…」

「新八君もとうとうリーダーと銀時に感化されて毒舌を吐くようになったか…」

「いや、今日の僕が毒舌なのは、大体アンタのせいですよ」

 

銀時や新八とそんな他愛ない会話をしながらも、桂の思いはただ一つ。

 

もし、本当にこの場に桂 小五郎が謝罪したいと願った者がいるのならば…桂家の者として、彼に謝罪をしよう…。

 

「これが俺に託された使命か…」

 

密かに桂はそう決意した。

 

 

そして―――

 

 

「おい、剣心…なんか急に静かになったな…」

「左様でござるな。もしかすると敵の罠かもしれぬが…」

 

 

その時が――

 

 

「何か急に敵さん来なくなったな」

「ふん、俺の爆弾に恐れをなしたのだろう」

「いや、それはないですね、多分…」

 

 

訪れた――

 

 

「あ、きっとあれが船の入り口ですよ!!」

 

「左之、行くでござるよ」

 

「よし、では早くリーダーを見つけるぞ」

 

「おうよ!!うっしゃ、楽しみだぜ!!」

 

「そんじゃ、手筈通りヅラと新八は神楽の方を頼むわ!!」

 

 

コンテナの山が途切れ、船への入り口と思われる場所に辿り着いた時…

 

 

「…おろ…?」

「え…、誰?」

 

 

攘夷戦争の英雄と言われた男達が…

 

出会う。

 

「左之さん!!」

「おう、新八!!そっちも無事だったみてぇだな!!」

 

新八と左之助は互いの無事を喜び合っていたが、銀時と剣心、そして桂は違った。否、銀時は「ああ、コイツがトシの言ってた…」などとぼやいていたが、剣心は銀時の容姿を見て確信する。

 

彼があの時、真選組の屯所前ですれ違った侍だと。

そして彼こそが、攘夷戦争後期の戦いで伝説と言われた“白夜叉”だと。

 

桂もまた、疑惑から確信へと変わった。

この場にいるのは紛れもなく、江戸で最強と恐れられた伝説の人斬り“緋村 抜刀斎”だと。

 

「桂さん、どうしたんですか?」

「おーい、ヅラ?急に黙ってどーしたよ。てぇか…え、何?銀さんすっげぇガン見されてんだけど…」

「何だ剣心、この銀髪知り合いか?」

 

訳が分らないと3人はそれぞれ指をさしたり、首を傾げたりしている。

 

しかし、当の本人達はそれぞれが驚いたような顔をしていた。

 

「緋村、殿…?」

 

桂がその名を紡ぐ。

 

そして…

 

「……ッ、白夜叉……!!」

 

剣心が、その異名を紡いだ。

 

 

それぞれが、それぞれ驚いた顔をしている中…

 

 

白夜叉と呼ばれた銀時は…

 

 

「…あー…えーっと…、うん、覚えてる。覚えてるよー?え、っと……多串君の知り合い…だっけ?ああ、佐藤君だっけ?あー、こんなに大きくなっちゃってー。飼ってた亀も大きくなった?」

 

 

1人場違いなことを言っていた。

 

「……おろろ……?」

 

緊張の糸がプツーンと音を立てて切れる。

 

ポカンと呆けた剣心の口からは、口癖が思わず零れた。しかし間髪入れず桂が銀時の頭を思いっきり叩く。

 

「このたわけが!!」

「ってぇぇぇ!!何すんだヅラ!!」

「お前は何を呆けたことを言っておるのだ!!それからヅラじゃない桂だ!!」

「結局どうあっても、名前の訂正はするんですね…」

 

桂という単語に、また剣心の表情が変わる。

 

「…ッ、桂…!?…まさか…!!」

 

剣心の脳裏に、1人の男の姿が過ぎった。

 

優しくも厳しかった、その人の姿が。

いつも国の未来を思っていた…桂 小五郎の姿が。

 

「……、私の名は桂 小太郎と言います。桂 小五郎は私の血縁です…」

「やはり…!!」

 

剣心の抱いた謎は、確信へと変わる。

 

「んん?桂 小五郎つったら確かヅラの血縁で、長州藩を統率していたっつー…オメェとは似ても似つかねぇ…スゲェ人だよな?」

「おいこら銀時、貴様俺を何だと思っている!?」

「ヅラ」

「だからヅラじゃない桂だァァァァ!!!」

 

ウガァと怒鳴る桂に呆ける剣心だったが、やがてクスリと小さく笑った。

 

「ほらー、ヅラ。佐藤君に笑われてんじゃねーの」

「いや誰だよ佐藤って。よー、銀髪のにーちゃん。コイツはなぁ…」

「銀時よ、お前とて名ぐらいは聞いた事あるだろう。この方の名前は…」

 

「「緋村」」

「剣心だ」

「抜刀斎殿だ」

 

左之助と桂の言葉が重なる。だが、苗字は同じだったが名前は全く異なっていた。

 

「え、何?…ワンモア。よく聞こえなかった…」

「おいトリ頭。俺の言葉に己の言葉を重ねるとはいい度胸ではないか…!!」

「そっちこそなんだよ。てかいきなり初対面でトリ頭たァ何だ!!」

 

桂と左之助が睨み合いを開始した。それはもう、バチバチと火花が散るのではないかと言うくらいの睨み合いを。新八が溜息を吐きながら「銀さんどうしましょう」と銀時に助けを求めている。

 

「あー、えーっと…?うん?で、結局誰?」

「って分ってなかったの!?佐藤君架空人物かよ!!いや、そもそも多串って人も誰ですか!!」

「いやぁ~~、今日も冴えてるねェぱっつぁんのツッコミ」

「おかげさまでッッ!!」

 

ハァと溜息を吐きながら、新八が申し訳無さそうに苦笑しつつ剣心に視線をやる。

 

「すみません、うちの大将が…。あの、失礼ですがお名前を伺ってもよろしいですか…?」

 

そんな新八の言葉を受けて、剣心はいつもの人の良い笑みを浮かべる。

 

そして、彼は口を開いた。

 

「拙者の名は剣心。緋村 剣心でござるよ…。緋村 抜刀斎は長州藩士時代の志士名でござる」

 

一瞬、その場がシンと静まり返る。

 

その静寂を破ったのは…

 

「え…えぇぇぇぇぇぇ!!!???おいおいおいおい、嘘だろォォォォ!!!!!」

 

頭を抱えながら絶叫する…

 

「とんでもねぇ大御所じゃねーかァァァァ!!!!!!!」

 

銀時の声だった。




多串君の知り合いの佐藤君って誰だよホントって話ですよね(笑)ごめん、何か多串に次ぐインパクトのある苗字が浮かばなかった…^^;

この話は、桂と高杉の家系のこと、それに対するヅラや剣心の思いなどをメインに書きつつ、剣心と銀時の対面を書かせていただきました!!しっかし…るろ剣パートだと基本シリアスなのに、銀魂パートになると基本ギャグだなおい(笑)

ちなみに認識として、銀時は剣心のことを名前だけ知っています。ただし、剣心のように見た目で分ったわけではなく、この小説で書いたとおり、名前を聞いて初めて知ったという設定です。ありていに言えば、そこいらの攘夷志士達同様、都市伝説レベルでしかその名前を聞いたことがないということです(笑)

高杉晋助と高杉晋作、桂小太郎と桂小五郎(えぇいややこしいwww)をそれぞれ“血縁”とあえてはっきりさせずに濁しているのは……年齢設定など考えてたら訳が分からなくなったからです(苦笑)最初はそれぞれ、父ちゃんかじーちゃんの設定にしようかとも思ったんですが、それはそれでまた後々ややこしくなりそうだと思いやめました。なのでこの先も、彼等の関係は“血縁”という曖昧な表現のままとなります。いや、年齢設定で言ったら剣心の年齢設定もこの小説じゃかなりおかしなことになってるけどなっ!!(汗)そこはあえてツッコまず、そっとしておいてください^^;

それにしても……本当に冴えてるな、ぱっつぁんのツッコミ(笑)
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