ホウエン地方で始まる日常 作:kazusaichinomiya
オレは今、猛烈に好きな相手がいる。しかし相手は人間だ。しかもオスだ。当然オレなんかが恋をして良い相手ではない。それに話す言葉も違う。ただ「好き」の二文字がオレは言えない。恥ずかしいんじゃない。言ってはいけない気がするんだ。
タツキはオレの大切な家族。でも溢れる気持ちは抑えられないから、たまにハグしたりキスするけど、気持ちは一向に伝わらないんだ。メスを見ても一緒にいたいとは思わないけど、タツキとはどうしても一緒にいたい。タツキとはずっと一緒の友達だった。でも7年間会えなくなって気づいた。オレはアイツと一緒じゃないと嫌なんだ、そばにいられなくなった時にこんなにも悲しくなるなんて、とね。たまらなく辛かった。だったら今のオレにできるのはそばにい続けることなんだろうな。
「ねぇ、ボスゴドラ、タツキに恋してるんじゃないの?」
コルニ先輩さすがです。いっそ姉貴と呼ばせてください。でもタツキはどう考えているんだろう。姉貴、どうアタックすりゃいいんすか?
「そんな感じするよー?タツキが好きで好きでたまらない、って顔で抱き締めてたもん」
姉貴、文句なしの満点の回答っす。好きで好きで好きで好きでたまらないんすよ。でもタツキとは繋がれない、繫がってはいけないんすよ。
「でしょー?あたし一人じゃ見つけられなかったものを、二人なら見つけられる。二人でも見つけられなかったものは、みんなで見つければいい、って思うんだ」
姉貴、それっす。オレ一人じゃ見つけられなかった告白を姉貴にも見つけるの手伝って欲しいっす。
「おめでとう、タツキ君、とても良かった。でもなんでボスゴドラに命令しなかったんだい?」
「すきなひとにふつうめいれいしないでしょう」
お?今なんて言った?それが本気なんだとしたら、すごく嬉しいが、どんな顔すればいいの?あと、オレのことヒトとして認識しているなら余計に嬉しい。
そうこう考えていると知らず知らずのうちに抱き締める力が強くなってしまったようだ。
「ふ…ぐ…ぐるじい…」
オレの想いは届いているんすかね、姉貴?苦しめてる気もするんですが。
「ちなみにボクは仕事があるからカナズミに戻るよ。何かあったら連絡してくれよ。それとタツキ君、頑張ってくれよ」
ダイゴがいなくても、きっとタツキはしっかりやってくれますよ。好きな女性がきっとできるでしょう。
「あ、ボスゴドラはちょっと来てくれないか?」
え、オレ?なんか悪いことした?
ダイゴは森の奥を見続けて歩いた。その後ろをオレは無言で着いていくしかなかった。やがてダイゴは立ち止まる。
「キミはどこまで本気なんだい?」
くるりとこちらを振り返ってこう言った。本気とは一体?まさか気づいているのか?
「そうだよ、キミの気持ちは既にね。でも彼の気持ちもわかった」
ウソだ、オレの想いは伝えてないのに。タツキの想いを…。
「知りたいかい、彼の想い?」
知りたい、タツキがどう思っているのか。いっそフラれるなら一思いにフッてくれよ。
オレの想いはきっと二度と届かn…。
「彼はキミのこと心の底から大好きなんだってね」
いやいやそんなワケがないのに…。タツキがオレのこと?
「キミの気持ちが本気なら、ゆっくり抱き締めてやれ。もし気持ちが微塵でも欠けているなら、彼と体を通して触れ合うことはやめて欲しい。彼の気持ちが困惑するだけだから」
ダイゴさんは応援してくれるんですか?オスがオスに対する気持ちに?それを本気でいってくれるなら…。
「彼のこと、頼んだよ」
そして時間は戻り…。
「夫を待つ妻みたいな表情だったけど、そんな寂しかったの?」
「そそそそ、そんなことないよ!」
こちらを向き不安そうな顔になるタツキ。ああ、こんなオレを本当に受け入れてくれるのかな。でもオレはタツキが男だろうが、好きだという気持ちは変わらないから!
(ムギュゥ)
「!?」
これがオレの答え。それでも足りなくなってキスする。タツキの口に舌をねじ込む。強くやり過ぎちゃった、あとでなんでもするから許して。しかし今度はタツキの舌がオレの舌を優しく撫で回す。R-18スレスレかもしれないな、コレ。でもそんなこと、今の二人にはどうでもいいことだった。お互いが受け入れたのだった。
こうしてまた一緒に寝ることができたのだが、ちょっと今までよりもずっと自然になった。今回オレの考えていたことばかり聞いてもらったけど、ちょっとオープンにしすぎたかもな。普段ずっとこんなえっちなことを考えているわけじゃないからな。
あ、頭ナデナデしてもらった。えへへ…
意外と甘えんぼさんなボスゴドラの一面。タツキとはこれで恋人という関係になりました。次回から冒険になりますよ