反転学園~超教師級のダメ侍と超高校級のバカ達の物語~   作:オゼル

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第12話 事件は会議室で起こってるんじゃない、教室で起こっているんだ! by苗木誠

夏休みは、どこの学校にも訪れるもちろん反転学園も例に漏れず

多くの生徒は寮から家に戻った生徒、寮に残った生徒、それぞれ思い思いの夏休みを過ごしている

 

そして8月のある日、学園長室に数名の生徒が集められた

 

「夏休みなのに来てもらって悪いな」

 

学園長室でアイスティーを飲みながら学園長は目の前にいる生徒達にそう言った

 

「あの、僕達に用事って何ですか?」

 

右のソファの真ん中に座っている少年、苗木誠は学園長に疑問をぶつけた

 

「簡潔に言うと、今度の学際で使おうと思っているバーチャルシュミレーションを試してもらいたくてな」

 

「バーチャル?」

 

学園長の言葉に苗木の横に座っていた霧切響子が反応する

 

「なぜそんな物を俺が試さなくてはならない」

 

左のソファに座っている十神白夜は棘のある言葉を投げかける

 

「まっ、いっちまえば超高校級の生徒の感想を聞きたくてね」

 

学園長が言った超高校級とは―――

 

ある分野において特に優れた能力をもつ高校生につけられる称号であり。

この場にいる生徒達もその超高校級の生徒である

 

舞園さやかは超高校級のアイドル

 

朝日奈葵は超高校級のスイマー

 

石丸清多夏は超高校級の風紀委員

 

腐川冬子は超高校級の文学少女

 

大神さくらは超高校級の格闘家

 

山田一二三は超高校級の同人作家

 

セレスティア・ルーデンベルクは超高校級のギャンブラー

 

葉隠康比呂は超高校級の占い師

 

など、他にもこの場にはいないが超高校級の生徒達がいる

 

 

「無論、唯でとは言わん…シュミレーションの内容は現実に起こった殺人事件を調査するゲームだ、そこで見事犯人を当てた場合は、夏休みの宿題免除を報酬として全員にやろう」

 

「マジだべか!」

 

ドレッドヘアが特徴的な留年3年生 葉隠康比呂と一部の生徒は学園長の宿題免除の言葉に興奮したが

 

「くだらん、あれぐらいの課題など、とっくの昔に終わっている」

 

「右に同じですわ」

 

「私も、数学を残してるだけでその他はとっくに終わっているわ」

 

「学園長!宿題は自分の力で解くものです!我々だけ免除など、他の生徒達に不公平です!」

 

十神、セレス、霧切は興味がないと言い、石丸は宿題免除を拒否した

 

「そうか……そうだな、それじゃあこれはどうだ、犯人を言い当てた一人だけに宿題免除、もしくは俺の個人私産の一割をやろう」

 

「「!?」」

 

学園長の提案に十神とセレスの二人は驚く

 

「はぁ?私産の一割って…100万とかそれぐらいだべ?……!100万!まじだべか!?」

 

「バカが、この男の私産はその程度の物ではない」

 

「そうなのか?」

 

「確か聞いた話では10京円はくだらないとか」

 

「京!?…って、高いの?」

 

ケレスの京の言葉に朝日奈は隣にいた大神に問いかける

 

「我の記憶が確かなら万、億、兆の次が京だったはずだ」

 

「そんなに!?」

 

「実際、この男の表の顔は学園の学園長だが、裏の顔は国の政府を動かせるほどの力を持っているという噂だ」

 

「マジだべか!?」

 

「さすがにリアリティがないのでは?」

 

「そっ…それに…白夜様、それって唯の噂なんでしょう?」

 

「俺に気安く話しかけるな」

 

「!…すっ、すいません」

 

「ですが、学園長がかなりの力を持っているのは事実…そうですわね?」

 

「………ご想像にお任せしよう」

 

「……良いですわ、私は参加します」

 

「俺も参加しよう」

 

「霧切さん…」

 

「なに?苗木君」

 

「霧切さんは、どうするの?」

 

「そうね…苗木君は参加するの?」

 

「うん、まぁ宿題免除はうれしいし、興味があるから」

 

「そう…わかったわ、私も参加する事にするわ」

 

「僕も参加しよう!だが、仮に僕が犯人を当てても何も望まない!それで良いですか?学園長!」

 

「かまわないよ、そこは本人の自由だ、それでは全員参加と言う事で良いんだな?」

 

苗木達は無言で頷き学園長はそれを見て、苗木達と一緒に校舎のある場所に向かって行った

 

 

~シュミレーションルーム~

 

苗木達がいる場所は、一面白の教室でその中心にテレビ局で使われていそうなカメラがあるだけの部屋だった

 

「さて、それではシュミレーションをはじめようとするか、全員準備は良いな」

 

そう言って学園長はカメラを起動させた、カメラから光が映し出され、白かった教室は、川原になっていた

 

「すっ…すごい、本当に川原に来たみたいだ」

 

「バーチャルだと思って侮るなよ、最新のシュミレーション機器によって肌が感じる程だ」

 

「すご~い、確かにこれなら学祭で絶対人気になるよ!」

 

「ありがとう朝日奈君、それでは本題に移ろう、事件のあらましはこうだこの川原で死体が発見された、第一発見者は近所に住む老婆」

 

学園長がカメラを操作すると川原に青いビニールシートで覆われた物体が出現した

 

「川に洗濯に来ていた所、川上からコイツが流れてきたと証言している」

 

学園長がビニールシートを外すと、そこには真ん中から二つに割れた大きな桃と、その桃の間で倒れていた桃太郎の死体があった

 

「どんな事件ですか!!」

 

舞園のツッコミが川原中に響き渡る

 

「ちょっと、どんな事件データを入れてるんですか、明らかに日本昔ばなしがデータに混ざってますよ!」

 

「過去に似たような事件があったらしくてな」

 

「あるわけないでしょ!だってこれ桃太郎ですもん!桃太郎冒頭から真っ二つにされてますよそんな昔話聞いた事ありませんよ!!」

 

「舞園さん、まだ彼が桃太郎と決まったわけではないわ」

 

「いやどう見ても桃太郎でしょ!桃に入ってるし!」

 

「余計な先入観は致命的なミスを招くのよ」

 

「いやだってお婆さん川に洗濯に言ってましたよね!」

 

「学園長、この桃はお婆さんが発見した時から割れていたんですか?」

 

「この状態で川上から流れてきたのをバーさんが引き上げたとの証言だ」

 

「え?始めるの、こんなバカな事件調べるんですか?」

 

「妙ねこの状態で川を流れていたのだとすれば桃太郎の体は濡れていてもいいはず」

 

「霧切さん、今桃太郎って言いましたよね、認めましたよね!」

 

「確かに霧切さんの言うとおりこの状態で川に流れていたのなら濡れていない方がおかしい、それに大の大人が入った桃をお婆さんが一人で引きずってこれますでしょうか?明らかに不自然ですわ」

 

「セレスさん、大の大人が桃に入っている時点で不自然ですけど!」

 

「おそらく第一発見者はお婆さんだけではない…そして桃も割れていなかったはず、学園長その時のお爺さんのアリバイは?」

 

「山へ芝刈りだ」

 

「それアリバイなの!?そんな怖い感じのものなんですか!?」

 

「学園長、お爺さんの芝刈りの鎌と桃太郎の血のDNA鑑定は出来ますでしょうか?」

 

「何恐ろしげな事考えてるんですか!」

 

「この桃太郎の致命傷と桃の割れ方は一致しています恐らく同じ刃物によるものでしょう、つまり桃太郎は桃を割る際同時に斬られた」

 

「でっ…ではセレス殿、桃太郎を殺した犯人は?」

 

「そう、すなわち桃太郎を殺害したのは桃を割った…お爺さんとお婆さんです!」

 

「これ何て昔話ぃぃぃ!?」

 

「故意ではありません恐らく桃に人が入っているとは思わずに起こった事故、それ故二人は芝刈りに洗濯というアリバイ工作をした後、桃太郎と“桃太郎が入っていた桃”を」

 

「それは違うよ!」

 

論破

 

 

「苗木君!」

 

「違うとは、どういう意味ですか?」

 

「だって、桃から生まれたばかりの桃太郎が何であんなに大きいのさ!」

 

「今さらそこをツッコムの!?桃から生まれたのは無視でそこはツッコムの!?」

 

「!?」

 

苗木の言葉にセレスは衝撃を受ける

 

「なんで衝撃受けてるの!!もう全員気づいてるから!!」

 

「この桃太郎は完全に成人だ、だから既に別の老夫婦に拾われて育てられていた」

 

「なるほど、それにこの汚れた身なり一つとして残っていないきび団子から、この男は既に鬼退治を終えていた」

 

「じゃあ、この事件って」

 

「そう、桃太郎冒頭に起こった事件ではなく全てが終わった後に起こった事件ということだ」

 

「それではなぜ桃太郎は再び桃の中に…」

 

「この傷は確かに、老夫婦につけられたもので間違いないだろう」

 

十神はそう言って桃太郎の傷口に手を向ける

 

「だが見てみろほとんど出血の跡が見うけられない、これは奴がこの傷を受けた時既に死んでいた事を証明しているつまり…」

 

「つまりなんだべ?十神っち」

 

「黙っていろ…つまり何者かが奴を殺害しあたかも桃太郎冒頭の件のようにもう一度桃にいれ川に流した…全ての罪をあの老夫婦になすりつけるために」

 

「何ややこしいことになってるの!?もういいですよ!別にもう犯人誰でもいいんですけど!」

 

「犯人は相当狡猾な人間だろうな、だがおかげで犯人をしぼりこむ事ができた、鬼退治を終えた桃太郎のおかれていた状況を考えると真犯人は…」

 

「奴の下僕だった犬、猿、キジ、この中の誰かしか考えられん」

 

「しぼりこむもなにも登場人物それしかいないでしょうが!それに下僕って普通お供でしょ!」

 

「桃太郎一味は鬼ヶ島から財宝を持ち帰ったと聞くだが平和のため戦ったとはいえしょせんは畜生と桃から生まれた化け物、財宝を前にしてそれを独占しようと争いをくりひろげていた事は想像にかたくない」

 

「桃太郎どこまで汚せば気が済むんですか!?」

 

「とりわけこれだけ狡猾な罠をはれるのは猿しか考えられない、猿は一味と鬼ヶ島から戻った後、罠を張り桃太郎を死にいたらしめた、そう“財宝”を独占する為に」

 

「それは違うよ!」

 

論破

 

 

「なに?」

 

「確かに桃太郎達の中では猿が一番利口でズル賢い…けど十神君、君は一番重要な事を忘れている」

 

「一番重要なこと?」

 

「猿は…お金なんか使わない」

 

「苗木君!?普通だよそれ!普通に分かるから!だんだん推理がバカになってきてるんですけど!」

 

「!?」

 

十神は苗木の言葉に先ほどのセレス同様、衝撃を受ける

 

「そして何で衝撃受けてるんですか!皆もう普通の事言い合ってるだけでしょ!」

 

「じゃあ、真犯人は猿以外の犬とキジのどっちかってこと?」

 

「朝日奈さん、犬もキジもお金使えませんよ!」

 

「だが犯人が誰にせよいずれも獣、話すことすらできんならば別の線から犯人を捜すしかない学園長、桃太郎の検視結果この切り傷が死んだ後につけられたのならば本当の致命傷がどこかにあるはずだ、傷の形状によってはそれで犬、猿、キジの犯行か導きだせるかもしれん」

 

「残念だがこの切り傷以外に目立った外傷はない…ただレントゲンで気官に妙な物が映っていた、団子状の何かだな」

 

学園長が見せたレントゲンには桃太郎の気官に丸い団子の様な物がつまっていた

 

「……いや団子状の何かって……これ完全にきび団子つまらせて死んでますよ!!これだけ苦労して結局何?桃太郎食い意地で死んじゃったの!?」

 

「いえ、犯人の偽装工作の可能性もあるわ。桃太郎を殺した後にきび団子を桃太郎の口の中に入れて……」

 

「霧切さん考えすぎですって!」

 

「もうこのさい獣でも良い、桃太郎一味と話をさせろ」

 

「あぁ、奴らならここだ」

 

十神に桃太郎一味を呼べと命令された学園長は十神になぜか、桃太郎の胃のレントゲン写真を見せた、その写真には犬、猿、キジが映っていた

 

「容疑者全員食べられちゃってるじゃないですか!!どれだけお腹すいてたの!?きび団子つまらせる所の話じゃありませんよ!!」

 

「ちょっと待って、じゃあ桃太郎は被害者ではなく加害者だったということ?……なるほど、そういう事ね」

 

「霧切さん?」

 

「事件の真相がこれで分かったわ」

 

「何だと?」

 

「桃太郎一味が奪い合っていたのは財宝なんかじゃない、彼が桃に入っていたのは犯人の偽装工作じゃない」

 

「霧切さん、それってどうゆう事?」

 

「彼らは鬼ヶ島の帰り道…遭難していたのよ、出たくてもあの桃(ふね)から出る事ができなかった、彼の身体が赤茶けてひどくくたびれていたのはそのため……何よりかつての仲間の無残な姿が何よりの証拠」

 

「では霧切よ、桃太郎達が奪い合っていたのは財宝などではなく…」

 

大神は霧切に桃太郎達が奪い合っていたものの正体を聞く

 

「そう、彼らが奪い合っていたのは互いのきび団子、そして互いの身体を食料として奪い合っていた…そして生き残るためにかつての仲間を食らった男はその報いでも受けるように最後の一口…仲間のきび団子をのどにつまらせて桃の中で死を迎えた、つまり彼を殺したのは他でもない彼自身だったのよ」

 

「それは違うよ!」

 

論破

 

 

「苗木君…」

 

「確かに霧切さんの推理は当たってると思う…けど本当に桃太郎は仲間のきび団子を奪ったのかな?」

 

「馬鹿な、現状を見ろ、桃太郎は自分の欲の為に下僕を殺し、食料を奪った」

 

「十神君、けど僕はそれでも真実が知りたい、残酷でも良い本当の真実を!」

 

苗木は桃太郎の口の中に手を入れた

 

「苗木君!?」

 

「……舞園さん、これが何だか分かる?」

 

「!?それは…」

 

苗木が舞園達に突きつけたものは…

 

「これはきび団子なんかじゃない、袋だよ、たぶんきび団子を入れていた」

 

「バカな!?」

 

十神はその言葉に驚愕する

 

「ですが苗木誠殿の持っている物が袋だとすれば、桃太郎の体の中には団子らしきものは見当たらなくなりますぞ」

 

「もし桃太郎が仲間と団子をとり合ってたら、何で他の団子が映ってないの?」

 

「空腹に耐えかねて袋を食べるなら…何で団子が入っているうちに食べないと思う?何より袋には盗み食い禁止って文字が書かれてある、この字の通りならきび団子が入っていた袋は桃太郎が管理していたはずだ」

 

「では桃太郎は一口も団子を口にしていないと?」

 

「そうだよ大神さん、桃太郎は全部の団子を仲間にあげて、自分は草履でも噛んでたんだと思う」

 

「けど桃太郎のそんな思いとは裏腹に仲間は次々と死んでいき、そして最後に桃太郎一人が残ってしまった」

 

「そうだよ霧切さん、ここから先は君の推理と同じだ、生きるためにそういう道を選んだ……こんな袋を食べるなんて、よっぽどの覚悟がないと無理だよ、生きたかったんだろうね死んでいった仲間の分まで」

 

「苗木君……」

 

「誰が何を言おうと僕はこの考えを曲げない、これが僕がこの現場で見た僕の信じる真…」

 

ブッブー!

 

「えっ?」

 

苗木が最後の言葉を言い終える前に部屋中にアラームが響きわたる

 

「残念だが苗木、不正解だ惜しい所まではいったんだがな」

 

「えっ?ちょっと学園長、どういう事ですか?」

 

「桃太郎が殺されたのは合ってるよ、ただコイツは桃太郎じゃなくて…桃太郎一味丸呑みした鬼ヶ島のボスだ」

 

学園長がそう言って桃太郎の頭に付けたタスキを取ると、そこには二本の角が生えていた

 

「桃太郎に化けて人間を食いに上京した所を志半ば倒れた、これがこの事件の真相だ」

 

「つまりこの事件の犯人は、脳腫瘍でした」

 

「「…………………」」

 

 




次回はバカテスの話を題材にしようと思っています。
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