図書室の天使さん   作:史上最強のラーメン

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お待たせしました。続きをどうぞ


天使と未来と青春の風

 

 

 先日、Aqoursの新PV『夢で夜空を照らしたい』が公開された。新たに花丸達三人のメンバーを加え、更に空に浮かぶ大量のランタンの美しさも相まってネット上で評判を呼び、PVは5万再生を突破した。

その結果、Aqoursの知名度は一気に上がり、東京で行われるスクールアイドルのイベントに招待され出演することになったらしい。

 

 

うぅ...花丸、ルビィちゃん...ついでに善子も。大きくなったなぁ...

 

 

3人の古参ファンである俺は、ビッグになった彼女達に思いを馳せていた。

 

 

 あと因みに最近知ったんだけど、浦の星統廃合になるらしい。浦の星は来年度より生徒の募集をやめ、生徒達は別の何処かの学校に移るという話だ。

 俺が通う高校男子校だからなぁ...もし共学だったら亡校の生徒が我が校に来るっていう展開もあったのだが、流石に男子校を統合先に選ぶ事はないだろう。くそッ!中学の時みたいに花丸とルビィちゃんとギャルゲーみてーなイチャイチャhigh school life(妄想乙www)を送りたかったのに!!!こうなったら転校してやる!野郎だらけで学校中シーブリーズ臭いしな!マジでなんで俺男子校入った!?くそっ、共学に行って彼女作ってやる!!そのためにまず浦の星の理事長に合併先の高校がどこかを聞きに行かねばならない。さて、どうやって理事長とアポ取るべきか....

 

 

 

 

 

 

閑話休題

 

 

 

 

 

 本日は晴天なり。ルビィちゃん、花丸、善子の新たなる門出に相応しい日と言えよう。本日は3人が東京へ出発する日、当日である。そのため、俺は3人の見送りをしようと沼津へ来ていた。流石に休日なだけあって沼津駅周辺は人が多い。

 

 

「よっすよっす」

 

 

 駅前にて、多くの通行人から好奇の視線を集める見慣れた集団を発見したため、声をかける。

 

 

「あっ、未来くん!お見送りに来てくれたの?」

 

 

第一に反応してくれたのは可愛いの権化、ルビィちゃんだった。ルビィちゃんは俺に気がついた瞬間、花が咲いたような魅力的な笑顔を浮かべてくれた。こりゃ俺に惚れてるね!あははっ、勘違いワロス!

 

 

「もちろん!俺は君達のファン1号ですから!これ食べて頑張ってきてね」

 

 

そう言って俺は、手に持っていた袋をルビィちゃんに手渡す。

 

「わぁ!これは、三島駅の近くのパン屋で売ってる数量限定の!」

 

「ルビィもこれ知ってる!すごく美味しいって話題のパンだよね?」

 

「ふふふっ、早朝から並んできたゼ!」

 

 

 ルビィちゃんに手渡した袋の中身にいち早く反応を示したのは花丸だった。

 流石食いしん坊でお馴染みの花丸さん、やはりご存知でしたか。これは三島駅周囲にある有名パン屋でも特に人気の高い代物。これを手に入れるために、休日にも関わらず今日は朝6時に起きたのだ。いやー、俺頑張った。これで目の前の国木田山脈が更に大きくなれば大満足よ。どうやら花丸が摂取した栄養は全てお胸に行っているようですからね、ヌルフフフ......そういえば昔、パンを高速で買ってくるとかいうキャラを演じてたけど、あれは今では立派な黒歴史です。

 

 

「そして...」

 

 

 ふと、横から視線を感じる。視線の主が先程沢山の人から見られていた原因だと知っていたため、今まであまり見ないようにしていたが、仕方なく目を向ける。

 

 

「善子お前...」

 

 

やはりそこには変人がいた。

 

 

「なんだお前、ヒソカみたいなメイクして」

 

「ヒソカ言うな!これは地獄に伝わる神聖なものなの!」

 

 

 視線の主、津島...善子はバケモンみたいなメイクと付け爪をし、その異常さをこれでもかという程に醸し出していた。第一印象はハンターハンターのピエロみたいだな、である。明らかにヤバい。先日、コイツめっちゃ可愛いなと感じたことを後悔するレベルのヤバメイクだ。

 

 

「ククッ、貢ぎ物感謝する。我が眷属、リトルデーモン0号よ」

 

「誰が眷属だ!せっかく前に、普通の高校生になってリア充ライフ送りたいとか言ってたから色々相談乗ってあげたのに、自分から道それまくってんじゃねぇか!このアホ善子!」

 

「ヨハネ!堕天使も辞めない。リア充にもなる。両方やらなくっちゃあならないってのがヨハネの辛いところね。覚悟はいいか?私はできてる」

 

「カッケェェェ」

 

「ギラン!」

 

 

 今のセリフカッコ良すぎる。つい善子をアニキと呼ばさせていただきたい衝動に駆られてしまった。ブ、ブチャラティィィ!!!

 

 というか、相変わらず自分から下の名前で呼べと言ってきたくせに、いざ呼ぶと訂正してきやがる。善子と呼ぶと条件反射で訂正するようになってるな。無駄な能力磨いてて笑える。堕天使ヨハネ、不思議な生態すぎるだろ。今も、色んな決めポーズでギラン!ギラン!といっている。俺がついカッケェェェとなんて言ってしまったばっかりに......

 

 

 

あっ、良いこと考えた。

 

 

 

 

「ヨハネ様〜」

 

「き、急にどうしたのよアンタ?」

 

 

 善子は俺の急な態度の変容に目に見えて動揺していた。

 この失踪していた数年で俺は空気を読む力を身につけたのだ。空気を読むと言う行為には、他人から良い印象で見られ、その先にある目的を達成したり恩恵を受けようと言う魂胆があると考えている。その考えの基、俺は今回、自身の望みを達成するために善子、もといヨハネに合わせてやろうと考えた。

 

 

「いやいや、なに動揺してンスかヨハネ様〜。俺は以前からヨハネ様の従順な僕じゃないスカ〜」

 

「えぇ...」

 

 

俺の急な態度の変わりように善子は目に見えて動揺していた。この程度で動揺するとは堕天使が聞いて呆れるぜ!

 

 

「いえ、そうね...遂に未来もヨハネの魅力を理解する事が出来たのね。それに、ククッ、まさか過去の記憶まで捏造してしまえたなんて、流石に驚いたわ。他人の精神に干渉する力...いいじゃない。まさに地獄を統べるヨハネに相応しい能力と言えるわ」

 

「えぇ、えぇ。愚かなる私めは、遂にヨハネ様の魅力を理解する事が出来ました。ヨハネ様は狂人無敵最強です」

 

「もっと讃えなさい!」

 

「よっ!美人!スタイル抜群!善い子と書いて善子!」

 

「最後のは余計よ」

 

「地獄の女帝!古代兵器ブリオン!魔界合成獣!」

 

「凄く良い気分だわ。今まで頑なに堕ちるのを拒んできた未来がまさかね.......ふふっ、これでこれから一緒にリトルデーモンの集いを出来るわっ!画面の向こうのリトルデーモン達にも紹介しないといけないわね!もしかしたら、つ、付き合ってるとか勘違いされちゃうんじゃないかしら!?

 

何か小声で言っているが、そろそろ頃合いだろう。

 

「じゃあ東京行ったら東京バナナのプレーンとキャラメル味、あとバターフィナンシェ買ってきてねよろしく」

 

「え?」

 

 

ふぅ...演技でめっちゃ体力使ったな。これは秒給1000円くらいの価値はあるぞ。それならもっとお願いしても大丈夫だな。

 

 

「あ、あと東京駅の『ちいかわらんど』に売ってる限定のスマホリングよろしく。支払い方式は地獄式を適用で、分割100年払いでよろ。ちなみにお土産という名目の一応プレゼント扱いのものなので買掛金は実際に掛かった金額の半分ということで。あ〜疲れた」

 

「そ、それが狙いかーーー!!!」

 

いつにも増して噛み付くような勢いでキレてて草。

 

 

それから、また善子とアホみたいな会話をしたり、泣きながらルビィちゃんや花丸と離れ離れになる前最後の会話をした。ちなみに泣いたのは俺だけ。

 

 

「そろそろ電車くるから行くよー!」

 

 

幸せな時間はすぐに終わりを迎え、高海先輩の元気いっぱいな声と同時に出発の時間となった。

 

「じゃあ行ってくるね未来くん!パンありがとう!がんばルビィしてくるね!!」

 

「ゔゔぅ...がんばルビィィィ!!!」

 

「パン美味しいずら〜。あ、ついでに未来くんもバイバイずら〜」

 

「ぐすんっ...花丸ぅ、都会の荒波に負けるんじゃないぞぉ!」

 

「しばしの別れだ、リトルデーモン0号。ククッ、ヨハネが留守の間、沼津の平和の維持は任せたぞ」

 

「はいはい、ばいば〜い」

 

「私だけ露骨に態度変えるの辞めなさいよ!!!」

 

 

 それからすぐに、Aqoursの姿は改札の向こう側に消えていき、姿も見えなくなってしまった。

 

 

 

 

今日からボッチ辛すぎるッピ!!!

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜

 

 我らが天使(一人堕天使が混ざっている)が東京に行ってしまい失意のどん底にある俺は、少しでも寂しさを紛らわそうと、そのまま沼津の街で暴飲暴食爆買い爆走を繰り返していた。沼津に来たのは朝だったが、気がつけば丁度18時になっていた。冷静になる。これは学校通報案件では?と思ったが、大袈裟な表現をしているだけで大して悪いことは出来ていない良い子ちゃんな俺であった。

 

 そう安心しながら俺は、聖地ヌーマーヅに寄ろうと思い、歩を進める。

 

 

「ありがとうございましたーまたおこっしゃっしゃっせー」

 

 

 ヌーマーズにてショッピングを楽しみ、結局ぼっちちゃんのグッズを購入した俺は、めっちゃ砕けた挨拶をする店員に見送られながら店を後にする。

 時刻は進み、もうすぐ19時になろうという頃。いくら夏とはいえ、辺りは暗くなり始めていた。とはいえ、俺は深夜徘徊やチャリで街を爆走しちゃう卍リベンジャーズ系マイルドヤンキー(自称)なため、いつか花丸やルビィちゃんをエスコートする日に備えて新たなグルメを開拓しようと、夜の沼津の街を一人歩く。

 しかしながら、適当に歩きすぎたせいか、少し中心街から逸れすぎてしまったようだ。電灯が少なく周囲は暗い。

 

ちょっと怖いし、流石にそろそろ帰宅すべきかと思い、引き返そうとすると、俺の耳がなにか不穏な空気を察知する。

 

 

「やめて!警察呼ぶわよ!」

 

 

あ、あれはナンパ!?...

 

ガラの悪そうな男二人が観光にきたと思わしき、金髪の外人さんの腕を掴んでいた。いや、なんでこんな時間にこんな暗い道歩いてんねん。不用心かよ。それに男の方もよくまぁ外人さんをナンパするわ。

 

 

 

ってマジレスしてる場合じゃなーーーい!!

 

 

 

やばい!警察呼ばなきゃ!いや、もし勘違いだったら...でも見た感じ明らかに拒絶してるノリなんだよなぁ...これで助けなくて、外人さんがヤンキー共に連れ去られて良い子には見せられないよ!な展開(エロ同人みたいに!)になっちゃったら私の妄想が捗りますーーーーーーじゃなくて罪悪感から寝つきが悪くなってしまう。

 

あっ、目が合った。...むむむっ、無理です絶対!むむむむむむむむ!そんな助けを求めるような目で俺を見ないで......俺小さい頃から勉強しかしてこなかったヒョロガリだから!はじめ○一歩とテレビでやってるリアルボクシングを見比べて、コイツらのパンチ貧弱すぎwww俺でも勝てそうwwwとかイキってるだけの雑魚だから!学校を占拠したテロリストを颯爽と撃退して、「またオレ何かやっちゃいました?」って決めゼリフ吐く妄想を時々しているだけの極めて平凡な一般人だから!!

 

 

 こんなくだらないことを考えている間にも、更に状況は悪化している。ナンパ野郎の片方が外人さんの口を手で押さえ、この道の先に続く、暗い夜道に連行しようとしていたのだ。

 

 

あぁもう!警察が来るまで時間を稼ぐだけだ!なる様になれ!

 

 

 

〜〜〜

 

「はい、これで大丈夫よ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 ナンパ男とパツキンボインの外人さんの間に割り込んだ俺は、ナンパ男達と対話による平和的解決を試みたが、奴らは一切聞く耳を持たず、更に胸倉を掴まれ頬を殴られたのだった。頭脳明晰、運動神経抜群に定評のある俺だが喧嘩はからっきしな為、やり返しても返り討ちにあうだろうと考え、外人さんを庇いながら防御に徹していた。そして、時間を稼いでいると事前に連絡しておいたポリスメン達が到着した為、極悪ナンパ男達はついにお縄になったのだった。全く、なんてアウトローな奴らだ!!

 

で、それからなんだけど、ポリスから事情聴取を受けた後に、外人さんに我が故郷、内浦にある豪勢なホテルに招かれて怪我した箇所を治療してもらっていたのだった。なんか見覚えがあるとは思っていたが、まさか同じ町に住んでいたとは思わなかった。それに日本語ペラペラだし、外人さんとか呼んでめっちゃ失礼だったな。

 

 

「改めてお礼をさせて貰うわ、助けてくれてありがとう、天城未来くん」

 

 

この金髪ボインの女の人、名を小原鞠莉さんと言うらしい。ハーフかな?クオーターかな?ってあれ?

 

 

「え?どうして僕の名前を...」

 

 

あぁ、事情聴取のときに俺の名前を聞いてたのか。そうやって疑問を口にしたにも関わらず、内心で自己完結する。

 

 

「少し前に、毎日の様に入校許可書に名前を書いてたでしょう?それで覚えたの、あなたの名前」

 

 

違った。でも、入校許可書?んん?何言ってるんだこの人?確かに入校許可書といえば、前に浦の星にランタン作りに行った時に書いたけど、それで俺の名前を知ったとか意味不明だぞ。もしかしてこの人、俺が想像しているよりも年上で、浦の星の事務の仕事でもしてるのかな?だったら俺の入校許可書を見てる事にも納得がいく。てっきり俺、大学生くらいの年齢かと思ってたわ。

 

「小原さんは、浦の星の事務員さんだったんですね」

 

「ふふっ、違うわ。私は浦の星の理事長をやっているの」

 

ほう!理事長とな!そりゃすごい!

 

「あっ、理事長さんだったんですね」

 

「イェス!!!浦の星女学院のshiny president こと、小原鞠莉よ!!!」

 

「シャイニープレジデント...それなら納得......って理事長!?その若さで!?」

 

 

アポ取れちゃった!!!伏線回収乙!!流石にこれは大草原...いや、急展開すぎて草はえねぇ。

 

でも、公立とか国立とかのトップとなると、ある程度キャリアを積まなきゃなれないのは分かるけど、私立高校の理事長って、全然詳しくないけどこんなに若くてもなれるもんなのか?まさかこの人、アンチエイジングによって見た目と年齢にもの凄い差がある人なのかな?もしかして、この美しさで三十代後半かそれ以上だったりするのか?

 

 

「やー、びっくりしました。僕、小原さんのこと大学生くらいの方だと思ってました」

 

 

 小原さんは、若々しくとてつもなく美人だ。そしてスタイルもとても良い。少し下品な言い方だが、ボンキュッボンである。現在、そんな人とホテルで二人きりなのだ。健全な男子高校生ならヨォ!いやらしいこと、いっぱい考えちゃうっしょ!!

 

 と思っていたが、流石に三十代後半はまだ守備範囲外である。いくら小原さんが凄まじくセクシーな見た目をしていたとしてもな!

 

 おや?マイサンのようすが...!おめでとう!マイサンはsmall and big(小さく、それでいて大きな) マイサンにしんかした!

 

 めでたくねー。BANされる可能性あるからそういう表現使うの遠慮なされ。

 

 

「ノンノン。何か勘違いしてるようだから言うけれど私、華の女子高生よ」

 

「......ま、またまた〜、ご冗談を」

 

 

 女子高生が高校の理事長とかなれる訳ないじゃん。とはいえ、俺の太陽が小原さん女子高生疑惑が出てきて再びパワーを取り戻しはじめている。見た目は確かに高校生から大学生くらいに見えるから信憑性はある。

 

 

「ジョークではないのよね〜。私のホーム、小原家は浦の星へ多額の寄付をしているの。だからこう、ガーってして、パーっとして、シャイニー!!!な手続きを経て私は浦の星の理事長の座に就任しちゃいました、というわけなのです!あ、ちなみに私は浦の星の3年生でもあるわ!生徒兼理事長、カレーうどんみたいなものね!!」

 

「お、おぉ...なるほど...理事長であり先輩でもありましたか。例えはよく分かりませんでしたがなるほど...」

 

「わからないのぉ〜?」

 

「イ、イエ〜ス」 

 

 

 カ、カレーうどん?まぁ、とりあえず理解出来たのは、先代の浦の星女学院の理事長は金の力で追放されてしまったというわけか。マネーイズパワー。カネがカネを産み、カネこそが絶対的パワーを持つ資本主義の理不尽さを垣間見た気がした。てか、説明適当スギィ!!!

 

 俺は小原先輩の圧倒的破天荒さについていけず、絶賛混乱の渦の中にいた。

 

「そ・ん・な・ことより〜?」

 

「へっ?な、なんでしょう?」

 

 なんとか混乱した頭を元に戻し、小原先輩と向き合おうとしたが、しかし、追撃をかけるように、小原先輩はニヤニヤと少し悪戯な笑みを浮かべながら俺の顔を覗き込んできた。

 

 

「Aqoursの一年生の子達にお熱だって聞いてるけれど、そこのところどうなのかしら?」

 

 

 お熱ってなにそれ!?俺もはじめて聞いたわ!お熱ってスキャンダル的なお熱?それともAqours一年生トリオの人気のココがスゴイ!って意味のお熱?帝○平成大学のココがスゴイ!って違う違う。つい言いたくなってしまった。そしてこれ絶対前者の方だわ。

 

 

「い、いやぁ...お熱ってそんなことは...」

 

「ふふっ、いい機会だし色々聞かせてちょうだい?馴れはじめとか、誰が好きか、とかね?」

 

「聞きたいこと沢山あるように見せかけて、絶対最後のが聞きたいだけじゃないですか!!!」

 

 

 

この後めちゃくちゃ尋問された。

 

 

 

 

 

 

〜〜〜

 

天敵(小原先輩)に出会った翌日、俺はまた沼津に来ていた。今日は待ちに待ったAqours御一行が帰還する日である。この片田舎とは何もかもスケールが違う都に片道数時間かけて電車で行っていたのだ。きっと疲れているだろうし労ってやらねばならないだろう。彼女達が東京に行っていた間、悲しみに暮れていた俺だが、こうして、東京から帰還し更に魅力的になった美少女達と鈍感難聴系主人公である天城未来のイチャコラ生活が今、再び始まるのだった...

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーと、思っていた。

 

 

「お帰りなさい」

 

「お姉ちゃん...」

 

「よく頑張ったわね」

 

「うぅ...お姉ちゃんっ!」

 

 

 

ルビィちゃんが泣いていた。

 

 

 俺は激怒した。この世界に在る何者よりも尊ばれる存在、この世の至宝であるルビィちゃんを泣かせた輩がいるという事に。ルビィちゃんを不届にも泣かした輩に、この顔面偏差値以外はハイスペックな俺が然るべき裁きを下してやろう。

 そのために、まずは善子に事情聴取だ。花丸もルビィちゃんと同じく精神的にダメージを負ってるだろうからな、ここは善子だ。え?善子も花丸やルビィちゃんと同じだろって?いいんだよ、だって善子だし。あいつなんやかんや強メンタルしてるし。

 

「this way」

 

「えっ?なによ?てかなんで英語?」

 

「follow me 」

 

「ちょっ!や、やめっ!」

 

「first comes rock 」

 

「首根っこひっぱんなぁー!」

 

 

もうこれで終わってもいい。だからありったけを...

 

 

 

 

 

 

〜〜〜

 

あの後善子を尋問し、俺は事情を把握した。

 

 

「これか。Saint Snow」

 

 

 善子に聞いた話によると、Aqoursは東京で行われたスクールアイドルイベントで最下位に、しかも得票数ゼロで最下位になってしまったらしい。そして、失意に暮れている最中、同じくイベントに出場していたSaint Snowというスクールアイドルに、「スクールアイドルは遊びじゃない。馬鹿にしないで」と言われてしまったらしいのだ。正直その話を聞いて俺もショックだった。応援してきた花丸やルビィちゃん、善子率いるAqoursならば全国のスクールアイドル達にも健闘できるのではないかと思っていた。それなのに結果はぶっちぎりの最下位。我々の認識の甘さと、全国の厳しさを嫌でも理解させられてしまう結果だったといえよう。

 ...あと、ルビィちゃんが泣くという緊急事態が発生し、冷静さを失っていたのもあるが、流石にちょっと尋問とかするのはダメだったかもしれない。何故なら、善子もあまり精神的に余裕があるように見えなかったからだ。今度謝罪にアイスでも奢ろう。

 

 

 とはいえ、善子の口を割らせたことで、ルビィちゃんを泣かした奴がSaint Snowというスクールアイドルである事が判明した。絶対許さん。

 ふむふむ...メンバーは鹿角聖良と鹿角理亞の二人ね。姉妹でスクールアイドルやってるのか!?いや、それにしてもこの鹿角理亞とかいう方ルビィちゃんにそっくりだな。ツインテールで妹枠でちっぱいで...いいですなぁ!...って違う違う。一瞬でもこんなキツそうな女を人類の宝であるルビィちゃんと似ていると思ってしまった過去の自分を恥じなければ。よく見たら全然ちがうし?ルビィちゃんこんなキツそうな目してないし?ルビィちゃんに比べて全然純粋そうじゃないし?あと太ももルビィちゃんの方がエロいし?全然違うな、比べるのも烏滸がましい。

 

 

「取り敢えず一番人気の曲聞いてみるか」

 

 

えーと、一番再生数が多い曲は...これか。『SELF CONTROL』。よっしゃ!アンチコメ書きまくったるで!ルビィちゃんの無念、いざ晴らさん!!

 

ダンスなうダサすぎワロス。鹿角理亞貧乳すぎて草。家では話し方めっちゃ訛ってそう笑笑笑。曲冒頭の振り付け太陽拳のパクリぢゃん!(鬼◯キッズ並感)。鹿角聖良は...鹿角聖良は...何も思いつかねぇ...美人で巨乳とか完璧かよ。ダンスなう...あ、あれ?俺は今何を口走って...ダンスなうダンスなう...あ、頭がなんかやばい!動画を止めなければダンスなうダンスなうダンスなうダンスなうーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だんす......なう...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なう...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

せいんとすのうさん、さいこう...

 

 

 

 

 

〜〜〜

 

 ルビィちゃんの仇を取るべく意気揚々とSaint Snowに報復しに行ったけど、メンタルポイントが足りずダンスなうに敗北し、骨抜きにされてしまったNTR的展開はーじまーるよー。

 「未来くん!イヤずら!戻ってくるずら!」「そうよ!私たちを一生支えてくれるんでしょ!?なんで函館なんかに行っちゃうのよ!」Saint Snowの沼にハマってしまった俺が、Saint Snowのホームである函館に引っ越す狂気の推し活をしようと、自宅にて引越しの荷造りをしていると、花丸と善子が俺にそう訴えかけてくる。「ごめん、花丸、善子、ルビィ。オレぇ...ホントは...実はホントはぁぁ...北海道にゴキブリを増殖させる方法を研究しに行くっていう引越しの理由は嘘で...!ホントは毎朝ぁぁ聖良さんのデカメロンを拝みながら生きていきたいだけなんですっ!だから俺...!函館に行きます!」客観的に見ても、俺の今の表情は非常に情けない事になっているだろう。支えようと、守りたいと本気で思っていた三人の子達を俺の心の弱さが招いてしまった身勝手な理由で悲しませてしまっているのだから。いや、もしかすると、心の奥底では申し訳ないという感情も無いのかもしれない。有るのは申し訳ないと思っていると思われたいという保身的感情だけなのかもしれない。何故なら俺の心は、既にSaint Snowの物になってしまったのだから。「デ、デカメロンって!?そんなしょうもない理由でアンタは...!ってルビィ!さっきから何黙ってるのよ!アンタも何か言ってやりなさい!」さっきから不自然なほどに無言なルビィちゃん。俺がいなくなる事を悲しんでくれているのか顔を俯かせており、そして少し身体も震えている。そんな様子に俺を含め、全員の心配そうな視線がルビィちゃんの方へ向く。しかしながら、ルビィちゃんが顔を上げた瞬間、ルビィちゃん以外の全員の感情は一瞬で困惑に変わる。そう、何故かルビィちゃんは今までに見た事がないほどのものすごく色気のある、そして少しの狂気が混ざった艶やかな表情をしていたのだから。その色気のある表情に俺のマイサンが立ち上がリーヨしかける。「はぁ...はぁ...!こ、これがあの有名な『信じて送り出した(略)』の展開なんだ...!うゅゅ...ダメなのに、こんな状況だからダメなのに...!興奮してきちゃった...!」「ル、ルビィちゃん?何言ってるずら?」脳が理解することを拒否するとはまさにこのことを言うのだろう。あの純真無垢なルビィちゃんがまさか...!まさか!NTRに興奮する性癖を持っていたなんて!それにしても、こんな事態に陥ってなお、動揺しているとはいえ聞き返せる花丸の精神力には天晴れである。「う、ううん。花丸ちゃん、何でもないよ、ご、ごめんね......ピッ!」俺は見逃さなかった。今少しルビィちゃんビクンとした。おい、これR18指定してねーぞ。とはいえ、俺もいつまでもルビィちゃんにNTR好きの豪の者疑惑を抱いて動揺している場合ではない。そうだ、やっぱりおかしいよ。あのルビィちゃんがそんなヤバ性癖持ってるはずがない!「あ、あのルビィ?俺行っちゃうよ?引っ越しーーー「うん、行ってらっしゃい」も、もう会えなーーー「行ってらっしゃい」...え?」俺の言葉を遮り、ルビィちゃんはアッサリとそう言った。口元を押さえ涙ぐんでいるが、しかし、俺には見えていた。ルビィちゃんが口を押さえる前、口角を上げて溢れんばかりの愉悦を感じていたことを。アレェ!?!?!?

 

 

「守衛さんお疲れ様です」

 

 

差し入れのスポドリ等が入ったコンビニ袋を片手に、浦の星の事務室で入校許可書をもらう。最初は女子高に入る事に緊張を覚えていたが、今ではそんなことはすっかり無く、以前のランタン作りで顔見知りになったJK達に挨拶をしながら、Aqoursの練習場所である屋上を目指して校内を進む。

 

「あら天城さん。ごきげんよう」

 

「あっ、ダイヤさん。こんにちは」

 

 

 屋上目指して校内を歩いていると、ダイヤさんと遭遇した。ダイヤさんとはランタン制作の時に会っており、お久しぶりの仲ではない。俺はしっかりと立ち止まってからペコリと頭を下げる。すると、ダイヤさんもとても綺麗なお辞儀を返してくれた。流石内浦の名家の長女。

 

「いつも妹がお世話になっております。本日はどのようなご用件でいらっしゃったのですか?」

 

「はい、今日はAqoursの皆さんに少しばかり差し入れをしようと思いまして。最近急に暑くなってきましたから体力も使うでしょうし、ファンとして少しでもサポートできたらなと」

 

 

「あら、そうでしたか。それでしたら、浦の星の生徒を代表する者として、お礼を申し上げなければいけませんわね。ありがとうございます」

 

 

 ダイヤさんは天使ルビエルのお姉様のため、お話するを時は最上級の敬意と誠意を込めている。それが功をなしたのか、自分で言うのも憚られるが割とダイヤさんには信用されており、良い関係を築けているのではないかと思う。

 俺とダイヤさんは廊下の脇に逸れて、少しばかり世間話に興じる。

 

 

「ふふっ、ルビィから特にお夕食の時などに、天城さんのことを色々と聞いておりますわ」

 

「え?本当ですか?」

 

「本当ですわよ。それはもう楽しそうに話しています」

 

「わー、マジですか。例えば、ルビィさんはどんなお話を?ちょっと気になっちゃいます」

 

「そうですわね、例えばーーーーーー」

 

 

ダイヤさんが言うには、どうやら変な事は聞いていないらしい。危ねぇぇぇ。そして具体的に何を聞いているかというと、例えば、この前アイスを一緒に食べた時のことや花丸たちと3人で沼津へ行った時のことなど、楽しかった思い出を話しているようだ。俺の脳内でウキウキ気分で話をするルビィちゃんの姿が再生される。カワエェェ...

 

 

「近頃のルビィは毎日が本当に楽しそうで...これも全て天城さんのご尽力のお蔭と聞いていますわ。本当にありがとうございました」

 

 

 ダイヤさんはきっとルビィちゃんがAqoursに入るか迷っていた時のことを言っているのだろう。しかしながら、あたかも俺が頑張ったからルビィちゃんはAqoursに入れたかのような言い方だが、それは違う。

 

 

「いえいえ!そんな事は...!ルビィさんは僕なんかがいなくても、絶対に大丈夫でしたよ」

 

「そうでしょうか?」

 

「はい、ルビィさんはすごい子ですから」

 

「すごい子...ですか。天城さんは、ルビィのどういった所を凄いと感じてらっしゃるんですの?」

 

 

そう言いながら、ダイヤさんはこちらに試すような視線を向けてくる。

 

 

「僕は、ルビィさんは普段はオドオドしていますが、実はかなり芯の強い子だと思っています。自分の中にしっかりと、自分にとって正しい事と正しくない事の指針があるんじゃないかなって考えています」

 

 

 ルビィちゃんは人の気持ちに寄り添うことの出来る良い子だ。それは自分の中に善悪の区別がしっかり出来ているからだと考えている。流石は名家の娘。教育がよろしかったのだろう。実際俺や花丸も、特に花丸なんかは何度もルビィちゃんに助けてもらった経験があるだろう。

 

 

「それに、ルビィさんには、人を笑顔にすることが出来る不思議な魅力があります。普通高校生にもなればちょっとくらい人として擦れてきても仕方がないのに、ルビィさんはこの歳では考えられないくらい純粋です。ルビィさんの魅力は、きっとそんなにも純粋だから発せられるんだろうなって考えています」

 

 

 実際、あそこまで純粋な同世代の子を俺は今まで見た事ない。あの子がそばで笑ってくれているだけで、自然と笑顔になってくる。これは、普段行動を共にしている花丸と善子も感じているのではないかと思っている。

 

 

「今は本人も、それに他の殆ど誰もがその魅力に気がついてないかもしれないですけど、このままスクールアイドルを続けていけば、いつかきっとルビィさんの魅力が全国に知れ渡る、そんな日が来ると俺は確信しています」

 

 

 そんな魅力的なルビィちゃんだ。きっと、俺がいなくてもルビィは、そしてルビィに導かれる形で花丸もAqoursに入っていたと思う。

 

 

「でも...ちょっとだけ俺の力があの子の役に立てたのなら、これ程までに嬉しい事はないです」

 

 

今楽しそうにスクールアイドルとして青春をしている彼女達をみていると、しみじみとそう思う。

 

 

「......そうですわね」

 

 

 

少しだけあの時のことを思い出し温かい気持ちになっていたが、直ぐに気を取り直しダイヤさんの目を見る。するとダイヤさんは穏やかに微笑み、こちらを見ていた。

 

 

「天城さんが、ルビィの友人になってくれて本当に良かった」

 

「え!?いやいや!そんな!」

 

「ルビィのことを、これからもよろしくお願いいたします」

 

 

 

ダ、ダイヤさんそれはルビィちゃんを一生よろしくと言う意味で(殴

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今の一連の会話、どうだ見たかお前ら!普段俺はふざけてるけどな、本当は成績優秀運動神経抜群の文武両道を地でいく優等生なんだよ!!確かに普段変態キャラを演じてるけどな...ん?真正末期の変態が何を言ってやがるって?そ、そこまで言わんでも......

 

 

「たのもーーーう!!!」

 

 

ダイヤさんと別れた俺は、ついに目的の屋上に辿り着いた。ウチの高校の屋上は封鎖されており、屋上に入るのは少々緊張した。そのため、道場破りが如しメンタリティをもって精神の安定を保つ。一回やってみたかったんだ、このたのもーーーう!!!ってやつ!

 

「ピギィ!」

 

 

俺の威勢のいい声に元気なピギィ!が聞こえた。ピギィ一丁入りましたぁ!そぉれ!!はい!!!これよこれ。ピギラ、ピギリ、ピギル、ピギレ、ピギロ、ピギィ変格活用でございます。

 

「曜ちゃん!道場破りだよ!どうしよう!」

 

「千歌ちゃん、落ち着いて」

 

「びっくりするからその登場の仕方やめるずら」

 

「べ、別にヨハネはビックリしてないけど!?ヨハネの心臓は地獄に跋扈する魔界合成獣よりも強靭だって有名なんだから!」

 

「善子ちゃん、それは地獄なの?魔界なの?どっちなの?」

 

 

 なかなか面白い反応。特に高海先輩の反応ウケる。

 それから俺は、ビックリさせてしまった謝罪をした後、Aqoursの皆さんに袋を渡し、少しの間一緒に持ってきた箱アイスを食べながら過ごしたのだった。ちなみにアイスは少し溶けていた。

 

 

 

 

 

 

〜〜〜

 

メイド・イン・ヘブン!時は加速する!!

 

 

これ言ってみたかったんです。

 

 

「この近くでやる花火大会からおふぁーがきたずら〜!」

 

 

今日は珍しく練習がない日らしく、放課後花丸、善子、ルビィちゃんと共に沼津へ遊びに来ていた。一通り、買い物を終えた俺たちは、仲見世商店街にて営業するヤバい珈琲店でお喋りしながら青春を謳歌していた。

 

 

 ビッグニュース。なんか、小原先輩とダイヤさん、そして松浦先輩という3年生の人、計3人が新たにAqoursに加入したらしい。時加速しすぎだろ...

 とはいえ、Aqoursも遂に9人である。そう、伝説の9!あのμ’sと同じ9人である!これでAqoursも伝説の仲間入りだな。それによくよく考えれば、Aqoursってポテンシャル高すぎるし。ルビィちゃんを筆頭に可愛いさが爆発してるし、花丸をはじめとしたえっちぃ枠もあるし、善子だけの奇人枠もある。そこに大人の魅力を兼ね備えた3年生の方々が加われば鬼に金棒と言えよう。2年生の方々も一癖あるが、全員めっちゃ美人だし。

 

 

「今何か失礼なこと考えてなかった?」

 

「シーラネ」

 

「絶対考えてたでしょその反応!」

 

 

善子は相変わらずのエスパー発動している。こいつは奇人枠ではなく超人枠か?でも善子は超人枠だ、とか口に出したら絶対調子乗る。だから言わない。

 

 

と、こんなくだらん事は置いておいてだ。

 

 

「あの沼津の花火大会からライブのオファーがあったの!?凄いね!」

 

 

沼津の花火大会は、東海地方随一の規模を誇る花火大会であり、毎年非常に多くの人で賑わうビッグイベントだ。そんなイベントからオファーが掛かるなんて、Aqoursの良さが世に知られてきたという証だろう。

 

 

「ふふんっ!これがヨハネと眷属であるAqoursの本当の実力...花火大会を足掛かりにヨハネの悪魔的魅力を全国、いえ、全世界に轟かせてやるわ!」

 

 

 

俺の横で、善子が胸を張りながらそう高らかに宣言する。

 

 

「あぁ、お前は凄いよ、善子。それに花丸もルビィも。練習大変だっだろうによく頑張ったな」

 

「なっ、なによ、珍しく素直に褒めるじゃない...」

 

「俺は元々素直に人を褒める事の出来るナイスガイです!」

 

 

3人の今までの努力を賞賛したにも関わらず、善子は奇異の目を向けてきた。流石に失礼だと感じ、そう声を挙げる。

 

 

「俺は、特に君達が東京に行った後から日が暮れるまで練習を頑張っている事を知っている。辛いことも沢山あるだろうに、挫折を経験してそれでも諦めずに夢に向かって努力出来るって、それって本当に凄いことだと思う」

 

 

 実際東京から帰ってきたAqoursの雰囲気は明らかにヤバかった。話を聞いた感じ、はじめての大きな挫折っぽかったし、ここで上手く立ち直れるか否かがこの先Aqoursの活動の運命を決定づけるのではないか、と勝手な予想をしていたくらいだ。そして、見事Aqoursは立ち直った。そこからだろうか、Aqoursの皆さんの顔つきが若干以前より頼もしいものになったと感じている。それに練習にも以前より熱が入っているように感じる。

 この3人はあまり運動が得意な方ではないのに、挫けずに努力を続けることが出来るのは凄いことであり、そして尊ばれるべきことだと、そう俺は考えている。

 

 

「えへへ...未来くんがいつも応援してくれるからルビィ達も頑張れてるんだよ。ありがとう、未来くん!」

 

「ルビィちゃんの言う通りずら。未来くんがランタン作りのお手伝いとか差し入れとか色々してくれたお蔭ずら。ありがとう」

 

「まぁ、ヨハネのリトルデーモンとして当然と言えばそうだけど。でも、褒めて遣わすわ!」

 

「お前も俺や花丸達を見習ってもっと素直になりなさいっ」

 

「あたっ」

 

 

 相変わらずの堕天使節を発動している善子の頭に軽くチョップをくらわせる。一番素直じゃないのは善子、お前だろうが。

 

 

「あ、それでね、話は戻るんだけど」

 

 

俺とした事が、ルビィちゃんの話の邪魔をしてしまっていたようだ。不敬だえ!この変態不敬だえ〜!海軍大将を呼ぶえ〜!粛清だ。シベリア送りだ。

 

 

「ルビィ達がライブをするのはお祭りの二日目で、一日目は練習が終わった後にAqoursの皆んなでお祭りに行く事になってるんだけど、もし良かったら未来君も一緒にどうかな?あ、因みに千歌さん達も是非来て欲しいって言ってたよ」

 

 

 ルビィちゃんが口にしたのは、凄まじく魅力的な提案だった。それにルビィちゃん気が効く。俺が先輩達のことを気にして遠慮するかもしれないと予想して、先輩達に許可をとったことを一緒に言ってくれるとは。素晴らしい気遣いだ。やはりルビィちゃんはこの世で一番の価値のある存在。ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)だったか...

 

 

「行く!行く行く!行ぎたいっ!!!!私も一緒に連れてって!!!」

 

「ふふふっ、ここでそのネタはおハーブ生えるわね」

 

「おはーぶはえる?な、なんずら?流行の言葉ずら?」

 

「多分違うと思うから、覚えなくても大丈夫だよ、花丸ちゃん」

 

 

 お祭りってことはつまり、ルビィちゃん達の浴衣姿が見れるってことだろ!?そんなの行かない訳がないだろう!

 

 

「じゃあお祭り当日、沼津駅前に集合ね」

 

 

 

夏に友達と祭り!リア充してるぅー!これは祭りの日まで精神統一と称して感謝の正拳突きを1日1000回してみるかね!例のあの人みたいに!履歴書の特技の欄に音を置き去りに出来ますって書けるようになってやる!

 

 

「そういえばアンタ、怪我治ったみたいね」

 

「あぁ、おかげさまで完治しました」

 

「ビックリしたよ〜。東京から帰ってきたら、未来くんの頬に大きな絆創膏が貼ってあったから」

 

「なんでそんな怪我しちゃったずら?」

 

「これは名誉の負傷というやつです。どうぞお気になさらず」

 

「なんで話さないのよ?」

 

「名誉ですから」

 

「ふーん......そりゃっっっ!!!」

 

「あ!俺のイチゴを!」

 

「話さないとこのまま食べちゃうわよ」

 

「善子ちゃんナイスずら!」

 

「未来くん、話して楽になろう?ショートケーキの大事なイチゴのためにも、ね?」

 

 

 

 

 思えば、俺も善子も花丸もルビィも、高校に入学してからのこの短期間で本当に色々あった。悩んだり、悲しんだり、怒ったり、頑張ったり、恥ずかしかったり、憧れたり、羨んだり、喜んだり。その度に、俺と彼女達は力を合わせ、努力し、勇気を出し、友情を紡ぎながら成長し、今を楽しみながら幸せに過ごしている。これからも、特にスクールアイドルの彼女達は、きっと刺激的な毎日を送っていくのだろう。そんな彼女達を少しでも直ぐ近くでサポートしていきたいと、俺は改めて思うのだった。

 

 

 

 

「ぐぬぬ...名誉の傷って言ってみたかっただけでした!!すいませんでした!全部話まぁす!!」

 

 

 

 

  

 春の風はいつの間にか無くなっており、俺達の最初で最後の高校一年の青春は、様々なイベントが目白押しの夏に移行するのだった。

 

 

 

 

 





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