図書室の天使さん   作:史上最強のラーメン

19 / 34

ルビィちゃん可愛い。

最近、調子悪いです。主人公の狂人感があまり出せなくなってしまっている。




ルビィちゃんは天才であり天使!異論は認めない!!

 

 

 

 花丸を送っていった帰り道、心地いい潮風が吹く海辺の道をゆっくりとペダルを回しながら進む。

 

 途中、見覚えのある人物とすれ違う。このままスルーすると後々面倒な事になりそうなため、ブレーキをかけて後ろを振り向く。向こうもこちらに気がついていたようで、目が合った。

 

 

「久しぶりね、未来!」

 

 

 自転車に跨りながらすれ違った人物、小原鞠莉先輩と一緒にいたもう1人の女性に会釈をする。

 

 

「お、お久しぶりです小原先輩」

 

 

 小原先輩のエロ...魔性な大人の魅力の前では、俺は一切の抵抗も出来ないちっぽけな存在に成り下がってしまう。イジられる未来しか見えないため、実の所、あまりこの人とは会いたくなかった。 

 

「こんな遅くにどこへ行っていたの?」

 

「今日は花丸と善子とテスト勉強をしていて、夜遅くなったので花丸を送っていった帰りです」

 

「相変わらず仲が良いのね〜」

 

「いやぁ、それほどでも...ありますね」

 

 確かに善子も花丸も、友達とはいえ異性である俺の家に遊びに来てくれる位には、2人からの信用を得ているだろう。加えて、花丸は俺に手料理をご馳走してくれるレベルで絆を深めている。ルビィちゃん?ルビィちゃんとは主従関係だ。勿論俺が従でルビィちゃんが主。ルビィちゃんの言うことは絶対であり正解であり真理である。天上天下唯我独尊。この世でルビィちゃんより尊い存在は無い。そして俺は、ルビィちゃんのためなら死ねる。

 

 

「小原先輩もこんな遅くにどうしたんですか?」

 

 

 そう尋ね返しながら、小原先輩の横に立つ女性を一瞥する。青い髪を1つに結んだ、小原先輩に勝るとも劣らないスタイルの女性が柔らかい笑みを浮かべながら俺と小原先輩の様子を眺めていた。

 

 

「私は果南と一緒に夜のウォーキング中よ!」

 

 

 やはりこの女性が松浦果南先輩だったか。スタイルが良くて余裕がありそうなお姉さんって感じの雰囲気を醸し出している。成程、善子から聞いている通りの人だ。

 

「あなたが松浦先輩でしたか。はじめまして、天城未来と申します。善子達から松浦先輩のお話は聞いております。よろしくお願いします」

 

「はじめまして、私は松浦果南。よろしくね。私も君の話は鞠莉から色々聞いてるよ」 

 

「イェス!未来の活躍をこれでもか!って言うほど果南に伝えてあるわ!」

 

小原先輩は、胸に手を当てて自信あり気にそう言った。

 

 

「へぇ、俺の活躍ですか。それは一体どんな?」

 

 

 悪い風には伝えられていないとは思うが、正直、小原先輩は破天荒な人というイメージが強いので少々不安に思う所もある。故に、一応どのように伝えたのか詳細を確認しておこうと考えた。

 

 

「そうね。まず、未来は沼津でバッドボーイ達にしつこく言い寄られていた時に、颯爽と現れて助けてくれて」

 

 

 初めて出会った時のことか。あの後、2人でホテルにGO!したのは良い思い出だ。ちなみにイヤラシイことは誠に残念だが一切無かった。

 

「それに、いつもAqoursを応援してくれているカッコイイ男の子って説明しておいたわ!」

 

「カッコいいってそんな〜。そんな大した事はしてませんし、照れちゃいますよ〜」

 

 小原先輩のお陰で、Aqoursのメンバー間で俺の評価が「カッコよく女の子を守るイケメン」になっている可能性が浮上する。それ故に、口では謙遜しつつも、舞い上がる気持ちを隠す事が出来ずにいた。

 そんな調子に乗っている俺の脳内で、「未来君ってすぐ調子乗っちゃうのね」「感動〜!未来君ち○ぽデカいのね〜!」と最近超話題の某バンドアニメの名セリフがリピートされる。後者は冤罪だけど。

 

 

ぼ喜多は神!ぼ喜多は神!

 

 

 

 

「あと花丸や善子たちに三股かけてるクソ野郎!!!」

 

「小原先輩!?!?」

 

 

 圧倒的風評被害なんですけど!?え?マジ?そんな風に伝わってんの?今の俺って、全ての善行を帳消しにする最低最悪のヤリ○ン野郎って認識になってんの?

 ハァ...ハァ...!取り消せよっ...!今の言葉!俺は未だDTだ!依然変わりなくっ!

 

「そんな事実ありませんし!なんてこと吹き込んでくれてるんですか!」

 

「えぇ〜?だって、さっきまで花丸と2人っきりだったんでしょう?今日は雲が1つもなくて、海が綺麗に見えるわねぇ。素敵なムードも作りやすいでしょうし、なにかあったんじゃないの?」

 

 た、確かに!言われてみればそうだ!それにさっきまでの雰囲気は、まさに青春!といった感じで最高だった。もうちょっとこう、上手いことやればもしかして、エロエロなシチュエーションに持っていけたのではないか!?「花丸、海が綺麗だしちょっとお話しして行こうか」「...うん、いいよ」帰るのが勿体なく感じた俺と花丸は、自転車を降りて砂浜に座る。「今日は海が綺麗に見えるずらね」「うん。凄く綺麗だ」紡がれる言葉は多くないが、確かに俺と花丸はこの一時の静かな青春を堪能していた。「でもね、海なんかよりも花丸の方がもっと綺麗だ」「ず、ずら!?未来君何言ってるずらか!?」だが、落ち着きがない俺は、刺激を求めて普段は決して言えないような歯の浮くようなセリフを口にしてしまう。一歩間違えればこの良い雰囲気を壊してしまう可能性がある、そんな言葉だったが、花丸の頬は夜の闇の中でも分かるほどに紅潮しており、俺も、そんな花丸を見て自然と胸の鼓動が早くなる。確かな変化を投じた言葉だった。「み、未来君も、凄くカッコいいずらよ...」花丸は、恥ずかしそうに言葉を絞り出した。互いに見つめ合う。「花丸...」「未来君...」 砂浜にうつる影はゆっくりと近づいていき、数秒後、ついに重なり合うのだった...

 

 

 

     〜tropicallove forever 〜

 

 

 

 

 

 

 

 

「こら鞠莉、あんまり天城君をいじめないの」

 

 

 反論も忘れて妄想に耽っていると、松浦先輩が小原先輩の頭に軽くチョップを喰らわせ、制してくれた。そうだそうだ!俺をいじめて良いのはルビィちゃんだけなんだぞ!

 小原先輩にいじめられるのは!いじめられるの...は......良いかもしれない(末期)

 

 

「アウチッ!わかってるわかってる。この子、反応が面白いからついつい揶揄いたくなっちゃうのよね〜」

 

 

 松浦先輩からは俺を嫌悪しているような雰囲気は感じられず、口ぶりからも、特に悪い印象は抱かれていないようだ。

 

 

「もう、気をつけなよ。それに、あんまり夜に1人で出歩かない事。最初に話を聞いた時、本当に心配したんだからね」

 

 

 いつも誰かが助けてくれるわけではない。あの時は俺がたまたま通りかかったから良かったが、あの様な不良達の間に割って入るのはそれなりに度胸がいる。小原先輩は運が良かったのだ。

 

「えぇ、流石に今回は迂闊だったと反省しているわ。でもね...」

 

「?」

 

「今は果南がいてくれるから...私のこと、守ってくれるんでしょう?」

 

 

なんだこのラブコメっぽい空気感...

 

 

「うん、鞠莉は私が守るよ」

 

 

きゃ!ヤダ、ここにイケメンがいるわ!

 

 

「かな〜ん!」

 

「ちょっ、後輩君が見てるよ」

 

 

 小原先輩が松浦先輩に勢いよく抱きつく。松浦先輩は困ったような口ぶりだったが、腕の中にいる小原先輩に優しい表情を向けていた。盛り上がってきましたね〜!

 

 目の前で唐突に百合が展開される。迷惑?いえいえ、ご褒美です。

 

 

「お気になさらず。どうぞどうぞ、そのまま続けちゃってください」

 

 

 どーぞお気になさらず。メロンパン夏油がメカ丸に見せた様な爽やかな笑顔で続きを促す。

 それにしても、そうかそうか。お主らそういう関係か。小原先輩はいつも俺をイジってくるので、一見Sに思えるが、実は松浦先輩の前だけでは全く正反対の姿を見せるのか。ムホホッ!かなまり素晴らしいですなぁ!これは例のヤバいピアノの先輩も妄想が捗っているに違いない。

 

 先輩達は完全に2人の世界に入ってしまい、俺は蚊帳の外になってしまう。この美しい光景を邪魔してしまうのは憚られるため、ひと足先に離脱しようと思う。

 

 

「それじゃ、お先に失礼しますね〜」

 

 

 松浦先輩が暴走する小原先輩や高海先輩のストッパーになってくれるかもしれない。そんな可能性、大きな収穫を得た邂逅だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜

 

 帰宅後、少し休憩を取ってから再びテスト勉強をする。今日は色々とあったので、まだ21時になったばかりだというのに眠気を感じる。頭の回転が低下しているため、暗記の多い文系科目の復習を行う。

 1時間ほど勉学に励んで、一旦終了して部屋を出る。風呂場に向かい、蛇口を捻って桶に水を溜める。風呂が沸く間、勉強をしようと思ったが、疲れているので少しベッドに横になった。しばらくゴロゴロしながら休憩をしていると、突然枕元に置いていたスマホが鳴った。

 

「なんと!?」

 

 メッセージの差出人を見て、驚きの余り飛び起きてしまった。

 

『未来くん、夜遅くにごめんね。今時間大丈夫かな?』

 

 なんとルビィちゃんからメッセージが来ていたのだ。

 

『全然暇してるからいいよ!どうしたの?』

 

 急ぎの用事の可能性もあり、ルビィちゃんに余計な手間を与えないために速攻で返事をする。

 

『今テスト勉強してるんだけど、分からないところがあって』

 

『もしよかったら教えて欲しいなって思って』

 

『電話してもいい?』

 

 

すると、そんなメッセージが連続して送られてきた。

 

 

『いいよ!でもちょっとだけ待っててね』

 

 本当は今すぐに電話できないこともないが、途中で電話を中断させないためにお手洗いを済ましておく。更に、ルビィちゃんのお耳を不快にさせないようにうがい薬で喉の調子を整える。ガラガラガラ。

 

 発声練習ヨーイ。アメンボ赤いなあいうえお。感激しちゃうなかきくけこ。真姫ちゃんすごいなさしすせそ。真姫ちゃんとびきりたちつてと。

 

ヨシっ!発声練習終わりっ!

 

 

『準備できたよー』

 

 部屋に戻ってメッセージを送信する。すぐに既読がついた。

 

 

『じゃあかけるね』

 

 

ルビィちゃんとの通話、ドキドキしてきた。

 

 

『あっ、未来君こんばんは。ごめんね、いきなり』

 

「こんばんは。全然いいよ、暇してたから!」

 

 

 ルビィちゃんの声がこんなそばで...!俺は電話なんか廃止して、全てのやり取りをメールやLINEで済ませて仕舞えば良いと考えている人間だったが、これは一気にAll電話派に転向せざるを得ない。素晴らしい文明の利器だ、電話。

 

 

「それで、どこが分からないの?」

 

『えっとね、この問題なんだけど...写真送るね』

 

 

 電話をスピーカーにし、トーク画面に送られてきた写真を開く。数学の問題だった。これくらいの問題ならば解くのに時間は殆ど必要ない。

 すぐに、電話越しでも出来るだけ分かりやすいように説明を試みる。

 

「って感じなんだけど、大丈夫そう?」

 

『うん、理解出来たよ!ありがとう!』

 

 なんとか理解してもらえたようで、安心した。

 

「他にも何か分からない問題とかある?別の科目でもいいよ」

 

『えっと...無いかな。ありがとうね』

 

 

 思いのほか用件はすぐ終わってしまった。テストもすぐに迫っており、このまま電話も終わってしまうものかと思いきや、そうはならなかった。

 

 

『花丸ちゃんに聞いたんだけど、未来くんのお家で勉強会したんだよね?良いなぁ』

 

 俺とルビィちゃんは、テスト勉強そっちのけで雑談に花を咲かせてしまった。

 ルビィちゃん、明後日からテストなのに大丈夫なのかな?......いや、適度な休憩は脳の活性化を促進するから大丈夫だ。それに、ルビィちゃんも会話を楽しんでくれているようだし、幸せならOKです!

 

「じゃあ、またいつかみんなで勉強会しよっか」

 

『え、いいの!?本当に!?』

 

「あぁ。次は夏休みの課題とかかな。早めにみんなで終わらせちゃおう。そしたら後は遊び放題だしね!」

 

『そうだね!それに、1人で勉強するよりも集中できるもんね!』

 

「そうそう、その通り!」

 

『じゃあ約束だよ!楽しみにしてるね!』

 

 高校生活最初の夏休み。ルビィちゃん達は練習で忙しいと思うが、少しくらいは休日もあるはず。

 花丸や善子、ルビィちゃんたちと色々な場所に行って、沢山の想い出を作りたいなと思っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日勉強の休憩中に3人でスマブラをしたんだけどさ、俺と善子で花丸を集中狙いしたら花丸が涙目になって怒っちゃって」

 

 通話を始めてからある程度経ったが、それでもこの楽しい時間は終わらない。次から次へと湯水のように話したい事が湧いてきて、俺とルビィちゃんの間には、常に笑顔が溢れていた。

 

『それで、結局どうなっちゃったの?』

 

「俺は花丸の機嫌を取るためにお菓子を献上してな、あと善子はマッサージしてた。いやぁ、流石にヤンチャし過ぎちゃったって反省してます」

 

『なんかその時の光景が簡単に想像出来るなぁ』

 

「そうだ、今度勉強会する時、ルビィも一緒にスマブラしようよ」

 

『うん、するする!あ、でもルビィも上手くないから未来君達に狙われちゃうかな?』

 

「いやいや、俺は狙わないよ?...多分」

 

『え〜、多分って不安だな〜』

 

「大丈夫、ルビィのことは狙わない。代わりに花丸を狙う」

 

『未来君全然反省してないよね?』

 

「あ、バレちゃった?」

 

『ふふっ、バレバレだよぉ〜』

 

 通話を開始した時から既に1時間以上経過していた。俺が大きなあくびをしたことをきっかけに、互いに時計を見て、自分たちがどれ程長い時間電話をしていたかに気がついた。

 

『わっ、もうこんな時間!?ごめんね、こんなに長く付き合って貰っちゃって!』

 

「全然!俺も楽しかったから!」

 

 

 流石にこれ以上電話を続けてしまうと、ルビィちゃんの明日の練習に影響が出かねない。名残惜しいが、終了しなければならない。

 

「じゃあ切るね。勉強頑張ってね。おやすみ」

 

『うん、今日はありがとう!おやすみ〜』

 

 

 その言葉を最後に、電話は切れた。しばらくの間、横になりながら電話の余韻に浸っていた俺だったが、湯が沸いていた事に気がつき、風呂場へ向かうのだった。

 

 

 この日から俺は時々、ルビィちゃんと電話をするようになった。

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜

 

 時は少し流れ、テストが終わった最初の休日。俺はルビィちゃんと以前約束した三島のケーキ屋を訪れていた。

 

 

「わぁ〜!このケーキ、すっごく可愛い!」

 

 

 ルビィちゃんは卓上に置かれたケーキを目を輝かせながら写真に収めていた。

 

 

「それね!可愛いのに美味しい」

 

 

 ケーキも可愛いけど、ルビィちゃんが1番可愛いよ!なんて言えたらいいがノミの心臓である俺は心の中で思ふ事しか出来ぬのだった。

 

「あ、ルビィちょっとこっち寄って?」

 

「うん、いいよ」

 

「はい、ちーず」

 

 俺もインスタはやっていないが、ルビィちゃんとのイチャラブデート記念に写真を撮る。パシャリと。

 うーん、ルビィちゃんの笑顔可愛すぎる。これ隣に写ってる奴いらなくね?

 

「未来君、その写真送って貰ってもいい?」

 

「もちろん。あ、加工して俺だけ切り抜いとくね」

 

「えぇ!?そのままでいいよ!?」

 

 隣に写っている変態を編集でカットした後送ろうと思ったが、ルビィちゃんが言うのであれば仕方ない。俺なんかが写ったままでもいいとは、やっぱりルビィちゃんはいい子だなぁ。

 

 

「それにしてもごめんね、せっかくの休日に誘っちゃって」

 

 

 祭りは来週に迫っている。そんな時に誘ったのかと言われれば反論の余地無しだが、しかし、俺はしっかりと「ライブが終わったら一緒に行かない?」と誘った。そう誘ったのだが、なんとルビィちゃんが今日を指定したのでこうやって来ているのだ。とはいえ、そもそもこんな時期に誘わなければと、申し訳なく思ってしまう。

 

「ううん、ルビィも前からここに来たかったから。ルビィの方こそ、今日は誘ってくれてありがとう」

 

「いやいや、最初に誘ってくれたのはルビィだし、前は俺の都合が合わなくて断っちゃったから、こっちから誘うのは当然のことだよ」

 

「都合が悪かったのなら仕方ないよ。ルビィも練習が忙しくて中々誘う事が出来なかったから...」

 

 

 互いに自分が悪いと主張する、応酬が始まってしまった。

 

「それを言ったら俺だって、誘う機会なら他にもあったのにこんな忙しい時期になっちゃって...」

 

「でも未来くんはルビィのしたい事に合わせてくれてるから...」

 

 

しかし、このままでは無意味に時間が過ぎでしまうだけだ。

 

 

「あー、ルビィ、ここは引き分けってことにしない?」

 

 

 せっかくの楽しい休日がこんな事で台無しになってしまうことは許容できないため、互いに落とし所を見つけられるよう、折衷案を出す。

 

 

「えへへ、ルビィもその方が良いと思った!」

 

 

 楽しそうに笑うルビィちゃんにつられて、俺も自然と笑顔になってしまう。明るくて純粋な笑顔で周りの人も幸せな気持ちにさせる、これがルビィちゃんの魅力なんだよな。

 

 それから俺たちはケーキを食べ終え、余ったコーヒーを飲みながら暫くの間お喋りを楽しむ。

 

「じゃあ、そろそろ出ようか!」

 

「うん!」

 

 会計を済ませて外に出る。カロリーの消費を兼ねて、駅に向かって歩く。この後の予定が決まっていないため、歩きながら次行く場所について話し合う。

 

「この後どうしよっか?」

 

「うーん、いろいろ買いたいものがあるから、沼津のらぽーとに行かない?」

 

「いいよ!ルビィもらぽーとの手芸屋さんに行きたい!」

 

 

 らぽーとは沼津駅から車で10分程の場所に位置する大型ショッピングセンターだ。オシャレな店やグルメが多く、この素晴らしい日に足を運ぶのにも丁度いい。

 

 

「おぉう、人いっぱいだな...」

 

「座れてよかったね」

 

 丁度三島駅に着いた頃に、らぽーと行きのバスが来たため乗車する。休日でそこそこ人は多かったが運良く2人掛けの席に座ることができた。

 

 

 数十分後、定刻通りバスはらぽーとに到着する。らぽーとに入店し、最初に向かったのは、ルビィちゃんが行きたがっていた手芸屋だった。

 

 

「わぁ、相変わらずこのお店は色々あるなぁ!」

 

  

 ルビィちゃんは目を輝かせながら、店内を物色していた。

 ルビィちゃんは裁縫が得意で、渡辺先輩の衣装制作をよく手伝っているらしい。可愛い上に女子力がある。これもう完璧だろ。はい決定決定、ルビィちゃんは人間国宝。異論は認めない。

 

「あっ、未来君これ見て!」

 

 ルビィちゃんは心なしか嬉しそうに、陳列されていた綺麗な赤色の布を手に取った。

 

「去年のクリスマスにね、お姉ちゃんにこの生地で編んだマフラーをプレゼントしたんだ」

 

 いいなぁ、ルビィちゃんから手編みのマフラーなんて貰えたら俺は、死んでもいないのに成仏してしまいそうだ。ダイヤさん、ルビィちゃんの実の姉とはいえこれには流石に嫉妬せざるを得ない。

 

「へぇ、凄いな。マフラー編めるなんて。それに、ダイヤさんは幸せ者だなぁ」

 

 

 

 

 それから暫く店内を回った後、手芸屋を出て次の店に行く。次は本屋だ。その後は雑貨屋。最後に服屋。お互いに用事を終える。

 

「未来君、ス○バに寄ってもいい?」

 

「いいよ〜。行こう」

 

 時間に余裕があったので店内をぶらついているとルビィちゃんがスタ○に寄りたいと言ったので、入店する。

 スタバは内浦の田舎もんの俺にはあまり縁のない場所だ。同じ田舎もんなのにルビィちゃんは慣れているようで、臆することなくレジに向かう。普段は小さな身体が、今はとても逞しく見えた。

 

「限定メニュー売り切れちゃったんだ。なら今日はキャラメルフラペチーノにしようかなぁ。未来くんは何にする?」

 

「うーん、ルビィと同じやつで」

 

「カスタマイズはする?」

 

「カ、カスタマイズ?ヤサイニンニクマシマシ的なやつズラ?」

 

「ふふっ、違うよ。あと花丸ちゃんの真似そっくり」

 

 

 渾身の花丸のモノマネがどうやら面白かったようで、ルビィちゃんは可愛らしく微笑んでくれた。

 

「フラペチーノのホイップクリームとかキャラメルソースを多くできるんだよ」

 

 ルビィちゃんからカスタマイズの説明を受ける。

 写真見る感じデフォルトでもだいぶホイップ掛かってるんだが、あれを更に増すことができるのか!?スターバックス、恐ろしい。

 

 

「じゃあせっかくだしカスタマイズしてみようかな」

 

 

 ルビィちゃんに勧められ、俺はホイップとキャラメルソースのトッピングを追加で注文する。ホイップソースマシマシアメリカンスタイル。

 それにしても、ショート、グランデ、ベンティってなんやねん。普通にSMLにしろや。後ろに人並んでるし、普段見ないサイズの刻み方してるしで焦ったわ。

 

 

「うぉ!?甘くて美味しい!凄まじいなこのカロリー爆弾」

 

 

 少しして、店員さんから注文の品を受け取った俺とルビィちゃんはテーブル席に座り、フラペチーノを味わう。

 

 

「美味しいけど、飲み過ぎると太っちゃうのだけが欠点だよね」

 

「フラペチーノとはいえ、所詮はカロリーの無い水に味をつけたものなので、カロリーは実質ゼロです」

 

「そ、そうだよね!こんなにスルスル飲める物にカロリーがあるなんてあり得ないよね!」

 

「そう!つまりカレーもラーメンもスルスル飲めるからカロリーはゼロ!」

 

「スイートポテトもオーブンで焼いてカロリーが燃えちゃうからカロリーはゼロ!」

 

「その通り!流石ルビィちゃん天才!」

 

「いやぁ、天才ってそんなぁ!未来君も大天才だよ!」

 

 ルビィちゃんと2人でカロリーゼロ理論を唱えて盛り上がった。

 しかし、盛り上がり過ぎてしまったため、バカな会話を聞かれてしまい、近くの席に座っている人達がニコニコとこちらを見ていた。その事に気が付いた俺とルビィちゃんは、恥ずかしくなって逃げる様に店を出るのだった。

 

 

 

「祭りの準備、だいぶ進んでるな」

 

「いつもより街が賑やかで楽しいね!」

 

 らぽーとから沼津駅前に戻ってきた俺とルビィちゃんは、内浦行きのバスが来るまで少々待ち時間があったため、暇を潰すために商店街の付近を歩いていた。

 

「あと1週間かー。沢山人が来るだろうし緊張するね」

 

「うん、緊張してる。緊張してるけど、今回はお姉ちゃんが一緒のステージにいてくれるから、いつもより平気なんだ」

 

 ルビィちゃんは頼もしさを感じさせる表情でそう言った。中学時代、俺と話すことにさえ、あんなにも怯えていたこの子がこんな顔をする様になるとは。それに今のセリフは、普段真剣に練習に取り組んでいるからこそ発する事が出来る物だと俺は思う。

 ルビィちゃんの確かな成長を実感し、万感の思いで胸が満たされていた。

 

「それに、未来君とお祭りを回るのもすっごく楽しなんだ!だから、今は緊張よりも楽しみの方が大きいの!」

 

「ルビィ...」

 

 

 

 

.........

 

 

 

 

 

 はっ!?ルビィちゃんが可愛過ぎて一瞬意識飛んでた。

 

 

「そっか、俺も楽しみ。ライブ当日は俺、ペンライト沢山買っていって応援するから!ピンク!黄色!白!3種類のペンライトをこうやって両手の指の間に挟んでね!」

 

 

 まるで鉤爪のように、ルビィちゃん、花丸、善子のイメージカラーのペンライトを装備する。そしてジャパニーズWota-geiを踊るSAMURAI、それがライブ中の俺だ!!!

 

 

「え〜、ピンクだけにして欲しいなぁ」

 

「え?」

 

 バカなことを考えて、勝手にテンションを上げていた俺だったが、ルビィちゃんが放った予想外の一言に、思考がフリーズする。

 

 

「ルビィのことだけ応援して?」

 

 

 ルビィちゃんは足を止めて、おねだりをする様に視線をこちらに送ってきている。

 それはとても庇護欲を掻き立てられる動作で、俺の脳を惑わしてくるのだった。

 

 

「い、いやそれは...ルビィの気持ちも分かるけど、それはちょっと...」

 

 

 罪悪感を抱きながらも、そう言葉にして伝える。それを聞いたルビィちゃんは、残念そうな表情していた。

 申し訳ない気持ちで胸が締め付けられる。

 

 

「えへへ、嘘だよ〜」

 

 

 しかし、ルビィちゃんは直ぐに顔を綻ばせ、いたずらっぽく笑いながらそう言った。

 

 

「!?も、も〜!ビックリしたよ〜!ルビィ、普段そんなこと言わないから!」

 

 

 俺は、ルビィちゃんにからかわれた事に気がつく。

 何度も頭の中で妄想していた状況ではあったが、現実でルビィちゃんにからかわれたのは初めての経験だった。

 

「ごめんね。未来君とお話しするの、すっごく楽しかったから、つい嘘ついちゃった」

 

 

 ニコニコと楽しそうな表情で、ルビィちゃんはそう口にする。

 そんな様子を見て俺は、もう既に、俺とルビィちゃんの間には壁のようなものは一切なく、気が置けない間柄になる事が出来たのだと、しみじみと実感していた。

 

 

「そっか。楽しなってついつい言っちゃったんなら仕方ない気もするけど...やっぱり嘘はいけないよ?だから、嘘ついたお詫びに今度のライブで沢山ファンサービスして貰わないと」

 

「え、ファンサービス?」

 

 俺の言葉に、ルビィちゃんは不思議そうに首を傾けていた。

 

「そうそう。俺だけに向けたファンサービスね」

 

「いいよ!どんなファンサービスがいい?」

 

「じゃあウィンクしてウィンク!俺に向けてライブ中にこんな感じで、ね!」

 

「ふふふっ、未来君、両目とも瞑っちゃってるよ?」

 

「わわ!まじで!?」

 

 

 和気藹々と話に花を咲かせながら、俺たちは祭り模様に変わっていく街を練り歩くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





ルビィちゃん可愛い。

次回から祭り行きます。祭りから結構物語が劇的に進んで行く予定です。


感想評価、待ってます!

みなさん、Aqoursで誰推しですか?

  • 高海千歌
  • 渡辺曜
  • 桜内梨子
  • 黒澤ルビィ
  • 国木田花丸
  • 津島善子
  • 小原鞠莉
  • 松浦果南
  • 黒澤ダイヤ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。