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遂に祭り当日。
俺は、Aqoursの皆さんとの待ち合わせ場所である沼津駅南口にいた。
これから美少女集団と一緒に花火大会を巡ることになっているため、正直物凄く緊張している。
顔面偏差値最強集団+モブ。悲しくなってくるね。
「こんちゃす!!先輩方!!!」
集合場所に着くと俺は、直ぐに頭を下げ、大きな声で体育会系な挨拶をする。
今の俺はライナーの様な爽やかナイスガイだ。ルビィちゃん 結婚しよ。
花丸達ははまだ到着しておらず二年生と三年生の先輩しかいない。かなりのアウェーである。普段は花丸達のおかげで馴染む事が出来るが、3人が不在の間は無礼を働かない様にしなければならない。もし今この人達の機嫌を損ねてしまった場合、小原家のパワーにより日本で最も深い海である駿河湾に沈められてしまうことだろう。
早く来てくれ〜、3人とも〜。
「チャオ〜、いい挨拶するわね未来!」
「しゃす!あざす!小原先輩!!」
活気よく挨拶しつつも自然と一歩、怖気付いて後退してしまう。
初めて会った日から、小原先輩を前にするとついつい身構えてしまうのだ。
「久しぶりね、天城君」
「アス!お久しぶりっす!桜内先輩」
俺は、最敬礼45度を超える勢いで深々と頭を下げ挨拶をする。
すると、桜内先輩はこちらに近づき、何やら耳打ちをしてきた。
めっちゃ良い匂いするグヘヘ
「例の物の進捗はどうかしら?」
「順調です。テスト期間で少し遅れが生じていましたが、あと1週間以内には完成するかと」
「流石、仕事が早いわ」
以前に名古屋のとら○あなで遭遇して以来、俺と桜内先輩は互いの同人趣味を共有する仲間になっていた。たまに桜内先輩に呼び出され、他の人とは絶対に出来ない同人誌談義に花を咲かせたりする...殆ど話すのは桜内先輩で、基本俺は相槌しながら聞いているだけだが。
そして俺と桜内先輩は現在、かなまりの百合同人を秘密裏に共同執筆している。まず俺が豊富な語彙を生かして夢小説を執筆し、その後桜内先輩が絵を描いて漫画にする(このとき俺はまだ知らなかった。まさか桜内先輩の画力があんな...)。桜内先輩より松浦先輩が小原先輩に壁ドンと顎クイをするシーンの描写は特に力を入れろというオーダーがあった。
勿論俺と桜内先輩のみで楽しむ物であり、他人、特にAqoursのメンバーの誰かにバレそうになった場合は、データの入っているパソコンごと破壊し、紙の場合は飲み込んででも証拠を闇に葬り去るという誓いを俺たちは立てている。また、流出やインターネットへの投稿、販売や譲渡などは厳禁だ。モデルになった人物の許可なしでそんなことやったら普通にシャレにならない犯罪だしね。
もう完全に手遅れな気もするけど!
コソコソと桜内先輩と進捗を報告し合っていると、背後から俺を呼ぶ声が聞こえた。
「お待たせ、未来」
振り向くとそこには、色鮮やかな浴衣を身に纏った3人の美少女が立っていた。
「お、おぉ...!」
素晴らしい!ビューティフォー!キュート!生きててよかった。こんな可愛い娘達とお祭りを回れるなんて...ものすごく嬉しすぎて叫びたい気分です!←叫んでいいよ?
ゔわぁぁぁ!!!(パルキア)
「ふふっ、どう未来〜?善子達の浴衣姿は〜?」
「お姉さん達感想が聞きたいな〜」
「ゔぇぇ!?」
高海先輩と小原先輩が顔をニヤつかせながら、背後からそう尋ねてきた。この人たちはいつもそうだ。こういう事があるといつも楽しそうに余計な事をしてくる。
とはいえ、俺だって成長している。最近、少し位歯の浮く様なセリフを言う事にも耐性がついてきた。だが、この人達の思惑通りになるのは悔しく感じてしまう。
「ほらほら、思い切って言っちゃいなさい。善子なんかあんなキュートな顔で未来の事見てるわよ〜?」
「そうそう!きっと期待してるんだよ!未来君に浴衣姿を褒めてもらうこと!」
先輩方にそう言われ、善子に目線を向けると、確かに善子は俺の事をチラチラと恥ずかしそうに見ていたのだった。
「未来。どうかしら?」
その仕草に不思議と胸が高鳴ってしまい、伝えようとしていたことを、言い淀んでしまった。
「に、似合ってます」
「聞こえないよ〜」
「もっと大きなボイスで言わないと!」
「くっ...似合ってるぞ善子ぉ!!」
俺はやけくそ気味にそう叫んだ。
実際、善子の浴衣姿は可愛さと美しさが上手く混在しており、自身の美貌を存分に発揮した非常に魅力的な着付けとなっていた。
「...ありがと」
そして、俺の言葉を聞いた善子は、嬉しそうに口元を緩めていたのだった。
「え〜、それだけ〜?もっとこう、他にないの?可愛いとか、美しいとか!」
「似合ってるぜベイべー...とか!」
「あんたらいい加減にしろよ?」
こんにゃろっ!わからせを愛し、わからせを追求してきた俺がわからせっぞコラァ!!ついでに俺はルビィちゃんにわからせられたいぞコラァ!!
「ほらほら二人とも、それくらいにしときな」
そんな犯罪一歩手前な思考に至っていた俺だったが、松浦先輩が助け船を出してくれたため事なきを得た。松浦先輩が高海先輩と小原先輩の首根っこを掴んで制止してくれたのだ。
「助けてくれてありがとうございます、松浦先輩...」
やはりこの人は救世主だ...!
松浦先輩の有り難みを深く実感していると、突然、ツンツンと背中を突かれた。振り向くと、桜色の浴衣を身に纏い綺麗な紅い花飾りを付けたルビィちゃんがこちらを見ていた。
ーーーーーー突如脳内に溢れ出す存在しない記憶
放課後、夕陽が差し込む教室。その窓際の席で俺はやる事もなくぼーっとしていた。時折爽やかな風が入り込み気分が良い。先程まで、屋上から元気な声が聞こえてきていたがそれも止んでしまっており、また1つ、有限な青春のページが捲られていく音が聞こえた気がした。ツンツン。ノスタルジックな気分に浸っていた俺だったが、急に頬を突かれた事で我に返り、突いてきた主を確認するため振り向く。「未来君、お待たせ」。そこには、俺の最愛の人がいた。どうやら少々息が乱れているようだ。「いつも言ってるけどさ、そんな急いで来てくれなくてもいいんだよ?」「だって、未来君と早く会いたかったから」そんなふうに言われてしまえば、俺はもう何も言うことはできない。本当に愛らしい彼女である。「じゃあ帰ろっか」「うん!」いつもの様に2人の手は繋がれる。隣り合って歩き、同じ景色を見て、互いの温もりを感じながら帰路に着く。いつもの帰り道。今日は特に夕陽が綺麗だったため、砂浜に寄り、海を眺めながら何でもない話に花を咲かせた。そして、暫くして夕焼けが沈もうとする寸前、2人の影は徐々に重なりーーーーーー
「未来君は浴衣じゃないんだね」
そんなはじめからクライマックスな長編小説を脳内で書き始めた俺だったが、ルビィちゃんの声で現実に戻る。
ちなみにこの作品は最終回で暴走し伊◯誠顔でキスしようとした俺をルビィちゃんが思いっきりひっぱたいて連載終了。
「家に浴衣が無くってさ。でも、代わりに張り切ってオシャレしてきたからダイジョーブ!」
「うん!カッコいいよ、未来君!」
「ゔぇぇ!?ゔぇへへ...ありがとう。ルビィもその桜色の浴衣、凄く似合ってるよ」
「そうかな?でも嬉しいなぁ、ありがとう!」
ルビィちゃんが可愛過ぎるんだが?これが最近話題の可愛さの頂点に立つ女子、略して頂き女子か。
「じゃあ全員集まった事だし、行こっか」
そんなこんなで、合流した俺とAqoursの皆さんは、3年生の先輩方を先頭に祭りへ向かうのだった。
〜〜〜
2、3年生の方達の後ろをついて行く形で、で人混みの中を進む。流石は東海地方でも最大級の規模を誇る祭りだ。ここまでの人混みはこの祭り以外では片手で数えられる程にしか経験したことがないレベルである。
沢山の屋台が並んでおり、楽しい気分になると同時に、美味しそうな香りが鼻孔をくすぐり空腹感を高めてくる。
俺達は、偶に屋台に寄りながら、それぞれはぐれない様に祭りを楽しんでいるのだった。
「あれ?花丸ちゃんは?」
ふと、ルビィちゃんはそう言って、キョロキョロと周囲を見渡していた。俺も確認してみたが、確かに花丸はいなくなっていた。
食いしん坊の花丸のことだ。きっと美味しそうな匂いに足を止めてしまい、人混みに巻き込まれてしまったのだろう。
「人が多過ぎて全く気がつきませんでしたわね」
「うーん、この人混みだと簡単には見つからなさそうだし、どこか分かりやすい場所で待っとこうか」
松浦先輩がそう提案し、他の方々も賛成だったようで合流場所に関して意見を出し合っていた。
しかし、やはり1人くらいは探しに出たほうがいいかもしれない。田舎もんの花丸は、俺以上にこのレベルの人の多さを経験した事がないだろう。そんな中、急に1人になってしまい不安になっているはず。
「僕が探してきます!」
俺以外は浴衣を着ており、普段は使用しない下駄を履いているため、花丸を探しに行くのは厳しいはずだ。ここは俺が行くべきだろう。
「ムフフ、この機に乗じて花丸と二人きりになろうなんて...策士ね!」
「そんなんじゃないですってば!!」
力強く否定した俺だが、確かに小原先輩の言う通りだわ。皆さんからの信頼も得られ、加えて、浴衣姿の超絶可愛い花丸と2人きりになれるとかなんつー役得だよ。
なんか一気にやる気出てきたぜぇぇぇ!!
「ソーリソーリー。分かってるわ。花丸のことよろしくね」
「未来くんありがとう!気をつけてね!」
「ありがとうルビィ!頑張ルビィしてくりゅ!」
「生きて戻ってくるのよ!」
「先に行け善子!後で必ず合流する!」
「ヨハネ!フッ...フラグ立ちまくりね、リトルデーモン」
ルビィちゃんと善子の声援を受けながら、俺はさっき歩いた道へ引き返す。
そして、徐々に善子達の姿は人混みの中に消えてしまうのだった。
〜〜〜
その後俺は、なんとか脇道にそれて人混みから脱出することに成功する。
そしてポケットから携帯を取り出し通知画面を見ると、既に花丸から俺や花丸たちで組まれたLINEグループ、『いちねんず〜堕天使とリトルデーモンのサバト〜』にヘルプのメッセージが来ていた。恐らく花丸も同じように人が少ない所に避難して、携帯を握りしめているのだろう。因みにこのLINEグループに確定するまでには、紆余曲折あった。どうしてもこの名前にしたい善子と、部分的に反対派の俺。追放の応酬で地獄みたいな状態になり、相手を追放している間に勝手にグループ名を変更するという行為が横行し、なんか楽しくなってきた俺と善子は花丸とルビィもついでに追放し、グループへの再加入の方法が分からない花丸は長い事グループに復帰出来ない、なんて混沌とした事態も起こったりした。全く、なんて迷惑な奴なんだ善子。
俺は素早く花丸の個人チャットにメッセージを送る。すぐに既読がついたが、中々返信は来なかった。花丸はド級のデジタル音痴のため、フリック入力が遅いのだ。そんなアナログな所も花丸の可愛さを構成する1つの要素だけどね!
少し待つと、花丸から居場所を示すメッセージが帰ってきた。ここからそう遠くはない様だ。
「うわぁ、ほんと人多すぎ...」
この人の多さでは、目的地に着いても簡単に見つけることは出来ないと懸念していたが、花丸の容姿はそこいらのモブ(俺を含め)とはレベルが違うため簡単に発見することが出来た。
道の端で花丸が、不安そうな表情で携帯の画面を見つめていた。
「おーい、花丸ー!」
「あっ、未来君!」
人混みに揉まれながらも声を上げて手を振ると、花丸は俺に気がつき、安堵の表情を浮かべながら、手を振り返してくれた。
「はぁ...はぁ...人混みヤバすぎ」
「ごめんなさい...」
疲労により膝に手をつき息を切らしていた俺の姿を見てか、花丸は顔を俯かせ、申し訳なさそうにしていた。
「いや、いいのさ。色んな屋台があって楽しいし、ついつい目移りしちゃったって仕方ないよね」
「でも、未来君にも皆んなにも迷惑を掛けちゃったずら...」
「俺も皆さんもそんな事思うような人間じゃないよ。ただやっぱり心配はしてたから、戻ったら直ぐに心配かけちゃってごめんずら!って言うんだよ?きっと笑って許してくれるさ」
こんなにも人が多いと迷子になる人くらい大勢いるだろうし、仕方のない事なのだ。
それにこんな楽しい日に、そんな顔はして欲しくない。ちょっとしたハプニングは起こってしまったが、それでも俺は花丸に、そして皆さんに精一杯楽しんで欲しいと思っている。
あと俺は、花丸にはこの祭りでもっと色々なものを食べてもらってそのご立派な花丸マウンテンを成長させて欲しいと思ってるのでねぇ。
「そうだね...うん、分かったずら!」
俺の言葉で花丸は気を持ち直し、いつもの様子に戻ってくれたようだ。
「よしっ!じゃあ早速皆さんと合流するぞ!」
気を取り直して、合流に向けて意識を切り替える。
最後に携帯を見てから少し時間が経っているため、もしかすると誰かから重要な連絡が来ているかもしれない。
「ルビィ達から連絡とかきてる?」
「うん。ルビィちゃん達は駅前にいるみたいずら。らいんできたずら」
そう言って花丸は、携帯の画面を俺に見せてくれた。確かにルビィちゃんからメッセージと共にウサギの可愛らしいスタンプが送られてきている。成程、合流し易くするために駅前に戻ったのか。
しっかし、ルビィちゃんはLINEしてるだけでも尊いなぁ。いや、ルビィちゃんはただ呼吸しているだけでも尊い。存在が尊いんだ。それに迷える子羊である俺達のために集合場所を教えてくれるなんて、なんて優しいんだ!
「駅前か...結構距離あるね」
目の前には先程と変わらない人混み、いやもしかしてだけど人増えてないか?
とはいえ、この人波を進む他に駅前に辿り着く術はない。俺と花丸は、意を決して再び人混みの中に飛び込んだ。
「あーもう、人多すぎ...花丸、大丈夫?」
「なんとか...でも少しでも気を抜いたらまたはぐれちゃいそうずら...」
花丸と2人で人を掻き分けながら歩く。やはり更に多くなっている気がする。これはマズイ。幾ら花丸がそこいらの人間とは一線を画す容姿をしているとはいえ、この混雑では流石に見失ってしまう。何か確実に2人揃って駅前に辿り着く方法はないか。
そう思考していると、突如天啓が下る。
「そうだ!」
「どうしたの?」
「はぐれないように手でも繋ぐ?」
うっそーん。天啓だなんてそんな大袈裟なものじゃありませーん。ただただ私利私欲にまみれたツイフェミの敵たるクソオスの性搾取的思考です。こんな考えしか出来ないなんて怒りで震えて涙が止まりません!ツイフェミ万歳!ツイフェミ万歳!表現の自由を制限しようとする〇〇なツイフェミ万歳!
「...え?」
意外そうに目を見開く花丸。ヤバい、流石にドン引かれたか?
そう思った俺は、慌てて発言を訂正する。
「冗談だよ冗談!確かに手を繋いだ方がはぐれる確率も下がるとは思うけど、流石にそんな恥ずかしいこと「いいよ」俺なんかと出来ないよ......え?」
「だから、いいよって言ったずら。マルが勝手な行動をしたせいで皆んなとはぐれて、未来君にも迷惑をかけちゃったずら」
冗談で言ったつもりだったが、まさか了承してもらえるとは。
これって...ああ、天城の勝ちだ(確定勝利フラグ)
「じゃ、じゃあ...よろしくオナシャッスッ!!」
急いでポケットに入れているハンカチで手を拭い、花丸の前に手を差し出す。
花丸は優しく微笑みながら、その手を握ってくれるのだった。
花丸と手を繋ぎながら人混みの中を進む。
「ふふっ、未来君手汗が凄いよ?」
「ご、ごめん!気持ち悪いよな...」
俺は小さい頃から手汗が出やすい体質で、それをコンプレックスに感じている。そのため、花丸に嫌悪感を抱かれてしまったのではないかと不安を抱きながら、花丸に謝罪の言葉を述べる。
「別にそんな事思ってないよ。寧ろ未来君もマルと一緒で緊張してるんだなって分かってちょっと安心したずら」
「ふぅ...マジでスイートだぜ花丸!!」
これデートやん。男女二人、お祭り、手を繋ぐ、これらから導かれるものとかデートしかないやん。インスタやってないけど、デートなうってインスタに投稿してもいい?
そんな衝動に駆られ、周囲の人間なんざ関係ねぇ!と携帯を取り出し写真を撮ろうとすると、唐突に花丸が足を止めた。
「ねぇねぇ未来君!あの屋台に書いてあるチーズドッグってなんずら!?」
花丸は目をアニメキャラのようにキラキラと輝かせながら屋台を指差す。人混みの中急に止まって大丈夫かと焦ったが、都合よく周囲の人が俺たちを避けるようにして歩いていたため、花丸が指差した方向に目をやる。
「おー、やっぱ売ってるか。詳しくは俺も知らないけど、韓国版のアメリカンドッグらしいね。ソーセージの代わりにチーズが入ってて食べるとチーズがびよ〜んって伸びるんだってさ」
やはり花丸は流行に疎い。いや、これに関してはもう一昔前に流行は過ぎ去ったとは思うけど。
しかしながら、これは以前計画した、『アウトレットで花丸にドスケベコスさせよう大作戦』が陽の目を浴びる日が来るのでは!?と期待せざるを得ない。
「話を聞いただけなのに涎が出そうずら...」
美少女JKの涎...イイ!!っていかんいかん。流石に涎に興奮する男とかキモ過ぎワロエナイ。いやでも、センチュリースープはペンギンの涎で完成したし...
人類の歴史は挑戦の歴史。未知のものに手を伸ばし、トライアンドエラーを繰り返す事で今の豊かな生活を作り上げたのだ。花丸の涎ペロペロ。ついでに本体にもペロペロ。流石にキモ過ぎて悪寒走ったわ。
しかし、花丸には悪いが辛い現実を告げなければならない。
「食べたそうな所悪いけど、ルビィ達と早く合流しなくちゃいけないからそんな暇無いよ」
このままでは、Aqoursの皆さんが祭りを楽しむ時間が減ってしまう。せっかく青春の時を謳歌しようと浴衣まで着て祭りに来たのだ。特に、3年生の先輩方はこれが高校生活最後の祭り。出来る限り早く合流してエンジョイしてもらいたい。
「ずら!?確かにそうずら...ね...」
いや、たかがチーズドッグ食べられなかった位でそんな絶望顔すんなよ、興奮しちゃうじゃないか......って違う違う。
まぁ、少しくらいならいいか。俺は、花丸の手を引いてチーズドッグの屋台の前まで行く。
「すいません、チーズドッグ4本ください」
ラッキーなことに並んでいなかったので、店員さんに話しかけ、注文をする。
「えっ?なんで4本も...」
先程の発言と矛盾した行動をとる俺に、花丸は怪訝な表情を浮かべていた。
「奢るよ。花丸は1本じゃ満足できないだろうから4本にした。俺1本に花丸3本ね?」
「えぇ!?そんなの悪いからいいずら!それにいくらマルでも三本も食べる程食い意地はってないずら!」
花丸の食欲は凄い。流石育ち盛りの高校一年生なだけはある。とはいえ、その栄養は殆どは身長に行かず、OPIに行ってるようだがね...ヌルフフ...
「折角のお祭りなんだ。カッコつけさせてよ」
奢られる事に遠慮をする花丸に、俺はキメ顔をしてそう言う。
「その顔やめるずら」
ジト目の花丸にそう言われてしまうが、これからチーズドッグを食べることが出来る期待からか、ソワソワしているのが伝わってきた。微笑ましい限りである。
可愛いやつめ!
「ん〜!美味しいずら〜!」
食べれないと言っていたが、余裕な面持ちでしっかりと3本のチーズドッグを完食した花丸に戦慄しながらも、この小さな身体のどこに取り込まれたのか、人体の神秘を感じるのだった。
完食した俺達は、再び駅前を目指して歩みを進めた。
〜〜〜
「わぁ!未来君、あれなんずら!?」
「おぉ!楽しそうだね!寄っていこう!」
あれから俺達は、待っているルビィちゃん達に申し訳ないと思いながらも、ちょくちょく寄り道をしてしまっていた。
ーーーーーー射的
「へい兄ちゃん!美人な彼女さんに良いところ見せたげようぜ!」
「わかってんなぁおっちゃん!そう!こちらにおわすは俺のかのーーー」
「違うずら」
「ですよねぇ!」
花丸に即答されてショックだが、射的は得意だ。花丸に俺のかっこいい姿を見せてやろう。
「ほい!ほい!ほい!」
「ナニィ!?」
「わっ、凄い!次々と景品を打ち抜いて行っているずら!」
フハハハハッ!内浦のレディ○ガンとは俺のことよっ!
「フハハハハッ!内浦の野○のび太とは俺のことよっ!」
俺は、設置されている景品を片っ端から撃ち落としていく。しかし、ゲーム機などは今回は狙わない。高額景品を狙うのは技術よりも資本と時間の勝負になるからだ。射的屋台は資本主義の犬じゃけぇ。
「そうやって連れのお嬢ちゃんのハートも打ち抜いたってのか、兄ちゃん!」
「イグサクトリー!」
「「ハハハハハッ!」」
「なんか猛烈に帰りたくなってきたずら...」
おっちゃんいい事言うな!明日1人で来た時には沢山金落としていってやるよ!ただしゲーム機は貰ってくけど!
ーーーーーーミニカステラ
「ミニカステラを食べるといつも思い出す、懐かしい記憶。よく母さんの買い物に着いて行った帰りに買ってもらったなぁ......てっあれ!?もう無くなってる!?」
「ご、ごめんね!未来くん全然食べてなかったからお腹いっぱいなのかなって思って...」
「いやお前どんなけ食べんねん」
俺が幼き日の思い出に浸っている間に、なんと全てのミニカステラを花丸に食べられてしまった。食うスピードと遠慮の無さが常軌を逸している。
これが最近話題の、超スピードで食料をご馳走様する女子、略して頂き女子か...
ーーーーーータピオカミルクティー
「花丸、これが例のブツか」
「そ、そうずらね。これがクラスの子達がよく話しているたぴおか...」
「カエルの卵みたいだねぇ」
「ダメずら!マルも実はそう思ってたけどそれは多分言ったらダメなやつずら!それにこれから飲むんだよ?」
確かに失言だった。花丸からデリカシーのない男だと思われてしまったかもしれない。
「ごめんごめん。じゃ、飲みますか」
「う、うん」
「あれ、飲まんの?」
「未来君こそ」
「いやいや、お先にどうぞ」
「マルは後でいいずらよ」
「レディーファーストでしょ」
「時代は男女平等ずら」
譲り合い大国JAPAN。タピオカを購入したはいいが、未知の飲み物を前に俺と花丸は互いに二の足を踏み未だ飲めずにいた。
「しゃあなし!先に逝ってやんよ!」
タピオカミルクティー、又の名を暴力団員タピ岡!そんな恐ろしい異名を持つ飲料を毒味もせず花丸に飲ませられん!
恐る恐るストローに口をつけ、少しだけタピオカを口に含む。瞬間、口の中が甘さに支配された。俺が飲んだのを見て花丸も飲む気になった様だ。
うーん、この飲み物、ミルクティーは美味いが、タピオカ本体は特に味がするわけでもない。普通にアリだとは思うが、値段的にこれはちょっと...
「「微妙(ずら)〜」」
思わずそんな言葉が漏れてしまったが、花丸も同じ気持ちだった様で声が重なった。
「ふふっ」
「あははっ!」
それがなんだかとても可笑しくて、俺と花丸は声を上げて笑ってしまうのだった。
ーーーーーー
「だいぶ遅くなっちゃったね」
「そうだな〜。寄り道し過ぎたね。急がないと」
あれから大分時間が経過し、流石にそろそろ合流しないとマズイと考え、俺と花丸は急足で駅前へ向かっていた。
「もう。チーズドックを食べた後、マルはそのまま直ぐに合流しようって言ったのに、未来君が寄り道したいって言うからこんなにも遅くなっちゃったずら」
「何を言う。俺の分のベビーカステラを食べておいて。むっちゃノリノリだったじゃないか」
「あ、あれはあんな良い匂いを発していた屋台が悪いずら」
「ははっ、人のせいにするとは花丸も悪よの〜」
そうやって、俺は花丸を少し弄るのだった。珍しく攻守が逆転している。いつもは俺がケチョンケチョンに言い負かされているからな。
「でも、色んな屋台巡れて楽しかったな」
沢山遊んで、いっぱい美味しい物も食べた。思わぬハプニングから生じたイレギュラーな時間だったが、とても満たされた時間だったと俺は感じていた。
「そうだね。皆んなを待たせて迷惑かけちゃったけど、マルもすっごく楽しかったずら!」
花丸は満面の笑みを浮かべながらそう言った。花丸も同じ気持ちを抱いてくれていた様で、嬉しい限りである。
それに、合流した後は善子とルビィちゃんも一緒だ。もっと楽しくなることだろう。
「あ、そうだ」
これからの事を妄想しつつ幸せに浸っていると、ふと、花丸に今日ずっと伝えたかった言葉を思い出した。
「そういえば言うの遅れちゃったんだけど、花丸」
「どうしたの?」
それは善子とルビィには既に言ってあり、花丸にはまだ言っていなかったこと。
俺は、花丸に目を合わせながら伝える。
「浴衣、凄く似合ってる。綺麗だ」
「ずら!?」
今日の花丸は髪をアップにしており、それにより、普段は髪に隠れて見えないうなじが露出していた。女性らしさを際立たせ、思わず目を奪われてしまう程の色気を醸し出している。加えて、花丸のイメージカラーである黄色の浴衣も、花丸の魅力を存分に引き出していた。
善子とルビィも浴衣もとても似合っていたが、しかし、今日1番浴衣を着こなしていたのは花丸だと、そう思わざるを得ない。
「そ、そういうことは、ルビィちゃんや善子ちゃんに言ってあげるべきずら」
花丸は、急に褒められたことで照れているのから少し頬を紅潮させながらそう言った。
「なんで?まぁでも、俺もテンション上がってるのかついサラッと言っちゃったけど、思い返すとやっぱ恥ずかしくなってきたわ。だから善子達には言えたら言う!」
そう決心しながら、引き続き、花丸と共に駅前を目指す。もうそろそろ着くはずだ。
「おーい!天城くーん!」
「先輩方!大変お待たせしましたー!!」
駅前に辿り着き、ルビィちゃん達を探していると高海先輩の声が聞こえてきた。手を振って合流しようと、先程から何故か口数が少なくなってしまった花丸の手を引いて歩く。
「あっ、未来くん手...」
花丸が何か言っていたが、駅前も賑わっており、それが原因で花丸の声は俺の耳に届く事は無かった。
「すいませんでした、遅くなってしまって。凄く混んでいたので」
本当は花丸とラブラブお祭りデートわず、だったから遅くなったんだけどね。流石にそれは言えない。
「な、なにニヤニヤしてるんすかみなさん?」
善子とルビィちゃん、そしてダイヤさんを除く先輩方全員が俺の方をみてニヤついていた。
いや、正確には俺の手元を見て、だが。
......あっ、やっべ。
「随分遅かったけど、お楽しみだったみたいねぇ」
「離すの忘れてたぁ!!」
小原先輩に指摘されてようやく未だ手を繋いでいる事に気がついた俺は、急いで手を離す。
しかし、時は既に遅しだった。
「熱々だね〜」
「なんだかドキドキしてきたであります!」
思いがけぬスキャンダルを目撃した皆さんは色めきだっており、ココぞとばかりに俺たちの事を弄り始めた。
「花丸ちゃん、お祭りデート楽しかった?」
「ずら!?手を繋いでいたのは、はぐれないようにするためで、デ、デートなんかではないずら!」
「またまた〜。仲が良くなきゃ手なんか繋がせないでしょ?」
そんな中善子は様子が違い、機嫌が悪い様子だった。
「あんた、私達のことほったらかしでズラ丸とイチャイチャしていただなんて最っ低ね」
「いやいや!イチャイチャなんてして...して......た...かもしれない」
「未来君何言ってるずら!?」
「ふーん!ズラ丸もズラ丸よ!もっと弄られちゃえばいいんだわ!」
善子の言った通り、それからも暫く弄られ続け、満足した皆さんと共に俺と花丸は再び祭りへと繰り出した。
その最中、弄られ続け精神的に疲労が溜まったのか、肩を落とし溜め息を吐いていた花丸と視線が合い、さっきは大変だったね、と笑い合うのだった。
この日、色鮮やかな夏の思い出がまた1つ、俺の脳裏に刻まれた。
「あのね、お姉ちゃん」
「なんですの、ルビィ?」
「ルビィ、おかしいの...」
「花丸ちゃんと未来君が無事に戻ってきてくれて嬉しいはずなのに」
「胸が苦しくて苦しくて、堪らないの...」
みなさん、Aqoursで誰推しですか?
-
高海千歌
-
渡辺曜
-
桜内梨子
-
黒澤ルビィ
-
国木田花丸
-
津島善子
-
小原鞠莉
-
松浦果南
-
黒澤ダイヤ