お久しぶりです。更新待たせてしまい大変申し訳ない。
こんな展開になるなんてびっくらポンだぜ...
あれから、なんやかんやあって夏休みも終盤の終盤に差し掛かった。
『お疲れっす〜』
そして昨日、名古屋にてラブライブの最終予選が行われた。そのため本日、俺たち1年ずは、沼津にある某回転寿司チェーンでお疲れ様会を行なっていた。
「惜しかったね、もう少しで全国大会だったのに」
結成から半年経っていないにも関わらず、最終予選までコマを進めたAqoursだったが、残念ながら予選突破は叶わなかった。やはり、どんなジャンルでも全国大会の壁は大きいのだと実感させられた。
しかし、嬉しい知らせもある。浦の星女学院の来年度入学希望者数が先日のライブから徐々に増えていってるらしいのだ。これはAqoursが躍進し、学校の名が有名になった影響だろう。まだまだ入学希望者数は目標数に達していないがこのまま増えていけば、もしかすれば廃校を回避できるかもしれない。
「Aqoursがナンバーワンだ。誰がなんと言おうとナンバーワンなんだ」
「未来君昨日からずっとそれしか言ってないね」
とはいえ、それですんなり納得できっか!俺は悔しさに苛まれながら、ジョッキ片手にテーブルに突っ伏していた。
「Aqours is No. 1 schoolidle 」
「遂に言語まで変わったずら」
「未来〜、お皿置くのに邪魔よ〜」
「阿克娅是最好的偶像 ...Аква лучший айдол」
「何語ずら!?」
昨日、俺は当然名古屋まで応援に行った。花丸達の晴れ舞台を見ないなんて有り得ないからな!そして、他のグループのステージも観戦した。
Aqoursが1番だったろ!昨日、1番輝いていたのはAqoursだったろ!世の中見る目のねー白痴ばっかだせ!!!
...と、内心思っているができるだけ口には出さない。何故なら1番悔しい思いをしているのは実際にステージに立ったAqoursの皆さんだからだ。ここで外野の俺がみっともなく叫び散らかすのは違う。
それから、和気藹々と寿司に舌鼓を打つ俺たち。
ルビィちゃんと善子は、少食なのか積まれている皿が少ない。対して、花丸の前には大量の皿が積まれていた。パッと見て俺の2倍は高く積まれている。
「ふぅ〜、腹7分目ずらね」
「びっくらポンだぜ...」
「ここはス◯ローずら」
相変わらずの花丸に戦慄しながら、最後にデザートを頼むために、俺は注文用のタッチパネルをスライドしていた。
「ルビィはお芋のアイスにする!」
隣から、元気で可愛いルビィちゃんの声が聞こえる。可愛いぃぃぃ〜、といつもの俺なら絶対に思うのに、何故か違和感が先行した。
「え、チョコミントじゃないの?」
「チョコミントでしょ絶対」
「チョコミント頼まないルビィちゃんは偽物ずら」
「なんで!?ルビィ別にチョコミント好きじゃないよ!?」
どうやら花丸と善子も同じ思いだったらしい。
いや、そもそもなんで俺はルビィちゃんがチョコミントを頼むと思ったんだ?だってルビィちゃんの好きな食べ物はスイートポテトをはじめとするサツマイモ系のスイーツだし、今までだって一度もチョコミントを食べてるところを見たことはない。でも何故か、ルビィちゃんはチョコミントが好きっていう先入観が...分からぬ。分からぬから、久々に一丁かましますか!
「ルビィチョコミント大好き!」「べへへ、そっかそっか。美味しいよねぇ」満開の桜が如し魅力的な笑顔を見せるルビィちゃんに対して俺は、ついキショい笑い声を出してしまう。「でもルビィはね」「ん?」一転して、ルビィちゃんは頬を朱色に染め、僅かに視線を落とし、言葉を紡いだ。「チョコミントよりも未来君の方が大好きだよ!!!」ルビィちゃんの言葉に、茫然としていた俺だったが、いつの間にか頬を伝う涙に気がついた。「ルビィちゃんはチョコミントより俺のことが好きだったのかよ...!」その様は、まるで本当に大切なものに気がついたバスケプレーヤーのようだったという。
う〜ん、我が信頼と実績の妄想。どんな流れからでも入れてしまう。そして読んでる人を置いてきぼりにするキショさ。...読んでる人ってなに?
とはいえ流石、もはやワールドワイドの知名度と人気を誇るルビーちゃんと愛♡スクリ〜ム!...ん?
『ルビーちゃん』じゃねぇ、『ルビィちゃん』だ!!2度と間違えんなタコ!!!
「ヨハネは漆黒のフォンダンショコラでお願いね」
「マルはミルクレープと大学芋とショコラケーキとわらびもちと───」
「いやいやいや頼みすぎ頼みすぎ。頼みすぎだから」
その後当然、会計で花丸だけ異様に料金が高くなっていたが、いつものこと。俺たちは会計を終えて店を後にした。
〜〜〜
寿司屋を出て、最寄りのバス停に到着した俺たち。あとはバスに乗って内浦に帰るだけだったが、善子は沼津駅前に住んでいるため1人だけ帰路を別にする。
善子もバスに乗るとはいえ、夜道を1人で歩かせる訳にはいかないということで、俺は花丸とルビィちゃんから善子を自宅まで送り届ける係を拝命した。全身全霊で責務を果たさせていただき候。
「はぁ〜、花丸とルビィ心配だよぉ。いくらバスで帰ってるとはいえ、夜道を歩かせるなんて」
「心配しすぎよ。それより未来は、主であるヨハネを守護することに心血を注ぎなさい」
俺と善子はバスには乗らず、歩いて善子の家まで向かっていた。最近は夜も涼しくなり始めてきており、こういうのも悪くはない。
俺と善子は、ゆっくりと歩きながら夏休み中の思い出について花を咲かせていた。
「夏休みもあと3日よ3日!短すぎるでしょ!」
「それなマジエグい」
いやエグいわ。まじエグみ深いわー。会話の全てをエグいだけで完結させるFラン大生みたいになってしまった。
日常的にエグいエグい言い過ぎて就活のエントリーシートのガクチカにも、本当はバイトリーダーなんて役職は無いけど、エグいくらいバイトリーダーとして頑張りました!って嘘書いて速攻お祈りされるレベル。
「課題も終わってないし、ヤバいわよ!」
「エグいエグチエグい」
「語彙力寿司屋に忘れてきたの?」
俺たちの夏が終わる!最悪だ!何が最悪って?そりゃ学校が始まるし早起きしなきゃいけなくなる...そんな事よりももっとエグい問題がある。それは、夏の終わりと共に浦女の夏制服が終わっちまうことだよー!!!
そんな理由で何を嘆いているかって?分かってねー、なんにも分かってねーなオマエ。いいか?浦女の夏の制服、特に1年生の制服はな、ノースリーブなんだ。これは他に類を見ない希少な物なんだよ。世界7大美色の『緋の目』よりも希少なレベル。ここまでがワンセンテンスだが宜しいか?(薄汚ねぇクルタ並感)
2年生からは普通の夏制服になっちまうし、今しかねんだよ、善子たちのドスケベ制服姿が見れんのはよ。腕を上げた時に見える腋、その拍子に制服の隙間からチラ見えする下...インナー。善子は私服で結構ノースリーブ着てるから割と珍しくないけどよ、ルビィちゃんと花丸のノースリーブなんて見れるのは今だけなんだよ!
小原先輩に来年以降も夏服をノースリーブにしてもらえるよう交渉してみるか?
『小原理事長オナシャス!来年以降も夏服袖無しでオナシャス!!俺の全財産浦女に寄付しますから!』
『オーウ!そんな端た金いりまセーン!!ポリスメン、この汚物を永久hoursに監獄にブチ込んじゃってくだサーイ!!』
それ即ち死だわ、社会的にな。
「楽しい時間ってなんでこんなに早いのかしらね〜」
こうして振り返ってみると、今年の夏休みは昨年までと比べて極めて充実していたな。海で遊んで、東京に行って、みんなで集まって課題して。他にもルビィちゃんとカフェ巡りして、花丸とはラーメン食いにも行ったし、本当に楽しい休みだった。
こんな楽しい休みが更に、来年と再来年の計2回もあるのか。そう考えると、今年の夏休みはもう終わってしまうけれど、悲しいだけではなく大きな未来への期待を感じることができた。
「せやなぁ。最近、時間感覚が中学の頃の3倍くらいになってる気がする。こりゃあっという間に受験生になって卒業だな」
「うぇぇ、この間受験終わらせたばっかなのにそんな話しないでよ」
受験というワードを聞いた瞬間、善子は嫌そうに眉をひそめた。
「それはすまんと思ってる。善子は卒業したらどうする?やっぱ進学すんの?」
「ヨハネ!だからそういう系の話は今止めなさいって...まぁいいわ。そうね、ママ...仮の同居人からは、大学は行きなさいって言われてるし進学かしらね〜」
「あぁ、善子のお義母さんって学校の先生だっけ?」
俺は、一度だけ善子のお母さんと会ったことがある。善子のお母さんはめっちゃ美人だ。やべーくらいの美人だ。具体的に言うと、善子に大人の余裕と色香をマシマシにした姿をイメージして欲しい。イメージできたか?飛ぶぞ。
これ絶対男子生徒達の初恋泥棒になってるやつだ。善子のお義母様の生徒たちには羨ましいと同時に同情するね。絶対叶わない恋を引きずって、同世代の女子じゃ満足出来なくなっちまうだろうから。俺の知人に、『図書室の天使様』っていう小説をネットに投稿してる変人がいるんだけど、そいつも同じような経験したことがあるんだって。悲しいね!
「だからヨハネ。そうよ。未来は進学校だしやっぱり国公立とか目指すの?」
「うーん、そこら辺はまだ具体的に決まって無い。けど、行くなら都会のどこかの大学になるとは思うかなぁ、偏差値的に」
我が故郷沼津を含め静岡県には、高偏差値の大学は殆どない。故に、進学校に通う県内の学生の一定以上が進学と共に他県に移住する傾向にある。人口の都市部一極集中は止められないね。いくら地元愛♡満タンだろうと、現実が地元に住まわせてくれない。世知辛ぇぜクソだらぁ...
「...そう、なら高校卒業したらお別れなのね、私たち」
「まだ分かんねぇよ、それに2年も先の話だ」
なんとなく、空気がしんみりしてしまった。確かに、楽しい雰囲気に水を刺すような話題だったな。これだからワッパエンペラー、略して童帝の俺はよぉ。エンペラーを称する所以がよく分かるぜ。
そんなことを考えていると、丁度善子の住むマンションの前に到着した。
「ねぇ、少し話してかない?」
「ん、暇だしいいよ」
俺と善子は、近くの河川敷の石段に腰をかけるのだった。
〜〜〜
善子の住むマンションの隣には、狩野川という大きな川が流れている。狩野川の河川敷は広く、更に未来達が今座っている場所は、コンクリートで綺麗に舗装され丁度良い高さの階段となっているため、座りに来る人は多い。今も周囲には、散歩中の老夫婦やカップルが何組かいた。
「夜風が気持ちいいな〜」
「そうね」
善子の様子がいつもと違う気がして、未来は善子の表情をチラチラと伺っていた。先程まで、楽しい雰囲気だっただけに未来の困惑は大きい。
───なにか変なことを言ってしまっただろうか?
そのように思案していたが、依然未来は、善子の様子を見守ることしかできなかった。
「最近あんた、ルビィと仲良いわよね」
「ん?そりゃ、俺とルビィの仲だし」
「そういうことじゃないわよ...なんていうか2人とも、距離感がめちゃくちゃ近いのよ」
ルビィと未来は中学の頃からの付き合いのため、仲が良いのは分かる。だか、最近の2人の距離感はただの友人関係としては異常だった。特に、ルビィからの押しの強さは、善子や花丸は当然、他のAqoursのメンバーも感じている。
ルビィをそうさせた原因は、明確だった。
「ふへへっ、そう?そんなラブラブに見える?俺とルビィちゃん」
頭をかきながら、未来は照れたように笑う。
「えぇ、見えるわよ。まるで付き合ってるみたいに。本当はあんたも戸惑っているんでしょ?」
その言葉に未来は図星をつかれたのか僅かに目を見開き、なにか言葉を発しようとしていたが、そのまま口を継ぐんで押し黙ってしまった。
「ねぇ未来」
「これは...もしもの話なんだけど。本当に、突拍子もない仮定の話なんだけど」
「もしも、ルビィがあんたの事を好きになる事があって」
善子の瞳が真っ直ぐに未来を捉える。唐突に、いつになく真剣な眼差を向けられたため、未来は、ただ黙って善子の話に耳を傾けるしかなかった。
「ルビィに告白されたら、未来はルビィの気持ちにどう答えるの?」
未来は息を呑んだ。ただの仮定の話。にも関わらず、善子の表情や雰囲気は、なにより、その言葉に込められた感情は真剣そのもので、こちらに一切の偽りを許さないような圧を感じさせたからだ。
背後から暖かい夜風が吹く。さっきまでは特になにも感じなかったそれが、今は不思議と肌に絡みつくような不快感を2人に与えた。
再び2人の間に静寂が訪れる。
「それは...誠心誠意、悔いのないように応えるよ」
暫くしてから未来は、善子から視線を逸らし、そう答えた。
誠心誠意───自身が発した言葉とは裏腹に、その仕草は、何か後ろめたいものを感じさせた。
「誠心誠意、悔いのないように...ね」
善子は、噛み締めるように未来の言葉を繰り返す。
軽く俯いた後、なにか決心をしたような表情で再び未来に視線を向けた。
「ハッキリ言うわね。それは無理よ」
善子の口から発せられたのは、強い否定の言葉だった。
「あんたがどう応えようと、悔いは残るわ」
連綿と続く言葉には、様々な感情が込められている。
「特に、今のあんたじゃね」
「...じゃあ、どうすればいいんだよ?」
「ちゃんと向き合いなさい、現実と。だってあんた」
苛立ち、恐怖、悲しみ。そして───後悔。
今の関係性が崩れ去ってしまうことへの後悔。
「本当は気がついているんじゃないの?私たちの気持ちに」
善子の脳裏に、今までの楽しかった思い出が浮かぶ。中学時代に未来と出会って、高校で花丸とルビィと仲良くなった。まだまだ始まったばかりの青春。
「あんたは見ないようにしているだけ。自分が傷つかないように、私たちが傷つかないように。今の関係を守りたいから」
これから、まだまだ沢山の楽しいことが待っているだろう。しかし、楽しい時間というのはあっという間に終わりを迎えてしまう。
「保守的で、問題を先延ばしにするような返事しかできない。でもそれだと、絶対に誰かが傷つくでしょうね。だって私も、多分ルビィもそんな返事は望んでいないから」
先の会話が、善子に現実を冷徹に突きつけてしまった。
「勿論私も好きよ。花丸やルビィや未来と過ごす日常が。ずっとこのままでいられれば...なんて、当然考えたわ」
───あと2年しか一緒にいられない。それなら...
「でもね、私たちは...私は今のままじゃ嫌なの。もっともっと、先に行きたい」
───はやくあなたと一緒になりたい。
「私はあんたのことが好き。中学の頃からずっと...ずっと未来のことが大好き」
遂に善子は、ずっと心の内に秘めていた想いを口にする。
「未来と離れ離れになんてなりたくないの。これからも、あなたと一緒にいたいのよ」
本来なら顔を赤らめながら、不安と羞恥を交えながら告げるはずだったこの想い。善子は、いつか来るその時を当然そんな風に迎えると思っていたのに、不思議と恥じらいは一切感じなかった。
対して、善子の想いを受けた未来の心中は驚愕と諦観で満ちていた。
『見ないようにしているだけ』
善子の言葉は的を得ていた。最近の4人の関係性は、高校入学当初と比較してグッと縮まった。故に察してしまっていた、ルビィと善子の心の機微を。未来がルビィと善子と花丸のことをとても大切に思っており、よく3人のことを観ているからこそ気がついた。
しかし、未来はその気持ちに向き合えなかった。何故なら、今の関係性が好きだから。もしも誰か1人と特別な関係になってしまえば、今のままではいられない。もしかすると、他の2人とは疎遠になってしまうかもしれない。そんな考えが浮かぶたび、直ぐに忘れるように、向き合わないようにした。
「善子!...俺、俺は───」
事は、そんな逃避がもはや通用しない段階に至っていた。変わらなければいけない。それが故の諦観。
今すぐに、善子からの真摯な想いへ応えなければいけない。
───本当に?
(俺は一体、どうしたいんだ...)
迷いを抱きながらも、なんとか言葉を発しようと口を開こうとする。
瞬間、善子の指が未来の唇を捉えた。
「まだ、言わないで」
とても優しい声で善子は未来に語りかける。でもどこか悲しさも内包しているその声は、未来の心を少しだけ冷静にした。
「取り敢えず付き合ってみるとか、そんな考えは絶対許さないわよ。ていうか、前にあんたにそう言われたしね。私は良い女だから、あんたの考えがちゃんと纏まるまで待ってあげる」
前...善子がAqoursに入りたての頃に2人で遊びに行った時のことを言っているのだろう。今考えたら、あの時の善子の提案は、本気の想いから来るものだったのだと考え至る。
それを理解した未来の胸中は、情けない自分を責める感情と同時にある思いで満たされた。
───こんな素敵な女の子にこんなにも想ってもらえて、俺は世界一の幸せ者だ
「善子...ありがとう」
「でも待つのは今年一杯...いいえ、来年の3月までしか待たないから。なるべく早くお願いね。うかうかしてると、他の誰かに盗られちゃうわよ?」
「うん。待っててくれ...ちゃんと、絶対に答えを出すから」
「当たり前よ」
善子は顔を逸らした。今になって恥ずかしくなってきたのだろうか。善子も、本当は今日想いを告げる予定では無かったのだろう。
「じゃあもう帰るわ。またね。おやすみなさい」
そう言って、善子はそそくさと帰っていった。
そんな善子の後ろ姿を、未来は愛おしそうに見つめ、姿が完全に見えなくなっても暫くの間、視線を逸らすことはなかった。
こうして、高校生活最初の夏休みは幕を閉じた。
彼らの青春は、移り行く季節と同じく変容していく。これまで以上の速度で。
みなさん、Aqoursで誰推しですか?
-
高海千歌
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渡辺曜
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桜内梨子
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黒澤ルビィ
-
国木田花丸
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津島善子
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小原鞠莉
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松浦果南
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黒澤ダイヤ