図書室の天使さん   作:史上最強のラーメン

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 お久しぶりです。中々更新が出来ぬ本作品を読んでくれる方、感想や評価を下さる方、本当にありがとうございます。励みになります。

 私事ですが、最近蓮ノ空にハマっており、リンクラのゲームもやっています。ゲームのルールは複雑で意味不明な所もありますが、あのスコアを追求していく感じが堪らなく面白いですね。ちなみに作者の推しは徒町です。徒町はなぁ...いいぞ。もう本当に元気が貰える。歳を取ると、ああいう何事にも全力でチャレンジする子が眩しく見えて仕方がねぇぜ





『チカワイイ』。この言葉、早慶以上を目指す人は必ず覚えるように!

 

 

 皆んなで寿司を食べに行ったあの日から、暫く花丸達とは会っていない。ルビィちゃんとは、たまに電話越しに話したりはするが、それでも以前より関わる時間は減っただろう。

 ルビィちゃんから聞いた話だが、最近のAqoursは、内浦から沼津駅前行きのバスの本数が減少したことを機に主な練習場所を沼津駅前の某所に移したらしい。それもあって今後は、練習後の彼女達と偶然鉢合わせることも少なくなる事が予想される。

 多少会えなくなったところで、我ら1年ずの絆は色褪せることはない...と思いたい。絆の呼吸!終の型!!鬼滅◯刃!!!って違う違う発作が。

 

 なんでも彼女達は今、浦の星の学校説明会と次のラブライブ予選に向けての準備で忙しいようだ。両者ともほぼ同時期に開催し、更にそれぞれの舞台で違う曲を披露するとのことで、この短期間に2種類の曲や衣装を準備しなければならないと考えれば多忙を極めるのは当然といえる。

 3人と会えないことに関して、寂しい反面少しホッとしている自分がいた。善子とルビィの想いと向き合う、という決心はしたが、やはり顔を合わせるのは少々気まずく感じていた。そんな矛盾を認識するたびに、あの日の情景が思い浮かび、自己嫌悪に陥ってしまう。

 

 はぁ...こんなシリアスな俺、誰も望んでないねん。変態終末期の天城未来だったからこそ多少キャラが立っていた上に微かに需要もあったのにさ。ジメジメと。こんなんじゃ、オモンナイ上になんの特徴もないただのオリ主になっちゃうよ。

 とはいえ、今は空元気でもふざける余裕はありまへん。以前までの俺を期待していた者どもは残念だったどすなぁ、ぶぶ漬け食ってとっととお帰りなはれや。

 

 

 

 ふと自室の窓を見ると、既に外は暗くなっていた。最後に外を見た時はまだオレンジ色だった覚えがあるので、どうやらだいぶ長い事思考の海に浸かっていた様だ。最近はこの様に、考え事をしていたらいつの間にか日が暮れていた、なんて事態が頻発している。

 あんな素敵な女の子達に好かれておいて、いつまでもウジウジと悩んでいる自分に嫌気がさす。以前までの俺が今の俺を見れば、嫉妬に狂い襲いかかってしまうレベルで幸せな男の筈なのにだ。

 

 悩み事をしているだけでもお腹は空く。夕食を摂るために居間に向かおうと考えたが、今から作るのは少々億劫だった。故に、気分転換も兼ねて外に出ようと思い至った。

 

「よっしゃ、コンビニ行くべ」

 

 サンダルを履いて家を出る。暫く自転車を漕ぐと、コンビニに到着した。ここはよく利用するコンビニだ。以前ルビィちゃんや善子とアイスを食べた思い出の店でもある。

 あまりお金を使う訳にもいかないので、適当にカップ麺とサラダをカゴに入れる。そして最後にスイーツを...いや無駄遣いしとるやないかい。うれしい値!とか書いてあるけどそこそこ値段するし。

 甘味への誘惑へ負け、陳列してあるスイーツを手に取ろうとすると、ツンツンと誰かに肩を突かれた。反射的に振り向くと、俺の頬に指が当たった。

 

「えへへっ、ドッキリ大成功〜」

 

 いつもの見惚れてしまう様な、天真爛漫な笑みを浮かべた私服姿の高海先輩がいた。

 突如天城未来の脳裏に溢れ出した、存在したらうれしいね値!な記憶。

 「みーらーいーくーん!」夕陽が照らす海沿いの道、1人で帰路についていた俺は、突如背後から襲った衝撃に驚きながらも愛おしさを感じた。この声、この香り、この感触。後ろを見なくても分かる。間違いなく俺の愛する彼女だ。「もう、千歌。びっくりするから普通に声かけてよ〜」「え〜、普通じゃ面白くないもん」「普通怪獣ちかちーなのに?」「怪獣だからだよ〜!怪獣だから普通じゃだめなの!」「なにそれ意味分からんチカワイイ」ポカポカと千歌の拳が背中に当たる。相変わらず可愛い子である。ちなみにチカとカワイイを繋げた言葉が『チカワイイ』な。これテスト出るから覚えとけよ?「千歌、練習お疲れ様」「うん、ありがとう!私頑張った!すっごく頑張った!もうヘトヘト!」千歌と手を繋ぎながら歩く。本当に、彼女が一緒に歩いてくれると視界に映るもの全てが普段より輝いて見えるようになる。千歌、キミは輝きたい!ってよく言ってたけどさ、知り合った頃からずっとキミは誰よりも輝いていたよ。優しくて、可愛くて、純粋で、そんな千歌だから俺は...改めて、千歌への想いを再確認した俺は、自然と口を開く。「千歌、俺たち今すぐ結婚し───

 

「おーーーい!!!」

「はっ!?」

 

 高海先輩の声で現実に還る。どうやら妄想に没入してしまっていたらしい。あまりのチカワイさに、いつもの怪文書をかましてしまった。花丸達以外でかます日が来るとは...高海先輩、恐ろしい人!

 

「チアッス高海先輩、お買い物ですか?」

「ちあっす!...あ、間違えた。えー、コホンッ」

「ん?」

 

 高海先輩は、何かを思い出した様にわざとらしく咳払いをし、口元に手を当てて上品に微笑んだ。

 

「うふふ...ごきげんよう、天城後輩君」

「は?」

「えぇ、チカくしもお買い物ですってよ」

 

 高海先輩のイメージに合わないやけに丁寧な口調がコミカルさを生み笑いを誘う。

 

「チカくし?なんすかその一人称。あとそのキャラも」

「最近ダイヤさんから気品を学んでるんだ!でね、チカくしって言うのはね、ダイヤさんの一人称を真似して作ったの!どうどう?エレガントさが溢れ出ちゃってたでしょ!?」

 

 成程。確かにダイヤさんは、内浦の首領である黒澤家の長女なだけあって歩き方にさえ気品が溢れている。そんなお方から学べば、いずれは確実に気品を身につける事は可能だろう。

 だが『チカくし』?私、俺、僕、儂、朕、このDIO、あちき、ボクちん、おいどん、ニャー、ボキ、麻呂。日本語には様々な一人称が存在し、その多様さが日本語の魅力と難解さを生み出しているが、チカくしなる一人称は初耳だ。チカくしとは何なのか...その謎を解明すべく我々はAmazonの奥地への向かった。

 まさかチカくしとは、ダイヤさんの一人称であり、気品を感じさせる一人称の『わたくし』の『くし』の部分だけを取って自分の名前と合体させた一人称のことなのか?

 それは確かに超ウケるが、まさかこの人、マジでその一人称が気品に溢れているとでも思っているのか?分からん...どっちだ?これは突っ込み待ちなのか?それとも本気で言っているのか?

 

 俺は、すぐに諦めて思考を放棄した。

 

「あーね、それね...うんうん、良い感じです!チョベリグ!」

「やったぁ!」

 

 人間は理解不能な事象や複雑な事象を前にした時、精神衛生上、思考を放棄してもっと単純になる方がいいのかもしれない。

 

 

 それから二言三言、高海先輩となんでもない世間話に興じる。

 

「みとねぇがね、私のプリンを勝手に食べちゃったんだよ!本当ひどいよね!」

「本当ひどいです。プリンが可哀想すぎて涙が出てきます」

「私よりもプリンの同情してる!?もう!天城君は私よりもプリンの方が大事なの!?」

「そうっすね」

「なんて後輩だ!」

 

 このモノすっごいIQの低い会話。悩み事で疲弊した脳に染みるね。

 そう思っていると、高海先輩が無言でこちらをじっと見つめていることに気がついた。え、何急に。さっきまでのテンションとの落差で脳みそバグるんだけど。

 

「天城君、もしかして元気無い?」

 

 その言葉に一瞬、胸がどきり跳ねる。

 

「い、いえそんな事は...」

「お姉さんの目は誤魔化せないよ〜?」

 

 動揺を見透かされてしまったらしい。高海先輩は自信満々な表情を浮かべ、指でメガネを作りながらこちらを見ていた。

 しかしお姉さんって...1つしか歳変わらないんだけど。聞くに、高海先輩は3人姉妹の末っ子らしいので、妹や弟という存在に憧れがあるのだろう。この背伸びしてる感じがお可愛くてたまらねぇな。

 

「どうしたの?私でよければ話を聞くよ?」

 

 とても優しい声だ。不思議と、なんでも相談してしまいたくなる様な包容力がある。普段は天真爛漫系妹系アホの子系先輩という属性微過多の可愛らしい人なのに、この頼りになる感じ。流石はAqoursのリーダーだ。

 

「そう...ですね。少し、話を聞いてくれるとありがたいです。とても」

 

 高海先輩のお心遣いに、俺は素直に頷くことにした。

 

「花丸ちゃん達関連だよね?」

「はい」

 

 店内で話すのは迷惑になるため、俺と高海先輩は各々商品を購入した後、コンビニの駐車場へ場所を移した。

 

「もしかして...喧嘩とか?」

「いいえ、喧嘩とかでは無いです」

「じゃあ、痴情のもつれ?」

「......」

「恋の悩み?」

「......はい」

 

 そう答えると、高海先輩は口に手を当て驚愕していた。どことなく、楽しそうな雰囲気が伝わってくる。

 

「えぇ!?ちょっと期待してたけど本当にそうだったよ!」

「ちょっと期待されてたんだ...」

 

 女子は皆んな恋愛系のゴシップが好きだと聞くが、これ大丈夫だよな?明日には浦の星の全生徒に今回の話が共有されてたりなんてしないよな?

 昔例の、『図書室の天使様』っていう小説をネットに投稿している変態の知人が、そこそこ仲の良かった女子にせがまれて好きな子の話をしたら、翌日クラス中にその話が広まっていたっていう経験をした事があるって話してたし。そんなことされたらマジで人間不信になるわ。

 

「この恋愛マスターである千歌先輩にまっかせなさい!」

 

 高海先輩は、ご立派な、『たかみー山脈』に手を当て自信満々な表情を浮かべていた。相変わらず、まだ若干幼さの残る御尊顔からは考えられないミカンをお持ちですなぁ。

 

「いえ、そういうのではなくて...相談というか、1つ確認が」

「確認?なんの?」

 

 1つの懸念事項。今回はそれを確認するだけだ。後輩の悩みごとに真摯に向き合おうとしてくれている高海先輩には申し訳ないが、あまり詳細な話をすることはできない。

 

「もし、Aqoursのメンバーの誰かに恋人が出来たら、やっぱりマズいですか?」

 

 今回、高海先輩に話を聞いてもらったのは、Aqoursのリーダーである彼女からの言質が欲しいからであった。

 最早尻込みしている段階ではなく、例えこの問いに対してNOを突きつけられたとしても俺のやらなければならない事は変わらないのだ。

 

「え、大丈夫だよ?全然おっけー、寧ろ応援しちゃうよ!って感じ」

 

 予想外に、軽い口調で高海先輩はそう口にした。なんか想像していたよりも反応が軽いな。

 

「いいんですか?アイドルに恋人がいるとかリスクにしかなりませんよ?」

 

 例えば、仮に目の前の高海先輩に実は彼氏がいました!って事実が今判明した場合、俺は今日一日寝込んでしまう。

 いや別に、高海先輩のことが異性として好きだったとかそういう訳では無いのだが、なんというかこう、昨今話題のBSS(僕の方が先に好きだったのに)的な自爆害悪...勝手に高海先輩の様な女子校通いの純真無垢な女性には男の影なんて無いと思い込み、理想を裏切られて一人勝手に絶望してしまう当たり屋みたいな存在になってしまう自信があった。

 

「うーん、それはそうなんだけど...でも、私達はスクールアイドルである前に学生だから。学生なら恋愛の1つくらい当たり前でしょ?」

 

 正直、高海先輩ならばこの様に言ってくれるとなんとなく分かってはいた。スクールアイドルは恋愛NG!っていう考えの持ち主ならば、今までのどこかしらで俺の存在が煩わしいのだと、態度に出てる筈だしね。

 しかしこれで、なんの憂いもなく、善子とルビィちゃんの想いと向き合うことが出来る。

 

「実はね、Aqoursの皆んなも天城君達1年生のことを応援してるんだ。可愛い後輩達だもん。幸せになって欲しいの」

「高海先輩...」

 

 普段は俺のことをオモチャにしてくる小原先輩も、身内で百合同人描きまくってる桜内先輩も俺たち1年ずのことを優しく見守ってくれていたのか。

 高海先輩の言葉に、胸の奥が暖かさで満たされていく感覚を覚える。

 

「可愛い後輩っていうのは、勿論天城君もだよ?天城君は、私達がスクールアイドルを始めたばかりの頃から応援してくれているから。感謝してるんだ、本当に」

 

 いや、分かっていたことだ。先輩方は皆美しく、人の心があって、優しいということは。それに、感謝しているのはこちらの方だ。あなた方の歌にはいつも元気を貰っているし、大切な友達が1番星の様に輝ける場所を作ってくれた。

 俺は改めて、高海先輩をはじめ、Aqoursの先輩方の偉大さを実感していた。俺は本当に人運に恵まれている。こんな偉大で尊敬できる先輩方と出会わせてくれた運命に、今はただ感謝を。

 

「ちなみに私は、天城君と花丸ちゃんが付き合うことに千円賭けてるからね!」

「台無しだよ」

 

 人の心とかないんか?

 

 

 実際の所、誰と誰が付き合うかで賭けが行われているという事実は無く冗談だったらしいが、俺の高海先輩への尊敬度は暫くの間氷点下まで下がったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜

 

 高海先輩とお話しをした日から、数週間が経過した。丁度1週間前にラブライブの予選は無事に終了し、Aqoursはラブライブ最終予選への進出を決めたのだった。以前は惜しくも敗れてしまった最終予選、次こそは勝利することを強く願っている。

 

 そして、善子達との関係についてなにか変化があったのかというと、非常に情けないことに何の進展もなかった。そもそも今日まで彼女達と会う機会が2度しかなかったのだ。ラブライブ予選の応援に行った際に1回。今日、所用で沼津駅前に赴いた際に偶々遭遇して1回。

 別に疎遠になった訳ではない。その証拠に1年ずのグループチャットでのやり取りは以前程頻繁ではないが続いている。単に最近の彼女達は、浦の星女学院の廃校を阻止するために多忙なのだ。

 

 その様な状況だからこそ、今日は彼女達の顔を見ることが出来て本当に良かった。少し話をすることも出来たし。善子とはちょっとだけ気まずい感じもあったが、とにかく会えて嬉しかった。

 

 そんな事を考えながら俺は、自室にてストレッチをしていた。ふと、床に置いてあった携帯が鳴った。画面を確認する。どうやらルビィちゃんからメッセージが送られて来たようだ。

 

『未来君、電話してもいい?』

 

 珍しい。普段ルビィちゃんから電話のお誘いをしてくれる時は、「今お話しても大丈夫?」や「もし今時間が空いているなら〜」の様なメッセージをくれるのだが...

 

『大丈夫だよ〜』

 

 普段との些細な違いを少し疑問に思いつつも、返信する。メッセージを送って数分後、携帯から着信音が鳴り響いた。

 

「や、ルビィ。電話するのは久しぶりだね」

『う、うん。久しぶりだね...』

 

 電話越しに、慣れ親しんだルビィちゃんの声が聞こえてくる。最近、ルビィちゃんとの通話も以前より頻度が減ってしまっているため、この感じも久しぶりだ。

 

「今日はどうしたの?」

『......』

 

 そう尋ねるが、何故か返答は無かった。

 

「ルビィ?」

 

 不思議に思った俺は、改めてルビィちゃんに声を掛ける。それでも暫くルビィちゃんは口を閉じたままだったが、ようやく、意を決したのか話を始めてくれた。

 

『実は、未来君に聞きたい事があって...』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『善子ちゃんに告白されたって本当?』

「───」

 

 

 どうやら、俺の知らない所で事態は大きく動いていたようだ。





『チカくし』の元ネタ?的なやつは、『ルリくし』で検索してみてね!

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