天使さんと堕天使とwithB
高校に入学して少し経った頃、俺は国木田さんとルビィちゃんと一緒に沼津に来ていた。
「二人とも、学校はどう?もう慣れた?」
駅近くの本屋で買い物をした帰りに、ルビィちゃんが行ってみたいケーキ屋があるということで、俺達はその店に向かっていた。
国木田さんは本屋で何十冊か本を買っていたため、ジェントルな俺は「お持ちしましょうか?お嬢さん?」と言うと丁重にお断りされた挙げ句「それ似合わないずら」とか言われたため虎になって逃げ出そうと思った。(わかる人にはわかるネタ)
「うん、クラスの子達も優しいし、ルビィちゃんとも同じクラスになれたずら」
「花丸ちゃんはまた図書委員になったんだよね」
「やっぱりマルは本に囲まれてる時が一番幸せずら~」
かくいう俺は、入学初日に中学の時のようにあの病気を発症することもなく、ユーモアあふるる自己紹介をし、無事高校デビューに成功した。
「うーん....」
「どうしたの?国木田さん」
「えっ?あぁ....ちょっと善子ちゃ....じゃなかった、気になる子がいて....」
「花丸ちゃん、それって津島さんのこと?」
「....は?え?津島?」
「えっとね、入学式の自己紹介の途中に急に帰っちゃった子がいてね」
「ずら、でもどうして急に帰っちゃったんだろう?」
うーん....いやいや、まさかそんなことないよな....あいつな訳がない。
でも...津島という名字と急に帰るという奇行....
「あのさ、ちょっと聞きたいんだけど、その子って頭にお団子ついてる?」
「ずら?なんで知ってるずら?」
あ ・ い ・ つ ・ か ・ よ!!
そういえばあいつにどの高校行くのか聞いてなかったな。まさか浦の星だったとは。
「堕天使とか、ヨハネとか、契約が~とか言った後に急にいなくなったずら」
あー、そういうことですね。自爆系自己紹介をしてしまった訳ですね。
この前、黒澤姉妹とエンカウントしてから数日後に、なんか恋人とか友達つくってリア充になりたいから『堕天使封印する!』とか宣言されたけどやっちまったんだな(笑)
まぁ、その少し後に名前を呼んだら『ヨハネ!』とか訂正してきたからその時に色々と察しちゃったけどね。
その時に何故か顔を少し赤くしながら『あんたは....恋人とか作らないの?』とか言って来たけど、欲しくても出来ねーんだよ!フツメンの俺は女の子を落とすなんてゲームの中でしかしたことねーしできねーんだよ!俺だって可愛い子と夏のビーチで追いかけっこしたいよ!!
「もしかして、天城くんは津島さんと知り合いなの?」
「まぁ....そうだね」
「じゃあ善子ちゃんが急にいなくなった訳とか心当たりあるずら?」
「えー、そうだなぁ....」
ここは一から十まで説明すべきなのか否か。ただの中二病ですって言ってもいいんだけど........流石にちょっとかわいそうだし、津島の名誉を守ってやるか......そう考え、俺は不適な笑みを浮かべると..
「人間誰しも、急に走り出したくなるときがあるんだ....あいつはその自己紹介の時がそうだった....それだけの話だよ」
うん、我ながらいい感じに説明出来たと思う。ちゃんと人生の先達感も出しながら言ったしね。
........二人の頭に?が浮かんでるように見えるけど、知らん知らん
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「ライブやりま~す!よかったら見に来てください!」
なんだ?駅前でなにかやってるぞ?
あれは....浦の星の制服だな。と、考えていると、浦の星JKは俺たちの方を向き、何故かこっちに向かって走ってきた。
「あっ!花丸ちゃん!ルビィちゃん!」
「あっ、こんにちは」
「ぴっ、ぴぎぃ!」
うーん、ルビィちゃんの人見知りは相変わらずみたいだな。とはいえ、もう俺とも殆ど自然に話せるし、克服しつつはあるんだと思うけど。
「?そっちの男の子は...........まさか!花丸ちゃんかルビィちゃんの彼――」
「違うずら」
「ち、違います」
即答!いや、事実だけど!でもこう、心に来るものがあるよね!
「なーんだ、違うんだぁ........まぁ、それは置いといて、はい!花丸ちゃん!」
「これは何ですか?」
「ライブのお知らせだよ」
「ライブ...ですか?」
「うん!花丸ちゃんも見に来てね!」
ふむ、制服でライブのチラシ配りってことはスクールアイドルか?
「ライブ...やるんですか!?」
「えっ?あっ、ルビィちゃん!」
「あっ...うゅ....」
うん、やっぱりルビィちゃん可愛い!!
もしルビィちゃんに本気でおねだりされたら破産してでも貢いじゃう!(俺の中では、ルビィちゃんのおねだり>ポリスメンを呼び寄せる魔法の薬、位の中毒性だから!)
「私たちのライブ、学校の体育館でやるんだ」
「えっ?」
「それで、体育館を満員にしないと私たち...スクールアイドル出来なくなっちゃうんだ....」
なるほど。浦の星って確かかなり生徒少なかったからな。わざわざ駅前まで来てチラシ配りしないと体育館を満員になんて出来ないわな。
「えっ!?本当なんですか!?」
「うん、そうなんだ....」
浦の星JKの言ったことが衝撃的だったのかルビィちゃんは悲しそうな表情を浮かべている。ルビィちゃんは本当にスクールアイドルが好きだからな。
浦の星JKは覚悟を決めたような真っ直ぐな目をしていた。
「だから....絶対に、体育館を満員にしたいんだ!!だから来てね、ルビィちゃん!」
「はいっ!絶対見に行きますっ!」
配られたチラシを見ると三人の女の子の絵が書かれていた。なんかいいよね、こういう女子特有の手書き感溢れるイラスト。
てか、過去に浦の星のスクールアイドルは解散したって聞いたけどまた出来たんだなぁ。
「じゃあ私、まだ配らないといけないから!」
てか、このチラシ....
「あ...あぁ、あのっ....!」
「んっ?どうしたの?」
それにしても、ルビィちゃんはスクールアイドルが絡むと本当に積極的になるよなぁ。
成長しすぎて積極的を通り越してSになったルビィちゃんを想像すると色々とはかどるぜよ!(鞭とかロウソクとかをトゥギャザーしてね!)
『うゆゆ?天城君?ルビィ焼きそばパンが欲しいって言ったよね?なんでコロッケパン買ってきたの?』
『さっせん!焼きそばパン売り切れてたんす....』
『だからってコロッケパンなの?女の子に買ってくるものじゃないよね?』
『いや、焼きそばパンも似たようなもの.......』
『口答えしないの!おしおきだよぉ!』
............ベネ(いいね)
「グループ名は、なんて言うんですか?」
「えっ?グループ名....?」
「あっ!忘れてたぁ〜〜!!」
なんか.....色々と大丈夫なのかな?
関係無いけど、最近巷では女子高生をJK1とか2とかLJKって省略するらしい。国木田さんとルビィちゃんはJK1ってことで、じゃああのチラシ配ってた人は?2?L?分からないからJKXってことにしておこう。
と、下らないことを考えていると俺の周りから人はいなくなっていた。
置いてこうって言ったのは国木田さんだな!仲良くなって行くにつれて国木田さんは毒を結構はくようになったと思う。その証拠に過去に何回かゴミを見るような冷めた目で見られた事があったけど、
我々の業界でそれはご褒―――
~~~
『浦の星女学院スクールアイドル、Aqoursです!』
『ちょっと待って。私たちって学校から正式な許可貰ってなかったよね』
『あ!』
『じゃあ、浦の星女学院非公認アイドル、Aqoursです!』
朝っぱらからずいぶん賑やかな放送が流れてきたけど、これって多分チラシ配ってた人だよな?
それにしても、アクアねぇ。中々洒落た名前をつけたんだなー。
ん?誰かからラインが....津島か。何々....
『助けて!リトルデーモン!』
ふむふむ....
『リトルデーモンになった覚えはない。あと早くそれ卒業しろ。ばいちゃ!』
これでよしと........
『放課後駅前に来て!』
................
『のー』
『お願い!』
懲りんなぁ....
『のー』
『来ないとスタ連するわよ?』
『ブロックするよ?』
『お願いします。お越しください』
『しゃ~ね~な~(笑)行ってやんよ~』
『調子のんなぁ~!』
『ん?』
『すいません』
なんか面倒ごとに巻き込まれそうな予感がするなぁ........
主人公はMの潜在能力を秘めています。←いや、どうでもいい
みなさん、Aqoursで誰推しですか?
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高海千歌
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渡辺曜
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桜内梨子
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黒澤ルビィ
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国木田花丸
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津島善子
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小原鞠莉
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松浦果南
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黒澤ダイヤ