光と影に咲き誇る英雄譚   作:トラソティス

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皆さん超絶お久しぶりです。
モンハンワールドにハマりまくり、今日中で終わらせる作者です、
やばい、モンハンワールドにハマりまくって小説の執筆が進んでなかった!
個人的には天に立つ忍達の証明に火が付き、執筆していきたい。





117話「残り火」

 

 

 

 

 

『限界だーって感じたら思い出せ』

 

――思い出す。

 

『お前が、何のために拳を握るのか』

 

 

――何のために。

 

 

原点(オリジン)ってヤツ!それが、お前達をもう少しだけ先に連れてってくれる!』

 

 

平和の象徴とは何か

ヒーローとは何か

正義とは何か

 

原点とは起点となり得る存在であり、人々には原点というものが有る。

何故、ヒーローを目指すのか、何故敵と成り果てたのか。

善かれ悪かれ、原点というのは必ず存在する。

大きな理由から些細な理由でも、本人にとっては重要な事であってそうでないようで、何とも曖昧で気難しいようで簡単なようで。

 

けど、誰も原点を振り向こうとせず忘れていき、何故自身がこうなったのか、忘れてしまう。

人間は時が過ぎると、記憶と供に原点を忘れて行く。

人間とは不要な情報だけでなく、重要な事でさえ忘れてしまう。

 

だから常に、原点というものを頭の中に入れておかねばならない。

 

 

『私は――象徴になりたい。

この国には象徴が必要です……だから、自分が象徴となって国民達の笑顔を咲かせたい。失った数々の幸せを、取り戻したい』

 

まだ、犯罪率が上昇していた殺伐とした時代には、No.1ヒーローは存在しなかったし、平和の象徴として謳われる人物像すらいなかった。

皆が笑って暮らせる世の中にするには、自分が象徴とならなければならない。

望むならば手に入れろ。

望むだけでは、手に出来ない。

 

だから、人は努力しようとする。

人は強くなろうとする。

人は過程を踏まえて成長する。

 

それは、人間という美しい一面であり、人間としての誇らしさだ。

象徴となる道は、ヒーローになる道よりも険しい。並みの覚悟では決して辿り着けないだろうその頂き。

 

だけど、一人じゃない。

お師匠が、陽花くんが、グラントリノが、半蔵さんが、側にいてくれた。

 

 

その絆を、決して奪われたりはしない。

そう、させない。

そんな事、オールマイトが赦さない。

一人なんて、この世界には存在しない。

 

 

だから、自分は今こうして立つ事が出来るんだ――

 

 

 

 

 

 

「――渾身。それが、最後の一振りだねオールマイト」

 

絶望の掛け声が耳を打つ。

オール・フォー・ワンは自然と空中に浮いていた。まるで体積が軽くなったかのように、手放した風船のように、上空へと浮いて行く。

 

「恐れ入るよ。真実を知りながら、まだ立ち上がるその勇敢な姿勢は賞賛に値する」

 

けど、良くないなぁ――

君は大人しく死ねば、苦しまずとも済んだものを。

善良ある人間の心は本当に理解出来ない。

 

何故、正義を掲げようとする?

何故、正義を語る?

何故、正義を貫こうと抗う?

 

人は感情に大きく動かされ、この世界ではたった小さな出来事から敵やヒーローになる輩が多い。勿論、そうでない人間から自警団なんて呼ばれてる身勝手な輩もいるが…まだソイツ等の方がマシさ。

だけど、コイツは苦しみながらもまだ抗う。

死ぬ事がどれだけ楽になるのか、それを拒むかのように、何度でも拳を握る。

 

「今でも思い出す。陽花が()()()もげながら、それでも必死に僕に立ち向かう姿。内臓も潰れ、腕も無くし、それでも僕に挑む……無謀な醜態――ヒーローと忍は見えない縁で結ばれていると聞くが……参ったなぁ、これじゃ悪夢だ。

 

()()()()彼女が復活したのかとさえ錯覚してしまうよ――」

 

陽花の面影が重なり合う。

オールマイトという、個性に恵まれなかった平凡な男と、才能に恵まれ万能さえ通り越す女。

どちらも対局であったアイツらが、手を取り合い僕の前に立ち憚る。

 

「腸撒き散らしてでも襲いかかる君の執念は、僕と同じく異常だ。

まッ、これも善と悪の隣り合わせと言うものか……」

 

オール・フォー・ワンの腕が再び膨らむ。

アレを見たのは何度目だろうか、やはり全盛期ではない、衰えた為か個性が少ない。

あるとすれば恐らく戦闘向きではない個性か、発動条件が満たされてない個性なのだろうか、どちらにしろ気が引けないのも確か。

腹くくってやるしかない――

 

「二、三度見ておいた方が良いな」

 

忌々しい腕が振り下される刹那、滾る豪炎がオール・フォー・ワンに襲いかかる。

 

 

「おや、思ったよりも早かったな……」

 

 

その腕をオールマイトでは無く、向かってくる火炎に個性合体秘伝忍法を放つ。何者かに放たれた豪炎は凄まじい衝撃波により掻き消される。

 

「なんだ貴様……その、姿は……!!」

 

震える声。

聞き覚えのあるドスの利いた声色。

しかし怒気と微かな焦りが滲み出てる。

 

「何だその姿は貴様!オールマイトォォ!!」

 

声の主はエンデヴァー。

側にはエッジショットもいる。だが二人は知らない、オールマイトの危機に陥った現状を、そして本当の姿を――

エッジショットが衝撃を受けるだけならまだしも、エンデヴァーにとってオールマイトとは超えられなかった壁で、いずれ息子の焦凍が越えるべき壁。

 

平和の象徴なのだ。

No.1ヒーローなのだ。

焦凍が越えるべき壁なのだ。

 

No.1とNo.2との差は歴然、天と地の差が開いており、そんなフレンドリーな親しみもなければ、生易しい関係ではないのだ。

そんな、超えるべき壁が今じゃどうだ?

脆くボロボロな、触れてしまうだけで崩れそうな、長年使い古されたボロい壁のようだ。

そんな、圧倒的絶対的な強さを持つオールマイトが、やられ、ボロボロにされ、打ちのめされて、痩せ細った別人の姿をしていて…一体何が起きたのかさえ解らない。

 

だが一つだけ解るのが、アレがオールマイトだと言う事だ。

 

「やれやれ…幾ら中位級の脳無とはいえ、アレらを圧倒するか…それもこんな短時間…

一体の妖魔もいたはずなんだけどなぁ……」

 

「貴様のことなどどうでも良いわ!!

問題は貴様だ!オールマイトぉ!なんだ…なんだその情けない姿はァ――!!!」

 

 

元凶の犯人の事など、今のエンデヴァーはどうでも良い。

それはヒーローとしてどうかと問われるだろうが、流石のNo.2ヒーローのエンデヴァーも、オールマイトの姿を目の前にして、冷静ではいられないのだろう。

普段は冷静で対処する彼も、今回ばかりはどうにも……

 

――俺は、かつて貴様を越えようと研鑽を重ねて来た。

――俺は、誰よりも強いヒーローになりたかった。

――俺は、誰よりも優れたNo.1の座を目指して来た。

 

自分が二十歳になった頃にはもう既に、No.2の称号を得ていた。

たゆまぬ努力と、才能がエンデヴァーの背中を押してくれたのだろう。

しかしソレは、決して今に至るまでの話ではない。

頂を登ろうと鍛錬を重ねるにつれて痛感してしまう。

 

 

自分は、一生No.1ヒーローにはなれないと。

オールマイトを超えることは出来ないのだと、知ってしまったのだ。

人は何故努力するのか。答えは簡単、己の懇願を叶える為だ。

自分のなりたいもの、願ったもの、憧れ、欲、それらを叶える為ならば努力は惜しまない。

しかし、この世界に絶対という言葉が無いように、必ずしも努力が報われる事は無い。

例えばどれだけ努力を積み重ねても、No.1ヒーローであるオールマイトに勝てないように、自分では頂点に辿り着く事が不可能であるように。

自分がこれ以上、何を努力しても、無駄なのだから――

 

だからこそ、エンデヴァーは、止まってしまった。

だからこそ、自分を引き継いでくれる後継者が必要だった。

だからこそ、妻を利用し子供を産ませ、己を超える轟焦凍(息子)に託した。

 

自分でもこれが父親として、ヒーローとして相応しく無い事など、解らない程子どもじゃない。

だからこそ、嫌われようが汚名を被ろうが、オールマイトを越し、己の野望を果たしてくれる事実が、達成感が欲しかったのだ。

それが今になってどうだ?

元から戦えない体、故に…今まで見てきたオールマイトがアレだと?

 

絶望が、エンデヴァーを支配する――

 

 

「その情けない背中は何なんだオールマイト!!!何とか言え!!!」

 

 

焦燥に身を焦がし、表情がより曇る。

冷や汗は止まらず、受け入れ難い真実を無理やり否定しながら、叫び出す。

認めない、こんなの認めて良い訳がない。

だからエンデヴァーは憤りながらも、叫び続ける。

 

「……あのさぁ、応援に来ただけなら、観客らしく大人しくしててくれ、僕は今からオールマイトを殺すんだから――邪魔をするなよ」

 

邪気を孕んだ声主は、ズズズと嫌な音を立てながら、腕から氷が生成していく。

恐らく対エンデヴァーや炎系の個性に対抗する個性だろう。

 

「邪魔はアンタでしょ!!」

 

子どもっぽい声が聞こえたと思った刹那、鋭い水鉄砲の弾丸が、オール・フォー・ワンに襲い掛かる。

しかしその水の弾丸は当たらず、オール・フォー・ワンの目の前で蒸発し消えた。

見えない壁なのか、どの個性かは不明だ。

 

「おや?エンデヴァーだけじゃないのか…いや…そうだろうね。

No.2ともあろうヒーローが、仲間を見捨てる筈も無いか…ハッハハ」

 

軽く微笑を浮かばせながら、余裕そうに振り向けば、ボロボロ状態の巫神楽三姉妹が別方向に立っていた。

忍装束はボロけてるが、まだ戦えそうだ。

 

「み、巫神楽三姉妹!」

 

ここに来ては…!とオールマイトが言うものの、意図を読み取った華風流はムスッとした表情で、でもどこか頬を赤らめて口を尖らせる。

 

「ふん!半蔵様が出ちゃった時点で、もう忍の存在なんてバレバレよ……

それに半蔵様だけじゃなくて、オールマイトが…こんなボロボロになってまで戦ってるのに……私たちが出ないなんて…それこそ私がすたるのよ!!」

 

荼毘専用脳無の戦闘で満身創痍だが、それは悪の象徴と対峙してるオールマイトも同じ事。

心も、体もボロボロになりながら、まだ人々のために拳を握るヒーローに対して、自分たちは忍だからと言い訳を回しながら何もしないなんて、そんなの自分が赦せない。

そんなの、あって良いはずがない。

 

「華風流殿の言う通り、俺たちは救けに来たんだ――」

 

シュン!と神速で斬りかかるエッジショット。しかし目にも留まらぬ速度をもってしても、傷一つ付けられず、オール・フォー・ワンはため息交じりで呆れながら振り向く。

その他にも、シンリンカムイが気絶し倒れたジーニストやギャングオルカ、Mtレディを救出したり

 

「凛さん!それに蛇女の者達よ…!遅くなってすまぬ!!」

 

覇気を纏わせた大道寺が、凛を含めて忍達を担いだりと、面子が揃ってきた。

凛は微かに目を開け、口を動かすも声が掠れてて上手く聞こえない。

元々凛は、神威討伐の任務にてオール・フォー・ワンに一度重傷を負ったのだ。

今まで忍教師として生きてきたので、後遺症などによる作用は無かったものの、二度目の重傷はかなり厳しい。

もう忍教師はおろか、下手すれば普通の生活すらも……

大道寺は眠れる獅子が目覚めた、怒りの眼光を相手に向ける。

 

「我々には……これくらいの事しか出来ぬ……」

 

一方、オールマイトの背後には、瓦礫に埋まってた人民と、重傷で立っていられるのもやっとな虎がいた。

よく見ればラグドールの姿も見える。

裸体となって気絶してるらしいものの、傷らしきものは見受けられないので、一先ず安心して良いだろう。

 

「貴方の背負うものを少しでも……!!」

 

「虎……」

 

「もう、背中を背負うのはアンタだけじゃないって事さ」

 

「!さゆ…ジャスミンさん!!」

 

いつの間にか、隣には若々しくも懐かしい容姿をしたジャスミンが立ち尽くしていた。

気付かなかったが、半蔵を抱えている。どこか悲しそうな目には、同時にヤツに対する怒りも含まれていた。

小百合は、半蔵の妻だ。

ジャスミンになっても、小百合でいようとも、半蔵を愛してるのには変わらないし、同時に家族の情を捨てたわけでもない。

だからこそ、身を呈してまでオールマイトを守り、庇った半蔵には感謝しているし、大切な人を傷付けられた怒りは、より高まるのも当然のこと。

 

「妖魔には大分苦戦したよ…若返ったとはいえ、妖魔相手はそう簡単にいかせてはくれないか……

 

 

形そのもの無くすほどに木っ端微塵にしてやったよ」

 

よく見れば、腕や顔、服には妖魔への返り血がビッシリと染み付いていた。

耳を澄ませばジャスミンの息遣いが荒々しい。怒りと興奮、そして仲間を奪われた憎しみへ来る影響なのか…どちらにせよ、彼女と妖魔の戦闘は相当なものだったらしい。

 

「あの邪悪な男を止めてくれ!オールマイト!!」

 

虎の悲痛な叫びが胸に響く。

 

「どんな姿になってもあなたは皆んなのNo.1ヒーローなんだ!!」

 

聞いてしまえば、皆んなの声援に泣かされそうになる。

自分は一人じゃない…みんながいてくれる。

皆んなが応援してくれる…その一つ一つの言葉の温もりが、心を温めてくれる。

 

 

――みんな、貴方の勝利を願っている!!

 

 

市民の皆んなが

緑谷出久が、飛鳥が、爆豪勝己が、雪泉が、雄英高校の皆んなが、忍学生の皆んなが、焔紅蓮隊が、

ヒーローが、上忍が、

上層部達が、警察が、

教師達が、

 

背中を押してくれる。

耐えられなく、痛々しい体を、そっと優しく……まるでマラソンで体力尽きた人の背中を、応援してくれるように。

ゴール直前の中、皆んなが声援を飛ばすように。

 

巨悪と戦う正義のヒーローを応援するように――皆んなが!!

 

 

「煩わしい――」

 

 

ゴゥ!!

周り一帯が一瞬にして吹き飛ばされる。

瞬きする瞬間すら惜しいその破壊的で瞬間的な個性で、辺り一面オール・フォー・ワンの周りにあるもの全てを無に帰す。

 

「君らの下らない精神話は置いといて…これから僕がやる事を話そうか――」

 

血の通わない冷徹な声。

凍て付く悪魔の囁き。

巨悪と謳われた男の実力。

 

「秘伝忍法――〝善悪のpuragatorio〟〝サンダーフォックス〟〝烈風大車輪〟〝覇道明咆〟〝禍ノ鎌風〟〝鬼火・蒼炎歌〟〝天翔竜脈拳〟〝呪いの茨樹〟

 

+個性〝筋骨発条化〟〝瞬発力〟×4〝膂力増強〟×3〝肥大化〟〝鋲〟〝増幅〟〝瞬間火力〟〝氷創〝増殖〟〝エアウォーク〟〝創骨〟」

 

数々の秘伝忍法や、数々の個性が今、混ざり合う。

ドクンドクンと、心臓の音が大きく音を立て、遠くにいるオールマイトにすらもその奇妙な音は鮮明に聞こえて来る。

 

「今までの個性合体秘伝忍法じゃ、君の体力を削るだけで、自分の体力が減りつつどれも殺せる確実性が無かった」

 

右腕が悲鳴を上げる。

ミキミキと、メキメキと、ドクンドクンと、複数の音が交差するかのように、音は次第に大きくなる。まるで聴覚が研ぎ澄まされたのかと疑わしくなる程に。

 

「今度は確実に殺すために、僕が掛け合わせられる最高・最適の個性に今の僕の体内に宿る忍の血を全て一回に絞り出すよう、全ての秘伝忍法を上乗せし――」

 

 

これぞ正しく禁術・〝個性合体・死・絶秘伝忍法〟――

 

 

 

「――君を殴る」

 

 

 

絶望は空高く見下ろす。

顔のない悪魔は一望と広がる景色に嘲笑う。

憎悪を表すかのような、禍々しい右腕は紛れもなく、正義の終止符を討つには相応しい形だ。

黒く禍々しい竜の形をした右腕(顔)、その腕には無数の茨が巻きつかれ、その先端部分は蛇の頭になっている。

雷、風、炎は三種の属性を奏でるハーモニーのようだ。

腕から腕が生えてる無数の腕、鋲と氷が混ざり合う凶器。

それらは全て、異常を来していた。

 

(――先程の戦闘でようやく確信を得たよ、オールマイト。

君の中にはもう、ワン・フォー・オールはない。君が今使っているのは余韻…残りカス、譲渡した後の残り火だ)

 

そしてその火は使う度に弱まっていくその光は、吹かずとも消えゆく力――

 

 

「緑谷出久、次の譲渡先は彼だろう?」

 

「ッ――!?」

 

 

ズキン…ッ!と鈍い衝撃が頭を打ち込むかのような感覚に囚われる。

オール・フォー・ワンは薄々と感知していた。

いや、正確的には確証出来るものがあった。

敵連合、死柄木弔が雄英高校襲撃の報告に気になる言葉があった――

 

オールマイト並みのスピードを持つガキがいた――

 

その後、調べずとも全国に放映されてた体育祭に目を通せば直ぐに理解した。

緑谷出久、彼が次の後継者だと。

 

「資格も無しに来てしまって!まだ個性が制御できてないそうじゃないか。

君は後継者を選ぶ人材を間違えた……

それに半蔵の孫である飛鳥も、陽花によく似てる」

 

資料に目を通し、特にこれといった過去もなければ、成績は普通。

陽花と比べて才能が無いのが欠点だが、それでも雰囲気やあの明るさは正しく彼女そのものだ。

雪泉も、雪吹帰と似ているし、黒影にも似ている――

 

だからなのか、つい…こう遭わせてみたくなるのだ。

 

「飛鳥が陽花に似てるのなら、また彼女と同じ目に遭わせるのも良いかもなぁ」

 

腕がもげ、内臓が飛び散り、血反吐吐き、辺り一面が血の海に溺れる陽花の死に様は、今でも良い思い出だ。

何度か夢でも見てる光景…その悲劇をもう一度、今度は次世代のカグラとなる彼女たちにも遭わせたいのだ。

 

「後は全部僕が片付けるから…君は安心して、存分に悔いて死ぬと良いよオールマイト――君の負けだ」

 

お互いが飛び、オールマイトの拳とオール・フォー・ワンの個性合体絶・死伝忍法が衝突し合う。

 

「この戦いとしても、先生としても――」

 

 

ズドオオオォン!!と豪大な爆発音が鳴り響く。

街一つ破壊しなん限りのその膨大な爆発に、周りの皆は思わず息を呑む。

 

土煙の中、黒い液体のようなものがオールマイトの腕に纏わりつき、ミシミシと骨が軋む音が鳴る。

 

「+〝衝撃反転〟フィニッシュだオールマイト」

 

衝撃反転でオールマイトのパワーを全てフルカウンターし、その上で自分の複合個性秘伝忍法で上乗せする。

爆発的な火力を食らって、済む者などもはや皆無。強力な大型妖魔、怨櫓血すらもワンパンで粉々にするだろうこの威力が、オールマイトに向けられている。

そうなれば、あの平和の象徴も無事では済まな――

 

「そうだよ」

 

「なッ――?」

 

済むはずがないのに。

土煙から、あの忌々しい声が鮮明に聞こえた。

幻聴じゃない、ちゃんと聞き覚えのある声が確かに聞こえたのだ。

土煙が晴れていくと共に、姿を表す。

 

「私が先生だからこそ!叱らねばならんのだよ!!

私はまだ、あの子と約束している!!忍の子達を、未来ある彼女たちを救って欲しいと!!!!」

 

いや、確かに腕はへし折られていく。

もう見るだけでも惨たらしいその腕は、間違いなく使い物にならない。

ならないのだが…

 

――コイツ、反撃の力じゃなく、耐える力で対抗してるのか?

 

衝撃反転は、攻撃をそのまんま対象の人物に反撃するカウンター能力。

だが、相手が攻撃を仕掛けるのではなく、あくまで耐え忍ぶ為に使うとしたら、意味が無い。

 

「成る程……醜い!」

 

吹かずとも消えてゆくその力。

抗っているのか…役目を終えるまで絶えぬよう、必死に抗っているのか――

 

その痛々しい光景を例えで言うなら、極寒の吹雪の中、裸体で弱々しい焚き火を全力で守る様。

 

「彼女は死んだ。君が愛しくてどうしようもない、魅力に惹かれ、焦がれた彼女は死んだんだ。その現実を噛み締めながらも、それでも死者の約束を守り続けるだと?

 

ワン・フォー・オールが無くなれば、君は守れるものも守れない筈だ、なぜそこまでして、死に行く彼女たちを守るメリットが、君にある?」

 

名誉?

地位?

誇り?

 

いや、そんなものでオールマイトが口に出して言うはずがないし、先ずコイツさ名誉や地位云々を口に出すような輩ではない事など、とうに知っている。

では何なのだ?陽花が好きなだけにしても、理解出来ない。理解し難い。

ヒーローとしての役割か?確かに、ヒーローは誰であろうとも救い出す。皮肉だが、瀕死状態に陥った敵も時に救助しなければならない役割を担っている。

 

どうせ、ただの自己満足による正義感だろう?

救わなければ、陽花に顔向け出来ないからか?何とも醜い。

 

「ああ、そうだね。けど守るさ……力がなくとも!お前に全てを奪われるなら!この命に代えても守り通す!!!」

 

「愚かな……」

 

「ああそうさ!愚かさ!!私も!私の後継者(生徒)も!けどそれは――!!」

 

決して恥じることではない、人間らしい生き物の姿だ。

誰にだって間違えはある。

躓き、転び、失敗する事は誰にでもある。

だから人は成長する。

それが人間としての素晴らしい誇りであり、美しい生き様だと言うことを、師匠に教えて貰った。

 

「メリット?私はただ、皆んなが幸せに生きてくれればいいだけだ!!!!」

 

それが、オールマイトにとって尤も素晴らしいと思える至福なのだから。

誰かが不幸になることなく笑って生きていく。不幸が訪れても、それでも自身の笑顔を忘れずに、前向きに、通り越していく。

笑顔とは、強さの証なのだ――

 

 

――思い出す。私がなぜ拳を握るのか…そう。平和の象徴としてでなく、お師匠が私にそうしてくれたように、私も彼を育てる…それまではまだ…!!

 

「君がそこまで醜く抗っていたのは、僕自身も誤算だった」

 

 

――死ねんのだ!!!!

 

もう片方の残った拳を強く握りしめ、殴り付ける。

 

死ねない、まだ後継者を育むまでは。

力が無くなろうとも、それでも彼女と約束したソレを、破って良い訳がない。

守る力がなくとも、それを言い訳に決して諦めて良い訳がないのだから。

 

だから、平和の象徴は絶対に、倒れないのだ――

 

 

 

 







オールマイトの腕……原作よりやばめになるとすれば、腕は一生使えない感じかな?(原作でも腕に関しては触れられてないため解らない)
シノマス、芭蕉ちゃん出るって…だから復活しました。皆さん、芭蕉ちゃんに拍手を――


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