光と影に咲き誇る英雄譚   作:トラソティス

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早く絵を描きたいと思うこの頃、どうやったら上手く絵を描けるのかと悩む自分。
色んなペアを映して描きたいな。




129話「二次試験」

 

 

 

 緑谷達が一次試験を通過して15分後、大してそこまで時間は経たなかったが、A組と半蔵組は全員無事に奏功できた。

 緑谷達四人組が控え室に入った時は轟を始め、爆豪達三人組、八百万達の六人組(八百万、蛙吹、耳郎、障子、柳生、雲雀)が既に休息の束の間に浸っていた。

 緑谷チームを含めて計14人が通過点を過ぎ、内の残り9人が未だに姿が見えない辺り、まだ通過はしていないのだろう。

 もう時期満員となり二次試験が始まる中、9人もいないのが現状辛い所で、脱落の発表がない辺り同じ生徒としては不安が心に募る一方で、全員は無理じゃないかと半ば呆れていた。

 しかし、残り最期の9名の席がA組全員の生徒で埋まったのだ。諦めかけてた控え室の生徒達も、大きく歓喜の声を張り上げた。

 因みに残りの席が全て同じクラスの生徒で埋まる確率は何%なのだろうか?

 

 

「はへぇ〜、肉倉先輩落ちちゃったんですか!意外っすね!」

 

「単独行動するからだあの劇場型男め…忍とは言え相手は女子と舐めてたのだろう……全く、後で蛇女子学園に謝罪しに行くぞ。何か無礼な言葉を投げてたかもしれんしな。相手が悪忍であれば尚更よ。それとケミィ!お前もダメよ!イナサは兎も角!」

 

「はぁ〜い」

 

 士傑側での通過者は肉倉を除いて全員通過している身。

 ケミィも自然的に、さも当然と言わんばかりに通過を達している所存。

 毛むくじゃらの生徒、毛原長昌はケミィに指摘しながら数々の生徒を見渡す。

 彼は士傑高校二年一組のクラス委員長。

 士傑側でのクラス委員長決めは雄英のような投票制ではなく、先生側が成績と功績を鑑みて決めるらしい。

 つまり彼は大人として、そして将来ヒーローとしてのリーダーシップを誇るに相応しい存在なのだ。

 ケミィはそんな生真面目委員長に、力無い声で返事をする。

 

 

「A組は全員無事に通過できたかな良かったけど…次に起こる二次試験…一体何やらされるんだろ?」

 

「数も多いしガチンコ勝負みてぇなのは無いと思うから…チーム戦?」

 

「緑谷どーゆー事だぁ!!あァん!?お前士傑の色っぽい女性と裸で密着してたんだってぇ!?詳しく吐けやナンパ天パ野郎!!」

 

「お前俺らが真剣に試験に臨んでたってのにお前ってやつは…ムッツリスケベか!!」

 

「えっ?色っぽ…痛い痛い!髪引っ張らないで!ってああ、瀬呂くんか…違うよ本当にヤバいんだよ怖かったしあと少しで脱落される所だったんだよ…」

 

 クラスが一次試験を通過し歓喜を上げる者もいれば、やれ二次試験は何か、やれ考察したり。……若干、違う私情の声も上がっているが、其処は気にしなくても良いだろう。

 

 

「どうじゃどうじゃ〜♪今なら善忍悪忍問わず、そしてヒーロー学生だろうと差別せぬ今なら我が従信にしてやらんでもないぞ!ホレ、そこの鴉頭に坊主頭、今なら信者特有のポスターにクリアファイルが付いてきてじゃな…」

 

「凄いっすね!自分のクリアファイルにポスターまで販売って、ウワバミさんのサイドキックかなんかっすか!?ああいやでも学生を雇うのは違うからアイドルとかっすか?俺全然分かんないっすけど、その宗教に入れば何が起きるんすか?」

 

「下らん…其れと俺は鴉頭では無い、常闇踏影だ。覚えとけ。それとどちらかと言えば俺は宗教派じゃないんだ悪いな」

 

「なぬ?もしやお主、悪魔の下僕か?我が神の天敵か!?」

 

「何故そうなるのだ…」

 

 あっちはあっちで他校同士駄弁ってる姿が見受けられる。

 イナサは何事に対しても明るく接する点があるので、不審がることは無いのだろう。どちらかと言えば中身は少年のような子供らしい性格を見に備えている。

 常闇は沈着冷静で、閃光に似た落ち着きとクールさが容姿として曝け出している。

 芦屋は中二病チックな面と、宗教らしき怪しいオカルトを開き信者として無理やり招き入れようとする節がある。

 なのだが、実は単に友達が欲しいだけだったり。

 しかし他校の忍学生に他それぞれのヒーロー学生がああやって話す姿は中々に目にしない光景だろう。そう考えると彼ら彼女らが手を取り合う姿というのは、悪い気はしない。

 

 皆それぞれ個性的だからこそ、話し合えることも、互いを理解しようとする事も出来る。

 不謹慎だが、神野区の後に忍の存在が明るみになったこと全てが、悪いことには繋がらないだろう。

 

 

『え〜全員お揃いでしょうか皆様、突然ですがモニターをご覧下さい』

 

 

 絶え間ない雑談の中、アナウンスの声が流れる。

 自然と騒音は止み、声を途切らす受験生たちは一斉に口を閉じモニターに視線を送る。

 モニターに映るのは、先ほど一次試験で使われてたであろう、フィールドが放映されている。

 一見何の変哲も無い景色だが

 

 ――ズドオォォーーーン!!

 

『!?!』

 

 弾む巨大な音と共に、フィールドは崩壊した。

 まるでダイナマイトで起爆したかのような大爆発に、地震のように崩壊していくフィールドは、茫然とさせるには丁度良い演出だ。

 

『これから皆様には二次試験を行って貰います。因みにこの試験でラストにいたしますので最後まで諦めず、曲げずに頑張りましょう』

 

 マイク越しから伝わる目良の声に、眉間にしわを寄せる生徒たちは、モニター画面を凝視する。

 

「おい、なんか何人か人がいねえか?!」

 

 切島の言葉に、よく見てみると確かに何人かの老人や子供らしき人物が数名、歩む速度が遅くとも、崩壊して行く現場へと群れるように向かって行く。

 端から見れば普通に危険だ。

 

「彼らは関連において今、引っ張りダコの要求救助のプロだ。『HELP・US・COMPANY』略して『HUC』の皆さんだ」

 

 HUCとはヒーロー人気の現代に則した必要不可欠な仕事だ。本来は様々な仕事があるのだが、今回は被害現場での要求救助としての役割を担う仕事らしい。

 

「今から皆さんにはこの二次試験にて、バイスタンダーとして被災現場で救助演出を行って貰います♪

 今HUCの皆様は傷病者として扮しておりフィールド内でスタンバイ中、如何にどう適切な判断と対応が出来るか、採点式でポイントを振り分けていきます。

 試験開始は10分後からスタートいたしますので、トイレや準備などは済ませてくださいね♪」

 

 受験者たちはフィールド内の傷病者に対してどう適切な判断と対応が出来るか試される身。

 少しでも不適切な面が有れば減点されるだろう。

 下手に動けば次々とポイントが減って行く…かと言って何もしなければ良いと言うとそうでもなく、問題は如何にどう動くのが正しいのかが、この課題の真価である。

 因みに演習終了時に基準点を超えていれば合格となるらしい。

 

「まるで神野区みたいだな…」

 

 ボソリと呟いた緑谷は、何処か遠い目で被災現場を眺める。自分たちも一流のヒーローになれば、こう言った被災現場での救助活動は出来て当然。

 しかし、今目の前で映し出されてるのは、神野区を模した光景。あの悲惨と絶望に覆い塗りつぶされた世界。

 ヒーローとは人の命を救い、守る存在。

 敵と交戦するのはあくまで防衛、及び仕事のうちの一つでしかない。

 

 

(それにしてもさっきのかっちゃんの言葉…アレ、たぶん()()()()んだよね…)

 

 

 一次試験を通過した緑谷は、四人で通過した後爆豪勝己に絡まれ話しかけられたのである。

 爆豪自ら話しかけに来ることは滅多にないので、最初は罵倒の言葉が来るのかと思ったのだが、意外にも「まあ、お前なら合格するわな」なんて世にも言われない言葉ランキング10位には入るだろう驚嘆すべき言葉を発せられたのだ。

 戸惑いもしたし、信じられなかったが

 

 

『で?お前は借り物の力全部自分のモノに出来たのかよ』

 

 

 思考が止まるような、鈍器で頭を殴られたかのような、ガツーンとした重い衝撃が何十秒も続くかのように、心に響いたのだ。

 其れは、嘗て入学して直ぐに開かれた対人戦闘訓練の日に言った、あの言葉。

 爆豪勝己は、未だに忘れもしてなかった。

 そもそも覚えていたことに少し驚きを感じるし、頭の回転が速いのは百も承知だったが、殆どノーヒントで爆豪は緑谷がオールマイトの個性を貰ったことに、薄々と気付いていたのだ。

 

「どうしよう…」

 

 真実を吐いたことに、これで本当に良いのかと疑いを持つ緑谷は、曇った表情のまま、床を見つめる。

 正直なんとも言えない歯痒いような気持ちを奥歯で噛み締め、気持ちが晴れない暗雲が、彼の心を深く積もらせる。

 

 

 ジリリリリリ!!!!

 

 急遽鳴り出した警報ベル。

 鼓膜が激しく揺らぎ、耳が少し痛い。

 唐突な大音量に驚倒しそうになる。

 

『敵による大規模破壊(テロ)が発生!規模は〇〇市全域建物倒壊により傷病者多数!道路の損壊が激しく急遽先着隊の到着に著しい遅れ!

 到着する迄の救助活動はその場にいるヒーロー達が指揮を執り行う、一人でも多くの命を救い出すこと!!』

 

「ケロ、どうやら始まったわね」

 

 アナウンスの解説に、瞬時に反応する蛙吹。

 今回の試験は先ほどのボール投げ大会のようなチンケな内容とは違い、至って大真面目の救助活動。

 飛鳥たちも13号先生から嫌という程救助に関して知識を植え付けられているので、訓練通りやれば問題ないだろう。

 忍側はヒーローのようなレスキュー活動を行なってる身ではないが、上層部のボディーガードや、時にヒーローらしい救助活動も行われてるので、その辺抜かりはない。

 

「救助活動…取り敢えず訓練通りにやれば良いんだよね?」

 

 何処かぎこちないような声色を発する飛鳥。

 

「救助活動!ヒーローならではってヤツッスね!熱くなってきたじゃないっすかぁ!!」

 

 誰よりもいち早く飛び出すイナサ。熱血溢れるこの男は、一次試験にて140名もの受験者を脱落させた士傑の生徒だ。

 千歳の記録を超えたこの漢、雄英高校推薦入学者一位の話は嘘ではないらしい。

 

「救助ですか…何とも言えませんね。

 人の命を奪い、血に染めて来た私が、他者を救うなどと…どうかしてる」

 

 救助演出という千歳にとっては不快でしかない試験に、愚痴をこぼしながらも仕方なく大型火縄銃を背中に担ぎ、行動を取る。

 

「問題は採点の基準が明かされてないのが難点だな…まっ、そこは訓練の経験が試されるんだろうけど…!」

 

 スタート開始時、素早く救助活動に赴く真堂。

 各々の生徒が、まるでさも散らばるかのように傷病者へと駆けつけ、次々と迅速に救助活動を行なっていく。

 

 

「さて…と、まァーこの試験、皆さん虐めるようで悪いですが、今回は一筋縄ではいきませんよぉ〜」

 

 試験内容、救助演出に隠されたもう一つのシナリオ――其れは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺の名は夜嵐イナサ!又の名、ヒーローネームはレップウ!!さぁーて救助演出頑張るゾォォ!!!」

 

 凄まじい威力を誇る突風が、障害物を退かして行き、且つ危険物は風で浮かし安全な場所へと物置き、傷病者は優しい風で体そのものを抱え込むように風で浮遊させる。

 イナサは風を自由自在に操る事が可能で、微弱な風から台風の如く強い風も生み出す事が可能で、何方も調整する事が可能だ。

 様々な風を同時に操る技術はかなりの努力と鍛錬が必要なのだが、流石は推薦者、コントロールがかなり上手い。

 一見何も考えずの荒々しい処置だが、意外と繊細で器用な部分が有る。その辺は爆豪勝己にそっくりだ。

 

「凄いけど雑!減点!!」

 

 しかし、やっぱりダメだったらしい。

 減点食らったイナサは、まるで面食らったようだ。

 

「イナサ!もう少し慎重にやれ!!何でも救けりゃあ良いって問題じゃないんだこの試験は!」

 

「そっか!すいませんした!!」

 

「それにしてもケミィめ…少しでも目を離した隙にまた何処かへ単独行動か……何を考えとるんだアイツは!?」

 

 ケミィの個性では余り救助活動には不向きだが、其れでもヒーロー科の授業では多少の訓練を受けているので、チームワークを乱さず、連携を取り欠点を互いに補う役割が必要なのだが…

 

 

 試験開始から既に30以上の経過、もう時期45分に近づこうとしている。

 HUCの数も最初の時と比べて数が少なくなってきている。この調子で行けば終わりも近づくだろう。

 

 

「あ〜!いました〜!総司さん芭蕉ちゃん芦屋ちゃんに千歳ちゃん!瓦礫の奥に倒れた傷病者が這いずってます!」

 

「救けてくれぇ〜…!!」

 

 60代近い容姿の傷病者を見かけた伊吹は、すぐ様仲間たちの名前を呼び搔き集める。

 瓦礫の奥には、血のりで表現してるのか、頭に血が流れ、足が瓦礫に挟まってる怪我人が助けを求めている。

 

「瓦礫に挟まってるのでしょうか?何としても救けないと…」

 

「ふむ、問題はどうするべきか…だな。

 下手に動けば少しの動作による衝撃だけで落ちてくるぞ。そうすれば傷病者どころか、私たちも生き埋めになんて可能性もありうる」

 

「じゃ、じゃあどうすれば良いんじゃ?」

 

「ここは一人居残って私たちは他の場所へ行き対応しましょう。誰でも良いので、何れかの二人が救助要請をお願いします」

 

「えっ?で、でも…早く救けないと……傷病者の人が……」

 

「其れが間違いなんですよ芭蕉さん。

 一秒でも誰かを救けるのは当然ですが、だからと言って時間ばかりに気に掛けてたら普通にタイムロスしますし、生憎私たちでは時間が掛かってしまいます。ですから、個性に適する者を呼んで状況を打開しましょう。私は他の場所へ行きますので…」

 

「ああ千歳さんまた……」

 

 単独行動をしてしまった。と顔に文字を浮かべたような表情を浮かべる彼女は、千歳の後ろ背中を見つめる。

「で、では我が行こう!」「私は取り敢えず安全範囲を確保しよう」と、其々の生徒は速攻で適切な対応へと取り組む。

 

(成る程…自分たちの力では限られてる…無理に動けば重病者を悪化させてしまう恐れとタイムリミットを鑑みての考察…

 蛇女と言ったかな、悪忍とは言え中々に素晴らしいじゃないか。でも、まだまだ動きに無駄な部分が有る。減点…とはいかないが、これじゃあポイントを上げることも出来ないぞ…!)

 

 プロと呼ばれるHUCも、どうやら内心は中々に褒め称えてる様子。千歳の考察案、総司の今やれるべき事への対応、伊吹の重病者に対する気配の察知、芦屋と芭蕉は救助要請へ。

 混沌と化してるこの状況の中で、自分達が何をするべきか、理解してるのは素晴らしいことである。

 学生の2年生なら兎も角、彼女らは選抜補欠にして一年生。微かな経験で仲間との連携で穴を埋めてるとすれば、これからの先が楽しみだ。

 

 

「うえぇぇ〜ん!お父さん!お母さぁぁ〜ん!」

 

「大丈夫だよ、落ち着いて。怪我はない?喋れるかな?」

 

 泣きじゃくる子供を宥め、安全確認を取る雲雀の柔らかい声に安らぎを感じる者は少なくないだろう。

 

「柳生ちゃん、この子頭怪我してるから慎重にお願いね?それと肩の傷口を抑えたまま!出血が少し酷くて、ここで応急処置しても良いんだけど、向こうで保護してる治療員がいるからまっすぐ!」

 

「分かった」

 

「ああ、それとなるべく安心させる声をかけてあげてね?子どもだと大人と違って不安や恐怖に怯えがちなの」

 

「凄いな、ここまで配慮してたのか…任せろ雲雀。雲雀の頼みなら傷病者の50人…いや、100人だって救けて見せるさ!!」

 

 柳生は小柄の少年をお姫様抱っこし、ハンカチの布を傷口に抑えこみながら運んでいく。

 雲雀は意外にもこう言った手の活動は得意分野だったりする。ただ単に人を救うだけではなく、時に傷病者への心の気配りや配慮も救助活動には欠かせない一種のステータスだ。

 彼女は昔よくドジを起こし、訓練する度に失敗が続くのと同時に、怪我をし易かった。

 更に言えば昔焔たち選抜メンバーが蛇女に在籍していた頃などは、春花の罠に掛かり、利用され、仕方なく転入させられた彼女は、基地の情報を探る手段を取るべく、訓練で生傷が絶えない下忍たちの看病も嫌という程してきたので、自信はある方だ。

 なので有る程度の傷の手当や気配りは自然と身につけれるようになり、今では病院の看護師なんて役職でもやっていけそうな出来前だ。

 

「よ〜っし!次々!あれ?青山くんと峰田くんに他の生徒も傷病者のことで困ってるみたい…援助しにいこっ!」

 

 

 

 重病者受け取り保護施設。

 老若男女関係問わず、かなりの数の重病者が一箇所に集まっている。どうやらこの数全ての人がHUCのようで、見たところザッと100人はいるだろう。

 

「もう…こんなに」

 

 飛鳥は泣きじゃくる女の子を姫様抱っこで抱え込みながら目前の光景に思わず立ち止まり、唾を飲み込んでしまう。

 遠くから緑谷出久と伊吹、真堂に他校の生徒が次々と傷病者を連れて此方へ向かってきてる。

 

「この子怪我人ね、見せて」

 

「あっ、はい!宜しくお願いします…それとこの子、足の骨が折れてるらしくて…他は腕に切れ目が…あと呼吸も少し乱れてます」

 

「ちょっと深刻ね…有難う」

 

 少し減点を食らってしまった飛鳥も、臨機応変、挽回さんとばかり、気持ちを切り替え傷病者を次々と救助し適切な対応が出来てるため、そこそこポイントは高い。

 それでも八百万や瀬呂、雲雀に毛原と比べればまだまだなのだろうが…

 傷病者の状況を手短に素早く語ると、飛鳥は次は…と言わんばかりに探し出す。

 

 

 

「救助演出、一次試験と言い二次試験と言い…雄英だけでなく他の学校の生徒たちも、想定していたより減点が少ないですね。例年、毎年ならHUCの皆様が下す減点採式は厳しいですのに…」

 

『調子はどうだ?』

 

「思ったよりも採点は順調、特に今のところそれらしい大幅な減点も無く、想定したより早くHUCの皆さんが保護施設に集まってる模様です。予定より少し早いですが、準備は良いですか?」

 

『ああ、俺()も既に準備は万端。抜かりはない』

 

 

 これは頼もしい。そう心の中で語る目良は、口の口角を釣り上げ赤いボタンを押す。

 

 

 そして次の瞬間

 

 

 ズドオォオォーーン!!!

 

 

 巨大な爆発が、会場全体に響き渡る。

 

「なんだ!?」

「何今の爆発?!爆豪くん!?」

「飛鳥さん多分違うと思う!!」

 

『敵の大規模破壊が発生!動けるヒーローは至急対処して下さい!繰り返します!敵の大規模破壊が発生!動けるヒーローは至急対処して下さい!』

 

 轟く大爆発に一瞬、慌てふためく者達は、警報のアナウンスに直ぐ演出のシナリオと聞解した緑谷達は、爆破が起きた方角へと視線を飛ばす。

 

 今回のシナリオは、とある〇〇市が敵による大規模破壊によって大勢の傷病者が続出したという設定。

 つまり救助活動を行なっていればその間には当然、隠されたシナリオ演習――

 

 敵も存在する。

 

 

「で、よーは私たちは受験者を脱落させれば良いわけね?」

「全員振るい落とすつもりでな、全力で。さぁ始まるぞ」

 

 

 爆発により発生したウザッたい煙から発せられる声。

 人影は数十名、そして後ろで大将と思われる敵が二名、悠長に佇んでいる。

 やがて煙が消えていき、姿が披露される。

 

 

「私たちを前に」

「並行処理、出来るかな??」

 

 その名も

 No.10ヒーロー・ギャングオルカ

 巫神楽三姉妹・華風流

 

 

「ギャングオルカ!?とあの小さい子誰!?!」

「あの子の気配…忍!?ってことはコレ、敵と抜忍が共闘して私達の邪魔しに来るってこと…?」

 

 緑谷と飛鳥の驚嘆の声も虚しく消え去り、ギャングオルカは鋭い眼光を放ち、華風流は相棒の秘伝動物、ルカを呼び出す。

 

 

(神野区の敵連合掃討作戦においてエンデヴァーやベストジーニストと並び指名を受けたヒーロー…

 そして半蔵さんに小百合さんとかなりの最上位に入る忍と供に行動し、ゆえに小百合さんから認められた忍…二人とも強いぞ!)

 

 仮免試験において中々に上位の部類に入る強者。

 HUCの採点も厳しい上に、敵の乱入。

 全てを並行処理しなければならない。

 

 

「うっそだろ!?ギャングオルカと…あの可愛い子だれ?イレイザーの娘?」

 

「戯けか、寝言言ってんじゃねえぞ。似てねえだろ」

 

「ジョーダンだって!!って笑ってる場合じゃないや、コレヤバくないか?どーせあの子も強いんでしょ?忍っぽいし…」

 

「ぽいのかな?まあ実力は本物だろうな…何せ飛鳥の婆さんに認められてるんだ、それ相応の実力が発揮されるんだろうな」

 

 Ms.ジョークも最初こそ笑い事のようにボケを入れるも今回はガチで洒落にならないと冷静になり、相澤は珍しく険しい顔つきに一変する。

 

(しかしまあ仮免試験の中でもかなり難易度高いぞコレ…救助活動は訓練を通し、敵との会敵は何度かあった…

 だが、それを全て並行処理ってのはちょいと厳しいかもな…)

 

 仮免試験でここまでやるのかと、心情で語る相澤。

 ギャングオルカ一人での肉弾戦は強く、彼と対峙した何名かの敵は泣き出す程と言われている。

 対して彼女は何より情報が少なすぎるため不明。

 抜忍といった忍の知識を身につけてない者からすれば、存在は敵と何も変わらない。

 

 

『敵が姿を現し追撃を開始!現場のヒーロー候補生は敵を制圧しつつ救助を続行して下さい』

 

 

 アナウンスの言葉に益々顔面蒼白と、焦りの色を浮かべるヒーローと忍学生の何十名かは、固唾を呑み込む。

 

 

 

「さぁ、ヒーローと忍よ…どう動く!?」

 

 

 

 ヒーローと忍が手を組む世代なら逆もまた然り、敵と忍が手を組む者も少なからず存在する。

 会場の空気は淀み、被災現場は戦場へ、混沌へ加速する。

 

 





ちょい作者話。
ギャングオルカと華風流のペア、これはずっと前々から考えました。サクッと一年前ですかね、それこそ京都・真紅編を考えてた時です。
因みに話は変わるんですが、個性と忍術の相性によって、勝負は変わります。例えば轟の氷に対して忍術を扱う焔と雅緋なら余裕で溶かせますし、かと言って炎で対処しようにも焔や雅緋は焔への耐性を持っています。
爆豪の場合は衝撃なので何とか通用するんですけどね。
また爆豪の攻撃に対して両奈には効かなくとも、全てを凍りつかせる轟なら、完封できます。まあようは使いようってヤツですね。
キャラ紹介は時間が無くて出来ませんでしたぁぁ!申し訳ない!!本当ならここで雅緋と常闇…と思わせてギャングオルカと華風流の解説コーナーやっていこうと思ったのになぁ!!
時間よ、私はアンタを許さない。
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