仮免試験も終えたら後はもう一残しの案件を終えて次章に突入ですかね。因みに本誌に追いつくまでの時間は予想と推測からして4年後になるかもしれません。理由は忍サイド側も執筆しなければならないので、多分300話普通に行くと思います(適当
まあ、作者の気分や投稿ペースを鑑みてね?予測でしかないので、保証はありません。もしかしたら早く本誌に近づけるかもしれませんし、そこは読者のワクワクウキウキ心に任せます。
それよりも重大発表…一言……
閃乱カグラアニメ第2期決定キターー!!しかも8月2日に最新情報が来るってええぇ!?(8月1日、パイの日じゃないんか!
恐らくピーチバレーとアニメ…恐らく最終回となる7EVENで間違いないでしょうなぁ。何せ冬に最新作が発売するようですし、絶対に買わなきゃ!!
「ここは窮屈だよオールマイト」
最初に彼と出会い次に投げられた言葉がこれだった。
対面窓越しで軽い椅子に腰掛けるオールマイトは、不屈の闘志を揺らがせながら、視界に映る巨悪を鋭く睨みつける。
対するオール・フォー・ワンは、まるで旧友の知人と再会したかのような、懐かしさと嬉しさを混え声を弾ませる。
「まず背中が痒くなると背凭れに身体を擦る。するとどうだ、途端にそこかしこの銃口がこちらを向く。
バイタルサインに加え、脳波まで常にチェックされているんだ。
この時点で個性を発動しようと考えた時点で、僕は既に命を握られているんだ…
地下深くに収監され幾層ものセキュリティに覆われ…徹底的にイレギュラーを排除する。
世間はギリシャ神話になぞらえ、ここをタルタロスと呼ぶ。〝奈落〟を表す神の名だよ。流石に神威と呼ばれた僕でも、反逆となると一苦労するよ…」
此処はタルタロスと呼ばれる、重罪を犯した犯罪者が収監される監獄だ。刑による執行は愚か、死刑すら生温い者が行き着く場所で、ここでいつ誰が殺されても可笑しくは無いと言われてることから、信頼性も高い。それでも相手が特別なので、不安要素しか無いのだが…
犯罪防止に加え、厳重たるシステムが組み込まれたこの監獄を脱獄することは不可能。何にせよ、面会すら厳しい上に、親から見放された者が大勢なので、そもそも面会と言う機会すら滅多にないのだが…
さも当たり前のように、監獄のセキュリティ構造を細かく語り出すオール・フォー・ワンは歪にして不気味だ。しかし、オールマイトは何の表情を見せない。
それも当然だ。コイツをそこかしこの敵や抜忍…況してや妖魔とすら一緒にしては困る。オール・フォー・ワンと言う存在だけがイレギュラーなだけなのだ。
「いいや、
「まあ、
グラントリノは独断か?半蔵は無事か?僕を憎む黒影は?アレだけ僕を殺すなんて大口叩いてた癖して死んだんじゃないだろうな?それにその未練がましいコスチュームは何だ?
まさかだとは思うが君、まだヒーローやってるワケじゃないだろう?」
「……お前は、よく喋るな」
「アッハハハ!!察してくれよ!久々に会話が成り立つんだぜ?こうして暴力関係なく真正面から君と話す機会なんてそうそう無い…」
愉快そうに豪快に笑うオール・フォー・ワンを無視してオールマイトは口を開く。
「…死柄木弔と漆月は今どこにいる?」
「知らないな…君とは違い、二人はもう僕の手から離れている」
「……漆月の中に…今も
「うん、そうだよ。上に話すかい?」
「…………」
重い沈黙が漂い、空気は凍りつく。
こうなることは解っていた…と言わんばかりに、それでも拭いきれない衝撃を堪えながら、会話を続けることにした。
「貴様は何がしたい、何がしたかった?人の理を超え、その身を保ち、生き永らえ…結果、妖魔すら超越した貴様はその全てを――搾取、破壊、支配、人を弄ぶことに費やして…何を為そうとした?」
「生産性のない話題だなぁ…聞いても納得など出来やしない癖に、解り会えない人間ってのは必ず存在する者さ。僕と陽花がそうであったように、侍と忍がそうであったようにね」
才能のセンスや超人という類に関しては陽花もオール・フォー・ワンも同じだった。異なると言えば中身の話、つまり性格だ。
人を弄び、破壊し、支配することに悦びと快楽を覚える残虐非道な彼と、人を信じ、救け、守ることで逸話と実績を積み上げた聖人君子の彼女とは訳が違えば話し合える仲でも無いのは、目に見える。
「同じさ、君と同じだよ。君が正義のヒーローに憧れたように、僕は悪の魔王に憧れた。
彼女がカグラに憧れたように、僕はカムイに憧れた…どうだ?分かり易くてシンプルだろう?それにね、君も充分理解してるようだけど言わせてくれ。陽花も僕も、妖魔を超越した存在という事に変わりは無いよ。僕と彼女は体内に妖魔を宿していた、結果論としては僕も彼女も似たもの同士だろう?」
「嗚呼、才能の面や超人という部類も含めてな…けど、彼女とお前は違う」
「似たもの同士ってだけで、別に好き好んで僕はアイツと一緒くたにされたくは無いね。自己犠牲の塊に、忍の道に情や絆なんて不釣り合いな言葉を掲げるような無価値な人間とは…ね」
「あの子は無価値な人間じゃない。私に嫌がらせするのは物足りず、今度は死した彼女の悪口を言い始めるか?」
「事実だろう?君と同じく自己犠牲でしか人を救えない、醜い姿に成り果てながらも誰かのためにと綺麗事をほざきながら結局彼女は死んだじゃないか。これを笑わずして何になる?
真に価値ある人間は犠牲すら出す事なく人を救えてこそだろう?違うか?
『犠牲なき献身こそ真の奉仕』、フローレンス・ナイチンゲールの有名な言葉さ。君らにとって僕らの存在は人を脅かす得体の知れない生き物だろう?僕から言わせてみれば、ヒーローなんて己の欲望や安全を投げ捨て見知らぬ他人を救う、得体の知れない生き物さ。ホラな?君らと僕らとじゃ先ず価値基準が違う。その時点で僕らと君らとでは分かち合えないんだよ。仮に出来たとしても少なからず僕は君らとは分かち合いたくはないなぁ」
大火事になって自分の家の火を消すよりも、他人の家の火を消すバカなど普通はいないだろう。しかしヒーローは己を顧みない存在だ。他の人間とは違い、そうはならないのだ。
己の欲望に忠実な人間と、他人の幸せに忠実な人間とは全く違うのだ。
他人の為に己の命を削るエゴ精神よりも、自分自身の欲や理想を叶えようとする自己中な人間こそ、オール・フォー・ワンが好むべき人間だ。
「理想を抱き、体現出来る力を持っていた。
永遠に理想の中で生きられるなら、その為の努力は惜しまないし、手を汚すことも厭わない」
「なら…なぜ後継など…?」
「ハッハッハッ!君が其れを聞くかぁ面白い!
なぜ後継などだって?君が僕にそうさせたんだろ?!僕の全てを奪っておいてよくもまあそんな間抜け面で言えたね。この体をよく見てみろ、僕を中心に刺してるチューブの管でようやく生命は維持できる。
陽花は別に良い…命に別状は無かったさ。まあ下手すれば死んでたかも知れんが…しかし君はどうだ?」
オールマイトという存在が世に登場したことで、オール・フォー・ワンは頭を潰され殺され、ドクターという助手の力でようやく一命を取り留めることに成功したのだ。
しかしその分、身体に負担が掛かることから、無限と思えた存在は有限となったのだ。
「終わりがある事を知れば人は託す。
何だってそうさ、そこかしこに建つ家やビル、何気なく口にする食品、代々伝わって来た秘伝忍術、全て人から人へと託され発展して来たもの…皆んながやってる事を僕もしようとしてるだけさ」
数々の文化や歴史が今を物語る。
過去は未来を創る為にあるものだ、時間が進むにつれて人間の技術や知識は発展し明るい社会を築きあげていく。
オールマイトが緑谷出久や飛鳥に次は君だと想いを託したように、オール・フォー・ワンは死柄木弔や漆月に想いを託したまでのこと。
別に何ら不変も無いし可笑しくはない。寧ろ想定していたのが妥当というべきだ。
「お前の理想…本当に悪意の下で暴虐を尽くしていた、だけなのか?」
「…?」
「あの子…漆月が後継者となったことに、死柄木弔と同じく衝撃も受ければ、どうせ私と陽花への嫌がらせなんだと薄々理解できる…だが、彼女があの天咲魅影と聞いて一つ思い当たる節があった…」
「なんだ言ってみろ?」
「神威のことだ」
「………」
その言葉にオール・フォー・ワンは口を閉じる。どうやら、オールマイトが何を言いたいのか率直で理解したようだ。
「暴走してしまえば、どうなるか…下手すれば死柄木をも巻き込む事になるぞ」
「ならないよ。それは僕が保証する…なに、君のように弟子の育成には器用で慣れてるんだ。不器用でがさつで教育方針に向いてない君に心配される言われは無いよ。
無能なヒーローが対策案を取らないくせに、僕が配慮に欠けてるとでも?仮に死柄木が危険な目に合うとすれば僕は彼女とは合わせて無いよ」
何の会話なのだろうか、外部で監視してる監獄官でも会話内容はサッパリだ。そもそも、二人の事柄にここまで知り合いな存在がいたとは想定外だったと言うのが本音である。
「それに…面白いじゃないか。今まで駒だの部下だの所有物だのと、蔑み利用してた上層部たちが、今度は漆月を始めとした忍への反乱を意に決する者達が、暴れ狂い、支配するんだ。支配されて来た者たちが今度は自身の手で支配する。どうだ、魅力的な話だろう?寧ろこれは救いとなるんだ」
「下らない…実に下らないよオール・フォー・ワン…そもそも、そんなのは忍ですらない」
「ここまで来てまぁだ解らないのかい?そもそも現代社会に忍なんて不要なんだよ!薄々と忘れてるかもしれないが、僕は忍を殲滅する側だぜ?忍を無くし、悪の蔓延る世界へと変える為に僕は数々の努力と労働、時間を費やして来たのさ!忍と言う存在は今じゃ影物で邪魔以外の何でもない…僕ら敵と何ら変わらない人種にして、都合の良い解釈と言い訳で正当化して誤魔化してるだけ…
社会や上層部が「これも社会のためだ」と言い逃れで事実を逃避してるただの見苦しい言い訳さ!
君も憤りの感情を覚えただろう?陽花が築き上げて来た信頼も情も繋がりも、そして妹も全て上は切り裂いたのさ!」
「違うよオール・フォー・ワン…お前が悪いんだよ。
そもそも、お前が陽花くんを殺さなければああなることも、妹くんも傷付くことだって無かった」
「自分が守れなかったことを棚に上げて他人の所為にするってのも、どうかと思うけどなぁ…」
「黙れ!!!」
オールマイトの怒号が飛び馳せ、思わず椅子から立ち上がってしまう。
「ハッハッハッ!君はよく感情的になるよなぁ!だから面白くてやめられないんだ、確かに陽花は全ての上層部…最高幹部からの人間にも信頼を受け、僕を討伐しろと依頼を受けたのは尤も他でもない…彼女だ。
君に任務を同行させなかったのも、きっと何かしらの決心があってか、君を傷付けまいと、手を汚させないと僕に立ち挑んだんだよね。けど彼女の余りにも心優しい性格が、自分の首を絞めることに繋がるなんてなぁ?」
さも見下し、彼女の死を心底感心し楽しむ彼に、憤りを通り越して呆れてしまう。
ここまで性根が腐った人間など、彼以外存在しないだろう。
『オールマイト、あと残り5分程で…』
「待ってくれよそりゃあないだろう…!折角人と会話出来るんだから…もっと話がしたいんだ!もっとこう…」
監視員の言葉にオール・フォー・ワンは驚きを隠せない様子でいる。まるで別れを告げられ待ってくれと懇願するような反応は、中々に見ない光景なので珍しく思えてしまう。
「そうだな…あっ、じゃあこれならどうだ。
外の世界はどうだい?君の引退に世間は動揺し、今頃騒がしいと思うんだが…どんな様子が詳しく聞かせてくれないか?」
タルタロスに収監された者は、外部からの情報が遮断されている。外の景色も見ること叶わず、年老いて朽ち果てるまで永遠に監獄の中で一生を過ごす事になる。
人間と会話することは愚か、身動きを厳重に封じ込められてる現状、自由を奪われ退屈と窮屈の重圧に押し潰されながら生きることは、ある意味地獄に相応しいだろう。
そんな監獄に住まう囚人が外の情報を欲するのは無理もないし、神野区の元凶犯なら当然だろう。
オールマイトは「それは…」と口を自然に開くも『オールマイト、外の情報は遮断されています。軽率な発言は公言は慎み願います』と看守からの一声が掛かり、頷き無言する。
「そっかぁ〜…其れは残念だな…」
ハァ…と深い溜息を吐くオール・フォー・ワンは心底残念そうに、眉をひそめて俯く。
オールマイトは「ああ、残念だったな」と言葉を出そうとした刹那――
「きっとこうなんじゃないかなぁ」
落ち着いた声が、ゾクリと悪寒が背中を襲う。まるで幽霊に背を撫でられたような冷たい感触に、冷や汗が滴り流れ落ちる。
「今頃メディアは君がいなくなった不安、そして新たなリーダー…エンデヴァーへの懸念が重なりヒーロー社会と忍社会全体の団結を訴えている。
方や忍社会は次々に暴れ狂う抜忍や妖魔に手を焼き、焦りが芽生え始めてるんじゃないだろうか?少しでも改善とイメージを良くするべく悪忍も公の場で活躍する場面も増えるんじゃないかな?善悪問わず、ヒーローと手を組み新たな現実社会を作り上げようと必死なのかな?
この可能性は大きく高いよね、だってこれからヒーローや忍、敵なんて差別なんて関係なく争う世の中にするようシナリオを描いていたのは僕自身だから、其れを機能するように回りくどく執念深い計画を積み上げたんだからさ。
一方で不安定になりつつある空気を察知して、ヒーローや忍を支持しない、いわゆる日陰者が行動を起こし始める…
抜忍も敵と同じ考えに行き着くんじゃないかな?自分たちも社会を動かせるんじゃないか?よくも自分達を見捨てて救わなかったなと組織立って動き始める――弔達は暫く潜伏を続けるんじゃないかな…あっ、漆月は敵連合の目を欺く為に敢えて問題行動を起こしたりするかもねぇ。注意しておいた方が良いよオールマイトも、他の人間も…今の彼女は僕自身が知る中で一番厄介な問題児だ…警察や上忍すらも煙に巻く程の凄腕さ」
僕が彼女と闘うなんてなとになれば、下手すれば軽く臓器は一つ持ってかれるかな…なんて考え事に浸るオール・フォー・ワンは口角を釣り上げ悪意の笑顔を魅せる。
「話の論点を戻そう。
台頭する組織を見極める為に、どこも勢力を広げたいだろうから、敵や抜忍同士での争いも頻発するだろうね。
カムイになりたい、逸話を残したいなんて悪意が蟻のように群がり広がるのさ。善かれ悪かれ人は衝動をキッカケに感染しやすくなる。ステインが良い例えだろう?
僕の描いたシナリオが全て正しく機能していれば、だいたいそんな流れになってるんじゃないかな?まあ物事は常に何が起こるか分からないから、その対策案を一つ一つ練り上げてシナリオが成り立ってるんだけどね。
仮に、だ…そうなっているとしても原因は全て君の偽りの姿と引退なワケだ…漆月や死柄木が原因で大勢の犠牲者や被害が広がるのも、根元を探れば君の所為にもなる」
段々と、濃い黒色の影が覆い支配するオール・フォー・ワンの表情に、軽い悍ましさと恐怖が植え付けられる。
汚い笑顔に、クスクスと声を漏らす汚い嗤い声が、脳を焼き尽くすように支配する。
「今後、君は人を救うこと叶わずに自身が原因で増加する敵と忍を前に指を加え、涙目になりながらも眺めるしかできず、陽花の「あの子達を助けて」という理不尽な約束を延々と破る羽目になる。無力に打ち拉がれながら余生を過ごすことになると思うんだ。
で、漆月は死柄木と違い特殊な方だ。君と面識もあれば、君が発言をしない限り飛鳥や雪泉は勿論…彼女の大切な仲間達が、友達になれたかもしれない漆月に次々と消され、花束を摘まれることになると思うんだが、ここで一つ教えてくれないか?」
彼の外道たるや言葉の一つ一つに恐怖と絶望に身を染めながらも、憤りと正義感に思わず拳の力を強く握り締めてしまう。指先の爪が掌の肉に食い込むも、関係まいと最後まで彼に耳を傾ける。
「今、どんな気分なんだ??」
ガタッ!と反射的に立ち上がってしまうオールマイトは、怒りの感情に頭に血が上り、息遣いが荒くなる。
自分の心の奥底の感情を刺激し、苦悩する彼を嘲笑うオール・フォー・ワンは、心底愉しそうに相手の表情を観察するように眺めている。気が付けば自分の拳は相手を殴ろうと高らかに掲げていた。
『オールマイト、危険です離れて下さい!』
看守の言葉に我に帰るオールマイトは、静かに拳を納める。マグマのように煮えたぎる怒りを、そっと蓋をしてなんとか落ち着かせる。
「人は心の中を言い当てられればすぐ怒る!!残念だったねオールマイト、ここでは君じゃ憎い僕を殴れない!」
追撃せんとばかり追い立てようと最後まで煽り立てるオール・フォー・ワン。人の心理を掌握し、何をどうしたら人の嫌がらせをする事が出来るのか、最後まで計算し言葉を選び、人を追い込ませるのだからメンタリストとは怖ろしいものだ。
陽花も昔はこれでよく怒らせていたものだと、オール・フォー・ワンは懐かしさの感情に浸りながら高らかに微笑う。
「………フン」
そんな彼に呆れながら、オールマイトは鼻で息を飛ばすよう自身の怒りを沈み抑え込む。別に、相手が好きで煽って怒らせてるだけで、其れを理解さえしていればどうってことはない。それに、まだケジメを付けていない。
「貴様だけが全て知ってると思うなよ…大方の予想はついてる。お前がやりたいこと、これから未来で待ち起こるシナリオを…」
――君の嫌がることをずぅっと考えてた。
もし、彼の性格を元に探り当てれば、間違いなく予想の検討は付く。其れは…
「先ず師匠の血縁である死柄木弔に、私と弟子である緑谷少年を殺させ、陽花くんの妹である漆月には飛鳥くんと雪泉くんを始めとした、忍学生達を殺す気なんだろう?貴様が黒影にそうしたように、次の矛先は雪泉くんに向けるはずだ…違うか?」
「で?」
だから何?と言わんばかりに興味深く、でもって平静を保つオール・フォー・ワンに、オールマイトは大きく息を吸い込む。
「私は死なないぞオール・フォー・ワン――私に死柄木は殺させない、漆月に彼女達を殺させない…!これ以上、貴様の思い描く未来にはさせない!私が其れを、許さない――!!」
弱くとも、個性がなくとも、オールマイトの言葉には意を決した覚悟が確かに存在していた。
闘気を揺らがし、気迫ある眼光を巨悪に放つ。
ただならぬ正義感と信念を小さな瞳に宿しながら、負けずと声を張る。
亡き平和の象徴は今もなお、倒れる様子も死ぬ気もない様子で、彼の世界の柱になると公言した彼を、ヒーローとして立たせていた。
「ふぅん…まさか〝ケジメを付けにきた〟って、これを言いに来たのか?」
こちらも呆れるように、溜息を吐くオール・フォー・ワンはつまらなそうな声で呟いた。
金属製の椅子にもたれかかり、冷たい感触が全身へと伝わることを確認しながら、口を閉じる。
『オールマイト、時間です退出を――』
どうやら面会時間の終わりが来たようだ。
看守の言葉に「ああ、解った…」と軽く受け流すオールマイトは、オール・フォー・ワンに背を向ける。
最後に後ろを振り向き
「良いか、貴様の描いたシナリオとやらは私が全部砕く…何度でもな!!
お前こそそこで精々指を咥えて余生を過ごすが良い…!」
言葉を吐き捨てる。
シューッ!と鉄の自動ドアが開き、オールマイトの後ろ背中が遠のくも、自動ドアが閉まるように、彼の姿を遮断する。
面会室でただ一人、孤独の空間で金属椅子に座り込んでるオール・フォー・ワンは一人でに軽く嗤い声を漏らす。
「ふふふ…ふふ、余生か…」
オールマイトが最後に残した台詞は、半永久的に生き永らえたオール・フォー・ワンにはとても皮肉が効いていた。
成長を止める個性を得たことで、不老死の体を手に入れたオール・フォー・ワンは、タルタロスで一生を過ごすことになる。
確かに、個性を発動しない限り死ねない体と成り果てたオール・フォー・ワンにとっては、ここは死ぬことも無く延々と退屈な時間を過ごす日々を通すことになるだろう。
何も無い、鉄と金属とセンサーだらけに支配された厳重なセキュリティで仕組みこまれた監獄で過ごすのは、少々嫌気が刺す。
「良いよ、僕は君の言葉よりも……死柄木弔の成長を、そして漆月が摘み重ねた死の花束を、僕は期待しながら待ってるからね」
二人の弟子に歪んだ想いを託したオール・フォー・ワン。
一人は、数々の人間を踏み台にし、裏社会の王として成長することを胸に踊らせて。
一人は、愛する誰かの為に、他者の命を摘み取り、先生に捧げることに期待を高らかにする。
ヒーローという各々の信念を胸に宿し、誰かを守る光の存在は、悪の王となりうる死柄木の踏み台と化す。
忍という死の定めに舞い殉じる儚き花の命は、厄災の神となりうる漆月に花を摘まれ、彼女は美しさを増す。
楽しみだなぁ…二人の成長が早くも待ち遠しい。
もし、監獄の中でも外の情報が持ち込めれば窮屈さを除いて良しだったのだが…完全脱獄防止のため、仕方ないか。
さて、弔と漆月…君たち二人は師である僕がいなくとも生き延びれるかな?なんて、無駄な心配事だったか…ハハッ、何にせよ君たちを信じてるよ僕は。
オール・フォー・ワンは、心の中で言葉を呟きながら、看守に車椅子を押されて自分の監視部屋へと連れて行かれる。
また、退屈な日々が続きそうだなという憂鬱な感情が入り込むも、今は弟子のことで頭がいっぱいだ。
しかし、唯一気掛かりがあるとすれば…
――じゃあ、オールマイト…君はどうするんだい?
タルタロスの監獄から外へ出たオールマイトは、背筋を伸ばしながら深呼吸し酸素を肺に取り組む。
鈍ってる体の疲れが解きほぐされるような錯覚に見舞いながらも、オールマイトは顔を一切変えずにパトカーに乗り込む。
「お疲れ様オールマイト、どうだった?」
「…情報の類に期待していたならすまない塚内くん…特に聞き出せることは出来なかったし、有益な情報は取り出せなかった…」
「いや良い気にするなよ。確かにタルタロスは正式な手続きが怖ろしい程に厳しくて面倒だけど、一回の面会だけで簡単に情報が引き出せるとは思えない。仮にヤツの口が軽くとも証拠や情報が真実が確かめる必要もあるし、どの道一筋縄ではいかないよな」
運転しながら会話するオールマイトと塚内は、敵連合の有益な情報に関する話題で話し合っていた。
「ヤツの言葉では、暫くは潜伏に専念し、漆月が何かしらの問題行動を起こすのではないか…だとさ」
「潜伏に専念か…確かに信憑性も高そうだし、こんな御世代の中、組織も不安定な状態で学校襲撃なんてバカらしいけど、一番に疑い深いのが漆月だな。
幾ら真実だからと言っても本当に口に出すか?其れに問題を起こすって…カグラや数々のトップヒーローにすら目を付けられてる中、騒ぎを起こせるとも思えないが…」
どちらにしろ信憑性もクソも無いし、これだけでは確実に万全たる対策は設けられない。各地に捜査を広げるにしろ、情報が不足している以上は無理に近い。
「そうだ、敵連合の繋がりがあるとすれば、ステインの面会はどうす…――」
ヴー!ヴー!ヴー!
鳴り響く携帯にオールマイトは「失礼塚内くん!」と懐にしまってた端末機を開く。
LINEの送信先は緑谷出久、トプ画は全盛期の頃であるオールマイトが設定されている。こういつ見ても平和の象徴として生きた自分を見返しなるようで少し複雑な気分になるも、送られて来た内容に目を通す。
『オールマイト!仮免試験無事に受かりました!』
合格の発表だ。
一枚の写真が送られ、其処には確かに仮免許証が映し出されていた。どうやら無事に合格することが出来たようで、先生としても師匠としても嬉しく思えるし、頬が綻んでしまう。
――良かったな緑谷少年!
内心ガッツポーズを上げるオールマイトは、笑みが止まらず微笑んでしまう。
弟子の成長とはいつ見ても微笑ましくなるものだ、自分が師匠であることに誇りを持つ事が出来るのも、ヘドロ事件をキッカケに出会った事だろう。今となっては彼と出会えて幸せだと思っている。
そうだ、私はこれから弟子である彼を育てなければならない。
明るい未来、そしてヒーローになる夢を心がけ、目指す彼のためにも、私は最後まで生きて、責任を持ってあの子を育て上げなければならないのだ。
其れが、私が今出来ることであって、緑谷少年だけでなく、其の母の為にも…期待に応えるべく、精進しないとな。
同時刻。
雄英は仮免試験を終えて、其々の寮へ戻り休息の時間を堪能していた。何せ仮免試験からずっと緊張と無理を通し、試験を受けて来たので、心安らぐ生活に戻りたいのは自然の成り行き。
「皆んなオツカレ!」
「ゆわいちゃん、可愛いわね」
「明日からフツーの授業だってさ!」
「一生忘れられない夏休みだったね」
男女の楽しい愉悦な会話が飛び交う中、緑谷オールマイトと連絡を終えて携帯をしまう。
合格の知らせに喜んでくれたようで、さぞ本人は嬉しい様子だ。これで一流のヒーローになる為の第一歩へ足を踏み入れた訳なので、喜ばない方が可笑しい。
「よしっ!後は…」
「おい、デクてめぇ――」
ビクッと、自然的に反応してしまう緑谷は、ぎこちない表情を浮かべ声の主に振り向く。
聞き慣れたドスの効く声に、苛立ちと焦燥を孕ませた声色は間違いない、仏頂面で、でもって不機嫌な様子が伺える爆豪勝己だ。
「な、なに…?かっちゃ――」
「後で表出ろや、テメェの個性について話が聞きてえ」
友の言葉に、頭の中が真っ白に塗り替えられた緑谷。
固唾を飲み、自身の本性を、経緯を話すべく、覚悟を決めなければならない時が来た。
教えて!為になる!べべたんと作者の質問コーナー!
べべたん「なぁ、善忍と悪忍についてなんだけどよ。気になる事があるから質問させてくれよ」
作者「あいー?良いですよー」
べべたん「悪忍の入学条件は何でも有りで、どんな理由でも入学出来るんだろ?其れに対して善忍は規制が厳しくて入学するのが難しいらしいけど、善忍より悪忍の方が多いのか?」
作者「五分五分やで。確かに原作でも見ての通り、アニメや初代でも悪忍の成り行きのシーンが多かったりするし注目が偏ってるけど、これはあくまで日本の地域の一つでしか縛られてない訳で、悪忍だけじゃなく善忍びとかも多かったりするんでっせ」
べべたん「じゃあ、善忍が悪忍になるのは良いのか?」
作者「良いんだよ。初代の頃の雲雀が蛇女に一時的に入学した時も難なく許可が下りたし、月閃でも両備や両奈も、姉の仇を討つために蛇女に転入した訳だから、何ら不思議ではないなー」
べべたん「悪忍が善忍に転校するのは良いのか?」
作者「ええ〜っ!?自分はそんな光景絶対見たくありませんね〜…だって、そうしたら両備も両奈も月閃に戻れば良いなんて話ですし、焔の苦悩は何だったんだよって話になって原作のルールぶち壊すことになるので僕は受け付けれませんね。そもそも善忍は悪を討ち、不正や社会の秩序を正すための善良な忍な訳であって、評価や世間体が厳しい中、不正や問題行動や危険視されてる忍を善忍へと加入はさせたくはないです。現実社会でも同じ事ですよ?犯罪履歴や学校内での問題行動を起こす人間を社会に雇いますか?警察だって同じです。少しでもルール違反をすれば難しいんですよ。つまり、忍も人間社会と似てる箇所があり、そう易々と受け入れれるほど甘くはありません。
また雲雀の場合は別です。確かに敵に利用されたことは咎められるのも無理は無いですが、これが諜報活動として善忍が悪忍のスパイなど働くことは不自然ではないので、この場合は別です。雲雀は蛇女に転校したと言っても、超秘伝忍法書を奪い返すために潜入してたので、上層部からも許しを貰えたのです」
べべたん「つまり悪忍は善忍にはなれねえって訳だな。じゃあよ、教官はどうなんだ?」
作者「教官も別というか…そもそも善と悪の立場とはいえ下の人間を強く鍛えさせるための先生的なポジションですから、任務に従って善と悪の立場を振る舞う訳なので、全然問題ありません。但し教官はだからといって忍学校の味方につける訳でもなく、守る義務もありません。また、忍学生達が受ける任務を手伝う必要性も無いので、教官は特別ですね。先生は完全に別ですが」
べべたん「抜忍の場合は?」
作者「元の所属に戻ることは許されるけど、善忍や他の忍学校に移ることは不可能です。そもそも抜忍が元の組織に戻ることすらごく稀で、焔紅蓮隊のように上から認められなければ無理なんですよどうしても」
べべたん「俺はどの忍所属ポジションなんだ?」
作者「君は紫と同じやろ、てか忍の役割あったの?」