光と影に咲き誇る英雄譚   作:トラソティス

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皆さん超絶お久し振りです。えー作者の多忙が倍増しました…そして、最近小説投稿始めることに苦悩すら抱えています(ヒロアカの今やってるこの章、結構グダグダで批判も多かったし、ホリー先生もメンタルやられてたから仕方ないね!!)
焔紅蓮隊編に入ったらペースは速くなると…思う。

特殊ボイス

陽花vs月光

パート1
月光「まぁ…!貴女様が雪不帰様のご友人、忍の象徴として名を輝かせた…麗しき陽花様!!」
陽花「ど、どうどう…!様なんか付けなくて良いよ…私、そんな風に言われる覚えないし…」

パート2
月光「陽花様…私と手合わせ、宜しくお願いします。忍の象徴と謳われた貴女様との戦闘は、貴重な経験ですので…」
陽花「うん良いよ!自分よりも上の強敵と闘う事は、通常の訓練とは違って何十年何百年分の修行を積める良い機会だもんね!」

陽花vs閃光

パート1
閃光「ッ!お、お前が、雪不帰様よりも実力を兼ねた最強の…忍!!」
陽花「君は、閃光ちゃんだね?よし!お姉さんが面倒見てあげる!」

パート2
閃光「常に強者と闘うのが私の至福…だが、最強の忍と拳を交える日が来るとは…!これ程熱く滾る日はない!!」
陽花「あっはは…特訓に随分と熱心なんだね?でも、そう言うのは感心するなぁ…」



164話「募る暗雲」

 

 

 

 

 

 夕焼と芭蕉の二組が別れ、別布陣のファットガムを始めた天喰環、切島鋭児郎の三組は、逃亡したもう一組の敵グループを制圧していた。

 ファットガムの体脂肪により五人の内四人は難なく沈めさせる事に成功し、内一人はエッジショットに似た個性で何とか逃走したものの、環の個性『再現』により見事完封。

 食べた物を体から再生させる個性、手をアサリに再現しノックアウト。負傷者を出すことなく見事に治めたのだが…

 

 ダァン――!!

 

 一発の銃声が、繁華街の夕暮れに響く。

 放たれた銃弾は環の方角に狙い撃ち、肩を撃たれ仰け反ってしまう。

 銃を持つ敵が視界に入らなかった為か、避けるタイミングすらなく見事に食らってしまう。

 

「サンイーター!!」

 

 別の場所で抜忍グループを鎮圧した夕焼と同じく、環も八斎會から手に入れた闇アイテムの品物で撃たれてしまう。

 

「ハッハ!そらアニキ早よ逃げるんや!!!」

 

 一般市民の悲嘆と喚き声が瞬く間に埋め尽くし、市民の群衆に紛れ隠れてたもう一人の敵が銃口を差し向けていた。サンイーターこと環から、切島に標準を変えて引き金を引く。

 

「伏せろ烈怒頼雄斗!!」

 

 ファットガムの忠告も既に遅し、二発目に発砲された銃弾が、烈怒頼雄斗の眉間を狙う。

 烈怒頼雄斗に銃弾を避けれる様な機動性や素早さは兼ね備えていない。回避が出来なかった烈怒頼雄斗は、成す術なく諸に敵の銃弾を受けてしまう。

 

 ガキィン――

 

 但し、其れは硬化さえ無ければ成り立つ話。

 瞬時に個性を発動して体をガチガチに硬めた烈怒頼雄斗に銃弾など無意味も同然。

 

「弾けた…!?」

 

 相手が銃弾を弾くことなど知らなかった敵にとって、このパターンは最悪だろう。特に大したダメージが残ってない切島は、直ぐ様体制を整え、標的を定める。

 

「捕らえます!!」

 

 漢気魂を燃やしながら、熱く滾る烈怒頼雄斗――動き出す。

 

 

 

 

 

 同時刻――烈怒頼雄斗が機動したタイミングと同じく、抜忍グループの確保に赴いた芭蕉と夕焼の二人組は…

 

「よっしゃあ!オヤッさんの仇打てたぜ!やっぱ忍にも効く銃って流行してたのか!!」

 

 オカルト宗教の格好をした物騒な輩は、拳銃を掲げては歓喜の声を上げる。

 最初は芭蕉の方を狙っていたのだが、夕焼が蹴り飛ばしてまでも身を呈して彼女の身代わりになる事は予想外だった…しかし、自分を慕ってた筆頭を蹴散らした彼女一人を重傷に合わせたので、結果オーライと言うヤツだ。

 

「夕焼さん…!しっかり!!」

 

 倒れ伏せてしまった夕焼に駆け寄る芭蕉は、自分の鈍感さと失態に自分を呪いながら、罪悪感を覚えてしまう。

 

「おい、なんだ…人、撃たれたぞ…」

「ちょっ、マジ?敵騒ぎ?」

「最近噂になってる敵紛いの忍とか?」

 

 ザワザワと澱む空気の流れ、中には携帯で写真を撮ろうとする好奇心な輩も見受けられるが、そんな野次馬達に構う暇もなく、芭蕉は彼女の体をさする。

 

「しっかりして下さい…!そんな──」

 

「おいテメェらどきやがれやぁ!見せもんじゃねえんだぞ!!」

 

 抜忍の一人が、忍術を発動し、自分の影が具現化しながら脅しを取る。映し出された己の影を、手足の様に自由自在に操作し攻撃する忍術。常闇踏影の個性『ダークシャドウ』に近い部類の似た能力だ。

 自分の影が鎌を持ち、見境なく攻撃を繰り出す抜忍に、今まで他人事として様子を伺ってた市民は、今度こそ悲鳴を叫びながら逃げて行く。

 

「夕焼さ…「いっつつ…」――!?夕焼さん!!」

 

「んぬ…!?」

 

 倒れ伏せてた夕焼が、ムクリと体の上半身を起き上げる。

 突如、何ともなく起き上がった彼女に芭蕉も思わず驚嘆し、抜忍も動揺を隠せず、素っ頓狂な声を漏らしてしまう。

 

「って、思ったより痛くなかったな」

 

「ビックリした……もう、驚かさないで下さい!!」

 

 発砲された弾の威力は強かっただけで、銃弾その物の実物は決して殺傷力は高くない。

 良く見ると撃たれた箇所に血は流れていないし、大した傷も見受けられない為、ダメージはほぼ無いと断言しても良いだろう。

 

「畜生がぁ!!騙された…!折角大金払ってまで買った代物なのによォ!!」

 

 オカルト宗教の衣装に身を包んでる抜忍の男は、悔しがる様に地団駄を踏む。どうやらあの男性は裏商売から入手した闇アイテムを手に入れ、其れを夕焼に使用したのだろう。

 だが結果、彼女の様子を伺うに見て何とも無い模様…恐らく効果の無い偽物か、将又粗悪品か、何方にせよ抜忍にとって喜ばしくない結果なのは確かだろう。

 

「おいタコ!テメェよくも――」

 

 口調荒ぶる夕焼は二刀丁を差し向けながら、勢いを殺さず間合いを詰め、秘伝忍法を発動しようとする――が。

 

「ッ!?」

 

 此処で夕焼は初めて、今自分の体に異変が生じてる事を理解した。

 

(秘伝忍法が、使えねえ…!?今までんな事無かったのに…)

 

 秘伝忍法――【イペルスイ・パシクル】で直ぐに撃沈させる試みだったのだが、そもそもの話秘伝忍法さえも発動出来ないという異常事態に、彼女も内心は焦りでいっぱいだ。

 特に体に負担や変化は、忍術を扱えないという点を除いて見受けられないし、何も感じない。

 

「離れろやぁ!!秘伝忍法――【シャドー・ウィッチ】!!」

 

 蠢く影の腕が、ゴムのように伸縮自在に伸びる。鞭の如くしなる強烈な薙ぎ払いに、夕焼は回避を遅れ、腹部に攻撃を食らってしまう。

 肺の酸素が勢いで口から吐き出してしまい、地面を擦る音を遺しながら、距離を離してしまう。

 

「チィ…ここは一旦バラけるしかねェ!」

 

 一先ず逃亡の選択肢を選んだ抜忍は、二人に背を向けて我武者羅に走り出す。敵わない…とは思っても居ないが、増援を呼ばれたら間違いなく勝てないだろう。そう判断した敵の行動は正しいだろう。

 

「追いかけます!!夕焼さんは無事ここで…」

 

「大したダメージじゃねえ…オレも後を追いかける。それと聞きてえ事が増えたしな」

 

 安静に待機することを勧めるも、首を横に振る夕焼は偉く不機嫌のようだ。先程、秘伝忍法が使えなかった事と関係が直接結び付いてるのだろう。被害を受けた訳では無いが、気になるのは確かだ。

 暗殺や破壊活動を主に働く忍にとって、況してや戦闘に於いて忍術が扱えないのは致命的な点だ。

 相手が忍術を封じる術を持っているのなら、相当強力なモノだ。

 ――二人は逃走を図った抜忍を追いかけるべく、全速力で駆け走る。

 

 

 

 

 

 

 繁華街は賑やかな雰囲気と活気的な空気が自慢の場所だ。

 地区の構図や道のりは思ったよりも複雑で、無我夢中で走っていると、何処が何処に繋がっていてるかなど、地元の人間でなければ分からない。

 不幸なことに、抜忍グループは此の地区に足を踏み入れるのは初めてなので、街の構造に関する知識はかなり疎い。

 

「はぁ……はぁ………クッソ……」

 

 敵を撒くべく全速力で走り続けた為か、体力の限界を迎えた抜忍『影郎』は息を切らしながら流れ出る汗を拭う。

 夏を明けた秋、涼しい日が来ると言うのに今となっては真夏のような暑さだ。

 

「流石に、体力の限界が……「よぉ…!」」――ぬぉあ!?」

 

 しかし、ヒーローにとって時間も敵も待ってくれないように、逆もまた然り。ヒーローも忍も、時間さえ敵に味方をしてくれる者などいないのである。

 そう言った意味合いの立場では、不平等では無いだろう。

 此処まで追い詰めた夕焼と芭蕉の二人は、息は上がっておらず、体力による疲労も見受けない為、一目見ただけで実力による歴然の差が垣間見えるのは、言わなくても察せるだろう。

 忍学校に在籍し日々鍛錬を積み重ねてる者と、日々怠けてる者との差は天と地の様に開く。

 

「ったく…一丁前に銃ブッ放してきた癖して、逃げるだけがお前の取り柄かよ」

「もう、絶対に逃がしません!!」

 

 追い詰めた、追い詰められた。

 よく見れば此処は人気のない通路…此処では人質や脅しの手は一切使えない。姑息で陳腐な考え方だが、逃げ果せる以上は手を汚す際に躊躇する暇はないのだ。

 

「畜生…!こんな所で捕まってたまるかよ!!」

 

 男は悔し混じりの声色で、影を立体化させる。モンスターの外観をした悪魔の影は、鎌の形に変化し見境なく振り下ろす。

 だが、動きは上忍と呼ぶには不足な実力と、何よりも大雑把で動きに無駄の多い攻撃動作――それでも確かに鍛え上げた強さと秘伝忍法の使い手から察して、忍社会に貢献してた元忍であるのは確かで、恐らく上層部から見放され、貢献出来なかった忍だろう。

 

「秘伝忍法――【ブラック・サイズ】!!」

 

 研ぎ澄まされた鋭利な黒鎌は、夕焼目掛けて凶器を振るい下ろす。影の攻撃は、実物に対する攻撃に干渉可能な為、常闇踏影の個性と同じ原理と考えるのが妥当だろう。

 

「おらぁ…!!」

 

 抜いた刀で影を捌く夕焼は、影郎の秘伝忍法を相殺する。

 幾ら自分が現状、秘伝忍法を扱えない身だからと言って、必ずしも相手を倒せない訳ではない。

 目にも留まらぬ速度で、相手の猛攻を押し返せば問題ない。そう判断した彼女は臆することなく、影に立ち向かう。

 

「…ッ!?秘伝忍法なしで数攻めとか…マジか!!」

 

 単純かつシンプル。

 倍以上の手数で攻めれば、不利な状況から脱せるし、逆転だって可能だ。口で言うのは簡単だが、実行するにはそれなりの鍛錬と筋力、何よりもそれに見合う強さを携わってないと、到底成し遂げれないものだ。

 それでも体力の消費が激しい上に、属性や相手の能力次第で逆境を乗り越える事が出来ないこともある為、絶対という保証はない。

 

(落ち着け俺…!影その物、攻撃を食らっても俺に影響が出る訳じゃねえ、距離を保ち攻撃さえ諦めなきゃ簡単に…)

 

「お覚悟!!」

 

「ッ……!?!」

 

 ただ、仲間がいれば如何なる苦労を和らぎ、簡単に逆転を狙える。

 夕焼ばかり意識を集中していた所為か、芭蕉の存在に気付かなかった影郎は、ガラ空きの背中に攻撃を許してしまう。

 身を守るべく影を引っ込めようにも間に合わないし、仮に秘伝忍法を中断し身の守りに徹しても、夕焼と芭蕉の二人同時に攻め入れば、影の耐久力も落ち、忍術を強制的に解除されてしまう為、どう足掻こうとこの状況を脱する事は不可能だ。

 

「秘伝忍法――【大蛇折法・弾】」

 

 的確に素早く、大筆の刃で『弾』の文字を描き、槍で突く動作を行う。文字通り、墨字で描かれた文字が弾の如く敵を射抜く。

 文字の効果を発揮した鋭い衝撃が、肩を貫くかのように鮮烈な痛みが襲う。

 

「ぬぐぁ……!!」

 

 素っ頓狂な声を吐きながら、路地の壁に背中を打ち、意識が朦朧としてしまう。やはり抜忍生活を送り、訓練を受けていなかった所為か、容易く忍学生に倒されてしまい気を失う。

 対する二人は何とか上手い具合で連携を繋ぎ保ち、敵を翻弄し戦闘意識を途絶えることに成功した。

 

「はぁ…はぁ……なんとか、出来た……」

 

「よっし、でかした芭蕉!」

 

「いえ別に私なんてそんな…夕焼さんが食い止めてくれたお陰で、無事に終わりを迎えることに成功しました…」

 

 噴き出た汗を拭い、一息付く。

 活気で男勝りな口調で喋る夕焼も、満面な笑みで芭蕉の成果を讃え、本人は謙虚そうに振る舞いつつも、内心は嬉しさを隠せない。

 きっと、自分も肝心な時でもきちんと動けるんだと今を以って理解したのだろう。気の弱さは治っていないが、以前よりはマシになったのも事実だ。

 

「にしてもこの悪党……何か小細工でも仕掛けたのか知らねえが、奇妙だぜ」

 

「?何がですか?」

 

「さっきコイツに銃を撃たれてから秘伝忍法も忍術も使えねえままで、碌に調子が良くならねえ…気分が悪いとかそう言う類いじゃねえのは確かだが、忍術を封じるってのがどうにも引っ掛かる」

 

「忍術を封じるって、其れ何だか少し怖いですね……私達の能力が使えないってこと…あっ、でも確かによくよく考えれば其れ致命傷ですね」

 

 忍術、遁術、秘伝忍法が扱えないと言うことは、自分をも上回る強敵を前に、ただ殴る蹴る、武器を巧みに扱う術でしか対処出来ないという訳である。

 

「問題は確かにそうだけどよ、何よりコイツの忍術を観て察するに、忍術を消すなんて言う効果が結び付かねえ。普通、忍術は個性の様に一つしか能力を扱えない筈だ」

 

 個性が一人につき一つ(オール・フォー・ワンと脳無を除き)である設定上、忍術が一人につき一つである条件は絶対だ。

 因みに夕焼の多重人格は忍術とは無縁であり、特殊な体質上の為、何ら不自然ではない。

 

「俺の推測だが、嫌な予感がするぜ……一刻も早くコイツに色々と聞き出してえが、この通り気い失ってる以上問い詰めも出来やしねえ…」

 

「まあまあ、落ち着いて下さい…ね?あの方だって好きで気絶したかった訳じゃないですし、原因を探ればそうさせた私にも非が…」

 

「オメーは悪くねえよ」と溜息混じりに言葉を発しながら、夕焼は武器を鞘に納める。

 

「……あ、アレ?此処は…何処で、私何を…」

 

「あっ、そっか夕焼さん…武器を持つと性格が変わりますけど、逆に武器を納めると元に戻るんでしたよね」

 

 と同時に素の性格に戻った彼女は、先程まで起きてた過程の記憶が抜けてしまう。キョロキョロと辺りを見渡し目を丸くする彼女は、自分に起きた事柄の詳細を知らない。

 逆に刀を握れば抜けた記憶は元に戻るので、もし事情の説明を要求された際は、危害を加えない武器を持たせるのが一番効率が良いだろう。

 

「あぁ……私、また…酷いことを……申し訳ありません芭蕉さん……それと、倒れてるこの人…もしかして…!?」

 

「大丈夫ですよ夕焼さん!!その人は抜忍、危害を加えて来た悪人ですので悪くありません!寧ろその…夕焼さんのお陰で助けて貰いましたし…感謝してます…」

 

 記憶がなければ当然、この抜忍が自分達に危害を加えた者とは知らないので、もう一人の自分が暴走し無関係な人間を巻き添えにしてしまったと言う考えに辿り着くのは不自然ではない。

 芭蕉は彼女に追って詳細を説明すると、胸を撫で下ろし安堵の息を吐く。

 

「それなら…良かったです……私はてっきり、またもう一人の自分が勝手に暴れたものかと……これでもし迷惑を掛けてしまう所存なら、本末転倒ですから…」

 

 仲間内で多少迷惑を掛けてしまうのは心苦しいが、市民にまで被害を産んでは、折角事務所を紹介してくれた天喰や、引き受けてくれたファットガムに申し訳がない。

 

「取り敢えずこの抜忍グループはどうしましょうか…?私、里の者として外部からの侵入から守る際には、敵を縄に縛って村の長老に引き渡してたのですが…」

 

「あっ、其れで良いと思いますよ。移動牢式(メイデン)の様な頑丈な拘束具は手元に有りませんが、この際敵はもう気絶してますし丁度良いかと…一先ずファットガムさんと合流して、後の事は任せておきましょう」

 

 夕焼は里暮らしなので、都会や現代社会の情報に関しては疎いのは仕方ないだろう。そもそも任務による抜忍狩りでは討伐or捕縛の何方か(忍が公になった以上、討伐は殆どない)で、捕縛した抜忍は必ず上層部を通すのが決まりとなっている。

 逆に、捕縛を敢えて処分してしまえばそれなりの処罰も下されてしまう為、不殺を重視しながらの戦闘は今以上に厳しいだろう。

 

「一先ず、ファットガムさん達の所に行きましょう。もう向こうの方も終わってるかもしれませんし」

 

 

 

 

 

 

 一方、闇アイテムの密売グループを捕まえたファットガム一行は、切島の活躍もあってか無事に事態の収拾に成功した。負傷者や死人、被害を出さず最小限に止まらせたインターン生徒の躍動は、初日にしては大きくデカイ。

 

「おっ、二人ともようやったわ!お手柄やで!!」

 

 抜忍グループ6名を無事、警察に引き渡したBMI事務所。二人の功績を褒め称えるファットガムに、夕焼と芭蕉は褒め慣れてないせいか、頬を赤く染める。

 どうやら、恥ずかしがり屋も含めて二人は何処か似てるみたいだ。

 

「すげぇ…ファットさん一人で敵を殆ど沈ませてたのに、夕焼先輩と芭蕉は二人組で抜忍全員を捕縛したのか!!俺なんて一人だぜ…」

 

「切島くんも二人も優秀だ…それに比べて俺は……先輩でありながら……何たる失態を…」

 

「環、今回のはしゃーない。お前の実力は折紙付きや。其れに個性が使えんくなったんのも、コイツが関係してるかもしんないしな」

 

 普段はよく天喰に茶々を入れるファットガムも、思い出した様に迫真な顔立ちに変えながら、懐からプラスチック製のチャック付きの袋を取り出す。よく麻薬を保管する際に使うモノだ。中身は小さな注射型の銃弾が何個か入っている。

 

「何ですか?それ…」

 

「環に撃ち込まれた銃弾、切島くんが撃ち込まれる前に未然に個性で防いだお陰で無事な品物が手に入ったわ。他にも敵グループやら抜忍やにこれに似せたもんが数個入ったったけど、警察に鑑定して貰ってる」

 

「撃ち込まれた……?」

 

「そうや。その所為か、環の個性が使えんくなったんや。環、お前まだ個性使えんか?」

 

 ファットガムが様子をを伺うように顔を覗かせると、本人はコクリと小さく頷いた。

 

「確かに、あれから個性を使おうにも全く使えないし…体調の変化に生じてはいないから、恐らくイレイザー・ヘッドの抹消に似た効果だと思うけど、それにしては長すぎる…」

 

 イレイザー・ヘッドの個性は強力だが、それなりに完全に個性そのものを消すことは不可能だ。

 そもそもの条件が「個性を発動し、瞼を閉じる迄の間」なので、長時間続く訳でもないのだが…

 いや、大体個性の効果なら多少は仕方ないのだが、何分闇アイテムで個性を消すなんて言う事例は今までに無い。

 個性を活性化される「トリガー」や、使用者を「巨大化」させるアイテムならなくも無いのだが…

 

「其れって…夕焼さんと同じ現象じゃ……」

 

「なんやて…?」

 

 茫然とする芭蕉のポツリと溢れた言葉を、ファットガムは決して聞き逃さなかった。

 

「今の話本当か?」

 

「えっ、あ…はい、その……実は……」

 

 

 

 

「夕焼ちゃんも環と同じコレ埋め込まれて、個性ならぬ忍術使えなくなったってオチか…こりゃあ益々胡散臭くなってきたな」

 

 芭蕉から追って詳しい話を聞いたファットガム一行に、他の一同は唖然とする。

 

「そんな…相澤先生よりヤベェじゃねえか!あの人確か忍術までは消せないとか言ってたし!!」

 

「俺は…忍学生と深く交えたり、こうして協力関係に身を結ぶのは初めてだから上手くは言えないけど…これって君達にとっても致命的のはず…君らはコレの事、知らなかったのか?」

 

「忍術を消す弾は聞いたこともありませんね…今度、小尾斗教官にも時間が有れば聞いてみますけど…私達悪忍は、大抵こう言った裏の品物は座学で知ることが多いので、実物は見たことありませんけど……個性と忍術を消す闇アイテムは、少なくとも……」

 

「そ、そんな恐ろしい物が都会では流行ってるのですか…?ああ……都会とは私が思ってたよりも残酷で、闇に染まり黒いものが漂って…」

 

「夕焼先輩、都会は未知の領域じゃないッスよ」

 

 萎縮してしまう夕焼に、隣で切島が苦笑しながらツッコミを入れる。

 

「けども気ィ引き締めて、コレ調査した方が良さそうやな。少なくとも、相当ヤバイもんやと思う。長年警察の手伝いしてたり仕事に手ェ付けてたから解かる。直感やけど」

 

 個性だけでなく忍術までと来た。

 本来なら個性は個性のみ、忍術は忍術のみに固定し、両方に影響を及ぼす事はあり得ない。

 ファットガムは忍社会に関しては無知な部分は多いが(その分、邪険扱いしてないのも含めて)、昔は警察に似た仕事に手を出していたので、長年の勘が言っているのだろう。少なくともファットガムは警察の仕事に詳しいので、薬物や違法アイテムの取締も頻繁に行っていたので、間違えは殆ど無いと断言しても良いだろう。

 

(個性の活性化やら巨大化やらは、超常にしては普通に出回ってるし、大体が粗悪品として乱用されてる…

 個性の活性化は衰弱した個性の救済アイテムを元にして作られ、政府からも認められてるからこそ厳重な管理や関係者以外の人間が手を出すことを禁じてる…

 

 せやけど何や?個性を消すっちゅーアイテムは、長年警察に関わってた俺でも今日で初めて耳にしたわ…なぁんか益々、怪しいなぁ)

 

 心に張り付いた暗雲は、簡単に拭うことも晴らすことも出来ない。張り付いた不穏の根が張り巡る。

 考えたくは無いが、後々に自分達の調べてるコレが、大きな大事件へと向かっているのではないかと、不穏な予感が過ぎてしまう。

 

(こればかりは用心した方がええのかもなぁ…)

 

 真に賢しい敵は闇に潜む――

 これから先の未来など、誰も知らない。

 何が起きて、何が待ち受けるのか、それを知る術は自分達には存在しない。

 

 事態を収拾した後、事務所で仕事を終え解散するものの、一度心に募った暗雲は、全員易々と晴れそうにもなかった。





月閃中等部のご報告&キャラクター紹介

蛙吹梅雨

ヒーローネーム『フロッピー』

所属:雄英高校ヒーロー科1年A組
誕生日:2月12日
血液型:B型
出身地:愛知県
好きなもの:雨、ゼリー
戦闘スタイル:中距離支援

ステータス ランクC

パワーE
スピードC
テクニックB
知力B
協調性A

個性技:フロッグキック
敵一体に中ダメージを与え、低確率で毒を与える[クールタイム中]

必殺技:カエルハンマー
敵三体に特大ダメージを与える[クールタイム中]

リーダースキル
[ヒーロー学生][忍学生]の攻撃力と体力を20%アップ

パッシブスキル
自身の毒を無効化する。


リンクスキル
トリッキースタイル 攻撃力が30%アップ
対象キャラクター 蛙吹梅雨+トガヒミコ

蛇と蛙 攻撃力50%アップ
対象キャラクター 蛙吹梅雨+日影

期待のインターン生徒達 攻撃力50%アップ
対象キャラクター 麗日お茶子+蛙吹梅雨+波動ねじれ+総司

雄英高校ヒーロー科 攻撃力10%アップ
対象キャラクター 蛙吹梅雨+雄英高校


閃光「蛙吹梅雨、個性そのものが蛙と言った異形系でありながら人間に近い容姿…何よりも冷静に分析と判断、予測を立て凡ゆる不測な出来事を対処する事に長けてる。サポート役、味方側に付くとかなり強いし、連携も上手く発揮できる期待のヒーロー星か」

月光「蛙のことは大体出来るそうで、舌を伸ばすだけじゃなく、毒を分泌したり、跳躍力も鍛えられた忍と同等!しかもヒーローネームのフロッピーっていうのが愛嬌あって可愛らしいわよね♪」

閃光「可愛いかどうかの感性は置いといて…確か妹や弟がいるんだよな?父と母は仕事で出勤…姉というのは初見からは考えられないが、しっかり者だからこそ面倒見が良いというか…」

月光「あら、閃光もお姉ちゃんが欲しかった?」

閃光「そ、そういう意味じゃない!!両親が多忙の身で家に帰って来るのが遅く、家事の全部は自分でやってるんだろ?オールマイトが不在の今、全寮制になった以上…弟や妹の面倒はどうするのかと思ったんだ」

月光「ああ、それなら問題ないそうよ。全寮制になれば必ず親御さんと面談するでしょう?その際に母親がなるべく帰宅する時間を早めて家事に専念するんですって♪」

閃光「そうなのか、それなら心配ないな」

月光「ただどうしても外せない仕事もあるし、ずっとじゃないから、そこは夫と一緒に協力して、日にちを調整してるらしいわよ。私達の家庭は特殊過ぎるから、そう言う心配はないけど…」

閃光「まあ…一人でも何とかなってしまうし…何も言えないよな」

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