光と影に咲き誇る英雄譚   作:トラソティス

170 / 253


先ほど投稿したのは間違えて途中やりのを投稿してしまいました。
混乱を招いた方、誤った投稿、どうかお許し下さい(泣


169話「死穢八斎會」

 

 

 

インターン生徒に待機命令を出してから数日後――深夜の11:30から一斉送信で情報が送られた。

 

 ――死穢八斎會邸突入、被害者(エリ)の救出保護決行日――

 

 八斎會の調査に赴くヒーロー達、忍達の端末から届いた通知に、緊張感が増す。

 とうとう…ついに、この時がやって来た――

 どれほど待ち侘びたのだろう…たったの数日間、だがしかしそれでも少年少女達にとっては充分に長いもので、その間にエリがまた異能破壊弾を精製してると想像するだけで、胸糞悪さが倍増してしまう。

 

 相手は血も涙もない、非道なヤクザ――小さな組でも、大きく警戒する必要がある。

 その気になれば超人社会を変え、危機的な状況に追い込ませる事が可能なのだ、個性破壊弾の他に、何か隠してることもあり得なくもない。

 

「ついに…決行の刻が訪れた…」

 

 端末を開き、一人口に零す雪泉は、携帯画面を睨みつける。

 外見は少しボロボロで、神白教官にこっぴどく指導を受けた形跡が残っている。

 だが…僅かな短期間でも、充分に価値のあるもので、それなりの成果は得られただろう。

 

「待ってて下さいねエリさん、私は必ずや…貴女を救いましょう」

 

 今思えば、自分はこんなにも変わったのだなぁと、心の中で呟く。

 黒影お爺様が亡くなり、正義の後継者になることを望んだ自分は、余りにも純粋過ぎた。

 悪こそ滅ぶべき存在であり、弱者も、悪と繋がる善も死ぬべきものだと決めつけていた。だが、今となってはもう過ぎた話で、現代(今)の私は、小さな女の子を救う善忍だ。

 黒影の弟子でもあり、月閃を導く選抜筆頭。

 インターンに於いても、何処へ赴こうと、忍の業を背負う限り、その誇りは永遠に張られ行くものだ。

 

「――黒影お爺様…教官が言ってました。努力は万能ではない…と。

 己が研鑽した力は必ずしも、全てに於いて通じるとは呼び難く、役立つとは限らない。

 必ず成功する保証は何処にもなく、嘗て私達がお爺様の理想を叶えるべく、絶対的な力で悪をこの世から無くすことを誓ったあの夢は、努力を重ねようが叶えれるものではない、幻想だったと…今なら充分に理解できる」

 

 黒影お爺様も病室の寝床に伏せていた頃は、自分たちにそう言いたかったのではないか?

 嘗て忍として道を誤め、抜忍として追われていた自分と同じ境遇にはさせまいと――月閃入学の刻、全盛期の頃だった自分の所業を話したのは、自分が理想を叶える後継者ではなく、間違った正義に偏るのを防ぐため、自分の首を絞める愚行を阻止するために、腹を括って話したのだ。

 

 だからこそ、学炎祭を通し、神野区を終え、インターンに参加して改めて理解した。

 

 

 自分の培ったこの力は、己の全うすべき使命の為に存在し、誰かの笑顔を作り、誰かの幸せを守り、誰かの未来を明るく照らす。

 

 誰かの為に、善を成す力なのだと――

 

 

 

 

 

 

「はああぁぁ!?!本拠地にいるぅうぅ!?」

 

 決行日の朝一――インターン所属の者はサー・ナイトアイ事務所に集合し、ミーティングを行うことだった。

 数日間丸々いなかった学生達にとってはちゃらんぽらんではあるものの、プロヒーロー達の仕事のお陰で漸く乗り込める時期になったのだが…

 

 サー・ナイトアイの調査によると、本人はそのまま何処かへ逃亡を図らず、別の基地へ移動することもなく(そもそも八斎會邸以外存在しないことが判明)、ただただ本拠地にいたそうだ。

 これはサー・ナイトアイ自身の証言により実施された、嘘偽りのない真実だ。

 

「しかし良く分かったな、プロが八斎會の関連施設近辺を調査していたにも関わらず…どうやった?」

 

「先日、近くのデパートで構成員が女児向け、天誅ガールズ♡と、モーレツプリユア10!シリーズのフィギュアを購入してた際に予知を使いました」

 

「なんやそのギャグ展開!!ちゅーか今の聞いて俺の脳が震えたんやけど!?どー言うこっちゃ!なんで女児向けやねん!世界が広いとかそーゆーもんか?!」

 

「そうですね、あの年頃でもそう言う趣味を持つ人間はいる…大抵の大人、勿論私もですがリゼロのレムやごちうさのチノをチョイスするのが妥当…ほら、序でに私も買っちゃいました。今作はリアリティが実現されてて大変興味深い…」

 

「そう言う問題ちゃうやろ?」

 

 この時、サーに対して全員の脳が震えた。

 具体的にどう言葉を発せば良いのか分からないが、こんなサラリーマンな格好をしたオッさんが美少女フィギュアをマジマジと眺め…いや、フィギュアに対するオタクの性質は分からなくもない。人の趣味や好みをどうこういう権利は少なからず自分達にはない…のだが、自分達があれだけ必死に八斎會の調査に全力を尽くしていたのに、この男はフィギュアを買いに行ってたのだ。

 

 

 敢えてもう一度言おう――脳が震えた。

 

 

「どうして美少女フィギュア買った際に予知を使って、八斎會の居場所を暴いたんだ?話しがブッ飛んで頭が回らないのだが…」

 

 主に脳が震えたせいで――とは口に出さなかった。

 

「八斎會の構成員の言葉に引っかかりがあった…本当にプリユアと天誅ガールズが好きなら、10年前のプリユアの名前が出る筈もなく――」

 

「アレだけ人前で予知使うの躊躇ってたのに良いのかよ!」

 

「言った筈だ、これは奥の手…いざという時の為に使う最終手段。そのお陰で八斎會の本拠地にエリちゃんがいる事も判明――」

 

 その他――令状の作成、若頭が家にいる時間帯も把握、八斎會のリストも、一通りの準備、必要不可欠な要素は全て整えた。

 後は奴等の本拠地に乗り込み、被害者のエリちゃんの安全な確保と、八斎會の構成員の身柄を取り押さえるのが目標だ。

 

 

「漸く万全な準備が整った――今日より警察と共に八斎會に突入!!」

 

 策を練り、より成功に近い確率へ上げ、今日を以ってエリの救出が決行された。

 

 

 

 

 

 八斎會邸宅――幾つもの地下室が造られた迷路屋敷。

 地下の構造は届出をしてないし、オーバーホールの個性で成り立ってるので、サー・ナイトアイが予知を使う前までは知る由もなかっただろう。

 

「若、何処に行くんスか?」

 

 和室へと入ろうとする治崎に、死穢八斎會『四天王』の一人――切裂竜燐は愛用のペストマスクを装着しながら、問いかける。

 煌めく竜の鱗は日の当たらない廊下でも輝きを放ち、キラキラと光る鋭利な鱗は、触れただけで裂かれそうだ。

 

「ちょっとな、親父に挨拶してくる。準備は終わったか?今日の朝一は随分と騒がしい…」

 

「何時だって何処だって、若の夢を叶える為の準備はしてるッスよ俺たち。その為なら命を投げる行為だって躊躇わない」

 

「そうか、良い心がけだ」

 

 竜燐の言葉を聞いた治崎は軽く頷くと、襖を開ける。点滴を打ち込まれてる老人は、瞼を開けず、ただただ植物人間のように眠っている。病院でよく見る備品が揃っており、ベットの上で伏せてる老人に優しく、声を出す。

 

「悪い、親父…今日は一段と騒がしくなりそうだ」

 

 

 

 

 

 

 

 死穢八斎會本拠地の玄関前――警察署から協力の了承を得て、数百人の警察官が邸宅を囲い、ヒーローは勿論、忍と言った学生、三勢力が一つとなって結託し、本拠地の前で構えている。

 

「八斎會の構成員、主に重要な人物の個性を洗いざらいリストアップしました。攻め入る前にチェックを、個性で駆使されてしまえば捜索は難航してしまう」

 

 全員に手渡された個性一覧を見渡しながら、聞いたこともない個性がチラホラと伺える。

 この先、エリの救助を妨害する輩は必ず増える。だからよりエリ救出の可能性に近づく為に、警察も少ない時間と労働を強いて資料に纏めることが出来た。

 警察や探偵業のようなことがら…隅から隅までやることは山積みであり、手続きが必要であり面倒な部分もある。因みに警察に関してはヒーロー学科でも教えてくれないので、新人ヒーローはかなり大変だったりもする。

 

「あの、すいません塚内さんはいないんですか?グラントリノさんもいませんし…」

 

 全員がリストに目を通す中、緑谷が控えめに手を上げて発言する。

 

「ああ、塚内なら連合の件でな…向こうの捜索で動いたと情報が入ったらしい。グラントリノも付き添いと調査の手伝いとして加担しに行ったよ」

 

 塚内とグラントリノは、黒霧が動いたと情報が入り、其方に出向してるようだ。

 黒霧という組織内での最重要人を捕らえれば、捜査も捗り此方側は重畳。逃げ道を外堀から埋め、連合を捕縛。ワープゲートが希少な上に対策も難航するので、滅多にないチャンスだろう。そう考えると、特殊部隊のグラントリノと塚内がいないのも頷ける。

 

「成る程…そうだったんですね!」

 

 もしかしたらだが、八斎會と共に敵連合を一網打尽!なんて展開があったらと想像すると胸が弾む。刻一刻も早く、奴等の居場所を突き止めて、捕まって欲しいのが緑谷の本音だ。

 

「ヒーローと忍、多少は手荒になっても仕方がない。少しでも怪しい挙動や反抗の意思が見えたら、直ぐに対応を頼む!」

 

 相手は仮にも今日まで生き延びた極道者――油断は禁物、己の責務を全うすること。

 

「じゃあ、令状バーッと読み上げて行くから、速やかに対応をお願いします!」

 

 警察官のリーダーが、深々と頭を下げ、玄関前のインターホンへと歩み寄る。足音を立てないよう、此方側に気付かれないように――

 

「それにしても、初めてだな――善忍と共に任務に当たるだけでなく、ヒーローや警察と一緒か…なんとも複雑でもあり、不思議な気分だ」

 

「同感ですね、当初の私でも想像つかない事でしょう…悪忍と共に任務に当たるなど、昔の私だったらどうかしてた」

 

 インターン活動の待機命令を出されてる中、数日間こっぴりみっちりと教官にしごかれた二人は、横に並び立っていた。

 僅かな数日間でも、大海原の一滴ほどでも、努力を自分のモノに出来ただけまだマシで、力は付いてる方だろう。

 雪泉も同じく――だが彼女にとって教官に鍛えられた数日間は、何週間分もの鍛錬を積んだと自負しても良いだろう。

 神白教官の言葉を、雪泉は思い出す。

 

『良いですか、自分よりも上の存在と対峙し闘うことは貴重な時間です。普段貴女達が独自に行う修行よりも効率が良く、私の修行を受けるだけで一日に一週間分の実力が付くと想定しなさい。

 

 独自で実力を高めるよりも、上の者との戦闘は己の強さを飛躍的に伸ばします。だから、私は貴女には特別、更にハードな修行を与えるので、どうか頑張って』

 

 とは言っても、至難の訓練が神白との手合わせ。

 秘伝忍法も容赦なく使ってくるし、と言うか寧ろほぼ反応が取れなかったというまでがある。

 彼女のスピードには全然追いつかないし、秘伝忍法も食らってしまうし…兎に角、徹底的に滅多打ちにすると言わんばかりの猛攻な訓練を受けられた。これが選抜筆頭でなければ、天に召されてただろうとさえ考えてしまう。

 

「ケッ、何でも良いけどよ、本当に忍学生連れ込んで大丈夫なのかよ。善忍や悪忍を信じる警察もどーかしてるぜ」

 

 舌打ちをしながら、忍学生に悪態を吐くロックロックは、大変ご機嫌斜めである。其れは勿論、雪泉や雅緋だけでなく、近くのヒーローにも聞こえるような声の音量で。

 

「随分と、私たちは嫌われてるんだな」

 

「ったりめーだろ、テメェら信じて背中を刺されるなんて御免だね。直ぐに署に放り込まれろってんだ」

 

「嫌なこと言うやっちゃな…もうそういうの関係ないってテレビでもゆーてたろ?本当に感じ悪いなぁお前さん」

 

 雅緋と雪泉への棘の刺さる言葉を吐き散らすロックロックに、横で環にカジキを食わせてるファットガムがムスッとした反応で反発する。

 

「フン…!まあ良いさ、今回の任務で何の害もなく、足手まといにならないなら忍への見方も変わってやるよ。

 其れにだ――相手は敵のみしかいねえ八斎會。今日まで陰でコソコソと怯えながら生きてきた日陰者に、社会の陰でコソコソ仕事を働くコイツらともお似合いだろう」

 

 八斎會は今日まで生き延びた弱小組織――ヒーローの解体から逃げ果せただけで、実際はマトモに闘り会える訳でもないと断言するロックロック。

 

 チャイムが鳴った刹那――

 

 

 

 

「なんなんですかぁ――?」

 

 

 

 

 轟――!!と豪快な破壊音と共に、呑気なセリフが耳を打つ。

 玄関が拳で破壊され、警察官の数人が吹っ飛び、拳が壁を抉り壊す。

 

 ――は?

 と、全員が唖然とする真中、もう片方の拳が壁を壊し、今度は目前の忍学生に拳を打つ。

 

「クッ――!?!」

 

 玄関から突如現れた巨漢の拳を、麗王は咄嗟にレーザーブレードを抜いて受け止めるが、屈強な拳はそのまま彼女を押しのける。

 ペストマスクを被る大男は、更にもう一撃と拳を振りかざす。

 

 

「なッ――にいいいぃぃぃぃ!!??」

 

 

 まさか玄関で待ち構えてるとはいざ知らず、更に一言加えればチャイムを鳴らした瞬間に相手が攻撃してくるとは、想像も付かなかった。

 

「ったく、迷惑なんスよねぇ…朝っぱらからこんな大人数で〜…」

 

「力也だ!八斎會の幹部――『活瓶力也』!!おいおいオイオイ誰か早くコイツを止めてくれェ!!」

 

 死穢八斎會・八斎衆鉄砲玉――活瓶力也

 個性――『活力吸収』 体に触れた相手の活力を吸収し、体のサイズを大きくするパワーファイターな個性。

 活力を吸われると弱体化してしまい、大きくなるに連れてパワーも強力になるので、真正面からの殴り合いはかなり不利である。

 

「おぉ?何、俺の個性知ってんの?つか忍と組んでるってやっぱりマジか、よく見たら美少女もいんじゃん、ははっ!おっぱいデケェ!!」

 

 嘲笑を浮かべながら、間合いを拳でひたすらブン殴り、暴虐の限りを尽くしていく。

 

「よし!吸ったから少し元気が湧いて来たぞぉ〜…!もぉ〜こんな朝っぱらから…何の用ですかぁ!!!」

 

 渾身の拳を、銃口を向ける警察官に振るう。

 此方も対抗するべく構えるが――

 

「どけッ――邪魔だ」

 

 空中を飛び、警察官の群を飛び越える総司は、華麗な動きで鎖鎌を巧みに扱う。

 

「おいおい金髪嬢ちゃん!エロい身体してんなぁ俺と一発ヤらせろよおぉ!」

 

「下衆が――身の程を弁えろ」

 

 総司の熱の籠らない冷徹な言葉と共に、首を鎖で巻いて行く。矛先として振るわれた拳は、総司に直撃せず――

 

「ここは私たちリューキュウ事務所に任せなさい」

 

 突如として巨大化したリューキュウが、力也の拳を受け止める。

 巨大化――正確には発現型と言えよう、四足歩行と巨大な翼を広げるドラゴンに変身したのだ。

 

「彼はリューキュウ事務所で対処し、貴方達の後を追います。皆は引き続き仕事の方をお願いします」

 

 そのまま、総司が地面に着地し、鎖鎌を思いっきり下に振り降ろすと――

 

 ――ズドォン!!

 

 

「がぁハ──ッ!?」

 

 

 顎を打ち、地面に倒れ伏せる。

 起き上がろうとする力也をリューキュウが押さえ込み、完全に抵抗出来ない状態にさせ、身柄を拘束する。

 

「サポート回るよ!」

 

「ケロ」

「はい!」

 

 ねじれ、お茶子、蛙吹の三名はリューキュウのサポートに徹し、総司はリューキュウと同じく抵抗する暇を与えないよう全力を尽くすまで。

 

「もうよぉ分からんから早よ行け!!乗り込むでカチコミや!!」

 

「いきなり幹部のお出ましとは…私達を妨害する気満々だな…!」

 

 ファットガムの横で悪態を吐く雅緋は、皆と同じく流れに沿うよう動いて行く。

 

「雅緋、芭蕉」

 

 ふと、そんな殺到とする人波の中、力也を抑える総司の声が、耳に届く。

 

「しくじるなよ――」

 

 短く、でもって力強く頼もしい総司の言葉が胸に届く。人混みが激しい中、雅緋だけでなく芭蕉にも想いは伝わり、自然と心が熱くなる。

 

「ああ――!

「はい!有難う御座います総司さん!」

 

 後輩に、同年期に、期待と共に仕事を託された二人の心は熱く灯火が点く。ここまで言われて、益々失敗は許されない。

 プレッシャーではない、己の内から噴き上がる使命感が、より強く二人を衝き動かす。

 

「蛙吹さんに麗日さん、ねじれさんも…感謝します――!!」

 

 リューキュウと総司のサポートに徹する三人に視線を飛ばしながら、雪泉は滑走の如く八斎會邸へと足を運ぶ。

 こうなった以上、正面から動いてサーから渡された地下ルートのマップを真っ直ぐに突っ走るしかない――

 

 

 

 

 地下ルート――暗くジメジメとした廊下を歩きながら、治崎は訝しげに眉をひそめる。

 

「思ったより、早いな…」

 

「これ、大人数が一斉に押し寄せて来てやすね。同じ方向に、全速力で――つまり、行きたい場所が決まってる、多分ここの地下室のこともバレてやすね…見つかったらおじゃんですぜ」

 

 若頭補佐クロノは、天井を見上げながら呟く。

 地下ルートがバレてもなお、声のトーンは変わらず、冷静なままである。

 

「いつかはこうなると想定してた…だが、準備が整った今は此処も時期に必要と無くなるし…

「俺は此処にはいない」「アイツらが勝手に暴れた」そう言うことにしておくか…その為に育てた駒がいるし」

 

 治崎は側に置く人間を選定すると、マスクを着用させた側に人間を置き汚い仕事をさせる。汚れた人間にマスクを付けるのは、同じ空気を吸いたくないからであり、信頼ではなく駒としての証明である。

 

「死穢八斎會鉄砲玉、そして死穢八斎會四天王――」

 

 十二人の駒が刺客として奴等の行方を阻む。

 アイツらが時間を稼ぐその間、エリ諸共――全て運んで隠し通す。

 

 鉄砲玉――即ち己の命を顧みないヤクザの世界ではよく使われる者のこと。敵対者を問答無用で殺し、最悪の場合はその場で命を堕とすこともある。

 それらの死すら顧みず、オーバーホールの為に命を捧げ、邪魔者を徹底的に排除する。

 

 その中で屈指の実力として選ばれたメンバーが四天王。

 奴等もまた、全力で侵入者を排除するだろう。

 

 或る者は――煌めく鱗を研ぎ澄まし

 或る者は――二本の黒刀を携帯する、短髪な青髪の幼女

 或る者は――体が黒くゴム質で造られたかのような、表情が読めない大男

 或る者は――ひょっとこの面を被り、踊り狂う男

 

 

 賽は投げられた――

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。