光と影に咲き誇る英雄譚   作:トラソティス

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もう最近やる気がなさすぎて小説が捗りませんダレカタスケテ…もはや飽きてしまう。最近は閃乱カグラにすら飽きが増してしまった…ただいま絶望中。
閃乱カグラに刺激が足りないし、ヒロアカはやっと
敵連合が面白くなったところでヒーローサイドに戻ってしまった…


184話「ガッツだレッツだ烈怒頼雄斗!」

 

 

 

 

 

 

 正義の鉄拳と言わんばかりに、切島の拳は切裂の頬に直接減り込む。いや、減り込むというのは少々語弊だったか、正確には殴り飛ばしたのが妥当だろう。

 何せ、切島の硬化による打撃を以ってしても、切裂には重傷は与えれず、肌がぶつかった衝撃で体制を崩しただけなのだから。

 

(硬え…!全身を覆う鱗のせいで、衝撃が伝わらねえ…!!)

 

 何度か対人戦闘を交わしたから理解できる――切裂竜燐に、自分の個性が通じていないのだと。

 鱗による殺傷力は、切島の硬化を関係なく皮膚を傷つけ、殴打の拳も全く手応えがない。

 殴った時の衝撃による反動が、返って自分の拳に襲いかかり、微かに表情を歪ませる。人間は人を殴る際、躊躇いや情けを捨てた全身全霊の打撃を与えようと、骨に伝わって痛みが生じるのだ。其れを切島は硬化によって完全に痛みを遮断し、ノーリスクで殴ることが出来るのだが…今初めて味わった感触は、人が人を殴る感覚に近くとも遠からず、拳の皮膚が鮮明に痛覚を浴びていた。

 

「おい、痛えじゃねえか」

 

 次に感じたのは、切裂のドスの利いた言葉だ。

 刃物のように鋭い眼光で切島を睨み、そのまま蹴りで横腹を叩き込ませる。

 強烈な一撃が、切島に痛みの感覚を与える。

 

「ッおあぁ!?」

 

 何の増強系でもない、ドーピングなしの蹴り。だが其れは切島の硬化の状態を以ってしても、ダメージを与えているということになる。

 

「ぐぁ…!!」

 

 その勢いに流され、切島はつい態勢を崩して倒れ込んでしまう。肺の酸素が吐き出され、同時に嘔吐物が吹き溢れそうになるのを必死に押し殺す。

 本来ならこれくらいは踏ん張る事が出来るのだが、泥酔による効果が残っており、元々の実力を遺憾なく発揮出来ないのだ。

 

「切島さん!!」

 

 大きな火力を上げた重い一撃を見事酒木に食らわせ、戦闘不能にした麗王は、秘伝忍法の反動と泥酔の効果によって、体の体制が可笑しくなる。

 

「どうやら…酒木を倒した所で、奪われた平衡感覚が戻るという訳ではない……倒しても尚、悪影響が続くとは…」

 

 戦闘不能に陥っても、相手に悪影響を持続させるのは実に鉄砲玉らしいやり方だ。酔いの効果が切れる効果時間も不明なため、打開策はないだろう。

 安静にする暇も余裕もない中、かなり厳しい闘いになるだろう。

 

「しかし、与え続けられるよりかはマシ…刻一刻が迫ってる中、切島さんに加勢しなければ…」

 

 レーザーブレードを杖代わりにして立ち上がる麗王は、息を切らしながら明確に切島の元へ駆け寄る。

 

 

 

 

「おらああぁーーーッッ!!テメェ、いい度胸してんじゃねえか!!皮剥かれて臓器売られる覚悟は出来てるんだろうなぁ!!?」

 

 激情してる切裂は、倒れ込む切島目掛けて、何度も蹴りを食らわす。切島は身を硬めながら、相手の攻撃を必死に耐え抜くので精一杯な様子だ。あの切島が、珍しく押しに負けている。

 

「ごぁ…!コ…イツ……俺と、同じ…個性か…?」

 

 蹴られながらも、相手の個性に何かしら疑問を抱いてた切島は、つい言葉を零す。

 硬化をしている切島が、切裂の単純に殴る蹴るだけで痛手を負わせるのは、考えられない。筋肉が緩んだ隙を突いたり、硬化以上のパワフルでヘヴィーな攻めはともかく、とても切裂がそうだとは考えられない。だからこそ、考えられるとすれば――鉄哲と同じく自身の個性と類似していれば、何も可笑しくはない。

 

「あぁ…?あー、個性か…お前は大方、体をガチガチに硬めて特攻かます肉弾戦を得意とする個性か。

 にしても俺の刃物が通らねえなんて、根性と頑丈な個性は認めるが…俺の前じゃ意味がねえな!!!

 

 だってお前は俺の――完全なる上位互換なんだからさッ!!」

 

 切島の漏らした言葉は、切裂の個性を当てていた。

 切裂の個性は『鱗刃』――ただ刃物と化した鱗を自身で剥がして武器にするだけではない。全身が鱗を覆うのであれば、全身が鋭利な刃物を浴びたトカゲ――即ち、全身が武器であり凶器なのだ。

 そして頑丈な鱗は砕きにくく、全身を浴びていれば自らが盾にもなれる。つまり――切裂竜燐の個性は…いや、『存在そのもの』が、矛と盾なのだ。

 其れは切島鋭児郎や鉄哲徹鐡をも凌ぐだろう。

 

「なぁ、どんな気分だ!?自分の個性で誰かの役に立てる気分は?最高だろうなぁオイ!!体が硬くなるだけで、自由に使えるだけで、お前は充分に恵まれてるってのに、ヒーローなんて病気に浸って良い夢見て、正義ぶりやがってよぉ!!!そんな烏滸がましいテメェらを今まで目ぇ瞑ってたのに、今度は若の計画を潰そうとするんだ。ちょっと身勝手過ぎやしねえか!?」

 

 ドカッ、ズカッ――!!

 何度も足で切島の頭に蹴りを入れるも、腕で頭部を守る。凡ゆるものを切り裂く強靭な刃物は、硬化の個性を無意味にする。

 

「それを踏まえて『若と俺の夢』を邪魔しようとするんだ――大概にしろよなぁオイオイおい!!!」

 

「ゆ……め…?」

 

「もう時期、個性も忍術も…いや、能力という概念そのものが消え失せる!俺たちの念願が叶えれるんだもう直ぐ!!それを、お前らが来たことが邪魔だって言ってんだよ!!!」

 

 言葉の意味が解らなかった――だけど、其れは最初だけ。痛みに堪えながらも、切島の頭に過ったのは、エリという小さな子どもだ。

 まだ見たこともない、だけど協議会で話し合った内容が、直感で切裂の発言に繋がった。

 

「何でこんな、邪魔をされたくねぇッて時にテメェらがやッ――「はああぁぁぁ!!」ッ――!」

 

 今度は拳に力を入れて、頭蓋骨を殴り殺そうとした刹那――麗王の獅子の咆哮に似たけたたましい叫びが、注意を逸らす。

 レーザーブレードを握り、宙に飛びながら目掛けて此方に斬りかかる彼女に、攻撃の対象を変える。

 

「なんだ?酒木の個性が切れたか!?」

 

 何ともない様子で此方に攻撃仕掛ける麗王に、若干表情を歪ませるも、直ぐに冷静さを保ち、腕の鱗を逆立てる。

 ピキピキと音を立てながら、腕をブレード状の凶器と化し、相手のレーザーブレードを防ごうとする。

 

(いや、切れようが強がってようが関係ねえ!如何なる侵入者は排除する。其れが俺たちに課せられた任務――殺す順番も関係ねえんだよ!!)

 

 ガギイィン――!!

 金属同士が打ち合った音が、鼓膜を激しく揺るがす。レーザーブレードに自分の全体重を乗せ、押しに入る麗王。切裂はガラ空きになってる麗王の腹部めがけて、もう片方の拳を振るう。

 突き刺すように、拳が腹部に入ると、麗王は思わず苦悶の表情を歪ませ、吹き飛ばされる。

 

 床に擦れるように吹き飛び、頬の皮膚がめくれそうになる。摩擦による熱さ、髪も汚れ、衣装も汚れてしまう。

 

「おらぁ!!」

 

「がッ…!」

 

 次に、倒れこんでる麗王の腹部に蹴りを入れる。

 ザクッ!と肉を抉る嫌な音が、鼓膜を震わせ、心臓の脈を打つ。切裂は言うなれば全身が狂器と捉えれば、足による蹴りも、深傷を負うことになる。忍装束から、赤い鮮明な血が染み込み、続けて何度も蹴りを入れる。

 

「テメェらが何者かになれるなんて、小せえ夢を描いてる時点で病人なんだよ!!お前らが若を止める?八斎會を止める?其れ自体が間違ってんだよ!!」

 

 最後にトドメの一撃、脳天を貫くように勢いを付ける。殴ると蹴るだけで、簡単に人を殺めることが出来る切裂は、そのまま麗王を殺すべく――

 

「待ち…やがれ!!」

 

 ことは出来なかった。

 勢いをつけて足を後方に掲げた切裂の足を、切島が手で鷲掴み、制止する。掴まれたことに、一瞬の不快感が溢れ出る切裂は、視線を向ける。

 

「…なんだテメェ、邪魔するんじゃ――」

 

 ふと、視線を向ければ――切島の手はガッチリと足首を掴んだまま、己を睨みつけている。其れ自体に何の違和感も抱かないだろう、しかし切裂はふとある事に気づく。

 

(…硬え…?しかも、血ィ、流れてねぇぞ?)

 

 これだけ力強く握り締めれば、掌に裂傷が響き、血塗れになるだろう。だが掴まれたという感覚だけが強く残り、後は何も残らない。血の一滴さえも見当たらない。

 

「……れが……まえの、……たかった……かよ…」

 

「……?」

 

 弱々しく、声が掠れて上手く聞き取れない切裂は、訝しげに眉をひそめる。声が小さく、細く、掠れてる切島は、精一杯腹に力を入れて、声を振り絞る。

 

 

「――それがお前のやりたかった事なのかよ!!!」

 

 

 掴む足首をひっぱり、態勢を簡単に崩してしまう切裂は「しまった」と初めて動揺する顔立ちを見せ、咄嗟に乗っかられることを判断したのか、腕を交差して防御の姿勢に入るも、切島はボロボロな体に鞭を入れるよう立ち上がり、顔面目掛けて拳をかざす。

 

「お前が叶えたい夢ってのは、誰かを傷つけなきゃ成せねえのかよ!!ふざけんじゃねえぞ!!!」

 

 如何なる敵にも其々やむを得ない事情は幾つかあるだろう。

 人間誰しも、産まれた時から敵になることを宿命付けられたわけじゃない、何かしらの理由があってそうなったのだ。

 自分でもどうすれば良いか分からず、無闇に相手を傷付けてしまう。それが己自身に傷を負うことも、切島は知っている。

 

 相手がどうだとかは知らないし、敵をやってるくらいなのだから、多かれ少なかれ事情はあるだろう。

 

 だけど――小さな女の子を平気で傷付けてまで、それは成し遂げなければいけないのか?

 治崎を重んじ、忠誠を誓い、盃を交わした相手でも、その娘が傷付き、涙を流してるのを平気で見捨てて良いのだろうか?其れは、あってはならないことじゃないか?

 

 そんな胸糞悪い事を聞かされて、黙って居られるような玉ではない。切島鋭児郎は、烈怒頼雄斗としても黙って見過ごすわけにはいかない。

 

 

「お前のやり方は――漢らしくも何でもねえ、卑怯者だ!!」

 

 

 漢なら、胸を張って前へ進め――もう、困ってる人間を前に、動けない自分を乗り越えろ。

 

 

「が――ハッ!!」

 

 ガチガチに硬められた拳が切裂の顔面に炸裂し、地面に叩きつける。後頭部に走る衝撃と、脳が揺らぐ錯覚に見舞われ、意識が吹き飛びそうになる。

 殴られた際に、思わず肺の酸素が吐き出されてしまい、頭がぐらついてしまう。

 

(こいつ――何でだ!?!何で傷が一つも……)

 

 これだけ殴れば、裂傷しても可笑しくはない。寧ろそうなってないと不自然だ。鱗が人にキズを与え、下手すれば致命傷に繋がるだろう。其れなのに、切島には傷らしい痕はおろか、血の一滴も…どういう事だ?さっきまでは、血だらけで苦しんでいたのに…出会って間もないが、こんな単細胞な筋肉バカが、演技をするとも考えられない。

 

「小さな女の子を泣かして、何も思わねえお前は、漢じゃねえ――!!」

 

 

 ガチガチと、金属が擦り合うように似て非なる音が反響する。これは、切島自身の体で発生してる音で、形は変わらぬものの、ヒビが入っていく。

 

 

「俺が合宿訓練を通してよつやく使えるようになった――!!もう、お前の攻撃は効かねえぞ!!!」

 

 

 凡ゆる攻撃を全身で防ぎ、防御を極限に高めた烈怒頼雄斗――その名も必殺【安無嶺過武瑠】。

 絶対倒れない盾となり、鉄壁となり、要塞と化す。

 凡ゆるものを粉砕し、壊し、刃物と化す。

 

(そうだよな、此処で俺が倒れてちゃ…エリちゃんだけじゃねえ、皆んな頑張ってるアイツらも、爆豪やダチにも顔向けできねえ…

 そうだよ、ここでやられて倒れてる俺は俺じゃねえ――)

 

 絶対無敵の状態になった切島は、熱く燃え滾る瞳を差し向けながら、言葉が脳裏に浮かぶ。

 

 

『倒れねえヤツが、一番強えだろ――』

 

 

 爆豪勝己が俺に言ってくれたあの言葉。

 ダチが…お前がくれた、たった一つの声、俺が考え抜いた答えの結果がコレだ。

 

 そういや、体育祭の騎馬の時…お前は俺と手を組んでくれたよな。アレ、実はさ…結構嬉しかったんだぜ?こんな地味な個性でも、俺を採用してくれたんだって。

 偶々、有利な個性だったからかもしれねえ…けどな、そのお陰で俺も強くなれるんだ。

 

「俺を見ろおぉぉ!!!」

 

 

 

 

 此方へ真っ直ぐ突っ込んでくる切島…烈怒頼雄斗に、切裂は立ち上がり、鋭い眼光を放つ。

 ギラギラと怪しく不気味な殺意の眼力は、威圧的で、憤りが含まれている。そんな切裂は何も反論せず、懐に手を突っ込む。

 

「ゲホ…ゴホ…!…な、にを……」

 

 している――そう声を振り絞ろうとする麗王は、ボロボロな体を無理やり動かし、戦闘の体制に入るも、彼の手に持つ道具に、目を丸くする。

 

 アレは――個性活性化のトリガー

 

 瞬時に悟った麗王は、全速力で走り切裂の背後を取ろうとする。酒木の個性の影響はまだ残ってるものの、付与続ける敵が戦闘不能になったからか、症状は回復しつつある。

 まだ足元が少し不安定だが、忍の重心バランスを上手く工夫して、カバーをすれば問題ない。光のレーザーブレードを伸ばし、斬りかかるよりも先に、切裂は

 

 

「だったら何だよ――」

 

 

 自分の首元に、違法薬物のトリガーを注入した。

 カラン…と、空になったトリガーは力無く手元から落下し、音を立てる。

 

「しまっ――」

 

 間に合わない。

 いやそれでも…せめて一撃は食らわす事は出来るだろう。そう判断した麗王は、そのまま一矢報おうと、大きく振りかざし、力任せに光の刃を振るう。

 

 

 

 だがそれは、いとも容易く弾けてしまう。

 

「効かねえよ…」

 

 硬質な鱗は、更に斬れ味と硬度が高まり、パキパキと音が鳴る。筋肉が強張り、血管が浮かび上がり、みるみると体は変貌を遂げる。

 レーザーブレードは、切裂の肌を通さず、そのまま払いのけると、彼女も勢いに流されるように押されてしまう。

 

「なんだ…?!」

 

 安無嶺過武瑠状態の切島は驚嘆し、ガチガチになりながら目を丸くする。

 体がみるみると大きくなり、ペストマスクは突き破れ、全身の鱗は逆立ち、爬虫類のような大きな口は開かれる。瑠璃色の瞳を輝かせながら、トサカ、腕、背中はブレード状になり、爪は伸び、人型から四足歩行の獣に変化をしていく。

 

 入中から貰った違法薬物のトリガーは、かなり効果が高く、個性を伸ばしてくれるようだ。本来なら粗悪品や効果が悪いのもあるのだが、どうやら当たりらしい。

 

 

「グオオォォォオオォオォォーーーッッ!!!!」

 

 

 人という形を捨て、化け物の如く竜へ変貌した切裂は、野生の獣のように切島を睨む。涎を垂らしながら、舌なめずりをし、四足歩行で歩み寄る。

 

「コッちモ…無敵…ダ……ヴァルルゥ…!!」

 

 

 トリガーによって強制的に覚醒した切裂は、ファンタジーな物語に現れる、ドラゴンのようだ。

 まだ、闘いは終わらない――

 

 

 






これ後少しでインターン編が1年間も続くことになる…早く終わらせなきゃ……てな訳で、作者はかなり焦ってます。
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