今回ちょっと尺というか、内容的に少し短めですが、それを踏まえてお久しぶりです。偶に間隔開けると、話の内容なんだったか?どういう流れにしたかったんだっけ?というド忘れ的なものが生まれてしまう。助けて。
ノートに纏めとかんといかんなぁ。
蛇とは爬虫類にしてヘビ亜目に分類された、四肢の無い肉食性の有る動物だ。俊敏な動きと獲物を執拗に狙い、牙やピット器官を用いて相手を仕留める狩りに長けた生き物である。
時に毒を、牙を、身体を、万遍なく巧みに扱い獲物を仕留める。特に驚きなのは獲物を丸呑みする才能さは、細く鞭のような身体からは考えられないだろう。
生業とする獲物は特に蛙などが多く、また両生類である蛙からしても天敵と呼ばれている。反撃する術なく、捕食される側は抵抗も虚しく呑まれる定め。
然し、時に捕食者をも捕食する蛙が存在する。
その名もアフリカウシガエル――蛙という多々ある種類の中でも図体がデカく、食欲旺盛。何よりも天敵とされてた蛇でさえも物怖じせず、捕食してしまうのだ。
そう、今まさに…アオダイショウを痛ぶり、確実に獲物を仕留めようと全力で潰しに掛かるアフリカウシガエルのように。
「がッ…!!ぁああぁあああぁぁぁーーーーーッッッ!!!!」
紅蓮の炎を纏わせ、鉄性の刃物から伝わる灼熱、そして腕力を活かした土竜槍による忍法――【徹火巻鬼】は、強烈な一撃で、横腹を抉られ傷口に深い火傷を浴びる焔は、覚醒状態である紅蓮でさえも致命傷を負い、悲痛な叫びで天に吠える。
だが…
「…今の一撃で確実に仕留めるつもりだった。なのに、横腹…咄嗟に身を躱したか。成る程、伊達に抜忍生活を送ってる只の餓鬼では無さそうだ。幾ら蛇女が名門と言えど、外の世界では名誉も世間体も無意味と化す」
心臓目掛けて確実に息の根を止める気でいた。無論、手を抜いたわけでは無い。
だがあの一瞬僅かに身体をズラして避けた…あの速度に重度の攻撃の嵐…まともに避けれるはずが無いのにだ。
「見事だな、益々惜しい。そんな逸材が、抜忍か……世知辛い世の中なこった、全く」
今にも踠き苦しみ、血液を流す焔を見下ろしながら軽いため息を吐く。いつだって、何処だって、些細な事柄で自分達を捨てるのは、上層部の人間だ。
今の糞ッたれた忍社会の犠牲者、と考えれば、若手なのに益々惜しい。だからこそ勿体無い。敵同士で終わることが。
然しだからと言って勧誘するほど落ちぶれては居ない。
「だが、これもケジメだ焔。その悲痛な叫びも、ダメージも、お前が嘗て他者にシてきた事だ。その中にきッと、傷付けちゃいけねえ奴も、酷え目に遭わせたんだろう?」
ザッ、ザッ、と駆け寄りながらしっかりと足を地に踏み締める。焔の血液で染まった土竜槍を、ゆッくりと構えれば、鋭利な刃物が獲物に向けられる。
「最期に言い残すことはないか?次は確実に仕留める」
「はぁ……はぁ………なァ、お前……何で、忍商会なんかに付いてる…其れほどの力が有りながら……」
「………良いぜ、頑張ったご褒美だ。冥土の土産に話てやろうか」
喉元に刃先が触れる。
足で腹を抑え固定しながら、嘘月が口を開こうとした刹那――
「焔ちゃんを離してェ!!」
聞き慣れた友だちの声が、鮮明に耳に届き脳を活性化させる。
聞き慣れない言葉が、再び邪魔をする。
背後からの声…気配の流れ、死角による攻撃は警戒心をゆるめてない嘘月には無意味。
流れるように此方も迎撃に入り、土竜槍を相手に差し向ける。
「焔ちゃんを離してえェ!!」
だが其れは、決して矛先が相手に当たることは無かった。
寧ろその逆、警戒心を緩めず死角のなかったはずの嘘月が、一矢報いたかのように刃先が皮膚に減り込み、血飛沫が上がる。
「飛鳥!!」
春花と雲雀、柳生の増援により紅蓮隊辺りか、よくて半蔵の面々かと期待してたが、まさか早々に飛鳥とは。最強の友だちという因果か、嘗て死闘を繰り広げた彼女が、助けに来てくれたのだ。
「ッ…!!?……!!!!」
胸から首元、顎に掛けて這うように斬り上げられた嘘月妄語は、真っ赤な真紅の液体を流しながら痛手と共に飛鳥を睨む。
警戒してた、攻撃をするつもりだった、それなのに…自然と警戒心が緩んでしまい、剰え一瞬だけ思考が停止した。
何故だか解らない…だけど、飛鳥という少女に何処か既視感を覚えてしまっている。
「飛鳥…そう言えば、半蔵の孫か!!まさか、お前が…」
半蔵学院に、あの伝説の忍の孫が居るのは知っていた。顔までは残念ながら調べ上げれなかったが、名前だけは知って居た。
案外有名な子孫こそ、殺されない為にと情報を保護するようにと、忍の親達が情報管理をしている。
なので、忍商会を始めた嘘月妄語率いる連中は勿論、敵連合の黒佐波も、敵情視察に参った雪泉や焔も、当初は気付きなどしなかった。
「かぐらちゃんと奈楽ちゃんを探してたらこんな処に来ちゃったけど…私が来たからには、これ以上焔ちゃんを傷付けさせないんだからね!!」
お得意の二丁刀を逞しく握り締めながら、鋭く明るい眼差しが、嘘月妄語に突き刺さる。
だが、幾ら数多の死線を潜り抜けた飛鳥でさえも、嘘月妄語には…と、焔が喉から口に出る前に。
「………何故、この女を庇う?嘗ては敵同士だったのだろう?善忍と悪忍が、交えるとでも?ある訳ねェ…そんな馬鹿げた話が…」
「貴方が一体どんな理由で、焔ちゃんを傷付けたのかは知らないけど、私にとって焔ちゃんは最強の友だちだから!!友だちを助けるのも、守るのも、善忍としての私にとって当然の役目だから!!」
嘘月妄語の言ってることは解る。
今でこそ平和の象徴が亡くなった現在、善忍も悪忍も分け隔てなく手を取り合い、大きな穴を修復する為に戦力を補うという点は理に適ってる…。とはいえ、焔達の今の立場は抜忍。そして元々は殺し合いを重ねた悪忍だ。そんな相手に庇うような真似、端から見れば異端だろう。
だが飛鳥にとって、焔は最強の友だちだ。そして、友だちという真実が、嘘月妄語の凝り固まった真実を打ち砕くように、脳を揺るがす。
あの、殺し合いを重ねたアイツが、友だちと言ったのか?
『ほら、幼馴染以前に…友だちでしょ私たち。仲間を助けるのも、友達を守るのも、当然じゃない?』
飛鳥の言葉が、嘗ての恋焦がれた想い人の言葉と重なり、心臓がドクン!と脈を打ち、乱れてしまう。
動悸のような衝動と、嫌な冷や汗が流れてしまう。
アレだけ優勢だったのが、何故か今となっては逆転されたかのような嫌な気分…其れ以前に、忘れたかった嘗ての想いが、自然と想起させてしまう。
「飛鳥…気を付けろ!ソイツは…「予定変更だ…」…何!?」
焔が忠告の意を唱えるのを遮る様に、嘘月妄語は冷静な声を下す。
「流石にこうも邪魔者と対峙すれば、時間と共に客足が戻り、警察やヒーローが来れば幾ら俺とは言えど無事じゃ済まない。故に、かぐらを捕獲する為が…台無しだ。此処は一旦引いた方が良さそうだ…」
「え!?ちょ、ちょっと……」
「待て…!逃すか…ッ!!」
飛鳥が来てから一気に形勢逆転したのか、これ以上邪魔者が入れば不都合故に不合理的だと感知したのか、槍を納めれば迷わず地面に潜る。まるで土竜が地面に潜るかの様な、其れこそ溶け込むかの様に土中に、流れる様に潜伏すれば、音もなく消え去った。
「取り敢えず…助かった、のかな…?」
緊迫とした筋肉の緊張が解れるように脱き、脱力感が襲う。刀を交えた訳ではないのだが、其れでもあの嘘月妄語という漢に何処か、大道寺先輩や黒佐波に引けを取らない、死線を潜り抜けた猛者の片鱗を感じ取った。
多くの命懸けの戦いを何度も繰り広げた飛鳥だからこそ、解る直感。然し安堵した束の間、焔は重傷になりながらも、何とか筋肉に力を入れて無理矢理立ち上がる。
「消え……た?クソ…!私とした事が…何たる体たらくだ…!」
「あッ…焔ちゃん!無理して動いたらダメだよ!」
焔の悔しげな声色に、飛鳥が駆けつけて来る。
別に焔の戦闘面も悪い訳では無かったが、相手が強過ぎた。唯それだけだった。
多対一でも平然としてられる立ち回りと、多彩なる攻撃手段、オマケに武器や忍商会特有のサポートアイテムによる乱用、加えて仲間同士の情報収集。
焔も幾重もなく壁にぶつかって来た。その度に乗り越えては、常に日々精進しながらも、強さに磨きを掛けていた。
これからもッと強くなる、その矢先に超えられない壁を前にした様なこの衝撃は、外の世界はまだまだという思い知りが、心の炎を曇らせていた。
「チッ…春花が呼んだ援軍は飛鳥1人だけか…とはいえ、何でよりによって…」
「???春花さん…?焔ちゃんが何を言ってるかは分からないけど、私は奈楽ちゃんとかぐらちゃんを追ってたら、なんか焔ちゃんとあの人が戦ってるのを見ちゃって…」
何だって?と眉を顰めながら飛鳥の話を聞く辺り、春花が増援を呼んだ訳ではないらしい。
すれ違いだったのだろうか、何て奇跡的なタイミングだったのだろう。だが飛鳥が来なければ殺られていたのは事実とはいえ、最強の友達兼最強のライバルに貸しを作る事になッたのは、正直癪に触る。
「となれば春花さんは今、仲間を呼んでるッてことかな…取り敢えず逃げちゃったあの人を追いかければ良いのかな…其れとも、奈楽ちゃんやかぐらちゃんを追い掛ければ…」
嘘月妄語が何を行動に移すかは不明、然し放っておく訳にも行かないし、斯く言う奈楽やかぐらの捕獲を無視する訳にもいかない…。抑も嘘月と奈楽にかぐらの行方が知らない以上、どの道詰んでしまってるのだが。
「焔ちゃんは?どうしてあの人と闘ってたの?抜忍の人だったりして?」
「いや…嗚呼、そう言えば飛鳥は知らなかったのか…。さっきのアイツは忍商会の人間だ。あれ程の気迫と戦闘力、並の選抜メンバー筆頭どころじゃない……」
「えぇ!?あの人が……」
昨日に引き続き今日も忍商会による襲撃。
だが違う点といえば、一般市民による無差別な襲撃やら攻撃手段とは違い、嘘月と呼ばれる男は敢えて此処へ招き入れる、或いは知っていたかの様子で予め客退をし、被害を浴びせる事なく標的のみを仕留めに掛かっていた。
単に慎重になッただけなのか、仁義深いからか、理由はどうであれ、忍商会からして自分達は邪魔者としか見られてないようだ。
「そういえば飛鳥は奈楽とかぐらを追っていると聞いたが……」
「ああ、えっと…」
飛鳥は真実を吐こうとする口を閉じて、思わず口籠る。
霧夜先生から任命された、『かぐらの捕獲』…善忍呑みならず、全国と言っていい程に多くの忍が捕獲命令を下された。
尚、外部からは妖魔だの忍商会を討伐するだのという忍務を受けてる飛鳥にとって、此れを口に出して良いものか。
まだ忍商会は理解できる。焔紅蓮隊も忍商会に目を付けていると聞いた…であれば、利害の一致と言うことで、お互い目指すものが一緒であれば協力して闘える。
妖魔も上述と同じ例だ……然し、かぐらの捕獲に関してはどうだろう?
未知たる部分が色濃く出てるのもあるが、其れを聞いて焔がどう行動するだろう?
……いや、余計な考えは辞めよう。
忍の忍務を下手に校外にバラすのはご法度だ。雄英での生活をしていた飛鳥にとって、久しい感覚たる忍としての使命感。そんな口籠る飛鳥に、焔は首を傾げる。
「どうした?ひょッとして何か言えない理由でもあるのか?」
「あっ!ううん、何でもない!ただ…ほら、昨日に続いて今日も狙われてるのかなって思って…あははは……」
何とか言い訳を垂れながら、上手く誤魔化そうとする飛鳥は苦笑いの笑みを浮かぶ。そんな飛鳥に不信感を抱きながらも一瞥する。
(……取り敢えず、飛鳥の事は置いといて…。何だ?抑も、奴等の動きが読めない…。何で、私達がいる所に奴が居たのか…)
客退けとして、敢えて此処に来た時に仕留める的な発言を嘘月妄語は喋っていた。其れは自分達蛇女…ではなく、忍達がよくやる手段だ。
忍商会、なんて呼ばれる闇組織の連中だ。其れ相応の動きが出来るにしろ、幾ら何でも的確すぎる。
何かこう、意図的な何かが…。
「えェ、嘘月の兄貴!まさか失敗してしまッたんですか!?」
『すまん、想像以上に邪魔者に目を付けられた。誤算だった……折角の客を退かしたのにも関わらず、だ。弟分等は?』
「一応、あの場に来ないのを鑑みて邪見や銃中の兄貴分達が街の見回りをしてたそうで…他の方々は漆月の監視に注意するべく拡散、引き続き貪欲や殺生の兄貴は基地の護衛でして…今手を出せるのは兄貴しか…」
『俺も引き続き探す事にしよう、お前は忍務を全うしててくれ』
「分かりやした」
端末が閉じれば、途端に舌打ちをしてしまう。
兄貴程の凄まじい実力を以てしても、矢張り半蔵学院や焔紅蓮隊がこうも邪魔立てするか。
餓鬼共の戦力なら、蚊に飛ぶに等しいものかとばかりに思えていたのだが…然し、雄英で教育を続けていた忍学生が居たとも聞く。そう易々と我々の思い通りに行かないというのだろうか。
「クソ…!矢張り人員が足りない以上は、どうにも…」
などと事態の修正が効かない事態に、益々苛立ちの念を込めていれば…
「おッ、いたいた。おーい!丁度お前を探してたんだよ」
聞き慣れない青年の声が、耳に届く。「アぁ!?」と邪見するかのような眼圧で睨みつければ、その人物を目の当たりに、一瞬にして怒りは曇天の如く濁ってしまう。
「お、オメェは…!!」
「よぉ、流石に顔割れてりゃあ気付くよなァ?綺語道楽」
不敵に笑い、如何にも初めまして…ではない邂逅に、心臓が握られるような寒気に襲われる。
顔面がツギハギで覆われ、黒いコートが風に揺られながら、掌を此方へ向け、ゆっくりと近づく青年の笑みは、嫌に悪意に満ちていた。
敵連合――荼毘。
燃死体事件の張本人が、どういう訳か忍商会との交渉に持ち構える。
ハイパー荼毘「皆んなで一緒におどろうぜえ」
あ、そうそう。シノマスで敵連合の抜忍達、完成しました。後々投稿します!