光と影に咲き誇る英雄譚   作:トラソティス

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裏ストーリーを今作品に移動させました。
元々考えてみれば、ヒロアカとカグラのクロス作品のストーリーが続いてるので、今作品で書くのが妥当かなぁと思い投稿しました。
ちょっと表ストーリーと違う部分もあったり、改変してある部分も有りますが(ヒロアカとカグラの作品のキャラ達と触れ合いたい、という意味があって)、どうか読んでくれると幸いです。


裏ストーリー 一章
1話「絶望の世界」


 

 この世界は絶望で彩られている。

 平等などない、差別で、暴力で、場合によっては人が人を殺すことさえ厭わない。小さな希望の芽も、強大な力の前では意図も容易く摘み取られるのだから、この世界は私欲塗れな世界なんだなと、考える程に実感する。

 

 これは、齢四歳にして知った――世界の現実。

 

 

 親のいない私からすれば、この世界に生きる希望すら見つからない。

 小さい子供にとって親が全ての現実の中、頼れる人間がいない程、酷な物は無い。

 両親が亡くなったのは今から約10年前になるだろうか、事故のショックで詳細は覚えていないが、大人が言うには事故で死亡したと聞く。

 まぁ、とは言っても記憶が曖昧だし、悲しみはしなかったが、それでも肉親である実の親がいなくなるのは、複雑な気分だ。

 

 幼少期の頃など、今となっては記憶が曖昧だが、人付き合いと言った人間関係を築くのは得意では無かったことだけは、ハッキリとしている。

 それもそうだ、友達作りや他人とのコミュニケーションなど、無知な自分からしてどう接すれば良いか解らないからだ。

 暴飲暴食に浸る父親を前に、毎日怯えながら相手のご機嫌を伺う性格だったので、他人と関わろうにも癖が付いてしまったのだろう。

 こう言った人間を浮かれてるのか、或いは無愛想と呼ぶのか、他人から見て私の存在はあんまり良い物では無かったのかもしれない。

 いつも人の輪に入れず、孤独の中で生きる自分は――置いてけぼりの人形のようだった。

 

 外の世界は、平穏に暮らしてる人々がいるのに、私が生きてる世界だけは、暗い灰色のような人生だ。

 とても、生への執着とか、命の在り方とか、自分が人間としての価値が一切見出せないでいる。

 

 

 親もいない、友達もいない、頼る者もいない、生きる喜びもない自分が大袈裟すぎるって?

 それは…普通の生活を送っていれば、つまらなくとも死にたくはないって軽いレベルで人生を歩めば良い。この先、〝いつか〟楽しいことが起きるんだから。

 

 でも、ここでは生きる希望(ヒカリ)すら届かない、血生臭い絶望(ヤミ)の世界――そんな甘ったれた感情さえ、私達に赦してはくれない。

 

 

「おい、そっちは起きてるか?」

 

 

 コンコン、と石で出来た壁の向こうからノックの音がする。

 不気味なほどに薄暗く、鉄の匂いが僅かに充満する部屋に、男の声が聞こえる。

 

「ああ、志久万さん…おはよう、光里ちゃんも起きてるのかしら?」

 

「起きてるよー!」

 

「静かにしろッ、たく…幾らお前のようなチビッ子だからってな、こんな場所で大声出したら他の奴らに迷惑かけちまうだろ?タダでさえ此処は生き難い…」

 

「うっ…そりゃあそうだけど…って、チビっ子じゃないよ!私にはね、光里優良って名前があるんだから!」

 

 隣からは、落ち着いた大人の声と、活発な女の子の声が聞こえる。どうやら今日も平常運転、特に体調や具合の悪い様子も見受けなく、問題は無いようだ。

 静かな大人びた声が志久万さん、そして明るい女の子が光里優良――この二人は私よりも後からここはやって来た人間だ。此処での生活は窮屈で、暗くて殺伐とはしているけど、協力し合えば案外、命を保つこと位は出来そうだ。

 

「そっちは元気そうね…私は今、起きたところ…守も無事よ…」

 

「そっかぁ…守くん、頑丈だけど、その分帰ってきた時の姿に身が持たないよね……」

 

「本当に…守には、申し訳ないって思ってるし…それに、感謝してもしきれないわ……」

 

「アイツ、小せえ癖に根性だけは一丁前だよな…悪くはねえよ、子供なのによ…まっ、後から入った俺が言うのもアレか」

 

 守はぐっすりと眠っている。昨日は体力も精神も削られてて、疲労が蓄積して直ぐに寝込んでしまった。私も昨日のは酷かったけど、守よりもずっとマシの方だ。

 私は寝顔の守の髪を撫でながら、一声かける。

 

「守、ホラ…起きて?もう時間だよ」

 

 優しい声とは裏腹に、もっと寝てて安らいで欲しいという感情を隠しながら、彼の頭を撫でる。

 頬に触れ、何度か声をかけると、瞑っていた瞼に瞳が見えた。

 

「ん…あ、勇希…?」

 

「おはよう、と言っても…最悪なお目覚め、だけれどもね」

 

 私は彼の目の前でクスッと笑う素ぶりを見せてみた。こんな泥のような掃き溜めな世界だろうと、せめて彼の前だけでは笑顔で、明るみに接している。

 これは、彼だけにしか見せないものだ。

 なんたって、こんな残酷で無慈悲な世界の中、灰色な人生の中でも彼だけが、私の希望なのだから――

 

「あ、あ〜…もう、朝なのか…」

 

 寝ぼけた顔で、少年は気怠い声を発する。

 そう、今日も最悪な一日が訪れた――寝ても覚めても、ここは絶望で彩られた世界。

 

 守が起きた後、ツカツカと革靴が音を立てるのが聞こえる。

 隣の部屋で、一つの足音が止み、もう一つの足音は私達の部屋に止まる。

 

 

「おはよう諸君、今日も素晴らしい朝だ――さぁ、起きろ」

 

 

 顔をマスクで隠した構成員が、荒げた声で扉を開ける。

 大人は私たちに首と手足に鎖を繋げる、反抗してもムダ…私達に力があろうと無かろうと、歯向かう事は許されない――

 

 

「今日も作業は同じだ、しっかり働けゴミ供」

 

 

 奴隷(私達)は今日も――道具としての一日を迎えるのだった

 






いかがでしたかな?
良ければこれからも裏ストーリーを読んでくださると嬉しいです。裏話では表ストーリーでも語られなかった話も絡んだり絡まなかったり???
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