「俺たち…今度こそ救われたんだぁ!!」
「やった…やったわ!最後の最後に私達救われたんだわ!!」
忍商会第四支部の廃墟として隠れ蓑に利用してたアジトからワラワラと現れたのは、奴隷として扱われた囚人達――絶望の檻で過ごしてきた多くの人達が救われたのだ。
安静たる夜空の下、歓喜の声が露わとなり、包まれていく。
「外の空気だ!夜空の光景…すげぇ、何年振りだろ…はぐっ、涙で前が…見えねえよ…っ!!」
「お母ちゃんに会えるっぺ!!お父ちゃんも心配してるっぺ!!俺、皆んなに心配ばかりかけちまって…親不孝でごめんよぉ…!!」
「本当に救われたんだ俺たち!やったぁ!!」
ある者は涙を流しながら嗚咽を漏らし、膝を折って泣き噦る者。
田舎風潮の学生、元サラリーマン、OL女性に幼い子供達まで、一部の犠牲者を除いて全員救われたのだ。
「後は救護班が来るまで待つだけね……本当に、こんな奇跡が…」
月光も漸く涙を止めて、安堵の吐息を漏らしながら、胸を撫で下ろす。緊張が解き外れ、強張った筋肉に蓄積された疲労がどっと押し寄せてくる。壁に背を向けて思わずズサリ…と、尻を床へと着ける。
「クマさんクマさん!夜景、すっごく綺麗だよ!!」
「本当に…生きて、脱獄出来た。すげぇ…色んな事があったがよ、こう…実感が……」
言葉に出来ない感動とはこの事を言うのか――望んでいた結末を迎えたことに、全員とも歓喜で満ち溢れている。
これで良い、これで…今度こそ、全員が救われて……。
「あり、なんか…どっと眠気が………」
「何だか、私達…疲れちゃった……の、かな……?」
その時だった――突如として全員がバタリと、気絶したかのように倒れ込む。
救われた囚人達全員が倒れ込み、眠りに就く。
「えっ…?み、皆さん…??」
然し――この場で唯一気を保ち、眠る事なく目覚めているのは月光呑み。確かに色々な事が起きては、疲労で何人かは倒れてしまっても可笑しくはなかったにしろ、全員が一斉に眠るのは可笑しすぎる。
まるで、自分達のよくやる『催眠』の類――
「まさか…まだ敵が…!?」
「いいえ――この物語は幕を閉じ、ハッピーエンドを掴み取った事実に変わりはありませんよ」
投げられた声に振り向く月光は、其れを見て絶句した。
目を丸く染め、驚嘆で声が喉に詰まり、理解不可能な現象を目の当たりにする。
月光は呪術の類を操り、精通し、博学者でもある。まだまだ未知な呪術は理解しきれてない部分もあるが、それでも中等部所属の身である彼女の立場的に考えて、優秀な部分であることには変わりはない。
なのでホラーサスペンスや怪談話というのには耐性があり、厨二病とヒーローやダークファンタジーが好ましい閃光とは大分違う。
「ッ――!!?!」
「おや、驚かせてしまい申し訳ございません――何せ人前で姿を現すのは久方振りで御座いまして…こうして貴下との初めての邂逅、謹んでお詫び申し上げます。私は天竜衆が一頭を担う『ミカヅチ』――」
月光の前に突如として現れたのは、考古学者のスーツを羽織る黒い霧や靄に近い物質として存在しない、言葉では形容し難いナニカが大事そうに遺影を抱えている。そして首元…つまり頭部は存在せず、遺影とも読み取れる絵画に映し出されてるのは、気優しい男性の顔が露となっている。そしてなんと、絵に写し出された登場人物とも呼べる男性の表情は動いているのだ。
分かりやすく言えば、デュラハン――西洋の化け物のような存在だった。
だが月光が驚愕しているのはもう一つ、その非現実性たる理解不可能な存在というだけで無く、気配を感じない事…つまり、殺気、敵意、悪意、戦闘による気力、全てが虚の如く感じさせないのだ。
寧ろこんな歪で奇妙で、理解不可能で意味不明な、如何にもヤバい相手に対して、恐怖さえ抱いていない。寧ろ、何も感じなさ過ぎるのだ。
「身体の方は『ヴァニタスコロニー』であり、その代弁者となり語り手となってくれるのが私――『ジョナサン』で御座います。そう、私達は二人で一人と成り立ち、存在も認識も立証が可能とされ、お互いを通じて完成された『作品』なのです。ふむ、挨拶は省略といきたかったのですが…貴女のその言葉では具現化しきれない未知なる感情、分析不可能、理解不可能な存在を目の当たりにしたショックによる現状を観察し、予測を立てた結果このように自己紹介をさせて頂きました。私たちは以前、いえ…この世界に存在する凡ゆる者は何処かで遭遇したかもしれませんからね。それもこの私が作品として、様々な人達と触れたか否か――ですが…おっと失礼、更なる混乱を招いてしまいますね」
礼儀正しく、心を休めるように落ち着いた声色で話しながら、ホラーテイストと恐怖と心霊現象が組み合わさった不気味な存在は、友好的に語りだす。
「あ、貴方は……い、一体…な、何ですか……?こ、この人たちが眠ったのも…なにか、関係が……」
「嗚呼、誤解なさらずに――私は貴女達と争うつもりも無ければ、
声色による大きさも声の派生も何も変わらず、ただ同じ声質で語り継ぐ非現実と虚無を兼ね備えた傍観者は語り出す。
「先ず現状の不可解な現象を説明いたしましょう。これは私が眠らせました。そうですね…『安楽な憩いの夢邂逅』とでも――人体に害を与えない程度に調整を効かし、『特定の人物以外』という概念をテクストとして意味を与え顕現させた試作品です。ふむ……幾分的確な作品を顕現に成功させた、と言えるのではないでしょうか?」
ホラ吹き貝を懐から取り出しながら、アーティストのように解説を始めるミカヅチ。
聞き慣れない『テクスト』、『顕現』だの、専門用語を使って混乱を招いてしまう。理解不可能故に追いついていけないが…もし想像していることが正しいとすれば……つまり、『道具に概念を与え、生み出した』と言う事なのだろうか?
それは…そこまでいけばもう、常軌も超常も逸している。
「次にご無礼による謝意を――今ここに」
すると今度は手榴弾らしき危険爆破物を懐から取り出す。嫌な冷や汗がぶわりと垂れ込み、心臓の鼓動が途端に速くなる。コイツ…!敵対者ではないと言っておきながら――
「御安心を、何故ならこれは危険物では御座いません。私の称賛と、今後の投資と思って頂ければ――」
それを閃光と結城守の方へと投げやる。下投げ投球により、栓を抜いた手榴弾に、反射的にしゃがみ込んでしまう。
そして――ボガアァアァン!!二つの手榴弾が爆破し、土煙が巻き起こる。
「ケホケホ…!一体何が……?あ、ら?」
煩わしい煙に咳き込みながらも目を開ければ、何だか蓄積された疲労とかすり傷が消えていた。よく見れば、担いでた閃光の深傷も嘘のように塞がれており、蒼牙鬼により受けた結城守の傷も、何事もなかったかのように、あの惨劇が嘘だったかのように消えていた。
「これは私自身が顕現に至るに成功させた作品…『
すると突然、ジョナサンの背後から月光と全く同じ木偶と藁人形の容姿を兼ね備えた操り人形が、意思を持って動いている。自慢…という訳ではない。これは脅しだ――対話をする、然し逆らえば貴女の持つ武器で、更には理解不可能な能力を使って、未知で貴女を殺す…と。いや、敵対者じゃないと断言したり、結城守や閃光の傷を癒してくれた…それは信頼を獲得させるためのものか?それにしても手の込んだやり方だ。
「話が脱線しかけましたね、申し訳ありません。探究者であり求道者たるもの、何より傍観者であるシナリオライターはこのように遍く作品や事象を解説しなければ御座いません。話が脱線してしまうというのは大変失礼な行為をいたしました――」
「貴方は…対話がしたいと、存じましたよね?それで…話とは……何ですか…?」
最大限に引き延ばした警戒心を解ける事なく、鋭い眼圧を飛ばし、冷徹な声を振るわせる。この…如何にも自分達が芸術作品だと言わんばかりの口振、暗号とも呼べる不可解な単語を語り継ぐ理解不可能な虚無の語り手に問う。
「ふむ、失礼――では私からの宣告と解説をご清聴下さい。先ず初めに、貴女達は新たな物語の分岐点に到達いたしました。それは現在進行形で行われている物語の裏舞台…それが神魔を宿す器と、一人の少年で御座います」
黒い手袋が指差すのは、気絶して安らかに眠りに就いている絶恵勇希と結城守の二人――まるで裏舞台の主人公だと言わんばかりの口振で。
「勇希さんと…守さんが……?」
「ええ、貴女達が彼と彼女を救ったのでは御座いません……この少年が貴女達を救ったのだと理解に至りました。もし少年がこの世に存在していなければ、もし神魔の器が少年を殺していれば、この世界は厄災と終焉を振り撒き、物語は始まることのない終わりを迎えていたのです――其処の少年こそ正しい選択肢と、我々を凌駕する未知を生み出した『
結城守に付けられた価値の名を『教導者』――予測不可能でありながら、最悪な未来を予測不可能に変化させ、奇跡の到達点へと導く。見えない何かがチカラとして働いている、何か因果関係が働いている、超能力の類だと、そう認識することでオカルトが生まれるように、結城守にとってミカヅチは無視することが不可能となってしまった、注目しなければならない興味深い対象となったのだ。
自身に課せられた『傍観者』という立場さえも、忘れてしまうほどに。
「『
「…何が、言いたいのですか…?」
「貴女達を襲った二匹のメルヘンは私が顕現致しました。構造を分析、理解、再構築、概念のテクストを与え、ミメシス――異界と現界へのパスさえ結合していれば、いつでも顕現させる事は可能ですので……然して、もう時期あの二匹は物語を終えるでしょう」
「は…?」
つまり、あの最悪な赤鬼と蒼鬼の妖魔は傍観者が作ったというのか?メルヘン…とかはよく分からないが、言葉の口振からして間違いではないだろう。
「嗚呼、ハッピーエンドを掴めなかった犠牲者については残念でしたね。この世界には遍く作品が脈を打ち、輝きを放ちますが……その多くの作品が輝きを放つ中、我々の知り得ない場所で偉大なる作品は失って行くのです。それを『しられなくとも良い作品』に降格されるのは、非常に悲しいことであり……いえ失礼、皮肉を言ってるわけでは御座いません。然してその犠牲には蒼牙鬼や赤鬼怒も含まれるのでしょうか?これに対するテクストをどう導き――」
「貴方の……」
「?」
「貴方の…貴方の仕業だったのね!!??あの地獄の惨劇を生み出したのも…貴方が行わなければこんな…!妖魔を出さなければ…!!こんな事には!!!」
激情を露わにする月光は、華麗や優秀で柔らかな顔立ちとは違い、激怒する。頭に血が昇り、思わず胸倉を掴もうとするも――触れることができない。
身体が貫通して透き通ったのだ。
「!?!」
「まあまあ、落ち着いてください。不愉快を与えたのならば謝罪致します。然し誤解のなさらぬ様…確かにあの作品は私が顕現に至るに成功しましたが、それを指示したのは『
絵画に映る男性は、こんな激情を向けられてもなお、励まし宥める様に、気優しい笑みを浮かべて言葉を述べる。皮肉を通り越した語り手に、怒りを通り越して無感情になってしまう。
「貴女達は私の作品『
「…貴女のことなんか、知りたくもない…でも…」
月光はミカヅチを赦さない。
皮肉者と罵声を浴びせたくなる位に、理解が難しく、蒼牙鬼や赤鬼怒と言った大妖魔を召喚させ、全員ではなかったが犠牲者さえ現れた。ラファエル様も殺されかけ、ミカエル様がいなければ今度こそ終わりだったのだ。
だけど…もしこれが、仮に頼まれた指示であったのなら…どうして自分達はこんな理不尽な目に遭ったのかと…
「今回の騒動は、どうして貴方は…何の指示で二匹の妖魔を使ってまで襲わせたのですか…?」
だがこれは同時に仲間達を売ることになる。ミカヅチの協力者…そうなれば芋蔓式という訳ではないが、一つの質問で無数のヒントが掴めそうだからだ。これを断るというのなら、それ程にコイツにとって知られたくないナニカがあると。これを上層部や不雪帰様に報告すれば、何か掴めるかもしれない。
だがミカヅチは何の躊躇いもなく答えようとする。
「聖域と崇高、『バステト』の確保の為です」
は?
それは余りにも理解不可能な答えだった。
「今回私が顕現致した『
妖魔の巣となる以前が領域と表し、妖魔達が領域を占領する事により、
「遥か遠い昔…様々な国は戦争が絶え間なく続いておりました。西洋、和風問わず…何故だか存知でしょうか?国と領地の進展、他国や他所からの迎撃、平和を望む為の争い、欲の為に国や領域の奪い合い……我欲や保身、財政、ジャンルは複数御座いますが、貴女達が繰り返してた歴史と同等に、彼らもまた自身の領域を得ることが最も重要で……まあ、これは『
月光はこの質問に対して半分自責の念を込めている。
この者の聞きなれない単語、分析も理解も難しく、ヒントどころか何もかも不明点だらけの問題に、頭が痛くなる。
「二匹のメルヘンは自身の聖域を確保した後、主従関係に当たる他のメルヘンを増殖させ、信仰を深め、自分達メルヘンを偉大なる者へと仕立て上げる為なのです。
崇高とは――神秘と恐怖により存在し得る概念であり、高める事により作品は価値のあるモノへと昇り、上位者へと感応し、軈て神へと到達するのです。そう、これは『
では何か…?これは蒼牙鬼と赤鬼怒とやらの大妖魔が偉大な神になる為の物語であり、その過程で自分達は殺されてしまっていたと?それが当たり前だと言わんばかりに、寧ろそれこそがハッピーエンドだと言わんばかりに…。いや、コイツはそう言う意味や心理で答えてる訳ではない――そうなってしまうのもまた一つの結果論であり、物語の幸せは勝ちか負けか、価値があるか無価値となるかの違いにしか過ぎないのだろう。
そして物語と物語が衝突し、結城守という存在が予期せぬ方向へ導き、予測不能の変数となり、物語が迎えるのは現在ではない、誰もが予想だにしなかった新たな現在へ辿ったと。
それがミカヅチが導き出したテクストによる答えのだろう。だからハッピーエンドを迎えた事自体が、あり得ないと言わんばかりに首を傾げてしまう。
「だからこそ一区切りに完結された物語の邪魔をしてはいけません――これはほんの私による微力ながらの謝意で御座いますが故に、無礼な振る舞いと言動、癇癪を起こしたテクストにどうか容赦を……」
「……」
結局分からなかった…だからこそ、月光は噛み締めた。
自分と相手の価値観と知識、それは歴然と言わざるを得ない差も広がっており、自分には知らない事が沢山あるのだと、痛感させられた。何故なら、殆ど理解する事が不可能だったからだ――それでも今回の件、あの蒼牙鬼や赤鬼怒が神になる為の物語なのであれば、妖魔とは…一体何なのだろうか?
自分達の知識はまだ足りないとでも言うのだろうか…?
「おや、そろそろ御別れの時間のようですね…」
すると複数の気配が此方へ向かって来ているのを感じ取る。ミカヅチは紳士な動作による仕草で軽くお辞儀をしながら――
「それではご機嫌よう――」
するとミカヅチは此方が静止を叫ぶ直前に、屋上から飛び降りた。直ぐにビルの鉄格子を掴んで、屋上から下を眺めるも、其処にはもうミカヅチは存在せず、身体のヴァニタスコロニーも、顔を代弁とした遺影のジョナサンも、何もかもが見えなかった――。
こうして自分達は、駆けつけに来てくれた救護班に回収され、生還者と共に病院へと搬送されたのだった。
天竜衆・ミカヅチ=『傍観者』
・身体の『ヴァニタスコロニー』とは、虚無の傍らと呼びます。そして『ジョナサン』と呼ばれる絵画は顔を代行した美術作品。身体のヴァニタスコロニーは身体呑の存在であり、死ぬことも生きてるとも呼べない虚無の象徴。絵画のジョナサンが顔となり、代弁者として語ることにより、お互いが完成された在り得ない非現実な存在として認識されました。二人で完成されたからこそ『傍観者』となった。ヴァニタスコロニーはジョナサンの身体、つまり器となり手足として動き、ジョナサンと呼ばれる絵画は喋れないヴァニタスコロニーの代わりに意思や言葉を述べる。だから虚無と非現実と呼ばれるお互いが完成された事で、現世に留まることが可能であり、不可解な存在として登場している。
・『テクスト』=批評。文書や言葉だけが独り歩きした例。書かれてる文献や文字をどう捉えるか解釈する。そしてテクストを操ることで自分で解釈した道具に能力を与える。何の変哲もないホラ吹き貝に、作品名を与えることで文字や文献を捉えて解釈し、能力を編み込む。そして解釈の捉え方は自由である。だから『答えは自分だけの特権』だと大事に主張する。
・『記号』とは単語や隠喩を指す言葉。妖魔をメルヘンと呼んだり、妖魔の巣を聖域と呼んだり、天竜衆全員の名前が記号である。ミカヅチやイザナギという名前が記号であると同じように、閃乱カグラという作品に登場する飛鳥や雪泉、光と影の英雄譚である漆月も記号にしか過ぎないと。天竜衆達にこうして記号を与えたのがミカヅチである。なぜ月光に対して妖魔ではなくメルヘンだと指摘しなかったかというと…大昔の日本が鎖国状態、妖魔という存在が日本にしか存在しないと解釈し、人々は理解不可能な化け物を妖魔と呼ぶようになった。ミカヅチは全国共有の記号としてメルヘンと言っている。記号の捉え方は皆自由であり、メルヘンを妖魔と言ったり、妖魔をメルヘンと呼ぶのは間違いではないから、答えは自分だけの特権と呼んでいたし、解釈もしていた。つまり記号とはそういうものだ、と。
・『作品』はこの世界の全てが作品であると解釈している。妖魔(メルヘン)、世界、生命や歴史。未来から創造し開拓される現象。世界に存在する人間を登場人物と解釈し、一人一人の生活や、そこから生まれる物語、それも立派な作品だと誇示している。
・『解釈』とは各作品や過去の歴史、世界に対する考察。作品や物語を生み出す為に必要不可欠な要素と捉えている。世界に対する考察ということは、この光と影の英雄譚そのものを考察している。
・『価値観』とは自分の感じた世界。見ている景色や自分が感じた、想った心情を、自分だけの世界と認識し解釈。例えば「これは猫だよね」と自分で感じて想ったこと。だけど他の人からは「は?これは犬だろ」というようなもの。他に言えばリゼロのカーミラが分かりやすい。カーミラを観た人物が「あ、これはお母さんだ!ママぁ!」と想っても、隣の人は「幼馴染だ…!腋をぺろぺろ!」というような現象。自分の価値観として捉え、世界観と似て非なる現象だと解釈している。価値観とは、自分だけが観たり感じた答えや価値、評価であり、他の誰がこう思っても自分はこうだと主張するもの。世界観と呼ばれる物は多数決などに決められた価値観を常識だと認識させると解釈。つまり、自分が観た価値は、自分だけのモノ――と。
つまり『ミカヅチ』=ヴァニタスコロニー&ジョナサンは、脚本家や映画作品、美術作品、マスメディアと娯楽の普及。どう言った主義とも言えないが、脚本家であるならば「この物語をこう予測、組み立て、こうして行こう」というシナリオライターである。だから物語が始まればそれを見守る役目があるし、完結に向かうまでは何も手を出さないと。敵対者でもなければ救世主でもない…だから傍観者。そして一区切りつき終わった物語を、常に後世へと語り継ぐ。歴史とは語り継がれて認識された概念とも呼べる作品であることから、作品を語り継ぐ為の存在とも解釈できる。