光と影に咲き誇る英雄譚   作:トラソティス

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眠いです……ですので誤字やおかしなものがあったら温かい目で見守ってください……あと遅れてすみません!


24話「各々の戦い。半蔵と雄英VS蛇女子学園」

俺は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『大丈夫?立てる?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

石ころに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『勝って!超えたいんじゃないか!!馬鹿やろーーーーーー!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クソナードに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『君が……救けを求める顔してた!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デクに………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

爆破で威圧する爆豪……それを見て、斑鳩も、雄英生徒の皆んなも……固唾を飲んでいる。

 

 

 

 

 

「あ、貴方が……私たちを倒す………?」

 

 

「ああそうだよ………ぶっ倒すんだよ………」

 

 

 

不敵な笑みを浮かべる爆豪に、詠はそんな爆豪が気に入らないのか、ボウガンを向ける。

 

 

 

「随分と舐められたものですわね……忍びならまだしも……貴方のような子供に…」

 

 

「テメェもガキじゃねーか!!舐めてんのはテメェだろ、俺を舐めてっとぶっ殺すぞ!!」

 

 

「っ!!……貴方……本当にヒーローなのですか……?こんな偽善……お嬢様以外見たことありませんわ………!」

 

 

「はあ?知るかんなもん!!

 

 

 

 

…………」

 

 

 

詠の言ってることの半分は分からない訳ではない……しかしそんな爆豪は、何度もお嬢様という言葉を聞き斑鳩の方に振り向く。

 

 

 

「………お嬢様って、あの黒髪パッツン野郎か」

 

 

「ええ……そうですわ、彼女のせいで………私はどれ程辛い思いを、苦しい思いをしたか………」

 

 

 

詠の言葉に斑鳩は顔を伏せてしまい、詠を見ることは出来なかった。そんな斑鳩の様子を御構い無しに、詠は斑鳩と爆豪を睨みながら話し出す。

 

 

 

「お金があれば何不自由なく生きていられる……ぬくぬくとぬくぬくと、家族の愛情を注がれ、苦しむ思いなく生きていられるのですわ……そして、そばに誰かが苦しんでることも知っており、救けようとしない………正義と名乗るものは全員偽善ですわ!!」

 

 

 

 

そう言うと、雄英の皆んなは詠の言葉を聞き黙り込んでしまう。この人はただ単に悪いことをしたいから悪忍になった訳ではないと……

 

 

 

(あの人……)

 

 

 

緑谷は可哀想な目で、詠を見つめる。

 

 

 

「貴方も……何も辛い思いなどしていないから、そんな事が言えるのですわ……!!私は貴方のような人間も大っ嫌いですわ!!」

 

 

 

「………………」

 

 

 

爆豪は平然としているが黙り込み、詠はボウガンを構えて爆豪目掛けて撃とうとする。

 

 

 

 

「か、かっちゃん!!」

 

 

「おい言わんこっちゃない!爆豪狙われた!」

 

 

「だ、だ、ダイジョウブさ……ムッシュ爆豪は……う、美しい女性には負けないさ☆ ね?口田くん!」

 

 

「…………っ!」

 

 

「だから何で話を振るうん青山くん!?」

 

 

「んなこと言ってる場合じゃねーぞオイ!爆豪!」

 

 

 

切島は体を硬くして突っ込んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レシプロバースト!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!?」

 

 

飯田の叫びに詠は咄嗟にボウガンから、大剣に武器を替えようとするものの、飯田の個性のスピードに追いつくことが出来なく、蹴りをもろに食らってしまう。

 

 

 

「ガッ……!!」

 

 

詠は転がるように倒れこむと、飯田は呆然としてる雄英の生徒達に、そして爆豪にも声をかける。

 

 

「皆んな!!先に行っててくれ!爆豪くんも早く!」

 

 

飯田は皆んなにそう言うと、「ああ……頼んだぜ飯田!非常口!」と言い、階段の方へ行き先を急ぐ。

 

 

「飯田くん!でも……」

 

 

「心配は要らないさ緑谷くん!いいや、むしろやらせてくれ!」

 

 

飯田は心配する緑谷にそう言うと、緑谷は飯田を信じて、背中を向ける。

 

 

「頼んだぞ飯田……」

 

 

 

轟は飯田に目をやって呟く。だが、爆豪だけは納得がいかなかった。

 

 

 

「待てコラ、クソメガネ!!コイツら全員倒すのは俺だ!!俺の獲物を横取りしてんじゃねえ!今良いところなんだよ!!」

 

 

「横取りなどしてない!君が彼女の『考え方』が嫌なのも分かってる!俺たちだって君の考えも少しずつ分かってきてるんだ………だから……」

 

 

「ああ!?だから何だよ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この戦い、斑鳩さんと俺に任せてくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

飯田はコスチュームのヘルメットを被っている為、顔の表情は見えないし分からないが……それでも真剣に、戦う決意がある事は伝わってくる。そんな飯田は詠に振り向くと、「さあ、早く!」と爆豪に言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……チッ、分かったよ………クソが………」

 

 

 

 

 

 

 

 

爆豪は舌打ちをしながらも、皆んなと同じく向かって行く。

 

 

 

 

 

「飯田さん……」

 

 

「斑鳩さん、大丈夫ですか……?」

 

 

「な、なんとか………それにしても飯田さんでも無茶です、だから!」

 

 

斑鳩は飯田にも皆んなと一緒に付いて行って欲しいと言おうとすると、飯田は斑鳩の顔を見て首を横に振る。

 

 

 

「いいや、俺は行かない………前に俺達は敵の襲撃を受けた。皆んなは殺されそうになったハズだ……なのに、なのに俺は皆んなを置いて先生を呼びに行くことしか俺には選択肢が無かった……!皆んな怖くてどうしようも無かったハズなのに………だから……」

 

 

 

そう言いかけた瞬間。

 

 

 

 

ドヒュウン!!

 

 

 

 

「っ!!」

 

 

 

 

 

鋭い刃物が、飯田のヘルメットに擦り取れ落ちてしまう。

 

 

 

「クッ……」

 

 

「飯田さん!」

 

 

 

斑鳩は飯田の方に駆けつける。

 

 

 

「ふん……貴方もお嬢様と同じく舐めてらっしゃるのですか?皆さんで私に攻めにこれば、倒せる算段があるのに……」

 

 

詠は飯田を見下して、鼻で笑うと…そんな飯田はヘルメットを取り、見つめている。まるで、何かを見つめているような………

 

 

 

 

 

 

 

「…いいや、舐めてなどいない……俺は常に本気でやっているぞ……!!」

 

 

 

 

 

飯田は詠を見つめる。その目は、真っ直ぐな……決意ある目で。

 

 

 

 

 

「それに、俺は貴方を倒さない……」

 

 

 

「なっ!?」

 

 

「…?」

 

 

 

 

飯田の言葉に、詠は驚愕し、斑鳩は飯田の言葉に首を傾げる。納得のいかない詠は、飯田を睨みつける。

 

 

 

 

「貴方……何を仰っていますの!?私は貴方たちを殺そうとしてるんですよ……?殺そうとしている相手を何故倒そうとしないのですか!?」

 

 

 

 

詠は大剣を握りしめ、飯田に向ける。

 

 

 

 

 

「何故って?決まっている………俺は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒーローだからだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!」

 

 

飯田の叫びに、詠は驚く。

 

 

 

「俺たちはヒーローを目指してるんだ!ヒーローは、人を倒すためじゃない……人を守るために……救ける為にあるんだ!それを、俺が貴方を殺してどうするんだ!?」

 

 

 

飯田は曇りのない、純粋な目で詠にヒーローとは何なのかを語りかけ……そして…飯田の脳裏には……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『天哉!お前ヒーローになるんだって? 頑張れよ!応援してるからな!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『自分の働きが、沢山の人間の為になるのは、嬉しいよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お前は優秀だからな、だからお前は立派なヒーローになれる!俺が言うんだ、お前は絶対になれるさ!だから……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皆んなを導けるような、カッコいい人間になれよ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優しい兄の、インゲニウムの言葉。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「1ーA組学級委員長、飯田天哉!!俺はこのクラスを、皆んなを導けるような人間になるんだ!!だから、皆んなの為に俺は貴方と戦う!!

 

 

 

 

 

そして、俺がヒーローを目指す理由は!!皆んなを導く『兄』に憧れたからだ!」

 

 

 

 

「っ……!!」

 

 

「兄…!?」

 

 

 

 

詠は飯田の言葉に、軽くたじろいでしまう。そんななか、斑鳩は飯田の兄という言葉を聞き、あることを思い出した。

 

 

 

それは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

斑鳩の義理の兄だ。

 

 

 

 

 

斑鳩の義理の兄である村雨は、斑鳩を軽蔑していた。恵まれた忍びの才能に妬み、いつも罵声を浴びせられていた。自分の存在そのものが許せないような……そんな斑鳩はいつも兄に罪悪感を感じていた。だから正直、才能を認められ、褒められる人間をつい妬んでしまう。

だが……だが………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

飯田だけは違った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何故か飯田だけは、妬まなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「飯田さん……」

 

 

 

(恵まれた才能に、皆んなから信頼されて、認められて……でも、真っ直ぐで……何処か私と同じで………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

斑鳩はそんな飯田を見て微笑む。

 

 

 

 

「飯田さん……助太刀ありがとうございます……!!是非、協力して下さい!私も学級委員長ですもの、皆を導くのは私も当然です!」

 

 

 

「斑鳩さん……!」

 

 

 

 

飯田と斑鳩はお互い詠に立ち向かう。

 

 

 

 

「クッ……!なんですの……この感覚は………まあ良いでしょう……一人増えたところでやることに変わりはありません……お二人とも死んでもらいます!」

 

 

 

詠は大剣を握りしめて、飯田と斑鳩に向けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

階段を上ってるなか、皆んなは先を急いでいる。

 

 

「オイラ斑鳩先輩も良いと思うんだけどさ、あの金髪美女もスゲェ良いよな!胸はデカイ、美女……蛇女万々歳だぜ!!」

 

 

「峰田だけ置いてこれば良かった……」

 

 

「ねーー!飯田くんの気持ちを馬鹿にしてるよ!」

 

 

「し、してねーよ!勘違いすんなよ芦戸……あと此処が巨乳だらけだからって嫉妬すんなちっぱい耳郎」

 

 

「瀬呂、テープで峰田巻いて?蛇女に置いていこ?」

 

 

「冗談ですジョーダンですマジでゴメンなさいいぃぃ!!」

 

 

峰田は涙目で、怒りがぶっ飛んで無表情になってる耳郎に何度もなんども謝っている。そんなやり取りを見てる瀬呂は困惑している様子だ。

 

 

 

「それにしても、この屋敷よく出来てるよな〜……そう考えると雄英と同じくらいなんじゃねーか?」

 

 

「まあ何処の高校も同じなんじゃない?」

 

 

瀬呂と葉隠が呟いてるなか、耳郎はイヤホンジャックで雲雀を探している。

 

 

 

「うん……よし!雲雀の位置が分かった!」

 

 

「本当か耳郎!?やるじゃねーか!」

 

 

耳郎の個性の活躍に親指を立ててグッドポーズする切島を見て、耳郎は少し頬を赤く染め照れている。

 

 

「褒められると調子狂うな………んっとね、地下室に居る…でももう一人誰かが居るから恐らくだけど悪忍ってヤツだと思う……行くなら誰かが行かなきゃ」

 

 

そう言うと

 

 

 

「ハイハイ!!おいらオイラ!オイラ行きたい!」

 

 

「へっ!それなら俺も行きたいぜ!」

 

 

「アンタら二人は地下室に行って捕まれば?」

 

 

「………」

 

「………」

 

 

 

峰田と上鳴は呆然と耳郎を見つめることしかできなかった。

 

 

「まあまあ耳郎ちゃん……あっ!そうだ、ウチやるよ!けど戦闘だとアレだから、瀬呂くんに砂糖くん、口田くん、一緒に来てくれないかな?」

 

 

「おう、任せろ!」

 

「へっ!勿論だぜ!」

 

「………!」

 

 

お茶子がそう言うと、三人も頷く。

 

 

 

「耳郎も一緒に付いてった方が良いんじゃないか?ここ罠だらけだぞ?」

 

 

 

尾白がそう言うと、皆んなは「確かに」という顔をする。障子と耳郎が個性で辿っていくから罠は一度も引っかかってはいないが、地下室の方にも罠がないとも言い切れない。

 

 

「分かった、尾白の言う通り私も付いてった方が良いね」

 

 

と言うと、耳郎も付いて行くことになった。

 

 

「それじゃあお前ら上手くやれよ!俺たちは他のところ行って助太刀しに行くは!」

 

 

切島がそう言うと、お茶子達も頷き「任せて!」と言い、雲雀救出の為地下室に行った。

 

 

「さて、引き続き俺らも行きますか……!」

 

 

 

切島がそう言うと、ふと爆発音が二つ聞こえた。それも上の方で……

 

 

 

「なっ!?んだ、何が起きてやがる?」

 

 

「二人が、悪忍と思われる奴と交戦している!俺たちも駆けつけるぞ!」

 

 

 

動揺する切島に、個性の複製腕を使う障子はそう言うと、皆んなは頷き走り出す。

 

 

 

 

「………皆んな、待っててね!」

 

 

 

 

緑谷は、オールマイトが人を救ける姿を思い出しながら、そう呟いた。

 

 

あの優しくて、心強くて……正義感溢れる……誰もが憧れる最高のヒーローを………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

葛城と日影はお互い傷つきながらも、それでも戦いを続けている。

 

 

 

 

 

 

「前より強くなったのに……お前、なかなかやるじゃねーか……!」

 

 

「ほな、そっちこそな……けど勝つのはウチらや」

 

 

 

息切れの葛城に、日影はナイフをペロリと舐めながら見つめる。

 

 

 

 

 

 

 

一方、柳生と未来は

 

 

 

 

 

「はあああァァァァーーーーーーーーーーー!!!!」

 

 

未来は銃を持って乱射し、柳生は番傘でガードしている。未来は前に柳生に負けてしまったが、悔しさをバネにしてより強くなっている。だが……それは……柳生も同じである。

 

 

「! …うそ……無傷?」

 

 

未来は驚愕した。むしろ柳生の目は雲雀を救けようという目であった。

 

 

「お前、前より強くなっているな……だが、勝てると思ったら大間違いだぞ」

 

「アタシが……勝てないとでも言いたいの!?ふざけんな…ふっざけんなぁぁーーーーー!!!」

 

 

ドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!

 

 

「アタシに、守りたいものがないとでも思ってるの……!?私にだって……あるんだからああぁぁぁぁーーーーー!!」

 

 

「っ……!?」

 

 

 

未来の攻撃力が強くなる。未来のその目には憎しみが篭っていた。

 

 

未来は過去にあったことを、柳生に話し始めた。

 

元は未来は立派な善忍の家系であった……だが未来は中学生の頃、イジメを受けていた。机の上には暴言とも呼べる数々の言葉が刻まれてて、紙にも暴言を書かれている悪質な悪戯……そして皆んなからは無視されてきた。自分は泣いてるにも関わらず、皆んなから笑われて、見て見ぬ振りをされて生きてきた。

未来はそれが許せなかった、もう二度とあんな嫌な思いはしたくない、嫌なものは見たくない。なら見なければ良い……だから未来は眼帯をした。視界は半分になるけれど、それでも構わない……そして未来は善忍になることを辞めて、悪忍になる道を選んだ。善は差別的で窮屈で、正しいことしかやれない……だが悪は違う。悪は善よりも寛大で、どんなものも受け入れ、やることが出来る…そう、『復讐』が出来る。自分をイジメたヤツら全員に復讐を………

それが未来の原点(オリジン)だ。

 

 

 

 

話を終えると、未来は再び銃で乱射し始める。だがそんな中でも柳生は未来に話しかける。

 

 

「成る程……それがお前が悪忍になった理由か……だが、それ程の強さを持っても、オレは負けたぞ………圧倒的な強さに敗北した………」

 

 

「………えっ?」

 

 

その言葉を聞き、未来は初めて驚いた。半蔵学院の誰かが敗北したなど、聞いたことがないからだ。鈴音や道元からも一度も聞いたことがない。そんな驚く未来に、柳生は何処か寂しく、怒りを持っている声で話しかける。

 

 

 

「お前は知ってるか?大切な存在が消えてしまう苦しみを………圧倒的強さを持つヤツを…… 目の前に守りたいものが、消されようとする姿を……………俺は『あの時』何も出来なかった。だから……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だから……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう二度とあんなことにならないように、オレはもっと強くならなければならないんだ!!」

 

 

 

 

「っ!!」

 

 

未来は柳生の覇気に、たじろいでしまう。

 

 

「な、なによ……前とは全然違う………アンタを、そんな風に変えたのは…………一体……」

 

 

未来が呟いた時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒影(ダークシャドウ)

 

 

 

「アイヨ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぇっ!?」

 

 

 

 

突如未来に襲いかかる黒い影のモンスターに未来は驚き、とっさに傘でガードする。

 

 

 

 

 

バチィン!!

 

 

 

 

 

「な、なに!?」

 

 

「アレは……まさか!」

 

 

 

 

それと同時に……

 

 

 

「でりゃああぁぁぁーーーーーーーー!!」

 

 

「っ!」

 

 

日影に襲いかかる人物、……日影は難なく避けた。

 

 

 

「ケロ、やっぱり硬いわね……舌切れそうだわ」

 

 

 

 

「っ!!テメェら何で此処に!?」

 

 

 

柳生と葛城の前に現れたその人物は……

 

 

 

 

「フッ……やはり障子の言う通り、此処に居たな……助太刀参る……」

 

 

「クソっ!!あの緑色の短髪の女性……早え!てか当たんなかったよクソぅ!」

 

 

「落ち着いて、これから私たちがどうやって戦うのか……じゃないかしら?」

 

 

 

 

先に駆けつけに来た、常闇、切島と蛙吹であった。

 

 

 

 

 

「お前ら……どうして此処に?」

 

 

「お前らここが何処だか分かってんのか!」

 

 

柳生と葛城がそう言うと、切島は拳を打ち鳴らす。

 

 

 

 

「へへっ!分かってますよ……分からなくて乗り込む馬鹿なんざいないでしょう!」

 

「切島ちゃんの言う通りだわ、私達は救けに来たのよ」

 

「我らが盟友を取り戻しに………な。それに何も俺たちだけじゃない」

 

 

 

 

 

そう言うと、後ろから……

 

 

 

 

 

「待ちやがれモブ共ぉぉーーーーーーーーーーー!!!」

 

 

 

 

 

爆発を起こしながら突っ込んできてる爆豪に、他の皆んなも来ている。

 

 

 

「み、皆んな!」

 

 

「半蔵さんに許可を得ました!!ですから、もう大丈夫です!」

 

 

緑谷は大声で叫ぶ。それを聞いた二人は、斑鳩が下にいるのに皆んなを止めに入らなかったのと、此処に来た理由を瞬時に理解した。

 

 

「へっ……それなら心強いぜ」

 

「ふん…俺一人で十分だ」

 

 

 

柳生は偉そうにしているが、それでも助太刀に来てくれて嬉しいのか、頬が緩んでしまう。

 

 

しかしそんな二人は、皆んなを見つめている。

 

 

 

「なんや……アレ。半蔵以外の誰かが来たで」

 

 

「どんどん侵入者が来てんだけど……まあいいわ……どの道コイツらは殺さないとね!」

 

 

 

日影と未来は武器を構えて皆んなに向ける。

 

 

 

 

「さっきのヤツもそうだが……コイツらもヤバそうだな……」

 

「ねえ、忍びって皆んなそう言うもんなの!?!なんか皆んなイレギュラーなんだけど!思ってたのと違う!」

 

 

 

 

轟と上鳴は、日影と未来を見てそう叫ぶ。

 

 

 

「ふむ……胸は、当たりが居て…ハズレがいるか……まあ仕方ない……」

 

 

「ちょっとそこの紫チビ!聞こえてるわよ!!私をバカにするとぶっ殺すわよ!?」

 

 

「ん〜……、あのちっぱいレベルは、耳郎か?それ以下か……?どっちだろ?」

 

 

「ハァ!?!?私を無視するなあぁぁーーー!!」

 

 

 

峰田は日影と未来の胸を見てそう言うと、峰田の呟きが聞こえた未来は殺気立つ目で睨むものの、峰田は未来の胸と耳郎の胸を比べている。未来の言葉に傾けない峰田に、未来は更に激怒する。そんなやり取りを見てる轟は、皆んなに振り向く。

 

 

 

「取り敢えずアイツらが戦ってる内に、俺らも先に上行くぞ、まだ飛鳥を見てねえ……となると当たってるのは………」

 

 

「僕らと対立した…悪忍…!」

 

 

 

焔である。

 

 

 

緑谷と轟はお互い顔を見合うと、冷や汗が流れ落ちた。

 

 

「こうしちゃいられねえ……オイ!お前ら早く行くぞ!」

 

 

轟がそう言うと……

 

 

 

「ハッ!!モブ共ならまだしも、俺に指図すんじゃねえ!!」

 

 

爆豪が反論する。

 

 

「お前、今そう言ってる場合じゃねえんだぞ!周り見て考えろ!」

 

 

「うるせぇぞ半分野郎!!どの道全員ブッ殺せば問題ねえよ!!」

 

 

爆豪と轟が言い争ってると……日影と未来は二人のやり取りに目をやる。

 

 

 

「なんやあのうるさいの……」

 

「私たちを舐めてるのかしら……」

 

 

すると爆豪は大声で轟に怒鳴る。

 

 

 

 

 

「そもそもこの蛇野郎とチビ眼帯なんざ俺一人で充分なんだよ!!言っただろ!全員ぶっとばすって!だから邪魔すんじゃねえ!!」

 

 

 

 

ピタッ……!

 

 

その言葉に二人は反応する。

 

 

 

「蛇野郎って、ウチのことか?わし感情っちゅーもんはないけど、なんとなく馬鹿にされてるって事くらいは分かったわ……」

 

 

「ち、ち、チビ眼帯ぃ!!?チビ眼帯って私のこと?ねえ、アイツ私たちに言ってんの!?」

 

 

日影と未来は殺気立つ目で爆豪を睨む。標的が柳生と葛城から、爆豪に変わった。

 

 

「しまった、アイツ!」

 

「…………」

 

 

葛城は爆豪に振り向く、日影が何をやろうとするのか察知したのか、日影を止めようとするが…もう遅い。未来も同様…傘から剣に変えて爆豪に突っ込む。

 

 

 

 

 

だが、柳生は止めなかった。

 

 

 

 

「オイ爆豪…!うし…」

 

 

「もう遅いで、秘伝忍法…『ぶっ刺し』!」

 

 

 

日影のナイフが爆豪に襲いかかるが…爆豪に当たる事はなかった。二つの影が目の前に遮ったからだ。

 

 

ガギイィィンン!!

 

 

「!?」

 

「っっでぇぇ!!」

 

 

その影とは…体を硬化させて自らが盾となり爆豪を庇う切島と、長い舌を伸ばして切島を巻きつけ、猛スピードで移動させた蛙吹であった。

 

 

「お、お前ら……てか大丈夫かお前!?」

 

 

葛城は一瞬二人の行動に感心したが、直ぐに切島の苦痛の顔を見て驚く。

 

 

 

「へへっ……ぶっちゃけ言えば超痛えっす!なんかこー……爆豪に腹パンされた感じ!」

 

「切島ちゃん、大丈夫?けど……切島ちゃんを信じるわ……!だから葛城ちゃんも切島ちゃんを信じて!」」

 

 

 

二人は問題ないという顔で葛城に返事する。

 

 

 

 

一方未来は……

 

 

 

 

ボオオォォーーーン!!

 

 

 

「カハッ……!?」

 

 

「ケッ!所詮テメェは刃物で突っ込んでくる猪やろうか!?」

 

 

 

未来は爆豪を甘く見てたのか、もろに爆破を食らった。未来は爆豪に突っ込むように剣で襲いかかったが、爆豪は瞬時にしゃがむように避け、足払いをし未来が転けたところを爆豪は思いっきり爆破を食らわした。以外と繊細な行動だ。そして今度は剣を離すように手にも爆破を食らわせる。

 

 

 

ボオオォォーーーン!!

 

 

 

「いっっ……くっ!!」

 

 

 

未来は苦痛の顔で爆豪を睨むが、爆豪は不敵な笑みを浮かべてる。

 

 

(なんなの……!?コイツ一見馬鹿そうに見えるのに……!こ、こんなのに……)

 

 

屈辱を味わう未来は、傘を持って銃を撃とうとするが……

 

 

「させる訳ねえだろがボケェぇ!!!」

 

 

 

ボオオォォオォーーーーーーーンン!!!

 

 

「っっああ…!!」

 

 

爆豪の渾身とも呼べる爆破をくらい、未来は吹っ飛んだ。未来に攻撃する隙すら作らせないのか、未来は爆豪に手も足も出ない。

 

 

「爆豪のやつ、女相手にここまでやるか!」

 

「まさかアイツ……ロリコンドS野郎?!」

 

「いや違うだろ」

 

 

尾白は爆豪の容赦無さに驚き、峰田は何か変なことを言い、それを障子が突っ込む。

距離を離させる事に成功した爆豪は、もういっちょと言わんばかりか、突っ込んで行こうとするが……

 

 

 

「よせ爆豪……」

 

 

常闇は爆豪を止める。

 

「ああ!?なんだよこのクソカラス!!止めんな!」

 

 

爆豪は掌を爆破させ、目をギラつきながらそう言うと…常闇は爆豪を見ずに話し出す。

 

 

「お前は轟と同じく先に行った方がいい……これは命令ではない……」

 

「何でだよ…!」

 

 

「轟が警戒する悪忍だぞ?それ程の者が此処に居るならば……俺たちに任せて強者であるお前が行け………皆の負担も少ならからず軽くなる……お前にとっても悪い話ではないはずだ……」

 

 

「〜〜〜〜っっっ!!!」

 

 

常闇は爆豪にそう言うと、爆豪は反論できず苛立ち、髪をくしゃくしゃと掻き、常闇を睨みつける。

 

 

「わーったよクソが!!」

 

 

そう言うと、爆豪は轟に振り向く。

 

 

「行かせるわけ……ないでしょ!!」

 

 

未来は爆豪の爆破をくらい、少しボロボロになりながら、傘で爆豪目掛けて銃を撃つが……

 

 

 

黒影(ダークシャドウ)!」

 

「アイヨウ!」

 

 

 

ドドドドドドドドドドドドドドドド!!

 

 

突如爆豪の前に黒い影が立ち塞がる。

 

 

 

「ええっ!?」

 

 

 

未来は目の前の状況に驚きの顔を見せる。爆豪も突然の出来事に後ろを振り向いた。常闇は

 

 

 

「お前たち……行け!此処は俺と青山、峰田に任せろ!」

 

 

「えっ!?」

 

「オイラも?!」

 

 

 

青山と峰田にそう言うと、峰田と青山は「何で!?」という顔で常闇に目をやる。

 

 

 

「何を言ってる……峰田は先ほど、あの悪意満ちた少女に宣戦布告のようなものを言ったではないか……それより早く皆んなは……先に!」

 

 

「おう!」

 

「ケッ……!」

 

「わ、分かった!ありがと常闇くん!」

 

 

残りの皆んなは頷き、先に行くと……

 

 

「あの〜……オイラは宣戦布告じゃなくてだな……その〜……」

 

 

峰田と青山は置いてかれた。

 

 

「待って、僕何もしてなくない?☆」

 

 

「すまん青山……悪いが力を貸してくれ……柳生が居るから問題はないが……ここは『薄暗い』……もし完全に『暗闇の場所』で戦えば間違いなく『危険』になる!だから青山、お前の個性()が必要なんだ」

 

 

常闇がそう言うと青山は、自分の力が必要と聞き嬉しいのか、さっきの青ざめた表情は一変し、キラキラと輝かしくなった。

 

 

「理由は知らないけど、僕の力が必要なら仕方ないね!☆」

 

 

そう言うと青山も戦闘態勢に入る。

 

 

 

「なんだかよく分からないんだけど……敵が増えたんだけど!あと超ムカつくんだけど!!あーーもーー!こうなったら、ギッタンギタンにしてやるんだから!!」

 

 

 

未来は皆んなに怒鳴りながら、武器を柳生、常闇、青山、峰田に向ける。

 

 

 

 

 

 

「おいぃぃーー!!常闇のバカ!オイラ戦えねーぞ!」

 

「フッ…☆僕の力が必要なら仕方ないよね!」

 

「二回言ってるぞお前……常闇、俺一人で十分だ……」

 

「ああ知ってるさ……俺は俺のやりたいようにしてるだけだ…だからお前は気にしず戦えば良い……」

 

 

四人は未来を、未来は四人と対立する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「常闇の奴ら、上手くやってくれてるようだな……俺らも先急ぐぞ…!」

 

 

轟は常闇達が未来と戦うのを見てから声を掛ける。皆んなが自分たちの為に戦ってくれる背中を見て、一刻も早く行かねばという気持ちでいっぱいになる。だが轟たちの行動を、日影は見逃さなかった。

 

 

 

「逃がさへんよ……」

 

 

日影はぬらりと体を低い態勢に入ると、走り出して轟たちにナイフを刺そうとする。

 

 

 

 

「だからさせねえって!」

 

 

ガキィィィイン!

 

 

「っ…! ホンマにしつこいな」

 

「へっ!それがヒーローってもんよ!あと超痛えからなコレ?」

 

 

 

 

庇う切島に苛立つ日影は、激痛で苦しむ顔をしながらもなんとか笑顔で応える切島に、日影は睨むしかなかった。そして……

 

 

「でりゃああぁぁーーーーーー!!!」

 

 

 

ドカァッッ!!

 

 

「っっ!?」

 

 

 

突如、日影の腹に葛城の蹴りが入る。

 

 

「助かったぜ切島!お前男って感じだな!」

 

「当然ッス!」

 

 

葛城がそう叫ぶと、切島は男気溢れる声で答える。

 

 

そして…

 

 

「でりゃっ!」

 

 

「っ!?」

 

 

日影に太い筋肉ある尻尾が襲いかかる。日影はなんとかその攻撃を避けることが出来た。その正体は勿論尾白だ。

 

 

そして…

 

 

ガシッ……!!

 

 

「!な、なんやこれ?」

 

 

日影の体が突然動かなくなった。まるで誰かに抱きしめられてるような……その正体は……

 

 

「さあ皆んな!早く行ってーー!!」

 

 

 

透明人間たる葉隠であった。葉隠は透明のため何処にいるか分からないが、日影を拘束しているため今は分かる。

 

 

「っし!葉隠ナイス!」

 

「葉隠ちゃんよく捕まえたよー!」

 

「敵が食い止めてる内に、残りの我々が向かいましょう!」

 

「ああ、先急がねえと、死んでましたなんて展開は嫌だからな……」

 

「ハッ!あんなデカ乳女も雲雀もクッソどうでも良いんだよ!早くその悪忍とやらぶっ潰して、コイツらも、下にいた奴も俺がぶっパする!そんだけだ!!」

 

 

「か、かっちゃんらしいや……本当に…」

 

「あぁ!?デクは喋んな!!」

 

「ええっ!?」

 

 

上鳴と芦戸が感心してる中、先を急ぐようにと声を掛ける八百万と轟に、爆豪がキレてると、隣の緑谷は勝己らしいやと呟いてるところを更にキレられた。そんなやり取りをしながらも、皆んなは先を急いだ。

 

 

「ハッ…爆豪のヤツ、相変わらずだな……」

 

「ケロ、そうね…けど何時ものことよ、それより葉隠ちゃんと尾白ちゃんも手伝ってくれるなんて嬉しいわ」

 

「ああ、当然だ!」

 

「ふっふーー!どうだ!」

 

 

二人は自信満々にそう言うと、葛城はそれを見て少し頬が緩んだ。だがそれも束の間だった。日影は力を入れて、直ぐに葉隠を離させる。

 

 

「っ……!つ、強!?力入れてたのに直ぐに剥がされた!」

 

 

葉隠は全力で力を入れていたが、日影は圧倒的な忍びの強さで葉隠の拘束を剥がすと、直ぐに後ろに振り向きナイフを振るが、葉隠は不幸中の幸いだったのか、剥がされた時に尻もちついてしまい、日影の攻撃に当たらず済んだのだ。

 

 

 

(あっっぶなあぁぁ〜〜………!!これあの人の攻撃食らってたら即あの世逝きだったよ……)

 

 

 

葉隠は今真っ裸のため、日影の攻撃を食らってしまったら死んでしまうのも無理はない。忍びから見てみれば、ある意味葉隠は常に命懸けの状態だ。

 

 

「葉隠大丈夫か!?って、何処にいるか分からないけど……取り敢えず血が出てないということは大丈夫……なんだよな?」

 

 

尾白は葉隠が無事かどうかが心配の様子だ。そんな尾白に、日影は振り向く。

 

 

 

「なんや?友達が心配なんか?ワシ感情っちゅーもんが無いでよう分からんから心配ってのがよう分からんは……」

 

 

日影はナイフを尾白に向ける。

 

 

 

「なっ…!か、感情が……ない?」

 

「ケロ……私ね、あの人見てるとなんか怖くて動けないわ……生命の本能がね、逃げろって言ってるのよ、でも逃げれないの、切島ちゃんどうすれば良いのかしら?」

 

「それ蛇に睨まれた蛙じゃねーか!」

 

 

確かにそうだ。日影はヘビとも思わせるような目で皆んなを睨みつけてるのだ。そんな目で睨まれると動けないというのも無理は無い。

 

 

 

「んなこと言ってる場合じゃねーだろお前ら!!とにかくアタイたちはこの日影ってヤツを倒すぞ!」

 

 

「おっス!」

 

「ええ…そうね」

 

「ああ!」

 

「うん!」

 

 

 

四人は葛城の言葉に反応する。葉隠はいつの間にか側に居たようだ。すると日影は鼻で笑うように葛城たちを見下す。

 

 

 

「……忍びならまだしも、アンタらのようなヒーロー学生がなんで雲雀とやらを助けるん?そないまでして命懸ける価値あるんか?」

 

 

 

「……ああ…?」

 

 

 

葛城は日影の言葉を聞き、頭が熱くなり、物凄い殺意で睨むが……

 

 

 

「おい、それどーゆーことだよ……」

 

 

「っ…?」

 

 

葛城の隣に居た切島が日影に話し出す。切島は怒りを押さえ込みながらも話し出すが、日影は何も臆することなく話し出す。

 

 

 

「そのまんまの意味や……アンタらがコイツらとどーゆー関係があるかは知らへんが、少なくともここに来なければ死なんくってもええ話しってことや。そないまでして何で助けるん?」

 

 

 

日影は感情というものがない。だから切島たちが助けに来た理由はわからないし、まずなぜ誰かを助けたくなるのかが分からないのだ。感情がないから……

 

 

 

「……お前……それ、本気で言ってるのか……?」

 

 

 

尾白は震えながらも、拳を握りしめて、切島同様に怒りを押さえている。

 

 

 

「わし、感情っちゅーもんが分からんからな……だから助けたいって考えもよー分からんのや……わしはただ忍びとして生きてくだけや」

 

 

 

日影はなんの悪そびれもなくそう言うと、蛙吹は表情を少し強張らせている。普段はお淑やかで感情がないと思われてる蛙吹が、日影に語りだす。

 

 

「私はね、感情がないんじゃない?って皆んなからよく言われてたわ……でもね、感情はあるのよ、生き物には何だって…貴方は感情を知らないだけだわ……だから、感情が無いっていう言い訳で……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

友達を悪く言うのはやめて!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

 

 

 

蛙吹が初めて見せる激情に、日影はふとあるものが脳裏に浮かんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『日影よ、感情を捨てろ……ただ冷静に標的を仕留めれば良い……ただそれだけだ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんや……この感じ………なんで何も知らん奴に……こんなこと………」

 

 

 

「梅雨ちゃんのいう通りだぜ」

 

 

「?」

 

 

切島は前に出る。

 

 

「アンタがどういう理由で感情ないのか知らねえけどさ……でもさ、俺らは感情あるんだよ……なんで助けるかって?決まってんだろ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒーローだからだよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ…!」

 

 

 

切島の叫びに、日影はまた脳裏にあるものが浮かんだ。それは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かつて、日影にとっての憧れの人物…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日向であった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして……惨たらしい死体が発見された…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日向の姿が…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドッ!!

 

 

 

 

「!!??」

 

 

日影は二人の攻撃を食らい、地面に転がるように吹っ飛んだ。

 

 

それは……

 

 

 

「何ボヤっとしてんだ!!」

 

「葛城さんの言う通りだぜ!まだ話は終わってねえんだよ!!」

 

 

「……なんやこれ……」

 

 

日影は葛城と切島を睨みつける。何処かへと忘れていった思い出が、二人と向き合うことで思い出していくのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分は感情を捨てたのに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺はっすね、助ける価値とか死ぬとかどうこう以前に……困ってる友達(ダチ)いたらほっとけねーんすよ……そりゃあ俺は忍びの社会なんざ分からないし、俺たちのようなヒーローの学生が首突っ込むのは可笑しいかもしれねえ……けどよ…だからって…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

友達(ダチ)見捨てる理由にはならねえだろうが!!!!嫌なんだよそういうの!助けれるのに助けに行かないとかってのが俺はどうしても嫌なんだ!俺が俺じゃいられなくなるんだよ!!テメェはなにか?感情がないからって仲間見捨てるのか?違えだろ!!」

 

 

 

そして…日影の前に歩み出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「仲間の意味考えろ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

「っ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一喝する切島。それに続き、蛙吹も頷く。

 

 

 

 

「切島ちゃんの言う通りだわ……確かに雲雀ちゃんとは日の付き合いは浅いわ……正直まだまだ知らないことばかり……でもね、それでもやっぱり同じクラスで過ごしてきた仲間だもの…友達だもの……心配しないなんてことは絶対にないわ…!だから、貴方もきっと同じ立場になったら分かるはずだわ、感情というものが!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

『日向…』

 

 

 

 

 

 

 

「俺もそう思う…感情が無いからって何でもやって良いとは違うだろ!!そんなの理由にはならない!アンタの身に何が起きたか分からない…けどさ、それって当たり前だろ?俺たちは人間だ、分からないことがあるのは誰だってそうだ。感情が分からないなら……知れば良いじゃないか!」

 

 

 

 

 

 

 

『日向…!』

 

 

 

 

 

 

「うんうん、私もそう思うよ!貴方たちは私たちの敵だけどさ、でも仲間の意味と感情の意味、両方大事だからよく知ってほしいんだ!……この先生きてく上で、それを知らないときっと後悔すると思うから…さ」

 

 

 

 

 

『日向!!』

 

 

 

 

 

尾白に葉隠も日影に語りだす。それを聞くたび、日影の表情は険しくなり、何処か悲しくなってしまう。

 

 

 

「なんや………なんでアンタら敵なのに、わしにそんな熱く語れるん?わしらアンタら殺そうとしてるんで?なのに……なんでそんなこと言うんや………」

 

 

「まだ分からねーのか」

 

 

「っ!?」

 

 

葛城の声に振り向く日影。

 

 

 

「コイツらはな、お前の為にと思って言ってんだよ…… お前に知ってほしいんだよ。感情ってのと、仲間って意味をな!!!」

 

 

葛城がそう叫ぶと、切島、蛙吹、尾白、葉隠は戦闘態勢に入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして……春花と雲雀との戦いでは…

 

 

 

 

「ふふ、もうお終い?」

 

 

「はあ…はぁ……はぁ……」

 

 

春花は自信満々に立ち、やられてる雲雀を見下す。雲雀はボロボロになって倒れている。それでもなんとか意識はあるようだ。雲雀は春花を見つめて、立ち上がろうとする。

 

 

「うぅ……いっ……!」

 

 

「今度こそ、私のお人形にしてやるんだから……」

 

 

「そ、そんな……」

 

 

雲雀が震えてるその時だった……

 

 

 

 

 

 

シュルルルルーーーーーーー!!

 

 

「えっ!?」

 

 

春花はなんとかギリギリ避けた。そのセロハンテープに…

 

 

「これって…セロハンテープ?」

 

 

「あっ!まさか……」

 

 

突然セロハンテープが襲い掛かってきたことで驚く春花に、察した雲雀は目をキラキラさせる。そうそれは…

 

 

「オラオラァ!!コレでも食らいやがれ!」

 

 

そこらじゅう地面をえぐり取り投げつけてくる地面の岩盤や、巨大な木材などが春花に襲いかかる。

 

 

「クッ…!こんなの……これでどうかしら!?」

 

 

 

春花は怪しい薬品を取り出し、襲いかかる岩盤や巨大な木材に投げると…

 

 

 

ボオオォォーーーン!!

 

 

 

爆発した。

 

 

土煙が巻き起こるなか、人影が見えた。春花は一気に警戒態勢をとる。

 

 

「なんなの貴方たち?」

 

 

「み、皆んなぁ!!」

 

 

 

土煙が晴れると、そこには…

 

 

「お待たせ!雲雀ちゃん!!」

 

「あの女はや!俺のセロハンテープが……」

 

「…………」

 

「ちっ、あの女何者だ!?あと早くケリつけないとヤバイ!頭が…!」

 

「うぉい!?砂糖待って、まだ時間あと少しあるから!だから頑張れ!!」

 

 

雲雀救出隊とも呼べる、お茶子、瀬呂、口田、砂糖、耳郎であった。その五人を見た春花は、話し出す。

 

 

「なんなの貴方たち…?今お取り込み中なの、邪魔よ…!まあけどどの道生きては返さないけどね!」

 

 

クナイと薬品を取り出し、そして傀儡を呼び出した。

 

 

 

「オイ何だあの女の衣装!痴女か!?」

 

「てかなんか色々スゲェぞあの人!逆に戦い辛そう!」

 

「あーもーー!アンタら男なんだから黙って戦いなさい!ホラ口田を見習って…って、まあ取り敢えず雲雀は居たけど無事じゃないみたい…となるとこの人との戦闘は避けられないようね…」

 

「………」

 

「サポートなら私たちに任せて!」

 

 

五人は春花と立ち向かう。

 

 

「み、皆んな……!ダメ……はやく、このことをみんなに伝えないと……!」

 

 

 

 

 

 

そして……

 

 

 

 

飛鳥VS焔 sideでは…

 

 

「でりゃあ!!」

 

 

飛鳥が攻めに入る。飛鳥は二つの刀で焔を斬りつけようとするが、焔も負けまいと、六爪でガードする。そして膝蹴りを食らわせようとするものの…

 

「とうっ!」

 

「なに!?」

 

 

二つの刀を一気に押して、上へ回避するようジャンプする。そして更に上から斬りおろす。

 

 

 

ガギイィィーーン!ギチギチ

 

 

「くっ……!」

 

 

焔は守るのに手一杯だ…

 

 

(何だこいつ……!?以前とは全く違う……短期間で急成長して強くなったというのか!?!?)

 

 

焔は内心驚いていた。まさか飛鳥がここまで飛躍的に成長して強くなっているとは思わなかった。正直言って飛鳥を甘く見ていた。だから驚いてるのだ、自分とここまでやり合えるのを見て……だが、焔も何時までも押されてるようなヤワな相手ではない…

 

 

「図に……乗るなああぁぁぁぁーーーーーー!!」

 

 

ズガアアァァーン!!

 

 

「きゃっ!?」

 

 

押された飛鳥は思わず態勢を崩してしまう。そして、隙だらけで反撃出来ない飛鳥に焔は襲いかかる。

 

 

「少しはやるようだが……ここで終わりだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

焔が刀を向けたその時。

 

 

 

 

 

 

 

 

ボオオオオオオオォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンン!!!!

 

 

 

「なっ!?」

 

 

「えっ!?」

 

 

巨大な爆発。その派手な爆破は言うまでもない……

 

 

「ケホ…ケホ……本当に強すぎでしょ!どんだけの瞬間火力これ!?」

 

「流石と言ったところなのか、それとも無茶だと言ったところなのか…だな」

 

「オールマイト先生にも言われてたでしょう!?屋内戦闘において大規模で派手な攻撃は愚策だと、もう忘れてしまったのですか!?」

 

「うるせえな!!忘れてねえよ、どうせここはカラクリ屋敷だろ!また何処かのモブが直せばいい話だクソが!!」

 

「ヤベェ…!ここ冗談抜きで煙いはコレ!ゲホ、ケホ!」

 

 

 

 

その土煙が晴れていくと、そこには…芦戸、障子、八百万、爆豪、上鳴が姿を現した。

 

 

そして…

 

 

「やっぱ居やがったな……炎使いの悪忍……!」

 

 

「飛鳥さん!大丈夫ですか!?」

 

 

 

轟と緑谷の姿も現れる。

 

 

「み、緑谷くんに轟くん……皆んなまで!?」

 

 

 

飛鳥は皆んなが駆けつけに来てくれたことが嬉しくて、笑顔を浮かべる。そして緑谷が飛鳥に、どうして此処が分かったのかの訳を言うと、「じっちゃんが!?」と驚く顔で反応する。まあそれでも助けに来てくれることには感謝している。

 

 

 

そして肝心の焔は…

 

 

「くそっ!コイツら二人ともまた私たちの邪魔をするか!それに……見たことのない奴等も居るな……」

 

 

焔はそういうと再び武器を構えて皆んなを睨みつける。

 

 

「まあいいさ…ここは秘立蛇女子学園…ここに入った以上生かすわけにはいかん……お前たちを倒すことなど容易いか…」

 

 

焔がそう言うと、皆んなは焔に振り向く。そんな皆んなも……また。

 

 

「ひぃぃ!なんかあの人一番強そうじゃね!?六爪て…ティガ○ックスかよ!」

 

 

「さあ、此処が正念場だ行くぞ!!」

 

 

「一番強い人と当たったね!」

 

 

「呑気なこと言わないで下さいまし!皆様は早くこの方とどう対峙するかが問題ですわ!」

 

 

「だな…八百万の言う通りだ」

 

 

「ハッ!んなもん俺一人で十分だ馬鹿やろう共が!」

 

 

そして……

 

 

 

「これにより!!雄英高校1ーA組、半蔵学院の忍生徒と共に蛇女子学園の悪忍と対峙する!!」

 

 

緑谷は拳を握り締めると、皆んなも戦闘態勢に入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

善忍とヒーローの、二つの正義の光が今…輝いて、悪忍と戦うのである。

 




はい!ようやくこれで各々の戦いに入ることが出来ました!もし何か変なところありましたら修正します!では、次回もお楽しみに!

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