光と影に咲き誇る英雄譚   作:トラソティス

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感想…眠いです。そしてnew waveってデータ消える時があるんですよね……だから色々なキャラを知ることができない…うわああぁぁーー!!

眠いです。いまその言葉につきます。


35話「追い抜け」

障害物競争とは、その名のとおりレースに様々な障害物が待ち受けそれを駆使して乗り越える競技のこと。だが雄英の障害物はどれも伊達ではなく、そっとやちょっとでは簡単に潜り抜くことは出来ないレースだ。第一関門は『ロボ・インフェルノ』。仮装敵が生徒たちを敵とみなして攻撃してくる障害物だ。

個性を使って壊せば良いが、攻撃的な個性でない場合は回避しながら前に進むしかない。

また、各々の創意工夫が必要であり、実力を試される競技でもあるのだ。

 

 

『さあお前らもドンドン盛り上げてやってけよーーー!!!』

 

 

巨大ロボが倒され、生徒たちが棒立ち状態になって固まってるのに対して、マイクは声を荒げる。

轟が氷漬けにした巨大ロボは、体制が悪く倒れてしまった。巨大ロボが倒れ誰かが下敷きになる姿を前に生徒たちは見てしまった為、体が恐怖で動けれないのだ。

 

「お、おい…これ、さっきの倒れて……下敷きになったヤツ居たぞ?」

 

「こ、これ死ぬのか…?体育祭なのに死ぬのか…!?」

 

普通科やB組の生徒がワナワナと恐る恐る震えながら声に出すと、先ほど倒れて壊れたロボの装甲がグラグラと音を立てながら揺れる。

 

グラグラ…グラグラ!

 

「し…」

 

「?」

 

突如下から声が聞こえたので、装甲の方に目を移す生徒たち。するとそこからは…

 

 

「死ぬかあァァァァーーーー!!」

 

 

ドガアァァーーン!

 

大声で叫ぶあのA組の熱血漢、切島の姿であった。

 

『1ーA!切島が潰されてたあァァァァ!!大丈夫かよ!』

 

マイクのその声は心配そうには見えず、寧ろ面白かったのか、ゲラゲラと笑っている。

 

「クソ!轟のやつ…ワザと倒れるタイミングで凍らしやがって…俺じゃなかったら死んでたぞ!!」

 

切島の身体がガチガチの硬い身体になってそう言いだす。

 

切島鋭児郎 『個性』硬化 体がガッチガチに硬化することが出来る。最強の矛にも最恐の盾にもなる。どれ位硬いのかは不明だが、コンクリートや巨大ロボよりかは硬いだろう。

 

 

「うおお!A組だったのか、てか生きてた!?」

 

「生きとるわ!」

 

苛立つ切島は声を荒げながら前方の轟を睨みつける。

 

「轟のヤツ、俺らも妨害か…早いとこ追いつかねえと…!」

 

切島が立ち上がろうとすると、ロボの装甲がまたしても揺れる。

 

 

グラグラ…グラグラ……

 

 

「ん?」

 

切島は疑問な表情を浮かべながら揺れる装甲に目を移すと声が聞こえる。

 

「クソ…A組のヤツは本当に嫌な奴らバッカだなぁ…!!」

 

ドガアァァーーン!!

 

そこに現れたのは厳つい顔をしたB組の生徒だった。

 

 

「俺じゃなかったら死んでたぞ!!」

 

 

この男、切島と同じことを言っている。

 

『鉄哲も潰されてたーー!ウケるーー!!てかアレだな!お前ら似た者同士だなオイ!!』

 

「ん?」

 

マイクは切島と鉄哲の二人が似た者同士の為、笑いのツボが入ったのだうろかまたもやゲラゲラと笑いだす。

 

鉄哲徹鐵『個性』 スティール 体が鋼のように硬くなる。最強の矛にも最強の盾にもなれる。ただし鉄分が切れると個性が使えなくなる肉弾戦の個性。

 

切島は自分の個性と鉄哲の個性が同じタダ被りだと知った途端、嫌気を刺されたのか立ち上がり再び走り出す。

 

「個性タダ被りかよ!タダでさえ地味なのに……まあけど俺と同じで喜ばしいのか虚しいのか…分かんねー!!コンチクショー!!」

 

声を荒げながら走り出すと、切島の存在に気付いた鉄哲は首を傾げる。

 

「アイツ…俺と同じ個性か?」

 

この時硬い男と男の出逢いである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フン!クソが!!」

 

ボンボンと音を鳴らしながら巨大ロボの上、空中に浮遊してるのは、1ーA。爆豪勝己である。

 

『オォーーーッと爆豪!!まさかの此処で真正面ではなく上からの攻めに入ったあぁーー!!』

 

「ケッ!煩えなクソ!」

 

マイクの声を聞いてた爆豪は苛立つ。

爆豪はまず真正面の攻めは余り良くないと判断したのか、爆破の威力を応用して空中からの攻めに入るのを考えた。流石は爆豪、考える方が違う。

しかし上から攻めるのは爆豪だけではなかった…

 

「お前、上から攻めるのね!」

 

「!」

 

後ろには巨大ロボにテープを貼ってやって来た瀬呂。

 

「やはり戦闘を避けるか…」

 

黒い影を使って瀬呂と同じくやって来た常闇。

 

「へへっ、爆豪ばっかカッコいい所見せられっかよ!俺たちだってヒーロー科なんだからな!」

 

瀬呂はそう言うとテープを千切っては、またテープを発射させて前方の巨大ロボに貼っつける。

 

瀬呂範太『個性』テープ 肘からセロハンテープ的なものを発射!巻き取って移動するもよし!切り離してトラップにするもよし!

 

 

「着地だ、黒影(ダークシャドウ)!」

 

「アイヨ!」

 

常闇がそう言うと、常闇から出てきてる影っぽいモンスターは返事をする。

 

 

下の方、真正面から攻める生徒たちは…。

多くの生徒が個性を使って巨大ロボ以外の仮装敵を倒している。

 

そんななか、個性を一切使ってない生徒が一人…それは仮装敵の襲撃にすら回避する地味で緑色の髪をした頭がボサボサな少年、緑谷出久であった。

 

(この競技はあくまで予選…そんで此処はまだ第一関門…腕は犠牲には出来ない…だから、ワンフォーオールは使えない!!)

 

緑谷はこの状況でも冷静に考えながら打開策を考える。

緑谷が走っていると、ふとある物を目につけた。

 

(そうだ…!これなら『使えそう』だ!)

 

緑谷は少し違う方向に走っていくと、そこには先ほど轟によって倒された巨大ロボの装甲を緑谷は目をつけたのだ。

その装甲の大きさは、丁度緑谷が背負える分の大きさであり、それほど重くもない、緑谷にとって凡庸性に優れた品物だ。

それを緑谷はロープで背中に縛ると走っていく。その緑谷に目をつけた仮装敵が攻めてくる。が、逆にそれが緑谷の狙いだ。

 

(助走をつけて…そんでぇ!!)

 

仮装敵が緑谷を追い、逃げるように見せかけた緑谷は振り返り装甲を思いっきり横殴りをする。

 

バゴーーーン!!

 

故障した仮装敵はもう動かなくなり、その場で倒れる。「これ思ったより優れてる…!この調子この調子!!」

 

すると突然爆発音が響いた。

 

ドゴオオォォーーーーン!!!

 

その爆発を喰らった巨大ロボは動かなくなり、故障した。

 

「チョロいものですわね!」

 

緑谷が振り返ると、そこには大砲を押しながら答える八百万であった。

恐らくあの大砲は八百万の個性で作られたものだろう、それが出来るのは彼女しかいない。

 

「あの入試敵(ヴィラン)が、ああも容易く…!」

 

緑谷は少しショックを受けていた。前に緑谷のワンフォーオールで腕を壊してしまったとはいえ倒すことは出来た。そんな敵が轟、八百万などと、推薦入学者が難なくクリアしていってるからだ。

 

『思ったより越されてんなあ!!まあ序盤だし中々やるじゃねえかリスナー達よぉ!』

 

『まあ…入試の時と今の状況は違うからな。状況が違えば見えかたも違うってことだ…』

 

相澤はえらく真剣な様子だ。

 

『入試ではヤツはお邪魔として登場…つまりメリットがないからだ、見る目も変わりゃあ倒せるだろ……まっ、この体育祭では如何にどのように実力が試されるかが見物だな』

 

A組、B組、そして普通科にサポート科を見つめる。

 

(ぶっちゃけ他の科も決して悪くはない…ただ、立ち止まる時間が短い)

 

A組は難なくクリアしていく様子だ。

 

(やっぱりあの時(USJ襲撃)の経験が大きいな……それだけじゃない、俺は見たことないから分からんが、蛇女子学園での戦いも、奴らを立派に強く成長させている)

 

USJ襲撃で耐え抜いた者たちは、一足先に敵との戦闘を積んでいる。

経験ある者とない者の差とは正にこの事だ。敵との戦闘にて少なからず色々な事を感じた者がいる。

 

 

恐怖を植え付けられた者。

近くでその身で感じた者。

プロの世界を見せつけられた者。

 

 

または…

 

 

忍の力を肌身で感じた者。

忍の力を越えようという者。

忍の恐怖を感じた者。

 

 

 

そう言った者たちは少なからず、この先まだまだ成長する余地があるという事だ。

 

 

(まあこれを機に、一位を取るのがどんな意味を表すか…そして各々が何を体験したか…がこの体育祭の勝利を握る鍵だな…)

 

 

相澤はジッと競争を見つめている辺り、実況はしない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方現在1位である轟は…

 

「………フゥ」

 

個性を使いぱなしなので少し息が切れてるのか、それとも疲れによるものなのか、ため息をつく。現在第二関門に近いところだ。

 

(後ろに見えるのは…)

 

気になって後ろを振り返ってみると、爆豪の姿があった、近い訳ではないが決して遠い訳でもない。ペースを上げてきてる。

 

(流石は爆豪と言ったところか……アイツか緑谷が来ることは予想してたが、緑谷の姿が見受けられないな……)

 

轟も考えながら少しずつペースを上げていく。

そして轟に、皆に待ち受けてる次の難問は…

 

 

『さてブッチギリ一位の轟は第二関門に突入だあぁぁーー!!奈落の底に落っこちたら即ゲームオーバー!!命がけの綱渡り、その名もぉ〜…』

 

 

「なるほど…そういう感じか……」

 

 

『ザ・フォール!!!』

 

 

前からはほぼ地面がなく、奈落の大穴となっており、あるのは頑丈なロープだけだ。

つまりこれを突破しないと次には進めないという事だ。

だが轟にとってそれは全く関係なかった。

 

「問題ない…」

 

そう呟くと氷を重ねてロープを凍らせ橋にし道を作っている。此処にとっては轟の十八番だ。

 

(後ろは……氷使っても問題ねえか…滑って落ちるのがオチだしな…)

 

轟は後ろを見て心の中でそう呟いた。確かに轟の個性なら、ある意味妨害にもなる。細長く、頑丈なロープとはいえど、氷を使えばロープも敢えて滑ってどうしようもなくなる。

 

 

 

『轟選手これも難なく突破かぁーーー!?本当にお前んところのクラススゲェな!!一体どういう教育してんの!?あっ、合理的主義ってやつか!』

 

『わかってたら言うな……』

 

 

マイクの無駄な質問に、呆れを通り越し、ため息すらつかなくなった相澤は、顔を巻かれてる包帯から見える目で、ジッと飛鳥たちを見つめる。

 

 

(こいつらを、皆んなの身近に居させるのは、『これからの戦い』に向けてだ……敵連合が忍を狙ってる以上、油断は禁物。それどころか奴等が動き出す際、ほぼ忍が関わってきてる。これから此奴らが奴等を対抗するためにも……個性について見極め、対策し、成長して貰う……その為だ。まあもう一つは……)

 

 

また視線をモニターに移すと、そのモニターには雄英生徒たちが必死に走っている姿だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(此奴らと一緒に戦う為だ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相澤は心の中で、そう言った…

 

 

 

一方、飛鳥たちは…

 

 

「第二関門は、綱渡りだね〜…それも登る方じゃなくて渡る方の……落っこちたら終わりって、本当に命懸けみたいだね…」

 

 

飛鳥は第二関門の『ザ・フォール』を見て、固唾を呑む。忍の訓練でも綱渡りや綱を使って登るのはやったことはあるが…それをまさか此処で実戦するとは…

 

 

「私達ならともかく…奈落の下ってどうなってるんだろ?……あっ!あそこの人落ちた!」

 

「……死には…しねえだろ……流石に……なんかクッションがあるんじゃねえか?」

 

「……そうであると信じたいですね………」

 

「あのプレゼント・マイクってやつ、そこについては触れてなかったな…」

 

「……ねえ、死んじゃうの?この運動会本当に死んじゃうの?雲雀、死んじゃう運動会なんて聞いたことないよ…」

 

「雲雀ちゃん…色々間違ってるけど、死んじゃう運動会は私も聞いたことないな……」

 

 

飛鳥、葛城、斑鳩、柳生は奈落の下が気になりソワソワしてるなか、雲雀は涙目になって心配している。死んじゃう運動会…そんなの誰も聞いたことないよ…と飛鳥は苦笑しながら雲雀を見つめるのであった。

 

 

「むっ、爆豪のヤツ大分追いついてきたな…スロースターターだ…」

 

 

柳生はスルメイカを食べながら、爆豪を見つめてる。

 

「蛇女ん時も思ったんだけどさ!あの二人ってスゲェ強えよな!アタイ的には爆豪ってヤツが勝ちそうだな!漢気あるし、不良っぽいところもあるし、アタイみたいに真っ直ぐだしな!」

 

豪快に笑う葛城に、斑鳩は「少し静かにして下さいよ…」と苦悩の表情を浮かべる。

 

 

「まあまあ、あっ!そうだ…さっき話しが逸れたんだけど、斑鳩さんは轟くんのこと知ってるんですか?」

 

飛鳥は葛城と斑鳩の様子に苦笑を浮かべてそう聞くと、斑鳩は口を開いた。

 

 

「ええ、知ってますよ…彼は『No.2ヒーロー エンデヴァー』さんの息子さんですから」

 

 

「「「「!!??」」」」

 

 

その言葉に皆は斑鳩を見つめ、その後再びモニターに映ってる轟の姿に視線を移した。そのことに今まで気付かなかった飛鳥たち三人は驚愕している。

 

 

「そ、そうなの…?No.2ってことは、オールマイトの次に凄い人なんだよ…ね?」

 

「轟のヤツ、そこについては俺たちに話してなかったよな…?」

 

「轟くんのお父さんって、ヒーローなんだぁ〜…雲雀、驚きだよ!」

 

 

飛鳥と柳生の反応はともかく、雲雀の反応は本当に驚いてるのかどうか疑わしくなるくらいだ。

No. 1ヒーロー オールマイトは平和の象徴と謳われ、No.2ヒーロー エンデヴァーは事件数トップの燃焼系ヒーローだ。他にもNo.4ヒーローのベストジーニスト、No.5ヒーロー エッジショットなど、今この世で最も重要なヒーローなのだ。

ただ、No. 1とNo.2はよく比べられてしまっているが……

 

 

「え?でも、なんで斑鳩さんがそれ知ってるんですか?」

 

飛鳥が首を傾げてそう聞くと、斑鳩は微動だにしず、モニターを見てるまま飛鳥に振り向かない。

 

「知ってるも何も…前に一度『会った』ことはありますからね」

 

「「「えっ!?」」」「なっ!?」

 

 

なんと、斑鳩はあの世界で最も強いヒーロー、No.2の実力を持つエンデヴァーと会ったことがあるそうだ。そのことに皆は驚く様子を浮かべる。そんな飛鳥は、冷や汗を垂らしながら恐るおそる聞いてみる。

 

 

「い、斑鳩さん…知ってたんだ……で、でも……なんで斑鳩さんが知ってるの……?轟くん、そこには触れてなかったし、斑鳩さんを見ても何の反応も取らなかったんだけど…」

 

「ああ、それは私が半蔵学院に入る年頃、鳳凰財閥とエンデヴァー事務所の人達がパーティーで祝福してくれたのです。鳳凰財閥と彼処は世論としても、企業としても仲が良いですから……当然エンデヴァーさんも忍の存在を知ってますし、私が忍として素質があり、上層部や半蔵学院に認められたからの祝福だそうです。まあ、私が忍だという存在を知ってるのは多分エンデヴァーさんだけだと思いますけど…」

 

「な、仲が良かったんだ……よく分からないけど、凄いね…?そ、それで?轟くんとは会ったの?」

 

飛鳥は斑鳩の話に興味を持つが、斑鳩は難しいような顔で話し出す。

 

「正直言って、会ったというより、一目見た…と言った方が宜しいですわね……まあ昔の私は他人との関わりは持たない方でしたけど…」

 

「ありゃあ相当節が固かったよな斑鳩のやつ……アタイがおっぱい揉んでも無反応だったんだぜ?」

 

「ちょっ!?そ、そそ…その話はしないで下さい!////」

 

 

斑鳩が話してるなか、葛城は斑鳩の黒歴史を語ると、頬を赤らめ声を張る。そんな斑鳩の反応に、葛城は「キシシ…!」と、エロ親父のような薄い笑い声をだす。

 

 

「そ、それで…?」

 

すると飛鳥は続きを聞きたいのか、斑鳩に身を乗り出すかのように、顔に近寄り、目を見開く。そんな飛鳥を見て斑鳩は咳払いして話しだす。

 

「それでですね……私は一声かけたのですが……特に何の反応もなく…『…どうも…』とでしか言ってませんでしたね……それっきり目も合わせませんでしたし……」

 

 

『どうも』…たったのその一言だけだったという。その言葉はとても冷たく、昔の斑鳩のように、他人に関わりを持ちたくないような目だったそうだ。いや、それ以上の何かがあったようにも見えたという。

 

 

「そ、そうなんだ……で、でも…きっと何か事情があるんだと思うよ!だってホラ!今の轟くんはそんな風には見えないし!多分斑鳩さんの勘違いか、たまたま機嫌が悪かったんじゃないかな?」

 

斑鳩の話を聞いた飛鳥は、そんなことないと慌てた様子で斑鳩にそう言った。しかし斑鳩は納得してない様子だ。

 

 

「だと良いのですがね。まあその頃は特にそれほど気にしてなかったので……

 

あっ、ただ…」

 

 

「ただ?」

 

何かを思い出した斑鳩に、皆んなはまたまた視線を向ける。

 

 

「エンデヴァーさんから忍の『訓練』については色々と聞かされましたね」

 

「訓練?でもなんで…?」

 

「それについてはよく分かりませんが、ただ私がハッキリ覚えてるのは…あの人最後にこう言ったんです……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

斑鳩の脳裏に浮かぶのは、炎の如く燃え上がるエンデヴァーの姿…そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ウチの焦凍は…俺を超え……オールマイトをも超える『義務』があるからな………だから、君たち忍がどう強くなるのかを聞きたくてね……失礼した』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう仰ってましたね…」

 

斑鳩は静かにそういうと、その場の空気も収まり、いつしか飛鳥たちは黙り込んでしまった。

 

 

(轟くんのお家って……どうなってるんだろう……?)

 

心の内に沸く疑問が、飛鳥の頭の中に靄が掛かったような感じがした。そんなモヤモヤとした空気にいながら、再びモニターに視線を移し、体育祭に集中する。

 

 

 

 

 

 

 

 

第二関門では…

 

 

「うわぁ!轟達先に行ってるね!」

 

ロープを如何ににどのように進むか考えてる芦戸が口を開く。

 

「綱渡なんて、私にとっては大げさすぎるわね。ケロ」

 

蛙吹はカエルの為、綱渡りなど余裕なのだろう。スタスタとスピードを上げて進んでいく。

 

「ウチらも負けられへんわ!行こ!芦戸ちゃん!!」

 

お茶子が芦戸にそう言うと、後ろから奇妙な声が聞こえてくる。

 

「ふふふふふふふフフフフフフフフフ!!甘い、甘いですねヒーロー科!!」

 

「え?」

 

振り返るとそこには何やらゴーグルをかけ足はブーツで、サポートアイテムらしきものをいっぱい装着している謎の女性であった。

 

「あ、あなたは?」

 

「初めまして!!私はサポート科の発目明です!貴方たちヒーロー科だけでなく、我々サポート科もこの場を利用し全力でこのサポートアイテムを見せつける絶好の場なのです!!」

 

どうやらこの人はサポート科らしい、だがこの大会では…

 

「え、サポート科!?でも、この会場ではアイテムは持ち込み禁止なはずじゃ…」

 

何事にも公平にするため、サポートアイテム及びコスチュームの着用、使用は禁止されている。

 

「フフフ、そこが甘いのですよ!!公平にするべく我々サポート科はアイテムを使って良いのですよ!!貴方たちヒーロー科はヒーローとしての公平を、我々サポート科としてはサポートでの公平を!!」

 

つまり直接短く言えばサポート科は使用OKということらしい。

 

「さぁ!見てできるだけデカイ企業!!」

 

 

バシュッ!

 

 

ベルトからワイヤーを発射させると離れた地に着く地面にかけて、飛び込む。

 

「私のどっ可愛い…」

 

シュルルルル…とワイヤーを掛けたところに移動すると、ボタンをポチっと押す。

 

「ベイビーを!!!」

 

するとボタンを押した瞬間に足のブーツからボム!!と柔らかい音が鳴り、なんとか着地したようだ。

 

「わぁー!サポート科だけズルい!!悪平等だ!」

 

サポート科の芦戸は不公平だと言わんばかりにブーイングを発目に向ける。

しかし、そんな彼女たちの後ろのある男は羨ましそうにニヤケていた。

 

「良いなぁ…」

 

その男は、ヒーロー科に宣戦布告した普通科の男子生徒であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんやかんやでなんとか第二関門を突破した轟は、そろそろ第三関門へと突入しようとしている。

 

 

『さてさてさーーて!!1ーA組の轟リスナー!常に一位をキープしてるぞおォォーー!これで最後だぁ!!』

 

 

「なっ、これは…?」

 

 

そこから先はごく普通のレース状になっている、だが地面からは、危険な匂いがプンプンとしている。

 

 

そう、気をつけるのはその『地面』なのだから…

 

 

『一見何もないように見えるがこれ実は超ハード!!何故なら地面には『地雷』を設置してあるからだ!つってもまあ怪我はしないがかなり威力高めだから足止めお邪魔トラップみてーなもんだ!!』

 

 

地面には高威力の地雷が設置されている。まあもし本物の地雷だったら、タダでは済まないのだろうが……これはあくまで体育祭、流石に命に保証のない競技などあってたまるかという話だ。

 

「……」

 

轟は少し地面をよく見て、細心の注意を払いながら、地雷に気をつけ走っている。ペースもなるべく落とさないようにし、精神を削りながら集中する。しかし……いつまでも轟の思い通りに事は運ばなかった……

 

 

「ハッハァー!俺はぁ…関係ねぇーーーーーー!!!」

 

 

ボオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!

 

 

後ろから、猛烈なる爆発が鳴り響き、悠々と爆速で一気に追いついた、爆豪勝己であった。

 

「なっ、爆豪!まさかあの距離を一気に…!」

 

轟は爆豪を見て、この地雷ゾーンを躊躇なく突き進む姿に呆然としている。

 

 

「おいテメェ!半分野郎!!」

 

 

爆豪はそんな轟の様子を御構い無しに話し出す。

 

「宣戦布告する相手を…間違えてんじゃねーぞクソが!デクよりも、テメェよりも俺の方が上なんだよ!!」

 

「!!」

 

爆豪は横目で轟を睨みつけ、爆発でもろに食らってしまう。

 

だが、攻撃は爆豪だけではなかった。

 

「んなっ!?」

 

轟は爆豪の左の腕を掴んで凍らせた。

 

「爆豪、それはこっちの台詞だ……!!」

 

「半分野郎があぁ…!」

 

轟の睨み、そして氷の個性にまたしても爆豪は苛つかせる。

 

 

「悪いが…先行かせて貰うぞ…!」

 

「なっ、先を越されてたまるか!!」

 

 

轟が先を行こうとするも爆豪も走り出し、二人は互いに競い合う。それを見ている飛鳥たちは……

 

 

「うわぁ、地雷か〜…まんま私たちがやってる訓練が実現したみたいだよね〜…」

 

飛鳥は前に地雷を全て避ける訓練で失敗してしまったせいなのか、嫌なものを見てるかのような目で、ブツブツと呟く。

 

「でも地雷ってどれくらいの威力なんだろ?」

 

「私たちがやってるような物じゃないんですか?本物だと死人が出ますよ…」

 

「だが斑鳩、第二関門で死者が出たらこれもでるぞ」

 

「…………」

 

 

葛城が首を傾げてるのに対して、斑鳩はそう言うが、柳生はスルメイカを食べながらそう言うと、もう言葉は返ってこなかった。

 

 

「雲雀、運動会で地雷使ったことないよ?それって体育祭で使うものじゃないの?」

 

「雲雀ちゃん、ワザとなのかもしれないけど一応言うね…?運動会でも体育祭でも地雷は使いません…あとこれが体育祭だから」

 

「ふえっ!?そうなの!?」

 

「……雲雀ちゃん、これほどの鈍感な子は見たことないな……」

 

 

雲雀の驚くリアクションを見て、頭を押さえ込んでしまう飛鳥であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話は戻るが、轟と爆豪はそろそろゴールが近いところにまで進んでおり、ただひたすら、全力で一位を追い求める。

 

 

『終盤に入ってお前ら好みの展開突入ーー!!轟、爆豪の二人のリスナーが争ってるぜ!!!争いは争いをやめる!争いはやめられねえがな!!』

 

『何言ってんだお前』

 

マイクの興奮実況についていけない相澤はツッコミを入れた。観客たちはハチャメチャ歓声を挙げている。

 

(くっ…このままじゃ埒があかねえな…!)

 

轟は心でそう言い聞かせると…その瞬間に突然、誰もが予想してないことが起きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドガアアアアァァァァーーーーーーン!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後ろから大爆発が起きた。その後ろ姿は…

 

『なんだなんだあァーーーー!?突然なる大爆発!!これは偶然か故意かあぁーーーー!?!』

 

 

 

モニターでも…

 

「っ!?すげぇ爆発!!んだこれ!」

 

「この爆破は一体…?爆豪さんは前にいますし」

 

「……」

 

「大丈夫かな〜…?アレは流石に痛そうだよね?」

 

 

葛城は先ほどの爆発で驚き、斑鳩と柳生は何処か妙に冷静で落ち着いている。(柳生は微動だにしないのんびりでクールといったところだ。一方雲雀は、痛々しそうな目で爆発したところをジッとみている。では爆発したのは何故?一体誰が爆発したのか?

 

 

 

「アレって……もしかして!!!」

 

 

 

 

 

 

飛鳥はそれをみて、思わずビックリした。目を見開いて…ではその人物は一体?

 

 

 

 

 

 

 

観客席で、その姿を見てたある一人の人物、オールマイトは無意識に両腕を上げてしまう。

 

 

 

(こ、これは…まさか!!)

 

 

オールマイトの予想は的中。

 

 

『1ーA組!!緑谷出久!猛追ダァぁーーーーー!!!』




ようやくここで緑谷猛追〜…!!一位は轟か?爆豪か?緑谷か!?って感じですが、これってマンガ読む前だと大体先読んじゃうんですよね〜…(笑)

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