光と影に咲き誇る英雄譚   作:トラソティス

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お久しぶりです!遅くなり申し訳ありません!ペースはなるべく上げていきたいのですが、最近多忙のためなかなか書くことが出来ず…申し訳ありません!


37話「騎馬戦開始」

第二回戦、騎馬戦が始まる前のこと数分前…緑谷の誘いを断った飯田は、轟のチームに入ることにした。

轟は皆んなを見つめて、作戦を立てる。まず轟の作戦はこうだ。

 

上鳴は左翼として電撃で相手に近づけさせないよう常に個性を使って警戒する。

八百万は右翼として、個性を使って帯電シートや武器を出す。

飯田は前方の騎馬となり、個性でスピードを活かす。

 

それを聞いた皆んなは納得した。

 

「なるほど…では、轟くんは氷と『炎』を使って相手を攻撃及び妨害と言ったところか…」

 

このチームのリーダーである轟に、飯田は納得するように言うと、轟は首を横に振る。

 

「いいや……この闘いに於いて…そしてこれからこの先『()』は使わねえ……」

 

轟は左手を見ると、拳を強く握りしめ、怒りを混ぜた声で呟く。すると今度は視線を『ある人』へと変えた。

 

 

「なんたって……『クソ親父』が見てんだからな………」

 

 

クソ親父。それは、鳳凰財閥とも関係が良く、事件解決数もNo.1のヒーロー…

 

エンデヴァーだ。

 

この先…と言うのは…将来自分がヒーローになっても、炎は使わない気なのだろう… そう、それこそが轟にとって、エンデヴァーそのものを『完全否定』することになるのだから…

そしてこの体育祭でのもう一つの目的、それは…

 

 

「緑谷出久…アイツを倒す……」

 

 

轟は、慌ただしい緑谷を見てそう呟いた。

 

 

 

 

 

そんで現在。

 

『15分のチーム決め終了〜!!お前ら仲良い子か好きな子と組めたか!?なんてな!決まった子も良し!決まらなかった子も良し!ツー訳で始まるぜお前ら!熱きハートの情熱と友情と想いの絆の騎馬戦だ!!』

 

『マジでうるせえ…無駄なことばっか言ってねえで早くしろ…』

 

『北極並みに冷えなイレイザーミイラヘッドは!』

 

『あ?』

 

『さーて!お前ら準備はいいか!?』

 

相澤のギラついた怒りの目線に、冷や汗を流して相澤から視線を逸らして実況を開始するプレゼント・マイク。なんやかんやで二人は同期であり仲が良い(一方的にマイクが話しかけてるのだが…)。

 

『一位〜四位までが優勝だから、そこんところ忘れんなよ!』

 

マイクは付け足したように言うと、相澤は他のチームを見て面白そうに見る。

 

 

 

 

 

「どんな戦いが始まるんだろうな…?アタイこーゆーの見ると先にどっちが勝つかって予想したくなるんだよ!アタイは多分、爆豪あたりが一位になるんじゃねえか?」

 

「それはあり得そうですが…他の組みも侮れませんよ…?A組だけでなく、B組もヒーロー科ですし…どういった戦法でくるかも分かりませんからね」

 

葛城は爆豪が優勝するんじゃないかと予想し、斑鳩は他のチームを見やる。

確かに相手の個性が知らない以上、下手に動くのは危険だ。まあしかし、蛇女子学園や敵の襲撃を乗り切ったA組なら大丈夫だとは思うが…

 

「どっちにしろ全員敵だと言うのに変わりはないだろ…」

 

「皆んなが敵ってなると、ちょっと厳しそうだよねコレ…個性の組み合わせとかもあるし…」

 

「皆んな〜!頑張れ〜!」

 

柳生と飛鳥は流石と言ったところなのか、もう個性について分かってきてる。今まで飛鳥たちは忍の訓練だので、ただただ強くなることしか目に見えていなかったが、相澤の言ってた個性について対策し、成長している。そう、今までのようにこれから忍と戦うというのはあり得ない。この先個性を持つ悪と戦う可能性だって無いわけではないのだ。飛鳥たちも伊達に応援しているわけではない、個性について見極め、考え成長している。

だが雲雀に至っては相変わらずなのか、楽しく応援している。雲雀よ、個性について見極めてるか…?少し心配ではあるが……

 

 

 

 

なんやかんやでマイクは、騎馬戦開始までのカウントダウンを始める。

 

 

『3!』

 

 

「行くぞテメェらぁ!!狙うはあのクソデクだぁ!!」

 

「へっ!わーってるよ爆豪!こちとら立派で頑丈な騎馬だ…!思っきし行くぜ!」

 

チームのリーダーである爆豪は、緑谷を思いっきし睨みつけ、切島は爆豪の爆破の威力に負けまいと、自分は大丈夫だと言う。

 

 

『2!』

 

 

「行くぞお前ら…準備はいいな?」

 

「ああ!いつでもOKだ轟くん!」

 

「任せろ!」

 

「私も全力でサポートしますわ!」

 

轟の覚悟を決めた声に、飯田、上鳴、八百万は頷く。

 

 

『1!』

 

 

「皆んな!頑張ろう!!」

 

「うん!」

 

「フフフ!ベイビーにお任せあれ!」

 

「おう…!」

 

緑谷の声かけに、麗日、発目、常闇は反応する。

 

それぞれ勝利を掴もうとする猛者たちの眼差しが飛び交う。そして…

 

 

『スタート!!』

 

 

今!

 

 

騎馬戦の幕を上げた。その瞬間。多くのチームは一斉にA組の緑谷チームへと突っ込んで行く。

 

まず最初に見かけるは鉄哲チームと葉隠チームだ。

 

「まずは狙うは1000万!やるっきゃないぜ!B組魂見せてやろうぜ!」

 

鉄哲はその小さな黒い瞳を緑谷に向け、迫ってくる。

 

「ハッハー!ゴメンね緑谷くん!1000万P取らせてもらうよ!」

 

「葉隠…頑張る気持ちは嬉しいけどさ…///」

 

「騎馬戦のためとはいえ…せめて服、着ろよな…////」

 

葉隠はハチマキを巻いてるが、服を着てないため分かりにくい…しかしこの場では葉隠は上半身裸体な訳だが、見えてないとはいえ羞恥心がないところは尊敬してしまう。自分の気持ちよりも目標のためならばという意味もあるのかもしれないが…

そんな彼女に砂糖と耳郎は顔を赤くしながら呟くのであった。

 

「同時に来た!」

 

緑谷は先を読んでいたのか、右腕をあげる。すると右に回りながら後ろに下がる。さっきの右腕を挙げたのは、指示の意味だそうだ。無駄のないやりとりで時間を省かせる。だが…

 

「ケッ!甘ぇよA組!」

 

骸骨のような顔をしたB組の生徒、骨抜は舌打ちをして個性を発動させる。その途端…

 

グニョ…

 

「っ!足が!?」

 

なんと地面が泥や沼のように柔らかくなっていき、足が地面に食い込んでいるのだ。そのせいか、身動きとる事が出来ない。

 

「まずい!こうなったら…お茶子さん!発目さん!顔避けて!」

 

二人は顔を避けると、緑谷の背中に装着しているエアジェットが起動する。

すると騎馬は飛び、鉄哲と葉隠チームを通り過ぎる。

 

「なっ!騎馬が飛んだ!?アレって…サポート科の!」

 

鉄哲は緑谷のエアジェットを見て驚く。だが葉隠チームの耳郎は諦めず、イヤホンを使って攻撃する。

 

だが…

 

バチッ!

 

「っ!?黒い影…あっ!」

 

「フッ…残念だったな耳郎…」

 

耳郎のイヤホンジャックは常闇の黒影により弾かれた。

 

「いいぞ黒影(ダークシャドウ)…常に俺たちの死角を見張れ!」

 

「アイヨウ!」

 

常闇の黒影は常に死角を見張る事で、不意打ちが効かない。しかも黒影はとても汎用性が高く、とても有利だ。

 

「凄い!流石常闇くんだ!僕たち騎馬に足りなかったもの、それは常闇くんのような汎用性に優れてる個性!防御も出来る、攻撃もできるし!凄いや本当!」

 

「フッ…選んだのはお前だ緑谷…」

 

常闇はそんな緑谷にふと笑った…

 

「着地するよ!」

 

お茶子がそう言うと、お茶子と発目の足に付いてるジェット機を起動させてなんとか着地する。

 

「麗日さんの個性に発目さんのコスチューム…!凄い!この二人の力も欲しかったんだ!!機動性もいいし、麗日さんの個性だとリスクも減るし!ありがとう!」

 

緑谷は後ろの二人を見てそう言うと…

 

「緑谷!前!」

 

常闇が注意する。前を見るとまたもや鉄哲と葉隠の二組チームが襲いかかってきた。

 

「発目さん!麗日さん!」

 

緑谷は二人の名前を呼ぶと、二人はすぐ様ジェット機を起動させ、お茶子は個性を使おうとするが…

 

ブニョン…

 

「え?」

 

足に何やら粘着性のある柔らかいボールを踏んづけてしまったので、下を見て見ると…

 

「峰田くんのもぎもぎ!?ってことは…」

 

「ってことはその通りだぜ緑谷ぁぁ!!」

 

緑谷がこのもぎもぎを見て峰田の仕業だと知った瞬間、峰田の声が後ろから聞こえた。振り返って見るとそこには…

 

「えっ!?障子くん一人だけじゃん!」

 

峰田かと思いきや、複製腕を使って背中を覆っている障子は、緑谷目掛けて突っ込んできている。

 

「ふっふっふっ…緑谷……オイラはちゃぁ〜んと居るよ…」

 

障子の覆っている複製腕の中から峰田がスゥ…っと現れた。

 

「峰田くんそこにいたんだ!…でも、もぎもぎが邪魔だな…早くしないと!」

 

しかし…

 

バッ…!

 

突如長い舌が緑谷に襲いかかる。

 

「うわっ!」

 

しかし緑谷はその見慣れた長い舌をなんとか躱した。

 

「流石と言ったところかしら…そう簡単に取らせてはくれないようね…」

 

峰田と同じく、障子の覆っている複製腕のなかから蛙吹が現れた。長い舌を使ってハチマキを奪う…彼女なら考えそうな戦法だ。

 

「こうなったら…!二人とも顔避けて!出力!」

 

緑谷がポチっと背中に付いてるジェット機のボタンを押すと、起動して空を飛んだ。しかし足に付いてたもぎもぎは取れたものの、足のコスチュームは故障してしまった。

 

「発目さん!ごめん!」

 

「わ、私のベイビーが!!」

 

緑谷は残念そうな顔をしている発目に申し訳なさそうに謝る。すると…

 

 

「余所見してんじゃねえぞクソデクぅ!!!」

 

「かっ!?かっちゃん!?!」

 

 

突如緑谷の騎馬の横から、どう言う理由か爆豪が一人で空中に飛び、緑谷に殴りかかろうとする。

 

黒影(ダークシャドウ)

 

「アイヨー!」

 

ボオオオォォォン!

 

常闇が黒影を使って緑谷たちを庇ったお陰か、皆は爆豪の攻撃を喰らわずに済んだ。

 

「あぁ!?んだこれ…」

 

直撃した常闇の黒影に眉をひそめる爆豪は、落下していく。するとそこへセロハンテープが爆豪の体を巻き付いた。

 

「ったく、無茶すんなよ爆豪」

 

「俺の心配なんかしてんじゃねえぞしょうゆ顔!」

 

「瀬呂だ!同じクラスなんだしいい加減名前覚えろ!!」

 

爆豪の発言に声を張る瀬呂は、ため息をついて爆豪を騎馬に戻す。

 

『あのー…ミッドナイト、これありなの?騎馬から離れてたけど』

 

『地に足ついて無けりゃいーよ!ついてたらダメだったけど!』

 

これも一つの戦法のため、爆豪のやり方はセーフだそうだ。爆豪が瀬呂を誘ったのはこの為だったのだろう…爆豪らしいと言えば爆豪らしいが…

 

 

「追うよ皆んな!」

 

「いや、待て葉隠…ハチマキどこやった!?!」

 

「え、え?あーー!!無い!いつの間に?!」

 

葉隠は緑谷を追おうとするものの、いつの間にか自分のハチマキを取られてしまった。

 

一方、峰田チームも…

 

「ねえ峰田ちゃん…貴方一体いつ取られたのよ…まさかだとは思うけど、応援席にいる飛鳥ちゃん達に見惚れててハチマキ取られた…なんてことないでしょうね」

 

「うるせーー!!知るか!てかしてねーよ!!どんだけオイラを疑ってんだよ!!気付いたらいつの間にか取られてたんだよ!!」

 

ドス黒い蛙吹の言葉に、峰田は思わず体を震わせては半泣きになって半ギレ状態だ。

 

「けど…けどよ!これでもう失うもんは何もねえ!だから狙うは1000万だ!いくぜ障子!障子フルアタックモードだ!」

 

心が折れかけた峰田は、なんとか挫けずに緑谷のPを狙う。そして峰田の声かけに障子も軽く頷く。

 

 

『スゲェガン逃げ野郎は一位をキープしてるし、最強くんも二位でキープしてる!!そして爆豪も……って、は?アレ?爆豪選手…0P?』

 

 

モニターに映ってるのは三位が物間になっている。

 

 

「単純なんだよね、A組は…」

 

爆豪のPをかっさらった人物は、B組の物間。そんな物間に爆豪は怒りで目を細める。

 

「んだテメェ!返せゴラ殺すぞ!!爆殺すっぞ!!」

 

「ねえ、障害物競走の予選の時から可笑しいと思わないかい?」

 

「ああ!?」

 

爆豪はドスの効いた爆切れオーラを放っていながらも、物間は怯まず、悠長に話を続ける。

 

「僕たちB組がなんで最下位になったか分かるかい?ただ単に個性の相性が悪かったとかそういうのじゃないんだよね〜…君たち一人一人を見極めてたんだよ、そんで人気が低くなった僕たちは今、君たちに狙われることなくこうしてP狩りを行えるわけさ…君たちのようなバカは思いもつかないだろう?」

 

「クラスぐるみか!」

 

「まあ皆が皆協力してくれた訳じゃないけど、それでも良い案だろ?ホラ、『人参ぶら下げた』馬みたいに仮初の頂点を狙うよりさ」

 

ピタッ…

 

物間の毒舌とも呼べる言葉に、爆豪はピタリと止まった。それでも物間は話を続ける。

 

「あっ!そーだ君、この前の『ヘドロ事件』で被害にあった有名人だよね?今度参考に聞かせてよ!年に一度敵に襲われる気持ちってヤツをさ…」

 

物間は「じゃっ」と手を振って爆豪に背中を向ける…と。

 

「おい待てクソモブ」

 

「は?」

 

爆豪にクソモブ呼ばわりされた物間は思わず反応して振り返る。

 

「んでクソ髪…予定変更だ…」

 

「えっ?」

 

物間と同じく、突然呼ばれたことに思わず反応した切島は、爆豪を見る。

 

「デクの前に…コイツら全員殺そう!!」

 

爆豪は完全なる爆切れオーラを放ち、物間に向けてそう言った…

 

 

『さあ!残り時間半分切ったぞーー!!』

 

 

マイクの声が会場に響き渡るなか…

 

 

「やはり、B組も侮れませんでしたね…あの爆豪さんのPを取るのは私も予想外でしたし…」

 

「ケーッ!何やってんだ爆豪!アタイが見込んだ奴なんだ!とっととやっちまえ!」

 

「それ以前にアイツもう怒りのあまり、意識あるかどうかすら分からんぞ…まあ爆豪に喧嘩売ってる奴も十分凄いが…」

 

「あー!見てみて皆んな!あそこ!」

 

斑鳩と柳生がため息をつき、葛城は応援してるなか、雲雀があるところに指をさした。皆は雲雀が指差すほうを見てみると…

 

「み、緑谷くんに…轟くん!!」

 

それを見た飛鳥は、思わず声をあげた…

 

「成る程…一位と二位の争いか…」

 

柳生は面白そうに、クスッと笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

「そう上手くはいかないよね…轟くん…!」

 

緑谷は一呼吸して、再び轟に視線を向ける…

 

「そろそろ奪るぞ…緑谷(1000万)!」

 

轟も同じく、緑谷を見つめて…

 

『B組隆盛の中!!果たして1000万Pは誰に頭を垂れるのか!?』

 

 

激戦のなか、勝負の行方は如何に?




今回も少なかったですが、キリのいいところまで来たので、次回もお楽しみにして下さい。

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