さて、昨日ヒロアカの漫画と小説買いましたが、面白いですね!小説では爆笑の嵐が…!のほほんとした日常…うん!悪くないね!ここでもそんな彼女たちと彼らの日常を書ければ良いなと思いました。
事の始まりは、雪泉たち月閃女学館が半蔵学院に学炎祭を申し込む前の日、そう、雄英体育祭が終わったその日のことだった。
枯れた芝に覆われた丘を登ると、眩しい夕陽が山間の向こうに沈みかけていた。
死塾月閃女学館の選抜メンバーが歩いている。
死塾月閃女学館は、善忍としてもそこそこ有名で、特に選抜メンバーは相当な腕を持つものと言われてる程だ。他校の忍たちや皆は略して月閃と呼んでいる。
「そうだ雪泉ちゃん!ちゃんといちご大福持ってきた?」
「勿論です美野里さん、おじい様の好物を忘れるわけがありませんからね」
手提げ袋の中には沢山のいちご大福が入っていた。大きい大福の白い表皮の奥に大きないちごがうっすら透けてみえる。体調を崩して寝たきりになってからも、おじい様はいちご大福だけは口にされた。今日も気に入ってくれるはず。
ここのところ忍の訓練が忙しく、ろくにおじい様に会っていなかった。
「ええ、そうですね…私たちの顔を見たら、きっと喜ぶでしょう」
私たち5人は皆善忍の家系で、悪忍との抗争の末に両親を亡くしている。
おじい様は私たちを善忍として育て、死塾月閃女学館に入学させてくれた。
その恩義に応えるために、厳しい忍の修行に励み、全員揃って選抜メンバーとなった。
「さあ、あともう少し、行きましょう」
丘を少し降りたところにおじい様はいる。私たちは弾む心が抑えきれずに駆け出しそうになった。その時だ…
「がーはっはっはっは!」
どこからともなく豪快な笑い声がした。気配を感じて振り返ると、背後に居たのは板前の格好をした老人が立っていた。
私たちは一斉に構えた。その老人が只者ではないことがすぐに分かったからだ…小柄の体から尋常ではない量のオーラが滲み出る。こんな気配、今まで感じた事がない…
「何者です…?」
「ん、ワシか?ワシは半蔵じゃ」
「は、半蔵!?」
その名を聞いた途端、私の血が熱くなった。他の四人もきっと同じことだろう。
…伝説の善忍、半蔵。
忍の道を志す者なら誰でも知っている名だ。普通の忍学生だったら、ここでひれ伏してもおかしくない。
しかし、私たちにとって半蔵の存在はそんな単純なものではなかった。
何故ならおじい様から何度も聞かされていたからだ。
半蔵は宿命のライバルだった、と…
「私たちに何の用ですか…?」
「なーんか暇でのぅ。ちと退屈しのぎに、遊び相手を探して散歩しとったんじゃ」
半蔵はにやりと笑うと、いきなり姿を消した。
あっ、と思った次の瞬間、私の胸は背後から鷲掴みされていた。
そしていつの間にか半蔵が私の背後に回り込んでいた。
「ぶ、無礼者!」
私が肘打ちを放つなり、半蔵は素早く体から離れた。
「月閃の選抜メンバーと知っての狼藉ですか!」
「もちろん、月閃がどれほどの乳を選抜したのか、この手で確かめたくてな。あそ〜れもみもみ」
両手をわしわしと動かすと、半蔵はまた姿を消した。
「皆さん、注意して!」
私たちは注意深く周囲を見渡した。しかし…
「ここじゃよ」
声のする方をみると、半蔵は叢さんの背後に、次に夜桜さん…
「おやめなさい!」
私が殴りかかろうとすると、半蔵はまたまた消えた。
さらには四季さん、おまけに美野里さんまで。半蔵は次々に私たちの胸を鷲掴んでいく…抵抗したくても半蔵の動きが早すぎて為す術がない。
「卑怯者!何が伝説の忍…この薄汚れた善忍め!」
私が大声を出すと、半蔵はようやく動きを止めた。
「薄汚れた善忍とは酷いのう…全く」
「おじい様は言ってました。半蔵は悪の存在を黙認する善忍だと…まさにその言葉の通り。その品性下劣な所業、私たち生粋の善忍とはまるで違う!」
私の話を聞いてるのかいないのか、半蔵はとぼけた顔で口をもごもごさせている。本当にこんな人がおじい様のライバルだったのか…
「しかしのお、こう見えてもワシは雄英高校にだって協力してるのじゃぞ?それなのにこの言われようはないんじゃないかのう〜…第一その薄汚れた善忍とやらにもみもみされてるようじゃ、お前さんたちも立派な善忍とは呼べんのではないか?」
挑発じみた言葉を言い放ち、半蔵はまだ口をもごもごさせている。どうやら何かを食べているようだ。よく見ると口の周りが白くなっていることに気がついた。
「ゆ、ゆみちゃん…あの人が食べているの…もしかして…」
恐る恐る声を振り絞る美野里さんに言われて、私はなんだか良からぬことを想像し、冷や汗を垂らしながら手提げ袋の中を見た…そこには
「…ない。一つもありません!」
空っぽだった。
半蔵がもごもごと食べていたのは、私がおじい様の為に持ってきたいちご大福だったのだ。しかもいつの間にか…気付かれることなく、なんと言うことでしょう。
「返して!いちご大福を返して下さい!」
「そりゃ無理じゃわい。全部食べてしまったからの。あー美味しかった、ご馳走さん!」
半蔵は満足した顔でけろりと言い放った。もう我慢出来ない…私は怒りで血が逆流しそうだった。
「もう絶対に許しません!勝負しなさい!半蔵!」
私が叫びながら構えると、半蔵は退屈そうに耳をかいた。
「どんなに怒ったところでワシには勝てんぞ。お前さんの相手なら、孫の飛鳥で丁度いいくらいじゃ」
「孫?」
「ああ、今は半蔵学院の2年生じゃ。飛鳥に勝てたらちゃんと相手をしてやるわい」
あくびをしながらそう言うと、半蔵はふと姿を消した。あまりの屈辱に私は唇を強く噛んだ。これではおじい様にあわせる顔がない。
「みなさん…今日は帰りましょう……」
私が振り絞るように言うと、皆んなも小さく頷いた。
学校の忍部屋に戻ると、担任教師の
王牌は立派なヒゲを生やした老人だ。老人と言っても筋骨隆々で、今でも現役顔負けの動きをし、私たちに厳しい訓練を与えてくれる。最近は居たり消えたりするが…
「おかえりネ」
私たちの気配に気付いたようで、瞑想の姿勢をしたまま口を開いた。
「さっき、学校から指令が下ったネ。学炎祭を仕掛けろとの話ネ。まずは蛇女あたりを狙うのはどうネ?」
「わかりました」
悪忍の殲滅が私たちの悲願だ。蛇女子学園はかつて半蔵学院と雄英高校によって敗れたものの、復活したそうだ。
ならば学炎祭はもってこいの機会と言える。みんなも一様に頷いていた。
これで正々堂々と悪忍と戦える。そう思ったときにある考えが閃いた。
学炎祭ならば善忍同士で戦うことも出来るのではないか。
「先生、半蔵学院に学炎祭を仕掛けることは可能ですか?」
王牌は少し驚いた顔をすると、なにやら考え始めたように目を閉じた。
「先生、宜しくお願いします!」
私の声に反応するように、王牌はカッと目を見開いた。
「生ぬるい関係だけでは忍の道は極められないネ!」
「それでは…?」
「善忍同士での競い合うのも、学炎祭ならば問題ないネ!思い切りやると良いネ!」
私は大きく頷いて答えた。
「まずは半蔵学院から…みなさん、やりましょう!」
「「「「おーっ!」」」」
気合いの入った声で皆んなの気持ちが一つになる。
半蔵よ。
お望み通りに孫の飛鳥は完膚なきまでに倒してやる。
そしてその次はお前の首だ。
いちご大福の恨みは海より深いと思い知れ。
光あるところに影があり。
影あるところに光がある。
陽と陰、善と悪、光と影、その均衡こそがこの世を保つ絶対の理。
忍として生きるのならば、その理から外れてはならない。
しかし、と私は思う。
果たして本当にそうなのだろうか?と。
悪は善を侵食し、善は簡単に悪に染まる。しかも自分勝手の悪たちのせいで多くの尊い命が犠牲にされてきた。
善と悪の均衡などという言葉は、とっくの昔にそれを都合よく思う者たちの戯言と化してるのではないか?
その証拠に、私は見たことがない。
悪が善に変わる様も、闇の中に光を見たことも。
これより始まる物語は、私たちの証明の物語。光と善の世界を証明するために命を懸けて刃を振るう。
だから、悪は許さない、許して良い存在ではない。
そして、願いは一つ。
戦いの果てに皆んなが再び笑えるように…。
それが今回、半蔵学院へ学炎祭を仕掛ける原因だったのだ。
しかし今の飛鳥たちには、この事はまだ知る由もない……
「全員を紹介した所で、私たちは今ここに…
『学炎祭』の開催を宣言します!」
そして現在。彼女たちは今、そう宣言した。
しかし…
学炎祭?それは一体なんだろう?初めて聞いた。学園祭ではないことは確かだろう…
「学炎祭?学園祭じゃないよね?それってなんなの?」
「詳細は教師に聞くと良いでしょう…」
学炎祭が何なのか分からない飛鳥たちに、呆れて目を細める雪泉は冷たい反応をとる。
「7日後、私たちは再び此方に訪れます。それが祭の始まりです…
…では」
そう言うと、彼女たちは消えてしまった。
「7日後…即ち一週間後…」
「なあ斑鳩、学炎祭ってなんだ?詳しく知らないのか?ほら、斑鳩こういう学校行事とか歴史とか得意だろ?」
「そ、そうですけど…!聞いたことがありません!……取り敢えずこのことを霧夜先生に報告した方が良いでしょう…」
葛城はもしかしたら斑鳩なら知ってるかと思って聞いてみたが、あの斑鳩でさえ知らないようだ…
彼女たちは心に不安な気持ちを抱きながら学校へ戻って行った…
「学炎祭を申し込まれた訳か、それも同じ善忍である月閃にか…」
事情を知った霧夜は、飛鳥たちを見やると大きくため息をついた。それも何か良からぬような…
「はい…あの霧夜先生、学炎祭って何ですか?」
「学炎祭というのは忍学校に代々伝わる、学校対抗の決戦のことだ。
まあ簡単に言えば他校と戦う…と言った方が妥当か。
正式認定された忍学生たちが戦う決闘祭であり、攻守に分かれ攻撃側の学校が守備側の選抜メンバーを倒した場合、敗北となり、負けた校舎には火が放たれ廃校に追い込まれることになる」
「半蔵学院が廃校……一般生徒も居るんですよ?本当に可能なんですか?」
「ああ、忍のルールとならば関係ない…この世の超人社会、なんでも全てが表だけで出来ている訳ではない、時に裏のルールによって今の社会は影響を受けている事だってあるんだ、分かるな?廃校になった場合、二度と忍の資格習得が不可能になる、勿論その場で忍は失格となる」
「え…?そ、そんな……」
学炎祭にそんな意味があったとは…意味を知った飛鳥は言葉を失った。なんて言葉を出せば良いのかすらわからなかった…
「なんなのそのお祭り…そんなのお祭りでもなんでもないよ…まだ体育祭の方がずっとマシだよ…」
ここで雲雀はしょんぼりとした様子で落ち込む。それは無理もない、だってそんなの聞いたことがないのだから…学炎祭、その名の通りまさに炎上する祭りだ。
「しかし、学炎祭なんて初めて聞きましたよ?」
「それは無理もない、何故なら前回学炎祭が行われたのは50年前のことだからな、お前たちが知らないのも当然無理はない」
「50年前…まじかよ、そんなに昔から…でもなんで月閃の奴ら、アタイらを狙うんだ?」
「葛城、お前のセクハラで何かやらかしたんじゃないのか?」
「おい柳生!いくらセクハラが大好きなアタイでもそれはないぜ!」
半蔵学院が狙われた意味が分からない葛城は、柳生に一言言われるものの、セクハラはやってないと主張する葛城。まあ流石の葛城もそれはないだろう…
「でも待って下さい!葛姉の言う通り私たち何もしてませんよ!?狙われる意味がわかりませんし、何よりなんでそんな決戦が存在するんですか!?私は学校同士で潰し合う意味がわかりませんし、あったとしても納得がいきません…潰すなんてそんな…」
正義感が強い飛鳥にとって、全てが分からなかった…忍としてまだまだだし知識もそれほどと言う訳でもないが、学炎祭の意味だけどうしても納得が出来ない。
競うのは良し、戦うのも納得がいく、しかし幾ら何でも潰す事はないだろう。
「…飛鳥よ、忍の頂点『カグラ』は知ってるか?」
「カグラ…?」
その言葉に、飛鳥は目を丸くした。その名前を聞くだけで不思議な感覚がする。
「学炎祭はカグラを養成するために考案されたものだと言われている…因みに現在カグラは数少ない、今でも何人いるかは分からない位だ…」
「なるほど…それは分かりました。ですが月閃の人たちはカグラになることが目的って訳ではなさそうだったけど…」
「そうだな、それについては俺もよく分からん…狙われる理由も分からない…同じ善忍を養成する半蔵に学炎祭を仕掛けてくる理由はない、つまり…」
「何か裏がある…と言う事でしょうか?」
「ああ、その通りだ斑鳩」
どちらにせよ、学炎祭を申し込まれた以上断る事は不可能。勝負は絶対、学校を守るためには戦うしか道はないのだ。
「斑鳩、葛城。今は最終試験のことは忘れて、月閃を迎え撃ってくれ。そして飛鳥、柳生、雲雀も雄英高校のことは一時期休止だ。事情は俺から話す、お前たちも学炎祭に集中するんだ」
「「「はい!」」」
「分かりました」
「だよな、アタイら忍になれくなっちまうんじゃ、最終試験もクソもないもんな…受けて立つぜ…!」
「では、話は以上だ」
そう言うと霧夜先生は消えていった。
学炎祭、未だに勝負を仕掛けられた理由は未だに分からないが、斑鳩の言う通り確かに裏がある。でなければ学炎祭を仕掛けられるのは明らかにおかしいからだ。何かしらの恨みを買われたのなら話は別だが…
五人は不安な気持ちを抑え込みながらも、学炎祭に向けて修行に励むことになった。
「それにしても学炎祭か…なんか不思議だよ…昨日体育祭があったのに、今度はこっちが戦う番だなんて、また戦いが始まるんだね…」
言われてみれば確かにそうだ…
昨日は雄英体育祭が終わり、雲雀と話してた時にこういった勝負がしたかったとは言ったものの、この展開は想定外だ。
それに昨日と言い今日と言い…どうなってるんだか。
「大丈夫だよ皆んな!私たちだって強くなってるもん!敵の襲撃、焔ちゃんたち蛇女の戦いだって、私たち勝ってきたじゃん!」
飛鳥はなんとか自信を作るものの…
「それはあくまでアイツらが居たからだろ?この戦いは忍との戦い、ヒーロー科の助力は無しだぞ?」
「あっ…」
柳生に一言言われれ、絶句する。確かに言われてみればそうだ。いつも戦うときは大体ヒーロー科の彼らと一緒に戦う。それも異常事態な時…
「で、でも…今の私たちならなんとか乗り越えれるよきっと!」
乗り越えられる…ではない、乗り越えなければならない。
学校の存亡だけでなく、忍としての命運も掛かっている、双方は絶対に負けられない。
そう、これから始まるは少女たちの証明。
太陽の光を持つ正義と、月の光を持つ正義との戦いなのである。
そして一日が過ぎた二日目、雄英高校1年A組の彼らは、相澤先生から学炎祭の話を聞かされた。
「負ければ半蔵学院廃校!?!飛鳥たちは学炎祭に参加し暫く此処にはいない!??」
「まあぶっちゃけ単刀直入に言うとそうなるな、しかも負ければ廃校だけでなく忍の資格取得は不可能になる、つまりアイツらは今学校の存亡だけでなく、忍の道にまで命運が掛かってるんだ」
「まじかよ…なんだそりゃあ…」
「勝っても負けても廃校になった奴らは炎上した後、灰のごとくこの先も真っ暗になるんだろうな……」
「バカ上鳴、あんまそう言うの言わないでよ…」
今置かれてる学炎祭の詳細を知ったクラスの皆んなは、朝からテンションが一気に下がった…まあ無理もない、クラスの仲間がこんな状況に置かれてるんだ、心配しない方が可笑しい。
「誰だよ学炎祭なんか仕掛けたやつ!学校の潰し合い…こんなのアリかよ…!」
「落ち着け切島…気持ちは分かるが、今回ばかりは俺たちが出ていい問題じゃない」
「そりゃ、分かってるけどよ…」
思わず興奮し熱くなる切島に、障子が止める。ここで飯田が手を挙げ質問をする。
「先生!因みに学炎祭を仕掛けた学校はなんと言う学校なのでしょうか!?」
「死塾月閃女学館だ」
「え、女学館?女だけの学校?ヤベェ蛇女だけでなく宝は、秘宝はまだあった!!つまりおっぱいハーレムの誕生がああぁぁぁぁ!!」
「おい峰田、今真剣な話をしてるんだが?」
「すいません、涎が止まらなくて…」
「ソレを言ってるんじゃない」
ただ一人だけ、可笑しい人物、いや…変態は居た。それも全ての女性に対する天敵、峰田実。
滝のように涎が流れてる峰田は、腕でなんとか拭くものの、止まらない。汚ねえ…
もはや突っ込みすらも無駄だと知った相澤は呆れて何も言えず、深い溜息をついた。
「まあ以上だ…学炎祭は一週間後、アイツらが勝てば今度は仕掛けた向こう側に攻める。そして勝てばアイツらも晴れて忍の道も学校も存続する訳だ」
「でも、負けた月閃の彼女たちは…」
「まあ当然、永遠に忍の資格取得が不可能となるな…だが仕掛けてきたのはそっちだ、勝つことに専念するしかない、お前たちは観る事だけは出来るそうだ…そこは自由、ただ参加は無理だからな?」
学炎祭、今回も派手な戦いになりそうだ、忍側だが…
学炎祭、つまり雄英体育祭のようなビッグイベントなのだろう、忍側にとって…
「話は以上だ、あぁそうそう言い忘れてたが…お前たちの指名は思ったよりかなりの数が多くてな、まだ整理できてないんだ…指名はまだこれから先になりそうだが…悪いな。では話は以上だ、お前ら通常授業の用意しとけ」
そう言うと相澤先生は教室から出て行き姿を消した。
そして教室では重たい空気と共に、気不味い沈黙が続いた…
職員室では…
「むむぅ…まさか雄英体育祭の次に今度は学炎祭かぁ……しかも相手は死塾月閃女学館…!」
机の上で資料を見つめるガリガリ姿のオールマイト。何故忍である彼女たちの資料を持ってるのかが唯一疑問に思うが…
「
ゴクリと固唾を飲み込み、冷や汗をかく…そこまでして何故気不味いのか?それは本人しか分からない…
「となると、
それなら、私も動かなければなるまい…
放課後…
いつも通りの授業が終わり、皆んなは荷物を持ち帰る準備をしている。
「飛鳥さんたち…大変だなぁ…」
夕焼けの光が差す窓越しで、ポツリとそう呟いた。
もし自分が同じ立場だったら…と考えると胸が痛くなる。
憧れてやっとヒーローになるチャンスを得られたのに、負けたからヒーローへの資格取得は不可能になる、と言ってるようなものなのだから…
半蔵学院は今そんな状況に陥り、そんな境遇にいるのだ。
そんなことを考えていると…
「緑谷?大丈夫か…?」
「ん?え? あっ…!轟くん!?」
荷物を肩に背負ってる轟が近くにいた。ずっとボ〜っとしてたので分からなかった。
「いつからそこに?」
「いや、ついさっき来たばっかだ…お前が死んだ魚のような目をしてたから、心配で声かけたんだ」
「死んだ魚のような目て…!!」
轟くんからそんな言葉を掛けられるなんて意外だな…
「そ、それで…?轟くんどうかしたの?」
「ああ、飛鳥たちのことなんだけどさ、学炎祭の話は勿論覚えてるよな?」
「……うん」
轟の言葉に頷く緑谷。ぶっちゃけ学炎祭で彼女たちが死ぬとは思えないし、飛鳥たちも十分強いから大丈夫だとは思う。
そう、そう思いたいのだが…不安なのだ。何か良からぬ気配がするから…
「轟くんはどう思う?学炎祭って言うの…」
「そうだな……
話による」
「っ!!間違っちゃあいないけど…!」
数秒間が差し、答えた轟に緑谷は間違ってこそはいないけどなんか微妙だと思う。しかし轟にはその訳があった。
「だってそうだろ、先生はその理由については一切言ってないわけだ。つまり俺たちには知る必要がないか、あるいは先生自体分からねえって訳だろ?相手が飛鳥たちに何かを思うことがあるんだったら、それなりにアイツらと向き合わなければならねえし、それに見合う覚悟が必要だと俺は思う。相手がタダ単に潰したいという目的であれば、学炎祭を装った
驚いた、まさかそこまで考えていたとは。そりゃあ轟の言ってることに納得がいくし、賛成できる。相手の目的が分からない以上嫌でも戦うしかないし、相手が何かをおもうのだったらそれなりに向き合う覚悟が要る。
(轟くん…そんなことまで考えてたんだ……前ならそんなこと言わなかったのに……ううん、考えなかったのに……)
よく見ると轟の顔は以前より何処か変わっている。まるで吹っ切れた?のかのように、でも冷静でクールな所は変わりはない。まあそういう所が彼らしいのだが…
「そういう緑谷は?」
「…うん、正直心配…相手がどんな人でどれ程の実力を持ってるのか分からないし……飛鳥さんたちなら負けないと思うけれど…でも向こうが勝つことだってあるかもしれないし…そう考えると不安で仕方ないよ…だって飛鳥さんたちが忍になれなくなるなんて…僕らで言うヒーローになれなくなるみたいなもんだよ…」
「まあ、そりゃあそうだな…」
緑谷の言葉に同意した轟…
そういえば轟くんとこうして話すなんて珍しいな、初めてかな?こうして普通に話すのは、前に話したのは体育祭の時以来だ。
「緑谷、お前はどうする?」
「え?なにを?」
「学炎祭…観に行くか?」
「!?」
緑谷は思わず声を上げることなく驚き、座ってた席に立ち上がり背中を窓にぶつける。背中に衝撃が走り少し痛い。
「オイ大丈夫か?俺なんか変なこと言ったか?」
「へ、へへ変じゃないけど!でも轟くんからそんなこと言うなんて思ってもなくて……でも何で急にそんな……」
体育祭の時までの轟からは考えられなかった。今まで父親を完全否定することしか考えてなかった轟が、初めて他の人を心配し、深くかんがえたりなどと…
その顔に迷いはない、確かに変わった。しかし轟の何を変えたのかは分からない。体育祭の後、一体何があったのか…
「緑谷と同じく心配だってのもそうだが、相手がどんな奴等なのかも見たいし、飛鳥たちが俺たちの体育祭を観てくれたように、俺たちもアイツらの戦いを観るべきだと思うから…」
「轟くん…」
言われてみれば、飛鳥さんたちだって一生懸命応援してた。色んな競技で頭の中が精一杯だったとはいえ、応援の声があったのは聞こえてたし、とても嬉しかった。そもそも僕自身応援されるなんて、お母さんとオールマイトだけだっから、尚更嬉しい。
「そうだよね…僕も同じだよ…」
それに何より気掛かりなのは死塾月閃女学館だ、何を目的に半蔵学院に学炎祭を仕掛けたのかは分からないが、少なくとも学炎祭の意味が分かってて仕掛けて来たんだろう、それは間違いないはず。
だからせめて理由を聞きたい、会って話をしたいとも思っている。
それに例え目的があるとはいえ、何も潰す事はないだろ。ましてや同じ善忍が競い争う必要なんてないと僕は思う。
そう緑谷は思った。
「うん、僕も行くよ…!でも僕ら二人だけじゃ…」
「他は誘えば良いだろ…爆豪なんかは来るんじゃねえか?」
「え?あのかっちゃんが!?なんでまた…?」
ここで爆豪の名前が出たことに驚く緑谷、それに体育祭の最後、表彰台でブチ切れてたのに、よく誘えるなと内心思っていた。
「体育祭の時、アイツ蛇女の焔とかってヤツの真似してたろ?つまりアイツは最初っから体育祭で勝つために、蛇女に乗り込んだんだろ?」
「あながち間違っちゃいないけど…でもぶっ飛ばすって言ってたのも本音だと思う……でも大体かっちゃんは…」
「俺が何だって…?」
「えっ…?」
轟と緑谷が話してたその時、後ろからドスの利いた声が緑谷の背筋を凍らせた。後ろをおそる恐る振り向くと、そこには眉間に皺を寄せ、目は真っ白になっており、怒りで顔が歪んでいる、噂の爆豪勝己が立っていた。
「うわぁっ!!?か、かっちゃんどうして!?帰ったんじゃ…」
「忘れ物取りに来たんだよ、したら何だ?教室に戻って来て見れば、俺がいないところでペラペラと俺の話で駄弁りやがって…クソナードがあぁぁ!!」
不快だったのか、それともバカにされたと勘違いしてるのか、顔を更に歪ませ怒りを爆発すると共に掌を爆破させる。
そんな爆豪にビビり体を震わせ縮こませる緑谷は、つい咄嗟に目を瞑り、両腕を交差させ身を守ろうとする。
「落ち着け爆豪、別にお前が怒る必要なんてないだろ、今は学炎祭の話をしてたんだ」
「あぁ!?舐めプ野郎が……偉そうに…」
轟が止めに入ると爆豪は見つめて軽く舌打ちをした。体育祭でのことはムカつく余り、あんまり思い出さないようにとするものの、本人が目の前にいる為血管がブチブチと切れていく。
「あっ、そうだ爆豪…今思ったんだが丁度良かった。お前、学炎祭どうする?」
「はぁ!?んだよ急に!?」
「お前なら来るんじゃねえかと思ってな、緑谷と話してて誘おうと思ってたんだ」
「ああ?……へぇ〜…そう言う事かよ」
全てを理解したのか、爆豪はなんとか落ち着き、己の怒りを鎮めさせる。
すると数秒黙り込んだ後、「ケッ…」と吐き捨て、机の中のプリントを取り鞄の中に入れて帰ろうとする。
「ま、待ってよ!まだ答えが…」
「別に、どうもしねえよ…」
「え?」
意外な答えなのか、思わずポカンと口を開いたまま、爆豪を見つめる。
「俺たちが参加できねえなら、大人しくするしかねえだろ」
そう言うと早足で向かい、扉を思いっきり閉めて行った。
「……行っちゃったね」
「爆豪なら来ると思ってたんだがな…仕方ねえ、他のやつら誘うか」
「…!うん!」
緑谷と轟は仕方ないと思いながらも、他の人たちを誘うことに決めた。
去って行った爆豪は、一人校門をくぐり家の方に向かって帰って行く。
「……チッ、前までクソナードだけでイライラしてたのに…今度は舐めプ野郎にまでムカついて来やがった…」
体育祭の時以降、爆豪は轟のことが嫌いになったのだ。轟本人は気にしてないし、まず嫌われてることに気が付いてないから良しとするものの…
「ケロっとしたところがムカつく」
そう呟いた時だった。
「随分と荒れてるね爆豪くん」
「!?」
突然女性の声がしたので振り返ってみると、そこには
「んだテメェ麗日かクソが!!」
「うん、うららかな麗日だよ」
「上手くねえからな?」
爆豪の跡をついて来た麗日だった。
「んで?俺になんの用だ?どーせ学炎祭のこととかか?」
「おお正解!どうして分かったの!?」
「普通に分かるわ」
麗日の驚いた様子に呆れてため息をつく爆豪。
「意外だなぁ、爆豪くん考えるより体動かすの得意そうだからさ」
「オイどう意味だゴラァ」
悪気があった訳ではないが、つい本音を言ってしまった麗日に、爆豪はキレ気味になる。
「でもどうして学炎祭に行かないのかな〜って思って、緑谷くんたちの話を聞いてて思った」
「あん時居たのかお前、てかそれなら別に俺が答えても驚く必要ねえだろ」
「いやぁ、まさか私が話しかけて直ぐに学炎祭のことに結びつくとは思わなくてね、心読み取れたの!?エスパーかな!?と思っちゃって、それでどうして学炎祭観に行かないの?」
どうやらあの時お茶子も教室にいたらしく、そこで爆豪が去って行くのを見て、どうして学炎祭を観に行かないのか疑問に思い跡を付けてきたそうだ。
「あ?別に…気分だよ気分!アイツらが負けるなんざ思ってねえからだ、仮に負けたとしたらアイツらはそこまでだったって訳だ…」
「うーわ、相澤先生並みにキツイねえ爆豪くん」
「もう話は良いか?」
これ以上話すのが面倒くさいと感じた爆豪は、早目に話を切り上げたいと思っているのだろう。そこで麗日は「あー待ってよ!」と帰ろうとする爆豪を止める。
「でも意外やなぁ、爆豪くんだったら絶対観にくると思ってたのに、爆豪くんらしくもない…」
「は?俺らしくもねえ?」
お茶子の指摘に内心訳がわからないと思う爆豪。お茶子は真剣な眼差しを向けてくる。
「そうだよ、飛鳥ちゃんたちだってもう立派な仲間なんだよ?
爆豪くん、私と戦った時なんかはとてもカッコよくて、雲雀ちゃんが悪い忍達に利用されて捕まった時なんかも、爆豪くんは爆豪くんなりの想いがあって、答えがあって、敵地に乗り込もうとしてて、本当にカッコよかったのに…それなのに、
飛鳥ちゃん達の戦いを観ようともしないなんて、爆豪君らしくないなってさ…折角私たちの体育祭を観に来て応援してくれてたんだよ?なのに爆豪くん、そんなんで良いの?」
「…っ」
意外なことに、麗日の真剣な言葉に爆豪は言葉を詰まらせる。
お茶子の言葉に納得せざるを得なかった、それにその言葉は、爆豪のことを思ってのことだろう。
負けるとは思ってない、それは彼女達を信じてるから。それは良いことだ。
でも、だからって観に行かない理由にはならない。
それどころか、仲間として、自分たちの試合をちゃんと観てくれた彼女達に対して、寧ろちゃんと応援してあげるべきなのでは?
爆豪は暫く黙ってから…
「んっ…」
「ん?」
「んだコラてめえぇェェェェェェェェ!!」
「ええぇ!!?」
ここでまさかの突然、爆豪はブチ切れた。そして予想外な反応だったことにお茶子は驚いた。
「麗日テメェぇぇぇぇぇ!!」
「なんでええぇぇぇぇぇ!!??」
お茶子の生物的本能が「逃げろ」と言ってるため、慌てて家に向かって帰って行く。
「ハァーッ!ハァーッ!んのクソがぁ!」
まだ怒りが奮発して落ち着かないのか、息遣いが荒く、顔がいつになく厳つくなっている。
家に向かって帰っているお茶子は…
「う〜ん…まさか怒るとはなぁ…逆効果だったんかなぁ?あかん、思ったことつい口に出してしまった…」
お茶子は「しまった!」と悔いて、家に向かって帰って行くのであった。
「………」
一方爆豪は、お茶子に言われたことが相当効いたのか、まだ怒りを露わにしている。
「麗日の野郎ダメだ!!クソが…!」
怒りを分散されてしまった爆豪、しかし…
『爆豪くんらしくもない…』
(……学炎祭……か)
お茶子の言葉を思い出し、少しだけ学炎祭に興味を持った爆豪なのであった。
そして日にちが経ち、7日後…
「とうとうこの日がやって来たなぁ〜…」
半蔵学院で、黒い髪を束ね、赤いスカーフを首に巻いてる飛鳥はそう呟いた。この時間だとそろそろ来る頃だろうと思う飛鳥は上を向いて空を眺める。
「一流の忍になる為にも…負けられないな」
何より半蔵の孫、伝説の忍、半蔵の汚名になり兼ねない。
「じっちゃんの為にも…そして…」
雄英高校で出来た仲間達の為にも…
「お〜い飛鳥ぁ!!」
声をする方に振り向くと、そこには…
「あっ!皆んな来てくれたんだね!」
そこには雄英の生徒たち。誰もいない校門をくぐり、「やっほー!」と手を振る。
「
「当然っしょ!俺は女には優しいのさ!」
「連絡してないアンタが言うな」
ここで早速上鳴が決めポーズで答えるものの、耳郎のツッコミが入る。
「飛鳥さん…!」
「あっ、緑谷くんに轟くん…この前はありがとね」
どうやら緑谷と轟が連絡してくれたらしく、飛鳥は二人に感謝する。
「う、ううん!別にそんな…!飛鳥さん達だって僕らの大会観に来てくれたんだし…当然だよ。だから僕たちからも言うね?学炎祭、頑張ってね!応援してるよ!!」
恥ずかしいのか、若干顔が少し赤くなりながらも、それでもなんとか言葉を伝える事が出来た緑谷。そんな彼の言葉や、皆んなの気持ちが嬉しくなり…
「緑谷くん…皆んなぁ……凄く嬉しいよ!ありがとう!!」
いつになく久しい、いつもと変わらぬ満面な笑みを浮かべた。
「う、うおぉ…飛鳥…さ…」
「テメェ何一人で満足してんだゴラァ!そこは本来オイラのポジションなんだぞ!」
「いやポジションなんてねーよ」
嬉しい気持ちでいっぱいになる緑谷に、峰田はブチ切れるものの、瀬呂のツッコミによって受け流された。
「月閃の奴らはまだなのか?」
「あっ、轟くん。うん…」
姿が見受けられない、となるとまだ来てないようだ。
「アレ?轟くん、爆豪くんは?」
そんな皆んなを見つめてる中、一人だけ、爆豪がいないことに気がついた飛鳥は轟に聞いてみるが、轟は首を横に振った。
「誘ったんよ!誘ったんやけど…爆豪くん来てくれなかったんよ……ゴメンね飛鳥ちゃん、皆んなの気持ちとか言って、一人だけ来てなくて…」
「そっかぁ〜…」
爆豪が来てくれなかったことに少しだけ残念だと思う飛鳥。
「学炎祭はまだかよ?チッ、クソが…」
「「「!?」」」
しかし…
「あ、アレって!」
来ないと思ってた人物が一人、校門をくぐり皆んなの方へやって来る。
「かっちゃん!?」
「「「爆豪(くん)(さん)!?!」」」
そう、来るとは思ってなかった奴が、爆豪勝己が、遅れてやって来た。
「爆豪くん来てくれたの!?」
「テメェら全員うるっせえんだよクソが!!俺が来ちゃいけねえのかよ!」
飛鳥は残念な気持ちが反転し、嬉しい気持ちになる。皆んなが驚いた様子でいることに爆豪は相変わらず怒りだす。
「いやいやいや、爆豪あんなこと言ってたもんだからてっきり、なあ?」
「反則だよバクゴーくん!ヒーローは遅れてやって来るって言うけどさぁ、これは驚いたよ!主人公感MAX過ぎるしぃ〜!」
瀬呂は今でも信じられないと言う顔で爆豪を見て、芦戸はブーブーとブーイングする。
「爆豪くん…」
来てくれるとは思っても無かった。校門で話したっきり、諦めてたが、結局来てくれたことに内心嬉しく思うお茶子であった。
「あら、やはり皆さんも来てくれたのですね」
「おっ、応援するのは今度はお前たちの番って訳かい?こりゃあ頼もしいねぇ!」
「あ〜!皆んな来てくれてるよ!ねえ、柳生ちゃん!」
「そうだな……」
他にも、飛鳥の後ろから歩いて来て現れたのは、斑鳩、葛城、雲雀、柳生だった。
「お、皆んな久しぶりだなぁ〜!」
とここで切島が呟いた。すると爆豪は切島の横を通り過ぎ、飛鳥に話しだす。
「おい、飛鳥」
「ん?えっ、なに?どうしたの爆豪くん?」
突然呼ばれたことに内心驚くものの、なんとか態度には出さないようにと、冷や汗を垂らす飛鳥は爆豪を見つめる。
「テメェらが負けるなんて心底思ってねえ、正直ぶっちゃけ言えば学炎祭で学校の潰し合いなんてどーでもいいんだよ…」
「は、はぁ…」
「まあけど、テメェらが体育祭で応援してくれてたんだ…借りを作るのは俺には性に合わねえ、だから…学炎祭、テメェらのちゃんと観ててやるよ」
「!」
爆豪は少し視線を逸らして、飛鳥にそう言った。正直言われた本人は驚いている。爆豪の口からそんな言葉が出るなんて思っても無かったし、想像もできなかった。
「だからよ、その……
負けたら殺すからな!!」
(…えっ?殺す?)
一瞬その場にいる皆んな誰もがそう思った。特に目の前にいる飛鳥なんかは目をまん丸にして気を取られてる。
爆豪はそう言うと、後ろを振り向き緑谷にドン!と肩をぶつける。
でもそこが彼らしい。
「ま、まあ兎に角、頑張れ!」
と、ここで皆んなの代わりに切島がぎこちない笑顔でそう言う。
「あ、ありがと……
ん?この気配…」
瞬間、飛鳥は何者かの気配を感じ取り、校門を見やるとそこには…
「この気配は間違いない…雪泉ちゃん!」
「え?詠ちゃん?」
「アホ」
飛鳥は警戒態勢を取るものの、峰田は聞き間違いをし、そこへ耳郎がツッコミを入れる。
校門からはただならぬ冷気を感じる。
「冷たい…轟くんの仕業か?」
「いや、俺じゃねえよ委員長」
最初は轟の冷気かと思ったものの違うと轟は首を横に振る。皆んなは知らないから無理もないが、そう…この気配、飛鳥たち五人だけが知っている。
月閃の気配。
そして…
「何故雄英の生徒たちが此処に?まあいいでしょう……」
五人の姿が現れた。
「半蔵学院の皆様、どうやら全員いますね」
「うん!やっぱり来たね…雪泉ちゃん!」
死塾月閃女学館の選抜リーダー、雪泉が前に立ち、国立半蔵学院の選抜リーダー、飛鳥も前に立つ。
お互い二人のリーダーが前に立つ。
(うわあ可愛い、白い肌で凄く美しいなぁ〜)
ほわぁ〜っと頬を少しだけ赤らめ尊敬の眼差しを向けるお茶子。
(なるほど、アレが月閃か!)
これが月閃だと見つめるクラス委員長、飯田。
(あの人……なんだこの感覚……)
雪泉を見て何かを感じる轟。
(これが月閃の輩共か?何人か忍に見えそうにねえ奴らが居るぞ…?)
雪泉だけでなく、他のメンバーを見やる爆豪。
(これが……死塾月閃女学館の忍達!…!飛鳥さんたちと同じ善忍!)
冷や汗を垂らし、ただならぬ気配を感じる緑谷は、雪泉たちをジッと見つめる。
これにて、半蔵学院と月閃女学館の戦いが今、始まる!!
さて!ここで終わりました、いやぁ爆豪くんこうして見ると面白いしツンツンしてるね!と思いますww
次回は月閃VS半蔵ですお楽しみに!