光と影に咲き誇る英雄譚   作:トラソティス

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命懸けで、Pulsultra(プルスウルトラ)!!!
閃乱カグラとヒロアカを混ぜてみましたww


8話「半蔵VS蛇女」

大分昔の話…

 

 

 

 

「霧夜先生!」

 

 

 

紫色の髪にポニーテールの女性は、先生に手を振っている。いつも明るく元気で、「スーパー忍者」になることを目指している。

 

「忍結界って凄いね!これならどんな敵が来ても邪魔されずに戦える、無敵だね!」

 

「いや、そんなことはないぞ。忍結界を破れるほどの強さを持つものがいれば簡単に侵入されてしまうからな」

 

「え?そうなの…」

 

鈴音は少し気を沈めると「そっか〜…」と呟く。

 

「あっ、そうだ!」

 

すると彼女はまた霧夜に顔を戻す。

 

「連動忍結界というのはどう?それぞれ複数の忍結界を作って、一つにするの!それなら簡単に破れないんじゃない?」

 

鈴音がそう言うと、霧夜は苦笑した。

 

「確かに面白いが、そんな話聞いたことないぞ?」

 

「やれるよ!だって私は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スーパー忍者になるんだもん

 

 

 

 

 

現在。

 

「なぜだ!凛…なぜお前が悪忍に……」

 

霧夜は死んだと思ってた生徒…凛が生きてたこと事態驚きだが、なにより善忍だった凛が悪忍になってたことが驚きだった。

 

「ふふ、それは後にしましょう…貴方たち半蔵の、善忍の生徒たちが心配でしょ?私が育てた悪忍の選抜メンバーたちに襲撃されてるものね」

 

凛がクスっと笑みを浮かべながら話しだす。焔たち五人は選抜メンバーであり、凛が鈴音として直々に鍛え上げた生徒らしい。

 

「今回の襲撃の目的はなんだ!?」

 

霧夜が凛に問いだす。

 

「それは、半蔵か蛇女のどちらが強いかの勝負をするの。そうすれば善か悪、どちらが強いか…それが悪だと証明することよ」

 

凛は微笑みそう言うと、ここから真剣な顔つきになる。

 

「それはまあいいとして…問題があるの霧夜先生」

 

「なんだ…凛」

 

「貴方たちと私たちが探してる悪党と手を組み、一般人そのものに危害を与えてる謎の忍び…もしかしたら姿を現すかもしれないの…」

 

「何!?」

 

霧夜は驚愕すると、凛は話を続ける。

 

「理由は、私たちに関係してるわ…」

 

「関係?」

 

凛の答えに、眉をひそめて首をかしげる霧夜に、凛は話しだす。

 

「善忍と悪忍による大きな抗争が始まれば、ソイツは必ず出てくる可能性があるわ…これは大きな戦いになるんですもん」

 

「大きな戦い…だと?」

 

大きな戦い…その意味が分からなかった。善忍と悪忍が戦うのはよくある話だ。特に忍務なら尚更…だがしかし、善忍と悪忍の抗争はまた違うものなのだ…何よりその大きな戦いというのが引っかかる。

 

「まあそれも後ほど分かるわ…とにかく、あの謎の忍びは恐らくだけど…なにか企みがあるのだと思うわ……さて、話はこれまでにして生徒たちの戦いを観てましょう先生。それに、忍び『以外』の人間もここに来たわけだし…」

 

「なに…?」

 

凛は…いや、鈴音はそう言うのであった。

 

 

 

「こ、ここが…半蔵学院ってところ?」

 

地味でボサボサの緑髪たること、緑谷は半蔵学院を眺めるのていた。

 

「さっき、飛鳥さん達が血相変えて行ってたけど…てかここ、立ち入り禁止?みたいだね…?」

 

立て札には、『関係者以外の立ち入りを禁ず』と書いてある。

 

「入ったら怒られるかな…?でも、ここで飛鳥さんの声が聞こえたから、ここに居るのは間違いないと思うんだよなあ…」

 

緑谷は心配そうに呟き、入るかどうかは迷ったが…なぜか、何故かここが怪しいと思ってしまうのだ。まるで長年の経験かのような……そんな感じの…やめておこうとも考えたのだが、内心こうも思ったのだ。

 

(それにしても静かすぎるよな…もしかしたら、敵(ヴィラン)に!?)

 

そう思うのであった。もし今思ってることが本当だとしたら、間違いなく危ない。それに緑谷は飛鳥たちの力はまだ知らないのだ。戦闘訓練では爆豪との戦いで気絶してしまい、飛鳥たちの戦いは見ることが出来なかったため、どれほどの実力なのか分からないのである。だからこそ心配なのだ…敵に殺されるような事でもあったら…と。何よりも…

 

「いても経ってもいられない…!怒られるのは怖いし仕方ないけど、でも!」

 

 

 

友達だから…

 

 

緑谷は決心して、直ぐに走り出した。

 

「……緑谷のヤツ、本当に入ってったな…」

 

緑谷に気づかれずに後を付けてきた轟は呟いた。

 

 

 

 

 

 

柳生VS未来

 

柳生はそっと腕を伸ばして空間に触れてみた。

 

「やはり、脱出不可能となると…」

 

柳生が呟いた途端…

 

バキュン!

 

銃声音が鳴り響き、柳生の横に銃弾が通り過ぎる。

 

「はあ…はあ……逃げ回っても無駄よ!さっさと私と戦いなさ…」

 

未来が言いかけた途端、柳生は番傘を未来に向けた。

 

「な、何よ…!あっ、分かった……フン!やっと戦う気になったわね…いいわ、勝負してあげ…」

 

「オイお前、オレは雲雀を探してる…だからお前はさっさとやられろ」

 

「は、はあ!?」

 

敵である柳生に散々無視された挙句、やられろと言われた未来は、完全に堪忍袋の緒が切れた。

 

「散々無視しといてその言い草…!絶対許さない!!秘伝忍法!!」

 

怒りで荒ぶる未来は、スカートをめくると中に銃が出てきた。

 

「『バルキューレ!!』絶対に…許さない!!!」

 

 

 

葛城VS日影

 

「でやあ!!」

 

ブオン!

 

「フン…」

 

ボロボロの葛城は気合よく具足で蹴り上げるものの、無傷の日影は軽く鼻で笑いながらも冷静に避ける。だが葛城はまだ諦めてない様子だ。そんな日影に葛城は笑みを浮かべる。

 

「嬉しいね…」

 

「嬉しい…?なにがや?」

 

葛城の不敵な笑みに、首を傾げる日影。

 

「アタイはアンタみたいな強いヤツと戦いたかったんだ!」

 

葛城がそう熱くなると、低い体勢に入る。

 

「秘伝忍法!『トルネードシュピンデル!』」

 

そう叫ぶと、体を逆さまにしては足をグラグルと回しては、龍の如く竜巻が発生し、日影に襲い掛かる。

 

「どうだ!?」

 

土埃で見えないが、それでも人影がある。確かに手応えはあった、が…日影はムクッと立ち上がり、不敵な笑みを浮かべて軽く首の骨を鳴らす。

 

「う…そだろ……直撃したハズなのに…!」

 

葛城は驚愕する、日影は直撃したにも関わらず、未だ無傷でいるのだから。

 

「分かったやろ?アンタがなにをどうしようと無駄やで」

 

日影はそれが当たり前と言わんばかりに言いだす。

 

「いや…まだだ!!」

 

葛城が向かってくると、日影は突如ナイフを取り出す。

 

「秘伝忍法、ぶっさし!」

 

日影は殺意溢れたナイフで一閃突きする。葛城はなんとかバックし日影の手を止めるようするものの、当たってしまい吹っ飛んでしまう。

 

ズシャアァァァーーーーー!!

 

「ぐわっ!」

 

葛城は身体に地面に擦り付けながらも倒れてしまう。

 

「ほな、勝負あったな…まあ、命までは取れとは言われてないからな…見逃したるで」

 

日影は葛城に吐き捨てるようにそう言うと

 

「まだ…だ」

 

葛城は、息を切らしながら立ち上がる。額には血が流れており、見るからに大丈夫ではない。

 

「諦めな、アンタはわしには勝てん…アンタの負けや」

 

ナイフを再び葛城に向ける。だが…葛城は何も臆することなく日影に歩み寄る。

 

「諦める?アタイに限ってそんなものはあり得ないぜ…!負けるのはアタイが負けたって決めた時だけだ!」

 

「負けは負けだっちゅーねん!」

 

日影が思いっきりナイフを突き出すと、葛城はしゃがみ込み、頭突きを食らわす。

 

ドガッ!

 

「がっ…!」

 

もろに葛城の頭突きを食らった日影は、少したじろぎ額から血が流れる。

 

「へへっ…今のは効いただろ」

 

「こんの…よくも…!

 

葛城が得意げそうにニヤリと笑みを浮かべると、日影はそんな葛城を横目で睨む。

 

 

 

斑鳩VS詠

 

ドガアアアアーーーーーーーーンン!!!!

 

猛烈なる爆発が起きた。詠は腕に付いてるボウガンを構えて斑鳩を撃ってたのだ。

 

「フフ…所詮はお嬢様方、チョロいものですわ」

 

詠は得意げそうにニヤリと微笑みそう言うと、煙が晴れて出てきたのは…斑鳩の服であった。

 

「なっ…!?しまっ」

 

「はああぁぁーーー!!」

 

詠が上に振り向くと、突如上から斑鳩の声がした。斑鳩は命懸けの状態であり、太刀である飛燕を振る。灼熱とも呼べる熱き炎が詠に襲い掛かる。

 

「キャアアーーーーーーーー!!」

 

詠は斑鳩の攻撃をもろに浴びてしまい、悲鳴を上げてしまう。吹っ飛ばされるもなんとか着地し再び大剣を握りしめる。

 

「こんな…こんなこと!」

 

すると斑鳩は直ぐに詠に間合いを詰め、大剣に乗る。

 

「お覚悟!」

 

「フン… お嬢様はどうしても、上から見下すのがお好きのようですわね!」

 

詠は下から目線で斑鳩に何か恨みでもあるかのように睨むと、再び腕のボウガンから爆弾を出す。

 

「くっ!」

 

斑鳩は間一髪それを避けるものの、詠は追撃をして、大剣を振るう。

 

「でやあっ!!」

 

ガキィン!と斑鳩の飛燕と詠の大剣がぶつかり合う。

 

(飛燕が…!)

 

飛燕が折れそうになると分かった斑鳩は表情を曇らせる。すると詠は睨みながら話し出した。

 

「生きていく…たったそれだけのことが一体、どれだけ惨めで辛いことか…貴方には一生分かりませんでしょうね!!」

 

詠は斑鳩を睨みながら吐き捨てると、斑鳩はふとある過去を思い出した。

 

それは斑鳩が養子として拾われた時のこと。鳳凰財閥にて、義理の兄である村雨という男が本来家系として忍びを継ぐのであった。だが、村雨には忍びの才能が無く、不採用とされてしまったのだ。だから養子である斑鳩は忍びの才能を認められ、義理の父親に飛燕を託された。だが義理の兄である村雨は、斑鳩を認めてはいなかった…むしろ妬んでいたのだ。

 

『お前…父さんに拾われたんだろ?』

 

『血の繋がってないお前が、俺の妹だと?笑わせるな…』

 

『元々飛燕は俺のもんなんだ…俺がどうしようと勝手だろ?』

 

『まだ家族なんて言うのか?よくもまあ抜けぬけと…』

 

数々の兄の罵声とも呼べる言葉が、斑鳩の心を苦しんでいた。だが…飛燕との出会いが、彼女の心の支えだった。

 

『これは?』

 

父親は斑鳩に刀を渡すと、斑鳩は不思議そうな表情で首を傾げていた。

 

『それは飛燕だ…我が家に代々まつわる名刀だ。お前を我が娘として、これを託そう』

 

それが斑鳩と飛燕の出会いなのであった。これを託されたこと、それは家族として認めてもらえたことであり、また斑鳩にとって、忍びとしての原点(オリジン)なのだ。

 

 

「ハアアァァァァーーーーーーーーーーー!!」

 

斑鳩は飛燕を力強く押し返すと、詠はその斑鳩の力に耐え切れず、吹き飛ばされてしまう。

 

「キャアアーーーーー!!!」

 

ドサッ!!と、地面に着く鈍い音が響く。斑鳩は詠に飛燕を向ける。

 

「一つ、貴方に言っておきましょう!」

 

「な、なんですの?」

 

詠はなんとか立ち上がると、詠もまた大剣を斑鳩に向ける。

 

「私は、自分の惨めさも苦しさも…全てはこの飛燕に封じ込めました。あるのはただ一つ、飛燕を託された誇りのみ!!」

 

すると詠に走っていく。

 

「秘伝忍法!『飛燕鳳閃・壱式』!!」

 

斑鳩は鳳凰とも思わせる炎を刀に纏い、振りかざすと、その炎は詠を飲み込むかのように襲い掛かる。詠は避けきれまいと、大剣を盾にするものの、防ぎれなく吹き飛ばされるのであった。

 

「アッ…!!アアアアァァァァーーーーーーーーーーー!!!!」

 

詠はその場に倒れこむが、まだまだと言わんばかりか、なんとか立ち上がる。だが忍装束はもうほぼ破れている。

 

「よくも…よくもよくも!!」

 

「秘伝忍法が…効いてない…!?」

 

秘伝忍法をもろに食らった詠は、斑鳩をより一層強く睨むが…斑鳩は、秘伝忍法で本気の一撃を食わらせたのにも関わらず、まだ意識があること自体が驚きであった。

 

 

 

一方、またの柳生VS未来にて

 

ドドドドドドドドドドド!!!!!

 

辺りが銃声音で鳴り響く。未来はようやく打ち終わったのか、銃を戻す。

 

「また逃げる気?もうアンタはここに逃げれるわけないでしょ?フン…まあ、こんだけの攻撃食らってるんだから、死んでいても可笑しくないけどね」

 

未来は半分小馬鹿にするかのように鼻で笑う。が…煙が晴れて見えたのは、柳生が番傘でガードしている柳生の姿であった。

 

「えっ!?」

 

未来は驚きの声で反応する。柳生が無傷であるのを…柳生は呆れたように話し出す。

 

「なんだ、もう終わりか?それでオレを倒せたと思うなよ…」

 

「な、なな…嘘」

 

「それにお前よりも、『爆豪』の方がまだマシだ…あいつの戦闘の方が苦戦しそうだからな……」

 

「だ、誰よその爆豪ってヤツは!!」

 

未来は、完全に柳生にバカにされてると思い、より感情が荒ぶってしまう。しかしそんな未来を御構い無しに柳生は命懸け状態になる。

 

「秘伝忍法!『薙ぎはらう足』!」

 

地面から巨大なイカを出現させ、何本もの足で薙ぎはらっていく。

 

「げげげ!来たあぁーーーーーー!!」

 

未来は避けようとした時には遅かった…巨大イカの薙ぎはらう足が、未来に衝突して、一気に吹っ飛び出す。

 

「キャアアーーーーーーーー!!」

 

吹っ飛ばされた未来は、何処かへと消えてしまった…その途端、忍結界が解除されて元いた場所に戻ってしまう。

 

「ふう…終わったな…」

 

柳生は一息つくと周囲を見渡した。

 

「雲雀の姿はない…となると雲雀もやはり」

 

忍結界へと引きずり込まれたのであろう…だが、柳生は雲雀の微かな気を感じ取っている。

 

「待ってろ雲雀…!今すぐ、救けるからな!」

 

 

雲雀VS春花

 

「ふふ、本当に可愛いわね…子兎ちゃん♪」

 

「こ、この人を早くやっつけないと…!頑張れ雲雀!」

 

雲雀は決心すると、目をつむって腕を振り回す。

 

「え〜〜い!!」

 

向かっていくが、春花に簡単に避けられ尻で雲雀を倒す。

 

「うわっ!?」

 

雲雀はその場に倒れこむと、春花は雲雀の上に乗った。

 

「ふふふ…本当に可愛いわ、雲雀。お人形さんにしてみたいは♪」

 

春花はいやらしいように雲雀のお尻を触ると…

 

「ひ、秘伝忍法…!」

 

「えっ?」

 

その途端、巨大な兎のぬいぐるみ?らしきもの…忍兎を呼び出すと、全力疾走で走ってくる。

 

ドガッ!

 

春花に体当たりを食らわすと、雲雀は忍兎の背中に乗り、忍兎は金斗曇に乗り春花に突撃してくる。

 

「『忍兎でブーン』!!」

 

ドオン!!

 

「カハッ…!」

 

春花が声を出し吹き飛ばされる。雲雀は忍兎に下りて手を振っている。

 

「忍兎〜!ありがとう〜!!」

 

雲雀は満面な笑みで手を振っていると、後ろから声が聞こえた。

 

「ありがとう…中々ファンシーでキュートな技ね……」

 

「ひっ…!?」

 

振り返るとそこには、忍装束がボロボロの春花が立っていた。

 

「お礼に蛇女の力…思い知らせてやるわ……」

 

「あっ、えと……け、結構です〜…」

 

雲雀は苦笑いの表情を浮かべていると、春花の猛撃が繰り出される。

 

「ハアアァァァァーーー!!!」

 

ドガッ!バキッ!ドゴッ!!ベシッ!

 

「キャアアーーーーーーーー!!」

 

雲雀は、春花の荒ぶる攻撃を全て食らってしまい、その場に倒れこむと…

 

「や、柳生ちゃん…」

 

そう呼ぶのであった。春花は少しニヤリと笑みを浮かべて雲雀に近づいていく。

 

「アラあら…ちょっとおいたが過ぎたかしら?」

 

そう言った途端…

 

『雲雀…雲雀!!』

 

「え?」

 

その途端、空間から強烈な歪みが生じて、空間から穴が開くような形になる。

 

「えっ、もしかして……柳生ちゃん!?」

 

「なっ…!嘘でしょ…未来は!?まさかやられたの?」

 

さっきまでの春花の表情は一気に変わる。柳生が春花の忍結界に入り込んだのだから。

 

「大丈夫か?雲雀…?」

 

「柳生ちゃん……」

 

だが柳生の姿はボロボロであり、傷が付いている。雲雀を駆けつけてきた柳生を見て、春花は苛立つ。

 

「なあに貴方?大事なお人形さんに割り込んできて…」

 

「お前が…雲雀を…!」

 

柳生はボロボロな雲雀をそっとして、春花を睨みつける。

 

「雲雀をこんな目に…お前は、許せない…!」

 

「許せない?悪いわね、アタシそう言うの大っ嫌いなんだけど…?」

 

春花は鼻でフッと笑うとクナイを取り出し柳生に投げつける。普通の柳生なら避け切れるが…もろに食らってしまう。

 

「グアッ…!」

 

「や、柳生ちゃん!」

 

ふらつく柳生を見た雲雀は、身体を引きずりながらも駆けつける。そんな二人を見て春花は笑い出す。

 

「アラあら…忍結界を破って体力が尽きたようね…忍結界を破るとどうなることかも分からなかったのかしら?」

 

「えっ?」

 

雲雀は確信した、柳生のこの傷は悪忍にやられた傷ではなく、雲雀を救けようとして傷ついたものだと。

 

「ご、ゴメン…ね…?柳生…ちゃん……雲雀がもっと…強ければ……ゴメンね……ゴメンね……!!」

 

雲雀は涙を流しながら必死に柳生に謝る。だが雲雀は柳生の頬に手を置く。

 

「いい…んだ…雲雀のせいじゃない…多分、オレじゃなくてもそうしていたはずだ……だから、雲雀が悪いわけじゃ…ない…っ…」

 

柳生は、声を振り絞りそう言うと、目を閉じ気絶した。

 

「や、柳生ちゃん!!」

 

「とどめよ…」

 

春花はクナイを握りしめて、柳生に振りかざそうとすると、雲雀は止めた。

 

「やめて!柳生ちゃんには手を出さないで!!」

 

雲雀は泣き叫びながらそう言うと、春花はニコッと笑みを浮かべていうクナイをしまった。

 

「分かったわ」

 

「えっ?」

 

そう言うと春花は雲雀に歩み寄る。

 

「私も、貴方とはお友達になりたいもの…だから、それに免じてこの子は見逃してあげるわ…その代わり…」

 

すると春花は雲雀に緑色の巻物を渡した。

 

「これは…?」

 

「これは友達の証よ…大切に持っててね」

 

春花はそう言うのであった。

 

 

 

飛鳥VS焔

 

ガキィン!キィン!!ギャリン!!

 

刀と刀の擦れ合う音、お互いの刀が交差する。

 

「はあぁーーー!!」

 

ガキィン!!

 

渾身とも思わせる一撃、だが焔はそれをあっさりと六爪(刀)で受け止めた。

 

「でやあっ!」

 

ジャギィン!

 

焔は飛鳥と距離をとり、地面に刺さってた刀を蹴ると、刀が飛鳥目掛けて襲ってくる。

 

「せいっ!」

 

反撃として刀で打つと、焔はその刀をあっさりと手に持ち、左腕の三本の刀で飛鳥を襲うが、なんとかそれを防ぐ。

 

ギギギィィーーーッ!!

 

金属音の鋭い音が、響き渡る。

 

「でりゃあっっ!」

 

もう片方の腕の三本刀でまた襲うが、それも防がれる。ほぼ攻撃を防ぐだけで精一杯の飛鳥は、手も足も出ない状況だ。すると焔は、そんな飛鳥の腹に蹴りを入れる。

 

ドゴッ!!

 

「かはっっ!!」

 

飛鳥は吹っ飛び、地面に擦れるよう転がっていく。それを見た焔は「フッ」と鼻で笑う。

 

「なんだお前…その程度か?」

 

焔はまだまだ余裕があるのか、飛鳥に少しずつ距離を詰めていく。

 

「ま…まだまだ…!!」

 

飛鳥は諦めない眼差しで、焔を見つめると…

 

「秘伝忍法!」

 

飛鳥は二つの刀を抜きとり、構える。

 

「『二刀繚斬!!』」

 

飛鳥は二つの刀を構えながら、前方へと跳躍しながら交差状にし、焔に斬撃を飛ばす…が。

 

「っ!!」

 

焔はもろに食らうが、服が破れただけで全くダメージを与えてたようには見えなかった。

 

「ふん!所詮はその程度か…」

 

「う、嘘でしょ…?」

 

飛鳥は驚愕していた。戦闘訓練での本気は柳生すらも壁に吹き飛ぶほどの強さだったのだ…今回も戦闘訓練の時と同じ力を出したにも関わらず、焔は平然とその場に立っている。むしろニヤリと笑みを浮かんでいて……

 

「これで分かっただろ?お前たちと私たちとでは鍛え方が違うんだよ!!」

 

今度は自分の番だと言わんばかりに、炎を纏わせた刀で飛鳥を斬りつける。

 

ザシュッッ!!!

 

「キャアアアアアァァァァーーーーーー!!??」

 

飛鳥は焔の攻撃を受けてしまい、炎を浴びせられたと同時にその場に倒れこむ。

 

「ハッ!弱いな…お前たちでは私たちに勝てない…理解したか?まあ今日のところは命までとは言わんがな…」

 

焔はフッと笑うと、今度は周囲を見渡す。

 

「それにしても忍結界の様子が少しおかしくなったな…歪んでるようにも見えるが……まあいい、私の役目は終わったからな」

 

焔は満足したような顔で、飛鳥に背を向けると、その飛鳥はなんとか立ち上がり、微かな声でこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「み、皆んなは…大丈夫かな……?」

 

 

 

 

ピタッ…

 

 

「なん…だと?」

 

焔は歩みを止めると、再び飛鳥の方に振り向く。ボロボロで傷ついた飛鳥を…

 

「蛇女の人たちが、こんなに強いなら……皆んなが危ない…!」

 

「お前…何処まで甘いんだ……?」

 

弱々しい声を出しながら、仲間たちを心配する飛鳥に、焔は更に苛立つ。

 

「それが甘いって言うんだよ!!頼れるのは自分だけだ!!!」

 

「それで!!!焔ちゃんは幸せなの!?!」

 

「なっ…」

 

敵である飛鳥に、逆にものを言われることに、怒りが込み上がる。

 

「今度は私に説教か…?何処まで舐めてるんだ私を…!!」

 

焔は刀を握りしめて、飛鳥に向ける。怒り溢れる目で…

 

「さっきまでは命はとらないと言っていたが…前言撤回だ!」

 

凶器とも呼べるその六爪を、飛鳥に振りかざすように向ける。

 

「お前は私の神経を逆なでするヤツだな…目障りなんだよ!!消えろ!!!」

 

「うぅっ…!!」

 

飛鳥はとっさに目を瞑った。

 

 

 

 

(ゴメン…!皆んな…じっちゃん!!それに、新しい友達も…ごめんね…ゴメンね!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時だった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「SMASH(スマッシュ)!!!!!」

 

 

 

 

 

ドゴオオオオォォォーーーーーーーーーンンン!!!!!

 

 

「なっ!?」

 

「えっ!?」

 

途端、巨大な爆発と、飛鳥は聞いたことのある声が聞こえた方向に目をやると…そこには……

 

「いっっづっっ…!!!あ、う、腕が壊れた…!!」

 

涙目になりながらも、壊れた腕を手で押さえてる…

 

「え、そんな…!み、緑谷くん!?」

 

緑谷出久であった。




まさかのここで緑谷登場!さて、次回はどうなるのやら…次回もお楽しみに!

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