復讐者の世界周り Weltdrehung des Rächers   作:ダス・ライヒ

14 / 74
スナエリのナチゾンアーミー2が出たので、ガルパンとナチゾンアーミーのコラボと同時連載になるかもしれません・・・

今回は最低野郎御用達のアニメに登場したガングロストーカー擬きが登場。


脱獄と奇妙な男との出会い

 マリは向かってくる敵を待ちかまえる為、左右に規則正しく立っている柱に身を隠した。

 建物内に入った三人の兵士は、お互いの死角を補佐しながら前進する。彼女が隠れている柱の近くまで近付いた瞬間、マリは手に握るAKs-74をフルートで撃った。

 

「あ、あいつは!?ワッ!!」

 

「オワッ!」

 

「ガッ!」

 

 三人の兵士は遮蔽物に身を隠すこともなく全滅した。

 先頭に立っていた兵士は他の二人と食らった5.45㎜ライフル弾の数が多い為に即死。他の二人は生きていたが、マリが取り出した自動拳銃MP-443で頭部を撃たれてトドメを刺された。

 そのままマリは外に出る前に、周りに敵兵が居ないか確認してから出た。

 

「周囲に敵兵は・・・居ないようね・・・」

 

 周囲を見渡して、誰も見に来ないか確認した後、空港がある方角を思い出し、そこへ進んだ。処刑場の辺りからなにやら怒りの声が上がっているらしく、周辺にいた警備兵達が慌ただしく動いていた。

 

「(もうバレてる・・・!?)」

 

 慌ただしく動く兵士達を見て、マリは直ぐに自分が逃げていると分かった。身を隠している場所から将校が見え、その将校が整列している兵士達に命令する。

 

「小隊各員、死刑囚がたった今、この場所から逃亡した。今のところ憲兵が血眼になって逃亡者を探し回っておるが、全く見付かっておらん上に地下でバーバブエ男爵が女性用更衣室で死体となって発見された。拷問室でも男爵の護衛に就いていた者達が死体となって発見されている。そればかりか、様子を見に行った三名の警備の者が逃亡者に襲われ、死体まで発見されたという報告まで上がってきた。死体はまだ新しく、逃亡者はまだここへ居るはずだろう。油断はするな、逃亡者を発見した場合、一人では立ち向かわずに五人一組で対処するのだ。なるべく生かして捕らえるのだ、殿下はこの報告を受けて機嫌を損なわれている。直ちに取り掛かれ!」

 

『ハッ!!』

 

 整列している三十六名からなる兵士達は上官に向けて一斉に敬礼した後、五人一組となって逃亡者であるマリを捕らえるべくそれぞれの担当地区へと向かった。

 無論、先程捜索に向かった小隊や憲兵・警備兵一個中隊分ばかりではなく、続々とこの処刑所に軍の部隊が集まってくる。

 正門から多数の兵員を乗せたトラックが続々と入ってきた。止まったトラックの荷台から次々と自動小銃を携えた兵士達が降りてきて、捜索部隊に加わっていく。捜索部隊の士気を高めようとしたのか、一人の士官が拡声器を持って全員に聞こえるような音量で叫んだ。

 

『捜索部隊の将兵達に告げる。たった今殿下から亡国の女帝、マリを捕らえた者は三階級特進だそうだ!二等兵なら兵長、軍曹は准尉、少尉なら少佐、少佐なら准将まで一っ飛びだ!!食える飯も旨くなって、給料も沢山もらえるぞ!!』

 

 この知らせにその場にいた探索部隊の将兵達の士気は上がったが、逆に出世したが為に冷静な判断を削ぐことになろうとは、報告した士官は思わなかった。

 地響きでも起こすかの勢いの足音の数に、マリはなるべく見付からないように隠れながら移動する。探索部隊の将兵達は「一人の女を捕らえれば、三階級特進できる」と言う思考に脳内を支配され、先程の小隊長の告げた五人一組を完全に忘れ、己の功績を優先してマリを探し回っていた。

 先程の佐官クラスの男が今の将兵達の状況を見て、頭を抱えながら言う。

 

「これでは味方同士での殺し合いに発展しかねんぞ・・・」

 

 今のマリを探し回る兵士達を見て、そうとは思えない佐官であった。これはマリとっては、有り難い事なのか、またはさらに危険が増したかである。

 処刑所を抜け出そうと、様々な道を見て回るマリであったが、行ける場所の何処でも分隊以上の人数の兵士達で封鎖されており、下手に動いても周辺で血眼になって探し回る兵士達に見付かる可能性が高かった。

 

「(詰んだ・・・どうすれば・・・?)」

 

 別の道を模索するマリであったが、移動しようにもこの場にいる兵士が多すぎて移動できない、そんな時にこちらへ手招きする男が居た。

 

「(なに・・・?あいつ)」

 

 マリを手招きする男の外見は浅黒い肌に金髪の長身の男だ。笑顔で手招きし、周囲から探索の兵士が来ないか警戒している。

 男は声を発せずに口だけを動かしながら、マリにこちらへ来るよう指示した。

 

「(逃げ道を教えてやるからこっちへ来い?変なこと考えてるんじゃないでしょうね?)」

 

 男性に対して尤も警戒心の強いマリは男を疑った。

 だが、昨日の夢にあった「自分に執着する男」の事を思い出し、相手が自分を呑むのなら、逆に自分が呑んでやろうと思い付き、男の誘いに乗ることにして、無言で頷く。手招きしていた男は笑みを浮かべ、周囲に視線を向けた後、懐から手榴弾を取り出し、安全栓を抜いて、何処か適当な場所へ手榴弾を投げた。

 それと同時に男が顎を動かして「来い」という合図をマリに送り、彼女はそれに応じて男の所まで向かう。手榴弾が爆発した瞬間、耐えることのない足跡が途絶えた。

 

『爆発だ!』

 

 一人の兵士が放った言葉の後に、連続した声が聞こえてきた。その間にマリは男が居る場所へと到着する。

 

「誘いを受けて貰って嬉しいよ、お嬢さん」

 

 男は笑みを浮かべながら、マリがこちらへ来た事に感謝したが、当の本人は男に拳銃を突き付けている。

 

「どうやらお嬢さんは殿方がお嫌いのようだ・・・」

 

 先程浮かべていた笑みは消え、両手を上に上げて降伏の意志を見せた。

 

「完全にあんたを信用した訳じゃないから」

 

「それもそうだ、突然手招きしてきた男をはいそうですかと信用できるわけがないな。それよりこっち兵隊が集まってきそうだ、自己紹介は静かな場所でやろう。こっちだ」

 

 マリに拳銃を突き付けられても何の動揺もせず、男は安全な場所へと彼女を案内し始めた。行くところに兵士達の声が聞こえてきたが、どうやら男と自分が居る場所には、探索が及んでいない様子だ。

 暫し進んでいくと、開けた場所に出た。

 

「よし、敵は居ないな・・・?では、お嬢さん、名乗らせていただこう。俺はガイドルフ、ガイドルフ・マカッサーだ。日本の戦後後処理に努めたGHQ司令官であるダグラス・マッカーサーとは縁もゆかりもない」

 

 自己紹介をした男、ガイドルフに続いてマリも名乗ろうとしたが、彼が人差し指を上げて口を開いた。

 

「おっと、お嬢さんは大変人気だからな。自己紹介しなくて良いぜ。マリ・ヴァセレート、旧名マリ・シュタール・ヴァセレート・カイザーだ。こんな飛び切りの美人の名前を忘れない筈がない」

 

 ガイドルフが当てた名前にマリはやや動揺を覚えた。

 

「(こいつ・・・ストーカー・・・!?)」

 

 相手に聞こえないようにマリは心の中で言い、ガイドルフに警戒心を抱く。

 

「おっと済まない。少々怖がらせてしまったようだ・・・では、直ぐさまお嬢さんには処刑場から出て頂いだこう。そうだ、そうして頂こう。断じて、お嬢さんを付け回して、追い回すつもりはない。で、そこから・・・」

 

「居たぞ!!」

 

 警戒心を抱くマリの誤解を解こうと、ガイドルフは脱出を協力する事を誓い、簡単に纏めた手はずを言い終える前に兵士に発見された。即座にガイドルフは木製ホルスターの蓋を開き、そこからモーゼルC96を引き抜き、相手が携えている自動小銃を撃つよりも早く、兵士を撃ち殺す。

 

「こう見えて、早撃ちは得意な(もん)でな。これで生きながらえた物だ。こいつでの早撃ちはストックを改造する必要があるがな」

 

 モーゼルC96の銃口から出ている煙を吹き消し、マリに語った。

 

「さぁ、ここで呑気にお話をしてる場合じゃない。さっきの銃声を聞かれちまった。数が少ないとはいえ、この場にいる兵隊共が集まってくるぞ。西に脱出用の車を用意してある。強行突破するぞ」

 

「静かに行かないの?」

 

「さっきあの兵隊に大声を出された上、消音器付きの自動拳銃(オートマチック)を間違えて、慣れでモーゼルを抜いちまった。派手にやっちまった以上、逃れられない。さぁ、派手に行くぜ」

 

 撃ち殺した兵士から自動小銃FN FAL(ファル)とその弾薬に無線機を回収しながらマリに答えた後、FALを抱えて彼女についてくるように言った。

 

「ポイントマンは俺が務める。お嬢さんは後ろをカバーしてくれ」

 

「なに勝手に決めてんのよ。私はまだあんたなんか信用した訳じゃ・・・」

 

「不死身じゃないんだろう?俺がその分、頑張らないとな」

 

 ガイドルフの答えにマリは少し苛つきながらも、自分に協力する男の指示に従う。その間に多数の足音がこちらへ近付いてくる。

 

『エリア7-3-4にて銃声だ!その場に近い者は確認に迎え!』

 

 先頭に立つガイドルフが持つ、敵兵から奪った無線機から敵が来る情報が流れてくる。

 

「敵さん、こっちに来るぞ。身構えておけよ」

 

 無線機からの情報に、ガイドルフはマリに注意したが、彼女はただ無言で頷くだけだ。先へと進むと、二十人ほど兵士が二人を見るなりいきなり撃ってきた。

 

「居たぞ!なるべく生かして捕らえろ!」

 

 手に持つ小火器を一斉に放ち、二人を遮蔽物に釘付けにした。銃撃を止めた一人の兵士が、ガイドルフの存在に気付き、隣にいる同僚に問う。

 

「なぁ、逃亡犯の女と一緒に居る男、誰だ?」

 

「知るか、あの女の逃亡に協力している奴だ。撃ち殺せ!」

 

 同僚はそう答えた後、再び銃撃に加わった。兵士達は二人を数の上で押しているはずだが、次々と兵士達はガイドルフの早撃ちで倒されていく。

 隣で突撃銃を撃っていた兵士が倒れたのを見た指揮官は、士気を落とさぬよう怒号を飛ばす。

 

「相手はたったの二人だぞ!怯むな!突撃しろ!!」

 

 銃剣の付いた突撃銃AKMを持った兵士達が突撃の構えを見せれば、敵の増援が十人ばかりやって来た。それを見たガイドルフはマリに知らせる。

 

「お嬢さん、追加のお客さんだ!それに突撃してくる!AK74をフルオートにして撃ちまくれ!」

 

 ガイドルフの指示にマリは従わず、軽機関銃や突撃銃に支援されて突撃してきた兵士達をマリは的確に撃ち殺していく。だが、弾倉の中身が足りず、最後の一人で弾切れを起こす。

 

「あっ、クソ!」

 

 マリへの肉薄を許してしまったガイドルフは、直ぐに彼女を助けようとしたが、自分に向けて攻撃が集中してきた為に、構っている暇など無かった。

 しかし、その必要はなく、マリは突撃してきた兵士の腰にぶら下がっていた手榴弾の安全ピンを抜き、蹴って自分から遠ざけた。

 

「あっ、あぁぁぁ!!た、助けてくれ~!」

 

 助けを呼びながら、手榴弾をぶら下げたベルトを必死で外そうとする兵士だが、慌てている所為で手元が狂い、外れない。そのまま突撃した兵士は爆死する。

 破片を周辺に飛ばすだけの手榴弾であった為、人体は残っていたが、腹から内蔵が見えているなどの酷い有様だ。慣れない者は吐くはずだが、マリとガイドルフは慣れており、敵兵達も戦闘の最中であった為に吐くことはなかった。

 まだ兵士は突破できないほど残っている。近くにある敵兵の死体から破片手榴弾を幾らか拝借して、それを敵兵が多く集まっている場所に投げた。

 

「手榴弾だ!」

 

 飛んできた手榴弾が足下に転がってきたことに気付いた一人の兵士が叫べば、全員が撃つのを止めて、その場から離れる。

 一部では、手榴弾に気付かず、飛んできた破片で倒れる者が出た。少しキリがないと悟ったガイドルフは煙幕手榴弾を懐から取り出し、中央に投げ込む。

 

「うわっ、手榴弾!?」

 

 放り込まれた煙幕手榴弾を手榴弾と間違えた兵士は叫び、中央で銃撃を加えていた兵士達はその場から逃げ出す。煙幕手榴弾が爆発し、中に詰まっていた白い煙が吹き出した。

 

「煙が十分に哮るまで、持ちこたえろ」

 

 ガイドルフがモーゼルを撃ちながら、遮蔽物に身を隠してAKs-74の再装填をしていたマリに告げた。十分に煙が充満したのを確認したガイドルフは、一気に煙の中に突っ込み、マリも後へ続く。

 煙で二人が見えない所為か、敵兵達は撃つのを止めていた。

 

「撃つな、同士討ちになる!」

 

「射撃止め!味方同士で撃ち合うことになるぞ!」

 

 白い煙で見えない場所から敵兵の声が聞こえ、兵士達が手探りで二人を探し回っている事が分かる。煙が充満している内にマリとガイドルフは突破する。

 

「団体さんとの交戦はなるべく控える。突破できそうな数だけ交戦するぞ」

 

 ガイドルフの言うとおりに少数の敵兵だけと交戦して一気に西門まで近付く。だが、発見されたことを報告されたのか、20名程の兵士が門を封鎖しようとしていた。

 

「西門のまだ封鎖されていないようだな・・・あの人数なら突破できそうだ。行くぞ」

 

 物陰に隠れたガイドルフは、モーゼルC96の再装填をしながら敵兵の人数と装備を確認し、突破をしようとする。再装填を終えると、物陰から飛び出して、門を閉めようとする兵士達に声を掛け、注意を惹いた。

 

「おい!」

 

「ン、誰だ?あ、何者!?」

 

 得意の早撃ちで気付いた下士官を撃ち殺した後、周りにいた兵士達を次々と撃ち殺す。

 

「オワッ!」

 

「ギャッ!」

 

「ナアッ!」

 

 バタバタと倒れていく兵士達を見て、マリはガイドルフの強さを知った。

 

「(こいつ・・・私の援護無しでも一人で全部やっつけてるじゃない)」

 

 生きている敵兵からの銃撃を上手く回避し、直ぐに反撃に移る。物陰でただ傍観していたマリに、ガイドルフが声を掛けた。

 

「車を取ってくるから、残りは任せる!」

 

「はっ!?ちょっと!」

 

 ガイドルフはマリの肩を叩いて、残った敵兵の排除を頼み、車を取りに行った。こちらに向けて銃口を向けた残りの兵士達にマリは持っている突撃銃で反撃を行う。

 残っている兵士達の人数は五人ほどで、マガジンの弾薬分で十分に排除できた。それと同時に屋根のないオープンカーに乗ったガイドルフがマリの近くまで来て、車を止めた。

 

「おい、早く乗れ。敵の増援が来るぞ」

 

 言われたとおり、マリが左側の助手席に座り込むと、乗ったのを確認したガイドルフはアクセルを踏んで、車を急発進させ、西門から処刑所を脱出した。

 後ろを振り向けば、二人を追ってきた兵士が手に持つ銃を撃ちながら、足で追跡しようとしていた。

 追いつけるはずもなく、足での追跡を諦めた指揮官が、通信兵から受話器を取って、追跡用の車を持って来させようとする。その間に、出来るだけスピードを上げて、処刑所から遠ざかる。

 

「これがドライブなら、最高だがな」

 

 冗談交じりで言ったハンドルを握るガイドルフの言葉に、マリは少し苛ついたが、今ここでガイドルフを殺すと、この先困難になりそうなので、止めた。

 しかし、完全に逃げ切れた訳ではなく、機関銃を搭載したジープやサイドカー、短機関銃を持った兵士が乗るバイクが複数追ってくる。

 

「クソ・・・これから美女と楽しいお話をしようと言うのに・・・」

 

 サイドミラーで追ってくる敵を見て、悪態付いたガイドルフは、マリに追っ手を排除するよう命ずる。

 

「済まんが、置いてある突撃銃か、今持ってる突撃銃で追っ手を追っ払ってくれないか?」

 

 ガイドルフが親指を向けた先にはアメリカの突撃銃M16A1の進化形態で、米海軍だけが正式採用しているM16A3が、複数の西側の大抵の突撃銃と互角性がある弾倉が入った箱と共に置かれていた。テープで二つに巻き付けられた弾倉もあったが、マリはM16よりも距離が長い元を折り畳みストックに変えたAKs-74を使うことにする。

 

「なんだ、使わないのか?AK74は、M16より命中精度が倍以上に高いからな」

 

 M16A3を使わなかったマリを見たガイドルフは声を掛けたが、彼女は無視して射撃に専念した。的確に排除すべく、運転手に狙いを定めて引き金を引いた。

 風除けのガラスに穴が空くと、運転手が胸から血を吹き出して動かなくなり、コントロールを失ったジープは横転し、乗員達が吹き飛ばされた。次はバイクに狙いを付け、引き金を引いたが、ガイドルフがハンドルを切った為に外れてしまう。

 

「済まん!こちらも避けるので必死でな!!」

 

 ガイドルフは謝っているが、マリにしてみれば邪魔された物である。

 セミオートからフルオートに切り替え、5.45㎜弾をばらまく。折り畳みストックから伝わる反動を抑えながら、追っ手をある程度片付ける。

 弾倉の中身が無くなれば、新しい弾倉を取り出し、刺さってる空の弾倉を弾き飛ばして、新しい弾倉を差し込み、再び銃撃した。

 

「やるな!これで何台目だ?!」

 

 倒した車両の数を、ガイドルフは聞いてきたが、マリは無視する。

 

「お、空からお客さんだぞ!」

 

 ガイドルフの叫んだ事に耳を傾けると、空にロシアの多目的ヘリコプターKa-60が飛んでおり、側面のドアから軽機関銃を持った兵士が、マリ達を狙っていた。

 

軽機関銃(ライトマシンガン)か、こいつは厄介だな。仕留めてくれ!」

 

 言われたとおり、マリは上空のKa-60に向けて撃った。軽機関銃RPKを撃とうとした兵士が弾丸に当たり、息の根が止まる。

 

「次が出て来たら、厄介だ。テールローターを狙え!」

 

 ハンドルを片手に右手でモーゼルC96を握り、右側面から襲ってきたバイクに乗った兵士を撃ち殺した後に、ガイドルフはマリにヘリを撃墜するよう命じた。

 

「簡単に言ってくれちゃって・・・!」

 

 マリは独り言を言い、ヘリのテールローターに狙いを定めた。風の抵抗を受けており、弾は真っ直ぐ飛ばないだろう。

 敢えて照準を右側に少しずらし、引き金を引いた。銃口から放たれたテールローターは見事命中、ヘリはバランサーを失って、地面に激突し、大いに炎上して大破する。

 

「今度はトラックで追ってきたぞ」

 

 追っ手は兵員トラックまで増員してまでマリ達を追ったが、運転席に乗った兵士等がフルオートで撃ち殺され、コントロールを失って横転し、荷台に載っていた兵士達は地面に投げ出された。

 

「これで、追っ手は全滅したかな?」

 

 ハンドルを握りながら、ガイドルフは集を見渡し、誰か追ってこないか確認していた。マリは空になった弾倉を外して、満載の弾倉に入れ替えようとポケットを探ったが、弾倉は無くなっており、AKs-74はただの殴る”棒”でしか無かった。

 持っていても殴るしか無いAKs-74を捨て、マリは助手席に座り、乾パンをポケットから取り出し、それを口に含んだ。

 

「美味しいかそれ?」

 

 運転席に座るガイドルフが、マリが食べている乾パンを見ながら聞いた。

 だが、マリは男からの質問に対して無視を決め込む。次にガイドルフはマリの射撃力の高さを褒める。

 

「それにしてもテールローターを撃ち抜くなんざ、凄い射撃力だな・・・まぁ、狙撃手と知っていたが、まさかこれ程の腕前とは思わなかったぜ。俺も自信はあるんだが、強い横風が来る中であの芸当は出来ない」

 

 射撃力の高さに尊敬の意志を表したガイドルフだが、マリは相変わらず黙ったままだ。空を見上げて見ると、日が落ちていることに気付く。

 

「もう日が落ちる頃だな・・・これからはあんたと呼ばせて貰うことにするぜ。なんたって見た目は俺より年下そうだが、実際には俺より遙か年上だ。こんな若くて美しい容姿じゃあ、婆さんだなんて容易に呼べば、失礼極まりない。俺の方は好き放題、どんな名前でも呼んでも良いぞ。どうだ、これで話す気になったか?」

 

 少し無理をして、マリと話そうとしたガイドルフであったが、当の本人は相変わらず黙ったままだった。

 

「へぇ・・・男嫌いも情報通りか・・・」

 

 こちらの話しに聞く耳持たないマリに、ガイドルフは溜め息をつく。暫くすると、マリは寝息を立てて寝始めた。

 これを見たガイドルフは、マリのことをまた情報通りだと確信した。

 

「外面はこんなにセクシーなのに、中身は子供のままとは・・・これも情報通りか・・・不用心過ぎないか?それとも安心しきちまったか・・・?」

 

 隣に男が居るというのに疲れで寝てしまったマリを見ながら、ガイドルフは推測したが、それは追いて置き、運転に集中する。

 日が落ちる頃には、目的の街が見えて来た。数分後、街に着くと、ガイドルフは寝ていたマリを起こそうと、肩に手を置いた。

 その瞬間、彼女の肩に触れようとした右手が掴まれ、目を覚ましたマリに拳銃を額に突き付けられていた。

 

「目が覚めたか・・・?」

 

 動揺せず、マリが目を完全に覚ました事を問う。

 

「落ち着け・・・俺は紳士だ・・・それに近くには旅団規模の民兵のキャンプと離反軍の連隊本部がある・・・」

 

 ここで銃を撃つことの無謀さを知らしめて、銃を降ろすように告げた。それに承諾したマリは、MP443を降ろした。

 

「そうだ・・・それで良い。ここで、俺を殺しても、何にもならん」

 

 安心しきったガイドルフは銃を降ろしたマリに向けてそう言った。後部座席に置いてあったM16A3と弾薬を持って街に入ろうとするマリであったが、ガイドルフから声が掛かる。

 

「おいおい、そのまま街へ行くのか?それと、消音器を付けた銃が必要じゃないのか?」

 

 ガイドルフの声に振り向いたマリは、彼がドイツの数ある自動拳銃の一つHK USPを差し出している事に驚く。この自動拳銃の銃口には消音器(サプレッサー)が装着しており、街で静かに敵を排除するには打って付けだった。

 

「俺がさっき処刑所で抜こうとした拳銃だ。この先あんたが一人で行くと仮定して渡すことにする」

 

 マリにUSPを渡した後、ガイドルフはその自動拳銃について説明を始めた。

 

「コンパクトモデルでは些かスタミナに欠ける。だから45口径モデルを持ってくることにした。この大口径の45ACP弾は喧しいとされるが、実は消音器と相性が良いんだ。だから俺は一番スタミナがあって、かつ45ACP弾を使用するこのモデルを使うことにしたって訳だ。あんたが持ってるMP-443も消音器が付けられるが、9㎜弾じゃ減装弾を使わないと完全に音は抑え込めない。俺にはモーゼルがあるから大丈夫だ、少しその自動拳銃(オートマチック)は重いが、比較的に敵を排除できるし、それにサービスとしてライトならびレーザーサイト付き。こいつは俺からのプレゼントだ」

 

 笑顔でそう告げたガイドルフにマリは無言でUSPを調べてから、MP-443が入っていたホルスターを外して、彼に渡した。

 

「お、こんなにスタミナのある拳銃を取っ替えるのか?では、この拳銃は預からせて貰おう」

 

 MP-443を預かったガイドルフは、代わりにUSP用のホルスターを渡す。

 

「では、気を付けて行けよ。おっと、合流地点は・・・」

 

 合流地点を決めるべく、懐から地図を取り出して、マリに合流予定地の位置を示す。

 

「空港がある方角に位置する街の北側に合流しよう。ここなら早く空港に行けるだろう。俺達は処刑所からトンズラする際に派手にやりすぎたんだ。今頃は警備が厳重になってる頃だな。俺は先に合流地点で待ってるから、あんたはなるべく音を立てず、誰にも見られることもなく、静かにやれよ?では、幸運を(グットラック)

 

 左手を額に向け、それをマリに翳した後、ガイドルフは車に乗って、先に合流地点へと向かった。

 

「今はこれで許してやるとしますか・・・事が終わってから、あいつの始末どうしようかな?」

 

 突撃銃を肩に掛け、プレゼントされた自動拳銃を見ながらマリは独り言を呟き、仮に全ての能力とルリを取り戻した後、ガイドルフの始末のことを考える。

 そう考えている内に街の出入り口に着く。無論のこと、出入り口には離反軍の印を付けた兵士が一個小隊の人数分が警備し、道の左右には土嚢で出来た機関銃陣地があり、厳重な警備網と検問がなされていた。

 正面突破など以ての外であり、尤も危険きわまりなく、自殺行為である。何処か別の進入路がないか調べ、目を凝らせる。

 

「(あそこから上れそうね・・・)」

 

 道を塞ぐように置かれた仮設壁が上れそうと判断したマリは、早速行動に移った。街の周囲を回るかのように軍用犬を連れた警備兵が巡回しており、それが通り過ぎるのを待って、壁の出っ張りに手を掛けた。

 

「行ける・・・」

 

 周囲に聞こえないような声量で呟いたマリは壁の出っ張りを掴みながら上へと上がる。

 装備の重たさで普通の女性ならば相当鍛えてないと上がれないかもしれないが、彼女は成長期に超人的な訓練を受けてきた為、筋肉質な外見でいなくても容易に上がれた。

 壁の上に上がった後、周囲に人影が居ないか確認した後、街へ入った。住民は一人も居らず、警官や兵士、民兵の姿しか見えない。どうやら軍は街に戒厳令を敷いたらしく、市民、労働者などの一般人には自宅に居るよう命じたのだろう。

 フルカスタムのUSPを握りながらマリは何処か見付からないように移動できる場所を探す。住宅の屋根を見た彼女は、屋根を伝って移動することにした。

 最初に決めた家に住む家主に気付かれぬよう静かに上り、屋根の上へと上がった。上空にヘリが飛んでいないことを確認したマリは、音を立てないよう移動する。道中、家々の屋根と言う屋根を伝っていると、一人でイスラエルの短機関銃ウージーを持った警官の独り言がマリの耳に入った。

 

「ハァ・・・俺達がムガル人の末裔だとか、誇り高い民族とか今更言われても実感が沸かねぇよ・・・」

 

 どうやら一連の出来事にこの警官はついてこられないようだ。盗み聞きしていたマリは、移動を再開する。

 屋根を伝っている所為か、少し大きめの音がした為、少し感付かれたが、警備の兵士や警官、民兵からは屋根から何か落ちた物と判断される。

 やがて高い建物まで着くと、壁の出っ張りを探し、それを利用して上へと上がった。屋上に上がれば、そこで民兵が煙草を吸いながらさぼっていた。マリの存在に気付いていないらしく、さらに欠伸までしている。

 早速始末するべく、ナイフを取り出して背後から迫り、民兵の首元に突き刺した。首元を突き刺された民兵は声を出さずに血を吹き出して息絶えた。

 安全を確認すると、能力の位置を確認すべく、ポケットに手を入れた。

 

「入れたつもりは無いのに・・・?」

 

 能力探知機である心臓が入っている事に驚くマリ。鼓動の数は微か、近くに自分の能力がある証拠だ。心臓を肌に近いポケットに入れ込み、鼓動を直に感じるようにした。

 

「鼓動が薄れる・・・こっちじゃない・・・」

 

 鼓動が薄れた事に気付き、マリは鼓動が強くなる方へ進んだ。先へ進むほど鼓動は強くなり、自分の能力が近いことが分かってくる。鼓動が強い所まで来ると、周辺に警官が一人も居なくなっていることに気付く。

 巡回しているのは兵士と民兵だけで、機関銃を搭載した車両も巡回に加わっていた。

 

「厳重な警備・・・私の能力の近くに何かあるのかしら・・・?」

 

 厳重な警備体制を見ていたマリはそう仮定し、先へと進む。なるべく音を立てずに、能力がある場所へと確実に近付いて行く。

 途中、マリの侵入ルートを塞ぐかのように56式歩兵槍を持った民兵が現れた。あの民兵は彼女の存在に気付いていないらしく、ただ決められた巡回路を進んでいるだけだ。気付かれずに進めないような位置に立ち止まった為、排除が必要である。

 USPをホルスターから抜き、照準を民兵の頭に合わせる。民兵の頭部にレーザーポイントが当たり、簡単に当たるようになった。

 引き金を引いた瞬間、消音器で圧し殺された銃声が鳴り、頭を撃たれて事切れた民兵が地面に倒れ込んだ。他の歩哨に気付かれる前にマリは迅速に行動する。

 

「鼓動が強い・・・私のはあそこにあるのね・・・」

 

 厳重な警備体制が敷かれた五階建ての屋敷を見ながら、マリはそう呟き、屋敷への侵入ルートを探し始めた。




~今回の中断メッセージ~

ビッテンフェルトの部屋

ビッテンフェルト「全く、この時期に同時連載など何を考えておるのだ。作者は・・・」

ディルクセン「なにぶん、誰もやったことが無いことをしたがる者ですから・・・」

ビッテンフェルト「そうか・・・で、客は来たのか?」

オイゲン「ハッ、ゲストは来ました。西住みほです」

みほ「ど、どうも・・・県立大洗女子学園2年生普通科の西住みほです・・・」

ビッテンフェルト「ほぉ、あのマインカイザー・ラインハルトと同等の戦術家とされる西住みほか!!想像していたのと違うがな・・・」

みほ「す、済みません・・・」

ビッテンフェルト「何を謝る。で、今回はあの作者が始める新作、歩き回ってギャーギャー喚く死人共と貴様等の仲間達が戦うそうだが、どうなんだ?」

みほ「えぇ・・・ゾンビ物は余り見たこと無いので、良く分かりませんが・・・頑張りたいと思います」

ビッテンフェルト「ほぅ・・・そうか・・・では、目の前に群がる死人の軍勢に向けて、猪突猛進を掛けるのだな?」

みほ「え、私達のⅣ号でですか・・・?ちょっと、掃除が・・・大変・・・」

ビッテンフェルト「なに、掃除?貴様、そんな事を考えているのか・・・?貴様達の戦闘車両の中に突撃砲があるではないか、これで突撃を仕掛けるのでは無いのか?」

みほ「突撃砲は・・・突撃する為の物ではなく、支援車両などでありまして・・・つまり自走砲なんです・・・」

ビッテンフェルト「なにぃ!自走砲だと!?前面装甲が堅いではないか、敵陣へと突撃するために特化した戦車ではないのか?」

みほ「確かに敵陣への直接的攻撃は出来ますが、突撃はしません・・・」

ビッテンフェルト「ぬぅ・・・では、戦車道に属する貴様に聞こう。俺に似合った戦車は何だ?」

みほ「突撃を重視するから・・・重装甲な戦車・・・ティーガーⅡかな?」

ビッテンフェルト「ティーガーⅡだと・・・?おい、資料を持ってこい!」

資料をビッテンフェルトに渡す部下。

ビッテンフェルト「どれ、前面装甲が150㎜に他は80㎜、砲塔は180㎜に他は同じか・・・攻撃力は・・・認めてやろう。速度が38㎞/hだと?我が艦隊は高速戦艦と足の速い艦艇で編成されているんだぞ!かなりの鈍足ではないか!?」

みほ「ふぇぇ!?だ、大丈夫です!発展型がありますから!!」

ビッテンフェルト「なんだと・・・?よし、そいつの資料を持ってこい!」

また資料を持ってきた部下。

ビッテンフェルト「ほぅ・・・中々の性能じゃないか・・・!決めた、早速乗り回してやろう!」

オイゲン「え、部屋は・・・?」

ビッテンフェルト「部屋だ?次回は休みにする。では、ティーガーⅡもとい、ケーニヒス・ティーゲルを乗り回すぞ!」

みほ・オイゲンを除く一同『オォー!』

※次回はシュワルツ・ランツェンレイターの一同が装甲師団を編成して、乗り回している為、ビッテンフェルトの部屋はお休みです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。