復讐者の世界周り Weltdrehung des Rächers   作:ダス・ライヒ

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前回のあらすじ

東京都知事「解せぬ」

今回は短めです。それと新キャラ登場。


殺戮の後で

敵主力3600人と標的であるマザイ・コアラーを殺害することに成功した。

しかし、遅れてやって来た1400名からなる在日朝鮮人と韓国人で編成されたコリア連隊が現れ、自棄を起こしたマリは真正面から突っ込んだ。

 

「あ、あれは・・・!?」

 

だが、ある者を空に見て足を止めた。

それは空から身長180㎝程の碧い髪の青年が降りてきたからだ。

目の前にいる無数の敵も、目の前で殺戮を行った女に武器を向けるのを止めて、何も無しに腕組みをしながらゆっくりと降りてくる青年に視線を取られる。

青年は地面に足を付けると、1400人に右手を向け、それを翳した。

次の瞬間、1400人が短い悲鳴を上げて灰となって消え去った。

道路が黒い炭で染まる中、恐るべき力を見せつけた青年に対し、マリは後ろへ下がり始めた。

それを見た青年は優しい笑みを浮かべながら、マリに敵ではないことをアピールする。

 

「大丈夫だって、俺は味方だからよ。別にあのムガルとか言う、訳分かんない連中の仲間じゃねぇから」

 

そう警戒心を抱く彼女に告げる青年であるが、マリは体勢を崩した。

 

「おい、どうした!大丈夫か・・・?」

 

「大丈夫よ・・・!このくらい・・・!」

 

青年からの心配を他所に、必死に立ち上がろうとするマリであるが、視界は霞んでいき、徐々に力が入らなくなる。

 

「こんなの平気・・・」

 

「てっ、おい!マジで大丈夫か!?」

 

その一言を言った後、マリは大理石の上に倒れた。

倒れた彼女を見て、青年は無事を確認する。

 

「息はあるようだな・・・じゃあ、衛生兵でも呼んで、病院に運んで貰うか」

 

マリがまだ生きていることを確認した青年はポケットからスマートフォンを取り出し、本部と連絡を取った。

 

「俺の出番は無さそうだな・・・帰るか・・・」

 

一部始終を見ていたガイドルフは、得物のモーゼルC96を構えていたが、自分の出番はないと判断し、この場を去る。

 

 

 

暫くして、マリは不可思議な光景が広がる虚無の世界にて目を覚ました。

先程負った傷は全て完治しており、足も手も身軽に動いた。

ベンチがある小島へと移動し、そこへ腰掛けるとアウトサイダーが姿を現す。

 

「やぁ、マリ。偽善に満ちあふれた世界で、殺意の波動を取り戻し、標的の殺害に成功したようだな」

 

突然現れた生気の無い肌の青年は、一連の行動を語った。

 

「どうして・・・それを・・・?」

 

「”いつでも見守る”と言ったろ?お前の行動は手に取るように分かる」

 

その言葉に、マリは動揺を見せる。

 

「まぁ、言わないでおいてやろう。前の者は殆ど気にしてはいなかったがな。では、本題に入ろう」

 

次の言葉にマリは落ち着きを取り戻し、アウトサイダーからの話しに集中する。

 

「お前の吹雪を召還できる能力シュネー・トライベンは1941年8月6日のソビエト領北西部にある。ワルキューレならその世界へ行くことなど容易いことだろう」

 

自分の能力が、1941年8月のソ連領にあると聞き、表情が堅くなる。

 

「運が悪ければ、黒い十字軍と赤い防衛軍との戦いに巻き込まれる・・・それを覚悟の上で行くのだな、お前は?」

 

「もちよ」

 

アウトサイダーからの問いに、マリは即答した。

 

「そうか。お前がいつの日か完璧な存在となり、数々の世界を崩壊から救う勇者となることを祈ろう。では、お前を元の世界へ戻すぞ」

 

それをアウトサイダーが告げた後、マリの視界が霞み、やがて真っ暗になった。

次に目覚めて視界に入ってきたのは、麻奈美の顔であった。

 

「あっ、起きましたよ!」

 

「皇帝陛下!!良かった・・・!」

 

麻奈美からの知らせにノエルは直行し、マリが目覚めたのを見て、安心した。

見える白い天上からの視線を変える為、身体を起こす。

変わった視点には、こちらに向けて笑みを向ける京香と女性医師が居り、ワルキューレの日本支部と分かる。

 

「よっ、目覚めたか?」

 

左から聞き覚えのある男の声がしたので、振り替えて睨み付けてみると、自分を助けに来た青年がそこに居た。

 

「あんた・・・なんでここに・・・!?」

 

「おいおい。前にも言ったが、俺はムガルとか言う訳の分からん連中のお仲間じゃねぇ」

 

マリに指差しながら告げる青年は、最初に会った時のアピールをした後、自己紹介を始めた。

 

「俺はこう見えてもワルキューレの16人いる幹部の一人、火焔丸だ。まぁ、あの中で一番の年長だがな」

 

「へぇ・・・そう」

 

ニヤリと笑みを浮かべながら自己紹介した火焔丸に、マリは適当な返事をした。

この返事の仕方に、慌てたノエルが異議を唱える。

 

「だ、駄目ですよ。陛下!この人は一応我が組織の幹部なんですよ!?」

 

「そうですよ、カイザー。初めて見ましたが、これでも幹部らしいです・・・」

 

「お前等、酷いな!俺幹部だよ!?幹部!」

 

酷く例えるノエルと京香に、火焔丸は彼女等にツッコミを入れた。

このやり取りを見ていた女医はクスクスと小さく笑う。

イマイチこの空気には慣れないマリは、言い争うノエルの袖を掴み、虚無の世界でアウトサイダーが言っていた次の能力がある世界への行き方を問う。

 

「ねぇ、あんた等ワルキューレに過去の世界とか行ける機械とか無いの?」

 

「えーと、それは・・・」

 

「あぁ、それは禁じられた事なので。その世界を一々探さないと行けません」

 

マリからの問いにノエルは戸惑うが、京香が正確に答えたので納得する。

 

「まぁ、探すのは楽な事だがな。おっと、忘れる所だった。お前、この世界の人間とはいえ、敵をぶっ倒したんだ。この幾多の功績を称えて、今日から上級大尉な」

 

火焔丸がそれに続いた後、思い出してポケットから階級章を取り出し、それをマリに渡した。

階級章を見たノエルと京香は祝いの拍手をし始める。

 

「おめでとうございます!」

 

「おめでとうございます。カイザー!上級大尉って・・・大尉の上かな?」

 

「ぶっちゃけ俺等の組織じゃ、階級章なんてあんまり意味無いしな。権限が増えるって所で意味はあっけど」

 

椅子に腰掛けながら渡された階級章のことを告げた後、頭を掻いた。

 

「一応は貰っておくわ・・・」

 

階級章を近くの机に置いた後、マリは火焔丸に告げた。

用件を全て伝えた火焔丸は椅子から立ち上がって、この病室にいる全員に別れを伝える。

 

「それじゃあ、俺帰るわ。なんか俺等より上な御上から呼び出し食らっててな。そんじゃぁお前等、死ぬんじゃねぇぞ」

 

火焔丸は背を向け、手を振りながら病室を出て行った。

唯一の男が出て行った後、京香は思い出したかのようにマリに告げた。

 

「あぁ、そう言えば。カイザーが泊まってたホテルに行ったら、消音器付きの拳銃が入った袋を持った女子高生が居ましてね。拳銃を回収した後、保護者に少年課の婦警と名乗ってそのJKの自宅まで送ってきました。消音器付いた拳銃持ってるから、最初はてっきり何処かの暗殺者なJKかと思いましたよ」

 

「あぁ、あの娘・・・大事に抱えてたんだ・・・」

 

この報告にマリは、一夜を共にした少女のことを思い出す。

 

「まぁ、警察に届けられずに済んだし・・・一件落着?」

 

顎に指を付けながら京香は愛らしく解決を口にした。

だが、それを知ったノエルは怒っているようで、剣幕な表情でマリに問う。

 

「陛下ぁ!成人ならまだしも、学生な少女と一夜を共にした挙げ句、この国では違反な拳銃を忘れるなんてどういう事ですか!?」

 

「拳銃は忘れちゃったけど、女の子と寝たって良いじゃないの。あっちから求めて来たんだし。もしかして・・・妬いてる?」

 

その答えにノエルは顔を赤らめ、静まりかえった。

マリと京香は互いに目を合わせて小さく笑った後、ノエルに落ち着かせる為に謝る。

それから暫くし、マリはワルキューレの化学と魔法が合わさった高度な医学力で早期に回復し、派手に動き回れる程になった。

自分が新宿で起こした惨事が気になった彼女は、資料室に向かって近日中の東京の出来事が記載された資料を読み漁る。

 

「こんな事になってたの・・・」

 

マリが起こした新宿における常人では決してマネは出来ない戦闘は、マフィアとヤクザ、様々な非合法組織の抗争で出た被害と言うことにされていた。

あの灰にされた朝鮮人と韓国人のみで編成された組織の歩兵連隊だって、ガス爆発で片付けられている。

買い溜めされた各社の新聞を読んでも、大規模な抗争としか書かれてはいない。

 

「情報操作と隠蔽工作はちゃんとしているようね・・・」

 

その世界におけるワルキューレの影ながらの活躍に関心を抱いた後、資料室を後にした。

そして、次に彼女の向かう世界は1941年8月6日の第二次世界大戦序盤のバルバロッサ作戦真最中の北ロシアだ。

作戦に参加したナチスドイツ軍の三つある軍集団の一つである北方軍集団が目指すロシア革命の中心地となっているレニングラード(現サンクトペテルブルク)の途中に配置されたソ連赤軍防衛拠点である要塞の何処かに、マリが失った能力の一つ、吹雪(シュネー・トライベン)がある。

次の世界に向かう前に、彼女は現地のワルキューレの諜報部に白紙の手紙を取り出し、お礼の手紙を書いてそれを送った後、ノエル、京香と共に次元転送装置に入り、この世界を後にした。

 

 

 

場所も世界も時は変わって、1941年8月某日の北ロシア。

侵攻してきた枢軸国軍のドイツ軍陸軍北方軍集団の傘下である第18軍に属する歩兵師団の歩兵と自動車が差ほど整備もされていない長いロシアの街路の行進を見ている男が居た。

男は煙草を吸いながら近くの丁度良い石に腰掛けてただ行進している兵士達を見ている。

浅黒い肌と短めの金髪、腰のホルスターに差し込んだ形が特徴的な古い自動拳銃モーゼルC96から察するに、男はガイドルフであった。

行進する列から離れた一人の歩兵が、ドイツ国防軍全軍と武装親衛隊に制式採用されている小銃kar98kをスリングで肩に担ぎながらガイドルフの元に向かってくる。

着ている軍服は灰色であり、腰に小銃の弾薬を入れる弾帯を巻き付け、間にジャガイモ潰し器のようなM24柄付手榴弾を二本挟んでおり、頭にはドイツ陸軍の略帽を被り、ヘルメットは腰に掛けてある。

兵士はガイドルフが煙草を吸っているのを見て、煙草を要求した。

 

「おい、煙草くれよ」

 

煙草を要求する兵士に対し、ガイドルフはポケットから煙草を取り出し、二~三本ほど渡す。

 

ありがとう(ダンケ)

 

ドイツ語で礼を言った後、兵士は煙草を左手に握り、列に戻った。

上空からドイツ空軍の単発急降下爆撃機であるJu-87が数機独自のエンジン音を鳴らしながら通り過ぎていく。

 

「さて、先回りした物の・・・場所を間違えちまったようだ・・・」

 

通り過ぎていくドイツ空軍(ルフトヴァッフェ)の航空機を見て呟いた後、短くなった煙草を水溜まりに捨てた。

 

「ソ連赤軍の拠点でも行って、地図でも書くか」

 

独り言を呟いてから、新しい煙草を口に咥えて、先に火を付けて煙草を吸った。




火焔丸=イメージCV杉田智和

次の世界は、グレートブリテンに敗れた総統閣下が、大粛清しまくって防衛戦力がガタガタなソビエトに攻める独ソ戦初期の北ロシア。
ドイツ国防陸軍の北方軍集団の目標であるレニングラードの途中にあるソ連赤軍の防衛拠点にされている要塞です。
ぶっちゃけ調べて無いんで、要塞なんてあるかどうか分かんないですけど。

ネタバレだけど、マリはどちらにも属しません。言わばたった一人の第三勢力です。
多重クロス世界周り物で、歴史の世界を入れる・・・大丈夫だろうか・・・?
誰かやってたら教えて欲しい物です(笑)
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