復讐者の世界周り Weltdrehung des Rächers   作:ダス・ライヒ

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最初の歴史は独ソ戦初期だってばよ!

こんな要塞はレニングラードの防衛ラインには存在しない!と、言う方は感想でお願いします。


1941年8月北ロシア
要塞に。


1941年・・・

 それはヒトラー政権が率いる大ドイツ帝国(グローズドイチェス・ライヒ)によるポーランド侵攻から始まった第二次世界大戦の勃発から2年が経過し、大英帝国(グレートブリテン)との総力戦であるバトル・オブ・ブリテンに敗れた時のドイツ第三帝国の総統アドルフ・ヒトラーは代わりとなる標的を、不可侵条約を結んでいる筈のソビエト社会主義連邦、通称ソ連に定めた。

 侵攻理由は、自身が書いた「我が闘争」で、ドイツ人がより広い生存園に適したのがソビエトの領土だったからだ。ロンメルを始めとした他の側近から怪物と言わしめた彼の計画図には、ソビエト侵攻は事前に組み込まれていたのだ。

 未だに英国を屈服させることには成功しておらず、ドイツ軍首脳部は二正面作戦に懸念を表する。

 だが、ヒトラーは側近達の助言をしりぞけ「土台が腐った納屋は入り口を一蹴りするだけで倒壊する」と豪語し、軍の大半の戦力である300万をソ連国境に集結させ、歴史上最大の作戦を開始しようとしていた。

 

 ヒトラーと軍司令部は、300万の兵力を三つの軍集団に分けた。

 ヴァルヘルム・フォン・レープ陸軍元帥率いるレニングラードを目指す北方軍集団。

 フェードア・フォン・ボック陸軍元帥が率いる首都モスクワを目指す中央軍集団。

 ゲルト・フォン・ルントシュテット陸軍元帥が率いる当時ソ連領内にあったウクライナの首都キエフの奪取を目的とした南方軍集団。

 この侵攻作戦はドイツだけではなく、枢軸国に入ったフィンランド、ルーマニア王国、ハンガリー王国、イタリア王国、スロバキア共和国、クロアチア独立国も参加した。

 他に支援国としてスペインから青師団、ドイツの傀儡政権下のフランスから反共フランス義勇団も参加している。合計兵力を合わせて320万に達していた。

 一方の枢軸国の主要国であるアジアの大日本帝国はこの作戦には参加しなかった。

 元々ノモハンで陸軍の関東軍が手痛い目に遭っており、それにソ連領内に侵攻などする気も無かったからだ。

 

 このソ連侵攻作戦の名を赤髭(バルバロッサ)作戦と名付けた。

 神聖ローマ皇帝だったフリードリヒ1世の渾名である”バルバロッサ”から取った物だ。フリードリヒ1世の実績から対ソ戦に相応しいとされている。

 

 作戦はナポレオンがロシアに侵攻した同じ日で月、6月22日に開始された。ヒトラーはナポレオンが成し得なかったロシア征服を為し遂げようよしたのだ。

 それに対するソ連赤軍は、2年ほど前に始めた冬戦争で侵攻した小国フィンランドに叩きのめされた挙げ句、戦間期である30年代後半に時の書記長ヨシフ・スターリンによる反対派の軍人の大粛正を行った為、赤軍の指揮力は貧弱その物だった。

 瞬く間に侵略者であるナチスドイツを始めとした枢軸国に敗北し、損害を拡大していく。

 だが、侵略軍は差ほど整備されておらず、時期が梅雨である為にぬかるんだ泥に足を取られ、進撃速度が低下した。

 そればかりか補給線も伸びきってしまい、パルチザンと呼ばれる共産抵抗勢力の攻撃に貧弱となり、ソ連赤軍が撤退の際に行った焦土作戦で計画も大幅に遅れを生じた。

 さらにはKV-1重戦車とT-34中戦車の装甲の厚い戦車の出現により、ドイツ軍は自国の対戦車の火力不足を実感させられた。スターリンの大粛正から免れた優秀な将軍に自国の環境と戦車の御陰で、ソ連はなんとか持ち堪えることができたのだ。

 

 話はマリが能力のある場所へと変わる。

 彼女の能力がある場所は、北ロシアのドイツ軍北方軍集団の進撃路にあるレニングラードの防衛ラインのソビエト赤軍北部戦線に属する部隊が守る要塞の内部である。

 作戦開始から2ヶ月が経っている為、要塞を守る赤軍は撤退してきた友軍部隊で拡大しており、警備態勢も一筋縄ではいかないほど厳重だ。付近にある町にも再編された部隊もあり、町全体もそれなりの警備が敷かれている。

 厳重な警戒態勢のソ連赤軍北部戦線の要塞にマリがそこへ侵入しようというのだ。

 歴史上最大の地獄の戦争となったこの地に、マリは足を踏み入れた。

 

「回収ポイントはドイツ国防軍占領下のこの地です。ここなら誰にも見られることは無いでしょう」

 

 後ろにいる背中にドラムマガジンが特徴的なPPsh41を掛け、緑色の戦闘服を着てウシャンカを被った男がマリに地図を見せ、回収ポイントを指差しながら告げた。

 今マリが着ているのは、当時ソ連の女性民間人の衣服だ。彼女はスカートが短くないことを気にしていたが、当時の女性からすればこの長さが常識である。

 

「これが装備一式です」

 

 兵士から先程の地図が入った鞄と消音器の付いた回転式拳銃ナガンM1895に折り畳みが可能なポケットナイフを渡され、拳銃は一緒に渡された鞄に入れ、ナイフはポケットに入れた。

 

「では、自分はこれで。ご健闘をお祈りします」

 

 装備一式を渡した兵士は敬礼してから後ろにある白い光の中へと向かい、姿を暗ました。白い光が完全に消えると、マリは目的地である要塞へと向かった。

 街道を沿って第一目標である町へと進んでいると、兵員を乗せたトラックが数台ほどマリの隣を通り過ぎた。

 荷台には小銃や皿形弾倉が特徴な軽機関銃を持った兵士達が乗れるくらい乗っており、最後のトラックの荷台に乗っている兵士達は、マリの姿を見ると、笑みを浮かべて手を振る。これに対し、彼女は優しく微笑んで手を振って答えた。

 

「はぁ・・・帽子が必要なようね・・・」

 

 溜め息をついて、帽子が必要なことを悟った彼女は、左耳に付いた超小型無線機に左人差し指を付ける。

 指を軽く無線機に押し当てることで、相手に通信を入れられる仕組みだ。別の世界にいる相手は、マリからの通信に出る。

 

『あぁ、我が皇帝(マイン・カイザー)。通信を入れてくれてありがとうございます』

 

 通信に出た相手は直属の上官に当たるノエルであった。

 

「それ良いから。でさ、帽子屋とかこの近くにある?」

 

『帽子屋さんですか・・・ありませんね・・・落ちてないか周囲を探してみます』

 

 問いに即座に答えたノエルからの通信はしばらくの間、微小に聞こえる機械音になる。マリは「帽子がそう都合良く落ちてない」と思いながら返答を待っていると、思い掛けない返答が返ってくる。

 

『ありました!北西を13m進んでください』

 

 予想にしない答えに従って、ノエルが示した方向へと足を進めた。言われたとおりの距離に進むと、草原の中にマリが今身に着けているベージュ色の上着と同じ色で、女物の帽子があった。

 帽子を手にとって被ると、ノエルに報告する。

 

「あったわ。何か・・・効果ある?」

 

『いや・・・特に・・・』

 

 マリを遙か彼方の真上から見ているノエルは、今見ている彼女からの問いに「変化無し」と答える。

 

「そう・・・じゃあ、何かあったら連絡するわ」

 

『はい。では、気を付けてくださいね?陛下』

 

 ノエルからの無線を切ったマリは、被っている帽子を取って調べてみた。帽子に何かメモのような紙が挟まっており、それを取って書いてある内容を読む。

 

「”あんたにとっておきの潜入道具を渡しておく。被るとあんたの美貌は隠せる。あんたに惚れたファンより”これ・・・あいつじゃん」

 

 メモの最後に書かれた文章を見たマリは、この帽子をここの草原に置いた人物を、直ぐにガイドルフ・マカッサーと判断し、その男の事を口にする。

 上空に見える数機ほどの赤い星のマークを左右の主翼に付けたレジプロ機の航空機が目的地の方向に飛んでいくのを見て、街道に戻り、目的地へと再び足を進めた。

 先程の軍用トラックとは型が違うZIS-5と言う違うメーカーのトラックが、荷台に歩兵を乗せながら目的地に向けて走り去っていく。暫く通り過ぎていくトラックを避けて進んでいくと、第一の目的地である町が見えた。

 

「着いたね・・・」

 

 さらに遠くに見える要塞を見ながらマリは呟く。町の入り口に入ると、モシンナガンM1891/30小銃を持ち、腰に専用の弾帯を巻き付け、頭にヘルメットを被った兵士が彼女に声を掛けてきた。

 

「見ない顔だな。この町の親族の者か?」

 

 本来ならマリの美貌を見た男はにやついた笑みを浮かべながら声を掛けて来るが、帽子の鍔で顔が見えないのか、或いは帽子の効果で美貌が隠されているかである。

 

「(あの気色悪い笑みが無い・・・?)」

 

 声に出さずに思いながらマリは兵士が問いに合わせた。

 

「えぇ、親族を引き取りに・・・」

 

「そうか。なら、なるべく急いでくれ。ファシストの軍勢がもうすぐこの要塞に迫ってる。第一防衛ラインが奴らの戦車に軽々と破壊され、今第二防衛ラインの我が軍の戦車隊が必死に奴らを食い止めている。もうすぐここまで来ることだろう。早くしろよ。ここでの戦闘が始まる前に、早くお前達市民を避難させたい」

 

 真剣な表情で告げる兵士に、マリは女性らしい笑みを浮かべて答えた。

 

「分かりました。直ぐに親族を連れて出て行きます」

 

「そうしてくれ。市民を守りながらの戦闘はしたくない」

 

 最後に兵士が言うと、マリは町の奥へと向かった。

 通りは馬車や車に荷物を出来るだけ積んでこの町から疎開しようとする市民で溢れかえり、歩道を歩いていても、持てるだけ自分の荷物を持った人々で混雑している。

 町から疎開する人々を、整理するのは警官達であるが、人数が足りないのか、小銃や短機関銃を背負った兵士達まで整理に参加していた。

 彼等とは逆な方向へ進むマリは、次から次へと来る人を避けながら要塞へと進んで行く。やがて人混みを抜けると、要塞付近まで辿り着くことに成功する。

 警備の兵士が小銃に付いた紐を持ってそれを肩に担ぎ、二人組を組んで巡回していた。マリの姿を見るなり声を掛けてきた。

 

「避難勧告が出ております。民間人の方は早急にこの町から離れてください」

 

 町の入り口に居た先の兵士と同じ装備をしている兵士がマリに勧告するが、もう一人の兵士が笑みを浮かべながら割ってはいる。

 

「イーゴリ、きっとこのお嬢さんの恋人があの要塞に居るんだ。通してやれ」

 

「何、お前。同志要塞司令官殿からの命令では市民を要塞には入れるなと言う事だぞ?お前、何か変なことをこのご婦人にしようって言うんじゃないだろうな?」

 

「ち、違う!そんなやましい事なんてこれポッチも・・・」

 

「フン、まぁいい。丁度あそこに同志の女兵士が居る。あの女兵士にご婦人を送ってもらうか。おい、そこの同志!」

 

 一喝されたもう一人の兵士は口ごもり、一喝した兵士はたまたま通りかかった同じ軍服に略帽を被り、長い茶髪を後ろで留めた女性兵士に声を掛け、マリをその女性兵士に送ってもらうことにする。

 

「同志、勤務中に済まないがこのご婦人を町の外に案内してくれ」

 

「はい、分かりました。同志伍長殿。さぁ、こちらへ」

 

 この指示に、女性兵士はマリの前に立って伝える。彼女は何の抵抗もせずに応じ、同じ小銃を持った女兵士の後へと続いた。何故マリがそんな指示に従うかは理由があった。

 それは今前にいる女兵士から軍服を奪って変装して要塞に潜入するためだ。巡回する兵士から見えない距離にまで達すると、近くの4階建ての建物に入り、案内する女兵士を誘いの言葉を掛ける。

 

「あの・・・トイレに行きたいです。それに町の人達の噂で火事場泥棒をする人が居ると言いますし、怖いのでついてきて貰います?」

 

「はぁ・・・では、ついていきます」

 

 溜め息をつきながら女兵士はマリと共に建物に入った。

 女兵士は入るなり、誰か居ないか確認する為、声を上げる。

 

「誰も残ってはいませんか?お手洗いを借りたいのですが?誰も居ないみたいね。では、行きましょう」

 

 4階にまで聞こえる声量で問うが、返事が無かったので、勝手に借りることにする。

 先に女兵士が浴室にトイレを見付けて入ると、マリも一緒に入り、出入り口のドアを閉め、鍵を掛けた。

 

「さて、早く済ませて・・・何をして・・・?」

 

 突然自分の衣服を脱ぎ始めたマリに、女兵士は驚く。さらに帽子を取ると、女兵士の驚きはさらにました。

 

「一体何を考えて・・・それに・・・美しくなってる・・・!?」

 

 驚きを隠せない女兵士は肩に掛けてあった小銃を向けようとするが、マリの方が早く、腹に強烈な一撃を食らい、気絶した。

 

「軍服ゲット・・・」

 

 気絶させた女兵士に近付き、マリは彼女から軍服と装備をはぎ取った。

 服と着て装備も身に着けたマリは、自分の姿を鏡で見て潜入は駄目だと思う。

 

「なんか目立っちゃうかも・・・」

 

 顔を見ながら呟くと、気絶させた女兵士が持っていた化粧を取り出し、地味目に見えるようにメイクした。

 

「これで良し・・・」

 

 地味目になった自分の顔を見てマリは小銃を抱え、始めから持っていた鞄も肩に掛け、下着姿になっている女兵士に自分の衣服を着せると、建物を出て行った。

 軍隊手帳や身元を証明する物で、女兵士の名を知れば、要塞の出入り口まで向かう。要塞内部に入ろうとするが、検問の下士官に捕まる。

 

「おい、同志一等兵。任務はどうした?」

 

 目付きの鋭い大柄の下士官が、赤軍女性兵士に化けたマリに問い詰めてくる。この問いに対し、彼女は直立不動状態を取り、敬礼しながら答えた。

 

「ハッ!同志軍曹殿。マリーナ・ボドロフ一等兵、巡回任務を終了しました!」

 

 似合わない演技をしながら答える変装したマリに、下士官は彼女を要塞の中へと招き入れた。

 

「うむ、ご苦労。原隊の上官に報告せよ。同志ボドロフ一等兵」

 

「はい、ありがとうございます!原隊に戻り、同志大尉殿に報告します!」

 

 復唱すると、マリは要塞の対空砲や高射砲などが置かれた中庭を抜け、要塞内部へと潜入することに成功した。内部に入ったマリのまず始めに目が入ったのは、前線から運ばれてきた負傷兵が次々と治療室へと運ばれていく光景だった。

 

「大分迫ってるようね・・・」

 

 まだ戦える軽傷者が小銃や短機関銃を持ちながら壁を背にして座っているのを見て、小さく呟き、能力探知機である心臓を何処からか左手で出し、鼓動が強くなる方向を頼りに自分の能力を探し始めた。




次回は北方軍集団の場面を加えようかな・・・
それと第4装甲軍に属していた(過去形)Zbv勢の連中とRUSEのリヒター(ヒロシ将軍)も出さないとね・・・

後、追加で中断メッセージも書くかも?
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