復讐者の世界周り Weltdrehung des Rächers   作:ダス・ライヒ

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今更ながらの説明が入る・・・

この回はZEUS(ゼウス)参戦とアロンダイト様と白石様の募集キャラが参戦。
参戦づくしの回であります(笑)。
それと格ゲーと銃撃戦、超能力が行われるカオスな回・・・


氷の障壁

 武装探偵

 凶悪化する犯罪に対抗するべく新設された国家資格。略称して「武偵」とも呼ばれる。

 武偵免許を持つ者は武装を許可され、逮捕権を有するなど警察に準ずる活動が可能になる。

 しかしあくまで武偵は金で働き、金さえ貰えれば武偵法の許す限りどんな仕事でも請け負う「何でも屋」の側面がある。その武偵を育成する教育機関も存在する。

 東京武偵校を始めとしたニューヨーク、ウィンチェスター、ローマなど世界中に存在し、独自の学科を設けている施設の存在も確認できる。一般教育課程も履修しているが、学業の大半は武偵に関する授業である。

 武偵校から一般校への転入は一応可能だが、学力の低さと社交性のなさで転校先の学校を退学することが多く、若しくは転校先が嫌がって転入は認められない。

 出身者の大半は孤児院などの養護施設、貧しい家庭で育った者達で占められている。その為、東京武偵校では個人情報保護法8条の穴を利用して一度武偵校を退学させてから編入をさせている。もっとも、結局は武偵校に持ってくる場合が殆どだが。

 教育化もそれを見越してか、再受入の態勢を整えている。

 

 話は変わり、アドシアード当日となった東京武偵校。

 アドシアードは武偵校の学園祭のような物であり、物珍しさに来る観客で溢れている。受付の順番の中にマリの姿があった。観客の中には老若男女多彩だが、中には小さな子供までいる。

 

「結構混んでるわね・・・」

 

 受付に並ぶ三つの順番を見て呟く。今彼女が着ている衣服は一度武偵に拘束された事がある為、ワルキューレから余り目立たないようにしたのか、ブラウスとスカートを着込み、頭には白いピクチャーハットを被っている。

 数分もすると、ようやくマリの出番が来た。チケットを受け取り、武偵校内に入る。武偵の武の部分がつく為か、殆ど武器に関する出し物だ。

 暫く出し物を見て回っていると、見覚えのある髪型と小柄な少女が何処かへ向かっていくのが見えた。

 

「アリアちゃん・・・?」

 

 直ぐにその少女の後を追った。その様子を見ている怪しげな男が携帯をポケットから取り出し、何者かと連絡を取る。

 

「こちらカラス。”アリスは猫を追った”。繰り返す、”アリスは猫を追った”」

 

 何かを暗示している言葉を相手に伝えると、携帯を仕舞って何処かへ去っていく。一方、この連絡を受け取った人物は、学園島の何処かでニヤリと笑みを浮かべ、にやつきながら口を開いた。

 

「フッフッ・・・では、聖女の元へ参ろうか、諸君」

 

 白いタキシードと白いシルクハットを被った男マジェスティックプリンスは、杖を持ちながら後ろにいる黒いマントを羽織った部下らしき者達に告げ、その者達と共に移動を開始した。歩いて移動しており、隣から武装した集団が現れ、リーダーらしき人物が彼に近寄る。

 

「ヘッヘッ、王子(プリンス)の旦那。こちらの準備は出来ましたぜ。あの金髪の女、好きにして良いんだろ?」

 

「こっちも準備はOKだ・・・引き金を引きたくて指がウズウズしてるぜ・・・!」

 

 下品な笑みを浮かべながら問う黄色人と白人の男に対し、マジェスティックは紳士の態度で注意する。

 

「君達、仮にも相手は幾ら極悪非道とはいえ、美しいお嬢様だ。そのような下品な口調は止めたまえ」

 

「流石は旦那だ・・・では、俺は部下の配置をする」

 

「俺は位置(ポイント)に行って、目標の綺麗な顔を吹き飛ばすぜ」

 

 何処かへ去っていった武装した男達を見て、マジェスティックはやや不機嫌になる。

 

「何とも下品な傭兵達だ」

 

 不機嫌な言葉を吐くと、ポケットからタブレットを取り出し、標的であるマリの位置を探る。画面上に白く光っているマリの位置を見ながら歩いていると、ボンタンを履き、黒い短ランを羽織った以下にも不良な長身の男が、マジェスティックに近付いてきた。

 

「オイコラ。テメェ、なに見てんだぁ?」

 

「おぉ、これはミレニアム先輩。現在ターゲットである聖女の位置を確認している所です」

 

 玉座で会った時とは違った衣服を着ているミレニアムに対し、マジェスティックは先輩を敬う気持ちで問いに答えた。

 

「ほぅ、それで探すのか。じゃあ、とっとと締めに行くか」

 

 両手を鳴らしながら言うと、ミレニアムはポケットに両手を突っ込み、マリが現れる場所へと向かった。ミレニアムの後に続くように、多数のM2ブローニングを二挺装備した周りを装甲で覆った機械部と、下に馬のような脚を生やした月光と言う名の無人機が、飛びながら後へ続いた。

 その頃、ようやく追っていたツインテールにピンク色の髪の少女を捉えたマリは、手に持っている発信器を確認する端末に目を足られている隙に、少女を後ろから抱き付く。

 

「うわぁ!ちょっと、何よ!?」

 

 聞き覚えのある声色と言葉遣いで、直ぐに自分を逮捕したアリアと分かった。突然抱き付かれて暴れているが、全く解くことは出来ない。マリは自分の大きい胸をアリアの後頭部に押し付け、自分より30㎝程背が小さい少女に誰だかを問う。

 

「だ~れだ?」

 

「巫山戯るのも・・・大概にしなさい!」

 

 このじゃれ合いに怒ったアリアは身体を前に丸め、マリの右手を両腕で掴み、自分より大きい女性を投げた。だが、思いも知らずに投げられたマリは、即座に受け身を取って体勢を立て直し、アリアの目の前に立つ。

 

「あら、ちょっと酷いじゃない。アリアちゃん」

 

「煩い!あの時、なんで(あたし)の名前を知ってたのよ?」

 

 逮捕して連行中、携帯を取るように頼んだ際に「何故自分の名を口にしたのか」を問うアリアに対し、マリは笑みを浮かべながら答えた。

 

「生徒手帳見ちゃった?」

 

「生徒手帳!?いつの間に!」

 

「私に貴女が銃口向けてる時かな・・・?」

 

 いつの間に生徒手帳を見られた事に、アリアはさらに怒りを覚え、二挺の拳銃を抜こうとした。だが、それは機関銃の銃声で止められる。近くで銃弾が当たり、マリとアリアは距離を取り、拳銃を抜いて周囲を警戒する。

 

「今のは・・・!?」

 

 両手に大口径自動拳銃を構えて警戒するアリアは、チェコの自動拳銃であるCZ75を構えるマリに問う。

 

「多分あいつ等」

 

「あいつ等って・・・!」

 

 適当に答えたマリにアリアはあ然するが、飛んできた月光である程度理解できた。二人の前に月光が煙を上げながら着地し、その後からミレニアムやマジェスティックとマントを羽織った集団が現れる。

 

「おぉ、これは、これは・・・私、本名は言えませんがマジェスティックプリンスと申します」

 

 二人の目の前に立ったマジェスティックは頭を下げ、礼儀正しい挨拶をする。

 

「あ、あれがあいつ等・・・?」

 

「えぇ。見たことがない奴も居るけど、あれが奴らよ」

 

 挨拶をしたマジェスティックに対し、戸惑いながら問うアリアに、マリは答えた。

 

「ほぅ、少しは出来そうな奴だ・・・!まず俺が試してやる!」

 

 マジェスティックの後ろにいたマントの集団の中の一人が意気揚々と前に出て来て、今来ているマントを片手で脱ぎ取る。脱ぎ捨てられたマントから現れたのは、この世には存在しない生物だった。

 それは大きく裂けた口と鋭く並んだ牙以外人とは変わらぬ半裸の生物だ。これを見たアリアは今目の前にいる生物の存在が信じられないらしく、口を開けてただあ然している。

 

「な、なによ・・・こいつ・・・!?」

 

「おっと、失礼。彼は魔界の住人でね。その中でミュータントの遊牧民族である飢刃一族出身者だ。名前は・・・」

 

 あ然しているアリアに紹介するマジェスティックは、異形の存在である魔界の戦士の名を口にしようとしたが、その異形の存在が自分の名を口にした。

 

「バラカだ・・・よし、この俺様の相手は誰だ・・・?」

 

 バラカはマリとアリアを見ながら挑発する。この挑発に敢えて乗ったのは、マリであった。手にしていた拳銃をスカートに隠してあるホルスターに仕舞い、バラカに構える。

 

「ほぅ、素手で俺とやり合うつもりか?面白い。ズタズタに切り裂いてやる!」

 

 マリの挑戦を受けて立ったバラカは、同じく構えの姿勢を見せた。両名は構えたまま動かないが、先にバラカが動いた。

 

「先に動かないならこっちがやってやる!」

 

 拳を構えながら向かってくるバラカに対し、マリはただ構えているだけだ。

 

「(身構えるつもり?)」

 

 声に出さずにそう思ったアリアは、次に目線を目の前を塞ぐように並ぶマジェスティックを始めとした面々に向け、警戒している。バラカが右腕から鋭利な刃を出し、それでマリを突き刺そうとしたが、彼女の姿が突き立てる前に消えた。

 

「ン!?何処だ!」

 

 突如相手が姿を消したので、周囲を探すバラカであったが、その相手であるマリは自分の後ろに居た。

 

「おまぁ・・・!」

 

 振り返って言い終える前に頬を殴られ、吹き飛んだ。マリは瞬間移動を使って、バラカの後ろを取ったのだ。彼女の左手の甲に刻まれている紋章を目にしたマジェスティックは、直ぐにそれを理解した。

 

「あ、あれは・・・!”アウトサイダー”の・・・!?」

 

「あぁん?なんだお前、あの女の左手に付いてる刺青、分かんのか?」

 

 腕組みをしながら聞いてきたミレニアムに、マジェスティックは息を呑みながら答えた。

 

「あの左手の甲の紋章は、神と悪魔が混ざり合った存在であるアウトサイダーに会うことを許された証である紋章・・・!まさか・・・ここで見られるとは・・・」

 

「ほぉ・・・そのアウトサイダーって奴、俺より年下らしいな」

 

 説明をほぼ理解できてないミレニアムに対し、マジェスティックは敢えて無言を決め込む。起き上がったバラカは反撃に出ようとするも、追撃を掛けてきたマリに蹴りを入れられ、立つことが出来ない。

 

「畜生がーッ!!」

 

 叫んだ後、左腕からもう一本の刃を出し、マリに距離を取らせた。距離を取った彼女にバラカは突っ込んでくる。

 刃を突き刺されようとした瞬間、マリは身を屈んでバラカの腹にパンチを入れた。威力は強力であり、数秒間は怯んでいる事だろう。彼女はこの隙を逃さず、後ろへ回って強力な蹴りを入れた。

 

「ブワッ!」

 

 マジェスティックの前に蹴飛ばし、汚れた手をポケットから取り出したハンカチで拭き、次の挑戦者を目で探す。全員はマリの強さを見て、銃や今持っている武器を構えるが、ミレニアムが腕を鳴らしながら前に出て来た。

 

「ほぉ・・・面白れぇじゃねぇか・・・テメェどこ中だぁ?」

 

 睨み付けながら問うミレニアムに対し、マリは呆れた表情をする。

 

「あぁん?おい、どうした。答えろよ?」

 

「(こいつ馬鹿かしら・・・?さて、こいつはどうやって・・・)」

 

 内心目の前で睨み付けながら聞いてくる柄の悪い相手を馬鹿にしながら、彼女はどう倒すか頭を回転させる。だが、ミレニアムと戦うことはなかった。突如目の前に鋭利な刃が付いた山高帽が飛んできて、戦闘どころでは無くなる。

 

「なんだ!?」

 

 マジェスティックと後ろにいる者達は、突然の攻撃に辺りを警戒し始める。ミレニアムも途中で邪魔されたのか、周囲を睨み付け、舌打ちをする。

 

「一体何が起きてるのよ・・・!?」

 

 連続した非現実的な光景に声も出なかったアリアは、ようやく重たかったその口を開くことが出来た。コンクリートに突き刺さっているままの鍔の部分が刃の山高帽を、体格が戦士のような男が取り、山高帽を被った。

 次にロケットの発砲音が響くと、一機の月光が破壊され、ロケットランチャーらしき物を持つサングラスを掛けたドイツ人らしき白人の男が現れる。二人の男だけではない、他にも数人ほど様々な格好の男女が現れたのだ。彼等の姿を見たマジェスティックは動揺した表情をマリとアリアに見せ、口を開く。

 

「ま、まさか、奴らはZEUS(ゼウス)!?」

 

「ぜ、ZEUSだと!?」

 

「奴らもこの世界に!?」

 

 マジェスティックの後ろに居るマントの集団も、ZEUS(ゼウス)と呼ばれる者達の姿を見て、口々にその名を言い始める。アリアはさらに混乱し、マリは驚きを隠せないでいた。

 

「あ、あいつ等も・・・あんたの仲間・・・?」

 

「こんな奴ら、私・・・知らないわよ・・・!?」

 

 銃を下げたアリアからの問いに、マリは横に集まるただ者とは思えない臭いを放つ面々を見ながら答える。中央にロケットランチャー、アメリカのカールグスタフM2携帯式無反動砲を持ったグラサンを掛けた男が来ると、組織の者達が一斉にZEUSに視線を向けた。

 

「どうやら全員間に合ったようだ・・・」

 

「あぁ、一時はどうなるかと思った」

 

 さっきの山高帽を被った中国系の男が口を開くと、サングラスを掛けた男が答えた。持っていた無反動砲を背中に掛けると、腰にぶら下がっていたドイツの突撃銃HK G36を手に取り、マリとアリアに視線を向けた。

 

「お前達二人は先に誘拐犯の方へ行け。道の相手はそこの女一人で片付けられるほど簡単だ」

 

「はっ・・・?」

 

「ちょっと待って!あんた等一体何者よ・・・!?」

 

 サングラスを掛けた黒髪の男からの指示に、マリは呆然とし、アリアは男に何者かを問う。

 

「まぁ、”フリッツ・クリューガー”とでも言っておこう」

 

「テメェ等ぁ!先輩の俺を無視してんじゃねぇぞ!!」

 

 アリアに名乗ったフリッツに対し、ミレニアムは出て来た空間に手を突っ込み、何本かの竹刀を出すと、それをマリ達に向けて投げた。投げられた竹刀は即座に前に出て来た同じ茶髪のドイツ人が現れ、周囲にシールドらしき物を張り、弾かれた。

 

「テメェどこ中だコラァ!!」

 

 バリアを張って弾いた男に怒鳴り付けるミレニアムを見ながら、フリッツはマリとアリアに早く行くよう言う。

 

「さっさと行け!」

 

 その声に従って、マリは先行するアリアの後へと続いた。大人しく逃がすわけが無かったのか、マジェスティックが配下の者達に指示を飛ばす。

 

「に、逃がすな!手の空いている者は直ぐにマリを!!」

 

 マントを羽織った何名かと数機の月光が追撃を掛けてきたが、ZEUSの戦士達に妨害される。マリはアリアの後を追いながら後ろを振り返ると、自分達が離れたのと同時に組織とZEUSの戦いが始まった。

 全盛期と能力を失う前の自分ならあの中では最強だが、今の自分では全く太刀打ちできない。前を向き、先行する小柄な少女の後を追う。しかし、マジェスティックの用意した妨害が彼女等の足を止めた。

 

「来たぞ!撃ち殺せ!!」

 

 男の野太い声が聞こえた後、銃声が鳴り響き、先に行くアリアの足に銃弾が着弾し、少女が遮蔽物になるような場所へ飛んで身を隠す。敵の襲撃があるとフリッツから伝えられたので、マリは即座に拳銃を抜き、間抜けにも遮蔽物に隠れず、身をさらけ出したままアメリカの小型短機関銃MAC M10を撃ち続けている男を走りながら撃つ。

 銃声を上げてから発射された9㎜パラベラム弾は見事頭部に必中。男は短機関銃を撃ちながら死んだ。他の武装した男達も身をさらけ出したまま今持っている銃の弾丸が切れるまで撃ち続けている為、次々とマリに撃ち殺されていく。

 

「あんた・・・人を・・・!」

 

 遮蔽物で身を屈んでいるアリアは、数名を撃ち殺した後に自分の元へやって来たマリを睨み付けながら言った。

 

「あっ、そう言えばアリアちゃん武偵は殺しちゃ行けなかったんだっけ?でも、私は武偵じゃないから!」

 

 睨み付けるアリアにマリは答えると、身を出して残っている男達を全て撃ち殺した。弾奏の中身がまだ残っているか確認した後、少女の肩を叩いて遮蔽物から出た。

 

「そんなに甘いと死んじゃうよ?」

 

 先程全員射殺した死体から使えそうな武器を探しつつ、撃ち殺された死体を見て苛立っているアリアに告げた。ロシアのAKS74をさらに短くしたAKs74uを見付けると、それを手に取り、予備の弾奏も出来るだけ持ち、アリアに先に行くよう顎を動かして指示する。

 

「ふん!」

 

 苛立ちながらアリアは指示に応じ、追跡している人物を追うために先行した。先行するアリアに対し、近付いて武器を拾わないのかを問う。

 

「武器とか拾わないの?」

 

「私はこれがあるから良いの!」

 

 二挺のシルバーとブラックのコルト ガバメントを見せて答える。身を隠せる遮蔽物が多い場所へと着くと、目の前から身を隠していた男達が一斉に飛び出し、こちらに向けて撃ってきた。

 

「殺せ!」

 

 密造銃やクローンモデルの銃を撃ってくる男達の一人が叫び、銃を乱射してくる。即座にマリは手に持つ短い突撃銃で反撃に移り、アリアも殺さないように相手の銃を持つ手を撃って反撃する。

 

「グワッ!」

 

「うわっ!」

 

 一人は胸を撃たれて地面に倒れるが、もう一人は肩を撃たれて銃を手放す。前者がマリで、後者がアリアだ。

 自動拳銃や鈍器類を持つ男達は、雑多な小火器の支援を受けてマリとアリアが隠れる遮蔽物へ突っ込んでくる。しかし、遮蔽物に隠れずに撃っているので、あっさりと片付けられてしまい、突撃した男達も迎撃され、全滅する。

 

「これで全滅・・・?」

 

 空になった弾奏を外し、新しい弾倉に取り替えたマリは周囲を確認しながら呟く。周囲にて敵影と増援の気配が無いと判断したアリアは遮蔽物から出ようとするが、マリに首根っこ掴まれて遮蔽物に戻される。

 

「何すんのよ!?」

 

「敵の増援。しかもいつもの連中とは違う」

 

 引っ張ったマリにアリアは怒鳴ったが、進む先を指差す。指を差している方向を見てみると、AK用マガジンベストを身に着け、56式自動歩槍やAKM等のAK系統の突撃銃を持った複数の男達が見えた。

 動きは先程戦った素人の集団ではなく、兵士そのものであった。これを見たアリアはマリを見る。

 

「あいつ等・・・傭兵じゃない・・・!なんでここに・・・?」

 

「さぁ、あの白いアホが雇ったんじゃないの?」

 

 小柄の少女の方を向いて答えたマリは空の弾倉を掴み、先行している傭兵に向けて投げ込んだ。

 

「なんだ?」

 

 日本語でない言語で言った傭兵は、弾倉が投げ込まれた方向へと向かう。その隙を見て、アリアの肩を叩いて次の遮蔽物に移動する。先行している男以外の傭兵は、先程の銃撃戦でまだ息のある者達のトドメを刺しており、全くマリとアリアには気付かなかった。

 遮蔽物に身を隠したマリは先行した傭兵が持っている旧ソ連の小口径突撃銃AK74を見て、奪おうと考える。アリアに待つよう告げた彼女は、身を屈めながらAK74を持つ傭兵まで静かに近付く。瞬間移動を使って徐々に距離を詰め、ポケットから取り出したポケットナイフを持ち、背中のサスペンダーを掴んでコンクリートに強制的に座らせ、ナイフで喉を掻き斬る。

 

「ゲット」

 

 AK74を入手した彼女はさらに数本の専用弾倉を入手し、手に入れたばかりの突撃銃の安全装置を外し、単発にセレクターを合わせ、自分達を探している傭兵の頭に照準を合わせて引き金を引いた。狙われた傭兵の頭に穴が開いて倒れると、銃声に気付いた傭兵達は直ぐに遮蔽物に身を隠して警戒態勢に入る。

 

「敵の攻撃だ!」

 

 フィリピン語で叫んだリーダーらしき人物は全員に聞こえるように叫び、ハンドサインで指示を出す。未だに身を隠しているアリアは自分の得物の残弾を確認し、出るタイミングを計っている。暫くすると、傭兵達は標的の探索を始めた。

 

「見付け次第撃ち殺せ!死体でも結構な値段だ!!」

 

 リーダーが指示を飛ばせば、傭兵達は四人一組となり、各々の死角をカバーしつつ探索を行う。ついでに手に入れた旧ソ連のRGD-5破片手榴弾の安全ピンを外し、レバーを外して一番近い組に投げ込む。

 

「手榴弾!!」

 

 投げ込まれた手榴弾に気付いた傭兵達は散会したが、一人が間に合わず、爆発で飛ばされた破片で死亡する。この隙に、爆発で足を止めた組を全員マークして、一人ずつ頭を撃つ。

 

「あそこだ!あそこに居るぞ!!」

 

 見付けた傭兵が叫ぶと、全員がマリに向けて一斉に攻撃し始める。直ぐに身を隠し、銃弾を避けた。

 

「出てこい!」

 

 自分が隠れている場所を傭兵達が銃撃している間に、相手側から見えないよう屈んで移動し、無駄弾を使わせた。アリアも反撃に出ようとするが、瞬間移動で近付いてきたマリに肩を叩かれ、撃たないよう指示される。その間にリーダーがハンドサインで何名かに接近するよう指示を出す。

 軽機関銃などで掩護射撃を受けながら五名の傭兵がマリとアリアに気付くことなく、先程隠れていた場所に銃口を向けた。居ないと分かったのか、大声で撃つのを止めるよう指示するが、彼女はそこが狙いであったのか、連発に切り替えたAK74の銃撃を食らって全滅する。

 

「居たぞ!」

 

「撃てぇ!」

 

 流石に発見した傭兵達が、一斉にマリとアリアが隠れている場所へ銃撃する。凄まじい一斉射撃で牽制されている為、まともな反撃が出来ず、ここに押し留められた。さらには紛争地でよく見掛ける対戦車ロケットランチャーRPG7を持った傭兵まで現れた為、アリアは頭を抱えつつマリに問う。

 

「どうするのよ!?」

 

「貴女はそこに居て!あたしが全部やっつける!」

 

 最後の手榴弾を敵が密集している場所へ投げ込んで、銃撃をある程度減らし、瞬間移動で 別の場所へと移動した。アリアの居る場所へRPG7を撃とうとする傭兵に照準を合わせ、引き金を引いた。撃たれた射手は地面に倒れ、瞬間移動で一気に傭兵達の近くに接近し、その場にいる傭兵達を次々と撃ち殺していく。

 弾倉の中身が切れると、スカートのホルスターから拳銃を引き抜き、残弾の限り敵を撃つ。ある程度の敵がマリの銃撃で倒れると、遮蔽物からアリアが飛び出し、残った敵を無力化する。

 

「うわぁ!」

 

 最後にマリを撃とうとしたリーダーに体当たりし、倒れている頭に銃口を向け、右手に手錠を掛けた。

 

「おぉ、やるぅ~」

 

 傭兵のリーダーを無力化したアリアを見て、マリは小柄な武装探偵を褒め、パチパチと二回手を叩いて小さく拍手した。普段のアリアなら怒っている所だが、初めて戦ったベテランの傭兵に勝利した事で少し嬉しかった。

 傭兵に手錠を掛けた後、マリは弾薬補充を終え、端末をポケットから取り出し、追跡している標的の位置を確認すると、倉庫群がある方向へと向かった。妨害は続いていたのか、走っている最中に前を走っているアリアの足下に銃弾が当たり、跳弾する。

 

「今度は狙撃!?」

 

 下を蹴って車芸物に身を隠したアリアは、狙撃手に狙われている事を悟る。これを聞いたマリは「狙撃銃でも持ってくるべきだった」と後悔するのだが、その狙撃手が大声で叫んで撃ってくれたので特定は出来た。

 

『クソクソクソクソ!!どうして避けやがるんだ!!』

 

「あいつ・・・」

 

「馬鹿ね」

 

 狙撃手とは思えないくらい叫んでいる男に、アリアが呆れて言葉を言うと、マリは冷静に相手をただの”馬鹿”と判断する。彼女等の言うとおり、この男はとても狙撃手には向かない男である。

 

「クソッタレ・・・!どいつもこいつも俺を馬鹿にしやがって!」

 

 ブツブツとアメリカの自動小銃M14の狙撃モデルであるM21狙撃銃の弾倉をブツブツと呟きながら交換している男の名はブローニング・マーカス。

 驚くことに元アメリカ海兵隊の「コマンドD」と呼ばれる特殊部隊の一員であった男である。

 特殊部隊員どころか選抜狙撃手には絶対に向かないトリガーハッピーであり、おまけに初弾を外せば激しく感情を高ぶらせ、何度も引き金を引き始める。

 それに反して、格闘技、爆薬、アジア圏の語学に精通しており、湾岸戦争では四十六名のイラク兵を殺害した。

 今は殺し屋などの家業を行っているが、プロとしてのプライドを傷付けられると、激しく感情を高ぶらせ、トリガーハッピーとなる。

 ブローニングは弾倉をM21の取り替えると、次の狙撃地点へ移動した。あの男からの狙撃が来ないことを確認したのか、マリとアリアは次の遮蔽物へと移動を開始する。目的地である火薬倉庫まで向かおうとしたが、傭兵達の攻撃で止められた。

 

「また傭兵!?」

 

『野郎共!出来るだけ生かしておけよ?!後で楽しむんだからな!!』

 

 マリとアリアを攻撃する傭兵達のリーダーの男が、よからぬ事を混ぜて部下に指示していた。しかしこのイスラエルの短機関銃ウージーを持った日系のリーダー、周りの多彩な多国籍の傭兵達とは違ってかなりの小物集がする。

 その男の名は秋葉安治(あきば・やすじ)、根っこからの大悪党どころか鬼畜であり、十四歳の時に両親を殺害し、実家を放火して逮捕され、少年院へ収容されるが、看守を殺害して脱獄した。

 名前を変えて陸上自衛隊に入るが、目標だったレンジャー資格はその正確と態度の所為で取れず、同じ境遇の仲間と一緒に凶漢を殺害し、レンジャー資格を奪い取り、あたかも自分がレンジャーの資格を取ったかのように周りで自慢する始末。自衛隊を脱走した後、暴力団を立ち上げ、数々の殺人や強姦を行う。

天罰が下ったのか、警察の一斉検挙で組は壊滅したが、悪運が強かったのか、秋葉は仲 間と共に国外へ逃走し、フィリピンの山奥で陣地をこしらえ、金で雇った傭兵達と共に相変わらず鬼畜の所行のみならず誘拐や麻薬売買まで行っている。日本に仲間達を連れて帰ってきたと言うことは、マジェスティックに雇われたのだろう。

 

「ヒッヒッ!まぁ、じっくり楽しんだ後は剥製にでもしてやろうかな~?」

 

 薄気味悪い笑い声を上げた後、下品な表情を浮かべて秋葉は後のことも考えを口に出し、数名と仲間と共に去っていく。かくして、マリとアリアは危険な二人と戦うことになったが、倉庫でこれから戦うことになるあるフランスの英雄の子孫である美しき戦士と同じ氷使いの戦士である兄弟に助けられようとは思いもしなかった。

 

『フッハハハハ!死ね!死ねぇ!!』

 

『さっさと脚でも腕でも撃ってよ!先に無力化した奴には一発やらせてやるからよ!!』

 

 叫びながら撃ってくるブローニングと全く戦闘せず、ただ指図ばかりする秋葉に攻撃される二人は着々と追い詰められていた。

 

「アリアちゃん、私がこいつ等を引き付けるから!その間に目標の場所に!」

 

「分かったわ!あんた、絶対に死なないでね!」

 

 マリはアリアだけ目標の場所へと行かせることにし、少女と共に遮蔽物を飛び出した。

 

「馬鹿が!」

 

「自分から的になりたいってか?!」

 

「ズタボロにするんじゃねぇーぞ!!」

 

 飛び出した二人を見た傭兵が第一声を言えば、次にスコープを覗いているブローニングが言って、最後に秋葉が無線機を使って指示を出した。遮蔽物から身を出して攻撃してくる傭兵を倒しつつ、目的地である火薬庫まで向かうマリとアリア。

 ブローニングと傭兵達が彼女等を仕留めようと銃を撃ってくるが、トリガーハッピーの男は連射しすぎて外し、傭兵達も走る標的には中々当てられない。遂に目的地まで来ると、先にアリアを入れ、マリは自分だけ正面に立って、そこでバリケードを築いて追撃を掛けてくる傭兵達を迎撃した。

 

「どれだけ居るのよ・・・!」

 

 弾倉を交換しながら悪態付くマリであったが、敵は無限のように増殖するが如く自分の隠れる場所へ銃撃を加えてくる。さらにはブローニングの無茶苦茶な狙撃もあるため、正確な射撃が出来ないで居た。飛んでくる手榴弾は投げ返し、バリケード内に出来るだけ数を減らす。

 だが、次の対戦車ロケットランチャーによる攻撃で吹き飛ばされてしまう。安全が確保されたのか、秋葉が配下の仲間や傭兵達を率いて自ら赴いてきた。堅いコンクリートの上に横たわるマリを狙撃しようとするブローニングは、唇を舌で舐めた後、引き金を引こうとした。

 

「この女の身体に銃弾をぶち込んでやるぜ・・・!」

 

 引き金を飛行とした瞬間、ブローニングは気配もなく寄ってきた青と黒のツートンカラーの男に銃ごと凍らされた。

 

「なんだ・・・?スコープが凍って・・・?」

 

 ブローニングが言い終える前に完全に凍らされて動けなくなってしまった。完全に凍った状態になると、凍らせた本人であるサブゼロが近付き、強力な蹴りをブローニングに叩き付けた。結果は氷を強い力で割ったときと同じく、ブローニング・マーカスは氷の如くバラバラになった。

 他の狙撃手達も同じくサブゼロに倒されており、凍った銃と氷付けにされた肉片となってただ溶けるのを待つだけである。最後の一人であるブローニングを倒したサブゼロは、もう一人の”サブゼロ”が傭兵達を次々と倒しながらマリに接近しているのを、ただ仕留めた男が居た倉庫の上から見ていた。起き上がろうとするマリに接近する秋葉は、そのもう一人のサブゼロに部下諸共仕留められことは全く知らない。

 

「いい女じゃねぇか・・・まずは俺が味見を・・・!」

 

 嫌らしい笑みを浮かべながら向かってくる秋葉に銃を向けようとするマリであるが、余りにも取りづらい場所にあるので間に合わず、向かってくる男が出したコルト・ローマンと呼ばれるアメリカの回転式拳銃で右手と右腿の間を撃ち、銃から手を離させる。

 

「ヒッヒッ!大人しく俺にレイプ・・・」

 

「ぼ、ボス・・・」

 

 舌をなめずりながら言い寄ってくる男が言い終える前に、仲間と部下達が声を上げた。

 

「ん、どうした・・・って、お前等・・・何で凍って・・・?」

 

 凍る部下達を見た秋葉は怖じ気づき、左手にウージーと右手に回転式拳銃を構え、残った部下達と共に周囲を警戒する。凍った部下達の中から出て来たのは先程秋葉の部下達を倒しながら現れたサブゼロだ。彼の姿を見た秋葉は二挺の銃を向け、左右にいる部下四名に聞くかのように口を開く。

 

「こ、こいつ・・・忍者か・・・!?」

 

 しかし、その服装は忍者に似せただけの物だった。

 まだ残っていた傭兵がサブゼロの背後から銃を撃ったが、彼は銃弾を凍らせ、凍気で銃を撃った傭兵を凍らせる。次にトマホークを持った傭兵が斬り掛かるも、見事なまでの格闘技で呆気なく倒された挙げ句凍らされ、右と左から斬り掛かってきた傭兵二人は氷で作った刃で斬り殺された。

 

「撃ち殺せ!」

 

 秋葉の指示で仲間と部下達が銃をサブゼロに向けって一斉射撃を放つが、彼は舌に手を当てて氷の壁を作り、銃弾を防いだ。

 

「ば、化け物だ・・・!」

 

 仲間の一人が下がろうとしたが、コンクリートを凍らせてスピードを上げて迫るサブゼロに捕まり、臓器を凍らされた挙げ句、頭突きを食らって死亡する。恐怖の対象が一番近くに来たことに驚いた秋葉達は銃を向けるも、サブゼロに銃を触れられて凍らされてしまい、ナイフで戦う羽目になる。

 

「死ねぇ!」

 

 一人がナイフを振り下ろそうとするが、呆気なく避けられて凍らされ、次の男も凍らされる。

 

「ぬぁぁぁぁ!!」

 

 叫びながら斬り掛かってくる男に対しては、強烈なアッパーを食らわせて頭部を丸ごと吹き飛ばした。最後に残った部下は怖じ気づいて逃げようとするが、身体を凍らされ、サブゼロに上げられて上半身と下半身を分断された、凄まじい血飛沫が上がる中、秋葉は失禁した挙げ句に、恐怖でこの場から動けなくなる。

 

「う、うわぁ・・・た、頼む!命だけは・・・!」

 

 命乞いを始める秋葉であったが、今まで行ってきた鬼畜の所行で許されるはずもなく、サブゼロに素手で首を突き刺される。

 

「ハァァ!!」

 

 思いっ切り力を入れて頭蓋骨ごと脊髄を抜き、惨たらしい死を鬼畜に与えた。さらにサブゼロは秋葉の脊髄を鈍器代わりに使って、凍っていた鬼畜の部下二名に叩き付け、バラバラにした後、脊髄を捨てた。一連の出来事を見ていたマリは、ただ立っていることしか出来なかった。

 

「(こ、こいつ・・・何者・・・?)」

 

 気付かれない内に立ち上がり、アリアが入った倉庫に逃げようとしたが、逃げ道は氷で塞がれてしまう。逃げ道を失ったマリは立ち上がり、CZ75をサブゼロに向けて立ち向かうことにした。銃を構える彼女を見たサブゼロは感心し、冷気を吐きながらマリに告げた。

 

「ほぉ・・・それなら説明は不要だな。では、マリ・ヴァセレート。貴様の実力を図らせて貰おう」

 

 背後からもう一人のサブゼロが現れ、後ろに立って、マリと対峙しているもう一人に加勢しようとする。

 

「兄さん。僕も加勢しようか?」

 

「いや、その必要はない。追ってきた雑魚の始末を頼む」

 

「分かった」

 

 もう一人の弟であるサブゼロの加勢を断ると、弟は追撃を掛けてきた組織が送り込んできた月光と、雇われた者達の排除に掛かった。後方で戦闘が始まる中、兄であるサブゼロは銃を構えるマリに向けて言う。

 

「これで私とお前だけだ・・・」

 

「二人掛かりでやらないの?」

 

 余裕の表情を見せながら問うマリに、サブゼロは鼻で笑ってから答える。

 

「フッ、弟も私並みに強い。では、その実力、図らせて貰うぞ!」

 

 下のコンクリートを蹴って向かってくるサブゼロに、マリは照準を向かってくる男に合わせ、引き金を引いた。




FATALITY・・・!

募集されたキャラをたった一話で二人も殺す作者・・・

今回の中断メッセージは、ネタが浮かばないので無しです。
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