復讐者の世界周り Weltdrehung des Rächers   作:ダス・ライヒ

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これで、完結。なのはさんが居れば、管理局は勝てたんや・・・

今回は銀英伝みたいになったり・・・

それとsakuraさんの現在執筆中の黒鉄の騎兵隊 ― die schwarzen Husaren ―から主人公、ザシャ・テーゼナーさんの登場です。


サザーランドの戦い 後編

 地上の戦いで大敗を喫した時空管理局であったが、宇宙では未だに大規模な戦力相手に、頑な抵抗を続けている。

 乱戦に持ち込まれ、状況を打開できるアルカンシェルも撃てず、さらには旗艦も撃沈され、恐慌状態に陥ったが、代理の指揮官が優秀で、その手際の良さに救われたのか、体勢を立て直して、乱戦状態からの脱出の機会を待ちながら戦い続けていた。

 ワルキューレ側の早急に事態を収拾する為、余りに余った艦艇で幾度も攻撃を仕掛けたが、反って戦闘を長引かせるだけだった。長期戦を望まないワルキューレ側は、移乗攻撃を戦闘を行っている艦艇全てに発令した。

 移乗攻撃とは、敵艦に戦闘員を乗り込ませ、敵艦の船内で白兵戦を行い、拿捕または鹵獲する戦術である。

 直ちに戦闘員や最強兵科の一つである装甲擲弾兵を乗せた艦艇では、強行移乗部隊を一番近い敵艦に乗り込ませる準備をしていた。

 

「よし、手近な敵艦に張り付いて、戦闘員を移乗させろ!」

 

 乱戦状態で出られずにいる巡洋艦の艦長は、手近にいた次元航行艦船に張り付くよう指示した。操艦手は言われたとおり、弾幕を張る敵艦に強引に張り付く。船内が震動で揺れる中、複数の強行移乗用タラップが、敵艦の船体に突き刺さる。

 突き刺さって、相手の艦へ乗り込めるようになると、タラップの近くで待機していた中世ヨーロッパのような甲冑を身に纏い、狭い船内でも扱いやすくする為か、ブロードソードや投斧を持った集団が待機している。

 彼等の後ろには、銃身が短い銃器を持った戦闘員達も待機していた。

 

「総員、敵艦に移乗せよ!」

 

 一番前に立った剣を持った隊長が、タラップへ向けて突撃すると、全員がその後へ続いた。あっさりと侵入を許した次元航行艦船の乗員達はデバイスを持って迎撃に当たろうとするが、撃つ間もなく接近され、刀剣や斧で切り裂かれる。

 装甲擲弾兵が持つ接近用の武器は特殊な合金で出来ており、容易に骨すら切断するほどの切れ味を持つ。例え局員達がバリアジャケットと呼ばれる魔法の防具を身に着けていても、装甲擲弾兵にとっては簡単に切れる紙のような物だった。

 

「ひっ、ヒィィィ!!」

 

 斧で真二つにされた武装局員を見て、恐慌状態に陥った女性乗員が滅茶苦茶に拳銃型デバイスを撃ちまくるが、装甲擲弾兵には一切通じず、斧で首を両断され、血飛沫を上げながら床へ倒れる。

 彼等が通った後は、死体や首、手足、内臓にまみれ、通路は血で真っ赤に染まっていた。血で水浸しになった床を、巡洋艦から乗り込んできた戦闘員達が足を踏み入れていく。着々とブリッジへと装甲擲弾兵達が進む中、局員と乗員達は彼等を迎え撃つため、バリケードを築き上げ、迎え撃つ準備をする。

 移乗部隊はバリケードが築かれることぐらい知っていたが、敢えて彼等は突撃した。

 

「うおぉぉぉ!!」

 

 斧を持った装甲擲弾兵がバリケードの張られたブリッジ前に突撃するも、待ち伏せていた局員達の攻撃で蜂の巣になり、全身から夥しい血を撒き散らしながら絶命する。何名かが突っ込むも、装甲を貫くほどの射撃魔法を受け、先の装甲擲弾兵のような死体を増やすだけであった。

 流石に遮蔽物となる壁に隠れ、銃器を持つ戦闘員達に、手榴弾を投げるよう指示する。手榴弾を投げるべく、MP5A5短機関銃やHK53突撃銃、ベネリM4散弾銃を持つ戦闘員達が、一斉に銃を撃ち始める。何十発もの弾丸が放たれ、局員達は身を屈め、銃弾から自分の身を守った。

 敵が撃ってこなくなったのを確認した手榴弾を持った兵士が敵の立て籠もる場所へ、手榴弾を投げられるだけ投げた。局員達は元々投げ込まれた手榴弾など想定していなかったのか、投げ返すことなく、その場から逃げようとしていた。頭を出せば、銃を持った兵士達に撃ち殺され、退路はブリッジだけになる。

 逃げようと思っても間に合わず、手榴弾は爆発し、最後の砦を守っていた局員達は肉塊へと変わった。防衛戦を突破した移乗部隊はブリッジへ傾れ込み、その場に居た者達を手当たり次第に殺していく。

 

「や、やめろ!ガッ!?」

 

 抵抗の意思を見せない乗員が居たが、興奮状態の装甲擲弾兵には届かず、斧を振りかざされ、斬殺される。銃を持つ者達は目に見える者を手当たり次第に撃って射殺し、接近用武器を持つ者達は、手当たり次第に斬り殺す。

 

「うわぁ・・・ま、待て・・・!話を・・・!うわぁぁぁ!」

 

 艦長も降伏の意思を見せたが、目の前に集まってきた狂戦士達に八つ裂きにされた。

これで、ブリッジで動いているのは装甲擲弾兵と随伴した艦内戦闘員達だけだ。元々の乗員達は皆ブリッジの床で無惨な形となって倒れている。返り血まみれの指揮官は、無線機を取り出し、他の箇所の制圧に向かった移乗部隊と連絡を取る。

 

「こちらアボルタージュ。スイロス、レバント、そちらはどうだ?」

 

『こちらスイロス、機関室を制圧した』

 

『こちらレバント、移住区を制圧』

 

「よし、これでほぼ艦内は制圧だな。降伏勧告を出して完全に船を物にする。降伏に応じなければ、皆殺しだ」

 

『了解』

 

 無線機から返答が聞こえると、指揮官は無線機を切り、艦内放送室へと向かった。

 こういった移乗攻撃が行われたが、効果は薄く、十隻以上を拿捕しただけであった。

 移乗攻撃を続けても、お互いに沈んだり、逆にやられてしまう艦艇が出て来たため、帰って長引かせるだけなので、強引に乱戦を解いて、包囲陣形を取り、やって来た増援部隊に後始末を頼んだ。

 

「なんだ、敵が退いていく・・・?追うなよ!返ってやられる」

 

 代理の旗艦をしていた提督代理は、強引にも乱戦状態を解いて、捕縛した味方艦艇を引き入れて包囲陣形を取るワルキューレの艦隊を見て疑問に思い、他の艦隊が追わないよう注意する。

 

「気になるな・・・損傷した艦艇の修復と編成を急がせろ。それにアルカンシェルのチャージも急げ」

 

「敵艦隊を殲滅して、惑星に降下して制圧するのですか?」

 

「馬鹿者、一点突破を図り、退路を開いて撤退だ。これ以上の戦闘は犠牲者を増やすばかりで、時空管理局の戦力を徒に減らすだけだ。分かったらさっさと仕事に集中しろ。死にたくなければな」

 

 細かい指示を出した後に、聞いてきた自分の近場にいる通信手に怒鳴り付けた。命令執行不可と悟り、撤退を優先する提督代理であったが、これから起こる自分等にとって惨劇は予想できなかった。

 何故なら、管理局の頭上、それもレーダー範囲外に揚陸艦と軽空母が待機しているからだ。既に艦載機は発進しており、真下の管理局の艦隊へ進んでいた。それに気付かず、提督代理は元来た道へと回頭し、アルカンシェルの照準を定める。

 

「照準完了!」

 

「よし、撃てぇ!」

 

 先頭にいた艦艇がアルカンシェルを撃とうとした瞬間、頭上からの対艦ミサイルで撃沈した。

 艦艇に直撃を食らわせて撃沈したのは、全長15m程の戦闘機だ。

 戦闘機の名はVF-4ライトニングⅢ。戦闘機形態のファイター、ロボット形態のバトロイド、両者の中間であるガウォーク形態の三形態に変形するバルキリーと呼ばれる機動兵器だ。タイプは艦上機のD型。

 数は五十機程であり、VF-4は散会しながら艦隊の中央へと突っ込み、管理局の艦隊に襲い掛かる。

 

「クソッ!中隊長、他の隊に獲物が!みんな盗られて昇進や転属どころの話じゃないですよ!」

 

 一人のパイロットの青年が、他のバルキリーが次々と艦艇に襲い掛かり、沈めていくのを見て焦り始めていた。それに対し、上官である女性中隊長が宥める。

 

「落ち着け、アビーク!獲物はまだ残っている!」

 

 男口調で宥めながら、中隊長は他の隊にまだ襲われていない艦艇にロックオンし、対艦ミサイルを発射するボタンを親指で押した。発射されたミサイルは中央に命中し、命中した箇所から火が噴き出す。

 

「敵艦大破。喋ってる間にも、獲物は捕られていくぞ。分かったらまだ誰にも喰われていない獲物を見付けろ。そうでなければより高見へは行けないぞ」

 

「りょ、了解です!中隊長殿!」

 

 さらに中隊長は敵艦にトドメを刺した後、ツチラト・アビークと呼ばれる青年に活を入れ込んだ。アビーク機は対空放火のような物で弾幕を張る次元航行艦船に、同じ小隊の僚機と共に接近する。

 各VF-4が管理局の艦艇に襲い掛かる中、対空砲を軽やかにかわす天才的操縦技術を持つパイロットが乗った攻撃機が居た。そのVF-4は、最初にアルカンシェルを撃とうとした艦船を沈めた機であり、機首には愛らしいヒヨコのエンブレムが描かれている。

 艦船のピンポイントを捕捉し、対艦ミサイルを撃ち込んで一撃で沈める。真二つに割れた艦船の間から通り過ぎ、次の艦艇へ矛先を向ける。ブリッジがある辺りに照準を向けてミサイルを放ち、一発を命中させた。

 艦船は未だに対空砲火を止めなかったが、後続の攻撃機のミサイル攻撃を受け、火を噴きながら沈んだ。

 

「すげぇ・・・なんでヒヨコ隊長は第2中隊所属でH小隊隊長なんだ?あの腕ならA小隊に楽々行けるぞ・・・」

 

 何発かのミサイルを叩き込んでようやく一隻を撃沈したツチラトは、”ヒヨコ”と呼ばれたパイロットの腕前を見て、疑問に思う。ヒヨコは彼が言う通り隊長であり、傘下の三機の腕前はヒヨコよりさらに劣っており、お世辞にも余り操縦技術は高いとは言えない。

 ツチラトが見取れている間にも、管理局の艦艇はヒヨコの手に掛かって次々と沈められていく。その活躍ぶりは、次元航行艦船を包囲して痛めつけている友軍部隊のVF-4より遙か上だ。

 

「ザシャ・テーゼナー少尉・・・何故、昇進を蹴る?その才能を生かそうとは思わないのか?」

 

 次々と艦船を沈めていくヒヨコことザシャの活躍ぶりを見て、声も届かない相手にシャロンと呼ばれる女性中隊長は問う。この間にも、管理局の艦艇は次々と火に包まれ、護衛機を持たない艦隊は次々と宇宙の塵となり、デブリと化した。

 艦内に穴が開いて、宇宙に放り出された乗員の姿もあちらこちらに見え、流れ弾に当たって肉塊となる。攻撃を受ける管理局の艦船の艦内では地獄絵図が広まっていた。

 

「か、母さん・・・!母さん・・・!」

 

 炎に包まれた艦内の廊下を、下半身を無くした乗員が、脱出手段がある場所へと内臓を引き摺りながら這いずって向かおうとしている。周りには、全身に炎を纏って悶え苦しんでから死ぬ者や、両目をやられてあらぬ方向へと進む乗員の姿もあった。

 艦内は死体と炎に溢れ、やがてはトドメの攻撃を受けて沈んでいく。次々と沈み行く味方の艦を見て、白旗を掲げて降伏する艦も続出した。

 

「損害に構うな!前進だ!一点突破してこの宙域から脱出するんだ!!この船を殿に・・・」

 

 提督代理が伝え終える前に、自艦にも攻撃が命中した。複数のVF-4が対空砲火を避けながら提督代理が乗る大型艦船を集中的に攻撃し、痛め付ける。

 

「敵機、我が艦隊に取り付いています!」

 

「我に構うなと通達しろ!脱出に専念しろとな!」

 

 自分を犠牲にしてでも、味方の艦隊の脱出を優先する提督代理であったが、ブリッジ近くに攻撃が命中し、一部の機器が爆発して、それを操っていた乗員達が死傷した。提督代理も飛んできた破片をまともに受け、致命傷を負おう。

 

「提督代理!急いで医者を呼べ!」

 

「み、味方は脱出したか・・・?」

 

「はい、七十九隻程が脱出に成功!残りは全てあの質量兵器やビーム兵器の攻撃で沈みました・・・」

 

「そうか・・・」

 

 副官からの報告を受け、不敵な笑みを浮かべた後、提督代理は吐血しながら、副官に次の命令を出す。

 

「降伏だ・・・!我が艦も逃げ切れなかった艦船と共に降伏する・・・」

 

「降伏ですか?まだ抵抗を続けている船をあるのですよ!?」

 

「これ以上の戦闘は無意味だ・・・徒に死人を増やすだけで、奴等に点を稼がせる事にしかならん・・・白旗を掲げるのだ・・・ゴフッ!」

 

「機関停止!射撃止めぇ!我が艦は降伏する!!」

 

 言い終えた後に提督代理が吐血した後、副官は忠実通り命令を遂行する。最後まで抵抗していた艦船が群がっていたVF-4の攻撃によって沈むと、宇宙における戦いは終結し、サザーランドにおける戦いは完全に終結した。

 この戦いで、両軍は多大な死傷者を出し、サザーランド衛星軌道上に多数のデブリ群を作り上げた。地上の損害も凄まじく、完全なる復興には多大な時間と労力が費やされる結果となる。

 

「ふぅ~、終わった。まぁ、俺等にとっては一日だけど」

 

 戦闘が完全に停止したのを見て、ツチラトは周囲を見渡し、操縦機器から手を離して、コクピット内で背伸びをする。

 彼も含めてVF-4が母艦へ戻っていく中、ザシャ・テーゼナーと呼ばれた小柄な女性パイロットは、キャノピー越しから見える周囲に浮かぶ残骸と死体を見て、吐き気に襲われ、他の艦載機と共に母艦へと帰投する。

 ワルキューレの艦隊は工作艦を投入し、損傷した艦艇の修理や回収をさせた。駆逐艦や護衛艦も投入して、降伏した管理局の艦艇の接収を行わせる。一方、逃げ去った管理局の艦隊は、追撃を受けながらも次元航行で脱出に成功し、追撃を振り切った。

 こうして、サザーランドの戦いは幕を閉じたが、別の領内の惑星では、大規模な叛乱が巻き起ころうとしていた。




ヒヨコッ!それは鶏が生んだ卵から孵った鶏のヒナ鳥ッ!!

前編と中編とは違って、今回は短め・・・

次週辺りも戦闘をおっぱじめるつもりです。

※攻撃機とジムⅡ、ジムⅢをVF-4ライトニングⅢDに変更。

~今週の中断メッセージ~

しばらく休止のお知らせ。「慌てるな、孔明の罠だ」

キバオウ「なんでや!」

ビッテンフェルト「なにぃ!?」
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