復讐者の世界周り Weltdrehung des Rächers   作:ダス・ライヒ

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野々村議員「あァァァンまりだァァああァ~!」


模擬戦闘。

 移動している間に、戦術機の操縦方法のコツを掴んだマリは、演習場に到着するなり手足をブラブラさせる動作をF-15E(ストライク・イーグル)で行う。

 一方のシューベリアはラファールを余り満足に動かせてないようで、F-4と呼ばれる戦術機に抱えられながらも、なんとか演習場へと辿り着いた。

 

『それでは、模擬戦開始前にある程度の操作に慣れて下さい』

 

 オペレーターの水城マナから指示が来る。指示に応じ、マリは戦術機の動作を行った。

 左右にある操縦桿を動かして手を動かし、ペダルを踏んで片足で立ったりする。操作に慣れたと思ったのか、マナからの通信が入る。

 

『操作は慣れましたか?あちらの方は手こずっている用ですが』

 

「あれはちょっと機械物が苦手らしいのよ。そう言う関連の男と寝てる癖に」

 

 網膜モニターの端に表示されたマナと思われる女性オペレーターが、赤面しているのが分かった。隣の方からシューベリアが乗ったラファールが転んでいるのが見える。

 全高が18~20m台はある機動兵器が地面に転んだことにより、やや軽い震動が起こった。マナは気を取り直したのか、装備の説明を始める。

 

『チュートリアルで学んだと思いますが、貴方が乗る機体の装備の説明を始めます』

 

 端に見える画面で、マナが資料を持ち出して、目を通しているのが見えた。

 

『主兵装はAMWS-21です。ブルパップ式36㎜突撃砲で、イスラエルのTAR-21タボールをイメージして開発されました。弾種は模擬戦なので、ペイント弾です。本来なら120㎜滑走砲が突撃砲の銃身に備えられておりますが、模擬戦闘用のため、オミットされています。貴方が乗るF-15Eの膝部装甲の両側にはそれぞれ一振りずつ近接戦闘短刀が収められています。膝部に備えられているウェポンコンテナには、突撃砲用の予備弾倉が幾つか収められており、不要となればパージが可能です。ジャンプユニットにはオリジナルのユニットは搭載されておらず、ワルキューレの独自のユニットが備えられております。他の装備についても説明しますか?』

 

「良いわ。取り敢えず、さっさと始めたいんだけど。相手の準備はまだなの?」

 

 説明を聞き終えたマリは、アグレッサー役を務める第13機甲教導部隊の準備が出来たかを問う。

 

『模擬戦闘用都市部にて、全五十機の展開を終えております。模擬戦闘用の都市部はここから近い距離にありますので、物の数分で到着します。矢印の方向に従って移動してください』

 

 その返答に、マリは模擬戦をする都市部がある方向へと戦術機を進めた。シューベリアが乗るラファールがなんとか立ち上がって、必死についていく。模擬戦をする都市部へ到着すると、ノエルが追い付いたのか、通信が入ってくる。

 

『皇帝陛下!私達を出し抜いて、なんで勝手に戦術機に乗ってるんですか?!』

 

 画面端にノエルとマナが映った映像が表示され、こちらに向けて叫ぶノエルが映し出される。隣には京香が居り、マリが着ている強化装備を見るなり声を上げる。

 

『うわぁ・・・エロい・・・!やっぱり強化装備はエロい身体の人が着れば芽生えますね』

 

『京香ちゃん、そう言うのは良いから!シューベリアさんも、なんで止めなかったんですか!』

 

 画面端の横からシューベリアの映像が追加され、彼女の声も入ってくる。

 

『ゴメンゴメン。面白そうだからついやっちゃった』

 

『わぁーお、シューベリアさんはもっとエロい!エロ過ぎる!!』

 

『もう。どうして貴方達はそう勝手に・・・』

 

「許可取ってるから大丈夫よ。なんか、ここで模擬戦する予定の部隊長さんが許可してくれたみたいなの。それでこうやって戦闘機みたいな名前のロボット動かしてるわけ」

 

 このマリからの返答に、ノエルは頭を抱えた。

 

『はぁ・・・もう良いです。やられて頭を冷やしてください・・・』

 

 ノエルからの通信が切れる頃には、もう都市部に辿り着いている頃だった。無論、都市部は無人であり、人など住んで居らず、ただのゴーストタウンである。

 何度か演習や模擬戦を行った後なのか、ビル等の高い建造物には銃弾の跡が残っている。都市部に入ったのを確認してか、マナからの通信が入った。

 

『都市部に到着されたようですね。データに都市部のマップと情報が載っております。確認してください』

 

 言われたとおり、マリは都市部の情報を確認した。

 

「あら、結構色々とあるじゃない」

 

『市街地における戦闘を想定し、演習と模擬戦目的で造られた無人都市です。待ち伏せや奇襲に適した場所が多数存在します』

 

「へぇ・・・気を付けて進めってことね」

 

『そうなります』

 

 辺りを見渡し、都市部の様子を伺う。シューベリアのラファールが到着したのを確認すると、マナが模擬戦開始時間までカウントダウンを始める。

 

『敵の戦力以外情報は一切不明、数は五十機程です。貴方の付き添いも到着したので、カウントダウンを開始いたします』

 

「ちょっと待って。貴方、仕事終わり暇?」

 

『特に予定はありませんが。何か?』

 

 急に割り込み、マリはマナに仕事終わりの予定がないか問う。

 

「地図で見たんだけど、空港に美味しいスイーツの店があるんだけど、仕事終わりに一緒に行ってみない?」

 

『あぁ、それ僕も行きたい!』

 

 スイーツと聞いてか、シューベリアも割り込んできた。

 

『考えておきます』

 

 マナは赤面しながら答えると、カウントダウンを再開した。

 

『1・・・0・・・模擬戦開始です!』

 

 模擬戦が開始されると、遠くの方から震動が聞こえ、同時に相手側の無線が入り込んでくる。

 

『相手は戦術機稼働時間三十分のド素人のお嬢さんだ。各機、派手に歓迎してやれ!』

 

『はっ、連邦からぶんどったジェガンの力を見せつけてやります!』

 

『こちらは同盟からぶんどったギラ・ドーガの力を見せてやりますよ!』

 

 気揚々と迫ってくる教導部隊(アグレッサー)の所属パイロット達の無線を聞き、マリとシューベリアは身構える。ずっとレーダーを見て、相手が何処から来るかを警戒する。

 

『市街地はセンサーを遮断する時があります。十分に気を付けてください』

 

「アドバイスどうも」

 

 マナから来たアドバイスに、マリは目視で周囲の警戒を行う。シューベリアはレーダーに頼っているらしく、背中や側面から襲われたら一溜まりもない。

 

「レーダーはあんまり意味ないと思うけど?」

 

『そんな事、私に言ったって・・・』

 

 レーダーを見ながら警戒しているシューベリアに、マリは注意しながら怪しげな場所を観察し、何処から敵が来るか予想する。怪しげな場所へ視線を移すと、何かの足が見えた。直ぐに突撃砲を向け、二、三発撃ち込むと、着弾した箇所が赤色に染まる。

 

「違う・・・?」

 

マリが放った言葉の後に、コクピット内で警告音が響いた。

 

「上から!?」

 

 上の方へ視点を向けると、上空から三機の19mくらいのMSがシューベリアの乗るラファールに襲い掛かってきた。

 機体の色はスプリッター迷彩と呼ばれる主に第二次世界大戦下で使用された迷彩色であり、アグレッサーの使用するMSはジェガンと呼ばれる今でも連邦軍で現役のMSだ。鹵獲した物を敵役として使っているのだろう。

 ブルパップマシンガンと呼ばれるペイント弾仕様のMS専用機関銃で、牽制しながら襲ってくる。

 

「えっ!?ちょっ!」

 

 突然の襲撃にシューベリアは対応しきれなかったのか、反応は遅く、やたら空の敵に向けてFAMASに似た突撃砲を乱射する。だが、一機も当たることなく、ビルの上に立った三機からペイント弾の集中砲火を受け、あっさりと倒された。

 

『ごめんなさい!僕、やられちゃった!』

 

 シューベリアが謝罪の通信を入れてくると、多数のペイント弾を受け、機体が真っ赤に染まったラファールがこちらに顔を向けている。

 上にいた三機が地上に降りて、退路を塞ぐように三方に立った後、ザクと似たような形であるギラ・ドーガと呼ばれる同盟軍で現役なMSが、ジムライフルと呼ばれる連邦製MS用ライフルを構えるジェガンの後ろから三機ほど現れる。

 ギラ・ドーガも同盟軍から鹵獲した物を使っている。

 

『これであんた一人だな?女帝様よ』

 

『さて、どうやって料理してやろうか?』

 

 周りを包囲し、接近戦用の武器であるビームサーベルを抜いたジェガンの三機が着々と間合いを詰めてくる。自分を囲っている三機の内、一機が襲い掛かってくるのを待っていると、側面のビームサーベルを持ったジェガンが突き刺そうと突進してきた警告音が鳴り響くと、マリは即座に回避し、ジェガンをF-15Eの足で蹴り上げた。

 

『うぉ!?』

 

 蹴り上げられたパイロットの声が通信に入ってくるが、マリはお構いなしに至近距離で突撃砲を発射し、一機を戦闘不能にする。

 

『このアマ、巫山戯やがって!』

 

 残る二機が腹を立てたのか、開いている手で持ったマシンガンを撃ってきた。直ぐに倒れたジェガンが立っていた方向へ地面を蹴って、マシンガンを回避する。相手が次の行動へ移る前に、突撃砲を手近なジェガンへ向けて発射し、動きを封じる。

 もう一機は、ビルの上へ跳躍して逃げ込み、上から撃とうとしていた。だが、撃つ前にマリの反応が早かったらしく、撃つ前にペイント弾を浴びて戦闘不能となった。盾でペイント弾を防いでいたジェガンがマリの乗る戦術機へ向けて直ぐにマシンガンを撃ってこようとしたが、最後も反応速度の差でやられてしまう。

 

『な、なんだ、あの反応速度は!?』

 

『本当に素人か!?』

 

 後ろで見物していたギラ・ドーガ三機に乗るパイロット達がマリの恐ろしい反応速度を見て、驚きの声を上げて恐れ戦く。

 直ぐさま持っているペイント弾を撃ち込むが、マリはそれを回避し、シューベリアのラファールから接近戦用武器であるフォルケイトソードを取って、ジャンプユニットを使いながら接近する。無論、演習用なので刃先は付いていない。

 空いている手で持って一気に接近した後、戦術機用長刀を近場にいたギラ・ドーガの頭に叩き込んだ。頭部に長刀の打撃を受けたギラ・ドーガは振った方向へと吹き飛び、ビルへ直撃して突っ込んだ。

 残る三機は演習用のソード・アックスで斬り掛かったが、投げ飛ばされたり、地面に叩き付けられたりして戦闘不能となった。本陣であるコマンドポストに構える部隊長は、MS六機が戦闘不能になったことに驚く。

 

「化け物用の機動兵器で、それもたった三分でMSを六機も・・・!とても素人とは思えん、何者だ!?」

 

 近場に居た部下に部隊長が問うと、部下は資料を漁ってマリの事を調べる。もちろん、彼女のデータはあるのだが、操縦経験はジェット戦闘機程度しか無い。

 

「操縦経験は、F-15C制空戦闘機飛行時間二十七時間以上しかありません!」

 

「ば、馬鹿な!機動兵器の搭乗経験のない女があれ程の動きを・・・!百年に一度の天才という奴か!?」

 

 報告を受けた部隊長は、驚きを隠すことが出来ず、周辺にいた部下達に動揺を覚えさせた。

 

「クソ・・・都市構造を利用しての待ち伏せ(アンブッシュ)だ!直ちに命令を伝達しろ!」

 

「はっ!」

 

 戦闘オペレーターは直ぐに命令を遂行した。

 数機のグラスゴーと呼ばれ、異世界で開発された4.24mのナイトメアフレームと呼ばれる人型兵器が向かってくるマリのF-15Eに対し、専用の突撃銃を撃つが、直ぐに遮蔽物となるビルに隠れられ、各機が一発ずつ受けて戦闘不能となる。

 

『な、ナイトメアに当てた!』

 

 驚きの声が通信で聞こえてくるが、マリは出て来る敵を手当たり次第に破壊していく。命令通り、アンブッシュを行う機も居たが、あっさりと見分けられてペイント弾を当てられて戦闘不能にされた。

 

「待ち伏せしたって、私にはお見通しよ」

 

 コクピット内でマリは相手の影を見通す能力であるダーク・ビジョンを発動しながら呟き、待ち伏せを食らわせようとする都市迷彩型の敵機にペイント弾を当てる。その調子で次々とアグレッサー部隊を次々と戦闘不能にしていき、残り十五機まで減らした。

 全長15m程のオオカミ型ゾイドであるコマンドウルフが三機マリの前で姿を現し、ペイント弾仕様に変えられた専用の50㎜対ゾイド二連装ビーム砲座を撃つが、彼女の反応速度が高く、一気に接近される。

 隊長機が顔にあるコクピットにペイント弾を受け、戦闘不能になり、残り二機は蹴り飛ばされ、腹にペイント弾を受けて戦闘不能となる。コマンドウルフが倒された直後に、F-14トムキャットと同じ名を持つ戦術機が角からいきなり飛び出し、マリの後ろを取った。

 

『貰った!』

 

 F-14に乗る衛士と呼ばれるパイロットは、マリに勝ったと思ったが、彼女は超人に匹敵するようなその反応速度で突撃砲を脇の下から向け、相手の戦術機に当てて戦闘不能にした。

 次にアーム・スレイブと呼ばれた分類に入るカエルのような8.1mのサページと言う名の人型兵器が、ASサイズのAK47を抱えながら飛び出してきた。同時にMiG-25と同じ名を持つ戦術機も現れ、開発された国と同じライフルであるOC-14に似た突撃砲を向け、撃とうとする。

 

「やられる前に!」

 

 撃たれる前に、マリは咄嗟に目に入ったサページをMiG-25スピオトフォズに向け、サッカーボールのように蹴った。ジャンプユニットを使っての強力な蹴りであるため、サページは勢いよく吹き飛び、MiG-25の同隊に命中して二機ともダウンさせた。蹴り上げられたサページのパイロットはもちろん気絶している。

 一応、二機共にペイント弾を撃ち込むと、次へ進んだ。進んでいくと、側面から同じ型で日本仕様であるF-15J陽炎が、74式近接戦闘長刀と呼ばれる戦術機サイズの長刀をこちらへ向けて振り下ろそうとしていた。

 

「よっと!」

 

 咄嗟に回避して、陽炎に蹴りを入れた後、相手の手から離れた長刀を手に取り、元の持ち主である陽炎に叩き付けた。

 

「これ、結構使えるわね」

 

 戦闘不能になった陽炎から手に入れた長刀を観察しながら、試しに振り回してみた。十分に扱えると分かると、左腕の脇に抱え、残り八機が居るとされる場所まで向かう。見晴らしの良い場所でダーク・ビジョンを発動し、残り八機の所在を確認する。

 

「この目からは逃れられないって、言っても一々潰すのは面倒ね・・・」

 

 一々潰していくのが面倒と思ったマリは、思い切って見晴らしの良い場所へ飛び込み、全機が出て来るのを誘った。

 

『馬鹿かっ!堂々とど真ん中に居るなど!!』

 

 四機程が身を潜めていた場所から飛び出し、包囲する形でペイント弾をマリのF-15Eへ向けて発射したが、彼女は上空へ高く上昇する。直ぐに四機は上空へ向けて持っている武器を撃ち込もうとするも、彼女の尋常じゃないレベルまで発達した早撃ちで四機とも撃破される。

 

『奴目・・・!ば、化け物か・・・!?』

 

 着地したF-15Eを見て、一人のパイロットが恐れ戦く。そのパイロットの乗る機体はマリが投げた戦術機用の短刀に当たり、戦闘不能になる。

 

「これで後三機・・・」

 

 そう呟いた途端、残り三機からの一斉射撃を受けた。ペイント弾による凄まじい弾幕を受け、赤い色の煙が立ち篭める。

 

「やった・・・!?」

 

 スウェーデン王国製の戦術機グリペンに乗った教導部隊の副官を務める女性士官はマリを倒したと思った。僚機である二機も倒したと思っており、煙が上がっている場所へと向かおうとする。

 

「待ちなさい!敵はまだ・・・」

 

 だが、女性士官が言い終える前に残りの二機は煙の中から飛び出してきた”何か”に戦闘不能にされた。

 

「突撃砲を・・・盾に!?」

 

 煙から出て来たのは先程の陽炎から奪った長刀を右手に持ったF-15Eだった。女性士官が言うとおり、突撃砲を盾にしてやり過ごしたようだ。

 

「流石に何発か受けちゃったようね・・・」

 

 戦闘不能と判断された二機が離れていく中、肩や足の箇所にペイント弾が命中した後がある。長刀を構え、グリペンに向け突っ込んだ。向かってくるマリ機に対し、女性士官は戦術機が持っている突撃砲を撃つが、避けられてしまう。

 やがて接近を許してしまい、訓練用の長刀を叩き落とされ、吹き飛ばされて戦闘不能となった。それと同時に戦闘終了の警報が鳴り響き、アナウンスが流れる。

 

『勝者、ビギナーチーム』

 

「ま、負けた・・・たった稼働時間八分の素人相手に・・・」

 

 コマンドポストにて、部隊長が両膝を床に付けながらショックを受ける。この結果にノエルと京香も驚きを隠せないでいた。

 

「たった一機で機甲兵器五十機相手に勝利・・・これが元百合帝国皇帝の強さ・・・!?」

 

「つ、強すぎ・・・主人候補生・・・!?」

 

 京香がそれを口にした後、マリが乗っていたF-15Eの右腕と左脚が音を立てて壊れた。

 

「ふわっ!?」

 

 機体を支えていた足の一本が外れた為、機体はバランスを崩して地面に向けて倒れる。安全帯はちゃんと付けていたので、負傷せずに済んだ。

 

「やっぱ、無茶し過ぎちゃったか・・・」

 

 コクピットの中で機体状況を知らせるモニターを見て、そう呟く。その後、機体から降りたマリとシューベリアはノエルに叱られた。

 

「ちょっとは自重してくださいよ!そして余りにも身勝手です!どれだけ私に苦情が来ると思ってるんですか?!」

 

 自分より20㎝は身長が高く、飛び切りの美貌を持つ女性二人を叱るノエルであったが、二人は全く反省などしていなかった。

 

「そんなの、私に言えば良いのに。私の連絡番号なんだっけ?」

 

「全然反省してないじゃん・・・これです」

 

 ノエルは少し呆れた表情をしながら、メモをマリに渡した。

 

「へぇ・・・これが・・・じゃあ、次行くわ」

 

「えっ、次に行くって・・・?」

 

「どちらへ?」

 

 メモを受け取ったマリは次へ行くと言い出し、ノエルと京香が何処へ行くかを問う。

 

「全部回るに決まってるでしょ?」

 

「全部回るって・・・マリちゃん、全部のロボットに乗るの?」

 

「そうよ。それ以外に何があるのよ?」

 

 このマリからの答えに、三人は呆れて物も言えなかった。

 

「はぁ・・・もう勝手にしてください・・・」

 

「そう。じゃあ、行ってくるわ」

 

 頭を抱えたノエルを他所にマリは更衣室へと向かい、着替えてから次の演習場へと向かった。次の演習場ではシミュレーションで体験したMSに乗り込み、模擬戦に勝利。

 その次はASに搭乗してまたも勝利し、その次にゾイドやKMF(ナイトメア)、可変戦闘機、バルキリーに乗っても勝利を重ね、教官達を呆然とさせた。

 

「あぁ、楽しかった!」

 

 全ての人型機動兵器に乗り終える頃には、夜が近い時間帯であった。マリは意気揚々と自分等の宿泊施設である場所へとそのまま帰る。

 この操縦経験のない素人が操縦経験のある操縦者に勝利するというここでは前例にない事態に、教官やベテランパイロット、アグレッサーの隊員達との間で激しい論争が行われたと言う。

 予定通り、マナとの約束した空港のスイーツ店へとシューベリアと共に向かい、色々と美味しげなスイーツを堪能した。マナの口数の少なさに、少々マリ達は困ったが、あらゆる手を使ってなんとか彼女を笑顔にさせた。

 

 

 

 一方、ヴァンキッシャー隊の母艦とされる軽空母アスラに、隊長機と第1中隊の機体が帰還した。

 

「ロード大尉、報告します。一七〇〇(ひとふたまるまる)にて、ボギンスキー大隊長とベルントソン大尉が帰投しました」

 

「ご苦労。第2中隊と整備中隊に通達、総員格納庫へ集合せよ」

 

「はっ」

 

 副官からの報告に、シャロンはザシャ達第2中隊の面々と整備中隊に格納庫へ集合するよう指示した。理由は簡単、競合部隊ヴァンキッシャー隊の長とその中のエリートの集まりである第1中隊の出迎えである。全員が格納庫へ集合すると、第2中隊と整備中隊の隊員達は整列し、帰還した大隊本部と第1中隊の面々を出迎えた。

 

「総員、傾注せよ!」

 

 シャロンの号令で一同は皆機体から降りてきた大隊長へ目線を向ける。大隊長は身長192㎝の大柄の男であり、その大男の後ろから第1中隊の面々がついてくる。彼等の態度は以下にもエリートで、第2中隊や興味本意で見ていた防空部隊の面々を見下すような目線を送っている。

 

「第2中隊と整備中隊、出迎えご苦労。早速で悪いが、任務だ」

 

「任務って・・・」

 

「俺達、管理局の艦隊を蹴散らした後だぞ・・・」

 

 整列していた第2中隊の面々は、大隊長に聞こえないよう愚痴を漏らした。ケースを置いてから開き、中に入っていた書類を手に取った大隊長はそれを読み上げた。

 

「では、命令書を読み上げる。”貴官等、競合部隊ヴァンキッシャー隊は全戦力を持って、現在叛乱軍が占拠した惑星アスターに向かい、鎮圧部隊に加わるべし。敵戦力は下級兵士が八百万、市民等などの蹶起した勢力の市民軍が一千万、解放された各勢力の捕虜が二百万。所持機動兵器は八十万機、所持宇宙軍艦艇は二十万隻以上、その他通常兵器が八百万以上。大量破壊兵器の詳細に関しては不明。尚、アスターは比較的惑星同盟軍の近い領土にあるため、情報部はこの叛乱を同盟軍の裏工作によって引き起こされた物だと推測している。敵戦力が増加する可能性があるので考慮されたし。柔軟な対応策を持って心して当たれ”」

 

 読み上げた大隊長は書類を下げ、先の情報の付け加えをする。

 

「第2中隊の諸君等はここへ来て、命令書が出される前にこの叛乱を知っている事だろう。だが、状況は悪い状況へと傾いている。同盟方面の絶対防衛線の付近にて、同盟軍の艦隊が集結中だ。これは確実に攻勢の準備であり、手薄になっている防衛線を抜けて防衛線方面の鎮圧部隊の背後を取って、鎮圧部隊を撃破し、我々の矛先もそちらへ向けて排除した後、アスターを侵攻の足掛かりにする根端だろう。だが、その前に我々が叛乱軍を殲滅し、突破してきたであろう同盟軍も殲滅する!以上だ。解散してよし」

 

 大隊長の付け加えが終わったところで、全員がバラバラに解散した。整備中隊は元の作業へ戻り、パイロット達はそれぞれの場所へと戻る。ザシャも三人の部下と共に移住区へ戻ろうとしたが、嫌みな目線を向けられていることに気付き、敢えて振り返らないようにする。

 だが、何かの物を当てられ、振り向いてしまった。そこには、自分を見下すような目線を向けて嫌悪感をするような笑みを浮かべた青年が三人ほど居た。

 

(ヒヨコ)小隊、まだ生きていたのか。先程の魔法至上主義のアホ共との戦闘で、戦争知らずのアホが大量に乗った船にぶつかって死んだのかと思ったよ」

 

 腕組みをしながら、ラディスラオ・デ・アルタミラーノと呼ばれた青年はザシャへ向けて吐き捨てた。何の反応のない彼女に腹を立てたのか、ラディスラオは舌打ちしたが、取り巻きの二人がザシャに突っ掛かった。

 

「まさかアホの魔法使い共の船を何十隻も沈めたくらいで調子に乗っているのか?フッ、俺なら一万隻以上沈められるぜ!」

 

「おい、聞いてるのか?!ヒヨコ!」

 

 突っ掛かってくる取り巻き二人に対し、ザシャは無言を貫き、上官に習って千鶴、チェリー、ペトラも無言を貫く。

 

「フン、無視か。まぁ良い、お前は所詮、教官に媚びへつらうしか脳のない無能な女だ!精々ニワトリにでもなれるよう努力するんだな!」

 

 

 返す言葉も返してこないことを良いことに、ラディスラオは心にもない言葉をザシャへぶつける。ザシャが言い返そうとした途端、桃色の長髪を持ち、マリに負けないくらいのスタイルを持つ女性が上品な笑いを上げながら割り込んできた。

 

「オッホホホ!A小隊の貴方達が、最下級のH小隊の面々に寄って集って罵倒するのが我が第1中隊の中でエリート中のエリートである貴方達の振る舞いですの?」

 

「なんだと!?C小隊の分際でこの痴女が!」

 

 取り巻きの一人が彼女の着ているボディラインをさらに強調させているパイロットスーツを見て罵倒の言葉を投げ付けるが、育ちの良い彼女は特に怒ることなく長い髪を振り払ってから言葉を返す。ちなみに彼女の名前はエルミーヌ・レオニー・ド・バルバストル。

 

「あらあら、それがエリートである人へ投げかける言葉ですか?周りを見下すことしかできなくて?」

 

「クッ、この変態女が・・・!行くぞ!」

 

 ラディスラオはこれ以上エルミーヌに関わりたくないのか、取り巻き二人を連れて何処かへ去った。

 

「エリートらしい言葉遣いを身に着ける事ですのよ~」

 

 何処からか取り出したハンカチで、A小隊の面々を見送った後、ザシャ達に視線を向けた。

 

「テーゼナーさん、ああいう輩には無視が一番ですのよ。例え相手が肩を掴んできても、振り払うこと。その対応は良くって?」

 

「は、はい・・・」

 

 自分より6㎝は高い気品高い女性に、ザシャはただ返事をするしか無かった。エルミーヌが身に着けているパイロットスーツは動く度に彼女の大きな胸が揺れ、浮き出ている肌も衣服を着ていないように浮き出て、例え同性でも目のやり場に困る物である。

 

「よく分かってまして?特に貴方にはそう近い将来に後の私の部隊に入ってもらい、部下になって貰う予定なのですから、背中から撃たれて死んでしまうのは勘弁して欲しいですわ。それまでに決して死なぬように、お願い致しますわね。それでは、ごめん遊ばせ」

 

 言いたいことを伝え終えると、エルミーヌは勝手に去っていった。

 

「はぁ、そんなの私聞いてないよ・・・」

 

 勝手に自分の将来を決めた女性に対し、ザシャは溜め息をついてから愚痴を漏らした。部下の一人であるチェリーが先程の事を聞いてくる。

 

「あの・・・隊長さんはそんな約束をC小隊の隊長さんとしたんですか?」

 

「違うよ。軍の幼年学校であっちが勝手に言ってきただけ・・・」

 

「同じ学校のお友達だったんですか。とても常人では着れそうもないあの服を着こなしている方とは思えません」

 

「うん、昔からあんなのだから」

 

 ザシャは苦笑いしながら答えた。軽空母アスラは護衛艦と共に武器弾薬の補充と補給を終えるまで待機する。

 その途中にマリ等を乗せたシャトルを回収すると、上がってきた他の艦艇と共に、アスターへと向かった。




今回も濃くなったな・・・(小並感)

~今週の中断メッセージ~
登場したロボットの簡単すぎる解説。

F-4
現実のF-4戦闘機じゃない戦術機の方。
文章では最初に出てただけ。実はアグレッサー部隊に盾を持っているのが居た。

F-14 トムキャット
現実のF-14戦闘機じゃない戦術機の方。
都市迷彩が出て来た。

F-15E ストライク・イーグル
現実の戦闘爆撃機に改造されたF-15戦闘機とは違う戦術機の方。
マリの搭乗機となり、見事勝利したが、無理させすぎた所為で間接がぶっ壊れた。

MiG-25
現実のMig-25戦闘機とは違う戦術機の方。
これも都市迷彩、ボールをぶつけられて倒されるジムみたいにやられた。

F-15J 陽炎
現実の日本製F-15戦闘機ではなく、戦術機の方。
平たく言えば長い片刃持ったF-15。
その長刀はマリに有効活用された。

グリペン
スウェーデン王国で開発された戦術機。
マリを案内した女性士官が登場していた。
僚機の二機は現実の戦闘機じゃない方のF-16とMiG-29。

ラファール
現実のフランスの戦闘機じゃない戦術機の方。
ド素人のシューベリアが乗って、瞬殺される。
実はアグレッサーの中に居たりする。

ジェガン
連邦軍が実戦投入から30年間も使い倒したMS。
アグレッサーでは鹵獲した物をスプリッター迷彩型して、3機投入された。
「この大型ジェガンは無理だ!」
今年発売されたサイドストーリーズで動かせる。

ギラ・ドーガ
シャアが隕石を地球に堕とす際にアナハイム社に発注したMS。
鹵獲した物の色は青色にして、3機が投入された。
ジェガンと同じく、サイドストーリーズで動かせる。
フルレベルのガンダムのビームライフルで一発で壊れない。

ザクⅡ改
バーニーが乗っていたザクの改良型。
文章では一切でないが、いつの間にかやられている。

ザクⅡF2型
0083に出て来るザクの後期型。
ジオン残党で運用された。作者が好きなMS。
文章に出ないままやられている。

ジム改
0083に出て来るジムの後期型。
ぶっちゃけ一年戦争の末期で投入されてる。
こいつもキングクリムゾンされていた。

ジン
SEEDのザク的存在なMS。
鹵獲した物を使用。出ないがやられている。

ストライクダガー
SEEDのジム的存在なMS。
鹵獲した物を使用。こいつも出ないがやられている。

ジェノアス
AEGのジム的存在なMS。
鹵獲した物を使用。こいつも文章に出ないままやられた。

グラスゴー
コードギアス 反逆のルルーシュに登場するナイトメアフレーム。
本編では序章か専用機か派生タイプしか出ない。
何故かワルキューレが所持しており、アグレッサーとして投入された。

サページ
フルメタルパニック!に出て来るソ連のアームスレイブ。
本編ではやられ役で、主人公も乗っている何処でも流通する冷戦時代の東側世界特有の大量生産品。
この二次元作ではボールにされた(笑)。

M6
アメリカのアームスレイブ。
これも大量に生産され、本編でもやられ役であり、西側諸国の国々で配備されてる。
この二次元作では、文章にないままやられたことにされた。

ゴドス
共和国の恐竜型小型ゾイド。
ゴジュラスの小型版だが、アニメでは単なるやられ役。
誰かが乗ると異常に強くなる。作者が好きなゾイド。
だが、文章では出ず、やられたことにされる。

イグアン
帝国の恐竜型小型ゾイド。
ゴドスに対抗するため、ゴドスを帝国がコピーして実戦投入した。
アニメでは一切出て来ない、しかもこの二次元作でも出ない(笑)。

コマンドウルフ
共和国のオオカミ型中型ゾイド。
扱いやすさから長年現役であり、改良されつつ長く現役の座に居座っている。
アニメでは全作品登場しており、ジェネシスを除いて主人公側のゾイドを務めてる。
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